JP4284691B1 - 側溝蓋およびグレーチング - Google Patents

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Abstract

【課題】 輸送コストや施工コスト等を低く抑えるとともに、目詰まりの発生を抑制し、グレーチング自体の変形を防止して剛性を維持することである。
【解決手段】側溝蓋10は、グレーチング11,透水性舗装材12,底面部材13などを有する。グレーチング11は、受枠間に架設されるベアリングバーと、ベアリングバーと交差して格子状となるようにベアリングバーに対して固定されるクロスバーとで構成される。底面部材13は、グレーチング11の底面側に配置され、ベアリングバーが凹部に入るとともに、ベアリングバー相互間の空間部位に凸部が部分的に入るように凹凸状に形成され、所定の開口面積比率以上となるように開口させている。透水性舗装材12は、底面部材13の上面側であってベアリングバー相互間の空間部位を埋めるように形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透水性舗装材を備える側溝蓋と、透水性舗装材を備えて側溝蓋を容易に製作できるグレーチングに関する。
側溝蓋は、一般車両(例えば乗用車等)や重量車両(例えばトラックやトレーラー等)が通行しても耐えられるだけの剛性を必要とする。この剛性を確保するため、透水性舗装材を備えた従来の側溝蓋は、コンクリート,形鋼,グレーチングを基体としていた。
コンクリートを基体とする場合は、例えば大別して次の二例が開示されている。第1例は、コンクリート製の蓋本体の上下方向に孔を貫通させて排水路を確保したうえで、蓋本体の上面を透水性舗装材で覆う技術である(例えば特許文献1,2,3を参照)。第2例は、高強度コンクリートの上下方向に貫通させた孔そのものを透水性コンクリートで埋める技術である(例えば特許文献4を参照)。
形鋼を基体とする場合は、例えばL形鋼等の蓋構成部材を側溝に架け渡し、蓋構成部材の上面を透水性舗装材で覆う技術である(例えば特許文献5を参照)。なお、蓋構成部材は、上述した剛性を確保するために開口側が下方を向くように伏せて配置されている。また蓋構成部材は、水を透過させるために所定の隙間をあけて並べて配置するが、透水性舗装材が落下しないように保持する必要があるために隙間は狭くなっている。
グレーチングを基体とする場合は、例えばグレーチングの上面に金網等のネットを敷設し、さらにネットの上面に設けた囲い枠に多数の小石を充填する技術である(例えば特許文献6を参照)。なお、水を透過し易くするため、多数の小石は接着剤や結合剤で結合せずに互いに流動し得る状態を保ってラフに充填されている。
特開2004−308260号公報 特開2003−027574号公報 特開2000−179034号公報 特開2006−144224号公報 特開2006−083537号公報 特開2002−235364号公報
しかし、コンクリートを基体とした従来技術(特許文献1〜4)では、コンクリート自体が重量物であるので輸送コストや施工コスト(例えば土木歩掛り等)が嵩むという問題があった。すなわち、一定数を輸送する場合には1回当たりに輸送可能な重量が制限されるために、輸送回数が増えるに伴って輸送コストが嵩む。また、重量が増すと作業効率が低くなったり、クレーン等の機械を必要とするので、施工コストが嵩む。
また、形鋼を基体とした従来技術(特許文献5)では、コンクリートを基体とする場合よりも軽量化される。ところが、形鋼相互間の隙間が狭いために底面の開口面積比率が極めて低い(数%程度)ことから、透水性舗装材を透過したチリやホコリ等が溜まって目詰まりを発生し易いという問題があった。
さらに、グレーチングを基体とした従来技術(特許文献6)では、形鋼を基体とする場合よりも目詰まりが発生し難くなる。ところが、多数の小石はラフに充填されているだけに過ぎないので、車両の通行によって小石が跳ねのけられると透水性舗装材としての意味をなさなくなる。また、小石がグレーチングの格子状部位に挟まってグレーチング自体が変形する(すなわち部分的に剛性が低下する)という問題があった。
本発明はこれらの点に鑑みてなしたものであり、輸送コストや施工コスト等を低く抑えるとともに、目詰まりの発生を抑制し、グレーチング自体の変形を防止して剛性を維持する側溝蓋およびグレーチングを提供することを目的とする。
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、側溝蓋であって、受枠(「受梁」とも呼ぶ。)間に架設されるベアリングバー(「メインバー」とも呼ぶ。)と、当該ベアリングバーと交差して格子状となるように前記ベアリングバーに対して固定されるクロスバーとで構成されるグレーチングと、前記グレーチングの底面側に配置され、前記ベアリングバーが凹部に入るとともに、前記ベアリングバー相互間の空間部位に凸部が部分的に入るように凹凸状に形成され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた底面部材と、前記底面部材の上面側であって前記ベアリングバー相互間の空間部位を埋めるように形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる透水性舗装材とを有することを要旨とする。
解決手段1によれば、グレーチングを基体とするので軽量化され、輸送コストや施工コスト等を低く抑えることができる。また、底面部材は所定の開口面積比率以上で開口させているので、目詰まりの発生を抑制することができる。さらに、ベアリングバー相互間の空間部位(格子状部位)を透水性舗装材で埋めるので小石等が挟まることは無くなり、グレーチング自体の変形を防止して剛性を維持することができる。
なお、ベアリングバー相互間の各空間部位に全ての凸部が入る必要はなく、一部の凸部が入って他の空間部位は平面状に形成する構成としてもよい。
(2)解決手段は、解決手段に記載した側溝蓋であって、受枠の底面側における幅方向端部にそれぞれ固定されるパイプ部材と、前記パイプ部材の相互間を固定して連結する棒状部材とを有することを要旨とする。
解決手段によれば、棒状部材を取り付けたことによって端部形状が凸部となり、側溝蓋自体が滑り難くなる。したがって、蓋掛けや取り外しの際に持ち易くなる。
(3)解決手段は、グレーチングであって、受枠間に架設されるベアリングバーと、当該ベアリングバーと交差して格子状となるように前記ベアリングバーに対して固定されるクロスバーと、底面側に配置され、前記ベアリングバーが凹部に入るとともに、前記ベアリングバー相互間の空間部位に凸部が入るように凹凸状に形成され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた底面部材とを一体形成したことを要旨とする。
解決手段によれば、一般的なグレーチングの構成部材であるベアリングバーおよびクロスバーに加えて底面部材が一体形成される。こうして一体形成した新たなグレーチングを用意すれば、底面部材をグレーチングに溶接等する作業が不要になるので、解決手段1の側溝蓋を速く製造することができる。
(4)解決手段は、解決手段に記載したグレーチングを有する側溝蓋であって、グレーチングの底面部材の上面側であってベアリングバー相互間の空間部位を埋めるように形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる透水性舗装材とを有することを要旨とする。
解決手段によれば、底面部材の上面側であってベアリングバー相互間の空間部位を透水性舗装材で埋めれば、解決手段1の側溝蓋になる。したがって、解決手段1の作用効果を有する側溝蓋を簡単に製作することができる。
上述した解決手段1〜4に記載した用語は、次のように解釈する。
(A)「グレーチング」は、解決手段を除いて、複数のベアリングバーと複数のクロスバーとが交差する構成であって、側溝用の蓋であれば任意である。クロスバーは「補強鉄線」とも呼ばれる。材質は、金属(鉄,アルミ,合金等)に限らず、合成樹脂や繊維強化プラスチック(いわゆるFRP)等が該当し、特に水に対して耐腐食性の高い材質であることが望ましい。
(B)「底面部材」は、所定の開口面積比率以上となるように開口させた部材であれば任意である。材質は問わないが、グレーチングと同等以上の材質であるのが望ましい。
(C)「所定の開口面積比率」は、実験や実地試験等を行い、長期間(例えば5年間,10年間等)に亘って目詰まりが発生しない適切な数値を設定する。なお、この比率が高いほど(すなわち100%に近づくほど)目詰まりが発生し難くなる。
(D)「骨材」は、資材(自然物や工業用資材等)を用いてもよく、廃材(自然廃材および工業廃材を含む。)を用いてもよい。具体的には、石材(例えば自然石(軽石を含む),砂,砂利,石片,岩片等),コンクリート片,プラスチック片,籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップ等が該当する。一種類のみを用いてもよく、二種類以上を混在して用いてもよい。
(E)「接着剤」は、骨材どうしを接着して長期間維持できるものであれば、任意の材質からなる接着剤を用いてよい。なお、自然環境を保全するには、例えばエステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物からなる接着剤を用いるのが望ましい。
(F)「透水性舗装材」の透水速度は、骨材重量と接着剤重量との混合比率が目安になる。ただし、透水速度は骨材の構造や水分吸収率等の影響を受けるため、骨材ごとに実験や実地試験等を行い、適切な数値(例えば1以上の数値)を設定する。なお、大量の水(特に大雨時の雨水)を素早く透過させるには、2〜4[cm/sec]を設定するのが望ましい
本発明によれば、輸送コストや施工コスト等を低く抑えるとともに、目詰まりの発生を抑制し、グレーチング自体の変形を防止して剛性を維持することができる側溝蓋およびグレーチングを提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、耳掛けタイプおよび嵌め込みタイプのグレーチングを基体とした側溝蓋の例であって、図1〜図8を参照しながら説明する。まず、図1には側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す。当該図1に表す側溝蓋10は、グレーチング11,透水性舗装材12,底面部材13などを有する。
耳掛けタイプ(「ツバ付き」とも呼ぶ。)で金属製のグレーチング11は、受枠11a,ベアリングバー11bおよびクロスバー11cで構成される(図2を参照)。多数のベアリングバー11bは、受枠11aの相互間に架設される。複数のクロスバー11cは、多数のベアリングバー11bと交差し、各ベアリングバー11bに対して固定される。すなわち上方から見ると、ベアリングバー11bとクロスバー11cは格子状に見える。なお、グレーチング11はJIS規格品であるか否かを問わず、新製であると既製であるとを問わない。
透水性舗装材12は、後述する底面部材13の上面側であってベアリングバー11b相互間の空間部位を埋めるように形成される。この透水性舗装材12は、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる。本例では、自然石を骨材として用い、エステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物を接着剤として用い、透水速度が2〜4[cm/sec]となるような骨材と接着剤との配合比率(例えば重量比率)で配合する。
底面部材13は、凹部13aおよび凸部13bで構成され(図2を参照)、所定の開口面積比率以上となるように開口させている。多数の凹部13aと多数の凸部13bは、クロスバー11c方向(以下では単に「長さ方向」と呼ぶ。)の断面が連続する凹凸形状となるように形成される。凹部13aにはベアリングバー11bが入り、凸部13bがベアリングバー11b相互間の空間部位に部分的に入る。
なお、凹部13aと凸部13bは必ずしも交互に現れる必要はない。凸部13bの数は、側溝蓋10全体の重量を考慮して適切に設定する。一般的には、凸部13bの数が多くなるにつれて側溝蓋10全体の重量は軽くなってゆく。
また側溝蓋10は長期間に亘って使用するものであるため、所定の開口面積比率は実験や実地試験等を行って目詰まりしにくい値を設定する。例えばエキスパンドメタル等のような網状部材を用いた場合は、開口面積比率は90%以上を確保できる。同様に所定形状(例えば円形や多角形等)で多数の穴をあけた部材の場合は、穴の大きさや穴の間隔に応じて変わるものの開口面積比率が50%以上になるのが望ましい。
次に、図1に表す側溝蓋10の製造方法について図2〜図5を参照しながら説明する。まず図2に表すように、底面部材13を矢印D1のようにグレーチング11の底面側に配置し、溶接等によって固定する。固定後における長さ方向の断面を図3に表す。図3の断面図で表すように、凹部13aにはベアリングバー11bが入り、凸部13bがベアリングバー11b相互間の空間部位に部分的に入っている。凸部13bの上面からグレーチング11の上面までの高さH1は任意に設定でき、例えば20[mm]程度である。
次に図4に表すように、透水性舗装材12(ただし自然石と接着剤とを混合させた固形前の粘性状態)を矢印D2のように流し込み、底面部材13の上面側であってベアリングバー11b相互間の空間部位を埋める。ただし、持ち手を備えたグレーチング11の場合は、持ち手部分を除いて埋めるのが望ましい。図4は、図3におけるベアリングバー11b方向(以下では単に「幅方向」と呼ぶ。)の断面図である。空間部位を埋めた透水性舗装材12は、コテ等を用いてグレーチング11の上面(すなわち通行面)に合わせて平らに均す。透水性舗装材12の接着剤が固まると、図5に表すような側溝蓋10が完成する。当該図5は、図3と同様に長さ方向における断面図であって、透水性舗装材12をクロスハッチで表している。
こうして完成した側溝蓋10を側溝F1(「U字溝」とも呼ぶ。)に嵌めると、断面図で表す図6や、斜視図で表す図7のようになる。これらの図では、路床G(路盤を含む。以下同じである。)に設けられた側溝F1に対して、側溝蓋10を構成するグレーチング11の耳部分を掛けている。
上述した実施の形態1の側溝蓋10によれば、グレーチング11を基体とするので軽量化され、輸送コストや施工コスト等を低く抑えることができる。また、底面部材13は所定の開口面積比率以上で開口させているので、チリやホコリ等が溜まり難くなり、長期間に亘って目詰まりの発生を抑制することができる。さらに、ベアリングバー11b相互間の空間部位を透水性舗装材12で埋めるので小石等が挟まることは無くなり、グレーチング11自体の変形を防止して剛性を維持することができる。
その他、通行面のほとんどは透水性舗装材12になるので、隙間が無くなって側溝F1に物が落下するのを防止することができ、透水性舗装材12の摩擦抵抗によってグレーチング11のみでは発生し易い滑りも防止することができる。
なお、上述した側溝蓋10は耳掛けタイプのグレーチング11を用いたが、嵌め込みタイプのグレーチングを用いた場合でも同様である。例えば図8に表す側溝蓋20は側溝F2に嵌めた状態であって、嵌め込みタイプのグレーチング21を基体としている。底面部材13をグレーチング21に底面側に固定してから、透水性舗装材12を流し込んで固形化する製造方法は側溝蓋10と同じである。このようにグレーチングのタイプが異なるのみであるので、側溝蓋20は側溝蓋10と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、嵌め込みタイプのグレーチングを基体とした側溝蓋の例であって、図9〜図15を参照しながら説明する。まず、図9には側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す。当該図9に表す側溝蓋30は、グレーチング31,透水性舗装材32,ポーラス部材33,底面部材34などを有する。
嵌め込みタイプで金属製のグレーチング31は、受枠31a,ベアリングバー31bおよびクロスバー31cで構成される(図10を参照)。多数のベアリングバー31bは、受枠31aの相互間に架設される。複数のクロスバー31cは、多数のベアリングバー31bと交差し、各ベアリングバー31bに対して固定される。すなわち上方から見ると、ベアリングバー31bとクロスバー31cは格子状に見える。なお、グレーチング31はJIS規格品であるか否かを問わず、新製であると既製であるとを問わない。
透水性舗装材32は、後述するポーラス部材33の上側であってベアリングバー31b相互間の空間部位を埋めるように形成される。この透水性舗装材32は、実施の形態1で説明した透水性舗装材12と同様のものを用いる。
ポーラス部材33は、透水性舗装材32で用いる骨材よりも軽く、透水性舗装材32と同等以上の透水速度を確保できれば任意である。本例では樹脂製の中空部材(例えばピンポン玉等)を用いる。
底面部材34は、グレーチング31の底面側に配置され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた平面状の部材である。本例では、開口面積比率が90%以上になる網状部材(例えばエキスパンドメタル等)を用いる。
次に、図9に表す側溝蓋30の製造方法について図10〜図13を参照しながら説明する。まず図10に表すように、底面部材34を矢印D3のようにグレーチング31の底面側に配置し、溶接等によって固定する。固定後における幅方向の断面を図11に表す。当該図11の断面図で表すように、グレーチング31と底面部材34とで凹状の受け皿になるので、ポーラス部材33を矢印D4のように入れる。ポーラス部材33を積層する高さH3や、当該ポーラス部材33の上側からグレーチング31の上面までの高さH2は、側溝蓋30全体の重量を考慮して適切に設定する。高さH2は例えば20[mm]程度であり、高さH3は例えば50〜70[mm]程度である。一般的には、ポーラス部材33は軽い材質であるので、高さH3が大きくなる(逆に高さH2が小さくなる)につれて側溝蓋30全体の重量は軽くなってゆく。
次に、上述した図11と同じく幅方向の断面図である図12に表すように、透水性舗装材32(ただし自然石と接着剤とを混合させた固形前の粘性状態)を矢印D5のように流し込み、ポーラス部材33の上側であってベアリングバー31b相互間の空間部位を埋める。ただし、持ち手を備えたグレーチング31の場合は、持ち手部分を除いて埋めるのが望ましい。こうして空間部位を埋めた透水性舗装材32は、コテ等を用いてグレーチング31の上面(すなわち通行面)に合わせて平らに均す。透水性舗装材32の接着剤が固まると、図13に表すような側溝蓋30が完成する。当該図13は長さ方向における断面図であって、透水性舗装材32をクロスハッチで表している。
こうして完成した側溝蓋30を側溝F2に嵌めると、断面図で表す図14や、斜視図で表す図15のようになる。これらの図では、路床Gに設けられた側溝F2の段差部位に側溝蓋30を嵌め込んでいる。
上述した実施の形態2の側溝蓋30によれば、グレーチング31を基体とするので軽量化され、輸送コストや施工コスト等を低く抑えることができる。また、底面部材34は所定の開口面積比率以上で開口させているので、チリやホコリ等が溜まり難くなり、長期間に亘って目詰まりの発生を抑制することができる。さらに、ベアリングバー31b相互間の空間部位を透水性舗装材32で埋めるので小石等が挟まることは無くなり、グレーチング31自体の変形を防止して剛性を維持することができる。
その他、通行面のほとんどは透水性舗装材32になるので、隙間が無くなって側溝F2に物が落下するのを防止することができ、透水性舗装材32の摩擦抵抗によってグレーチング31のみでは発生し易い滑りも防止することができる。また、ポーラス部材33を積層する高さH3と、当該ポーラス部材33の上側からグレーチング31の上面までの高さH2とを調整することによって(図13を参照)、側溝蓋30を目的の重量に仕上げることができる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、嵩上げタイプのグレーチングを基体とした側溝蓋の例であって、図16〜図23を参照しながら説明する。まず、図16には側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す。当該図16に表す側溝蓋40は、グレーチング41,透水性舗装材42,ポーラス部材43,底面部材44などを有する。
嵩上げタイプで金属製のグレーチング41は、受枠41a,ベアリングバー41b,クロスバー41cおよびパイプ部材41dで構成される(図17を参照)。多数のベアリングバー41bは、受枠41aの相互間に架設される。複数のクロスバー41cは、多数のベアリングバー41bと交差し、各ベアリングバー41bに対して固定される。すなわち上方から見ると、ベアリングバー41bとクロスバー41cは格子状に見える。2本のパイプ部材41dは、幅方向におけるグレーチング41の両側端部に配置される。パイプ部材41dの底面には、滑り止めの役割を果たす凹凸形状やゴム等を備える場合がある。なお、グレーチング41はJIS規格品であるか否かを問わず、新製であると既製であるとを問わない。
透水性舗装材42は、後述するポーラス部材43の上面側であってベアリングバー41b相互間の空間部位を埋めるように形成される。この透水性舗装材42は、実施の形態1で説明した透水性舗装材12と同様のものを用いる。
ポーラス部材43は、透水性舗装材42で用いる骨材よりも軽く、透水性舖装材42と同等以上の透水速度を確保できれば任意である。本例では、断面が蜂の巣状(ただし中空部の形状は六角形に限らない)になるプラスチックダンボール(単に「プラダン」と略称される)を用い、透水を行うために中空部が鉛直方向となるように配置する。なお、断面がハーモニカ状になる一枚板のプラスチックダンボールについては、水等を落下させるために、多数枚を積層して中空部が鉛直方向となるように配置すればよい。
底面部材44は、グレーチング41の底面側に配置され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた平面状の部材である。本例では、実施の形態2と同様に開口面積比率が90%以上になる網状部材(例えばエキスパンドメタル等)を用いる。
次に、図16に表す側溝蓋40の製造方法について図17〜図21を参照しながら説明する。まず図17に表すように、ポーラス部材43を矢印D6のようにグレーチング41の底面側から詰め込む。ポーラス部材43そのままではベアリングバー41bに阻まれて詰め込み難い場合には、必要に応じてポーラス部材43を小片に切断したうえで詰め込めばよい。続いて図18に表すように、底面部材44を矢印D7のようにグレーチング41の底面側に配置して、複数本の棒状部材45(棒鋼)を用いて溶接Y等によって固定する。すなわち図19に表すように、複数本の棒状部材45を間隔をおいてパイプ部材41dの相互間に固定する。棒状部材45は丸棒でもよく、角棒やその他の断面形状でもよい。ポーラス部材43が溶けるのを防止するために溶接Yは底面部材44に対して行わないが、必要に応じて保護砂等を用いるのが望ましい。溶接Y等による固定を終えると、棒状部材45が底面部材44を押さえ付けるように支持するので、ポーラス部材43も落下しない。なお、棒状部材45を固定する箇所(位置)は任意であるが、長さ方向の端部を含めるのが望ましい(図19を参照)。
こうして固定した後における幅方向の断面を図20に表す。この状態のとき、透水性舗装材42(ただし自然石と接着剤とを混合させた固形前の粘性状態)を矢印D8のように流し込み、ポーラス部材43の上面側であってベアリングバー41b相互間の空間部位を埋める。ただし、持ち手を備えたグレーチング41の場合は、持ち手部分を除いて埋めるのが望ましい。こうして空間部位を埋めた透水性舗装材42は、コテ等を用いてグレーチング41の上面(すなわち通行面)に合わせて平らに均す。透水性舗装材42の接着剤が固まると、図20に表すような側溝蓋40が完成する。当該図20は長さ方向における断面図であって、透水性舗装材42をクロスハッチで表している。
なお、図20および図21に表すポーラス部材43の高さH5や、当該ポーラス部材43の上面側からグレーチング41の上面(すなわち通行面)までの高さH4は、側溝蓋40全体の重量を考慮して適切に設定する。一般的には、ポーラス部材43は軽い材質であるので、高さH5が大きくなる(逆に高さH4が小さくなる)につれて側溝蓋40全体の重量は軽くなってゆく。
こうして完成した側溝蓋40を側溝F2に嵌めると、断面図で表す図22や、斜視図で表す図23のようになる。これらの図では、路床Gに設けられた側溝F2の段差部位に側溝蓋40を嵌め込んでいる。高さ調整用のパイプ部材41dを備えたことによって、側溝蓋40の通行面は路面とほぼ同じ位置になって段差が無い。
上述した実施の形態3の側溝蓋40によれば、グレーチング41を基体とするので軽量化され、輸送コストや施工コスト等を低く抑えることができる。また、底面部材44は所定の開口面積比率以上で開口させているので、チリやホコリ等が溜まり難くなり、長期間に亘って目詰まりの発生を抑制することができる。さらに、ベアリングバー41b相互間の空間部位を透水性舗装材42で埋めるので小石等が挟まることは無くなり、グレーチング41自体の変形を防止して剛性を維持することができる。
その他、通行面のほとんどは透水性舗装材42になるので、隙間が無くなって側溝F2に物が落下するのを防止することができ、透水性舗装材42の摩擦抵抗によってグレーチング41のみでは発生し易い滑りも防止することができる。また、ポーラス部材43を積層する高さH3と、当該ポーラス部材43の上側からグレーチング41の上面までの高さH2とを調整することによって(図21を参照)、側溝蓋40を目的の重量に仕上げることができる。さらに、棒状部材45を取り付けた(特に端部)ので凸形状となり、側溝蓋40自体が滑り難くなる。したがって、蓋掛けや取り外しの際に持ち易くなる。
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための最良の形態として実施の形態1〜3を説明したが、本発明はこれらの形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施することができる。例えば、以下に示す形態のいずれを実現してもよい。
(1)実施の形態1では、グレーチング11と底面部材13とを別個に用意し(図2を参照)、底面部材13をグレーチング11の底面側に配置して固定した(図3を参照)。この形態に代えて、グレーチング11と底面部材13とを一体形成した新たなグレーチングを用意してもよい。言い換えれば、図3に表すグレーチング11および底面部材13が新たなグレーチングに相当する。
このことは、グレーチング31と底面部材34とを別個に用意し(図10を参照)、底面部材34をグレーチング31の底面側に配置して固定した実施の形態2についても同様に適用できる(図11を参照)。すなわち図11に表すグレーチング31および底面部材34を一体形成した新たなグレーチングとして用意する。
こうして予め一体形成した新たなグレーチングを用意すれば、底面部材をグレーチングに溶接等する作業が不要になるので、側溝蓋を速く製造することができる。また、実施の形態1,2の作用効果を有する側溝蓋をそれぞれ簡単に製作することができる。
(2)実施の形態1〜3では、グレーチング11,21,31,41はいずれも金属製のものを用いた。この形態に代えて、用途に見合う剛性を確保でき、かつ水に対する耐腐食性が高ければ、合成樹脂や繊維強化プラスチック(いわゆるFRP)等であってもよい。合成樹脂やFRPであれば金属に比べて軽量化されるので、側溝蓋10,20,30,40全体の重量もさらに軽量化することができる。
(3)実施の形態1〜3では、透水性舗装材12,32,42の骨材として自然石を用いた。この形態に代えて、他の石材(例えば砂,砂利,石片,岩片等)やコンクリート片,プラスチック片,籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップ等を用いてもよく、二種類以上を混在して用いてもよい。こうした骨材を用いて透水性舗装材12,32,42を形成した場合でも、通行面のほとんどが透水性舗装材12,32,42になる。よって、隙間が無くなって側溝に物が落下するのを防止することができ、透水性舗装材12,32,42の摩擦抵抗によってグレーチングのみでは発生し易い滑りも防止することができる。
(4)実施の形態1〜3では、透水性舗装材12,32,42の接着剤としてエステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物からなる接着剤を用いた。この形態に代えて、使用する骨材が接着しやすい他の成分からなる接着剤を用いてもよい。こうした接着剤を用いることによって透水性舗装材12,32,42の固形化を早めることができる。
(5)透水性舗装材12,32,42の骨材として、一部または全部に蓄光部材を含む構成としてもよい。蓄光部材は日中の太陽光や人工光(蛍光灯や水銀灯等の光)などに含まれる紫外線をためて発光(特に燐光)する性状を示す部材であって、例えば蛍石,方解石,石膏,燐灰ウラン石,燐灰石,灰重石,ジルコン,玉滴石などの鉱物が該当する。こうすれば、夜間等に発光するので側溝蓋の存在を知らせることができる。また、通行面に蓄光部材を適切に配置すれば文字(例えば「非常口」や「出口」等)や図形(絵を含む)、誘導方向を示す矢印、ピクトグラムなどを発光して報知することができる。
(6)実施の形態1では耳掛けタイプのグレーチング11を基体とする側溝蓋10を構成し(図1を参照)、実施の形態2では嵌め込みタイプのグレーチング31を基体とする側溝蓋30を構成し(図9を参照)、実施の形態3では嵩上げタイプのグレーチング41を基体とする側溝蓋40を構成した(図16を参照)。これらの形態に代えて、他のタイプのグレーチングを基体とする側溝蓋を構成しても、同様の作用効果が得られる。
側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す図である。 底面部材の装着過程を説明する図である。 底面部材を固定した後の状態を表す縦断面図である。 混合物の充填過程を説明する図である。 透水性舗装材が固まった後の状態を表す縦断面図である。 耳掛けタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を表す縦断面図である。 耳掛けタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を模式的に表す図である。 嵌め込みタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を表す縦断面図である。 側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す図である。 底面部材の装着過程を説明する図である。 ポーラス部材の充填過程を説明する図である。 混合物の充填過程を説明する図である。 透水性舗装材が固まった後の状態を表す縦断面図である。 嵌め込みタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を表す縦断面図である。 嵌め込みタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を模式的に表す図である。 側溝蓋の構成例を模式的に一部破断して表す図である。 ポーラス部材の装着過程を説明する図である。 底面部材とパイプ部材の装着過程を説明する図である。 底面部材とパイプ部材を固定した後の状態を表す底面図である。 混合物の充填過程を説明する図である。 透水性舗装材が固まった後の状態を表す縦断面図である。 嵩上げタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を表す縦断面図である。 嵩上げタイプの側溝蓋を備え付けた側溝を模式的に表す図である。
符号の説明
10,20,30,40 側溝蓋
11,21,31,41 グレーチング
11a,31a,41a 受枠
11b,31b,41b ベアリングバー
11c,31c,41c クロスバー
12,32,42 透水性舗装材
13,34,44 底面部材
13a 凹部
13b 凸部
33,43 ポーラス部材
41d パイプ部材
45 棒状部材
F1,F2 側溝
G 路床(または路盤)

Claims (4)

  1. 受枠間に架設されるベアリングバーと、当該ベアリングバーと交差して格子状となるように前記ベアリングバーに対して固定されるクロスバーとで構成されるグレーチングと、
    前記グレーチングの底面側に配置され、前記ベアリングバーが凹部に入るとともに、前記ベアリングバー相互間の空間部位に凸部が部分的に入るように凹凸状に形成され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた底面部材と、
    前記底面部材の上面側であって前記ベアリングバー相互間の空間部位を埋めるように形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる透水性舗装材とを有する側溝蓋。
  2. 請求項に記載した側溝蓋であって、
    受枠の底面側における幅方向端部にそれぞれ固定されるパイプ部材と、
    前記パイプ部材の相互間を固定して連結する棒状部材とを有する側溝蓋。
  3. 受枠間に架設されるベアリングバーと、
    前記ベアリングバーと交差して格子状となるように前記ベアリングバーに対して固定されるクロスバーと、
    底面側に配置され、前記ベアリングバーが凹部に入るとともに、前記ベアリングバー相互間の空間部位に凸部が入るように凹凸状に形成され、所定の開口面積比率以上となるように開口させた底面部材とを一体形成したグレーチング。
  4. 請求項に記載したグレーチングを有する側溝蓋であって、
    グレーチングの底面部材の上面側であってベアリングバー相互間の空間部位を埋めるように形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水速度からなる透水性舗装材を有する側溝蓋。
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