JP4284094B2 - 貨物船 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、乗用車、トラック等を積載して航行する自動車船、コンテナ船等の貨物船に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車船は船体の内部の船倉に複数段のカーデッキが階層状に設けられ、これらカーデッキは船体の船首から船尾に亘って連続して設けられている。また、船倉の下部には船底外殻と船底内殻とからなる二重船底が設けられ、この二重船底によって船倉とが区画されている。
【0003】
二重船底には燃料タンクや船体の喫水の調整や横傾斜を調整するために海水を収容したバラストタンクが設けられ、これら燃料タンクやバラストタンクは隔壁によって複数に区画されている。
【0004】
図3は、従来の自動車船の概略的な横断面図であり、船体1の内部に設けられた船倉2(カーデッキ)の下部には船底外殻3と船底内殻4とからなる二重船底5が設けられている。船体1の幅方向の中央部における二重船底5にはバラストタンク6が設けられ、このバラストタンク6の両側の舷側側には燃料タンク7が設けられている。なお、8は船首から船尾に亘って設けられたダクトキールである。
【0005】
ところで、前述のように構成された二重船底5であっても、燃料タンク7は、13mm前後の鋼板からなる1枚の船底外殻3によって囲まれた構造である。従って、船舶の航行中に衝突または座礁して船底外殻3が損傷した場合、燃料タンク7内の燃料油が海中に流出するという問題がある。
【0006】
そこで、船底外殻が損傷した場合、燃料タンク内の燃料油が海中に流出するという問題を回避するために、船舶の燃料タンクにおいて、燃料タンクを、船体の横隔壁と、船側外板から内方へ隔離したタンク側壁と、船底外板から内方へ隔離したタンク底壁と、タンク頂壁とで囲まれるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、船舶における燃料油槽において、ボンベ型の燃料油槽ユニットを複数個設け、各燃料油槽を船殻構造とは別体にしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
また、船舶において、荷物槽の船底部分に燃料タンクを設け、船側部分に燃料タンクと開閉装置を介して連通する空タンクを設け、船底部分に損傷を受けたときに、開閉装置を開として燃料タンクの燃料油を空タンクに移送するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
また、船殻の長手方向に油密性隔壁を設け、この隔壁は、タンクを2つまたはそれ以上の分離区画室に分割し、少なくとも1つの区画室が船殻と隣接し、他の区画室が船殻から離して設けたものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0010】
また、船舶の船倉構造において、燃料槽と輸送すべき液体荷物を収納する液体貯蔵槽の外周壁面に沿って空間を形成し、この空間に燃料と液体荷物とが混合したとき、燃料及び液体荷物を汚染防止処理する薬剤を充填したものが知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【0011】
さらに、船体構造を二重化し、燃料タンクを機関室前で上甲板から二重底までの深さを持つ二重船殻で囲まれた大型タンクとしたものが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0012】
【特許文献1】
特開昭60−80987号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平6−156365号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平6−255569号公報
【0015】
【特許文献4】
特開平8−230765号公報
【0016】
【特許文献5】
実公平6−35897号公報
【0017】
【特許文献6】
実用新案登録第3051184号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特許文献1〜6は、船舶の航行中に衝突または座礁して船底外殻が損傷した場合、燃料タンク内の燃料油が海中に流出するという問題を回避するための改良であるが、船体を二重船殻したり、燃料タンクを船体外板から離れた内方に設置する構造である。
【0019】
従って、燃料タンクによって船倉が狭められて積載効率が悪いという問題がある。特に自動車船、コンテナ船のように船倉に自動車やコンテナを密集して積載し、できるだけ積載効率を上げることが要求されている貨物船には適していない。
【0020】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、船舶の航行中に衝突または座礁して船底外殻が損傷した場合でも燃料タンク内の燃料油が海中に流出するという問題を回避できると共に、船倉スペースを十分に確保できる貨物船を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、船体に設けた船倉の下部に船底外殻と船底内殻とからなる二重船底を設け、この二重船底によって前記船倉と区画した貨物船において、前記船体の幅方向の中央部に三重船底を設け、この三重船底に燃料タンクを設けるとともに、この燃料タンクの下部にバラストタンクを設け、前記燃料タンクの両側に舷側側バラストタンクを設け、更に前記燃料タンクの上部隔壁と舷側側バラストタンクの上部隔壁とが同一平面に構成されたことを特徴とする。
【0022】
請求項2は、請求項1の前記燃料タンクは、前記燃料タンクの直下に設けられた船底側バラストタンクと、前記燃料タンクの両側に設けられた舷側側バラストタンクとによって囲まれていることを特徴とする。
【0023】
請求項3は、請求項1の前記燃料タンク及びバラストタンクは、船体の船首から船尾に亘って設けられた複数の隔壁によって区画されていることを特徴とする。
【0024】
前記構成によれば、船体の船底が船底外殻と船底内殻とからなる三重船底によって構成されている。そして、船体の船底における幅方向の中間部に船底側バラストタンクが、舷側側に舷側側バラストタンクが設けられ、燃料タンクは船底側バラストタンクと舷側側バラストタンクによって囲まれた構造である。
【0025】
従って、船舶の航行中に衝突または座礁して船底が損傷した場合、船底側バラストタンクや舷側側バラストタンクの外殻が損傷して内部の海水等が漏水するのみで、燃料タンクの外殻の損傷を防止でき、燃料タンクの燃料油が海中に流出するという問題を未然に回避できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は貨物船としての自動車船の概略的平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。図1及び図2に示すように、船体11の内部には船倉12には乗用車、トラック等の自動車を積載するためのカーデッキ13が複数階層に設けられている。これらカーデッキ13は船首14から船尾15に亘って連続または隔壁によって区画されている。
【0028】
船体11の船倉12の下部には鋼板の板厚が13mm前後の船底外殻16と船底内殻17とからなる三重船底18が設けられている。船体11の幅方向の中央部における三重船底18内には左右隔壁19及び前後隔壁20によって区画された船底側バラストタンク21が設けられている。この船底側バラストタンク21は、深さが1.5m前後〜2.0m前後の船体11の喫水の調整や横傾斜を調整するために海水が収容されている。
【0029】
この船底側バラストタンク21の上部には上部隔壁22によって区画された燃料タンク23が設けられ、この燃料タンク23は前記左右隔壁19、前後隔壁20及び船底内殻17によって複数に区画されている。さらに、燃料タンク23の幅方向の中間部には船首14から船尾15に亘って配管用のダクトキール24が設けられている。なお、ダクトキール24は船底側バラストタンク21の幅方向の中間部に設けてもよい。
【0030】
さらに、船底側バラストタンク21及び燃料タンク23の舷側には船体11の喫水の調整や横傾斜を調整するために海水が収容される舷側側バラストタンク25が設けられている。従って、燃料タンク23は、船底側バラストタンク21と舷側側バラストタンク25とによって囲まれている。また、燃料タンク23の上部隔壁(タンクトップ)となる船底内殻17と舷側側バラストタンク25の上部隔壁26は、本実施形態においては、同一平面上に設けられ、最下段のカーデッキ13aを構成している。
【0031】
なお、28は甲板、29は居住室であり、居住室29の上部には操舵室30が設けられている。
【0032】
前述のように構成された自動車船によれば、船体11の船底が船底外殻16と船底内殻17とからなる三重船底18によって構成されている。そして、船体11の船底における幅方向の中間部に船底側バラストタンク21が、舷側側に舷側側バラストタンク25が設けられ、燃料タンク23は船底側バラストタンク21と舷側側バラストタンク25によって囲まれた構造である。
【0033】
従って、船舶の航行中に衝突または座礁して船底が損傷した場合、船底側バラストタンク21や舷側側バラストタンク25の外殻が損傷して内部の海水等が漏水するのみで、燃料タンク23の外殻の損傷を防止でき、燃料タンク23の燃料油が海中に流出するという問題を未然に回避できる。
【0034】
しかも、燃料タンク23とバラストタンク21,25を船底側に集中して設けることにより、船倉スペース(カーデッキスペース)を狭めることはなく、十分な積載量を確保できる。
【0035】
なお、前記実施形態においては、貨物船として自動車船について説明したが、コンテナ船、一般の貨物輸送船にも適用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、船体の船底が船底外殻と船底内殻とからなる三重船底によって構成し、船体の船底における幅方向の中間部に船底側バラストタンクが、舷側側に舷側側バラストタンクが設けられ、燃料タンクは船底側バラストタンクと舷側側バラストタンクによって囲まれた構造である。
【0037】
従って、船舶の航行中に衝突または座礁して船底が損傷した場合、船底側バラストタンクや舷側側バラストタンクの外殻が損傷しても、燃料タンクの外殻の損傷を防止でき、燃料タンクの燃料油が海中に流出するという問題を未然に回避できる。
【0038】
しかも、燃料タンクとバラストタンクを船底側に集中して設けることにより、船倉スペースを狭めることはなく、十分な積載量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態の自動車船の概略的平面図。
【図2】 同実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】 従来の自動車船の船体の横断面図。
【符号の説明】
11…船体、12…船倉、16…船底外殻、17…船底内殻、18…三重船底、21…船底側バラストタンク、23…燃料タンク、25…舷側側バラストタンク

Claims (3)

  1. 船体に設けた船倉の下部に船底外殻と船底内殻とからなる二重船底を設け、この二重船底によって前記船倉と区画した貨物船において、
    前記船体の幅方向の中央部に三重船底を設け、
    この三重船底に燃料タンクを設けるとともに、
    この燃料タンクの下部にバラストタンクを設け
    前記燃料タンクの両側に舷側側バラストタンクを設け、
    更に前記燃料タンクの上部隔壁と舷側側バラストタンクの上部隔壁とが同一平面に構成されたことを特徴とする貨物船。
  2. 前記燃料タンクは、前記燃料タンクの直下に設けられた船底側バラストタンクと、
    前記燃料タンクの両側に設けられた舷側側バラストタンクとによって囲まれていることを特徴とする請求項1記載の貨物船。
  3. 前記燃料タンク及び前記バラストタンクは、船体の船首から船尾に亘って設けられた複数の隔壁によって区画されていることを特徴とする請求項1記載の貨物船。
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