JP4287605B2 - イソフタル酸化合物、顔料分散剤、及びこれを含む顔料分散組成物並びに着色感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソフタル酸化合物を用いた顔料分散剤、及び塗料、印刷インキ、カラー表示板(カラーフィルタ等)等の広い分野で好適な顔料分散組成物、並びにカラープルーフ等の基体上の多色画像の形成や、液晶カラーディスプレイ等に使用されるカラーフィルタの製造等に好適な着色感光性組成物に関し、詳しくは、アゾ色素骨格を有しない新規なイソフタル酸化合物を含有しかつ非着色の顔料分散剤、顔料分散組成物並びに着色感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、多くの分野で広く使用されてきている。これらの顔料の中でも実用上重要なものは、一般に、微細な粒子のものが多く、該顔料の凝集を防ぎ微細化することによって鮮明な色調と高い着色力とが得られる。
しかし、顔料をより微細化していくと、該顔料の分散液は高粘度を示すことが多い。このため、この顔料分散液を工業的規模で調製した場合は、該顔料分散液の分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、更には貯蔵中にゲル化して使用不能となる、等の問題がある。
【0003】
ところで、前記顔料を含有する着色感光性組成物は、液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタの材料等として有用であり、該着色感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、品質、製造安定性等の点で優れる顔料分散法が広く採用されている。この顔料分散法においては、前記着色感光性組成物の塗布液を透明基板上に塗布して着色感光性層を設け、パターン露光した後、現像して第一色目の画素パターンを形成し、これを複数回繰り返して、該透明基板上に複数色の画素パターンを形成する。
【0004】
しかし、ここでは着色材として顔料を用いるため、該顔料の微細化、分散状態が十分でない場合には、該顔料により光が散乱、吸収され、光透過率が低下してしまう、あるいは更に、該顔料による光の散乱、複屈折等で偏光軸が回転し、液晶表示装置のコントラストも低下してしまう、等の問題がある(1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中)。
このため、前記着色感光性組成物においては、前記顔料を高度に微細化した状態で分散させておくことが必要とされる。
【0005】
また、鮮明な色調と高い着色力とを示す顔料を含有した着色感光性組成物は、例えばカラープルーフやカラーフィルタ等を作製するための画像形成材料としても有用である。
該着色感光性組成物を用いて着色画像を形成する場合も、一般に、着色感光性組成物の塗布液を基板上に塗布して層形成した後、露光・現像を行うが、該現像時に用いる現像液としては、環境に与える影響の少ないアルカリ性水溶液を使用することが多く、前記層(即ち、着色感光性組成物中の結合剤(バインダー))は、前記アルカリ性水溶液に可溶であることが要求される。その一方、着色感光性組成物の塗布液に用いられる溶媒(顔料の分散媒)としては、塗布後の乾燥の容易さから有機溶剤が有効である。
このため、前記着色感光性組成物中の結合剤は、酸性基を有し、しかも適当な有機溶媒に溶解し得る性質を有することが好適であり、該着色感光性組成物において、顔料は、酸性基を有し前記性質を有する結合剤中に分散される。
【0006】
したがって、流動性、分散性等に優れた顔料分散物(組成物)あるいは着色感光性組成物を得るため、種々の分散剤を使用することが知られている。この分散剤は、ポリマー系分散剤と低分子化合物分散剤とに大別される。
前記ポリマー系分散剤としては、ポリアクリル酸塩、マレイン酸ナトリウムオレフィン共重合体、末端カルボキシル基含有ポリエステル(特公昭54−34009号公報)、テトラキス(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンを出発物質とする酸性基及び/又は塩基性基を有するポリエステル(特開平2−245231号公報)、マクロモノマー(末端にエチレン性不飽和基を有するオリゴマー)、水酸基を有するモノマー、カルボキシ基含有モノマー及びこれら以外のモノマーの4種からなる共重合体(特開平8−259876号公報)等が知られている。また、前記低分子化合物分散剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカノールアミン誘導体(米国特許第3536510号)等が知られており、顔料母核を導入した分散剤の例も、特公平5−72943号公報、特開平8−48890号公報に記載されている。
【0007】
しかし、従来より用いられてきた分散剤は、前記顔料母核が導入された分散剤等のようにそれ自体着色を有するものがほとんどであり、したがって、カラーフィルタや画像形成材料として用いる場合には、その着色に更に所望の色相を加えて実用上使用可能な範囲で調整され用いられてきたのが実情である。ところが、近年のカラー画像に求められる画像特性は高く、特にカラーフィルタでは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の色純度の更なる向上が求められていた。
【0008】
このような状況のもと、無色の顔料分散剤も提案されており、例えば、特開平11−199796号公報、同10−46043号公報、同9−31351号公報、同9−272811号公報等では、それ自体無色の分散剤が記載されている。しかしながら、最近のカラーフィルタ用途に要求される高い光透過率を得るために顔料を超微粒化し分散する系では、室温あるいは加熱下で放置すると、経時により分散液の粘度が上昇してしまい、安定に保持できない、即ち分散安定性の点で問題があった。
また、特開平8−48890号公報、同10−265697号公報等にも、それ自体無色となり得る分散剤が開示されているが、いずれにおいても前記同様に顔料を超微粒化し分散する系では、経時での分散安定性が十分でなく粘度上昇のない分散液を得ることは困難であった。
【0009】
更に、顔料を含む着色感光性組成物を用いて層を形成する場合には、一般に極めて薄層に形成することができ、しかも高い着色濃度を示すことが要求される。このような点でも、上述のように、有機溶媒可溶性で酸性基を持つ結合剤中であっても、顔料を高度に微細化した状態で凝集することなく安定に分散させ得ることが必要とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、カラーフィルタ用途など、顔料を超微粒子状に分散し高い光透過率を得る系であっても、顔料の分散性、流動性等に特に優れ、かつ分散後の分散安定性が良好であり、しかも顔料の色相を実用上損なわず顔料種に依存しない汎用性のある非着色の顔料分散物、並びにそれを含む顔料分散組成物及び着色感光性組成物は、未だ提供されていないのが現状である。したがって、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、下記目的を達成することを課題とする。即ち、
【0011】
本発明は、実質的に無色であって、顔料凝集がなく、顔料の安定かつ良好な分散性、流動性を実現し、しかも光透過性にも優れる顔料分散剤を提供すること、該顔料分散剤を含有し、顔料の分散性、流動性等及び着色濃度に優れ、しかも顔料の色相を損なうことなく、色相純度や着色色相および光透過性に特に優れ、アルカリ現像適性を有して塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い範囲において好適な顔料分散組成物を提供すること、並びに、該顔料分散組成物を含有し、着色濃度のみならず色相純度や着色色相および光透過性に特に優れ、アルカリ現像適性を有してカラープルーフ等の多色画像の形成やカラーフィルタの製造等に好適な着色感光性組成物を提供すること、を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、顔料分散用の分散剤に関する検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、酸性基を有する結合剤中に有機顔料を分散させる場合、前記酸性基と有機顔料との間の分子間力に起因し増粘する傾向がある。特にカラーフィルタ用途など、高い光透過率を得る必要のある系では顔料を超微粒子状に分散する必要があるが、この場合の粘度は更に上昇傾向を示す。また、顔料による着色色相をそのまま利用するためには分散剤自体に着色のないことが不可避である。
以上の知見に基づき、前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
【0016】
<1> 下記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物を含有することを特徴とする顔料分散剤である。
【化2】
〔一般式(1)中、R 1 は、ニトロ基、アミノ基、水酸基、アシルアミノ基、アシルオキシ基を表す。A 1 は、単結合、又は置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、A 2 及びA 3 は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、これらは各々酸素、窒素、エステル、アミド、ウレタン、ウレアで遮断されていてもよく、互いに同一でも異なっていてもよい。X 1 は、単結合、−CONH−、−CO 2 −を表す。但し、A 1 が単結合である場合、X 1 は単結合を表す。X 2 及びX 3 は、それぞれ独立に−O−、−N(R 7 )−を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 及びR 7 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。〕
<2> 波長400nm以上でのモル吸光係数が1000未満である前記<1>に記載の顔料分散剤である。
<3> 前記<1>又は<2>に記載の顔料分散剤と、顔料と、を有機溶剤中に分散してなることを特徴とする顔料分散組成物である。
<4> 酸性基を有するバインダーポリマーを含有する前記<3>に記載の顔料分散組成物である。
<5> 前記<3>に記載の顔料分散組成物と、酸性基を有するバインダーポリマーと、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマーと、光重合開始剤とを含有することを特徴とする着色感光性組成物である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各々について詳細に説明する。
<イソフタル酸化合物>
本発明のイソフタル酸化合物は、実質的に無色の化合物であって、顔料を、流動性を損なわず、微粒かつ均一に分散させ得、その分散安定性も良好な分散剤として機能し得る化合物である。本発明において、実質的に無色とは、色相(BGR等)の色純度を低下させるような着色、即ち可視域に吸収がなく、光透過性に優れること、具体的には波長400nm以上にモル吸光係数1000以上の吸収を有しないことを指す(本明細書中において同様とする。)。
具体的には、下記一般式(1)で表される。
【0018】
【化3】
【0019】
前記一般式(1)中のR1は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アシルオキシ基を表す。
前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が好適に挙げられる。
【0020】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状のアルキル基のいずれであってもよく、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜18のアルキル基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、クロロ基、アセチル基、ブチルカルボニルオキシ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0021】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘキシル基、オクチル基、ウンデシル基、ヘプタデシル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、ジメチルアミノエチル基、等が挙げられる。
【0022】
前記アリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、t−アミル基、t−オクチル基、フェノキシ基、クロロ基、アセチル基、ヘキサノイル基、ジエチルアミノ基、等が挙げられる。
【0023】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−アミノフェニル基、4−ニトロフェニル基、o−トリル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基、4−オクチルオキシフェニル基等が挙げられる。
【0024】
前記アルコキシ基は、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アセチル基、ブタノイルオキシ基、等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソブトキシ基、アミルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、sec−アミルオキシ基、t−アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−(2’−メトキシエトキシ)エチルオキシ基、2−アセチルエチルオキシ基、2−(2',4'−t−アミルフェニルオキシ)ブチルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記アリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、エトキシ基、ジエチルアミノ基、ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル基、ニトロ基、ブロモ基、クロロ基、等が挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、4−ニトロフェニルオキシ基、2−ブロモフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
前記アルキルアミノ基としては、そのアルキル部位が炭素数1〜20であるものが好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、クロロ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、等が挙げられる。例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基、3−フェニルプロピルアミノ基、(ジブチルアミノカルボニル)メチルアミノ基等が挙げられる。
【0027】
前記ジアルキルアミノ基としては、そのアルキル部位が炭素数1〜20であるものが好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シアノ基、フェニル基、等が挙げられる。例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジヘキサデシルアミノ基、N−メチル−N−オクチルアミノ基、N−メチル−N−オクタデシルアミノ基、N−エチル−N−ブチルアミノ基、N−メチル−N−(ヒドロキシエチル)アミノ基、N−メチル−N−フェネチルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
前記へテロ環基としては、無置換でも置換されていてもよく、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられる。置換されている場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基、ヒドロキシメチル基、等が挙げられる。
【0029】
前記アシルアミノ基としては、そのアシル部位が炭素数2〜20であるものが好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、等が挙げられる。例えば、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ヘキサデシカノイルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
前記アシルオキシ基としては、そのアシル部位が炭素数2〜20であるものが好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、等が挙げられる。例えば、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
前記R1の中でも、水素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、アミノ基、水酸基、フェニル基、3−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基が特に好ましい。
【0032】
前記一般式(1)中のA1、A2及びA3は、それぞれ独立にアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基を表し、無置換でも置換されていてもよく、例えば−CH2−O−CH2−等のように、それぞれ酸素、窒素、エステル、アミド、ウレタン、ウレアで遮断されていてもよい。また、A1とA2とA3とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0033】
前記A1〜A3で表される基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、−CH(CH3)C3H6−、−C2H4OC2H4−、−(C2H4O)2C2H4−、フェニレン基、−CH2C6H4−、キシリレン基、−C6H12CONHC6H4−、C4H8CO2C6H4−、C8H16CONHC6H4−、−C6H4CONH−、−C6H4OC3H6−、−C6H4CH2−等が好適に挙げられる。
【0034】
中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基、−CH(CH3)C3H6−、−C2H4OC2H4−、−C6H12CONHC6H4−、−C4H8CO2C6H4−、−C6H4CONH−、−C6H4OC3H6−が特に好ましい。
【0035】
前記一般式(1)中のX1は、単結合、−O−、−N(R6)−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−CO2−、−CO−、−SO2NH−、−SO3−を表す。前記X1の中でも、置換基変換が容易な点で、−O−、−N(R6)−、−CONH−、−CO2−が好ましい。
前記一般式(1)中のX2及びX3は、それぞれ独立に−O−、−N(R7)−を表し、X2とX3とは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
前記一般式(1)において、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記R2〜R7で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状のアルキル基のいずれであってもよく、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、プロピルオキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、等が挙げられる。
【0037】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、2−メトキシエチル基、ジメチルアミノエチル基等が挙げられる。
【0038】
前記R2〜R7で表されるアルケニル基は、直鎖状、分岐状のアルケニル基のいずれであってもよく、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、等が挙げられる。
前記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
【0039】
前記R2〜R7で表されるアルキニル基は、直鎖状、分岐状のアルキニル基のいずれであってもよく、炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキニル基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フェニル基、等が挙げられる。
前記アルキニル基としては、プロパルギル基、ブチニル基、オクチニル基等が挙げられる。
【0040】
前記R2〜R7で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、無置換でも置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、クロロ基、メトキシ基、ブトキシ基、エトキシカルボニル基、シアノ基、等が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2−クロロナフチル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−シアノフェニル基等が挙げられる。
【0041】
上記の中でも、R2〜R7としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、ペンタデシル基、2−メトキシエチル基、ジメチルアミノエチル基、フェニル基、3−メチルフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基が特に好ましい。
【0042】
以下に、前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物の具体例(例示化合物(1)〜(51))を示す。但し、本発明においてはこれらに制限されるものではない。尚、例示化合物中の、「Me」は「CH3」を、「Et」は「C2H5」を、「Bu」は「C4H9」を、各々表す。
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】
【化6】
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】
本発明のイソフタル酸化合物の合成は、特に制限なく、一般に、ニトロイソフタル酸、アセトキシイソフタル酸のエステル化、アミド化、及びそれに続く官能基変換による方法等により好適に行うことができる。
例えば、前記例示化合物(1)、(17)、(22)及び(38)の具体的な方法として、下記実施例に示すようにして行うことができる。また、他の例示化合物についてもこれらの方法に準じて合成することができる。
【0049】
本発明の、前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物は、以下に示す顔料分散剤、顔料分散組成物、着色感光性組成物などの含有成分として好適であるほか、デンドリマー中間体としても有用である。
【0050】
<顔料分散剤>
本発明の顔料分散剤は、実質的に無色の、前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物を含有してなり、必要に応じて、適宜選択した他の成分を含有してもよい。
−イソフタル酸化合物−
前記イソフタル酸化合物については既述の通りであり、該イソフタル酸化合物の顔料分散剤中における含有量としては、少なくとも50質量%以上が好ましい。50質量%未満であると、顔料の分散性及び分散後の分散安定性が不十分となることがあり、得られる顔料分散物の流動性が低下することがある。
【0051】
−他の成分−
本発明の顔料分散剤は、前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物の一種若しくは複数種のみを含んでいてもよいし、必要に応じて適宜選択した他の成分を更に含んでいてもよい。
前記他の成分としては、公知の分散剤が挙げられ、具体的には、ノナノアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N‘−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1,2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジシ等のヒドロキシ基を有するアミン、その他、ペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物、等が挙げられる。これらは、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、該市販品としては、例えばシゲノックス−105(商品名、ハッコールケミカル社製)等が挙げられる。
【0052】
前記他の成分の顔料分散剤における含有量としては、0〜90質量%が好ましく、0〜70質量%がより好ましい。該含有量が、90質量%を超えると、顔料分散剤としての性能が十分に発揮されないことがある。
【0053】
また、本発明の顔料分散剤は、更に、下記一般式(I)又は(II)で表されるアミン化合物を含有していてもよい。
【0054】
一般式(I)
【化9】
【0055】
前記一般式(I)において、R31及びR32は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表し、これらは互いに結合して窒素原子を含む5員乃至6員の飽和環を形成してもよい。この飽和環は、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1〜3個の原子を含んでもよい。R33は、アルキレン基、又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。X3は、−CON(Y31)(Y32)、−OCON(Y31)(Y32)、−N(Y33)CO(Y34)、又は−N(Y33)CON(Y31)(Y32)を表す。Y31、Y32、Y33及びY34は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基、アラルキル基若しくはアリール基を表す。
【0056】
一般式(II)
【化10】
【0057】
前記一般式(II)において、R41、R42、R46及びR47は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表し、これらは互いに結合して窒素原子を含む5員乃至6員の飽和環を形成してもよい。この飽和環は、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1〜3個の原子を含んでもよい。R44及びR45は、それぞれ独立にアルキレン基、又はエーテル結合を合むアルキレン基を表す。Z4は、−CON(Y41)−、−OCON(Y41)−又は−N(Y42)CON(Y43)−、を表す。Y41、Y42及びY43は、前記一般式(I)におけるY31、Y32及びY33と順に同義である。
【0058】
前記一般式(I)又は(II)で表されるアミン化合物の具体例としては、ビス(2−(1−モルホリノ)エチル)テレフタルアミド、等が好適に挙げられる。
【0059】
また、本発明の顔料分散剤は、各種界面活性剤を含有していてもよく、該界面活性剤を含有していると分散安定性の向上に有効である。該界面活性剤としては、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩、燐酸エステル塩に代表されるアニオン系界面活性剤、アミン塩に代表されるカチオン系界面活性剤、アミノカルボン酸、ベタイン型に代表される両性界面活性剤、等が挙げられる。
【0060】
−分散−
次に、本発明の顔料分散剤による顔料の分散について説明する。
本発明の顔料分散剤を用いた場合、該顔料分散剤が、顔料粒子の表面に吸着する。このとき、顔料粒子の表面には、前記顔料分散剤における窒素原子が吸着する。顔料粒子は、前記一般式(1)で表される化合物で覆われた状態になる。個々の顔料粒子の表面に前記一般式(1)で表される化合物が吸着しているので、顔料粒子同士は、互いに吸着し凝集することがなく、微細化した状態のまま、前記一般式(1)で表される化合物により均一に分散され、流動し易い状態になる。
【0061】
ここで、通常の顔料分散剤を着色感光性組成物に用いた場合、該着色感光性組成物に含まれる、酸性基を有するバインダーポリマーにおける該酸性基と、前記顔料分散剤における窒素原子とが、塩を形成したり、強い分子間力で結合したりすることが多いが、本発明の顔料分散剤では、無色にもかかわらず顔料母核を有していることから、顔料との親和性の方が高い結果、このような挙動を抑制する一方、分散後の安定性を向上させ、窒素原子による分散性向上の効果も高め得る。また、前記一般式(1)で表される化合物によると、有機顔料を分散する際、増粘を伴うことがなく、有機顔料の分散性が良好であり、特に酸性の有機顔料に対する分散性が良好である。
【0062】
本発明の顔料分散剤による分散とは、二次粒子の状態で一般に存在する顔料粒子をほぐして一次粒子の状態にし、再凝集を防止することを意味する。本発明の顔料分散剤は、顔料への吸着部位を有し、該顔料が一次粒子の形態に分散された後での再凝集を防ぐために、酸性基を有するバインダーを共存させることにより、立体反発性を付与することができる。
【0063】
本発明の顔料分散剤による顔料の分散は、該顔料分散剤と、顔料との直接の混合により効果的に達成され、顔料以外に分散され得る粒子ができるだけ存在しない状態で行うのが好ましい。このような状態で顔料の分散を行うと、本発明の顔料分散剤が該顔料粒子の周囲に瞬時に吸着し、該顔料粒子が良好に分散し、良好に流動し、該顔料粒子同士の凝集が効果的に抑制される。一方、顔料粒子以外に分散され得る粒子が存在した状態で顔料の分散を行うと、本発明の顔料分散剤が、目的とする顔料粒子の表面に吸着せず、他の粒子表面に吸着し、該顔料分散剤の顔料分散効果が損なわれることがある。したがって、例えば、感光材料等を製造する場合等において、顔料を良好に分散させた状態で該感光材料等中に含有させるには、該顔料と本発明の顔料分散剤とを早い時期に混合し、分散前、又は分散中に、酸性基を有するバインダーポリマーを添加することが好ましく、感光層用塗布液等の調製時等の遅い時期に本発明の顔料分散剤を添加・混合するのは好ましくない。
【0064】
本発明の顔料分散剤は、顔料を均一かつ微細に分散し得る良好な分散性、及び経時保存により顔料の凝集を生じない分散安定性を実現し、しかも実質的に無色で顔料本来の色相を損なうことがなく、かつ光透過性に優れ、流動性の良好な顔料分散物を得ることができる。したがって、公知の顔料の分散に好適に使用することができ、後述する本発明の顔料分散組成物及び着色感光性組成物に特に好適に使用することができる。
【0065】
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、既述の本発明の顔料分散剤と、顔料と、を有機溶媒中に分散してなり、好ましくは、酸性基を有するバインダーポリマーと共に分散してなる。
【0066】
−顔料分散剤−
前記顔料分散剤については既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
前記顔料分散剤の前記顔料分散組成物における含有量としては、顔料100質量部に対して、通常0.1〜100質量部であり、1〜30質量部が好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、顔料分散組成物の粘度が上昇することがあり、100質量部を超えると、カラーフィルタ等の作製時において、色相の調整が困難となることがある。
【0067】
−顔料−
前記顔料としては、有機顔料が挙げられる。該有機顔料としては、例えば、黄色顔料、オレンジ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、青色顔料、緑色顔料、ブラウン顔料、黒色顔料、等が挙げられる。
【0068】
前記黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー12、C.Iピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83,C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.Iピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー185、等が挙げられる。
【0069】
前記オレンジ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ71、等が挙げられる。
【0070】
前記赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピクメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド217、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメンレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド227、C.I.ピグメントレッド228、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド254、等が挙げられる。
【0071】
前記バイオレット顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット30、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピクメンドバイオレット40、C.I.ピグメントバイオレット50、等が挙げられる。
【0072】
前記青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C、I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64、等が挙げられる。
【0073】
前記緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピクメントグリーン36、等が挙げられる。
前記ブラウン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、等が挙げられる。
前記黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック7、等が挙げられる。
【0074】
これらの顔料は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー83、等の酸性基を有する顔料が好ましく、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー185、ピグメントレッド254、ピグメントグリーン36、ピグメントブルー15等が特に好ましい。
【0075】
前記顔料の顔料分散組成物における含有量としては、通常5〜80質量%であり、10〜70質量%が好ましい。
前記含有量が、5質量%未満であると、着色力が不十分となることがあり、80質量%を超えると、顔料分散組成物の粘度が上昇することがある。
【0076】
−有機溶剤−
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びこれらの酢酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及びその酢酸エステル類、酢酸エステル類、メチルエチルケトン、等が好ましい。
【0077】
前記有機溶剤の前記顔料分散組成物における含有量としては、前記顔料100質量部に対し、通常、10〜1000質量部であり、20〜500質量部が好ましい。
前記含有量が、10質量部未満であると、顔料分散組成物の粘度が上昇することがあり、1000質量部を超えると、貯蔵時のスペース確保が難しくなること等がある。
【0078】
−酸性基を有するバインダーポリマー−
本発明の顔料分散組成物においては、酸性基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましい。
前記酸性基を有するバインダーポリマーは、前記顔料の分散安定性と、着色感光性組成物として用いた際のアルカリ現像性との両性質を付与し得るものであり、例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、及びスチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物、等が挙げられる。
これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料分散性に優れ、着色感光性組成物として用いた際に、多官能モノマー、光重合開始剤との相溶性に優れ、アルカリ現像液溶解性、有機溶剤溶解性、強度、軟化温度等が適当であるものが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。
【0079】
前記酸性基を有するバインダーポリマーの重量平均分子量としては、5000〜200000が好ましい。
前記重量平均分子量が、5000未満であると、着色感光性組成物として用いた際に、塗布膜の形成上問題があることがあり、200000を超えると、着色感光性組成物の粘度が高くなることがある。
【0080】
前記酸性基を有するバインダーポリマーの前記顔料分散組成物における含有量としては、前記顔料100質量部に対し、通常10〜200質量部であり、20〜150質量部が好ましい。
前記含有量が、10質量部未満であると、立体反発効果が得られなくなることがあり、200質量部を超えると、分散液の粘度が高くなることがある。
【0081】
本発明の顔料分散組成物は、例えば、下記方法により調製することができる。
1)前記顔料と前記顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、前記有機溶剤(又はビヒクル)に添加して分散させる方法
2)前記有機溶剤(又はビヒクル)に、前記顔料と前記顔料分散剤とを別々に添加して分散させる方法
3)前記顔料と前記顔料分散剤とを予め別々に前記有機溶剤(又はビヒクル)に分散し、得られた分散体を混合する方法(この場合、前記顔料分散剤を前記有機溶剤のみで分散してもよい)
4)前記有機溶剤(又はビヒクル)に前記顔料を分散した後、得られた分散体に前記顔料分散剤を添加する方法
【0082】
前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める成分(バインダ)と、これを溶解希釈する成分(前記有機溶剤)とを含む。
【0083】
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル、等の公知の分散機が挙げられる。
【0084】
前記顔料分散組成物を用いた着色画像の形成は、例えば、該顔料分散組成物を含む塗布液を、支持体上に塗布、乾燥して該顔料分散組成物の層を形成し、あるいは仮支持体上に形成されたこの顔料分散組成物の層を支持体上に転写し、その上に公知のポジ型又はネガ型の感光性樹脂組成物の層を形成し、露光、現像し、次いで未露光の前記感光性樹脂組成物の層と共に同じ領域の前記顔料分散組成物の層を除去する方法等により行うことができる。
【0085】
本発明の顔料分散組成物は、実質的に無色の顔料分散剤を用いて構成され、顔料の色相を損なわず、色相純度や着色色相および光透過性に特に優れる。また、顔料が均一かつ微細に分散され分散性に優れ、経時保存により顔料の凝集を生じない分散安定性にも優れ、しかも高い着色濃度をも有する。酸性基を有するバインダーポリマーと共に分散した場合でも、上記分散性、分散安定性を保持でき、アルカリ現像適性をも有する。
したがって、塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い範囲において好適に適用することができる。
【0086】
<着色感光性組成物>
前記着色感光性組成物は、前記本発明の顔料分散組成物と、感光性組成物とを少なくとも含有してなる。
−顔料分散組成物−
顔料分散組成物については既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
【0087】
−感光性組成物−
前記感光性組成物としては、例えば、特開平3−282404号公報に記載されている感光性組成物等が挙げられ、具体的には、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダからなる感光性組成物、光重合性組成物、アジド化合物とバインダとからなる感光性組成物、桂皮酸型感光性組成物、等が挙げられる。
また、前記感光性組成物としては、アルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものとが知られているが、公害防止、労働安全性等の点でアルカリ水溶液により現像可能なものが好ましい。
【0088】
−光重合性組成物−
本発明においては、前記感光性組成物の中でも光重合性組成物が特に好ましい。該光重合性組成物は、酸性基を有するバインダーポリマーと、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマーと、光重合開始剤とを少なくとも含有して構成される。
【0089】
--酸性基を有するバインダーポリマー--
前記光重合性組成物に含有される酸性基を有するバインダーポリマーとは、前記本発明の顔料分散組成物に好適に含有される酸性基を有するバインダーポリマーである。
【0090】
前記酸性基を有するバインダーポリマーの着色感光性組成物における含有量としては、全固形分に対し、20〜80質量%程度である。
前記含有量が、20質量%未満であると、塗布膜の形成上問題が生ずることがあり、80質量%を超えると、他の素材の能力が発揮され難くなることがある。
【0091】
--エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマー--
前記エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマーとしては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載の、公知の(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル、等が挙げられる。
これらは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0092】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーの着色感光性組成物における含有量としては、全固形分に対し、10〜60質量%が好ましい。
前記含有量が、10質量%未満であると、露光時における硬化力が不足することがあり、60質量%を超えると、他の素材の能力が発揮され難くなることがある。
【0093】
--光重合開始剤--
前記光重合開始剤としては、波長が約300〜500nmに少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を少なくとも一種使用するのが好ましく、このような化合物としては、例えば、特開平2−48664号公報、特開平1−152449号公報、及び特開平2−153353号公報に記載の、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類、等が挙げられる。
これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、及び4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)-2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。
【0094】
前記光重合開始剤の着色感光性組成物における含有量としては、着色感光性組成物の全固形分に対し、0.2〜10質量%が好ましい。
前記含有量が、0.2質量%未満であると、露光感度が低くなることがあり、10質量%を超えると、露光感度が高くなりすぎる(制御が困難になる)ことがある。
【0095】
前記着色感光性組成物は、例えば、前記顔料分散組成物と、前記感光性組成物とを、適宜選択した条件、手法に従って混合することにより調製することができる。
【0096】
前記着色感光性組成物を用いた着色画像の形成は、基本的に下記1)〜3)の工程により行うことができる。
1)前記顔料分散組成物を調製した後、これを用いて前記着色感光性組成物を調製する工程
2)得られた着色感光性組成物を基板上に塗布し乾燥して、又は、別の仮支持体上に塗布し乾燥して形成した層を基板上に転写して、着色感光性組成物による層を形成する工程
3)基板上に形成された着色感光性組成物による層を露光、現像し、パターンを形成する工程
【0097】
液晶ディスプレイ等に用いたカラーフィルタの製造は、前記2)及び3)の工程を繰り返し行い、2色目以降のパターンを組み合わせることにより行うことができる。転写法によるカラーフィルタの製造方法は、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−72724号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報等に記載されている。
【0098】
−基板−
前記基板としては、ガラス板や透明プラスティック板等の透明材料が一般に用いられる。前記基板と前記着色感光性組成物との密着力を向上させるために、市販の各種シランカップリング剤等を前記着色感光性組成物に添加するか、あるいは予め前記基板をカップリング処理しておいてもよい。
【0099】
本発明の着色感光性組成物は、高い着色濃度を有すると同時に色相純度や着色色相および光透過性に特に優れ、また既述のようにアルカリ現像適性をも有する。したがって、カラープルーフ等の多色画像の形成やカラーフィルタの製造等に好適に用いることができる。
【0100】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は、全て「質量部」を表す。
【0101】
−一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物の合成−
(実施例1) :例示化合物(1)の合成
まず、5−ニトロイソフタル酸633部に酢酸エチル1500部を加えてスリーワンモーターにより撹拌しておき、更に塩化チオニル750部及びN,N−ジメチルホルムアミド3部を滴下した後、130℃で2時間撹拌した(A液)。
これとは別に、3−ジエチルアミノプロピルアミン860部にアセトニトリル3500部を加えて氷冷下で撹拌しておき、これに先に調製したA液を滴下した。氷冷下で1時間、40℃下で1時間撹拌した後、再度氷冷して析出物を濾過し、アセトニトリル洗浄、乾燥して白色結晶の前記例示化合物(1)の二塩酸塩1490部を得た。
この二塩酸塩を炭酸カリウム水溶液に添加し、2−プロパノールにより抽出し、濃縮、乾燥することにより、薄褐色液体の前記例示化合物(1)を得た。
【0102】
得られた化合物をNMR解析により同定した結果(データ)、1H−NMR(CDCl3 )δ9.80(br、2H)、8.77(s、2H)、8.74(s、1H)、3.61(m、4H)、2.69(m、12H)、1.78(m、4H)、1.05(t、12H)であった。
【0103】
(実施例2) :例示化合物(22)の合成
まず、塩化アンモニウム5部、水250部、2−プロパノール750部、及び還元鉄195部を混合して100℃でスリーワンモーターにより撹拌しておき、これに上記より得た例示化合物(1)の二塩酸塩509部を少量ずつ添加した。その後、更に2時間撹拌を続けた後、反応混合物の内温が下がりきらないうちに濾過して不溶分を除き、その濾液に48%水酸化ナトリウム水を加えて、酢酸エチルで抽出、濃縮した。そして、残渣に酢酸エチル500部を加えて、Dean−Stark装置を用いて加熱還流し、内容物から水を除去した。十分に水を除去した後、熱時濾過して不溶分を除去し、濾液を冷却、濾過して、酢酸エチルで洗浄した。洗浄後乾燥して、白色結晶の前記例示化合物(22)380部を得た。
【0104】
得られた化合物をNMR解析により同定した結果(データ)、1H−NMR(CDCl3 )δ8.55(m、2H)、7.52(s、1H)、7.19(s、2H)、3.95(br、2H)、3.55(dt、4H)、2.58(m、12H)、1.70(m、4H)、0.99(t、12H)であった。
【0105】
(実施例3) :例示化合物(17)の合成
実施例2で得た例示化合物(22)203部に、アセトニトリル500部を加えて氷冷下スリーワンモーターにより攪拌しておき、4−ニトロベンゾイルクロリド93部を少量ずつ添加した。室温にまで昇温して1時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水に添加し、析出する析出物を濾過した。この析出物を、冷却したアセトニトリルで洗浄して白色粉末の前記例示化合物(17)269部を得た。
【0106】
得られた化合物をNMR解析により同定した結果(データ)、1H−NMR(DMSO-d6)δ8.62(m、2H)、8.38(m、4H)、8.22(d、2H)、8.00(s、1H)、3.42(dt、4H)、2.63(m、12H)、1.72(m、4H)、1.01(t、12H)であった。
【0107】
(実施例4) :例示化合物(38)の合成
実施例2で用いた例示化合物(1)の二塩酸塩509部に代えて、上記より得た例示化合物(17)166部を用いたこと以外、実施例2と同様にして反応、処理を行い、白色結晶の前記例示化合物(38)135部を得た。
【0108】
得られた化合物をNMR解析により同定した結果(データ)、1H−NMR(DMSO-d6)δ10.07(s、1H)、8.82(m、2H)、8.38(s、2H)、8.21(s、1H)、7.72(d、2H)、6.58(d、2H)、5.82(br、2H)、3.39(dt、4H)、2.77(m、12H)、1.80(m、4H)、1.03(t、12H)であった。
【0109】
−顔料分散組成物−
(実施例5)
以下に示す顔料含有の組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)により直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで9時間分散し、赤色の本発明の顔料分散組成物(1)を調製した。
〔組成〕
・C.I.ピグメントレッド254 … 6.4g
・前記実施例4で得た例示化合物(38)(顔料分散剤) … 0.4g
(前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物)
・メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体 …15.8g
(モル比28/72、重量平均分子量30000、
1−メトキシ−2−プロピルアセテートの40%溶液)
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート …57.2g
【0110】
(実施例6〜8)
実施例5で用いたC.I.ピグメントレッド254に代えて、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、をそれぞれ用いたこと以外、実施例3と同様にして、黄色、緑色、青色の本発明の顔料分散組成物(2)〜(4)を調製した。
【0111】
(実施例9〜11)
実施例5で用いた例示化合物(38)0.4gに代えて、実施例2で得た例示化合物(22)0.3g、実施例1で得た例示化合物(1)0.3g、既述の例示化合物(20)0.5g〔前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物〕を用いたこと以外、実施例5と同様にして、赤色の本発明の顔料分散組成物(5)〜(7)を調製した。尚、例示化合物(20)は、実施例1〜4と近似する方法により合成した。
【0112】
(実施例12〜14)
実施例6、実施例7、又は実施例8でそれぞれ用いた例示化合物(38)0.4gに代えて、既述の例示化合物(42)0.4g、既述の例示化合物(47)0.4g、及び既述の例示化合物(40)0.4g〔前記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物〕をそれぞれ用いたこと以外、実施例6、実施例7、又は実施例8と同様にして、黄色、緑色、又は青色の本発明の顔料分散組成物(8)〜(10)を調製した。尚、例示化合物(42)、(47)及び(40)は、実施例1〜4と近似する方法により合成した。
【0113】
(比較例1)
実施例5で用いた例示化合物(38)に代えて、下記化合物を用いたこと以外、実施例5と同様にして、赤色の顔料分散組成物(11)を調製した。
【0114】
【化11】
【0115】
(比較例2〜4)
比較例1において、C.I.ピグメントレッド254に代えて、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、をそれぞれ用いたこと以外、比較例1と同様にして、黄色、青色、緑色の顔料分散組成物(12)〜(14)を調製した。
【0116】
(評価1)
上記より得た、本発明の顔料分散組成物(1)〜(10)、及び比較の顔料分散組成物(11)〜(14)を用いて、下記評価を行った。
(1) 粘度測定:
得られた各顔料分散組成物について、RE80型粘度計(東機産業(株)製)を用いて30℃における粘度を測定した。尚、粘度測定は、顔料分散直後のサンプル、及び顔料分散組成物を室温(28℃)又は40℃下で7日間保存後のサンプルについて行った。測定結果は下記表1に示す。
(2) コントラスト測定:
得られた各顔料分散組成物を、ガラス基板上に厚み5μmになるように塗布し、塗膜(顔料分散膜)を形成してサンプルとした。2枚の偏光板の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと垂直のときの透過光量を測定して、その比をコントラストとした(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”TFT-LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」を参考にした。)測定結果は下記表1に示す。
(3) 透過率測定:
上記「(2) コントラスト測定」と同様に作製したサンプルを用いて、MPS−2000(島津製作所社製)により、450nmにおける透過率を測定した。測定結果は下記表1に示す。
【0117】
−着色感光性組成物−
(実施例15)
以下に示す組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)により直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで9時間分散し、カラーフィルタ作製用の、本発明の着色感光性組成物(i;赤色)を調製した。
〔組成〕
・実施例5の赤色の顔料分散組成物 …33.0g
・メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体 … 9.0g
(モル比28/72、重量平均分子量30000、
30%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート … 5.2g
・4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−5−トリアジン … 0.2g
・ハイドロキノンモノメチルエーテル … 0.01g
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート …62g
【0118】
(実施例16〜18)
実施例15において、実施例5の赤色の顔料分散組成物に代えて、実施例6の黄色の顔料分散組成物、実施例7の緑色の顔料分散組成物、実施例8の青色の顔料分散組成物を、それぞれ用いたこと以外、実施例13と同様にして、本発明の着色感光性組成物(ii;黄色)、(iii;緑色)、(iv;青色)を調製した。
【0119】
(評価2)
上記より得たカラーフィルタ作製用の着色感光性組成物(i)〜(iv)について、既述の「(1) 粘度測定」と同様の方法により粘度を測定した後、着色感光性組成物をそれぞれ別個のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥させ約2μm厚の膜(着色感光性膜)を形成した。次いで、窒素気流下、超高圧水銀灯で露光した後、1%炭酸ナトリウム水溶液で現像した。
そして、各色について、既述の「(2) コントラスト測定」と同様の方法によりコントラストを測定した。測定結果は下記表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
上記表1の結果から、顔料分散剤として本発明のイソフタル酸化合物を用いた顔料分散組成物(1)〜(10)では、分散による粘度上昇が小さく流動性に優れ、しかも経時による粘度上昇もなく、分散後の分散安定性も良好であった。また、顔料種に依らずいずれにおいても良好な分散特性を示した。顔料分散組成物(1)〜(10)及び着色感光組成物(i)〜(iv)を用いて形成した膜(顔料分散膜、着色感光性膜)は、薄膜に形成され、着色濃度が高く良好なコントラストを示し、しかも光透過性及び色純度に優れており、鮮明で色相の良好な着色膜(カラーフィルタ)を形成することができた。
一方、比較の顔料分散組成物(11)〜(14)では、分散による粘度上昇が大きく分散性、流動性の点で劣っており、経時での安定性でも劣っていた。また、顔料分散剤自体の着色に伴う色相ズレにより、光透過性及びコントラストの点で劣っており、鮮明で色相の良好な着色膜(カラーフィルタ)を得ることはできなかった。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、実質的に無色で新規なイソフタル酸化合物を提供することができる。また、
本発明によれば、実質的に無色であって、顔料凝集がなく、顔料の安定かつ良好な分散性、流動性を実現し、しかも光透過性にも優れる顔料分散剤を提供することができる。更に、
本発明によれば、前記顔料分散剤を含有し、顔料の分散性、流動性等及び着色濃度に優れ、しかも顔料の色相を損なうことなく、色相純度や着色色相および光透過性に特に優れ、アルカリ現像適性を有して塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い範囲において好適な顔料分散組成物、並びに、該顔料分散組成物を含有し、着色濃度のみならず色相純度や着色色相および光透過性に特に優れ、アルカリ現像適性を有してカラープルーフ等の多色画像の形成やカラーフィルタの製造等に好適な着色感光性組成物を提供することができる。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるイソフタル酸化合物を含有することを特徴とする顔料分散剤。
- 波長400nm以上でのモル吸光係数が1000未満である請求項1に記載の顔料分散剤。
- 請求項1又は2に記載の顔料分散剤と、顔料と、を有機溶剤中に分散してなることを特徴とする顔料分散組成物。
- 酸性基を有するバインダーポリマーを含有する請求項3に記載の顔料分散組成物。
- 請求項3に記載の顔料分散組成物と、酸性基を有するバインダーポリマーと、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマーと、光重合開始剤とを含有することを特徴とする着色感光性組成物。
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