JP4291890B2 - 帯材を圧延するための圧延スタンド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、直接支持ロールで支持され、または中間ロールを介して支持ロールで支持される、特に軸線方向に且つ互いに逆方向に移動可能で全長にわたって筒状の作業ロールを備えた圧延スタンドであって、少なくとも一つのロールが、その長さ方向において異なる撓み性を持つように且つ少なくとも一つの部分領域においてより大きな偏平特性を備えるように形成されている前記圧延スタンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧延技術においては、長さ方向、幅方向、厚さ方向に平坦で、公差範囲がますます狭くなっている帯材、板材が存在する。公差範囲は帯材及び板材の中央領域に対しては公知の圧延スタンドにより満足に解決されているが、エッジ領域においては帯材の横断面に異常が生じる。その原因は、荷重されている領域から帯材の横の荷重されていない領域へ向けてロールの弾性変形が減衰するからである。帯材のエッジ領域で始まるその上限値は、帯材の局部的な拡幅に関連して、エッジ領域で帯材の厚さを減少させ、圧延された帯材のエッジを鋭利化する(エッジドロップ)。
【0003】
この場合、ロールと圧延材の間の摩擦が良好であり、且つ作業ロールが薄ければ薄いほど、帯材の厚さ変化は急激に生じる。圧延材が硬く、作業ロールが厚ければ厚いほど、帯材のエッジにおける厚さの減少は大きい。例えば冷間圧延の場合、帯材の長さが1250mmであるとすると、このエッジ鋭利化領域はほぼ15ないし40mmのエッジストライプに引き伸ばされる。このエッジストライプは、ロールと圧延材の間の摩擦が良好でない場合(タンデム圧延路の最後のスタンドでの粗圧延によりしばしば生じる)、帯材のエッジから40mm以上離れた領域へ拡大することがある。従って通常は、この鋭利化した不均一な厚さのエッジ領域の一部分は、帯材の縁取りによって除去される。このような縁取りは別の作業ステップを必要とし、よって対応的にコストを要し、付加的な廃品部分が生じる。
【0004】
ドイツ特許第3038865号公報からは、軸方向へ互いに逆の方向へ移動可能な作業ロール対、及び場合によっては中間ロールと支持ロールとを備えた圧延スタンドが知られており、この圧延スタンドを用いると、特にコストを要することなく帯材のエッジプレスをも減少させることができる。この場合、移動可能なロールのそれぞれは、少なくともロール胴の長さの一部分にわたって、ロール軸線に平行な直線からずれた湾曲した輪郭を有している。この湾曲した輪郭は有利にはロール胴の全長にわたって延び、その際ロール対の両ロールの輪郭は、ロールの軸線方向の特定の位置でのみ互いに補完しあっている。これにより、圧延間隙の形状、従って圧延帯材の横断面形状を、湾曲した輪郭を有するロールをわずかな距離だけ変位させることによって制御でき、従ってエッジプレスをも減少でき、エッジの鋭利化を阻止することができる。しかしながら帯材のエッジ制御は、帯材全体を処理することによってのみ可能である。
【0005】
エッジの鋭利化、従ってこれに関連している廃品部分を減少させるための他の公知の解決法では、一端が円錐状に先細りになっている二つの作業ロールを備えた圧延スタンドが提案される。この場合ロールは、180゜回転した他のロールと組み合わされる。このロール対は、圧延材のエッジが円錐状突出部の領域に位置するように位置決めされる。エッジ領域の輪郭が円錐状であるために圧延間隙は開いており、これにより帯材のエッジは、ロール表面の荷重される部分と帯材の横の荷重されない部分との間でロール偏平性が変化するために生じる通常の場合ほどには強く絞られない。しかしながらこの方法の欠点は、極めて通常の軽量な帯材の場合、帯材に亀裂が生じることである。これはロールが追従できないためで、従って帯材が延びている帯材面に明らかに低質な絞りと大きな引張り応力とが生じるためである。
【0006】
従って圧延機の操業者にとっては、エッジドロップの低減に伴う廃品部分の減少が課題であるというよりはむしろ、操業安定性の向上、特に帯材の亀裂を低減させることによる操業安定性の向上が課題である。帯材の亀裂は、経験によれば、帯材のエッジが長く、場合によってはわずかに波形状で、従って引張り応力のないことによって回避される。しかしながら、ロール移動システム、ロールベンディングシステム、サーモシステムのような平面状態制御サーボシステムを用いても、帯材のエッジ領域自体に局限して帯材を過大に長くすることは、通常の条件の下では不可能であり、或いは可能であっても満足のいくものではない。ただし、非常に薄い作業ロールを備えたロールは例外である。しかしながら、このロールでは帯材エッジに近い側での平面状態制御は達成されるものの、帯材の中心部では十分に制御できない。
【0007】
このように公知の処置は、帯材の横断面精度及び平面性に関する高度な要求を満たすために十分なものではなく、亀裂を阻止することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、帯材の横断面精度及び平面性に関して帯材のエッジ形状を制御でき、帯材エッジのプレス及びエッジの鋭利化(エッジドロップ)を減少させ、亀裂を阻止できるような、冒頭で述べた種類の圧延スタンドを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、軸ジャーナルとロール外被部との間に延在している領域に、ロール軸線のまわりに同心に延びる少なくとも一つの切り込みが設けられ、該切り込みは、軸ジャーナルにじかに臨んでいる切り込み底部と、帯材エッジの領域において内側から支持されない部分とを備えるように、円錐状に形成され、ロール軸線に近いほうの切り込み面がロール軸線に平行であり、他方ロール外被部に近いほうの切り込み面が切り込み底部のほうへ先細りになっており、2つのロールを対で配置する場合、一方のロールが前記一端部に前記切り込みを備え、他方のロールがロール軸線方向において前記一端部とは逆の側の他端部に前記切り込みを備えるように、両ロールを配置することを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ロールの撓み性がより大きな部分では、他の領域に比べてロールはより大きく偏平化し、楕円化する。撓み性がより少ない領域では、適宜なドロップを伴う作業ロールのより大きな有効半径が達成され、その結果この有効半径に関連づけられる帯材部分は、隣接する部分よりも長い仕上げ長さを有する。同時に、帯材エッジの絶縁処理を行うことができる。というのも、帯材エッジの間接的な平面性制御が達成されるように、帯材エッジの領域でのロール偏平性特性を変化させることができるからである。
【0011】
全横断面が一貫しているロールの場合には、帯材エッジでの偏平性は、圧延される帯材の横の荷重されないロール表面の遠隔作用(マットレス効果)のために小さすぎ、従ってエッジ領域における局部的なロール径及びこれに関連したエッジプレスは大きすぎるが、本発明によるロールを用いると、帯材エッジにおいてより大きな平坦性が達成され、幅方向において帯材の厚さを均一化させることができる。
【0012】
このようにロールの偏平特性及び半径の形成に介入することができるので、帯材エッジの厚さを間接的に制御でき、よって帯材の不具合なエッジ鋭利化が避けられる。帯材の縁取り及びこれに伴う多量の廃品部分がなくなり、同時にロールの寿命が長くなる。他方帯材が亀裂する危険が減少し、特に、帯材エッジに対応させてロールを追従させる目的で帯材の延在態様を制御しても、帯材が作業ロール対にたいして中心対称に延びていない場合には亀裂が減少する。従って本発明によるロールは、前述した公知のロールの場合のように非対称な厚さ調整を介して作用するのではなく、従って直接的に作用するのではなく、異なる偏平性及び半径という形での間接的な作用により、帯材エッジ及び帯材全体に影響して上記のような効果をもたらす。
【0013】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて説明する。
図1に図示した実施形態は、少なくともその端部領域においてロール胴がより大きな偏平特性を持つように形成された筒状のロール10である。ロール回転軸線または軸ジャーナル12のまわりに同心に延びる切り込み6が、ロール10の片側の端面5を基点に設けられている。このように材料を切除することにより、ロール胴に、外被部に近いロール領域7と軸線に近い内側の領域8とが生じる。外被部に近いロール領域7は、くさび状の切り込み6の領域において中空になっている。この実施形態では、ロール軸線に近いほうの切り込み面9がロール軸線に平行に延び、他方ロール外被部14に近いくさび面11は切り込み底部13に至るまで先細りになっている。切り込み6の領域におけるロール胴のロール外被部14の形状は全横断面においてロールの輪郭を継承しており、ここでは筒状の形状である。
【0014】
図2は、作業ロール10を対で配置した構成を示す。作業ロール10は、それぞれ片側の端面5に切り込み6を有している。金属帯材4に関して、それぞれの切り込み底部13が帯材エッジ15に対して適切な位置に位置するように、ロール10を軸線方向に且つ互いに逆方向に移動させることができる。これは、図示した位置で切り込み底部13をほぼ帯材エッジ15の高さに配置するようにして達成される。材料が切除されていることにより外被部に近い領域7が内側で支持されないため、圧延過程では、ロールが完全に中実な場合とは異なり、帯材エッジ15の領域には比較的かなり大きな偏平性が達成される。これによりエッジプレスが減少し、幅方向における幅厚が一様になり、その結果エッジの鋭利化が最小限に抑えられる。帯材エッジの鋭利化が少ないので、ロールの摩耗が減少する。従来公差範囲に収まらない帯材エッジを縁取りすることによって生じていた廃品部分が減少するとともに、使用するロールの寿命も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロールの実施形態の縦断面図である。
【図2】図1に図示した作業ロールの位置調整または配置構成を示す圧延方向に見た縦断面図である。
【符号の説明】
5 ロールの片側の端面
6 切り込み
7 ロール外被部に近いロール領域
8 ロール軸線に近い内側の領域
9 ロール軸線に近いほうの切り込み面
10 ロール
11 ロール外被部に近いほうの切り込み面
12 軸ジャーナル
13 切り込み底部
14 ロール外被部
15 帯材エッジ

Claims (1)

  1. 直接支持ロールで支持され、または中間ロールを介して支持ロールで支持される、特に軸線方向に且つ互いに逆方向に移動可能で全長にわたって筒状の作業ロールを備えた圧延スタンドであって、少なくとも一つのロール(10)が、その長さ方向において異なる撓み性を持つように且つ少なくとも一つの部分領域においてより大きな偏平特性を備えるように形成されている前記圧延スタンドにおいて、
    ロール軸線方向においてロール(10)の一端部の、軸ジャーナル(12)とロール外被部との間に延在している領域に、ロール軸線のまわりに同心に延びる少なくとも一つの切り込み(6)が設けられ、該切り込み(6)は、軸ジャーナル(12)にじかに臨んでいる切り込み底部(13)と、帯材エッジの領域において内側から支持されない部分とを備えるように、円錐状に形成され、ロール軸線に近いほうの切り込み面(9)がロール軸線に平行であり、他方ロール外被部に近いほうの切り込み面(11)が切り込み底部(13)のほうへ先細りになっており、2つのロール(10)を対で配置する場合、一方のロールが前記一端部に前記切り込み(6)を備え、他方のロールがロール軸線方向において前記一端部とは逆の側の他端部に前記切り込み(6)を備えるように、両ロールを配置することを特徴とする圧延スタンド。
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