JP4286878B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、貯蔵室を形成する断熱箱体の上部に凝縮器およびこの凝縮器を空冷するファン装置を設置した冷蔵庫に関する。
家庭用冷蔵庫は、多様なユーザニーズに対応すべく貯蔵室ごとに多くの扉を設けた冷蔵庫が商品化されており、容量も拡大し高さ寸法も使い勝手上限界の1800mm程度まで高くなっている。
一方、冷蔵庫本体下部の機械室内に設置していた凝縮器を本体の上部に配置することで、その分貯蔵容積を増大して冷蔵庫としての高さを増やさないようにするとともに、冷蔵庫としての外観意匠を損なわずに放熱能力を確保するようにした冷蔵庫が提案されており(例えば、特許文献1参照)、この種の冷蔵庫は、図6に示すように、冷蔵庫本体(51)の上部に凝縮器(55)やファン装置(56)を配置しているため、使用者が冷蔵庫の前方に立った場合に、その上部に設けた凝縮器(55)やカバー(57)などが目視できないように種々の構成を採用して外観を損なわないようにしている。
特開2007−17022号公報
しかしながら、扉(58)の高さを高くすれば、冷蔵庫の前面からの外観が必要以上に大きなものとなり、凝縮器(55)を覆うカバー(57)の前端部を日本の平均的な身長の成人女性が目視不可能な位置まで断熱箱体のフランジ面より後方に配設しても、冷蔵室の扉(58)を開扉した際には、カバー(57)の空気吸込み開口(57a)などが視野に入るものであり、そのカバー(57)自体が外観を損なったり、付着した埃が見苦しかったりする不具合を生じるものである。
本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、冷蔵庫本体上部に凝縮器を配置することで、貯蔵スペースを拡大し、放熱能力を向上させるとともに、前面の扉を開扉した場合においても外観意匠を損なうことのない冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の冷蔵庫は、内部を貯蔵空間として前面開口部を設けた断熱箱体上面の後半部分を下方へ傾斜させ、その傾斜部の後方に位置する背面近傍に平坦部を設けて凹陥部を形成し、断熱箱体の上面にその前部を近接させ、後部が後方の前記凹陥部の上方に亙って高くなるように冷凍サイクルの一環をなす板状の凝縮器を傾斜させて配置し、前記凝縮器を覆って水平な上面が凝縮器後端の上部高さ位置に対応するように配置したカバーを設け、前記凝縮器を空冷する凝縮器より高さ寸法が大きい軸流ファン装置の一部を前記カバー内における凹陥部内に立設させて取り付け、前記凝縮器の前方に空気吸込み口となる所定空間を設けた断熱箱体の上面部位には幅方向に亙って凝縮器と同等の高さに形成した構造体を配置したことを特徴とするものである。

請求項1記載の発明によれば、冷蔵庫本体上部に凝縮器を配置することで、外形高さ寸法を変えずに貯蔵スペースを拡大し、放熱能力を向上させることができるとともに、前面の扉を開扉した場合においても凝縮器あるいはカバーが使用者の視野に入ることなく外観意匠を向上させることができ、請求項2の発明によれば、前記効果に加えて、断熱箱体上部の断熱性能を保持したまま庫内前面上部の空間が上方に拡げることができ、開扉の際に室内を広々とした感じにすることができる。
以下、図面に基づき本発明の1実施形態について説明する。冷蔵庫の斜視図である図1、および図1における冷蔵庫本体(1)上部の縦断面図である図2に示すように、内外箱間にウレタンフォームなどの断熱材を充填した断熱箱体で形成された冷蔵庫本体(1)は、内部を貯蔵空間として冷蔵室(2)、製氷室(3)、温度切替室(4)、野菜室(5)および冷凍室(6)を上下方向に配置しており、各貯蔵室の前面開口部には各々専用の扉を設けて開閉自在に閉塞している。
前記冷蔵室(2)は、最も収納容積が大きく使用頻度も高いため、前面開口部の両側に設けたヒンジ(7)(7)で観音開き式の扉(8)(8)を回動自在に枢支して開口部を閉塞しており、各扉(8)の上端部は、前記冷蔵庫本体(1)の上面(10)より上方に延出させている。
そして、前記本体の上面(10)における観音開き式扉(8)(8)の反枢支部に対応するそれぞれの位置には、ソレノイドとプッシュロッドとからなる周知の扉開放装置(11)(11)を配置しており、扉面の操作部(8a)への開扉操作がおこなわれた場合には、通電により突出するプッシュロッドで上部へ延出している扉(8)の裏面を押し、これを開放するように作用する。また同時に、閉扉の際には、前記ヒンジ(7)部の近傍に設けた自動閉扉装置(12)(12)により所定角度まで閉扉すると各扉(8)は自動的に本体側に密着するまで回動させる機構となっている。
しかして、前記本体の上面(10)は、その後半部分の中央部に所定幅に亙って下方への傾斜部(10a)を設け、傾斜部(10a)の後方に平坦部(10b)を設けることで後方に凹陥部(13)を形成し、さらに背面近傍の平坦部(10b)には後壁に向かって急勾配で下降する傾斜面(10c)を設けており、この上面(10)の前方部から前記凹陥部(13)に亙って、従来本体(1)下部の機械室内に設置されていた凝縮器(15)を配置する。
凝縮器(15)は、図示しない圧縮機や冷却器とともに冷凍サイクルの一環をなすものであって、蛇行状に曲げ成形した冷媒管の上下面に放熱ワイヤを溶接して平板状に形成したものを2〜3段積層し、前部を本体上面(10)に近接させ、後部は前部より高くなるように傾斜させて本体上面(10)に支持具(14)を介して固定したものである。
凝縮器(15)の後部に対応する前記上面の平坦部(10b)には、上端が凝縮器(15)後端の上部位置、あるいは前記扉開放装置(11)やヒンジ(7)部分の高さと同じか、若しくはそれ以下の高さとなるように軸流プロペラファンからなるファン装置(16)を立てた状態で設け、この凝縮器(15)とファン装置(16)とを覆って本体(1)の外郭を形成するように薄鋼板製のカバー(17)を設けている。
したがって、凝縮器(15)を強制的に空冷するファン装置(16)を、凹陥部(13)の高さ寸法分の大口径のものを設置することができ、小さいスペースによる小形ファンの場合のように放熱のための充分な風量が得られないような不具合がなく、クロスフローファンなどのコストを高いファン装置を用いる必要がなく、効果的に凝縮器(15)を空冷して放熱効率を向上させることができる。
このとき、ファン装置(16)の設置のための前記凹陥部(13)の形成によって、これに対応する冷蔵室(2)の後部天井面の内側には断熱壁(18)を介して突段部(19)が形成され、この部分の貯蔵スペースが減少することになるが、この部分は冷蔵庫の貯蔵室として最上段部となり、前述のように、高さ寸法が180cm余にもなる本体の、手が届きにくく比較的使い勝手のよくない空間であり、従来構成に比して、その分下部貯蔵空間の有効容積が拡大するため、現実的貯蔵容積は増加することになる。
カバー(17)は凝縮器(15)を覆うように本体(1)の背面部に至る水平の上板と両側板と背板からなり、その前端部は凝縮器(15)の前端と合致させて凝縮器(15)への流入空気の吸込み開口(17a)を形成し、背面は凹陥部(13)を覆って本体(1)の後板(20)と同一面になるように形成して、その背面の幅方向の中央部には、本体上面(10)部分を背面からみた図3に示すように、ファン装置(16)の背面への投影面部からやや下方に外れた位置に凝縮器(15)と熱交換した空気の流出口(17b)を設けている。
上記構成により、冷蔵庫運転時にファン装置(16)の駆動によって、カバー(17)の吸込み開口(17a)から吸い込まれた空気は、図2の矢印で示すように、後方に向かって傾斜し断面積が拡大した凹陥部(13)によって斜め下方に拡がるように流下するため整流効果により送風効率が高まるものであり、凝縮器(15)はこれと逆に後部上方に向かって傾斜しているため、その平板状の全面に亙って流下空気と良好に熱交換することになり、高い放熱効率を得ることができる。同時に、空気の出口である流出口(17b)はファン装置(16)の投影部にから外れた位置に開口していることから、ファン装置(16)が駆動しているときに家人が誤って流出口(17b)から手指をカバー(17)内に差し込んで怪我をすることがなく、安全を守ることができる。
また、カバー(17)の一部を破断した上部からの平面図である図4に示すように、カバー(17)の幅寸法は、本体上面(10)の幅寸法に対して前後に亙って所定寸法短くすることで、その左右側縁部に、上面(10)に設置された凝縮器(15)、ファン装置(16)およびカバー(17)の投影面で干渉しない所定幅の平面空間(21)(21)を形成している。
このように構成することで、冷蔵庫製造後の保管時などには、前記平面空間(21)に、例えば、図3に2点鎖線で示すような補強枠材(22)を設置し、この補強枠材(22)を利用することで、冷蔵庫の本体上面(10)に強度の弱い凝縮器(15)やファン装置(16)を収納したカバー(17)が設置しても、重量物である冷蔵庫製品(1)を従来と同様に積み上げることができ、積み重ねができないことによる保管スペースの増大を防ぐことができる。
凝縮器(15)およびカバー(17)の前部には、前後方向に所定の空間(23)を設けて前記扉開放装置(11)を取り付けている。扉開放装置(11)の先端は本体(1)の前端部に位置させており、本体上面(10)の両側には、前記同様にヒンジ(7)が設けられ、さらに、これらの間に位置する空間部には、前記自動閉扉装置(12)が存在するため、これらを含む前面をほとんど覆うように、前記凝縮器(15)とほぼ同じ高さで本体上面のほぼ全幅に亙るようにケース状の構造体である前壁(25)を配置することで、冷蔵室扉(8)を開扉した場合でも凝縮器(15)およびカバー(17)の前端側を使用者の視野から隠蔽するようにしている。
上記に関しては、前記種々の構造体によってカバー(17)前面の遮蔽をおこなうだけでなく、前記図2と同一部分の縦断面図で、同一部分に同一符号を付した図5に示すように、凝縮器(15)およびカバー(17)の前部に、本体(1)の全幅に亙り、断熱壁(20)自体を前方上部に向かって傾斜面を形成して立ち上げた突段部(26)を形成するようにしてもよい。そして、前記突段部(26)の高さ寸法を、前記構造体(25)と同様に、カバー(17)高さと同等に形成することにより、断熱壁(20)を介した冷蔵室(2)内側の対応する天井部には凹陥部(27)が形成されることになる。
この構成によっても、開扉の場合には、使用者の視野から凝縮器(15)およびカバー(17)部分を遮蔽することができるものであり、さらに、冷蔵室(2)内の天井部空間が上方に拡大することから、開扉とともに室内を広々とした感じにすることができるとともに、扉ポケット上部の実質的な収納容量を増大させることができる。
本発明は上記のように構成されており、従来、冷蔵庫本体(1)の冷蔵室扉(8)裏面に対応する上面(10)に、例えば、扉開放装置(11)のような突出構造物が配置されていた場合には、その後方部分は利用することができず、いわゆるデッドスペースとなっていたが、この部分に上記のように凝縮器(15)とファン装置(16)とを配設することで、無効空間を有効に利用することができるものである。そして、従来の凝縮器(55)やファン装置の設置スペース分を貯蔵室内容積に振り向けることで、外形寸法を拡げずに庫内の有効貯蔵容積を拡大することができ、さらに、庫内への突出部を低減することで貯蔵室内デザインの選択幅を拡げることができる。
なお、前記実施例について、凝縮器(15)は、蛇行状に曲げ成形した冷媒管の上下面に放熱ワイヤを溶接して平板状に形成して積層したものとし、ファン装置(16)は軸流プロペラファンとしたが、これに限らず、凝縮器は、小片フィンに冷媒管を貫通して蛇行平板状にしたもの、あるいはフィンとチューブとを一体に形成したタイプでもよく、凹陥部(13)に配設するファン装置は、プロペラファンに限らず、前記クロスフローファンやシロッコファンでもよいものである。
本発明の1実施形態を示す冷蔵庫全体の外観斜視図である。 図1における本体上部の縦断面図である。 図2の背面図である。 図2におけるカバーの一部を破断した上部からの平面図である。 本発明の他の実施例を示す図2と同一部分の縦断面図である。 従来の本体上面に凝縮器を設置した冷蔵庫の縦断面図である。
符号の説明
2 冷蔵室 8 冷蔵室扉 10 本体上面
10a 傾斜部 10b 平坦部 10c 傾斜面
11 扉開放装置 12 自動閉扉装置 13 凹陥部
15 凝縮器 16 ファン装置 17 カバー
17a 吸込み開口 17b 流出口 21 平面空間
22 補強枠材 23 空間 25 構造体
26 断熱突段部 27 凹陥部

Claims (4)

  1. 内部を貯蔵空間として前面開口部を設けた断熱箱体上面の後半部分を下方へ傾斜させ、その傾斜部の後方に位置する背面近傍に平坦部を設けて凹陥部を形成し、
    断熱箱体の上面にその前部を近接させ、後部が後方の前記凹陥部の上方に亙って高くなるように冷凍サイクルの一環をなす板状の凝縮器を傾斜させて配置し、
    前記凝縮器を覆って水平な上面が凝縮器後端の上部高さ位置に対応するように配置したカバーを設け、
    前記凝縮器を空冷する凝縮器より高さ寸法が大きい軸流ファン装置の一部を前記カバー内における凹陥部内に立設させて取り付け
    前記凝縮器の前方に空気吸込み口となる所定空間を設けた断熱箱体の上面部位には幅方向に亙って凝縮器と同等の高さに形成した構造体を配置した
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 貯蔵空間を冷蔵室とし、その前面開口部を閉塞する観音開き式の扉の開放装置を構造体として、凝縮器前方の断熱箱体上面の幅方向に亙って配設したことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
  3. 凹陥部を形成する平坦部の後方に後壁に向かって下降する傾斜面を形成し、この傾斜面に対向するファン装置の後面を覆うカバーに空冷空気の流出口を設けたことを特徴とする請求項記載の冷蔵庫。
  4. 凝縮器およびファン装置を配置したカバーの左右側における断熱箱体上面の側縁部には、前後に亙って所定幅の平面部を形成したことを特徴とする請求項記載の冷蔵庫。
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