JP4293392B2 - 換気方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内空間に空気の流れを作り、この空気の流れを利用して屋内空間の空調、換気を効率良く行なえるようにした換気方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気の流れを利用して屋内空間の換気を行なうものとして、プッシュプル型の換気装置が知られている。
このプッシュプル型の換気装置は、吹き出し口と吸い込み口を対向させて設置し、空気を吹き出し口から吹き出させて吸い込み口で吸い込み、吹き出し口から吸い込み口に向かう空気の流れを作り、汚染空気をこの空気の流れに乗せて除去しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方式で空気の滞留箇所が生じないように換気するには、屋内空間の全域において吹き出し口から吸い込み口に至る空気の流れを作る必要があり、吹き出し口と吸い込み口の開口面積がきわめて大きくならざるを得ない。
そのため、壁面の利用性に劣る不具合があり、さらに、搬送機器も大きな容量のものが必要となり、コストが嵩む不具合があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、壁面の利用性に優れ、コストダウンを図りつつ換気を効率良く行なえる換気方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の換気方法は、屋内空間の中央に、床から天井にわたってほぼ鉛直に排気管を延在させ、前記排気管の周方向に間隔をおき排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所に複数の吸い込み口を設け、屋内空間の周囲から空気を吹き出させると共に、屋内空間の空気を前記複数の吸い込み口を介して排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所からほぼ均等に吸い込み、これにより屋内空間の中央を中心とし屋内空間の外周から中央に向かう旋回流を生じさせ、前記複数の吸い込み口から吸い込んだ空気を屋内空間外に排出するようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記吸い込み口から排気管の内部に吸い込まれた空気の屋内空間外への排出は、床の下方における排気管の下端または天井の上方における排気管の上端の一方の端部において行われ、前記吸い込み口の大きさは、排気管の上下方向に沿って前記一方の端部に近づくにつれて次第に小さくなるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記吸い込み口から排気管の内部に吸い込まれた空気の屋内空間外への排出は、床の下方における排気管の下端および天井の上方における排気管の上端の双方の端部において行われ、前記吸い込み口の大きさは、排気管の上下方向の中央部が最も大きく、前記下端および上端に近づくにつれて次第に小さくなるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記空気の吹き出しは屋内空間に設けられた吹き出し口から行われ、前記吹き出し口は屋内空間の周囲に沿って複数設けられていることを特徴とする。
【0005】
吹き出し口から空気を吹き出させ、同時に、複数の吸い込み口から屋内空間の空気を吸い込むと、屋内空間の中央を中心とし屋内空間の外周から中央に向かう旋回流が生じ、屋内空間の空気はこの旋回流により回転しながら複数の吸い込み口から吸い込まれ、排気管を介して屋内空間外へ排出され、空気の滞留箇所も生じにくくなり、屋内空間全域の換気が効率良く行なわれる。
また、吹き出し口からの空気の吹き出しや、吸い込み口からの空気の吸い込みに要するポンプやファンなどの搬送機器は、旋回流を生じさせるに足る小さな容量のもので足り、コストダウンを図る上で有利となる。
また、吸い込み口は屋内空間の中央に位置し、吹き出し口から吹き出される空気は吸い込み口と協働して旋回流を生じさせるに足る風量であればよいので、吸い込み口や吹き出し口が壁面において大きな開口面積をとるといった不具合はなくなり、したがって、壁面の利用性にも優れる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は実施の形態の換気方法を説明するための屋内空間の斜視図、図2(A)乃至(C)は屋内空間の平面図、図3は(A)乃至(D)は排気管の正面図を示す。
図1、図2において符号12は屋内空間を示しており、屋内空間12は4つの壁14により平面視矩形に形成され、屋内空間12の上下は床16と天井18により仕切られている。
前記屋内空間12の隅部に給気管20が立設され、屋内空間12の中央に排気管22が立設されている。
【0007】
前記給気管20には、例えば、ポンプやファンを介して外気が供給され、あるいは空調設備からの暖気や冷気が供給される。
前記給気管20は床16から天井18にわたって鉛直に延在する管体2002を備え、管体2002には、この管体2002が接触する壁14に沿って空気を吹き出すための吹き出し口2004が設けられている。
なお、吹き出し口2004の上下方向の位置や個数は任意であるが、本実施の形態では、屋内空間12の中央を中心とし屋内空間12の外周部から中央に向かう旋回流Sが効率良く生じるように、給気管20の上下方向のほぼ全長にわたる箇所から空気が吹き出されるように吹き出し口2004が設けられている。
また、図2(C)に示すように、給気管20を屋内空間12の4隅に設けるなど、複数の異なった箇所からそれぞれ空気を吹き出せば、生じる旋回流Sはより強いものに、あるいはその流れが速いものになっていく。
【0008】
前記排気管22は、床16から天井18にわたってほぼ鉛直に延在する管体2202を備え、本実施の形態では、管体2202の上端は天井18の上方に突出してレターンダクト(不図示)に接続されている。そして、このレターンダクトとポンプやファンを介して排気管22内の空気を屋内空間12外(例えば大気など)へ排出するように構成されている。なお、管体2202の断面形状は円筒に限らず、正方形や長方形、正多角形、楕円形など任意である。
前記管体2202には、屋内空間12の空気を吸い込むための吸い込み口2204が複数設けられ、これらの吸い込み口2204は、管体2202の周方向に間隔をおき管体2202の上下方向のほぼ全長にわたる箇所に設けられている。
そして、これらの吸い込み口2204の大きさは、管体2202の上端に近づくにつれて次第に小さくなるように形成され、これにより管体2202の上下方向のほぼ全長において各吸い込み口2204における吸引圧力をほぼ等しくし、管体2202の上下方向のほぼ全長にわたる箇所から屋内空間12の空気をほぼ均等に吸い込み、屋内空間12に旋回流Sがより効率良く生じるように構成されている。
【0009】
前記吸い込み口2204の形状は任意である。例えば、図3(A)に示すように、管体2202の下端から上端にわたって延在し上端に至るにつれて開口幅が次第に小さくなるような2等辺三角形状の吸い込み口2204を管体2202の周方向に間隔をおいて設けてもよい。あるいは、図3(B)に示すように、管体2202の周方向に間隔をおいて複数の円形の吸い込み口2204を設け、これら吸い込み口2204からなる列を管体2202の上下方向に間隔をおいて複数設け、各吸い込み口2204の直径を管体2202の上端に至るにつれて次第に小さく形成するようにしてもよい。あるいは、図3(C)に示すように、管体2202の周方向に延在する長溝状の吸い込み口2204を管体2202の周方向に間隔をおいて複数設け、これら吸い込み口2204からなる列を管体2202の上下方向に間隔をおいて複数設け、各吸い込み口2204の上下寸法を管体2202の上端に至るにつれて次第に小さく形成するようにしてもよい。
【0010】
なお、排気管22内の空気を屋内空間12外へ排出するに際して、管体2202の上端と下端をそれぞれ天井18の上方と床16の下方に突出して管体2202の上端および下端から排気管22内を空気を排出する場合には、各吸い込み口2204における吸引圧力をほぼ等しくし、管体2202の上下方向のほぼ全長にわたる箇所から屋内空間12の空気をほぼ均等に吸い込んで屋内空間12に旋回流Sがより効率良く生じるように、各吸い込み口2204は、管体2202の上下方向の中央部が最も大きく、上端および下端に近づくにつれて次第に小さくなるように形成される。
この場合の吸い込み口2204は、例えば、図3(D)に示すように、管体2202の周方向に間隔をおいて管体2202の下端から上端にわたって延在し、上下方向の中央部の開口幅が最も大きくかつ上端と下端に近づくにつれて次第に小さくなるような縦長の菱形状に形成される。
【0011】
本実施の形態によれば、図1、図2(A)に示すように、給気管20の吹き出し口2004から空気を吹き出させ、同時に、複数の吸い込み口2204を介して管体2202の上下方向のほぼ全長にわたる箇所から屋内空間12の空気をほぼ均等に吸い込むと、屋内空間12の中央を中心とし屋内空間12の外周から中央に向かう旋回流Sが生じる。
屋内空間12の空気はこの旋回流Sにより回転しながら複数の吸い込み口2204から吸い込まれ、排気管22を介して屋内空間12外へ排出される。
これにより空気の滞留箇所も生じにくくなり、屋内空間12全域の換気が効率良く行なわれる。
屋内空間12に発生した汚染物質26は、図2(B)に示すように、屋内空間12の外周から中央に向かう旋回流Sに乗って排気管22の吸い込み口2204に吸い込まれ、効率良く排気される。無論、吹き出し口2004から暖気や冷気を吹き出させれば、屋内空間12の暖房や冷房が効率良くなされる。
【0012】
また、本実施の形態では、屋内空間12の中央を中心とし屋内空間12の外周から中央に向かう旋回流Sを生じさせ、この旋回流Sを利用して換気を行なうようにしたので、給気管20と排気管22に用いるポンプやファンなどの搬送機器も旋回流Sを生じさせるに足る小さな容量のもので足り、コストダウンを図る上で有利となる。
また、吸い込み口2204と協働して旋回流Sを生じさせるに足る吹き出し口2004であればよいので、吹き出し口2004が壁14において大きな開口面積をとることはなく、したがって、壁面の利用性にも優れる。
【0013】
また、旋回流Sによって屋内空間12の空気の流れに方向性を持たせることができ、作業環境の空気質を省エネ的に維持管理することができる。
さらに、吹き出し口2004からの空気の吹き出し方向を逆転可能(図2A乃至Cに示す例では例えば90度向きを変えられるように)に構成すれば、旋回流Sを逆向きにでき、屋内空間12に揺らぎのある流れを起こすことも可能となる。
なお、本発明は、比較的小さい室内から、比較的大きいロビーやアトリエ、さらには巨大空間を有する工場や展示場など、大きさの如何を問わず全ての屋内空間に適用される。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明の換気方法は、屋内空間の中央に、床から天井にわたってほぼ鉛直に排気管を延在させ、前記排気管の周方向に間隔をおき排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所に複数の吸い込み口を設け、屋内空間の周囲から空気を吹き出させると共に、屋内空間の空気を前記複数の吸い込み口を介して排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所からほぼ均等に吸い込み、これにより屋内空間の中央を中心とし屋内空間の外周から中央に向かう旋回流を生じさせ、前記複数の吸い込み口から吸い込んだ空気を屋内空間外に排出するようにした。
そのため、屋内空間の空気はこの旋回流により回転しながら複数の吸い込み口から吸い込まれ、空気の滞留箇所を生じさせることなく屋内空間全域の換気が効率良く行なわれる。
そして、旋回流を利用して換気を行なうので、吸い込み口や吹き出し口が壁面に大きな開口面積をとることもなくなり壁面の利用性に優れ、また、ポンプやファンなどの搬送機器も小さな容量のもので足り、コストダウンを図る上でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の換気方法を説明するための屋内空間の斜視図である。
【図2】(A)乃至(C)は屋内空間の平面図である。
【図3】(A)乃至(D)は排気管の正面図である。
【符号の説明】
12 屋内空間
14 壁
16 床
18 天井
20 給気管
2004 吹き出し口
22 排気管
2204 吸い込み口
Claims (4)
- 屋内空間の中央に、床から天井にわたってほぼ鉛直に排気管を延在させ、
前記排気管の周方向に間隔をおき排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所に複数の吸い込み口を設け、
屋内空間の周囲から空気を吹き出させると共に、屋内空間の空気を前記複数の吸い込み口を介して排気管の上下方向のほぼ全長にわたる箇所からほぼ均等に吸い込み、これにより屋内空間の中央を中心とし屋内空間の外周から中央に向かう旋回流を生じさせ、
前記複数の吸い込み口から吸い込んだ空気を屋内空間外に排出するようにした、
ことを特徴とする換気方法。 - 前記吸い込み口から排気管の内部に吸い込まれた空気の屋内空間外への排出は、床の下方における排気管の下端または天井の上方における排気管の上端の一方の端部において行われ、前記吸い込み口の大きさは、排気管の上下方向に沿って前記一方の端部に近づくにつれて次第に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の換気方法。
- 前記吸い込み口から排気管の内部に吸い込まれた空気の屋内空間外への排出は、床の下方における排気管の下端および天井の上方における排気管の上端の双方の端部において行われ、前記吸い込み口の大きさは、排気管の上下方向の中央部が最も大きく、前記下端および上端に近づくにつれて次第に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の換気方法。
- 前記空気の吹き出しは屋内空間に設けられた吹き出し口から行われ、前記吹き出し口は屋内空間の周囲に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載の換気方法。
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