JP4619884B2 - 鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法 - Google Patents

鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法に関し、例えば埋設鉄系パイプ、鉄筋等の埋設位置の探査や劣化診断に使用するものである。
鉄筋コンクリートの鉄筋を探査する方法として、鉄筋に交流電流を通電し、鉄筋コンクリート表面におけるその電流に基づく交流磁界を測定し、磁界がピークとなるルートを探査していくことが、いわゆる電磁的鉄筋探査法として知られている。
また、鉄筋の腐食度を測定する方法として、自然電位測定法が知られており、図7に示すように、鉄筋gにリード電線wにより電位差計mを介して照合電極s(硫酸銅電極)を接続し、この照合電極sをコンクリートCの鉄筋埋設ルートに沿い移動させ、その移動中の電位を測定し、測定電位E(v)がほ0.20<Eの場合、90%以上の確率で腐食無し、ほ0.35≦E≦−0.20の場合、不確定、E<0.35の場合、90%以上の確率で腐食在りと診断している(例えば、非特許文献1)
しかしながら、電磁的鉄筋探査法では、コンクリート埋設鉄系材への通電が可能な場合にしか適用できず、探査対象に制限がある。
また、自然電位測定法では、不確定範囲が広く、迷走電流の影響も受け易く問題がある。
近来、磁気センサとして磁気インピーダンス効果を利用したセンサが開発されている。 この磁気インピーダンス効果を利用したセンサは、ホールセンサ、磁気抵抗素子、フラックスゲートセンサ等に較べて小型、高感度、高空間分解能、高速応答性であり、このセンサを利用した磁気検出方法が提案されている。
この磁気インピーダンス効果センサを使用して漏洩磁束探傷試験法により鋼板内の欠陥を検出することも報告されている(非特許文献2)。
しかしながら、この方法では被検査体に磁界を印加する必要があり、検査対象に制限がある。
土木工学ハンドブックI,土木学会編,第9章維持管理,p1021 藤本 幸二、毛利 佳年雄,MAG−98−86,p39〜43
ところで、本発明者等の鋭意検討結果によれば、鉄系の被検査体を磁化することなく磁気インピーダンス効果型センサでスキャニングするだけでも、被検査体の欠陥を充分な精度で検出できる。
漏洩磁束探傷試験方法とは異なり、磁化することなく欠陥を検出できることは、磁気インピーダンス効果素子に印加するバイアス磁界が磁性体である鉄系被検査体にバイパスし、被検査体の欠陥に応じた被検査体のリラクタンス変化によりそのバイアス磁界が変化してセンサ出力が変化されることが関与している。
本発明の目的は、前記知見に基づき鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の探査や劣化診断を磁気インピーダンス効果センサを使用して容易に行い得る方法を提供することにある。
請求項1に係る鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法は、磁気インピーダンス効果素子にバイアス磁界用コイルを付設しその素子の出力を検波回路に通して検出するセンサを、磁気インピーダンス効果素子に励磁電流を通電しバイアス磁界用コイルに電圧を印加しつつ鉄系材埋設コンクリート構造物の表面にスキャニングさせる方法において、バイアス磁界が鉄系材へのバイパスのために鉄系材とセンサとの間の距離に応じて変化し、この変化により検出出力が変化するもとで、前記距離が最も近接したときに検出出力が最大となるようにし、前記センサを鉄系材埋設コンクリート構造物表面に前記検出出力が最大となるようにスキャニングさせて鉄系材を探査することを特徴とする。
請求項2に係る鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法は、磁気インピーダンス効果素子にバイアス磁界用コイルを付設しその素子の出力を検波回路に通して検出するセンサを、磁気インピーダンス効果素子に励磁電流を通電しバイアス磁界用コイルに電圧を印加してバイアス磁界を発生させつつ鉄系材埋設コンクリート構造物の埋設鉄系材上の構造物表面にスキャニングさせ、このスキャニング中、バイアス磁界が鉄系材にバイパスされることにより生じるバイアス磁界の変化に基づく検出出力の変化から鉄系材の長手方向に沿っての劣化度を診断することを特徴とする。
請求項3に係る鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法は、請求項1または2の鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法において、軸方向を相互に異ならせて多数箇の磁気インピーダンス効果素子を組み合わせた多次元磁気インピーダンス効果素子を備えたセンサを使用することを特徴とする。
請求項4に係る鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法は、請求項1〜3何れかの鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法において、1次元〜多次元の磁気インピーダンス効果素子を並設し、それら素子の検波出力を多チャンネル化することを特徴とする。
請求項5に係る鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法は、請求項1〜4何れかの鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法において、各チャンネルの検出信号を空間的に離れた場所に無線で送信する送信手段を付設することを特徴とする。
(1)磁気インピーダンス効果素子としてのアモルファスワイヤにおいては、円周方向に易磁化性の外殻郭を有し、励磁電流による円周方向磁界が円周方向からずらされると、周方向透磁率μθが変化し、インダクタンス及び表皮効果に基づく抵抗の変化によりインピーダンスが変化し、磁気インピーダンス効果素子の出力が変化する。而るに、埋設鉄管や鉄筋が腐食・減肉されてその透磁性等の磁気特性が変化し、コンクリート表面に移動されつつある磁気インピーダンス効果素子の励磁電流による円周方向磁界が前記埋設鉄管や鉄筋の腐食・減肉による磁気インピーダンス効果素子近傍電磁場の透磁性の変化によりその円周方向からずらされて磁気インピーダンス効果素子の出力が変化される。従って、その出力変化を腐食・減肉情報として埋設鉄系材の腐食・減肉程度を判定できる。
(2)バイアス磁界用コイルが発生するバイアス磁界に対し、埋設鉄系材もその磁界の回路の一部となり、バイアス磁界の強さが埋設鉄系材の腐食・減肉の程度に応じて変化する。このバイアス磁界が磁気インピーダンス効果素子としてのアモルファスワイヤ内を軸方向に通過するから、励磁電流による円周方向磁界が円周方向からずらされ、そのずれの程度が埋設鉄系材の腐食・減肉の程度に応じて変化される。従って、磁気インピーダンス効果素子の出力変化が埋設鉄系材の腐食・減肉の程度に相関し、その出力変化から埋設鉄系材の腐食・減肉の程度を判定できる。
(3)磁気インピーダンス効果素子を多次元の構成として埋設鉄系材の腐食・減肉上方を多方向から得ているから、埋設鉄系材が鉄筋のような線状体であっても、腐食・減肉情報を高感度で得ることができる。
(4)磁気インピーダンス効果素子の複数箇を並列に配設しており、その配設方向と直交方向に劣化診断装置をスキャニングするにあたりスキャニング回数を少なくできるから、作業工数を減少できる。
(5)多チャンネル化しており、各チャンネルの検出信号を無線方式でコンピュータに送信して埋設鉄系材の劣化状態を遠隔から容易に検出できる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明において使用する磁気インピーダンス効果センサの回路図を示している。
図1において、1は磁気インピーダンス効果素子であり、自発磁化の方向がワイヤ周方向に対し互いに逆方向の磁区が交互に磁壁で隔てられた構成の外殻部を有する、零磁歪乃至は負磁歪のアモルファス合金ワイヤが使用される。かかる零磁歪乃至は負磁歪のアモルファス磁性ワイヤに高周波励磁電流を流したときに発生するワイヤ両端間出力電圧中のインダクタンス電圧分は、ワイヤの横断面内に生じる円周方向磁束によって上記の円周方向に易磁化性の外殻部が円周方向に磁化されることに起因して発生する。従って、周方向透磁率μθは同外殻部の円周方向の磁化に依存する。而るに、この通電中のアモルファスワイヤの軸方向に信号磁界を作用させると、上記通電による円周方向磁束と信号磁界磁束との合成により、上記円周方向に易磁化性を有する外殻部に作用する磁束の方向が円周方向からずれ、それだけ円周方向への磁化が生じ難くなり、上記周方向透磁率μθが変化し、上記インダクタンス電圧分が変動することになる。この変動現象は磁気インダクタンス効果と称され、これは上記高周波励磁電流(搬送波)が信号磁界(信号波)で変調される現象ということができる。更に、上記通電電流の周波数がMHzオ−ダになると、高周波表皮効果が大きく現れ、表皮深さδ=(2ρ/wμθ1/2(μθは前記した通り円周方向透磁率、ρは電気抵抗率、wは角周波数をそれぞれ示す)がμθにより変化し、このμθが前記した通り、信号磁界によって変化するので、ワイヤ両端間出力電圧中の抵抗電圧分も信号磁界で変動するようになる。この変動現象は磁気インピーダンス効果と称され、これは上記高周波励磁電流(搬送波)が信号磁界(信号波)で変調される現象ということができる。
図1において、2は磁気インピーダンス効果素子に高周波励磁電流を加えるための高周波電流源回路、3は磁気インピーダンス効果素子の軸方向に作用する信号磁界H(信号波)で前記高周波励磁電流(搬送波)を変調させた被変調波を復調する検波回路、4は復調波を増幅する増幅回路、5は出力端、6は負帰還用コイル、7はバイアス磁界用コイルである。
磁気インピーダンス効果素子1には、零磁歪乃至は負磁歪のアモルファスワイヤの外、アモルファスリボン、アモルファススパッタ膜等も使用できる。
磁気インピーダンス効果素子1においては、前記した通り励磁電流に基づく円周方向磁束と信号磁界による軸方向磁束との合成により、円周方向に易磁化性を有する外殻部に作用する磁束の方向が円周方向からずらされるために、周方向透磁率μθが変化し、インダクタンスが変動され、この円周方向透磁率μθの高周波表皮効果の表皮深さの変化でインピーダンスが変動される。従って、信号磁界の±により上記合成磁界による周方向ずれφも±φになるが、周方向の磁界の減少倍率cos(±φ)は変わらず、従ってμθの減少度は信号磁界の方向の正負によっては変化されない。従って、信号磁界−出力特性は、図2の(イ)のように信号磁界をx軸に、出力をy軸にとると、y軸に対してほぼ左右対称となる。この信号磁界−出力特性は非線形である。非線形特性では、不安定であり、高感度の測定も困難である。そこで、負帰還用コイルで負帰還をかけて図2の(ロ)に示すように出力特性を直線化している。しかし、この出力特性では、信号磁界の極性判別を行ない得ないので、バイアス用コイル7でバイアス磁界をかけ、図2の(ハ)に示すように極性判別可能としている。すなわち、図2の(ロ)の特性を、図2の(ハ)に示すようにバイアス磁界−Hbによりx軸のマイナス方向に移動させ、信号磁界の最大検出範囲を単斜め線領域の範囲内−Hmax〜+Hmaxに納めている。
図2の(ハ)から、バイアス磁界の変化ΔHbによって信号磁界Hexが0のときの出力が変化することが理解できる。
上記磁気インピーダンス効果素子1としては、遷移金属と非金属の合金で非金属が10〜30原子%組成のもの、特に遷移金属と非金属との合金で非金属量が10〜30原子%を占め、遷移金属がFeとCoで非金属がBとSiであるかまたは遷移金属がFeで非金属がBとSiである組成のものを使用することができ、例えば、組成Co70.515Si10Fe4.5、長さ2000μm〜6000μm、外径30μm〜50μmφのものを使用できる。
上記において、高周波励磁電流には、例えば連続正弦波、パスル波、三角波等の通常の高周波を使用でき、高周波励磁電流源としては、例えばハートレー発振回路、コルピッツ発振回路、コレクタ同調発振回路、ベース同調発振回路のような通常の発振回路の外、水晶発振器の矩形波出力を直流分カットコンデンサを経て積分回路で積分しこの積分出力の三角波を増幅回路で増幅する三角波発生器、COMS−ICを発振部として使用した三角波発生器等を使用できる。
上記の検波回路としては、例えば被変調波を演算増幅回路で半波整流しこの半波整流波を並列RC回路またはRCローパスフィルターで処理して半波整流波の包絡線出力を得る構成、被変調波をダイオードで半波整流しこの半波整流波を並列RC回路またはRCローパスフィルターで処理して半波整流波の包絡線出力を得る構成等を使用できる。
また、被変調波(周波数fs)に同調させた周波数fsの方形波を被変調波に乗算して信号波をサンプリングする同調検波を使用することができる。
上記の実施例では、被変調波の復調によって被検出磁界を取り出しているが、これに限定されず、磁気インピーダンス効果素子に作用する信号磁界(信号波)で変調された高周波励磁電流波(搬送波)から信号磁界を検波し得るものであれば、適宜の検波手段を使用できる。
前記負帰還用コイル及びバイアス磁界用コイルは磁気インピーダンス効果素子に巻き付けることができる。また、図3に示すように磁気インピーダンス効果素子とループ磁気回路を構成する鉄芯に負帰還用コイル及びバイアス磁界用コイルを巻き付けることもできる。 図3の(イ)は鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットの一例を示す側面図、図3の(ロ)は同じく底面図、図3の(ハ)は図3の(ロ)におけるハ−ハ断面図である。
図3において、100は基板チツプであり、例えばセラミックス板を使用できる。101は基板片の片面に設けた電極であり、磁気インピーダンス効果素子接続用突部102を備えている。この電極は導電ペースト、例えば銀ペーストの印刷・焼付けにより設けることができる。1xは電極101,101の突部102,102間にはんだ付けや溶接により接続した磁気インピーダンス効果素子であり、前記した通り零磁歪乃至負磁歪のアモルファスワイヤ、アモルファスリボン、スパッタ膜等を使用できる。103は鉄やフェライト等からなるC型鉄芯、6xはC型鉄芯に巻装した負帰還用コイル、7xは同じくバイアス磁界用コイルであり、磁気インピーダンス効果素子1xとC型鉄芯103とでループ磁気回路を構成するように、C型鉄芯103の両端を基板片100の他面に接着剤等で固定してある。鉄芯材料としては、残留磁束密度の小さい磁性体であればよく、例えば、パーマロイ、フェライト、鉄、アモルファス磁性合金の他、磁性体粉末混合プラスチック等を挙げることができる。
本発明により鉄系材埋設コンクリート構造物の埋設鉄系材、例えば鉄パイプを探査するには、図4−1の(イ)〔平面図〕及び(ロ)〔図4−1の(イ)におけるロ−ロ断面図〕に示すように鉄系材埋設コンクリート構造物Cの表面に沿い前記の磁気インピーダンス効果センサSeをスキャニングさせていく。
図4−2はスキャニング中でのバイアス磁界の作用状態を示している。
図4−1及び4−2において、1xは図3に示した鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットの磁気インピーダンス効果素子を、103は鉄芯を、7xはバイアス磁界用コイルを、gは鉄パイプをそれぞれ示しており、鉄パイプgが磁性体であるから、鉄パイプgにバイアス磁界がバイパスされる。
鉄芯103のリラクタンスをR103、磁気インピーダンス効果素子1xのリラクタンスをR、鉄パイプgのリラクタンスをR、磁気インピーダンス効果素子端と鉄パイプ間のリラクタンスをR、バイアス電流をI、バイアス磁界用コイル7xの巻数をN、磁気インピーダンス効果素子1xを通るバイアス磁束をBとすると、そのバイアス磁束は図4−3に示す等価回路の電流Bで与えられ、バイアス磁界Hbは磁気インピーダンス効果素子の透磁率をμとして
Hb=B/μ
で与えられる。
本発明者等の検証結果によれば、図4−1に示す距離xの大小に応じて検出出力が変動する。
これは、バイアス磁界B/μ(Hb)が変化して図2の(ハ)に示した外部磁界Hex=0のときの検出出力Eoutが変動するためであると認められる。
図4−1における距離xが大になると、検出出力の変動は生じない。これは磁気インピーダンス効果素子端と鉄パイプ間のリラクタンスRが大となり、鉄パイプ(リラクタンスR)にバイアス磁界がバイパスされずに磁気インピーダンス効果素子を通るバイアス磁束Bが一定になるためと認められる。
図4−1において、距離xを0とするように磁気インピーダンス効果センサSeをスキャニングさせていけば、そのスキャニング軌跡が鉄系パイプgの直上となり、そのときの検出出力は最大となる。従って、検出出力を最大とするように磁気インピーダンス効果センサをスキャニングさせていけば、鉄パイプの埋設ルートを探査できる。
この場合、鉄パイプに腐食・減肉等の劣化が生じていると、その劣化の程度に応じてリラクタンスが変化し、そのリラクタンスの変化に応じ前記最大検出出力が変動して劣化情報が発信される。前記では鉄系材の長手方向のみからからリラクタンス変化を把握しているが、この長手方向をz方向としてx方向やy方向など多次元的にリラクタンス変化を把握すれば、より高精度の劣化情報を得ることができる。
従って、3個の磁気インピーダンス効果素子をx軸方向、y軸方向、z軸方向に向けて組む合わせた3次元磁気インピーダンス効果センサを使用することが好ましい。
図5は3次元磁気インピーダンス効果センサの一例の要部を示し、フレキシブル基板pの片面に鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットU1zをz軸方向に、同フレキシブル基板pの他面に鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットU1xをx軸方向に、同フレキシブル基板pの折曲げ立上げ面p’に鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットU1yをy軸方向にそれぞれ装着し、これら3個の鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットの磁気インピーダンス効果、バイアス磁界用コイル、負帰還用コイルのそれぞれを直列に接続してある。
図6−1は本発明において使用する前記とは別のセンサの回路図を、図6−2はセンサの外観図をそれぞれ示している。
図6−1において、C1〜Cnは複数箇のチャンネル検出系であり、11〜1nは磁気インピーダンス効果素子を、71〜7nは各磁気インピーダンス効果素子に対するバイアス磁界用コイルを、31〜3nは各磁気インピーダンス効果素子に対する検波回路を、41〜4nは増幅回路を、61〜6nは負帰還用コイルをそれぞれ示している。
811〜81nは各チャンネルの検出信号をディジタル化し各ディジタル信号で各チャンネルの周波数の搬送波を変調する多チャンネルA/D変換・変調器、82は変調信号波を無線方式で送信する多チャンネル送信器、83は受信器、84は受信波を復調してディジタル信号を取出したうえで解析するコンピュータである。
利用できる無線の方式としては、SS無線、ブルーテゥース、無線LAN、赤外線等を挙げることができ、特に、無線LANの使用が好ましい。
図6−2において、Pは基板である。1u1〜1unは図3に示した鉄芯コイル付の磁気インピーダンス効果ユニットであり、チャンネル数分の本数を基板Pの縁端部に縦方向の向きで並列に配設してある。Bは励磁電流源回路や全チャンネルの検波回路及び増幅回路を集積したIC回路、Eは励磁電流源回路に対する+Vcc電源やバイアス磁界用コイルの+Vcc電源や増幅回路の+Vcc電源としてのバッテリーである。810は各チャンネルの検出信号をディジタル化する多チャンネルA/D変換器、820は各ディジタル信号で各チャンネルの周波数の搬送波を変調して無線方式で送信する無線式送信器、834は変調波を受信し復調してディジタル信号を取出し解析するコンピュータである。
このセンサを使用して本発明により鉄系材埋設コンクリート構造物の埋設鉄系材を探査するには、センサで鉄系材埋設コンクリート構造物の表面をスキャニングしていく。
出力変化が生じたチャンネルの磁気インピーダンス効果素子が通過した経路に鉄系材が埋設されていることを知り得、その出力を解析することによりその鉄系材の劣化程度を診断できる。また、チャンネルに対応した周波数の搬送波をこの各チャンネルの検出信号で変調して無線方式でコンピュータに送信し、各チャンネルの変調波を復調して各チャンネルの信号をコンピュータで解析しており、遠隔から探査・診断できる。
図6−3は埋設鉄系材が排水鉄パイプのような単一条の場合の診断方法を示し、センサを鉄パイプ埋設コンクリート構造物の表面に沿い鉄パイプの長手方向にスキャンニングさせていき、図6−3の(イ)に示すように鉄パイプgに最も近い距離をとる磁気インピーダンス効果ユニットが1umであるとすると、図6−3の(ロ)に示すようにチャンネルmにのみ鉄系材探査情報を出力させることができ、その出力変動を解析して鉄パイプの劣化程度を診断できる。
図6−4は埋設鉄系材が鉄筋のような平行多数条の場合の診断方法を示し、センサを鉄筋コンクリート構造物の表面に沿い鉄筋の長手方向にスキャンニングさせていき、図6−4の(イ)に示すように鉄筋gに近い距離をとる磁気インピーダンス効果ユニットが1u3,1u7,1u11であるとすると、図6−4の(ロ)に示すようにチャンネル3,7,11に鉄系材探査情報を出力させることができ、その出力変動を解析して鉄筋の劣化程度を診断できる。この場合、磁気インピーダンス効果ユニットの間隔は鉄筋の間隔よりも充分に狭く設定することが有効であり、通常、3mm〜30mmとされる。
図6−5はチャンネル出力の実測結果の一例を示し、スキャニング距離1000mmの間で出力が変化しており、この出力変化位置から鉄系構造物埋設壁面の位置を特定することにより鉄系構造物の欠陥位置を探知できる。
上記の例では、1チャンネルに対して一個の一次元または多次元磁気インピーダンス効果素子を使用しているが、スキャンニング方向に対して所定の距離を隔てて配置した二箇の一次元または多次元磁気インピーダンス効果素子を1チャンネルに対し用い、両磁気インピーダンス効果素子の出力を差動増幅するようにすることもできる。図4−2において、磁気インピーダンス効果素子の方向を縦方向とすれば、例えば、縦方向の二個並設、横方向の二個並設、横方向の二個従属とすることができる。このようにすれば、外部磁界ノイズや内部ノイズを差動のために打ち消すことができる。
本発明は鉄筋コンクリート構造物(例えば原子力発電所の基礎、ダム)やブロック塀の鉄筋の探査や劣化診断、鉄筋コンクリート住宅における配管鉄パイプの探査や劣化診断に特に好適に使用できる。
本発明において使用する磁気インピーダンス効果センサを示す回路図である。 磁気インピーダンス効果素子の検出特性を示す図面である。 前記磁気インピーダンス効果センサにおいて使用する鉄芯コイル付き磁気インピーダンス効果ユニットを示す図面である。 本発明に係る鉄系材埋設コンクリート構造の埋設鉄系材の診断方法を説明するために使用した図面である。 本発明におけるスキャニング中でのバイアス磁界の作用状態を示す図面である。 本発明におけるスキャニング中でのバイアス磁界の磁気回路と等価の電流回路を示す図面である。 本発明において使用する磁気インピーダンス効果センサの別例の要部を示す図面である。 本発明において使用する磁気インピーダンス効果センサ装置の回路図である。 同上磁気インピーダンス効果センサ装置の外観を示す図面である。 同上磁気インピーダンス効果センサ装置を使用した本発明の実施例を示す図面である。 同上磁気インピーダンス効果センサ装置を使用した本発明の別実施例を示す図面である。 同上磁気インピーダンス効果センサ装置の検出波形の一例を示す図面である。 従来例を示す図面である。
符号の説明
1 磁気インピーダンス効果素子
2 励磁電流源回路
3 検波回路
4 増幅回路
C 鉄系材埋設コンクリート構造物
g 埋設鉄系材
C1〜Cn 一チャンネル分の検出回路
11〜1n 磁気インピーダンス効果素子
71〜7n バイアス磁界用コイル
811〜81n A/D変換・変調器
82 無線式送信器
83 受信器
84 コンピュータ

Claims (5)

  1. 磁気インピーダンス効果素子にバイアス磁界用コイルを付設しその素子の出力を検波回路に通して検出するセンサを、磁気インピーダンス効果素子に励磁電流を通電しバイアス磁界用コイルに電圧を印加しつつ鉄系材埋設コンクリート構造物の表面にスキャニングさせる方法において、バイアス磁界が鉄系材へのバイパスのために鉄系材とセンサとの間の距離に応じて変化し、この変化により検出出力が変化するもとで、前記距離が最も近接したときに検出出力が最大となるようにし、前記センサを鉄系材埋設コンクリート構造物表面に前記検出出力が最大となるようにスキャニングさせて鉄系材を探査することを特徴とする鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法。
  2. 磁気インピーダンス効果素子にバイアス磁界用コイルを付設しその素子の出力を検波回路に通して検出するセンサを、磁気インピーダンス効果素子に励磁電流を通電しバイアス磁界用コイルに電圧を印加してバイアス磁界を発生させつつ鉄系材埋設コンクリート構造物の埋設鉄系材上の構造物表面にスキャニングさせ、このスキャニング中、バイアス磁界が鉄系材にバイパスされることにより生じるバイアス磁界の変化に基づく検出出力の変化から鉄系材の長手方向に沿っての劣化度を診断することを特徴とする鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法。
  3. 軸方向を相互に異ならせて多数箇の磁気インピーダンス効果素子を組み合わせた多次元磁気インピーダンス効果素子を備えたセンサを使用することを特徴とする請求項1または2記載の鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法。
  4. 1次元〜多次元の磁気インピーダンス効果素子を並設し、それら素子の検波出力を多チャンネル化することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法。
  5. 各チャンネルの検出信号を空間的に離れた場所に無線で送信する送信手段を付設することを特徴とする請求項1〜4何れか記載の鉄系材埋設コンクリート構造物の鉄系材の診断方法。
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