JP4285526B2 - 圧延銅箔およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延銅箔に関し、特に、フレキシブルプリント配線板等の可撓性配線部材に好適な、優れた屈曲特性を有する圧延銅箔及びその製造方法に関するものである。
フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと称す)は、厚みが薄く可撓性に優れる特徴から、電子機器等への実装形態における自由度が高い。そのため、現在では、折り畳み式携帯電話の折り曲げ部、デジタルカメラ、プリンターヘッドなどの可動部、ならびに、HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disc),CD(Compact Disk)など、ディスク関連機器の可動部の配線等にFPCが広く用いられている。
FPCの導電体としては、種々の表面処理が施された純銅箔または銅合金箔(以下、単に「銅箔」という)が一般的に用いられている。銅箔は、その製造方法の違いにより、電解銅箔と圧延銅箔に大別される。FPCは、前述のように繰り返し可動する部分の配線材として用いられることから優れた屈曲特性(例えば、100万回以上の屈曲特性)が要求され、銅箔として圧延銅箔が使用されることが多い。
一般的に、圧延銅箔は、原材料となるタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)や無酸素銅(JIS H3100 C1020)の鋳塊に熱間圧延を施した後、所定の厚さまで冷間圧延と中間焼鈍を繰り返し施すことによって製造される。FPC用の圧延銅箔に要求される厚さは、通常、50μm以下であるが、最近では十数μm以下と更に薄くなる傾向にある。
FPCの製造工程は、概略的に、「FPC用銅箔と、ポリイミドなどの樹脂からなるベースフィルム(基材)を貼り合わせてCCL(Copper Claded Laminate)を形成する工程(CCL工程)」、「該CCLにエッチング等の手法により回路配線を形成する工程」、「該回路上に配線保護のための表面処理を行う工程」などから構成されている。CCL工程には、接着剤を介して銅箔と基材を積層した後、熱処理により接着剤を硬化して密着させる(3層CCL)方法と、接着剤を介さず、表面処理の施された銅箔を基材に直接張り合わせた後、加熱・加圧により一体化する(2層CCL)方法の2種類がある。
ここで、FPCの製造工程においては、製造の容易性の観点から冷間圧延加工上がり(加工硬化した硬質な状態)の銅箔が用いられることが多い。銅箔が焼鈍された(軟化した)状態にあると、銅箔の裁断や基材との積層時に、製品不良となる銅箔の変形(例えば、伸び、しわ、折れ、等)が生じ易いためである。
一方、銅箔の屈曲特性は、再結晶焼鈍を行うことにより、圧延加工上がりよりも著しく向上する。そこで、上述のCCL工程における基材と銅箔を密着・一体化させるための熱処理で、銅箔の再結晶焼鈍を兼ねる製造方法が一般的に選択されている。なお、このときの熱処理条件は、180〜300℃で1〜60分間(代表的には200℃で30分間)であり、銅箔は再結晶組織に調質した状態となる。
FPCの屈曲特性を高めるためには、その素材となる圧延銅箔の屈曲特性を高めることが有効である。また、一般的に、再結晶焼鈍後の銅箔の屈曲特性は、立方体集合組織が発達するほど向上することが知られている。なお、一般に言われている「立方体集合組織が発達」とは、圧延面において{200}Cu面の占有率が高いこと(例えば、85%以上)のみを意味する。
従来、屈曲特性に優れた圧延銅箔として、最終圧延加工度を高くすること(例えば、90%以上)によって立方体集合組織を発達させる方法や、再結晶焼鈍後の立方体集合組織の発達度合を規定した銅箔(例えば、圧延面のX線回折で求めた(200)面の強度が、粉末X線回折で求めた(200)面の強度の20倍より大きい)、銅箔板厚方向の貫通結晶粒の割合を規定した銅箔(例えば、断面面積率で40%以上)、微量添加元素の添加により軟化温度を制御した銅箔(例えば、120〜150℃の半軟化温度に制御)、双晶境界の長さを規定した銅箔(例えば、長さ5μmを超える双晶境界が1mmの面積あたり合計長さ20mm以下)、微量添加元素の添加により再結晶組織を制御した銅箔(例えば、Snを0.01〜0.2質量%添加し、平均結晶粒径を5μm以下、最大結晶粒径を15μm以下に制御)などが報告されている(例えば、特許文献1乃至7参照)。
特許第3009383号公報 特開2006−117977号公報 特開2000−212661号公報 特開2000−256765号公報 特開2001−323354号公報 特開2001−262296号公報 特開2005−68484号公報
しかしながら、近年、電子機器類の小型化、高集積化(高密度実装化)や高性能化等の進展に伴い、FPCには従来よりも更なる高屈曲特性の要求が益々高まってきている。FPCの屈曲特性は実質的に銅箔のそれによって決まるため、要求を満たすためには銅箔の屈曲特性を更に向上させることが必須である。
従って、本発明の目的は、フレキシブルプリント配線板(FPC)等の可撓性配線部材に適しており、従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を提供することにある。さらには、従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を安定して製造できる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、圧延銅箔における再結晶焼鈍による立方体集合組織形成に関する金属結晶学的な詳細検討により、再結晶焼鈍前の結晶粒配向状態、再結晶焼鈍後の結晶粒配向状態および屈曲特性の間に特定の相関関係があることを解明したことに基づき、本発明を完成した。
本発明は、上記目的を達成するため、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔において、圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、前記圧延面の{200}Cu面に対する{111}Cu面の面内配向度Δβが10°以下であり、かつ前記X線回折極点図測定のα=35°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[a]とα=74°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[b]の比が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有することを特徴とする圧延銅箔を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔において、前記圧延面に対するX線回折2θ/θ測定により得られる結果で、銅結晶の回折ピークの90%以上が{200}Cu面であり、かつ前記{200}Cu面のX線回折ロッキングカーブ測定により得られる結果で、該回折ピークの半価幅Δθが10°以下であることを特徴とする圧延銅箔を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前の圧延銅箔において、圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、各α角度におけるβ走査で得られる{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度をプロットした際に、前記α角度が35〜75°の範囲における前記規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在する結晶粒配向状態を有することを特徴とする圧延銅箔を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る圧延銅箔としてSnを0.001〜0.009質量%含み、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金であることを特徴とする圧延銅箔を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔において、圧延面で観察される当該再結晶粒の平均粒径が40μm以上であることを特徴とする圧延銅箔を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前の圧延銅箔における圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、各α角度におけるβ走査で得られる{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度をプロットした際に、前記α角度が35〜75°の範囲における前記規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在する圧延銅箔の製造方法であって、再結晶焼鈍の前の最終冷間圧延工程における総加工度を94%以上とし、かつ1パスあたりの加工度を15〜50%に制御することを特徴とする圧延銅箔の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る圧延銅箔の製造方法であって、再結晶焼鈍の前の最終冷間圧延工程において、「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の加工度を15〜25%に制御することを特徴とする圧延銅箔の製造方法を提供する。
本発明によれば、フレキシブルプリント配線板(FPC)等の可撓性配線部材に適しており、従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を提供することができる。また、従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を安定して製造する製造方法を提供することができる。
本発明に関係する銅結晶の主な結晶面を示す模式図を図1に示す。銅の結晶構造は立方晶であることから、各結晶面及び面方向は次のような関係にある。
{111}Cu面と{100}Cu面のなす角度は55°、
{111}Cu面と{110}Cu面のなす角度は35°、
{111}Cu面と{112}Cu面のなす角度は90°、
{111}Cu面と<112>Cu方向は平行
である。
なお、{ }は面を、< >は面方向を表すものとする。
図2は、X線回折(以下、XRDと表記する場合もある)における入射X線、検出器、試料、走査軸の関係を示す概略図である。以下、図2を用いてXRDによる圧延銅箔の結晶粒配向状態に関する評価方法を説明する。なお、図2における3つの走査軸は、一般的に、θ軸が試料軸、α軸があおり軸、β軸が面内回転軸と呼ばれている。また、本発明におけるX線回折は、すべてCu Kα線によるものとする。
入射X線に対して、試料と検出器をθ軸で走査し、試料の走査角をθ、検出器の走査角を2θで走査する測定方法を2θ/θ測定という。2θ/θ測定によって、多結晶体である圧延銅箔の試料面(本発明では圧延面)において、どの結晶面が優勢であるのか(圧延面における占有率)が評価できる。
ある1つの回折面{hkl}Cuに着目して、着目した{hkl}Cu面の2θ値に対し(検出器の走査角2θを固定し)、試料のみをθ軸走査させる測定方法をロッキングカーブ測定という。この測定による{hkl}Cu面ピークの半価幅をΔθと定義すると、Δθで{hkl}Cu面の圧延面垂直方向の配向度が評価できる。このとき、Δθの値が小さいほど圧延面に垂直方向の結晶配向性に優れているといえる。言い換えると、銅の結晶構造は立方晶であることから、Δθは圧延面の垂直方向に対して立方体がどの程度のばらつきで傾いているかを表していると考えることができる。
ある1つの回折面{hkl}Cuに着目して、着目した{hkl}Cu面の2θ値に対し(検出器の走査角2θを固定し)、α軸走査をステップで行い、各α値に対して試料をβ軸走査(0〜360°まで面内回転(自転))させる測定方法を極点図測定という。この測定により、着目した{hkl}Cu面が圧延面の垂直方向から傾いている程度を評価できる。
なお、本発明のXRD極点図測定では、試料面に垂直方向をα=90°と定義し、測定の基準とする。また、極点図測定には、反射法(α=15〜90°)と透過法(α=0〜15°)があるが、本発明における極点図測定は、反射法(α=15〜90°)のみの測定とする。
極点図測定の特徴を利用した評価方法の1つに面内配向測定がある。これは、着目した{hkl}Cu面と幾何学的に対応する結晶面{h'k'l'}Cuが該{hkl}Cu面となす角度をα'とした場合、「α=90−α'」となるようにα軸走査し(試料を傾け)、{h'k'l'}Cu面の2θ値に対して(検出器の走査角2θを固定して)、試料をβ軸走査(0〜360°まで面内回転(自転))させる測定方法である。この測定による{h'k'l'}Cu面ピークの半価幅の平均をΔβと定義すると、Δβで{hkl}Cu面の圧延面内2軸方向の配向度が評価できる。このとき、Δβの値が小さいほど圧延面内方向の結晶配向性に優れているといえる。言い換えると、Δβは圧延面内において立方体がどの程度のばらつきで回転しているか(「碁盤の目」状からずれているか)を表していると考えることができる。
〔本発明の第1の実施の形態〕
(面内配向測定)
本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、立方体集合組織の{200}Cu面に対し55°の位置関係にある{111}Cu面のXRD面内配向測定による半価幅が10°以下であることを特徴とする。
図3は、本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面の{200}Cu面に対し55°(測定条件上、α=35°)の位置関係にある{111}Cu面のXRD面内配向測定を行った結果の1例である。図3から明らかなように、4本のピーク、すなわち4回対称性の回折ピークが現れている(圧延方向をβ=0°とした場合、各々のピークの中心は、例えば、β≒45°, 135°, 225°, 315°となる)。立方体集合組織が発達していれば(例えば、圧延面の約90%以上を再結晶粒の{200}Cu面が占めていれば)、β走査で前記4本のピーク以外はほとんど検出されない。また、{111}Cu面の面内配向測定によるΔβは10°以下である(4本のピークの平均)。この結果は、{111}Cu面が圧延面内方向に良く配向した(良好な結晶粒配向度を有する)圧延銅箔であることを示している。
一方、{111}Cu面のΔβが10°を超えると、従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、Δβは10°以下とする。より望ましくは9.5°以下であり、更に望ましくは9°以下である。
なお、{200}Cu面と{100}Cu面は平行であるので、{200}Cu面と{111}Cu面のなす角度は当然55°である(図1参照)。
(規格化平均強度の比)
また、本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面を基準としたX線回折極点図測定のα=35°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[a]とα=74°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[b]の比が、[a]/[b]≧3であることを特徴とする。
ここで、規格化平均強度Rとは、XRD極点図測定において、各α角度におけるβ軸走査(面内回転軸走査)による所定の{hkl}Cu回折ピーク強度を平均化したカウント数であり、次式(詳細は下記文献を参照)により算出することができる。なお、規格化の計算は通常コンピューターで実施される。
=I / Istd
ここで、
:補正強度(バックグラウンド補正、吸収補正)
std:計算で求めた規格化するための強度
である。
(文献名)「RAD システム応用ソフトウェア 集合組織解析プログラム 取扱説明書(説明書番号:MJ201RE)」,理学電機株式会社,p.22〜23.
(文献名)「CN9258E101 RINT2000シリーズ アプリケーションソフトウェア 正極点 取扱説明書(説明書番号:MJ10102A01)」理学電機株式会社,p.8〜10.
また、XRDピーク強度を規格化して用いる理由は、XRD測定の際の管電圧や管電流などの条件設定の違いによる影響をなくして比較できるようにするためである(実質的に装置依存性がなくなる)。
一方、圧延面の{200}Cu面に対する{111}Cu面のXRD極点図測定におけるα=35°の規格化平均強度[a]と、α=74°の規格化平均強度[b]には、それぞれ次のような意味がある。
前述したように、圧延面の{200}Cu面に対する{111}Cu面のなす角度は幾何学的に55°であるので、α=35°(=90°−55°)となる。規格化平均強度[a]は、圧延面の{200}Cu面に対応する{111}Cu面の回折強度である。言い換えると、圧延面における{200}Cu面の規格化した回折強度を意味する。
同様に、圧延面の{200}Cu面と、該{200}Cu面の双晶領域に対する{111}Cu面のなす角度は幾何学的に16°であるので、α=74°(=90°−16°)となる。規格化平均強度[b]は、圧延面の{200}Cu面の双晶領域に対応する{111}Cu面の回折強度である。言い換えると、圧延面における{200}Cu面の双晶領域に対する規格化した回折強度を意味する。
したがって、[a]/[b]は、圧延面における立方体集合組織である{200}Cu面とその双晶関係にある結晶領域との規格化した回折強度比を意味している。
図4は、本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定により得られる結果の1例である。図4から明らかなように、α=35°における{111}Cu面の規格化平均強度[a]とα=74°における規格化平均強度[b]の比は[a]/[b]≧3である。この結果は、{200}Cu面が主体である立方体集合組織において、{200}Cu面の双晶組織(双晶領域)が少ない圧延銅箔であることを示している。
一方、規格化平均強度の比が[a]/[b]<3となると、従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、[a]/[b]≧3とする。より望ましくは[a]/[b]≧3.5であり、更に望ましくは[a]/[b]≧4である。
〔本発明の第2の実施の形態〕
(2θ/θ測定)
本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面が当該再結晶粒の{200}Cu面に強く配向しており、その占有率が90%以上であることを特徴とする。
図5は、本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面に対してX線回折2θ/θ測定を行った結果の1例である。図5から明らかなように、圧延面は当該再結晶粒の{200}Cu面に強く配向しており、その占有率は90%以上である。これは、立方体集合組織が発達した圧延銅箔であることを示している。
一方、{200}Cu面の占有率が90%未満であると、従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、占有率は90%以上とする。より望ましくは92%以上であり、更に望ましくは94%以上である。
なお、前記占有率は次のように定義した。
占有率(%)=[I{200}Cu / (I{111}Cu+I{200}Cu+I{220}Cu+I{311}Cu)] × 100
ここで、
I{200}Cu:{200}Cu面の回折ピーク強度
I{111}Cu:{111}Cu面の回折ピーク強度
I{220}Cu:{220}Cu面の回折ピーク強度
I{311}Cu:{311}Cu面の回折ピーク強度
である。
(ロッキングカーブ測定)
また、本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面で強く配向している{200}Cu面のロッキングカーブ測定による半価幅が10°以下であることを特徴とする。
本発明では、前述した圧延面の90%以上を占める再結晶粒の{200}Cu面の回折線に着目し、{200}Cu面の結晶粒配向度Δθを評価する。図6は、本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面に対して{200}Cu面のXRDロッキングカーブ測定を行った結果の1例である。図6から明らかなように、{200}Cu面のロッキングカーブ測定によるΔθは10°以下である。この結果は、{200}Cu面が圧延面の垂直方向に良く配向した(良好な結晶粒配向度を有する)圧延銅箔であることを示している。
一方、{200}Cu面のΔθが10°を超えると、従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、Δθは10°以下とする。より望ましくは9.5°以下であり、更に望ましくは9°以下である。
ここまでの結晶粒配向状態をまとめる。本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、{111}Cu面の良好な圧延面内配向度、{200}Cu面の良好な圧延面垂直方向配向度、および占有率90%以上の立方体集合組織を考え合わせた場合、銅の立方晶が3次元的に良く揃った結晶構造を有しているということができる。
(高屈曲特性化のメカニズム)
つぎに、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔の高屈曲特性化のメカニズムについて説明する。
金属結晶に応力が掛かると、転位は結晶のすべり面に沿って移動しやすいが、結晶粒界は、一般的に転位の移動に対する障害物となる。多結晶体である圧延銅箔において、屈曲運動により転位が結晶粒界等に集積すると、集積箇所でクラックが生じやすくなり、いわゆる金属疲労を起こすと考えられる。逆の見方をすると、多結晶体において転位が集積することを抑制できれば、屈曲特性が向上することが期待される。
前述したように、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、銅の立方晶が3次元的に良く揃った結晶構造を有しており、かつ{200}Cu面が主体である立方体集合組織において、{200}Cu面の双晶組織が少ない圧延銅箔であることから、屈曲運動の際に、転位が交差すべりを起こす確率が高いものと考えられる。これにより、結晶粒界等が転位の移動に対する障害となりにくくなり、屈曲特性が向上する(屈曲寿命が長くなる)と考えられる。
言い換えると、交差すべりを効果的に起こさせるためには、少なくともΔβおよびΔθの両方が優れている(小さい)こと、すなわち、3軸配向に優れていることが必要である(例えば、Δβ≦10°およびΔθ≦10°)。
なぜならば、いわゆる立方体集合組織が発達したとしても(一般には、圧延面に対する{200}Cu面の占有率が高い状態を意味する)、Δβが小さくなければ、隣り合う結晶粒間ですべり方向が大きくずれて、交差すべりが起き難くなるためである。
また、立方体集合組織の3軸配向に加えて、{200}Cu面の双晶組織が少ない圧延銅箔(例えば、[a]/[b]≧3)であることも重要な要素であると考えられる。なぜならば、主体の{200}Cu面とその双晶領域は平行関係でないことから、それぞれの面のすべり方向も当然異なり、双晶面が転位の移動に対する障害物となり得るためである。
〔本発明の第3の実施の形態〕
(規格化平均強度)
本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前の状態で、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定において、α角度が35〜75°の範囲における規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在することを特徴とする。
図7は、本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前の状態で、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定により得られる結果の1例である。図7から明らかなように、α=35〜75°の範囲において{111}Cu面の規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在する結晶粒配向状態を有する圧延銅箔であることを示している。
一方、α=35〜75°の範囲における{111}Cu面の規格化平均強度が階段状、もしくは、極大領域が複数存在する結晶粒配向状態の圧延銅箔であると、再結晶焼鈍を施した後、前述した規格化平均強度の比が[a]/[b]<3となり従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、α=35〜75°の範囲における{111}Cu面の規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在する結晶粒配向状態の圧延銅箔とする。
〔本発明の第4の実施の形態〕
(圧延銅箔の銅合金組成)
本実施の形態におけるFPC用圧延銅箔は、Snを0.001〜0.009質量%含み、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金であることを特徴とする。
本実施の形態において、FPC用圧延銅箔を構成する銅合金の合金成分の添加理由と含有量の限定理由を以下に説明する。
圧延銅箔において、最終冷間圧延工程における総加工度が大きくなるほど(例えば、90%以上)、常温軟化を起こし易い傾向がある。この望まない現象(常温軟化)が起こると、FPC製造工程における銅箔の裁断や基材との積層時に銅箔の変形が生じ易く、歩留まり低下の要因となる。
CuにSnを含有させることにより、最終冷間圧延工程において強加工を施しても常温軟化を抑制する(軟化温度または再結晶開始温度を制御する)ことができる。なお、ここで言う「常温軟化」は、冷間圧延加工中における部分的な再結晶現象(詳細は後述)を含むものとする。
Snの含有量が増加するのに伴い、圧延銅箔の軟化温度は上昇する。Snが0.001質量%より少ない場合では、所望の軟化温度に制御することが困難である。また、Snが0.009質量%より多い場合では、軟化温度が高くなり過ぎて前述したCCL工程での再結晶焼鈍が困難になるとともに、電気伝導性が低下するという弊害も生じる。
従って、Snの含有量は0.001〜0.009質量%とする。より好ましくは0.002〜0.008質量%であり、更に好ましくは0.003〜0.007質量%である。
〔本発明の第5の実施の形態〕
(圧延銅箔における再結晶粒の平均粒径)
本実施の形態における圧延銅箔は、最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面において観察される当該再結晶粒の平均粒径が40μm以上であることを特徴とする。
前述したように、多結晶体において、転位の集積(あるいは、転位の移動を妨げる障害物)を抑制できれば、屈曲特性が向上することが期待される。すなわち、銅の立方晶が3次元的に良く揃っており、かつ{200}Cu面の双晶組織が少ない結晶構造を有する状態に加えて、再結晶粒の粒径を大きくする(結晶粒界自体を減少させる)ことにより、屈曲特性の向上効果がより顕著になる。
ただし、結晶粒界を少なくしても、再結晶粒の3軸配向性が低ければ、屈曲特性向上の効果は小さい。すなわち、本実施の形態における圧延銅箔も、屈曲運動の際に転位が交差すべりを起こすような結晶粒配向性を有していることが前提条件である。また、再結晶粒の平均粒径を40μm以上とするためには、最終冷間圧延工程における総加工度を大きくする(例えば、94%以上)と同時に、冷間圧延加工途中での再結晶現象を抑制する(詳細は後述)ことで達成できる。
一方、再結晶粒の平均粒径が40μmより小さくなると、従来よりも高い屈曲特性が得られない。よって、再結晶粒の平均粒径は40μm以上とする。より望ましくは50μm以上であり、更に望ましくは60μm以上である。
〔圧延銅箔の製造方法〕
図8は、本発明の実施の形態の圧延銅箔における製造工程の全体フローを示す図である。上記の本実施の形態の圧延銅箔は、原材料となるタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)や無酸素銅(JIS H3100 C1020)や上記成分を含む銅合金のインゴット(鋳塊)を用意(工程a)した後、熱間圧延を行う熱間圧延工程(工程b)と、熱間圧延工程の後、冷間圧延を行う冷間圧延工程(工程c)と冷間圧延による加工硬化を緩和する中間焼鈍工程(工程d)を適宜繰り返し行うことにより「生地」と呼ばれる焼鈍された圧延銅箔が製造される。なお、「生地」の直前の中間焼鈍工程を「生地焼鈍工程」(工程d')と呼ぶこともある。「生地焼鈍工程」においては、それ以前の加工歪が十分に緩和されること(例えば、略完全焼鈍)が望ましい。
その後、「生地」に対して最終冷間圧延工程(工程e、「仕上げ圧延工程」と称される場合もある)を施して、所定厚さのFPC用の圧延銅箔が製造される。なお、この時の圧延銅箔は、加工硬化の状態(焼鈍されていない状態)にある。
最終冷間圧延工程後の圧延銅箔は、必要に応じて表面処理等が施され(工程f)、FPC製造工程(工程g)に供給される。前述したように、再結晶焼鈍(工程g’)は工程gの中(例えば、CCL工程)で為されることが多い。
本発明において、「最終冷間圧延工程」とは工程eを意味し、「再結晶焼鈍」工程g’とは工程gの中で為されるものを意味するものとする。
本発明における圧延銅箔の製造方法は、再結晶焼鈍の前の最終冷間圧延工程における総加工度を94%以上とし、かつ1パスあたりの加工度を15〜50%に制御することを特徴とする。さらに、該最終冷間圧延工程において、「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の1パスあたりの加工度を15〜25%に制御することを特徴とする。
なお、総加工度とは、「総加工度(%)={1−(最終冷間圧延工程後の板厚/生地の板厚)}×100」と定義する。また、1パスあたりの加工度とは、1対の圧延ロールを通過したときの板厚の減少率を言い、「1パスあたりの加工度(%)={1−(圧延加工1回後の板厚/該圧延加工前の板厚)}×100」と定義する。
再結晶焼鈍の前の最終冷間圧延工程において、総加工度を94%以上としたのは、圧延面に対して{220}Cu面配向(圧延集合組織)を発達させ、後の再結晶焼鈍により圧延面において90%以上の占有率を有する{200}Cu面配向(立方体集合組織)を達成するためである。また、該再結晶焼鈍により、再結晶粒の平均粒径を40μm以上とするためである。
さらに、再結晶焼鈍の前の最終冷間圧延工程において、1パスあたりの加工度を15〜50%に制御し、特に、「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の加工度を15〜25%に制御するのは、圧延集合組織における{111}Cu面のXRD極点図測定で、α=35〜75°の範囲において{111}Cu面の規格化平均強度が階段状になっていない、もしくは、極大領域が実質的に一つだけ存在する結晶粒配向状態を達成するためである。
最終冷間圧延工程において、総加工度が94%未満、または1パスあたりの加工度制御が上記条件から外れた場合、前記目的を達成するには不十分である。したがって、総加工度を94%以上とし、かつ1パスあたりの加工度を15〜50%に制御する。さらに、「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の加工度を15〜25%に制御することが好ましい。
〔加工度制御の考察〕
圧延加工時に掛かる応力は、対象物に対して「引張応力成分」と「圧縮応力成分」に分けて考えられる。また、銅箔に対する冷間圧延加工において、銅箔中の銅結晶は、圧延加工時の応力により回転現象を起こし、加工の進展とともに圧延集合組織を形成する。このとき、応力方向による結晶の回転方位(圧延面に配向する方位)は、一般的に、圧縮応力の場合が{220}Cu面、引張応力の場合が{311}Cu面や{211}Cu面である。
従来の圧延銅箔においては、上記の観点から、最終冷間圧延工程における総加工度および1パスあたりの加工度を高めに設定し、圧縮応力を高めることで{220}Cu面配向(圧延集合組織)を強めていた。
また、従来の圧延銅箔においては、最終冷間圧延工程における総加工度のみに着目し、1パスあたりの加工度には特段の考慮がなされていなかった。ただし、総加工度を高めようとした場合、加工パス数低減の観点から、1パスあたりの加工度を高めに設定することが通常と考えられる。
しかしながら、本発明者らの金属結晶学的な詳細検討により、1パスあたりの加工度を高めに設定した上で、総加工度を高めていくと、最終冷間圧延工程の途中で部分的に再結晶現象等が生じ、{220}Cu面配向(圧延集合組織)の形成を阻害していることが判明した。なお、{220}Cu面配向(圧延集合組織)形成の阻害が、再結晶焼鈍による立方体集合組織の3軸配向を阻害することは言うまでもない(特に、面内配向度Δβを劣化させる)。
そこで、本発明においては、従来とは逆に、1パスあたりの加工度(圧縮応力)を低めに制御した上で、総加工度(蓄積加工歪)を高めていく製造方法を発明した。これにより、最終冷間圧延工程途中の再結晶(加工歪の緩和)を抑制しながら{220}Cu面配向(圧延集合組織)を形成できる。なお、最終冷間圧延工程途中で再結晶を抑制しながらの{220}Cu面配向(圧延集合組織)の形成は、前述した本発明の第2の実施の形態で実現される。
〔他の実施の形態〕
工程aにおいて、溶解・鋳造方法に制限はなく、また、材料の寸法にも制限はない。工程b、工程cおよび工程dにおいても、特段の制限はなく、通常の方法・条件でよい。また、FPCに用いる圧延銅箔の厚みは一般的に50μm以下であり、本発明の圧延銅箔の厚みも、50μm以下であれば制限はない。
〔フレキシブルプリント配線板の製造〕
上記実施の形態の圧延銅箔を用いて、通常行われている製造方法により、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。また、圧延銅箔に対する再結晶焼鈍は、通常のCCL工程で行われる熱処理でもよいし、別工程で行われてもよい。
〔実施の形態の効果〕
上記の本発明の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を得ることができる。
(2)従来よりも優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を安定して製造することができる。
(3)従来よりも優れた屈曲特性を有するフレキシブルプリント配線板(FPC)等の可撓性配線を得ることができる。
(4)フレキシブルプリント配線板(FPC)のみに留まらず、高い屈曲特性(屈曲寿命)が要求される他の導電部材にも適用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1および比較例1〜3の作製)
はじめに、原料素材として無酸素銅(酸素含有量2ppm)を作製し、厚さ200mm、幅650mmの鋳塊を製造した。その後、図8記載のフローにしたがって、10mmの厚さまで熱間圧延を行った後、冷間圧延および中間焼鈍を適宜繰り返して、0.8mmと0.2mmの2種類の厚みを有する生地を製造した。なお、生地焼鈍としては、700 ℃の温度で、約1分間保持する熱処理を行った。
つぎに、表1に示す条件で最終冷間圧延工程を行うことにより、厚さ16μmの圧延銅箔(実施例1および比較例1〜3)を作製した。なお、各条件(各圧延銅箔)において、試料を5つずつ作製した。
Figure 0004285526
表1に示すように、実施例1は、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔である。比較例1は、最終冷間圧延工程における1パスあたりの加工度が本発明の要件から外れる圧延銅箔である。比較例2は、最終冷間圧延工程における総加工度が本発明の要件から外れる圧延銅箔である。比較例3は、最終冷間圧延工程における総加工度および1パスあたりの加工度ともに本発明の要件から外れる圧延銅箔である。
(最終冷間圧延工程上がりの圧延銅箔の結晶粒配向状態)
上記のようにして作製した各圧延銅箔(厚さ16μm)の加工上がりの状態(最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前)における、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果を図9〜12に示す。
なお、各種XRD測定(極点図測定、面内配向測定、ロッキングカーブ測定、2θ/θ測定)には、X線回折装置(株式会社リガク製、型式:RAD−B)を用いた。対陰極(ターゲット)はCuを用い、管電圧および管電流はそれぞれ40kV、30mAとした。また、XRD測定に供する試料の大きさは、約15×約15mmとした。
また、XRD極点図測定の条件は、一般的なシュルツ反射法を用い、α=15〜90°(圧延面に垂直方向がα=90°)の範囲を1°ステップ毎でβ角度を0〜360°まで走査(自転)しながら、{111}Cu面の回折強度を測定した(2θ≒43°で、2θ値は試料毎に予備測定した結果を用いた)。このときのスリット条件は、発散スリット=1°、散乱スリット=7mm、受光スリット=7mmおよびシュルツスリット(スリット高さ1mm)を用いた。
図9は、実施例1における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図9(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図9(b)は正極点図を示している。
図10は、比較例1における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図10(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図10(b)は正極点図を示している。
図11は、比較例2における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図11(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図11(b)は正極点図を示している。
図12は、比較例3における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図12(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図12(b)は正極点図を示している。
図9(a)、図10(a)、図11(a)および図12(a)において、図中の矢印は、規格化平均強度が階段状または極大領域になっている部分を示している。図から明らかなように、α=35〜75°の範囲において、実施例1では極大領域が実質的に一つだけ存在するのに対し、比較例1〜3では少なくとも2箇所存在することが判る。
ここで、図10(a)および図12(a)におけるα=40〜45°の範囲の極大領域に対応して、図10(b)および図12(b)において図中の矢印で示すように、4回対称性の回折ピークが確認される。この4回対称性の回折ピークは、冷間圧延加工途中での再結晶現象に起因するものと考えられる。また、比較例1および3は、最終冷間圧延工程における1パスあたりの加工度が本発明の要件よりも大きい圧延銅箔であり(表1参照)、1パスあたりの加工度が冷間圧延加工途中での再結晶現象に強く影響を及ぼすことを示唆している。
一方、図11(b)において、図11(a)におけるα=40〜45°の範囲の階段状領域に対応する4回対称性の回折ピークは確認されない。しかしながら、比較例2は最終冷間圧延工程における総加工度が本発明の要件よりも小さい圧延銅箔であることから(表1参照)、冷間圧延加工における銅結晶の回転現象が不十分であったために、図11(a)におけるα=40〜45°の範囲の階段状領域が検出されたものと考えられる。
最終冷間圧延工程の加工条件と加工上がり圧延銅箔の結晶粒配向状態の関係をまとめる。再結晶焼鈍前の最終冷間圧延工程において、総加工度を94%以上とし、かつ1パスあたりの加工度を15〜50%に制御し、特に、「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の加工度を15〜25%に制御することによって、最終冷間圧延工程途中の再結晶現象を抑制し、かつ銅結晶の回転現象を促進させた{220}Cu面配向(圧延集合組織)を形成できることが判る。
逆に、「総加工度」または「1パスあたりの加工度」が本発明の要件を外れると、圧延加工途中の再結晶現象や不十分な結晶回転を生じさせ、圧延銅箔における{220}Cu面配向(圧延集合組織)の効果的な形成を阻害する。また、圧延加工途中の再結晶現象や不十分な結晶回転は、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定(特に、各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度)により判別できる。
(再結晶焼鈍後の圧延銅箔の結晶粒配向状態)
上記のようにして作製した各圧延銅箔(厚さ16μm、最終冷間圧延工程上がり)に対し、温度180℃で60分間保持する再結晶焼鈍を施した後、X線回折装置を用いて各圧延銅箔の結晶粒配向状態を評価した。
XRD・2θ/θ測定により立方体集合組織の{200}Cu面占有率を評価したところ(それぞれ5試料の平均)、実施例1が約94%、比較例1が約91%、比較例2が約89%、比較例3が約88%であった。
また、XRDロッキングカーブ測定は、次のように行った。各圧延銅箔のXRD・2θ/θ測定により得られた{200}Cu面回折ピークの2θ値に検出器を固定して、試料をθ=15〜35°まで走査したときに得られる回折ピークの半価幅Δθを算出した。なお、2θ/θ測定およびロッキングカーブ測定におけるスリット条件は、発散スリットが1°、受光スリットが0.15mm、散乱スリットが1°で行なった。Δθの測定結果(それぞれ5試料の平均)は、実施例1が約7.8°、比較例1が約8.6°、比較例2が約7.3°、比較例3が約10.4°であった。
また、XRD面内配向測定は、次のように行った。まず、各圧延銅箔(各試料)ごとに予め{111}Cu面の2θ値を求める(例えば、JCPDS等からの{111}Cu面2θ値を用いて{111}Cu面の面内配向測定を行い、最も回折強度の大きかったβ値を用いて、試料面をα=35°に設定した状態で2θ/θ測定を行うことにより、当該試料の{111}Cu面の2θ値が得られる)。その後、当該試料の{111}Cu面の2θ値に検出器を固定して、試料をβ軸走査(β=0〜360°)したときに得られる4回対称性の回折ピークの平均半価幅Δβを算出した。Δβの測定結果(それぞれ5試料の平均)は、実施例1が約8.3°、比較例1が約8.8°、比較例2が約9.8°、比較例3が約11.8°であった。
また、{111}Cu面の規格化平均強度比の評価は、前述と同様に、シュルツ反射法によるXRD極点図測定において(α=15〜90°の範囲で1°ステップ毎にβ角度を0〜360°まで走査しながら、{111}Cu面の回折強度を測定)、α=35°における{111}Cu面の規格化平均強度[a]とα=74°における規格化平均強度[b]の比を求めた。図13は、実施例1における規格化平均強度のグラフの1例である。図14は、比較例3における規格化平均強度のグラフの1例である。また、規格化平均強度比の結果(それぞれ5試料の平均)は、実施例1が約4.5、比較例1が約2.9、比較例2が約2.0、比較例3が約1.7であった。
再結晶焼鈍後の圧延銅箔に対する、上記の各種XRD測定結果を表2に示す。
Figure 0004285526
再結晶焼鈍前後における圧延銅箔の結晶粒配向状態の関係をまとめる。表2の結果から明らかなように、図9のような結晶粒配向状態を有する圧延銅箔に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔は、{200}Cu面占有率、Δθ、Δβの3つの指標から立方体集合組織が極めて高い3軸配向性を有していることを示している。さらに、規格化平均強度比([a]/[b])の指標から、立方体集合組織の3軸配向に加えて、{200}Cu面の双晶組織が少ない圧延銅箔であることを示している。
これに対し、図10〜12のような結晶粒配向状態を有する圧延銅箔に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔は、4つの指標({200}Cu面占有率、Δθ、Δβ、規格化平均強度比)のいずれか1つ以上が劣っており、立方体集合組織の3軸配向性が劣っている(阻害されている)、および/または立方体集合組織における{200}Cu面の双晶組織が多い圧延銅箔であることを示している。
(再結晶焼鈍後の圧延銅箔の平均結晶粒径)
上記のようにして作製した各圧延銅箔(厚さ16μm、再結晶焼鈍後)に対する平均結晶粒径の評価は、次のように行った。圧延銅箔の表面を過酸化水素水(例えば、和光純薬工業株式会社製、品番:080−01186)とアンモニア水(例えば、和光純薬工業株式会社製、品番:017−03176)の混合溶液(アンモニア水10ml + 過酸化水素水2〜3滴)で湿らせた脱脂綿でエッチング(エッチングする面を脱脂綿で1〜2回拭う程度)した後、表面の金属組織写真を光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、型式:PMG3)を用いて撮影した。この写真に対し、JIS H 0501の切断法に準拠して平均結晶粒径を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0004285526
表3の結果から明らかなように、実施例1の圧延銅箔は、比較例1〜3に比して非常に大きな平均結晶粒径を有していることが判る。この結果は、実施例1における立方体集合組織の極めて高い3軸配向性と{200}Cu面の双晶組織が少ない圧延銅箔(表2参照)に起因しているものと考えられる。
(再結晶焼鈍後の圧延銅箔の屈曲特性)
上記のようにして作製した各圧延銅箔(厚さ16μm、再結晶焼鈍後)に対する屈曲特性の評価は、次のように行った。図15は、屈曲特性評価(摺動屈曲試験)の概略を表した模式図である。摺動屈曲試験装置は信越エンジニアリング株式会社製、型式:SEK−31B2Sを用い、R=2.5mm、振幅ストローク=10mm、周波数=25Hz(振幅速度=1500回/分)、試料幅=12.5mm、試料長さ=220mm、試料片の長手方向が圧延方向となる条件で測定した。結果を表4に示す。
Figure 0004285526
表4の結果から明らかなように、実施例1の圧延銅箔は、比較例1〜3に比して2倍以上の屈曲寿命回数(高い屈曲特性)を有していることが判る。この結果は、実施例1における立方体集合組織の極めて高い3軸配向性と{200}Cu面の双晶組織が少ない圧延銅箔(表2参照)、ならびに大きな平均結晶粒径(表3参照)に起因しているものと考えられる。
(実施例2〜3および比較例4の作製)
原料素材として前記無酸素銅(酸素含有量2ppm)にSnを0.004質量%添加した銅合金(実施例2)、前記無酸素銅にSnを0.007質量%添加した銅合金(実施例3)および前記無酸素銅にSnを0.01質量%添加した銅合金(比較例4)を作製し、厚さ200mm、幅650mmの鋳塊を製造した。その後、図8記載のフローにしたがって、10mmの厚さまで熱間圧延を行った後、冷間圧延および中間焼鈍を適宜繰り返して、0.8mmの厚みを有する生地を製造した。なお、生地焼鈍としては、700 ℃の温度で、約1分間保持する熱処理を行った。
つぎに、実施例1と同様の条件(表1参照)で最終冷間圧延工程を行うことにより、厚さ16μmの圧延銅箔(実施例2〜3および比較例4)を作製した。なお、先と同様に各条件(各圧延銅箔)において、試料を5つずつ作製した。
作製した圧延銅箔(実施例2〜3および比較例4)の軟化温度を調査した。調査方法は、JIS Z 2241の引張試験方法にほぼ準拠し、万能試験機(株式会社島津製作所製、型式:AG−I)を用いた引張強度で判定した。先ず、試料片として幅15mm、長さ200mmの短冊状に切り出した(長さ方向が圧延方向)。切り出した各試料片に対し、50℃、100℃、130℃、160℃、180℃、200℃、220℃、240℃、260℃、280℃、300℃、320℃、340℃、360℃の各温度で30分間熱処理を施した。熱処理後の各試料片の引張強度を測定し、強度の低下がほぼ飽和(110〜150N/mm程度)した温度を軟化温度とした(なお、熱処理前の圧延銅箔の引張強度は380〜480N/mm程度)。
このようにして調査した結果(それぞれ5試料の平均)、実施例2の軟化温度は約180℃、実施例3の軟化温度は約260℃、比較例4の軟化温度は約320℃であった。なお、Sn成分を含まない無酸素銅(実施例1)の軟化温度は約100℃であった。
これらの圧延銅箔に対し、CCL工程での再結晶焼鈍を想定した条件(温度300℃で10分間保持)で熱処理を施した後、前述と同様の平均結晶粒径評価と屈曲特性評価(摺動屈曲試験)を行った。平均結晶粒径の評価結果を表5に、屈曲特性の評価結果を表6に示す。
Figure 0004285526
Figure 0004285526
表3〜6の結果を総合的に考え合わせると、実施例2および3の圧延銅箔は、必要十分な再結晶焼鈍が行われたことから、従来の圧延銅箔(比較例1〜3)に比して2倍以上の屈曲寿命回数(高い屈曲特性)を示したものと考えられる。また、同様の理由により、熱処理後の平均結晶粒径が十分な大きさ(40μm以上)を有していたものと考えられる。
また、上記熱処理を施した実施例2および3の圧延銅箔に対し、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定を行ったところ、図3および図13と同様な結果が得られ、Δβ≦10°および[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有していることを確認した。
一方、Sn成分の含有量が本発明の要件よりも多い比較例4は、従来の圧延銅箔(比較例1〜3)よりも劣る屈曲特性であった。そこで、上記熱処理を施した比較例4の圧延銅箔に対し、XRD極点図測定を行った。図16は、比較例4における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定による各α角度に対するβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度のグラフの1例である。
図中の結果から明らかなように、[a]/[b]<3であり、しかも再結晶に起因する回折と圧延集合組織に起因する回折が混在していることがわかる。これは、Sn成分の含有量が多過ぎたために、十分な再結晶焼鈍が行われなかったためと考えられる。
銅結晶の主な結晶面を示す模式図である。 X線回折における入射X線、検出器、試料、走査軸の関係を示す概略図である。 本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面の{200}Cu面に対し55°(測定条件上、α=35°)の位置関係にある{111}Cu面のXRD面内配向測定を行った結果の1例である。 本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定により得られる結果の1例である。 本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面に対してX線回折2θ/θ測定を行った結果の1例である。 本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程後に再結晶焼鈍を施した状態で、圧延面に対して{200}Cu面のXRDロッキングカーブ測定を行った結果の1例である。 本実施の形態に係る圧延銅箔において、最終冷間圧延工程後で再結晶焼鈍前の状態で、圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定により得られる結果の1例である。 本発明の実施の形態の圧延銅箔における製造工程の全体フローを示す図である。 実施例1における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図9(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図9(b)は正極点図を示している。 比較例1における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図10(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図10(b)は正極点図を示している。 比較例2における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図11(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図11(b)は正極点図を示している。 比較例3における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定結果の1例である。図12(a)は各α角度におけるβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度を示し、図12(b)は正極点図を示している。 実施例1における規格化平均強度のグラフの1例である。 比較例3における規格化平均強度のグラフの1例である。 屈曲特性評価(摺動屈曲試験)の概略を表した模式図である。 比較例4における圧延面を基準とした{111}Cu面のXRD極点図測定による各α角度に対するβ走査で得られる該{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度のグラフの1例である。
符号の説明
1:銅箔
2:試料固定板
2a:ねじ
3:振動伝達部
4:発振駆動体
R:曲率

Claims (6)

  1. 最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施したタフピッチ銅または無酸素銅からなる圧延銅箔において、圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、前記圧延面の{200}Cu面に対する{111}Cu面の面内配向度Δβが10°以下であり、
    かつ前記X線回折極点図測定のα=35°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[a]とα=74°におけるβ走査による前記{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度[b]の比が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有することを特徴とする圧延銅箔。
  2. 請求項1に記載の圧延銅箔であって、前記圧延面に対するX線回折2θ/θ測定により得られる結果で、銅結晶の回折ピークの90%以上が前記{200}Cu面であり、
    かつ前記{200}Cu面のX線回折ロッキングカーブ測定により得られる結果で、該回折ピークの半価幅Δθが10°以下であることを特徴とする圧延銅箔。
  3. 最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前のタフピッチ銅または無酸素銅からなる圧延銅箔において、前記最終冷間圧延工程における総加工度が94%以上であり、圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、各α角度におけるβ走査で得られる{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度をプロットした際に、前記α角度が35〜75°の範囲における前記規格化平均強度の極大領域が一つだけ存在する結晶粒配向状態を有することを特徴とする圧延銅箔。
  4. 求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧延銅箔において、前記圧延銅箔として更にSnを0.001〜0.009質量%含み、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金を用いることを特徴とする圧延銅箔
  5. 最終冷間圧延工程の後に再結晶焼鈍を施した圧延銅箔において、前記圧延面で観察される当該再結晶粒の平均粒径が40μm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の圧延銅箔。
  6. 最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前のタフピッチ銅または無酸素銅からなる圧延銅箔における圧延面を基準としたX線回折極点図測定により得られる結果で、各α角度におけるβ走査で得られる{111}Cu面回折ピークの規格化平均強度をプロットした際に、前記α角度が35〜75°の範囲における前記規格化平均強度の極大領域が一つだけ存在する圧延銅箔の製造方法であって、
    前記再結晶焼鈍の前の前記最終冷間圧延工程における総加工度を94%以上とし、1パスあたりの加工度を15〜50%に制御し、かつ「1パス目の加工度」≧「2パス目の加工度」≧「3パス目の加工度」となるように制御するとともに、3パス目以降の加工度を15〜25%に制御することを特徴とする圧延銅箔の製造方法。
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