JP6744174B2 - 無酸素銅板、無酸素銅板の製造方法およびセラミック配線基板 - Google Patents

無酸素銅板、無酸素銅板の製造方法およびセラミック配線基板 Download PDF

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本発明は、無酸素銅板、無酸素銅板の製造方法およびセラミック配線基板に関する。
半導体素子を実装する基板として、セラミック配線基板が用いられることがある(例えば特許文献1〜2参照)。セラミック配線基板は、セラミック基板と、セラミック基板上に設けられ、例えばエッチングにより所定箇所が除去されて配線パターン(銅配線)になる無酸素銅板と、を備えている。
特開2001−217362号公報 特開平10−4156号公報
セラミック配線基板に実装した半導体素子への通電と通電停止とを繰り返すことで、半導体素子が発熱と放熱とを繰り返し、その結果、セラミック配線基板も昇温と降温とを繰り返すこととなる。セラミック基板と無酸素銅板とは、その線膨張係数が異なるため、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返すと、セラミック基板と無酸素銅板との熱膨張差によって、セラミック基板と無酸素銅板との界面(接合界面)に応力(熱応力)が繰り返し発生することになる。このような熱応力が生じた際、無酸素銅板が塑性変形することで、セラミック配線基板における熱応力の影響を緩和している。しかしながら、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返すと、しだいに無酸素銅板が硬化し、無酸素銅板が塑性変形しにくくなる。その結果、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とがその界面から剥離したりする等の不具合が発生することがある。
本発明は、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返した場合であっても、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とが界面から剥離したりすることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
圧延加工によって平板状に形成されてなり、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、
800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板が提供される。
本発明の他の態様によれば、
酸素濃度が0.0010質量%以下であり、燐濃度が0.0002質量%以下であり、硫黄濃度が0.0010質量%以下であり、錫濃度が0.0005質量%以下であり、銀濃度が0.0010質量%以下であり、銅濃度が99.99質量%以上である無酸素銅で形成された被圧延材に対して、1回の加工度が40%以下である冷間圧延を、総加工度が90%以上になるように複数回行う冷間圧延工程を有し、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板を形成する無酸素銅板の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
セラミック基板と、
前記セラミック基板の少なくとも一方の主面上に貼り合わされた配線パターンと、を有し、
前記配線パターンは、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下するとともに、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下である無酸素銅板で形成されているセラミック配線基板が提供される。
本発明によれば、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返した場合であっても、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とが界面から剥離したりすることを抑制できる技術を提供することができる。
<本発明の一実施形態>
(1)セラミック配線基板の構成
まず、本発明の一実施形態にかかるセラミック配線基板の構成について説明する。
本実施形態にかかるセラミック配線基板は、所定厚さ(例えば0.5mm)のセラミック基板と、セラミック基板上に設けられた無酸素銅板とを備えている。セラミック基板と無酸素銅板とは、例えばロウ材を介して貼り合わされて(接合されて)いる。この貼り合わせは、炉中でセラミック基板とロウ材と無酸素銅板との積層体を所定条件で(例えば800℃以上1080℃以下の温度で5分以上)加熱する熱処理によって行われる。セラミック基板と貼り合わされた無酸素銅板の所定箇所が例えばエッチングにより除去されることで、無酸素銅板が配線パターン(銅配線)になる。
セラミック基板として、窒化アルミニウム(AlN)や窒化珪素(SiN)等を主成分とするセラミック焼結体を用いることができる。
ロウ材として、銀(Ag)、銅(Cu)、錫(Sn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属や、これらの金属のうち少なくとも1つを含む合金を用いることができる。
(2)無酸素銅板の構成
以下に、本発明の一実施形態にかかる無酸素銅板の構成について説明する。本実施形態にかかる無酸素銅板は、例えば上述のセラミック配線基板に好適に用いることができる。
本実施形態にかかる無酸素銅板は、加熱によるビッカース硬さの低下を進行させ、所定条件で加熱後の0.2%耐力の上昇を抑制する特性を有している。具体的には、本実施形態にかかる無酸素銅板は、200℃の温度下で30分加熱することによりビッカース硬さがHV80以下に低下する特性と、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まるという特性との2つの特性を有している。なお、本実施形態にかかる無酸素銅板は、200℃の温度下で30分加熱する前のビッカース硬さはHV125以上であり、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱する前の0.2%耐力は400MPa以上である。
0.2%耐力とは、材料(無酸素銅板)に0.2%の永久ひずみが生じる応力であり、大きな塑性変形が生じない応力の目安として用いられる値である。すなわち、0.2%耐力が高い無酸素銅板は塑性変形しにくく、0.2%耐力が低い無酸素銅板は塑性変形しやすい(低い応力でも塑性変形する)ということができる。
加熱による無酸素銅板のビッカース硬さの低下は、無酸素銅板中で原子が拡散(移動)して格子欠陥が減少する現象(回復)や、拡散した原子が再配列することで格子欠陥が少ない結晶組織に変化する(格子欠陥が減少する)現象(再結晶)によって起こる。このため、例えば200℃という低温での加熱によりビッカース硬さが低下する無酸素銅板は、回復や再結晶の現象が生じやすく、格子欠陥を減少させやすい銅板であるといえる。
無酸素銅板を備える上述のセラミック配線基板が昇温すると、無酸素銅板とセラミック基板との熱膨張差によって生じる応力により無酸素銅板が塑性変形する。なお、無酸素銅の線膨張係数は1.7×10−5/Kであり、セラミックの線膨張係数は0.3〜0.8×10−5/Kである。以下、本明細書では、セラミック配線基板が昇温する際に生じる上述の応力を「熱応力」ともいう。セラミック配線基板では、このように無酸素銅板が塑性変形することで、セラミック配線基板における熱応力の影響を緩和し、その結果、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とが剥離したりすることを抑制している。以下、本明細書では、上述の無酸素銅板の塑性変形によるセラミック配線基板における熱応力の影響を緩和する効果を「緩和効果」ともいう。
しかしながら、無酸素銅板が塑性変形すると、無酸素銅板中に格子欠陥が導入される。これにより、無酸素銅板が硬化し、無酸素銅板の0.2%耐力が上昇する。無酸素銅板が塑性変形する回数が増えるほど、無酸素銅板の0.2%耐力は上昇する。上述のように、無酸素銅板の0.2%耐力が上昇すると、無酸素銅板は塑性変形しにくくなるため、上述の緩和効果が得られにくくなる。その結果、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返すと、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とが剥離したりすることがある。
上述のように、本実施形態にかかる無酸素銅板は、200℃の温度下で30分加熱することによりビッカース硬さがHV80以下に低下する特性を有している。これにより、塑性変形した際に無酸素銅板中(材料中)に導入される格子欠陥が減少するため、無酸素銅板が塑性変形しても、0.2%耐力が上昇しにくくなる。このような無酸素銅板を上述のセラミック配線基板に用いると、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返しても、無酸素銅板が長期間塑性変形するようになり、上述の緩和効果を長期間得ることができる。
なお、200℃の温度下で30分加熱してもビッカース硬さがHV80以下まで低下しない(HV80を超える)無酸素銅板では、無酸素銅板が塑性変形する際に導入される格子欠陥を充分に減少させることができないことがある。このため、無酸素銅板が塑性変形すると、0.2%耐力が上昇することがあり、上述の緩和効果が得られる期間が短くなることがある。
また上述のように、本実施形態にかかる無酸素銅板は、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有している。すなわち、本実施形態にかかる無酸素銅板は、例えばセラミック配線基板を形成する際の上述の熱処理を行った後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有している。
これにより、無酸素銅板は、例えば上述の熱応力程度の低い応力で塑性変形することとなる。なお、上述の所定条件で加熱後の0.2%耐力が16MPaを超えると、無酸素銅板は、上述の熱応力程度の応力では、塑性変形しないことがある。
無酸素銅中の不純物成分は、加熱によるビッカース硬さの低下の進行や、上述の所定条件で加熱後の0.2%耐力の上昇に影響を与える。特に、酸素(O)、燐(P)、硫黄(S)、Sn、Agの各不純物成分が、加熱によるビッカース硬さの低下の進行や、上述の所定条件で加熱後の0.2%耐力の上昇に与える影響が大きいことを本願発明者は確認済みである。これらの不純物成分の濃度(含有量)を所定値以下にすることで、上述の2つの特性を有するようになる。
具体的には、O濃度が例えば0.0010質量%以下、好ましくは0.0005質量%以下であり、P濃度が例えば0.0002質量%以下、好ましくは0.0001質量%以下であり、S濃度が例えば0.0010質量%以下、好ましくは0.0005質量%以下であり、Sn濃度が例えば0.0005質量%以下、好ましくは0.0003質量%以下であり、Ag濃度が例えば0.0010質量%以下、好ましくは0.0005質量%以下であり、Cu濃度が例えば99.99質量%以上であるとよい。無酸素銅板は、例えばこのような組成を有する無酸素銅で形成されていることが好ましい。
O濃度が0.0010質量%を超えたり、P濃度が0.0002質量%を超えたり、S濃度が0.0010質量%を超えたり、Sn濃度が0.0005質量%を超えたり、Ag濃度が0.0010質量%を超えたりすると、無酸素銅板は上述の2つの特性を有しないことがある。
また、上述の不純物成分の濃度が所定値を超えると、Cu濃度が例えば99.99質量%未満になることがある。このため、無酸素銅板は上述の2つの特性を有しなかったり、セラミック配線基板において、無酸素銅板とセラミック基板とが接合されていない箇所が多くなる、すなわち接合状態が悪かったりすることがある。
このように本実施形態では、無酸素銅板中のO濃度、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度、Cu濃度について、それぞれ所定の要件を課すようにしている。なお、無酸素銅板中のO濃度、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度の不純物成分の濃度の上限や、Cu濃度の下限について記載した。しかしながら、上述の不純物成分の濃度の下限や、Cu濃度の上限については特に制限は存在しない。上述の不純物成分の濃度はゼロであること、すなわち、無酸素銅板中にO、P、S、Sn、Agの成分が含まれないことが好ましく、Cu濃度は100質量%であること、すなわち無酸素銅板中に不純物成分が全く含まれていないことが好ましい。しかしながら、上述の不純物成分は、無酸素銅板の形成過程において、無酸素銅板(無酸素銅)中に不可避的に混入することがあるため、これらの成分の濃度を精密に制御することは困難である。このような理由から、無酸素銅板中のO濃度、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度は、例えば0.0001質量%以上になり、Cu濃度は例えば99.999質量%以下になることが一般的である。
無酸素銅板は、上述の組成を有する無酸素銅の鋳塊に対して圧延加工を行うことで、平板状に形成されている。無酸素銅板は、厚さが例えば100μm以上、好ましくは100μm以上1mm以下となるように形成されているとよい。
無酸素銅板の厚さが100μm未満であると、放熱性が不足することがある。無酸素銅板の厚さを100μm以上にすることで、充分な放熱性を得ることができ、無酸素銅板をセラミック配線基板の配線材として好適に用いることができる。無酸素銅板の厚さが厚くなるほど、放熱性をより高めることができる。
しかしながら、セラミック基板の厚さに対して無酸素銅板の厚さが厚すぎると、上述のセラミック配線基板において、セラミックの線膨張係数と無酸素銅の線膨張係数との違いによる熱膨張差の影響が大きくなるため、発生する熱応力が大きくなることがある。その結果、無酸素銅板が上述の2つの特性を有する場合であっても、セラミック配線基板が昇温と降温とを繰り返すと、セラミック基板が割れたり、セラミック基板と無酸素銅板とが剥離したりすることがある。無酸素銅板の厚さを1mm以下にすることで、これを解決することができ、セラミック配線基板において、セラミック基板と無酸素銅との熱膨張差の影響を小さくすることができる。
(3)無酸素銅板の製造方法
次に、本実施形態にかかる無酸素銅板の製造方法について、溶解鋳造法を例示して説明する。
本実施形態にかかる無酸素銅板は、電解精製工程、溶解鋳造工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程を順次実施することによって形成することができる。
(電解精製工程)
電解精製工程では、銅鉱石から溶製した粗銅を電解精製することで、溶解鋳造工程において溶解原料となる電気銅を形成する。電気銅には、O、P、S、Sn、Ag等の不純物成分が含まれている。これらの不純物成分のうち、Sn、Agの濃度は、本工程で低減することができ、また本工程で低減することが有効である。例えば、電気銅に含まれるSnやAgの濃度は、いったん電解精製で形成した電気銅を原料として再び電解精製を行う等、電解精製を複数回(n回(nは2以上の整数))繰り返し行うことで低減することができる。このようにして、最終的に形成される無酸素銅板のSn濃度を例えば0.0005質量%以下にし、Ag濃度を例えば0.0010質量%以下にすることができる濃度まで電気銅中のSn、Ag濃度を低減させる。
(溶解鋳造工程)
上述の電解精製工程を経てSn、Ag濃度を所定値まで低下させた電気銅を例えば高周波溶解炉等を用いて溶解して銅の溶湯を生成し、この銅の溶湯を鋳型に注いで冷却し、所定の組成を有する鋳塊(無酸素銅の鋳塊)を鋳造する。電気銅中に含まれる上記不純物成分のうち、O、P、Sの濃度は、溶解鋳造工程で低減することができる。
電気銅中のO、P、Sの濃度を低減するために、まず、酸素が存在する雰囲気下(例えば大気雰囲気下)で電気銅を溶解して銅の溶湯を生成し、その後、銅の溶湯表面を例えば木炭で被覆することが好ましい。
酸素が存在する雰囲気下で電気銅を溶解して銅の溶湯を生成することで、溶湯中にOを取り込むことができる。これにより、電気銅中に含まれていた(すなわち銅の溶湯中に含まれる)P、Sと、溶湯中のOと、を反応させ(P、Sを酸化させ)、Pを例えば五酸化二リン(P)ガスにし、Sを例えば二酸化硫黄(SO)ガスにして溶湯中から除去することができる。その結果、無酸素銅板のP濃度を例えば0.0002質量%以下にし、S濃度を例えば0.0005質量%以下にすることができる濃度まで鋳塊中のP、S濃度を低減させることができる。
また、銅の溶湯表面を木炭で被覆することで、木炭に含まれる炭素(C)と、溶湯中のOと、を反応させ、OをCOガスにして溶湯中から除去することができる。これにより、無酸素銅板のO濃度を例えば0.0010質量%以下にすることができる濃度まで鋳塊中のO濃度を低減させることができる。なお、無酸素銅板のO濃度を確実に低減させる観点から、溶湯表面の表面を木炭で被覆する前に、溶湯表面の酸化物を除去することが好ましい。
これによって、O濃度、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度が上述の所定値以下であり、Cu濃度が例えば99.99質量%以上である無酸素銅の鋳塊を鋳造することができる。
(熱間圧延工程)
鋳塊を高温(例えば750℃以上950℃以下)に加熱した状態で、鋳塊に対して熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば10mm)の熱間圧延材を形成する。本明細書における熱間圧延材とは、熱間圧延工程を行うことで形成された無酸素銅の板材をいう。
(冷間圧延工程)
熱間圧延工程が終了した後、熱間圧延材に対して所定の冷間圧延を複数回行い、所定厚さ(例えば100μm以上)の平板状の無酸素銅板を形成する。冷間圧延工程では、被圧延材に再結晶等が生じないような冷間圧延を行う。具体的には、1回の加工度rが40%以下である冷間圧延(圧延パス)を、総加工度Rが90%以上となるように複数回行う。
1回の冷間圧延(1回の圧延パス)の加工度rは、下記の(式1)から求められる。なお、(式1)中、tは1回の冷間圧延前の被圧延材の厚さであり、tは1回の冷間圧延後の被圧延材の厚さである。
(式1)
加工度r(%)={(t−t)/t}×100
1回の冷間圧延の加工度rを40%以下とすることで、冷間圧延を行うことにより発生する加工熱の量を低減できる。従って、複数回の冷間圧延を行って無酸素銅板を形成している間に、加工熱によって再結晶等が生じるような温度に被圧延材が加熱されることを抑制できる。
総加工度Rは、下記の(式2)から求められる。なお、(式2)中、Tは熱間圧延材の厚さであり、Tは所定回数の冷間圧延を行った後(冷間圧延工程が終了した後)の圧延材(すなわち無酸素銅板)の厚さである。
(式2)
総加工度R(%)={(T−T)/T}×100
総加工度Rを高くすることで、無酸素銅板に導入されるひずみ量が多くなり、無酸素銅板に多くのひずみを蓄積させることができる。これにより、セラミック基板と無酸素銅板を貼り合せるために実施する所定条件(例えば800℃以上1080℃以下の温度で5分以上)の熱処理によって、無酸素銅板の0.2%耐力が上昇しにくくなる。具体的には、総加工度Rを90%以上にすることで、所定条件で加熱(熱処理)後の無酸素銅板の0.2%耐力を16MPa以下に収めることができる。
なお、冷間圧延工程では、焼鈍を挟まずに冷間圧延を複数回連続して行うことが好ましい。すなわち、圧延により低下する被圧延材の加工性を回復するための焼鈍を一切行うことなく、被圧延材にひずみを蓄積させることが好ましい。これにより、所定条件で加熱後の無酸素銅板の0.2%耐力の上昇を確実に抑制できる。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)200℃の温度下で30分加熱することによりビッカース硬さがHV80以下に低下する特性を有することで、無酸素銅板が塑性変形しても、0.2%耐力が上昇しにくくなり、無酸素銅板が長期間塑性変形するようになる。これにより、上述の緩和効果を長期間得ることができる。このため、セラミック配線基板は、昇温と降温とを繰り返しても、セラミック基板が割れたり、無酸素銅板とセラミック基板とが剥離したりすることを長期間抑制でき、セラミック配線基板の信頼性を長期間維持できる。また、200℃という低温でビッカース硬さの低下を進行させることもできる。
なお、従来の一般的な無酸素銅板では、200℃の温度下で30分加熱後のビッカース硬さがHV100以下にはなるが、HV80以下にはならないこと、また従来の一般的な無酸素銅板において加熱後のビッカース硬さをHV80以下まで低下させるには、220℃以上の温度下で30分加熱する必要があること、を本願発明者は確認済みである。
(b)また、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まるという特性を有することで、従来の無酸素銅板よりも低い応力(例えば上述の熱応力程度の低い応力)で、無酸素銅板が塑性変形することとなる。これにより、上述の緩和効果を確実に得ることができ、セラミック配線基板の信頼性を確実に維持することができる。
なお、従来の一般的な無酸素銅板は、800℃以上1080℃以下の温度下で5分加熱後の0.2%耐力は20〜30MPaである。これに対し、本実施形態にかかる無酸素銅板は、従来の無酸素銅板よりも、加熱後の0.2%耐力の上昇が抑制されている。
(c)無酸素銅板中のO濃度、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度をそれぞれ上述の所定範囲の濃度とし、Cu濃度を99.99質量%以上にすることで、無酸素銅板を、上述の2つの特性を有する銅板にすることが可能となる。
(d)無酸素銅板の厚さを100μm以上にすることで、所定の放熱性を確保できるため、この無酸素銅板を有するセラミック配線基板に、大電流用半導体素子(例えば大電流スイッチング用半導体素子)を搭載することができる。
(e)冷間圧延工程において、1回の加工度rが40%以下である冷間圧延を総加工度Rが90%以上になるように複数回行うことにより、所定条件で加熱後の0.2%耐力の上昇を抑制できる無酸素銅板を形成できる。すなわち、800℃以上1080℃以下の温度下で5分加熱後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板を形成できる。
(f)本実施形態にかかる無酸素銅板は、大電流用半導体素子が搭載されるセラミック配線基板に用いられる場合に、特に有効である。大電流用半導体素子には他の半導体素子よりも大きな電流が流されるため、大電流用半導体素子が搭載されたセラミック配線基板はより高温になりやすい。このようなセラミック配線基板では昇温と降温とを繰り返すことで、無酸素銅板とセラミック基板との界面に発生する応力がより大きくなる。本実施形態にかかる無酸素銅板を用いて形成したセラミック配線基板は、このような大きな応力が発生した場合であっても、セラミック基板の割れや無酸素銅板とセラミック基板の剥離の発生を抑制することができ、セラミック配線基板の信頼性を向上させることができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、高周波溶解炉を用いて溶湯を生成したが、これに限定されない。例えば、原料を加熱して溶解して溶湯を生成することが可能な種々の溶解炉を用いることができる。
上述の実施形態では、無酸素銅板がセラミック配線基板の配線材に用いられる場合について説明したが、これに限定されない。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の製作>
以下に示すように、試料1〜14の無酸素銅板を作成した。
(試料1)
試料1では、所定の電解精製工程を経てSn、Ag濃度を所定値まで低下させた高純度の電気銅を、高周波溶解炉が有するルツボ(黒鉛ルツボ)内に投入し、高周波溶解炉を用いて大気雰囲気下でルツボ内を加熱して電気銅を溶解し、銅(無酸素銅)の溶湯を溶製した。このとき、電気銅中に含まれていたP、Sと、大気雰囲気下で溶解することにより溶湯中に取り込まれたOと、を反応させて、P、SをそれぞれPガス、SOガスとし、溶湯中から除去した。その後、溶湯表面を木炭で被覆し、木炭に含まれるCと、溶湯中のOと、を反応させ、OをCOガスとして、溶湯中からOを除去した。この溶湯を鋳型に注いで冷却し、所定形状の無酸素銅の鋳塊を鋳造した。この鋳塊のCu濃度(Cuの純度)は99.996質量%であった。
得られた鋳塊に対して所定条件の熱間圧延を行い、厚さが10mmの熱間圧延材を形成した(熱間圧延工程)。得られた熱間圧延材に対して、1回の加工度rが35%以下(すなわち最大1パス加工度が35%)である冷間圧延を、焼鈍を挟むことなく、総加工度Rが92%となるように複数回連続して行い、厚さが0.8mmの無酸素銅板を形成した(冷間圧延工程)。この無酸素銅板を試料1とした。
(試料2〜12)
試料2〜12ではそれぞれ、鋳造工程で鋳造される鋳塊の組成、すなわち無酸素銅板の組成が下記の表1に示す通りになるように、無酸素銅の溶湯中にP、S、SnおよびAgのうちの所定の元素を微量添加して鋳塊を形成した。その他は、上述の試料1と同様にして無酸素銅板を形成した。これらをそれぞれ試料2〜12とした。
(試料13、14)
試料13では、冷間圧延工程において複数回行う冷間圧延のうち、1回の加工度rが40%を超える冷間圧延を少なくとも1回行った。具体的には、冷間圧延工程における冷間圧延の最大1パス加工度を44%とした。試料14では、熱間圧延工程において、厚さが7mmの熱間圧延材を形成した。また、冷間圧延工程において、総加工度Rを90%未満とした。具体的には、冷間圧延工程において、最大加工度が35%である冷間圧延を、総加工度Rが88.6%になるように複数回行った。その他は、上述の試料1と同様にして無酸素銅板を形成した。これらをそれぞれ試料13、14とした。
<セラミック配線基板の作成>
次に、試料1〜14を用い、セラミック配線基板を作成した。
まず、セラミック基板として、AlNを主成分とする厚さが0.5mmのセラミック焼結体を準備した。このセラミック基板を800℃以上900℃以下の条件で熱処理し、セラミック基板の表面に付着した有機物を除去する清浄化処理を行った。その後、セラミック基板の片面に、ペースト状のロウ材を厚さが0.03mmになるようにスクリーン印刷法で塗布した。ロウ材は、Agを70質量%、Cuを28質量%、Tiを2質量%含むものを用いた。そして、ロウ材上に試料1〜14の無酸素銅板をそれぞれ配置し、各試料(無酸素銅板)とセラミック基板とロウ材との積層体を、真空中で850℃に加熱して5分間保持して、各試料とセラミック基板とをロウ材を介して貼り合せ、セラミック配線基板を作成した。
Figure 0006744174
表1中、P濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度の値はそれぞれ、鋳塊中のP濃度、S濃度、Sn濃度、Ag濃度をプラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により測定した値である。また、表1中、O濃度の値は、鋳塊から採取した試験片をルツボ内で溶解した際に発生するCOを赤外線吸収法で測定する方法により測定した値である。
表1中、「熱間圧延後の総加工度(%)」とは、熱間圧延工程が終了した後に行う圧延、すなわち冷間圧延工程で行う冷間圧延の総加工度を意味する。
表1中、「200℃×30分加熱後のビッカース硬さ(HV)」は、試料1〜14から採取したビッカース硬さ測定用の試験片をそれぞれ200℃の温度下で30分加熱した後、JIS Z2244に基づくマイクロビッカース硬さ試験方法に準拠し、試験荷重0.98Nとして測定した値である。
表1中、「800℃×5分加熱後の0.2%耐力(MPa)」は、試料1〜14から採取した0.2%耐力測定用の試験片をそれぞれ800℃の温度下で5分加熱した後、JIS Z2241に示されたオフセット法に基づく引張試験を行うことで測定した値(すなわち0.2%耐力)である。
表1中、「接合状態」は、試料1〜14の無酸素銅板を用いて形成した各セラミック配線基板における各試料(無酸素銅板)とセラミック基板との接合状態を評価したものである。具体的には、上述の各セラミック配線基板について、超音波顕微鏡(日立パワーソリューションズ製Fine SAT III)を用い、各試料とセラミック基板との接合界面の未接合率を求めた。未接合率とは、接合界面の面積に対する未接合部分の面積の割合である。未接合率が10%未満である試料の評価を「○」とし、未接合率が10%以上である試料の評価を「×」とした。
表1中、「割れ・剥離評価」とは、試料1〜14を用いて形成した各セラミック配線基板について、ヒートサイクル試験を行った後、セラミック基板に割れ(クラック)が発生していないか、無酸素銅板がセラミック基板から剥離している箇所がないか、を評価したものである。ヒートサイクル試験は、各セラミック配線基板を、−65℃のエタノールとドライアイスを混合した寒剤の液浴と150℃のオイルバスの液浴とに交互に投入することにより行った。また、ヒートサイクル試験は、各セラミック配線基板を、寒剤の液浴に5分間投入した後、オイルバスの液浴に5分間投入するサイクルを1サイクルとして、これを500サイクル繰り返した。セラミック基板に割れが発生しておらず、無酸素銅板がセラミック基板から剥離している箇所がない試料の評価を「○」とし、セラミック基板に割れが発生していたり、無酸素銅板がセラミック基板から剥離していたりする箇所がある試料の評価を「×」とした。
表1中、「総合評価」とは、上述の接合状態の評価と、割れ・剥離評価と、を総合的に評価したものである。各試料を用いて形成したセラミック配線基板について、接合状態の評価が「○」であり、割れ・剥離の評価も「○」であるものは、総合評価を「◎」とした。接合状態および割れ・剥離の評価のどちらか一方もしくは両方が「×」であるものは、総合評価を「×」とした。
<評価結果>
試料1〜6から、200℃の温度下で30分加熱することによりビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有している無酸素銅板は、昇温と降温とを繰り返しても、セラミック基板が割れたり、セラミック基板と無酸素銅板と(の接合界面)が剥離したりすることを抑制できることを確認した。
また、試料1〜6から、O濃度が0.0010質量%以下、P濃度が0.0002質量%以下、S濃度が0.0010質量%以下、Sn濃度が0.0005質量%以下、Ag濃度が0.0010質量%以下、Cu濃度が99.99質量%以上である無酸素銅板は、200℃の温度下で30分加熱することによりビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有することを確認した。
また、試料1〜6から、冷間圧延工程では、1回の加工度r(最大1パス加工度)が40%以下である冷間圧延を、総加工度Rが90%以上になるように複数回行うことで、200℃で30分加熱した後のビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の条件で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板を形成できることを確認した。
試料7〜12から、P濃度が0.0002質量%を超えたり、S濃度が0.0010質量%を超えたり、Sn濃度が0.0005質量%を超えたり、Ag濃度が0.0010質量%を超えたり、O濃度が0.0010質量%を超えたり、不純物濃度が高く、Cu濃度が99.99%未満であったりする無酸素銅板であると、200℃で30分加熱した後のビッカース硬さがHV80を超えたり、800℃で5分加熱した後の0.2%耐力が16MPaを超えたりすることがあることを確認した。
試料13、14から、冷間圧延工程において、1回の加工度rが40%を超える冷間圧延が行われたり、総加工度Rが90%未満になったりすると、200℃で30分加熱した後のビッカース硬さがHV80を超えたり、800℃で5分加熱した後の0.2%耐力が16MPaを超えたりすることがあることを確認した。
試料7〜13から、200℃で30分加熱した後のビッカース硬さがHV80を超えたり、800℃で5分加熱した後の0.2%耐力が16MPaを超えたりする無酸素銅板を用いて形成したセラミック配線基板は、昇温と降温とを繰り返すと、セラミック基板が割れたり、セラミック基板と無酸素銅板とが剥離したりすることがあることを確認した。
また、試料12から、Cu濃度が99.99質量%未満であると、セラミック配線基板において、無酸素銅板とセラミック基板とが接合されていない箇所が多いことがあることを確認した。
<好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
圧延加工によって平板状に形成されてなり、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、
800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板が提供される。
[付記2]
付記1の無酸素銅板であって、好ましくは、
200℃の温度下で30分加熱する前のビッカース硬さがHV125以上である。
[付記3]
付記1または2の無酸素銅板であって、好ましくは、
800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱する前の0.2%耐力が400MPa以上である。
[付記4]
付記1〜3のいずれか1つの無酸素銅板であって、好ましくは、
酸素濃度が0.0010質量%以下であり、燐濃度が0.0002質量%以下であり、硫黄濃度が0.0010質量%以下であり、錫濃度が0.0005質量%以下であり、銀濃度が0.0010質量%以下であり、銅濃度が99.99質量%以上である。
[付記5]
付記1〜4のいずれか1つの無酸素銅板であって、好ましくは、
厚さが100μm以上である。
[付記6]
付記5の無酸素銅板であって、好ましくは、
厚さが1mm以下である。
[付記7]
本発明の他の態様によれば、
酸素濃度が0.0010質量%以下であり、燐濃度が0.0002質量%以下であり、硫黄濃度が0.0010質量%以下であり、錫濃度が0.0005質量%以下であり、銀濃度が0.0010質量%以下であり、銅濃度が99.99質量%以上である無酸素銅で形成された被圧延材に対して、1回の加工度が40%以下である冷間圧延を、総加工度が90%以上になるように複数回行う冷間圧延工程を有し、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板を形成する無酸素銅板の製造方法が提供される。
[付記8]
付記7の無酸素銅板の製造方法であって、好ましくは、
前記冷間圧延工程では、
焼鈍を行うことなく、前記被圧延材にひずみを蓄積させる。
[付記9]
本発明のさらに他の態様によれば、
セラミック基板と、
前記セラミック基板の少なくとも一方の主面上に貼り合わされた配線パターンと、を有し、
前記配線パターンは、
200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下するとともに、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下である無酸素銅板で形成されているセラミック配線基板が提供される。

Claims (4)

  1. 圧延加工によって平板状に形成されてなり、
    酸素濃度が0.0010質量%以下であり、燐濃度が0.0002質量%以下であり、硫黄濃度が0.0010質量%以下であり、錫濃度が0.0005質量%以下であり、銀濃度が0.0010質量%以下であり、銅濃度が99.99質量%以上であり、
    200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、
    800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する
    無酸素銅板。
  2. 厚さが100μm以上である
    請求項1に記載の無酸素銅板。
  3. 銅鉱石から溶製した粗銅に対して電解精製を複数回行って電気銅を形成する電解精製工程と、
    前記電気銅を溶解して銅の溶湯を生成し、前記溶湯を鋳型に注いで鋳塊を鋳造する溶解鋳造工程と、
    を行い、無酸素銅を形成する工程と、
    前記無酸素銅で形成された被圧延材に対して、冷間圧延を行う冷間圧延工程と、を有し、
    前記溶解鋳造工程では、
    酸素が存在する雰囲気下で前記電気銅を溶解して前記溶湯を生成することにより、前記溶湯中に酸素を取り込ませ、前記溶湯中に含まれていた燐、硫黄と、前記溶湯中に取り込ませた酸素と、を反応させて、前記溶湯中に含まれていた燐および硫黄を前記溶湯中から除去し、
    前記溶湯の表面を木炭で被覆して、前記木炭に含まれる炭素と前記溶湯中の酸素とを反応させて前記溶湯中の酸素を除去し、
    その後、前記溶湯を鋳型に注いで鋳塊を鋳造し、
    前記冷間圧延工程では、
    1回の加工度が40%以下である冷間圧延を、総加工度が90%以上になるように焼鈍を挟まずに複数回行い、
    酸素濃度が0.0010質量%以下であり、燐濃度が0.0002質量%以下であり、硫黄濃度が0.0010質量%以下であり、錫濃度が0.0005質量%以下であり、銀濃度が0.0010質量%以下であり、銅濃度が99.99質量%以上であり、
    200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下し、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下に収まる特性を有する無酸素銅板を形成する
    無酸素銅板の製造方法。
  4. セラミック基板と、
    前記セラミック基板の少なくとも一方の主面上に貼り合わされた配線パターンと、を有し、
    前記配線パターンは、
    200℃の温度下で30分加熱することでビッカース硬さがHV80以下に低下するとともに、800℃以上1080℃以下の温度下で5分以上加熱した後の0.2%耐力が16MPa以下である無酸素銅板で形成されている
    セラミック配線基板。
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