JP4290865B2 - 鉄筋結束装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄筋の結束装置と結束方法に関し、特に高速道路等の道路の建造時に現場で鉄筋を結束する際に用いるに適する装置と方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート舗装での鉄筋の利用技術としてはその利用目的等に応じ下記のような従来技術が知られている。
通常のコンクリート舗装は、道路の延長方向8〜10m間隔で横目地を設けたもので、各コンクリート版は目地部のスリップバーやタイバーで結ばれている。アスファルト舗装に比べて剛で耐久性に優れるが、コンクリート版に一度ひびわれが生ずると自癒することがないため、ひびわれの進展を抑止する目的で鉄網を敷設するのが一般的である。鉄網は、コンクリート版の上部1/3の深さに配置するが、径6mmの異形棒鋼(D6、同様に径Xmmの異形棒鋼をDXと称する)を格子状に組んだ質量3kg/m2 程度のもので、溶接金網とも呼ばれ既製品がある。
なお、鉄網には剛性の補強が期待できないため、コンクリート版の縦縁部には、補強を目的としてD13を鉄網に結束し、縁部補強鉄筋とするのが一般的である。
【0003】
また橋台やボックスカルバート等がある場所では、背面の不等沈下に対応するため、コンクリート版の構造を強化し剛性を高める必要がある。このような箇所では、格子状に組んだD13を版の下側と上側に敷設したり、格子状のD13とD16の鉄網とを重ねて敷設したりする。これらは鉄筋コンクリート版と称される。
【0004】
次に、連続鉄筋コンクリート舗装と称される舗装は通常のコンクリート舗装と異なり、コンクリート版の横目地を全く省いたものである。このために生じるコンクリート版の横ひびわれは、縦方向鉄筋で分散させる。横目地が無いので、車両走行時の振動・騒音が無くなり乗り心地がよくなる。また、縦方向鉄筋と横方向鉄筋を格子状に組むため構造が強化でき版厚も低減できる。縦方向鉄筋にはD16やD13が、横方向鉄筋にはD13やD10が用いられる。
通常のコンクリート版の版厚の典型例を表1に、連続鉄筋コンクリート版の版厚の典型例を表2に、連続鉄筋コンクリート版の鉄筋径と鉄筋間隔の典型例を表3に示す。
【0005】
【表1】
Figure 0004290865
【0006】
【表2】
Figure 0004290865
【0007】
【表3】
Figure 0004290865
【0008】
連続鉄筋コンクリート版の配筋の典型例を図1(A及びB)に示し、埋め込み位置の典型例を図2に示す。なお、横方向鉄筋を斜めに配置するのは、横ひびわれの位置と鉄筋の位置が重ならないようにするためである。
【0009】
鉄筋の組立において、鉄網(溶接金網)は質量が小さく、しかも一般には既製品を用いるので、施工上特に問題にはならない。また、特定の箇所における鉄筋補強は、あらかじめ格子状に溶接しておいたものを持ち込んでもよいし、現場で格子状に配筋し結束してもよい。一般には、スポット的な施工となるので、鉄筋の結束は人力で行われる。
一方、連続鉄筋コンクリート舗装は鉄筋の敷設が必須であり、しかも通常縦方向鉄筋は8〜10cmピッチで、横方向鉄筋は30〜60cmピッチで敷設されるため、鉄筋の結束箇所がきわめて多くなる。例えば縦方向鉄筋12.5cmピッチ、横方向鉄筋60cmピッチの場合、幅員8mの場合で縦方向鉄筋が62本、横方向鉄筋が延長10mにつき16.7本必要となり、結束箇所は1,035.4箇所(日施工延長を200mとすると20,708箇所)となる。この膨大な数の結束をこれまでは人海戦術で行ってきたが、人手が多く掛かるばかりでなく、作業そのものが腰を曲げての苦渋作業であることも問題である。
このようなことから、連続鉄筋コンクリート舗装では鉄筋をあらかじめ格子状に溶接しておき、この鉄筋鉄網を搬入する方法もとられるが、材料費が高くつくため好まれていない。
【0010】
一箇所で作業の行える土木工事や建築工事においては、鉄筋鉄網を工事敷地内などにおいて組み立て、これを部材として施工位置に移す方法もとられている。また最近では、この作業の省力化を図るため、鉄筋の自動配置・自動結束を行う方法も考えられている。しかし舗装工事は、施工箇所が必然的に移動してゆくため、上記のような工場方式は取りにくく、従来その作業のほとんどは人力によって行われていた。
人力による鉄筋の結束作業は、多くの人工を要すとともに工事費用、工期が増えるうえ、無理な姿勢で長時間かかる苦渋作業であった。
また、現場以外の作業工場で予め結束したものを現場へ搬入する方法もあるが、実際の現場では様々な障害物あるいは水平方向に湾曲した地形があったりすると、なかなか正確な形状での加工は難しい。
近年機械化の検討も進められており、特公平7−56123号公報には、鉄筋の自動配置・自動結束装置を移動する台車に載せ、この台車で組み立てた鉄筋鉄網を連続的に施工箇所に敷設する方法が提案されている。しかし、この方法は施工機械が大掛かりとなり、現場が混雑するうえコスト面でもメリットが小さい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高速道路等の路面建造時のコンクリート舗装において、鉄筋の結束を現場で、省力化の上、安定、確実且つコスト的に有利に自動的に行うことの可能な鉄筋結束装置と方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉄筋結束装置は、自走可能な一対の走行装置、該走行装置に連結された支持ビーム及び該支持ビームに保持された複数の結束機を有し、該支持ビームは該一対の走行装置の互いの相対的位置をずらすことによって進行方向に対し斜めに配置可能であり、且つ該結束機は上下動により縦筋と横筋とを結束しうるものであることを特徴とする鉄筋結束装置である。
本発明の鉄筋結束方法は、上記装置において、支持ビームは伸縮式であるか又はその走行装置への取り付け位置が可動式のものであり、それによって一対の走行装置の互いの相対的位置をずらした際に進行方向に対し斜めに配置可能となっていることが好ましい。
また複数の結束機は単列又は複列に並べられ、直接又は結束機支持バーを介して間接的に支持ビームに装着されていることが好ましい。
また結束機はカートリッジ式の結束線を装着しており、押圧することによって結束作業を行う方式のものであることが好ましい。
また上記装置は、支持ビームに保持された横筋引き上げアームを有することが好ましい。
【0013】
本発明の鉄筋結束方法は、施工基盤上に略定位置に横筋を配置し、次に所定高さの高さ調整用治具上に縦筋を所定間隔で配置し、次にその上をまたぐようにして上記の装置を進入させ、所定位置で停止させ、該装置の横筋引き上げアームによって縦筋に接する位置まで横筋を持ち上げ、その状態で該装置により結束を行うことを特徴とする鉄筋結束方法である。
【0014】
図3は本発明の装置の使用状態の一例を示す図であり、Aは本発明の装置の平面図、Bは側面図である。図中1は結束機、2は結束機支持バー、3は結束機昇降シリンダー、4は横筋引き上げアーム、5は旋回軸、6は走行装置、7は駆動源、8は作業足場、9は支持ビーム、10は縦筋、11は横筋を示す。
走行装置6は内部動力又は外部動力により自走可能な一対のタイヤや履帯からなっており、この走行装置には支持ビーム9が連結されている。この支持ビーム9は一対の走行装置の互いの相対的位置をずらす(図では右側が下方に位置している)ことによって進行方向に対し、斜めに、好ましくは±45〜90°の範囲で、配置することができるように伸縮式(図には伸縮支持ビームが示されている)であるか又は走行装置の取り付け位置が可動式のものが好ましい。
【0015】
支持ビーム9には複数の結束機1が備えられている。単列または複列に並べられた複数の結束機が直接または結束機支持バー2を介して間接的に装着され、それらは前者の場合には支持ビームそのものの上下動により、後者の場合には支持ビームと支持バーをつなぐ昇降シリンダー3の上下動により、一度に数カ所の結束が行える構造を有することが好ましい。
結束機支持バー2は、伸縮支持ビーム9の伸縮に応じて伸縮する機構を持ち、結束機の間隔も任意に調整できるものが好ましい。
結束機1は、カートリッジ式の結束線を装着し、押圧することによって鉄筋に結束線を巻き込み、持ち上げるときに捻じり上げる方式のものが好ましい。
この場合捻じり上げは、押圧力によってカートリッジ式の特殊結束線が飛び出し、交差した鉄筋の下で結束線端部同士が結合し、持ち上げるとフックが結束線の上部を引っかけた状態で自動的に5〜6回転して行われる。この方式の結束機の一例を図4に示す。図では結束機1は先端が鉄筋径の好ましくは5〜10倍に広げてあり、多少の位置ズレがあってもスライドピン17が左右旋回が自在になっており、交差中心に移動する機構になっている。
【0016】
横筋引き上げアームの一例を図5に示す。横筋引き上げアーム4は複数箇所で横筋を引き上げて結束作業用保持できるよう所定間隔で複数支持ビーム9に備えられる。図5において、横筋引き上げアーム4は、施工基板上に置かれた横筋が多少ずれていても、パドル等で位置修正可能な略定位置にあれば、支持ビーム9から張り出した台のうえにあるチェーン14などに連結され、モータ15などによる前後進動作で移動することができ、横筋を掴んだあと結束機1と同芯上に移動して引き上げる。
【0017】
本発明の鉄筋結束方法は上記の装置を用いて結束を行う方法であり、横筋が縦筋の下にある場合、施工基盤上に略定位置(角度、ピッチ)に横筋を置き、次に所定高さのスペーサ等の高さ調整用治具を用いて縦筋を所定間隔で配置する。
それらをまたぐ形で本発明の装置が進入し、所定位置で停止し、該装置に備えられた横筋引き上げアームによって縦筋に接するように横筋を持ち上げ、その状態で該装置により結束を行う。
縦筋設置のスペーサは、縦筋1本毎に設置する他、横方向に高さ調整用の治具で支持された鉄棒を置き、その上に縦筋を数列並べる方式も用いうる。
横筋引き上げアームは、地上面の鉄筋を直接掴む方法や、パドルで定位置に転がしてから掴み上げるあるいはすくい上げる方法がある。
横筋が上にくる場合には、引き上げアームは不要になるが、パドルは有効である。
【0018】
図6に上記の結束作業の流れを示す。
縦筋は予めスペーサ13で高さが固定されており、横筋引き上げアームで、地面に置かれた横筋を縦筋に接するまで引き上げる。
横筋と縦筋が接している状態で結束機1を交差部に下降させ、結束線カートリッジホルダーをスライドさせると結束線が交差部に巻き付く。次に結束機中央の捻り機構部が旋回しながら上昇し、鉄筋同士が結束される。
結束機1の先端は鉄筋太さ13〜20mmの約5〜10倍の幅に広げており、多少の位置ズレでも結束機の支持上端をフリーにしておくことが好ましく、それによりほぼセンターに修正される。
【0019】
【発明の効果】
本発明の方法は、上記したように、施工両外側を移動する走行装置と走行装置間にわたされた支持ビームからなる装置を、あらかじめ配置された鉄筋を跨ぐようにして配置させ、支持ビームに取り付けた結束機で横方向鉄筋1列毎に結束を行う方法である。必要があれば、結束機の列を複数にし、同時に複数列の結束を行うことも可能である。走行装置が施工両外側を移動するため、道路が曲がる場合でも変化に追従することが容易であり、装置全体も大型にはならないため現場が煩雑にならない。また、横方法鉄筋を斜めに配置する場合であっても、簡単に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鉄筋コンクリート版の配筋例の一例を示す図。
【図2】連続鉄筋コンクリート版の鉄筋の埋め込み位置を示す断面図。
【図3】本発明の装置の使用状態の一例を示す図。
【図4】本発明で用いる結束機の一例を示す図。
【図5】横筋引上げアームの一例を示す図。
【図6】結束作業の流れを示す図。
【符号の説明】
1 結束機
2 結束機支持バー
3 結束機昇降シリンダー
4 鉄筋引き上げアーム
5 旋回軸
6 走行装置
7 駆動源
8 作業足場
9 支持ビーム
10 縦筋
11 横筋
13 スペーサ
14 チェーン(Vベルト)
15 モータ
16 スプロケット(プーリー)

Claims (6)

  1. 自走可能な一対の走行装置、該走行装置に連結された支持ビーム及び該支持ビームに保持された複数の結束機を有し、該支持ビームは該一対の走行装置の互いの相対的位置をずらすことによって進行方向に対し斜めに配置可能であり、且つ該結束機は上下動により縦筋と横筋とを結束しうるものであることを特徴とする鉄筋結束装置。
  2. 該支持ビームは伸縮式であるか又はその走行装置への取り付け位置が可動式のものであり、それによって一対の走行装置の互いの相対的位置をずらした際に進行方向に対し斜めに配置可能となっている請求項1に記載の装置。
  3. 該複数の結束機は単列又は複列に並べられ、直接又は結束機支持バーを介して間接的に該支持ビームに装着されている請求項1又は2記載の装置。
  4. 該結束機はカートリッジ式の結束線を装着しており、押圧することによって結束作業を行う方式のものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 該支持ビームに保持された横筋引き上げアームを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 施工基盤上に略定位置に横筋を配置し、次に所定高さの高さ調整用治具上に縦筋を所定間隔で配置し、次にその上をまたぐようにして請求項5に記載の装置を進入させ、所定位置で停止させ、該装置の横筋引き上げアームによって縦筋に接する位置まで横筋を持ち上げ、その状態で該装置により結束を行うことを特徴とする鉄筋結束方法。
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