JP4286686B2 - 電線の導体欠陥検知用センサ - Google Patents

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Description

本発明は電線の撚線導体の欠陥を検知するのに使用するセンサに関し、通電・活線状態で断線、傷、不導体化並びに応力腐食割れ等の劣化といった不良を検知するのに有用なセンサである。
断線、傷、不導体化並びに応力腐食割れ等の劣化といった不良(欠陥)を検知する方法の一つとして、実際に流されている負荷電流が欠陥部分で乱れを生じ、それによって発生する磁場の変化を検出する方法が知られている。
電線の撚線導体に欠陥が発生すると、その箇所の導体断面の輪郭が非円形化され、同断面の電流路中心がずれる結果、導体電流に基づく周回路磁界の分布が変化する。
そこで、この周回路磁界分布の変化や電流路断面の中心変位を検出して前記撚線導体の欠陥を検知することが提案されている。(特許文献1、非特許文献1)
特開平10−73631号公報 野中崇、他2名,「配電線の非破壊磁気探傷に関する基礎的検討」T,IEEjapan,Vol,121−A,No.3,2001,p282−287
特許文献1では、図11に示す、電線の周囲にサーチコイル1o,1o’を180°隔てた対の複数対にて電線中心から等距離の位置に配設し、サーチコイルのコア方向と電線同心円の接線方向とを一致させ、各対の両サーチコイルの出力の差をセンサ出力としている。
図11において、撚線導体の電流路断面の中心の変位がゼロ、すなわち周回路磁界分布変化が無い場合、両コイルの出力が等しくセンサ出力が0となり欠陥無しと評価される。周回路磁界分布変化が生じている場合、両コイルの出力が等しくならずにセンサ出力が発生し、欠陥有りと判定される。
非特許文献1では、図12に示すように電流路断面の中心C1(Cx1,Cy1)が任意座標点p1(x1,y1)及びp2(x2,y2)とそれら任意座標点p1(x1,y1)及びp2(x2,y2)での磁束密度(Bx1,By1)及び(Bx2,By2)から次式で与えられることから
すなわち、図12に示すように電流路断面の中心C1(Cx1,Cy1)が任意座標点p1(x1,y1)及びp2(x1,y1)とそれら任意座標点p1(x1,y1)及びp2(x2,y2)での磁束密度(Bx1,By1)及び(Bx2,By2)から次式で与えられることから
Figure 0004286686
任意座標点p1(x1,y1)における磁束密度(Bx1,By1)及びp1(x2,y2)における磁束密度(Bx2,By2)をサーチコイルにより測定し、これらの測定値から電流路断面の中心座標C1(Cx1,Cy1)を計算し、この中心座標の変位から撚線導体の欠陥を評価しようとしている。
導体電流をIとすると、導体中心から距離rにおける磁束密度Bは、
B=μI/(2πr)
で与えられ、導体中心のずれ距離をΔLとすれば、磁束密度変化ΔBはΔB∝BΔL/rとなる。
架線された電線には、数10A〜数100Aの電流が通電されており、電線外周上での磁束密度は極めて高い。例えば、電流値を150A、電線半径を15mmとすると、電線表面での磁束密度は1600A/mもの高磁束密度となる。サーチコイル等の磁界センサには、測定限度があり1600A/mもの高磁界を測定することは困難である。
しかるに、上記従来例では、サーチコイルをその感磁方向を電線の周回路磁界の方向に向けて配設しており、150Aもの高導体電流に対しては、レンジ上、サーチコイルを電線中心からかなり隔てた位置に配置する必要があり、センサの大型化が避けられない。
更に、特許文献1記載の従来例では、電線の周囲にサーチコイルを180°隔てた対で電線中心から等距離を隔てた位置に2箇配設し、撚線導体の導電路断面の電流中心がずれたときの両サーチコイルの出力差をセンサ出力としているが、前記のΔB∝BΔL/rから理解できる通り、サーチコイルを電線中心からかなり隔てた位置に配置してrを大きくすると、それだけ両サーチコイルの出力差が小さくなってセンサ出力が低減し、充分な検出感度を保証し難い。
近来、高い磁界検出分解能、微小寸法の磁界センサ素子として磁気インピーダンス効果素子が開発されている。
本発明の目的は、電線の導体の欠陥を該電線の導体電流に基づく周回路磁界の導体欠陥無しのときの基準周回路磁界に対する分布変化から検出する方法に使用するセンサにおいて、センサ素子に磁気インピーダンス効果素子を用いてセンサの検出精度の向上及び小型化を図ることにある。
請求項1に係る電線の導体欠陥検知センサは、電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、高周波電流に基づく出力が軸方向に加えられる被検出磁界で変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向にして一対(1a、1a’)配設し、この一対に対し電線の周方向に所定の角度を隔てて更に一対(1b、1b’)配設し、各対における磁気インピーダンス効果素子(1aと1a’、1bと1b’)を感磁方向を逆極性とするように直列に接続し、素子1aと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を減算または差動増幅してセンサ出力とすることを特徴とする。
請求項2に係る電線の導体欠陥検知センサは、電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、軸方向に加えられる被検出磁界で高周波電流に基づく出力が変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした対の磁気インピーダンス効果素子1a、1a’及び1b、1b’を素子1aと素子1bとの間の電線周方向角度及び素子1a’と素子1b’との間の電線周方向角度を共に所定の角度βとするように配設し、素子1aと1b’とを同極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを同極性とするように直列に接続するか、または素子1aと1b’とを逆極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを逆極性とするように直列に接続し、しかも素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子と素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子とを逆極性となるようにし、素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を加算または重畳してセンサ出力とすることを特徴とする。
請求項3に係る電線の導体欠陥検知センサは、電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、軸方向に加えられる被検出磁界で高周波電流に基づく出力が変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした対の磁気インピーダンス効果素子1a、1a’及び1b、1b’を素子1aと素子1bとの間の電線周方向角度及び素子1a’と素子1b’との間の電線周方向角度を共に所定の角度βとするように配設し、素子1aと1b’とを同極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを同極性とするように直列に接続するか、または素子1aと1b’とを逆極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを逆極性とするように直列に接続し、しかも素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子と素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子とを逆極性となるようにし、素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を減算または差動増幅してセンサ出力とすることを特徴とする。
電線の周回路磁界分布の変化を電線と同心円の周方向に直角方向の磁界成分から検出しており、この検出磁界成分が電線外周近傍の周方向磁界よりも充分に小であって測定限度内に収め得、電線外周に接近してセンサ素子を配設でき、センサを小型にできる。そして、磁気インピーダンス効果素子の高検出能と、磁気インピーダンス効果素子の180°を隔てての対配置による外部ノイズの除去乃至は差動増幅回路または減算回路の使用による内外ノイズの除去等とで高感度検出が可能であり、前記離隔した箇所での周回路磁界分布の変化を高感度で検知できる。
図1は本発明の導体欠陥検知の対象とされる電線の一例を示し、硬銅線等の導体素線aを撚合せた撚合導体b上にポリエチレンやポリ塩化ビニル等の合成樹脂cを押出し被覆してある。
この電線の撚合導体の何れかの導体素線に欠陥が生じたとする。素線間の接触抵抗が素線間の電流導通を完全に遮断し得る程度に高抵抗であると仮定すれば、欠陥に基づく導電路断面の電流中心のずれは電線全長ににわたって発生し、従って導体電流に基づく周回路磁界分布の変化が電線全長にわたって発生する。
図2において、導電路断面の電流中心のずれが発生していないときの電線中心oから距離rでの基準周回路磁界の強度Hは
H=I/(2πr)
で与えられる。
1a,1a’は電線中心からの距離が共にrで、かつ電線中心と同心の円上で180°隔てられ、軸方向(最大感磁方向)が前記同心円に直角な方向とされた磁気インピーダンス効果素子を示し、前記の基準周回路磁界には感磁しない。磁気インピーダンス効果素子の軸方向とずれの方向とがなす角度をα、ずれ距離をΔLとすれば、
=r+(ΔL)−2r・ΔLcosα
sinγ/ΔL=sinα/x
が成立し、導電路断面中心o’のもとでの距離xでの周回路磁界強さH’=I/(2πx)における磁気インピーダンス効果素子1aの感磁成分、すなわち最大感磁方向成分haは、
ha=H’sinγ
で与えられる。
上記の諸式からhaを求めると
〔式1〕 ha≒H(ΔL/r)sinα/〔1−2(ΔL/r)cosα〕
が成立する。
他方の磁気インピーダンス効果素子1a’の感磁成分ha’は、前記haにおいてαを(π+α)と置き、周回路磁界の方向が逆方向であることを考慮して
〔式2〕 ha’≒H(ΔL/r)sinα/〔1+2(ΔL/r)cosα〕
で与えられる。
上記対をなす磁気インピーダンス効果素子1a,1a’に対し、1b,1b’で示すように前記と同様の対を前記円周方向に角度β隔てた位置に配設すると、
この追加した対の一方の磁気インピーダンス効果素子1bの前記周回路磁界の分布変化による感磁成分hbは、前記haにおいてαを(α+β)と置くことにより与えられ
〔式3〕 hb≒H(ΔL/r)sin(α+β)/〔1−2(ΔL/r)cos(α+β)〕
が成立する。
他方の磁気インピーダンス効果素子1b’の感磁成分hb’は、前記hbにおいて(α+β)を〔π+(α+β)〕と置くことにより与えられ
〔式4〕 hb’≒H(ΔL/r)sin(α+β)/〔1+2(ΔL/r)cos(α+β)〕
が成立する。
本発明は、周回路磁界分布の変化により生じる周回路磁界と直角方向の小さい感磁成分を磁気インピーダンス効果素子の高い検出能で検出し、対をなす磁気インピーダンス効果素子の感磁方向の逆極性化により、または減算乃至は差動増幅での同相打消作用によりノイズを除去して、前記導体欠陥に基づく周回路磁界分布の変化を高感度で検出し、前記撚合導体の欠陥箇所から相当に遠く離隔した箇所でもその周回路磁界の分布変化の検知を可能としている。
図3は磁気インピーダンス効果素子を使用した磁気センサの基本的構成を示している。
図3において、1は磁気インピーダンス効果素子であり、自発磁化の方向がワイヤ周方向に対し互いに逆方向の磁区が交互に磁壁で隔てられた構成の外殻部を有する、零磁歪乃至は負磁歪のアモルファス合金ワイヤが使用されている。かかる零磁歪乃至は負磁歪のアモルファス磁性ワイヤに高周波励磁電流を流したときに発生するワイヤ両端間出力電圧中のインダクタンス電圧分は、ワイヤの横断面内に生じる円周方向磁束によって上記の円周方向に易磁化性の外殻部が円周方向に磁化されることに起因して発生する。従って、周方向透磁率μθは同外殻部の円周方向の磁化に依存する。而るに、この通電中のアモルファスワイヤの軸方向(最大感磁方向)に被検出磁界を作用させると、上記通電による円周方向磁束と被検出磁界磁束との合成により、上記円周方向に易磁化性を有する外殻部に作用する磁束の方向が円周方向からずれ、それだけ円周方向への磁化が生じ難くなり、上記周方向透磁率μθが変化し、上記インダクタンス電圧分が変動することになる。この変動現象は磁気インダクタンス効果と称され、これは上記高周波励磁電流(搬送波)が被検出波(信号波)で変調される現象ということができる。更に、上記通電電流の周波数がMHzオ−ダになると、高周波表皮効果が大きく現れ、表皮深さδ=(2ρ/wμθ1/2(μθは前記した通り円周方向透磁率、ρは電気抵抗率、wは角周波数をそれぞれ示す)がμθにより変化し、このμθが前記した通り、被検出磁界によって変化するので、ワイヤ両端間出力電圧中の抵抗電圧分も被検出磁界で変動するようになる。この変動現象は磁気インピーダンス効果と称され、これは上記高周波励磁電流(搬送波)が被検出波(信号波)で変調される現象ということができる。
図3において、2は磁気インピーダンス効果素子に高周波励磁電流を加えるための高周波電源、3は磁気インピーダンス効果素子の軸方向に作用する被検出磁界(信号波)で前記高周波励磁電流(搬送波)を変調させた被変調波を復調する復調回路、4は復調波を増幅する増幅回路、5は出力端、6は負帰還用コイル、7はバイアス磁界用コイルである。磁気インピーダンス効果素子1には、零磁歪乃至は負磁歪のアモルファスワイヤの外、アモルファスリボン、アモルファススパッタ膜等も使用できる。
磁気インピーダンス効果素子においては、前記した通り励磁電流に基づく円周方向磁束と被検出磁界による軸方向磁束との合成により、円周方向に易磁化性を有する外殻部に作用する磁束の方向が円周方向からずれされるために、周方向透磁率μθが変化し、インダクタンスが変動され、この円周方向透磁率μθの高周波表皮効果の表皮深さの変化でインピーダンスが変動される。従って、被検出磁界の±により上記合成磁界による周方向ずれφも±φになるが、周方向の磁界の減少倍率cos(±φ)は変わらず、従ってμθの減少度は被検出磁界の方向の正負によっては変化されない。従って、被検出磁界−出力特性は、図4の(イ)のように被検出磁界をx軸に、出力をy軸にとると、y軸に対してほぼ左右対称となる。この被検出磁界−出力特性は非線形である。非線形特性では、高感度の測定が困難である。そこで、負帰還用コイルで負帰還をかけて図4の(ロ)に示すように特性を直線化している。図4の(ロ)において、Δwは、負帰還無しのときの利得Aが非常に大きく帰還率βのみにより利得が定まるリニア範囲である。しかし、この出力特性では、被検出磁界の極性判別を行ない得ないので、バイアス用コイル7でバイアス磁界をかけ、図4の(ハ)に示すように極性判別可能としている。すなわち、図4の(ロ)の特性を、バイアス磁界によりx軸のマイナス方向に移動させ、被検出磁界の最大範囲−Hmax〜+Hmaxを単斜め線領域の範囲内に納めている。更に、図4の(ニ)に示すように0点調整により原点を通る直線特性としている。従って、図4の(ニ)において被検出磁界を+Heとすると出力が+Eoとなり、被検出磁界を−Heとすると出力が−Eoとなって被検出磁界を極性判別のもとで正確に測定できる。
前記極性判別可能なリニア出力特性を得るのに図5に示すように、出力より反転入力端子に負帰還をかけた演算増幅器(負帰還路挿入インピーダンスZ、入力側挿入インピーダンスZ)を使用することもできる。この場合、負帰還用コイルに挿入した抵抗をR、同コイルの巻数をn、長さをL、復調増幅部Bの利得をA、被検出磁界をHex、出力をEoutとすると、
A≫ZRL/(Zn)
のもとで
Eout=RLZHex/(nZ)+VccZR/〔Z(Z+R)〕
が成立し、この出力特性を諸定数(Z,Z,抵抗R,コイル巻数n等)の調整によりx軸の±方向にシフトさせることができ、その調整により極性判別可能な斜め直線部を最大被検出磁界の範囲±Hmax内に位置させることが可能となり、更にy軸方向の0点調整により図4の(ニ)に示すような極性判別可能な直線性の出力特性を得ることもできる。
上記高周波励磁電流としては、例えば連続正弦波、パスル波、三角波等の通常の高周波を使用でき、高周波励磁電流源としては、例えばハートレー発振回路、コルピッツ発振回路、コレクタ同調発振回路、ベース同調発振回路のような通常の発振回路の外、水晶発振器の矩形波出力を直流分カットコンデンサを経て積分回路で積分しこの積分出力の三角波を増幅回路で増幅する三角波発生器、COMS−ICを発振部として使用した三角波発生器等を使用できる。
上記の復調回路としては、例えば被変調波を演算増幅回路で半波整流しこの半波整流波を並列RC回路またはRCローパスフィルターで処理して半波整流波の包絡線出力を得る構成、被変調波をダイオードで半波整流しこの半波整流波を並列RC回路またはRCローパスフィルターで処理して半波整流波の包絡線出力を得る構成等を使用できる。
上記の実施例では、被変調波の復調によって被検出量を取り出しているが、これに限定されず、磁気インピーダンス効果素子に作用する被検出磁界による磁界検出信号から被検出磁界に相当する被検出量を取り出し得るものであれば、適宜の回路構成を使用できる。
前記負帰還用コイル及びバイアス磁界用コイルは磁気インピーダンス効果素子に巻き付けることができる。また、図6に示すように磁気インピーダンス効果素子とループ磁気回路を構成する鉄芯に負帰還用コイル及びバイアス磁界用コイルを巻き付けることもできる。
図6の(イ)は鉄芯付き磁気インピーダンス効果ユニットの一例を示す側面図、図6の(ロ)は同じく底面図、図6の(ハ)は図6の(ロ)におけるハ−ハ断面図である。
図6において、100は基板チツプであり、例えばセラミックス板を使用できる。101は基板片の片面に設けた電極であり、エレメント接続用突部102を備えている。この電極は導電ペースト、例えば銀ペーストの印刷・焼付けにより設けることができる。1xは電極101,101の突部102,102間にはんだ付けや溶接により接続した磁気インピーダンス効果素子であり、前記した通り零磁歪乃至負磁歪のアモルファスワイヤ、アモルファスリボン、スパッタ膜等を使用できる。103はC型鉄芯、6xはC型鉄芯に巻装した負帰還用コイル、7xは同じくバイアス磁界用コイルであり、磁気インピーダンス効果素子1xとC型鉄芯103とでループ磁気回路を構成するように、C型鉄芯103の両端を基板片100の他面に接着剤等で固定してある。鉄芯材料としては、残留磁束密度の小さい磁性体であればよく、例えば、パーマロイ、フェライト、鉄、アモルファス磁性合金の他、磁性体粉末混合プラスチック等を挙げることができる。
図7の(イ)は本発明者等が提案した電線の導体欠陥検知用センサの一実施例を示す図面、図7の(ロ)は同センサの回路図である。
図7において、8は電線、9はセンサ基板であり、電線の周りに180°の角度を隔て、かつ電線中心から等距離を隔て、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした一対の磁気インピーダンス効果素子を電線の周方向に所定の角度βを隔ててa,bの2対で配設し、対をなす磁気インピーダンス効果素子1a,1a’及び1b,1b’を感磁方向を逆極性とするように直列に接続し、各直列接続磁気インピーダンス効果素子による出力を加算若しくは重畳してセンサ出力としている。3a,3bは復調回路を、Adは加算若しくは重畳回路を示している。
対aの一方の磁気インピーダンス効果素子1aの前記した周回路磁界分布の変化による感磁成分をha、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNaとすると、この磁気インピーダンス効果素子1aが感磁する磁界強さHaは、Ha=ha+Naである。
対aの他方の磁気インピーダンス効果素子1a’が感磁する磁界強Ha’さは、両素子1a,1a’の感磁方向を逆極性としてあるから、Ha’=−(ha’+Na)である。
従って、直列接続された対aの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’が感磁する磁界強さ(Ha+Ha’)は、(Ha+Ha’)=(ha−ha’)であり、ノイズを排除でき、その磁界強さ(Ha+Ha’)は、前記式(1)と(2)から
(ha−ha’)≒4H(ΔL/r)sinαcosα=2H(ΔL/r)sin2α
で与えられる。
他方の対bの一方の磁気インピーダンス効果素子1bの前記した周回路磁界分布の変化による感磁成分をhb、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNbとすると、この磁気インピーダンス効果素子が感磁する磁界強さHbは、Hb=hb+Nbである。
対bの他方の磁気インピーダンス効果素子1b’が感磁する磁界強Hb’さは、両素子の感磁方向を逆極性としてあるから、Hb’=−(hb’+Nb)である。
従って、直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’が感磁する磁界強さ(Hb+Hb’)は、(Hb+Hb’)=(hb−hb’)であり、外部ノイズを排除でき、その磁界強さ(Hb+Hb’)は、前記式(1)と(2)から
(hb−hb’)≒4H(ΔL/r)sin(α+β)cos(α+β)=2H(ΔL/r)sin2(α+β)で与えられる。
図7に示した実施例では、直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’と直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’との極性を同極性とするようにそれら磁気インピーダンス効果素子の向きを設定してある。従って、センサ出力Eoutは、図4の(ニ)に示した出力特性の比例係数をkとして
Eout=k(ha−ha’)+k(hb−hb’)≒2kH(ΔL/r)〔sin2α+sin2(α+β)〕
で与えられる。
直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’と直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’との極性を逆極性とするようにそれら磁気インピーダンス効果素子の向きを設定する場合は、
Eout=k(ha−ha’)−k(hb−hb’)≒2kH(ΔL/r)〔sin2α−sin2(α+β)〕
が成立する。
前記の感磁量(ha−ha’)及び(hb−hb’)は、ΔL≪rのために小であり、センサを小型にできる。各被検出量(ha−ha’)、(hb−hb’)が小さくても、磁気インピーダンス効果素子の高検出分解能のために各直列接続素子の出力を素子の高検出分解能のために高くでき、高精度の検出が可能である。
従って、電線の導体欠陥箇所から遠くなって導体の導電路断面の電流中心のずれΔLが小さくなっても、その高感度のために検出可能であり、導体欠陥箇所から数10m離隔した箇所の磁界検知でも、欠陥の検知が可能となる。
図8の(イ)は請求項1に係る電線の導体欠陥検知用センサの一実施例を示す図面、図8の(ロ)は同センサの回路図である。
図8において、8は電線、9はセンサ基板であり、電線の周りに180°の角度を隔て、かつ電線中心から等距離を隔て、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした一対の磁気インピーダンス効果素子を電線の周方向に所定の角度βを隔ててa,bの2対で配設し、対をなす磁気インピーダンス効果素子1a,1a’及び1b,1b’を感磁方向を逆極性とするように直列に接続し、各直列接続磁気インピーダンス効果素子による出力を減算または差動増幅してセンサ出力としている。3a,3bは復調回路を、Dmは差動増幅器を示している。
対aの一方の磁気インピーダンス効果素子1aの前記した周回路磁界分布の変化による感磁成分をha、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNaとすると、この磁気インピーダンス効果素子1aが感磁する磁界強さHaは、Ha=ha+Naである。
対aの他方の磁気インピーダンス効果素子1a’が感磁する磁界強Ha’さは、両素子1a,1a’の感磁方向を逆極性としてあるから、Ha’=−(ha’+Na)である。
従って、直列接続された対aの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’が感磁する磁界強さ(Ha+Ha’)は、(Ha+Ha’)=(ha−ha’)であり、ノイズを排除でき、その磁界強さ(Ha+Ha’)は、前記式(1)と(2)から
(ha−ha’)≒4H(ΔL/r)sinαcosα=2H(ΔL/r)sin2α
で与えられる。
他方の対bの一方の磁気インピーダンス効果素子1bの前記した周回路磁界分布の変化による感磁成分をhb、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNbとすると、この磁気インピーダンス効果素子が感磁する磁界強さHbは、Hb=hb+Nbである。
対bの他方の磁気インピーダンス効果素子1b’が感磁する磁界強Hb’さは、両素子の感磁方向を逆極性としてあるから、Hb’=−(hb’+Nb)である。
従って、直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’が感磁する磁界強さ(Hb+Hb’)は、(Hb+Hb’)=(hb−hb’)であり、外部ノイズを排除でき、その磁界強さ(Hb+Hb’)は、前記式(1)と(2)から
(hb−hb’)≒4H(ΔL/r)sin(α+β)cos(α+β)=2H(ΔL/r)sin2(α+β)で与えられる。
図8に示した実施例では、直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’と直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’との極性を逆極性とするようにそれら磁気インピーダンス効果素子の向きを設定してある。従って、センサ出力Eoutは、
Eout=k(ha−ha’)−〔−k(hb−hb’)〕≒2kH(ΔL/r)〔sin2α+sin2(α+β)〕
で与えられる。
直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1a,1a’と直列接続された対bの磁気インピーダンス効果素子1b,1b’との極性を同極性とするようにそれら磁気インピーダンス効果素子の向きを設定する場合は、
Eout=k(ha−ha’)−k(hb−hb’)≒2kH(ΔL/r)〔sin2α−sin2(α+β)〕
が成立する。
前記の感磁量(ha−ha’)及び(hb−hb’)は、ΔL≪rのために小であり、センサを小型にできる。各被検出量(ha−ha’)、(hb−hb’)が小さくても、磁気インピーダンス効果素子の高検出分解能のために各直列接続素子の出力を素子の高検出分解能のために高くでき、高精度の検出が可能である。
従って、電線の欠陥箇所から遠くなって導体の導電路断面の電流中心のずれΔLが小さくなっても、その高感度のために検出可能であり、導体欠陥箇所から数10m離隔した箇所の磁界検知でも、欠陥の検知が可能となる。
図9−1は請求項2に係る電線の導体欠陥検知用センサの一実施例を示す回路図である。
請求項1のセンサと同様に、電線の周りに180°の角度を隔て、かつ電線中心から等距離を隔て、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした一対の磁気インピーダンス効果素子を電線の周方向に所定の角度βを隔てて二対配設してある。
請求項3のセンサでは、図9−1に示すように異なる対a,bの一方の磁気インピーダンス効果素子1a,1b’を同極性または逆極性とするように直列に接続し、同じく他方の磁気インピーダンス効果素子1a’,1bを同極性または逆極性とするように直列に接続し、しかも、1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子と1a’と1bの直列接続磁気インピーダンス効果素子との極性を逆極性となるようにし、両直列接続磁気インピーダンス効果素子による出力を加算若しくは重畳してセンサ出力としている。Adは加算または重畳回路を示している。
図9−1において、前記と同様に周回路磁界の分布変化により対aの磁気インピーダンス効果素子1aの感磁成分がha、同じく対aの磁気インピーダンス効果素子1a’の感磁成分がha’、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNa、対bの磁気インピーダンス効果素子1bの感磁成分がhb、同じく対Wbの磁気インピーダンス効果素子1b’の感磁成分がhb’、地磁気等の外部ノイズに対する感磁成分をNbとすると、
各磁気インピーダンス効果素子に対する被感磁磁界は、ha+Na、ha’+Na、hb+Nb、hb’+Nbとなり、異なる対の一方の磁気インピーダンス効果素子の同極性または逆極性直列接続磁気インピーダンス効果素子の感磁磁界H
〔式5〕 H=(ha+Na)±(hb’+Nb)
となり、この感磁磁界Hに基づく検出出力はE
=kH=k〔(ha+Na)±(hb’+Nb)〕
で与えられ、異なる対の他方の磁気インピーダンス効果素子が前記直列接続磁気インピーダンス効果素子とは逆極性の直列接続であるから、この直列接続磁気インピーダンス効果素子の感磁磁界H
〔式6〕 H=−〔(hb+Nb)±(ha’+Na)〕
となり、これら感磁磁界Hに基づく検出出力はE
=kH=−k〔(hb+Nb)±(ha’+Na)〕
で与えられる。
両検出出力EとEとの加算もしくは重畳であるセンサ出力Eoutは
Eout=k〔(ha−ha’)−(hb−hb’)〕
または
Eout=k〔(ha+ha’)−(hb+hb’)〕
であり、地磁気等の外部ノイズNa,Nbに対する感磁成分が出力されない。
前記センサ出力Eoutは
〔式7〕 Eout≒kH(ΔL/r)〔sinα−sin(α+β)〕
または
〔式8〕 Eout≒2kH(ΔL/r)〔sin2α−sin2(α+β)〕
で与えられる。
図9−2は請求項3に係る電線の導体欠陥検知用センサの一実施例を示す図面である。
図9−2においても、図9−1と同様に電線の周りに180°の角度を隔て、かつ電線中心から等距離を隔て、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした一対の磁気インピーダンス効果素子を電線の周方向に所定の角度βを隔てて二つの対a,bで配設し、対aの一方の磁気インピーダンス効果素子1aと対bの一方の磁気インピーダンス効果素子1b’とを同極性または逆極性とするように直列に接続ししている。対aの一方の磁気インピーダンス効果素子1aと対bの一方の磁気インピーダンス効果素子1b’との同極性または逆極性直列接続磁気インピーダンス効果素子の感磁磁界Hは、図9−1のセンサと同様に、式5から
=(ha+Na)±(hb’+Nb)
である。
しかし、図9−1のセンサでは、他方の磁気インピーダンス効果素子1a’と1bとを前記直列接続磁気インピーダンス効果素子(1a+1b’)と逆極性とするように直列に接続しているのに対し、図9−2では他方の磁気インピーダンス効果素子1a’と1bとを前記直列接続磁気インピーダンス効果素子(1a+1b’)と同極性とするように直列に接続している。対a,bの他方の磁気インピーダンス効果素子1a’と1bとの直列接続素子(1a’+1b)が前記直列接続磁気インピーダンス効果素子1aと1b’との直列接続素子(1a+1b’)とが同極性であるから、この直列接続磁気インピーダンス効果素子(1a’+1b)の感磁磁界Hは前記の式6とは逆符号となり
=+〔(hb+Nb)±(ha’+Na)〕
で与えられる。
これらの感磁磁界H、Hを信号波とする被変調波が復調回路3a'b、3ab'で復調され、それらの復調波が差動増幅器Dmで差動増幅されてセンサ出力Eoutとされるから、
Eout=kH−kH=k〔(ha+ha’)−(hb+hb’)〕
で与えられ、センサ出力Eoutは、前記の式7と同様に
Eout≒kH(ΔL/r)〔sinα−sin(α+β)〕
または、前記の式8と同様に
Eout≒2kH(ΔL/r)〔sin2α−sin2(α+β)〕
で与えられる。
本発明に係る電線の導体欠陥検知用センサにおいては、感磁強さがsin2α(またはsinα)の波形で変化し、αが0、90°及び180°(または0、180°及び360°)で0となる。
而るに、撚合導体には撚りがかけられており、半ピッチの間にαが0から180°に変化し、αが0、90°及び180°(またはαが0、180°及び360°)となる箇所では前記検知を満足に行ない得ないから、センサを電線の撚合導体の数ピッチ分、このましくは3〜5ピッチ分だけスキャンすることが有効である。
請求項1または3のセンサのように増幅を差動増幅により行なう場合、図10に示すように一方の磁気インピーダンス効果素子にかけるバイアス磁界Hbの方向と他方の磁気インピーダンス効果素子にかけるバイアス磁界Hbの方向とが逆方向とされ、互いに逆相の復調出力(磁界検出信号)がE+、E−で表わされ、その差がE±で示すように直線に近づくので、負帰還を省略することも可能である。
本発明は4個以上の磁気インピーダンス効果素子を使用して実施することも可能である。
電線を示す断面図である。 本発明における180°隔てられた磁気インピーダンス効果素子の感磁成分を示す図面である。 磁界インピーダンス効果素子を用いた磁界検出の基本的回路を示す図面である。 磁界インピーダンス効果素子を用いた磁界検出の出力特性を示す図面である。 磁界インピーダンス効果素子を用いた磁界検出の基本的回路の別例を示す図面である。 C型鉄心付き磁界インピーダンス効果素子を示す図面である。 参考例としてのセンサを示す図面である。 請求項1に係るセンサを示す図面である。 請求項2に係るセンサを示す図面である。 請求項3に係るセンサを示す図面である。 請求項1または3のセンサの直線特性を示すための図面である。 特許文献1の内容を示す図面である。 非特許文献1の内容を示す図面である。
符号の説明
1,1’ 180°隔てられた磁気インピーダンス効果素子
1a,1a’ 180°隔てられた磁気インピーダンス効果素子
1b,1b’ 180°隔てられた磁気インピーダンス効果素子
Dm 差動増幅器
Ad 加算若しくは重畳回路
8 電線

Claims (3)

  1. 電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、高周波電流に基づく出力が軸方向に加えられる被検出磁界で変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向にして一対(1a、1a’)配設し、この一対に対し電線の周方向に所定の角度を隔てて更に一対(1b、1b’)配設し、各対における磁気インピーダンス効果素子(1aと1a’、1bと1b’)を感磁方向を逆極性とするように直列に接続し、素子1aと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を減算または差動増幅してセンサ出力とすることを特徴とする電線の導体欠陥検知センサ。
  2. 電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、軸方向に加えられる被検出磁界で高周波電流に基づく出力が変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした対の磁気インピーダンス効果素子1a、1a’及び1b、1b’を素子1aと素子1bとの間の電線周方向角度及び素子1a’と素子1b’との間の電線周方向角度を共に所定の角度βとするように配設し、素子1aと1b’とを同極性または逆極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを同極性とするように直列に接続するか、または素子1aと1b’とを逆極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを逆極性とするように直列に接続し、しかも素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子と素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子とを逆極性となるようにし、素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を加算または重畳してセンサ出力とすることを特徴とする電線の導体欠陥検知センサ。
  3. 電線における撚合導体の何れかの導体素線の欠陥を、撚合導体の通電電流に基づく周回路磁界の素線欠陥無しのときの周回路磁界に対する分布変化から検知する方法に使用するセンサであり、軸方向に加えられる被検出磁界で高周波電流に基づく出力が変調される磁気インピーダンス効果素子を、撚合導体電線の周りに180°の角度を隔てかつ電線中心から等距離を隔て、しかも、感磁方向を電線と同心の円周と直角方向とした対の磁気インピーダンス効果素子1a、1a’及び1b、1b’を素子1aと素子1bとの間の電線周方向角度及び素子1a’と素子1b’との間の電線周方向角度を共に所定の角度βとするように配設し、素子1aと1b’とを同極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを同極性とするように直列に接続するか、または素子1aと1b’とを逆極性とするように直列に接続し素子1bと1a’とを逆極性とするように直列に接続し、しかも素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子と素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子とを同極性となるようにし、素子1aと1b’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3a及び素子1bと1a’との直列接続磁気インピーダンス効果素子端の出力を入力して復調させる復調回路3bを設け、両復調回路の出力を減算または差動増幅してセンサ出力とすることを特徴とする電線の導体欠陥検知センサ。
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