JP6582159B1 - 絶縁基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、セラミック基板と、該セラミック基板の一方の面に形成された第1の銅板材と、該セラミック基板の他方の面に形成された第2の銅板材とが、接合された絶縁基板に関する。各銅板材が、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1〜2.0ppm、銅の含有量が99.96mass%%以上である組成を有し、各銅板材の表面のEBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数をオイラー角(φ1、Φ、φ2)で表したとき、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、かつ、各銅板材の平均結晶粒径が50μm〜400μmである。

Description

本発明は、絶縁基板、特にパワーデバイス用の絶縁基板及びその製造方法に関する。
一般に、パワーデバイスは高電圧・大電流を使用するため、半導体素子が発する熱による材料特性の劣化が課題となっている。そこで、近年、絶縁性及び放熱性に優れたセラミック基板を銅板に接合した絶縁基板を用いることによって、絶縁・放熱対策が行われてきている。
セラミック基板と銅板との接合には、主に、銀系ろう材等を介して接合する接合方法、ろう材を介さずに銅の共晶反応を利用して接合する接合方法等が用いられている。セラミック基板には窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等が用いられているが、これらの熱膨張係数は銅板を構成する銅板材の熱膨張係数と異なる。そのため、半導体素子の発熱の際に、熱膨張係数の差によって絶縁基板全体に大きなひずみが生じる傾向がある。また、セラミック基板と銅板材とでは、銅板材の方が高い熱膨張係数を有するため、熱処理を行うと、セラミック基板には引張応力が加わり、銅板には圧縮応力が加わる。これにより、絶縁基板全体に高いひずみが加わり、絶縁基板が熱膨張により変形して寸法変化が生じるだけでなく、セラミック基板と銅板との剥離等が生じやすくなる。そのため、加熱してもできる限り変形しにくい絶縁基板が求められている。
また、銅板に用いられる高純度の銅は、接合時の700℃以上の高温では結晶粒が著しく成長し、組織の均質化が困難になり、加えて、伸びや引張強度も低下する。そのため、ボンディング性が低下し、また、ひずみが生じた際に粒界破壊の起点になるといった問題がある。そこで、絶縁基板を構成する高純度の銅を用いた銅板の引張強度、伸びを向上させるとともに結晶粒を適切に微細化することで、熱膨張による変形に伴う負荷に対する抵抗力を増大し、粒界破壊の防止、さらにはボンディング性の向上が期待されている。
例えば、特許文献1には、放熱基板に用いられる純銅板として、純度99.90mass%以上の純銅からなり、X線回析強度の比率を特定した純銅板が開示されている。純銅板を構成する無酸素銅において、100μm以下の結晶粒径、X線回折強度の比率を規定することで、純銅板のエッチング性を向上させている。
また、特許文献2には、放熱用電子部品及び大電流用電子部品等に好適な銅合金板として、引張強さが350MPa以上であり、所定位置の結晶方位の集積度を制御した銅合金板が開示されている。所定位置の結晶方位の集積度を制御することで、銅合金板の繰返し曲げ加工性等を向上させている。
特開2014−189817号公報 特許第5475914号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている純銅板は、エッチングによって表面に凹凸が生じにくいため他の部材との密着性が優れているが、高温下での他の部材との接合に関しては全く検討されていない。また、特許文献2に開示されている銅合金板は、耐熱性に関して検討されているが、200℃で30分間の熱処理による耐熱性しか考慮されていない。さらに、特許文献2に開示されている銅合金板は、引張強さが350MPa以上であり、絶縁基板に用いる銅板材として適切な150〜330MPaの範囲に対応していない。また、特許文献1、2のいずれにおいても、銅板を絶縁基板に接合した後の不具合については何ら言及されていない。それ故、半導体素子が発熱した際、銅板材とセラミック基板との熱膨張係数の差によって生じる、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板との剥離の問題、これらを700℃以上の高温で接合する際に生じる、結晶粒の成長による組織の不均質化、ボンディング性の低下の問題に対しては、依然として解決されていない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、耐熱特性に優れ、さらには、結晶粒が良好に微細化された銅板材を備えた絶縁基板及びその製造方法を提供することである。
[1]セラミック基板と、該セラミック基板の一方の面に形成された第1の銅板材と、該セラミック基板の他方の面に形成された第2の銅板材とが、接合された絶縁基板であって、
前記第1及び第2の銅板材が、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1〜2.0ppm、銅の含有量が99.96mass%以上である組成を有し、かつ、前記第1及び第2の銅板材の表面のEBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数をオイラー角(φ1、Φ、φ2)で表したとき、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が1.0以上15.0未満である圧延集合組織を有し、かつ、
前記第1及び第2の銅板材の平均結晶粒径が50μm以上400μm以下である、絶縁基板。
[2]前記第1及び第2の銅板材の平均結晶粒径が100μmより大きく400μm以下である、[1]に記載の絶縁基板。
[3]前記セラミック基板が、窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、およびアルミナとジルコニアの化合物からなる群から選択される少なくとも1種を主成分とするセラミック材料を用いて形成されている、[1]または[2]に記載の絶縁基板。
[4]前記第1及び第2の銅板材の引張強度が、210MPa以上250MPa以下である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の絶縁基板。
[5]前記第1及び第2の銅板材の伸びが25%以上50%未満である[1]乃至[4]のいずれかに記載の絶縁基板。
[6]前記第1及び第2の銅板材の導電率が95%IACS以上である、[1]乃至[5]のいずれかに記載の絶縁基板。
[7][1]乃至[6]のいずれかに記載の絶縁基板の製造方法であって、
前記第1の銅板材の材料である第1の被圧延材及び前記第2の銅板材の材料である第2の被圧延材に対し、昇温速度が10℃/秒〜50℃/秒、到達温度が250℃〜600℃、保持時間が10秒〜3600秒、冷却速度が10℃/秒〜50℃/秒の条件で焼鈍処理を施す焼鈍工程と、
前記焼鈍工程後に、前記第1の被圧延材と、前記第2の被圧延材との総加工率が10〜65%の冷間圧延を行う冷間圧延工程と、
前記冷間圧延工程後に、前記セラミック基板の一方の面に前記第1の被圧延材を、前記セラミック基板の他方の面に前記第2の被圧延材を、ろう材を介してそれぞれ接合し、前記第1の銅板材と前記第2の銅板材とがそれぞれ接合された絶縁基板を形成する接合工程と、を含み、
前記接合工程は、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が400℃〜600℃、保持時間が10秒〜300秒の条件で熱処理を施す第1加熱処理と、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が750℃〜850℃、保持時間が100秒〜7200秒の条件で熱処理を施す第2加熱処理と、で構成される、絶縁基板の製造方法。
本発明によれば、セラミック基板と、該セラミック基板の一方の面に形成された第1の銅板材と、該セラミック基板の他方の面に形成された第2の銅板材とが、接合された絶縁基板において、前記第1及び第2の銅板材が、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1〜2.0ppm、銅の含有量が99.96mass%以上である組成を有し、かつ、前記第1及び第2の銅板材の表面のEBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数をオイラー角(φ1、Φ、φ2)で表したとき、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が1.0以上15.0未満である圧延集合組織を有し、かつ、前記第1及び第2の銅板材の平均結晶粒径が50μm以上400μm以下であることにより、耐熱特性に優れた絶縁基板を得ることができる。
また、本発明によれば、第1及び第2の銅板材が優れた耐熱特性を示すため、絶縁基板全体の負荷応力が低減し、熱膨張による負荷に対する抵抗力が増大する。これにより、第1及び第2の銅板材とセラミック基板との熱膨張係数の差によって生じる、絶縁基板の変形、さらにはセラミック基板と第1及び第2の銅板材との剥離、すなわちボンディング性の低下を抑制することができる。
本発明の絶縁基板に用いられる銅板材の表面の圧延集合組織をEBSDにより測定し、ODFで解析した結果の一例を示す結晶方位分布図である。図1(A)はφ2=20°の結晶方位分布図であり、図1(B)は、φ2=35°の結晶方位分布図である。
以下に、本発明の絶縁基板の詳細及び実施形態例について説明する。なお、以下において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
<絶縁基板>
本発明の絶縁基板は、セラミック基板と、該セラミック基板の一方の面に形成された第1の銅板材と、該セラミック基板の他方の面に形成された第2の銅板材とが、接合されている。すなわち、絶縁基板は、第1の銅板材と第2の銅板材との間にセラミック基板が配置され、第1の銅板材と、セラミック基板と、第2の銅板材と、がこの順でそれぞれ圧延接合された積層構造を有している。第1の銅板材とセラミック基板、セラミック基板と第2の銅板材は、相互に接合された層構造であればよい。第1の銅板材とセラミック基板、セラミック基板と第2の銅板材は、例えば、ろう材、接着剤、はんだ等で接合されていてもよく、特にろう材を介して接合されていることが好ましい。また、絶縁基板の厚みは、使用状況に応じて適宜選択可能であり、例えば、0.3mm〜10.0mmであることが好ましく、0.8mm〜5.0mmであることがより好ましい。なお、特に言及されない限り、便宜上、第1及の銅板材及び第2の銅板材を、以下において単に「銅板材」とも呼ぶことがある。
[セラミック基板]
本発明の絶縁基板に用いられるセラミック基板は、高い絶縁性を備えるセラミック材料から形成されていれば、特に限定されるものではない。このようなセラミック基板は、例えば、窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナおよびアルミナとジルコニアの化合物の少なくとも1種を主成分とするセラミック材料を用いて形成されていることが好ましい。セラミック基板の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.05mm〜2.0mmであることが好ましく、0.2mm〜1.0mmであることがより好ましい。
[銅板材]
一般に、銅材料とは、(加工前であって所定の組成を有する)銅素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工された材料を意味する。その中で、「板材」とは、特定の厚みを有し、形状的に安定しており、かつ面方向に広がりを有する材料を指し、広義には条材を含む意味である。本発明における「銅板材」は、所定の組成を有する銅から形成された当該「板材」を意味する。
[銅板材の成分組成]
本発明の絶縁基板に用いられる銅板材は、銅の含有量が99.96mass%以上であり、好ましくは99.99mass%以上である。銅の含有量が99.96mass%未満であると、熱伝導率が低下し、所望する放熱性が得られない。また、上記銅板材は、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1ppm〜2.0ppmである。これらの金属成分の合計含有量の下限値は、特に限定されないが、不可避的不純物を考慮し、0.1ppmとしている。一方、これらの金属成分の合計含有量が2.0ppmを超えると、所望の方位密度が得られない。そのため、絶縁基板にかかる熱膨張による負荷に対する抵抗力の増大効果が得られず、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板材との剥離等が生じてしまう場合がある。また、上記銅板材には、銅、並びに、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分以外に、残部として不可避的不純物が含まれていてもよい。不可避的不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。第1の銅板材の成分組成と第2の銅板材の成分組成は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、製造効率の観点から、これらは同じであることが好ましい。
銅板材の上記金属成分の定量分析には、GDMS法を用いることができる。GDMS法とは、Glow Discharge Mass Spectrometryの略であり、固体試料を陰極としグロー放電を用いて試料表面をスパッタし、放出された中性粒子をプラズマ内のArや電子と衝突させることによってイオン化させ、質量分析器でイオン数を計測することで、金属に含まれる極微量元素の割合を解析する技術である。
[圧延集合組織]
本発明の絶縁基板に用いられる銅板材は、該銅板材の表面のEBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)をオイラー角(φ1、Φ、φ2)で表したとき、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、かつ、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満である圧延集合組織を有する。オイラー角(φ1、Φ、φ2)は、圧延方向をRD方向、RD方向に対して直交する方向(板幅方向)をTD方向、圧延面(RD面)に対して垂直な方向をND方向としたとき、RD方向を軸とした方位回転がΦ、ND方向を軸とした方位回転がφ1、TD方向を軸とした方位回転がφ2として表される。方位密度は、集合組織における結晶方位の存在比率及び分散状態を定量的に解析する際に用いられるパラメータであり、EBSD及びX線回折を行い、(100)、(110)、(112)等の3種類以上の正極点図の測定データに基づいて、級数展開法による結晶方位分布解析法により算出される。EBSDによる集合組織解析から得られるφ2を所定の角度で固定した結晶方位分布図において、RD面内での方位密度の分布が示される。第1の銅板材が有する圧延集合組織と第2の銅板材が有する圧延集合組織は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、製造効率の観点から、これらは同じであることが好ましい。
EBSD法とは、Electron BackScatter Diffractionの略であり、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子を利用した結晶方位解析技術である。EBSDによる解析の際、測定面積およびスキャンステップは、試料の結晶粒の大きさに応じて決定すればよい。測定後の結晶粒の解析には、例えば、TSL社製の解析ソフトOIM Analysis(商品名)を用いることができる。EBSDによる結晶粒の解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの情報を含んでいる。厚さ方向の測定箇所は、試料表面から板厚の1/8倍〜1/2倍の位置付近とすることが好ましい。
図1は、本発明の絶縁基板に用いられる銅板材の表面の圧延集合組織をEBSDにより測定し、ODFで解析した結果の一例を示す結晶方位分布図である。図1(A)はφ2=20°の結晶方位分布図であり、図1(B)は、φ2=35°の結晶方位分布図である。結晶方位分布図では、結晶方位分布がランダムな状態を方位密度が1であるとし、それに対して何倍の集積となっているかが等高線で表されている。図1において、白い部分は方位密度が高く、黒い部分は方位密度が低いことを示し、それ以外の部分は白に近いほど方位密度が高いことを示す。本発明では、図1(A)において、点線で囲われた領域(φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°)の方位密度の平均値が15未満であり、図1(B)において、点線で囲われた領域(φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°)の方位密度の平均値が15未満である圧延集合組織を有している。図1(A)では、前者の方位密度の平均値が8であり、図1(B)では、後者の方位密度の平均値が4である結晶方位分布図を示している。
本発明では、絶縁基板に用いられる銅板材は、EBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数において、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、かつ、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満である圧延集合組織を有する。このように、方位密度を適切に制御することにより、上記銅板材は、高温(例えば、700℃以上)での熱処理において結晶粒の成長が抑制され、耐熱特性に優れる効果を発揮する。φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が15.0以上では、結晶方位制御が十分ではないため、高温(例えば、700℃以上)での熱処理における結晶粒の成長が抑制できず、耐熱特性に劣ってしまう。そのため、絶縁基板にかかる熱膨張による負荷に対する抵抗力が増大し、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板材との剥離等が生じてしまう場合がある。また、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が15.0以上の場合も同様、結晶方位制御が十分ではないため、耐熱特性に劣ってしまう。そのため、絶縁基板にかかる熱膨張による負荷に対する抵抗力が増大し、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板材との剥離等が生じてしまう場合がある。尚、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値のそれぞれの下限値である0.1は、EBSDによる集合組織解析において解析できる方位密度の最小値として規定している。
[平均結晶粒径]
本発明の絶縁基板に用いられる銅板材の平均結晶粒径は50μm以上400μm以下であり、100μmより大きく400μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が50μm未満であると、十分な結晶方位制御ができず、耐熱特性に劣ってしまう。一方、平均結晶粒径が400μmを超えると、十分な引張強度と伸びが得られず、絶縁基板にかかる熱膨張による負荷に対する抵抗力が増大し、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板材との剥離等が生じてしまう場合がある。また、銅板材とセラミック基板との界面において、銅板材の結晶粒界が界面と接する箇所には欠陥(ボイド)が生じやすい。平均結晶粒径が100μm以下である場合、セラミック基板と接触する銅板材の結晶粒界が著しく増加し、接合強度が低下するおそれがある。そのため、平均結晶粒径は100nmより大きいことが好ましい。なお、平均結晶粒径は、銅板材のRD面におけるEBSD解析により測定することができ、例えば、測定範囲における全結晶粒の粒径の平均を平均結晶粒径として定義することができる。また、第1の銅板材が有する平均結晶粒径と第2の銅板材が有する平均結晶粒径は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、製造効率の観点から、これらは同じであることが好ましい。
[板厚]
第1の銅板材と第2の銅板材の厚さ(板厚)は、特に限定されるものでないが、0.05mm〜7.0mmであることが好ましく、0.1mm〜4.0mmであることがより好ましい。第1の銅板材の厚さと第2の銅板材の厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよいが、接合熱処理、ヒートサイクル試験において、それぞれの銅板材の体積が大きく異なると、熱膨張量の違いによる板反りが起きることがある。そのため、絶縁基板の回路設計に応じて、板厚はそれぞれ適切に組み合わせることが望ましい。
[特性]
(引張強度)
銅板材の引張強度は、210MPa以上250MPa以下であることが好ましい。引張強度が210MPa未満であると、近年要求される強度としては十分ではない。一方、引張強度が250MPaを超えると、伸び、加工性が低下する傾向にある。
(伸び)
銅板材の伸びは、25%以上50%未満であることが好ましい。伸びが25%未満であると、絶縁基板にかかる熱膨張による負荷応力に対して、絶縁基板の変形、セラミック基板と銅板材との剥離等が生じてしまうおそれがある。一方、伸びが50%を超えると、強度が不十分となる傾向にある。
銅板材の導電率は、95%IACS以上であることが好ましい。導電率が95%未満であると、熱伝導率が低下し、その結果、優れた放熱特性が得られない傾向にある。
次に、本発明の絶縁基板の製造方法の一例を説明する。
[絶縁基板の製造方法]
本発明の絶縁基板の製造方法では、焼鈍工程[工程A]、冷間圧延工程[工程B]、接合工程[工程C]を含む。これらの工程における処理が、この順序にて行われることで、第1の銅板材とセラミック基板と第2の銅板材とが接合された本発明の絶縁基板を得ることができる。
まず、焼鈍工程[工程A]では、上記の成分組成を有する銅素材から製造した被圧延材、すなわち、第1の銅板材の材料である第1の被圧延材及び第2の銅板材の材料である第2の被圧延材に対し、昇温速度が10℃/秒〜50℃/秒、到達温度が250℃〜600℃、保持時間が10秒〜3600秒、冷却速度が10℃/秒〜50℃/秒の条件で焼鈍処理を施す。焼鈍工程[工程A]において、焼鈍条件が上記規定の範囲外では、得られる銅板材の平均結晶粒径の粗大化、結晶方位の不十分な制御を招き、その結果、絶縁基板の耐熱特性が劣る傾向にある。例えば、到達温度が高すぎる、または昇温速度が遅すぎる場合、結晶方位を十分に制御できず、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が著しく高くなる傾向にある。また、到達温度が低すぎる場合、焼鈍工程において歪みが緩和されないため、その後の冷間圧延と合わせて接合熱処理前の歪みも大きくなる。そのため、圧延集合組織は規定の範囲内であっても再結晶が促され、結晶粒が粗大化するおそれがある。
冷間圧延工程[工程B]では、焼鈍工程([工程A])後に、第1の銅板材の材料である第1の被圧延材と、第2の銅板材の材料である第2の被圧延材との総加工率が10〜65%の冷間圧延を行う。冷間圧延工程[工程B]において、冷間圧延条件が上記規定の範囲外では、得られる銅板材の平均結晶粒径の粗大化、結晶方位の不十分な制御を招き、絶縁基板の耐熱特性が劣る傾向にある。例えば、総加工率が著しく高い場合、結晶方位を十分に制御できず、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が著しく高くなる傾向にある。一方、総加工率が低すぎる場合、結晶粒成長を抑制しきれず結晶粒が粗大化するおそれがある。
接合工程[工程C]では、冷間圧延工程([工程B])後に、セラミック基板の一方の面に第1の銅板材の材料である第1の被圧延材を、セラミック基板の他方の面に第2の銅板材の材料である第2の被圧延材を、例えばAg−Cu−Ti系等のろう材を介してそれぞれ接合し、第1の銅板材と第2の銅板材とがそれぞれ接合された絶縁基板を形成する。接合工程[工程C]は、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が400℃〜600℃、保持時間が10秒〜300秒の条件で熱処理を施す第1加熱処理と、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が750℃〜850℃、保持時間が100秒〜7200秒の条件で熱処理を施す第2加熱処理と、で構成されている。接合工程[工程C]において、接合条件が上記規定の範囲外では、得られる銅板材の平均結晶粒径の粗大化または過剰な微細化、結晶方位の不十分な制御を招き、その結果、絶縁基板の耐熱特性が劣る傾向にある。例えば、第1加熱処理および第2加熱処理の昇温速度が速すぎる場合、結晶方位を十分に制御できず、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が著しく高くなる傾向にある。一方、第1加熱処理の到達温度が低すぎる場合、圧延集合組織は規定の範囲内であっても、冷間圧延による歪みが緩和されない。そのため、第2加熱処理において再結晶が歪みによって促進され、結晶粒が粗大化するおそれがある。また、第2加熱処理の到達温度が高すぎる場合、結晶粒成長を抑制しきれず結晶粒が粗大化するおそれがある。一方、第2加熱処理の到達温度が低すぎる場合、銅板材とセラミック基板との界面が活性せず、これらを良好に接合することが困難となる。
[被圧延材の製造方法]
本発明の絶縁基板の製造方法において、焼鈍工程[工程A]で使用する第1の被圧延材及び第2の被圧延材は、上記の成分組成を有する銅素材から製造した被圧延材であれば、特に限定されるものではない。このような被圧延材は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。以下に、本発明の絶縁基板の焼鈍工程[工程A]で使用できる被圧延材の製造方法の一例を説明する。
本発明の絶縁基板を構成するセラミック基板に接合される前の銅板材、すなわち、第1の銅板材となる第1の被圧延材及び第2の銅板材となる第2の被圧延材(以下、第1の被圧延材と第2の被圧延材を、単に「被圧延材」とも呼ぶ。)の製造方法としては、例えば、溶解・鋳造工程[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間圧延工程[工程3]、冷却工程[工程4]、面削工程[工程5]、第1冷間圧延工程[工程6]、第1焼鈍工程[工程7]、第2冷間圧延工程[工程8]、第2焼鈍工程[工程9]、仕上げ圧延工程[工程10]、最終焼鈍工程[工程11]、表面酸化膜除去工程[工程12]から構成される処理が順次行われる。
まず、溶解・鋳造工程[工程1]では、銅素材を溶解し、鋳造することによって鋳塊を得る。銅素材は、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1〜2.0ppm、銅の含有量が99.96mass%以上である組成を有する。均質化熱処理工程[工程2]では、得られた鋳塊に対して、保持温度700〜1000℃、保持時間10分〜20時間の均質化熱処理を行う。熱間圧延工程[工程3]では、総加工率が10〜90%となるように熱間圧延を行う。冷却工程[工程4]では、10℃/秒以上の冷却速度で急冷を行う。面削工程[工程5]では、冷却された材料の両面をそれぞれ約1.0mmずつ面削する。これにより、得られた板材表面の酸化膜が除去される。
第1冷間圧延工程[工程6]では、総加工率が75%以上となるよう冷間圧延を複数回行う。
第1焼鈍工程[工程7]では、昇温速度が1〜100℃/秒、到達温度が100〜500℃、保持時間が1〜900秒、かつ、冷却速度が1〜50℃/秒である条件で熱処理を施す。
第2冷間圧延工程[工程8]では、総加工率が60〜95%となるように冷間圧延を行う。
第2焼鈍工程[工程9]では、昇温速度が10〜100℃/秒、到達温度が200〜550℃、保持時間が10〜3600秒、かつ、冷却速度が10〜100℃/秒である条件で熱処理を施す。
仕上げ圧延工程[工程10]では、総加工率が10〜60%となるように冷間圧延を行う。最終焼鈍工程[工程11]では、到達温度が125〜400℃である条件で熱処理を施す。表面酸化膜除去工程[工程12]では、得られた板材表面の酸化膜除去と表面洗浄を目的として、酸洗及び研磨を行う。なお、上記圧延工程における加工率R(%)は下記式で定義される。こうして、銅板材の原料となる被圧延材を製造することができる。
R=(t−t)/t×100
式中、tは圧延前の板厚であり、tは圧延後の板厚である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜11及び比較例1〜17)
先ず、表1に示されるような所定の成分組成を有する、厚さ1.0mmの被圧延材(供試材)を2つ作製し、それぞれを第1の被圧延材及び第2の被圧延材とした。また、セラミック材料として窒化珪素を用いて形成された厚さ0.5mmのセラミック基板を使用した。
次いで、銅板材となる上記で作製した各被圧延材に対し、表2に示す条件で焼鈍処理を施した[工程A]。焼鈍処理後、得られた各被圧延材に対し、表2に示す総加工率(すなわち、第1の被圧延材及び第2の被圧延材全体としての加工率)にて冷間圧延を行った[工程B]。冷間圧延後、得られた各被圧延材について、セラミック基板の一方の面に第1の銅板材に相当する第1の被圧延材を、セラミック基板の他方の面に第2の銅板材に相当する第2の被圧延材を、Ag−Cu−Ti系のろう材を介してそれぞれ接合し、第1の銅板材と第2の銅板材とがそれぞれ接合された絶縁基板を作製した[工程C]。[工程C]では、表2に示す第1加熱処理及び第2の加熱処理の条件で加熱処理を施した。以上の工程を経て、サンプルとなる絶縁基板を作製した。
<測定方法及び評価方法>
[銅板材の定量分析]
作製した各銅板材の定量分析には、GDMS法を用いた。各実施例および各比較例ではV.G.Scientific社製 VG-9000を用いて解析を行った。各銅板材に含まれるAl、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrの含有量(ppm)並びにCuの含有量(mass%)を表1に示す。なお、各銅板材には、不可避的不純物が含まれている場合がある。表1における空欄部は、該当する金属成分が0ppmであったことを意味する。また、GDMS法による測定値が0.1ppm未満であった場合、金属成分の含有量は0ppmとした。
<銅板材の方位密度>
サンプルである各絶縁基板から剥離させた各銅板材の圧延集合組織の方位密度解析には、EBSD法を用いた。各実施例および各比較例のEBSD測定では、結晶粒を200個以上含む測定試料面を測定した。測定試料面の測定面積およびスキャンステップは、供試材の結晶粒の大きさに応じて決定した。測定後の結晶粒の解析には、TSL社製の解析ソフトOIM Analysis(商品名)を用いた。EBSD法による結晶粒の解析において得られる情報は、電子線が供試材に侵入する数10nmの深さまでの情報を含んでいる。また、板厚方向の測定箇所は、供試材表面から板厚tの1/8倍〜1/2倍の位置付近とした。
[銅板材の平均結晶粒径]
サンプルである各絶縁基板から剥離させた各銅板材の平均結晶粒径は、圧延面におけるEBSD測定にて、結晶粒を200個以上含む測定試料面を測定した。測定結果の解析において、測定範囲中の全結晶粒から、平均結晶粒径を算出した。結晶粒径の解析には、TSL社製の解析ソフトOIM Analysis(商品名)を用いた。EBSDによる結晶粒の解析において得られる情報は、電子線が供試材に侵入する数10nmの深さまでの情報を含んでいる。また、板厚方向の測定箇所は、供試材表面から板厚tの1/8倍〜1/2倍の位置付近とした。平均結晶粒径が50μm以上400μm以下の範囲にある場合、結晶粒が良好に微細化されていると評価した。
[銅板材の導電率(EC)]
サンプルである各絶縁基板から剥離させた各銅板材の導電率は、シグマテスタ(渦電流を利用したIACS%測定)を用いて測定した。各銅板板材の導電率が95%IACS以上である場合を「良好」、95%IACS未満の場合を「不良」と評価した。
[銅板材の引張強度]
サンプルである各絶縁基板から銅板材を剥離させ、切り出した試験片をJIS Z2241に準じて測定し、その平均値を示した。銅板材の引張強度が210MPa以上である場合を「良好」、210MPa未満の場合を「不良」と評価した。
[銅板材の伸び]
引張強度を測定する際にJIS Z2241に準じて測定し、その平均値を示した。銅板材の伸びが25%以上である場合を「良好」、25%未満の場合を「不良」と評価した。
[絶縁基板の耐熱特性]
各絶縁基板のサンプルを、−40℃〜250℃(1サイクル −40℃:30分保持/250℃:30分保持)の条件で1200サイクル処理するヒートサイクル試験を実施した。ヒートサイクル試験後、セラミック基板にクラックが発生したか否かを目視で観察した。クラックが発生していない場合を「○」、クラックが発生している場合を「×」と評価した。
表3に、銅板材の方位密度、平均結晶粒径、導電率、引張強度、伸び及び絶縁基板の耐熱特性の結果を示す。
Figure 0006582159
Figure 0006582159
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表1〜表3に示すように、実施例1〜11では、絶縁基板の製造条件、絶縁基板を構成する銅板材の成分組成、方位密度および平均結晶粒径が、いずれも適正範囲内であるため、耐熱特性に優れた絶縁基板が得られた。特に、実施例1〜5、7〜11では、絶縁基板が備える銅板材の導電率、引張強度及び伸びが、いずれも良好であった。尚、表2中には示していないが、実施例5では、平均結晶粒径が100μmよりも小さいため、他の実施例よりも接合強度が低下する傾向が観察された。
一方で、比較例1〜17では、絶縁基板の製造条件、絶縁基板を構成する銅板材の成分組成の一方または両方が適正範囲外であるため、方位密度、平均結晶粒径の両方または一方が適正範囲外となり、さらには、絶縁基板のヒートサイクル試験で、いずれもクラックの発生が観察された。
このように、成分組成、方位密度および平均結晶粒径が厳密に制御された銅板材を用いて形成された本発明の絶縁基板は、優れた耐熱特性を示すため、絶縁基板全体の負荷応力が低減し、熱膨張による負荷に対する抵抗力が増大する。これにより、銅板材とセラミック基板との熱膨張係数の差によって生じる絶縁基板の変形が抑制され、さらにはセラミック基板と銅板材との剥離、すなわちボンディング性の低下を抑制することができる。

Claims (7)

  1. セラミック基板と、該セラミック基板の一方の面に形成された第1の銅板材と、該セラミック基板の他方の面に形成された第2の銅板材とが、接合された絶縁基板であって、
    前記第1及び第2の銅板材が、Al、Be、Cd、Mg、Pb、Ni、P、Sn及びCrから選択される金属成分の合計含有量が0.1〜2.0ppm、銅の含有量が99.96mass%以上である組成を有し、かつ、前記第1及び第2の銅板材の表面のEBSDによる集合組織解析から得られた結晶方位分布関数をオイラー角(φ1、Φ、φ2)で表したとき、φ1=75°〜90°、Φ=20°〜40°、φ2=35°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満であり、φ1=20°〜40°、Φ=55°〜75°、φ2=20°の範囲における方位密度の平均値が0.1以上15.0未満である圧延集合組織を有し、かつ、
    前記第1及び第2の銅板材の平均結晶粒径が50μm以上400μm以下であることを特徴とする絶縁基板。
  2. 前記第1及び第2の銅板材の平均結晶粒径が100μmより大きく400μm以下である、請求項1に記載の絶縁基板。
  3. 前記セラミック基板が、窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、およびアルミナとジルコニアの化合物の少なくとも1種を主成分とするセラミック材料を用いて形成されている、請求項1または2に記載の絶縁基板。
  4. 前記第1及び第2の銅板材の引張強度が、210MPa以上250MPa以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の絶縁基板。
  5. 前記第1及び第2の銅板材の伸びが、25%以上50%未満である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の絶縁基板。
  6. 前記第1及び第2の銅板材の導電率が95%IACS以上である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶縁基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の絶縁基板の製造方法であって、
    前記第1の銅板材の材料である第1の被圧延材及び前記第2の銅板材の材料である第2の被圧延材に対し、昇温速度が10℃/秒〜50℃/秒、到達温度が250℃〜600℃、保持時間が10秒〜3600秒、冷却速度が10℃/秒〜50℃/秒の条件で焼鈍処理を施す焼鈍工程と、
    前記焼鈍工程後に、前記第1の被圧延材と、前記第2の被圧延材との総加工率が10〜65%の冷間圧延を行う冷間圧延工程と、
    前記冷間圧延工程後に、前記セラミック基板の一方の面に前記第1の被圧延材を、前記セラミック基板の他方の面に前記第2の被圧延材を、ろう材を介してそれぞれ接合し、前記第1の銅板材と前記第2の銅板材とがそれぞれ接合された絶縁基板を形成する接合工程と、を含み、
    前記接合工程は、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が400℃〜600℃、保持時間が10秒〜300秒の条件で熱処理を施す第1加熱処理と、昇温速度が10℃/秒〜100℃/秒、到達温度が750℃〜850℃、保持時間が100秒〜7200秒の条件で熱処理を施す第2加熱処理と、で構成される、絶縁基板の製造方法。
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