JP2831147B2 - 貨油流出防止型タンカー - Google Patents

貨油流出防止型タンカー

Info

Publication number
JP2831147B2
JP2831147B2 JP3053951A JP5395191A JP2831147B2 JP 2831147 B2 JP2831147 B2 JP 2831147B2 JP 3053951 A JP3053951 A JP 3053951A JP 5395191 A JP5395191 A JP 5395191A JP 2831147 B2 JP2831147 B2 JP 2831147B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tank
ship
freight
cargo
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3053951A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04212692A (ja
Inventor
重友 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP3053951A priority Critical patent/JP2831147B2/ja
Priority to US07/696,575 priority patent/US5347943A/en
Priority to GB9110077A priority patent/GB2246543B/en
Priority to GR910100203A priority patent/GR1002525B/el
Priority to GR930100045A priority patent/GR1002386B/el
Priority to ITRM910343A priority patent/IT1251767B/it
Priority to BR919102096A priority patent/BR9102096A/pt
Priority to ES09101223A priority patent/ES2075779B1/es
Priority to CN91103432A priority patent/CN1039688C/zh
Priority to NO91911966A priority patent/NO911966L/no
Priority to DE4117055A priority patent/DE4117055C2/de
Priority to KR1019910008319A priority patent/KR960010527B1/ko
Priority to PA19915911201A priority patent/PA5911201A1/es
Publication of JPH04212692A publication Critical patent/JPH04212692A/ja
Priority to ES9300258A priority patent/ES2075788B1/es
Priority to GB9319177A priority patent/GB2269565B/en
Priority to US08/214,422 priority patent/US5445097A/en
Priority to IT95DP000002A priority patent/IT1282902B1/it
Application granted granted Critical
Publication of JP2831147B2 publication Critical patent/JP2831147B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タンカーに関し、特に
座礁等による船体の損傷時に、貨油の流出を防止できる
ようにした、貨油流出防止型タンカーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のタンカーは、油汚染防止法で定め
られた要件に従い、船内の貨物区域には所定の分離バラ
ストタンク(貨油タンクとして使わないタンク)を設置
し、その配置については座礁および衝突の場合の油の流
出を限定するために、船側外板および船底外板の定めら
れた範囲について分離バラストタンクのごとき油タンク
以外の区画が貨油タンクを防護するように配置されてい
る。図4〜10は、従来のタンカーのタンク配置を示し
たものである。図4、図5および図6は、バラストタン
ク10を船側部の貨油タンク12と交互になるよう配置
したタンカーを示しており、この方式では、船側部の貨
油タンク12に衝突等の損傷を受けた場合、同タンク1
2から貨油が流出する。さらに船底についても、貨油タ
ンク12の部分に損傷を受けた場合、同タンク12から
貨油が流出する。
【0003】図7および図8は、二重船側構造をそなえ
たタンカーを示しており、船側部全面にわたりバラスト
タンク4が配置されているので、船側部の損傷に際して
貨油の流出を防止できるが、貨油タンク12に対応する
船底部の損傷の際には、貨油の流出が避けられない。図
9および図10は、二重底構造をそなえたタンカーを示
しており、船底部の全面にわたりバラストタンク11が
配置されているので、船底部の損傷に際して貨油タンク
12からの貨油の流出を防止できるが、船側部の損傷に
対しては貨油の流出が避けられない。
【0004】従来のタンカーは、上述のように、船側部
や船底部の損傷に際して、貨油の流出を有効に防止でき
ないので、それに代わる手段として、二重船殻構造をそ
なえたタンカーや、水平隔壁を持つタンカーが開発され
ている。図11,12は、二重船殻構造をもつタンカー
を示しており、二重船殻構造の内部がバラストタンク1
3にされて、貨油タンク12を覆うように船側部および
船底部が全面にわたりバラストタンク13で防護されて
いる。しかし、必要なバラスト量をまかなうための二重
船殻構造の二重殻間の厚さは、バラストタンク13の範
囲が広くなるので、薄くてよいことになる。さらに二重
殻間の厚さは船舶の建造および運航の経済的観点から、
定められた規制の範囲で最小の値を採用することとな
り、現在の油汚染防止法で定められた当該タンク13の
厚さは、船幅の1/15または2mの小さい方の値以上
とすればよく、これらの条件に見あう厚さを選定するこ
とになる。
【0005】通常、二重船殻構造方式では、その二重殻
間の厚さが、従来のタンカーの二重船側構造方式におけ
る二重船側部の厚さよりも薄くなる。したがって、船側
部および船底部がすべてバラストタンク13によって防
護されているといえども、その厚さが薄いため、大きな
衝撃による損傷の場合には、船側外板および船底外板の
みならず、二重船殻の内殻にまで損傷の及ぶ可能性が増
大し、内殻まで損傷が及ぶと貨油タンク12からの貨油
の流出は避けられない。
【0006】図13および図14は、貨油タンクに水平
隔壁としての甲板3を設けたタンカーを示している。図
13は、従来のタンカーのうち、図4に示す方式のもの
において、その貨油タンクに水平隔壁としての甲板3を
設けた例を示しており、各区画16〜18,24に貨油
14が収容される。図14は、船側部のタンクのうち、
水平隔壁としての甲板3で仕切られた上部のみをバラス
トタンク15とし、残りの区画16〜18をすべて貨油
14を収容するタンクとした例を示している。
【0007】従来のこれらの船内甲板付きタンカーの場
合には、その甲板3を設置する位置につき、船体横断面
での深さをほぼ二分するようにして満載吃水線19より
も下方の位置とする(図13の場合)とか、単に満載吃
水線19よりも下方の位置とする(図14の場合)とい
った、不適切な決め方が採用されていた。実際の船舶の
運航を考えた場合、貨油タンクの一部にのみ貨油を積載
して運航する場合もあり、その状態での吃水線は、満載
吃水線19よりも浅くなり、船舶の型深さの半分以下の
吃水での運航も通常行なわれている。この場合、たとえ
甲板3を満載吃水線19よりも下方に設けたり、あるい
は船舶の深さをほぼ二分する位置に設けたりしていたと
しても、実際の運航時の吃水線が甲板3の位置よりも下
方となった場合、甲板3は船底部損傷時の貨油14の流
出防止に寄与しない。
【0008】さらに船内甲板付きタンカーの場合、図1
3に示すタンカーが提案されているが、船底部の損傷に
際しての貨油流出防止手段のみを取り扱っており、船側
部の損傷に際しては、貨油14の流出を防止できない。
図14のタンカーでは、船底部の損傷の際に、図13の
タンカーの場合と同様に有効であるが、船側部の損傷の
際、特に、船側下部貨油タンクの船側部に損傷が発生し
た場合は、貨油14が流出する。図15に、図14のタ
ンカーで船側下部貨油タンク16の船側部に損傷が発生
した場合に、貨油14が流出するようになる各過程を示
す。
【0009】損傷発生直後は、図15の初期状態Aに示
すように、損傷位置において、海水の圧力が、損傷した
貨油タンク16内の貨油14の圧力よりも高く、海水が
貨油タンク16内に流入する。貨油タンク16内の貨油
14は、海水の圧力で通気管5を通り上方へ押し上げら
れる。損傷発生後、時間Tを経過した中間状態Bで
は、当該タンク16の底部に流入した海水の圧力と、通
気管5まで押し上げられた貨油の圧力とが等しくなった
時点で、損傷部開口を通じ、比重の軽い貨油14と、比
重の重い海水との置換が始まる。そして、時間Tを経
過した末期状態Cでは、損傷部開口の上端まで当該タン
ク16内に海水液位が達した時点で、貨油14の流出は
停止し、均衡状態となる。図15の場合、損傷発生前の
吃水線19が甲板3の位置よりも上方にあるため、損傷
後も、当該貨油タンク16内の貨油14の一部が海上に
流出せず、船内に留まるが、前にも述べたように吃水線
が甲板3の位置よりも下方にある場合には、当該貨油タ
ンク16内の全量の貨油14が流出する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
タンカーでは、種々の対策がたてられても、船体の損傷
時における貨油の流出を十分に防止することができない
という問題点がある。本発明は、このような問題点の解
決をはかろうとするもので、船体側方からの衝撃に対処
するため二重船側構造を採用するとともに、船底部の損
傷時にも的確に対処できるように、貨油タンクを上下に
仕切る甲板の設置高さの設定を適切に行なうことによ
り、船体損傷時の貨油の流出を十分に防止できるように
するとともに、その船体構造や荷役手段について更に改
良した貨油流出防止型タンカーを提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の貨油流出防止型タンカーは、船内に設けら
れた貨油タンクと、同貨油タンクから船側外方への貨油
流出を防止すべく同貨油タンクの両側にそれぞれ設けら
れた二重船側構造とをそなえ、上記貨油タンクを上部貨
油タンクと下部貨油タンクとに分割する甲板が設けられ
て、同甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨油タ
ンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態に
おいて、船底から上記甲板まで貨油を積載している場合
に、船底部に作用する貨油の圧力と同船底部に作用する
海水の圧力とが等しくなる位置よりも下方で、船底への
距離よりも同位置へ近接した距離をもつように設定され
ており、上記下部貨油タンク内に、貨油主管と、同貨油
主管から分岐し上記下部貨油タンクの底面に近接して開
口する貨油枝管と、同貨油枝管に介装された止弁とから
なる荷役用貨油管装置が設けられるとともに、荷役時に
上記上部貨油タンクを上記下部貨油タンクへ連通させる
ための隔壁弁が上記甲板に設けられていることを特徴と
している。
【0012】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段が接続さ
れ、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記貨油タン
クの高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船
底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近
に設定されており、上記下部貨油タンク内に、貨油主管
と、同貨油主管から分岐し上記下部貨油タンクの底面に
近接して開口する貨油枝管と、同貨油枝管に介装された
止弁とからなる荷役用貨油管装置が設けられるととも
に、荷役時に上記上部貨油タンクを上記下部貨油タンク
へ連通させるための隔壁弁が上記甲板に設けられている
ことを特徴としている。
【0013】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給する通気管
と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設けられ、上
甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨油タンク
に貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態におい
て、船底から上記甲板まで貨油を積載している場合に、
船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記下部貨油
タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁の最大圧
力設定値を加えたものと同船底部に作用する海水の圧力
とが等しくなる位置以下に設定されており、上記下部貨
油タンク内に、貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記
下部貨油タンクの底面に近接して開口する貨油枝管と、
同貨油枝管に介装された止弁とからなる荷役用貨油管装
置が設けられるとともに、荷役時に上記上部貨油タンク
を上記下部貨油タンクへ連通させるための隔壁弁が上記
甲板に設けられていることを特徴としている。
【0014】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、同甲板の船底からの高さ方向の位
置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最
も浅い吃水状態において、船底から上記甲板まで貨油を
積載している場合に、船底部に作用する貨油の圧力と同
船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置よりも
下方で、船底への距離よりも同位置へ近接した距離をも
つように設定されており、上記下部貨油タンク内に、貨
油主管と、同貨油主管から分岐し上記下部貨油タンクの
底面に近接して開口する貨油枝管と、同貨油枝管に介装
された止弁とからなる荷役用貨油管装置が設けられると
ともに、上記上部貨油タンクの底面に近接して開口し止
弁を介装された第2の貨油枝管が、上記貨油主管へ連通
するように設けられていることを特徴としている。
【0015】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段が接続さ
れ、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記貨油タン
クの高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船
底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近
に設定されており、上記下部貨油タンク内に、貨油主管
と、同貨油主管から分岐し上記下部貨油タンクの底面に
近接して開口する貨油枝管と、同貨油枝管に介装された
止弁とからなる荷役用貨油管装置が設けられるととも
に、上記上部貨油タンクの底面に近接して開口し止弁を
介装された第2の貨油枝管が、上記貨油主管へ連通する
ように設けられていることを特徴としている。
【0016】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給する通気管
と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設けられ、上
甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨油タンク
に貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態におい
て、船底から上記甲板まで貨油を積載している場合に、
船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記下部貨油
タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁の最大圧
力設定値を加えたものと同船底部に作用する海水の圧力
とが等しくなる位置以下に設定されており、上記下部貨
油タンク内に、貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記
下部貨油タンクの底面に近接して開口する貨油枝管と、
同貨油枝管に介装された止弁とからなる荷役用貨油管装
置が設けられるとともに、上記上部貨油タンクの底面に
近接して開口し止弁を介装された第2の貨油枝管が、上
記貨油主管へ連通するように設けられていることを特徴
としている。
【0017】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が水平面に対し傾斜するように設けられて、同甲
板の最高位置の船底からの高さが、上記貨油タンクに貨
油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態において、
船底から上記甲板の最高位置付近まで貨油を積載してい
る場合に、船底部に作用する貨油の圧力と同船底部に作
用する海水の圧力とが等しくなる位置よりも下方で、
底への距離よりも同位置へ近接した距離をもつように
定されていることを特徴としている。
【0018】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が水平面に対し傾斜するように設けられて、上記
の上部貨油タンクおよび下部貨油タンクにそれぞれイナ
ートガス供給手段が接続され、上記甲板の船底からの高
さの上限値が上記貨油タンクの高さの半分以下に設定さ
るとともに、同甲板の船底からの高さの下限値がバラ
スト航海時の吃水線の付近に設定されていることを特徴
としている。
【0019】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が水平面に対し傾斜するように設けられて、上記
の上部貨油タンクおよび下部貨油タンクにそれぞれイナ
ートガスを供給する通気管と、同通気管に介装された圧
力制御弁とが設けられ、上記甲板の最高位置の船底から
の高さが、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際
の最も浅い吃水状態において、上記下部貨油タンクに船
底から上記甲板の最高位置付近まで貨油を積載している
場合に、船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記
下部貨油タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁
の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用する海
水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されていること
を特徴としている。そして、本発明の貨油流出防止型タ
ンカーは、上記の傾斜する甲板が、船体線中心線付近で
最も低く、船側へ向かってしだいに高くなるように形成
されたり、船体中心線付近で最も高く、船側へ向かって
しだいに低くなるように形成されたり、上記上部貨油タ
ンクの範囲で船長方向に傾斜するように設けられたり、
上記上部貨油タンクの範囲で、同上部貨油タンクの船長
方向における中間部分で最も低く形成され、船首方向お
よび船尾方向へ向かってそれぞれしだいに高くなるよう
に形成されたり、上記上部貨油タンクの範囲で船長方向
に傾斜し、かつ、船体横断面で船体中心線付近を最も低
く形成されるとともに船側へ向かいしだいに高くなるよ
うに形成されたり、上記上部貨油タンクの範囲で船長方
向に傾斜し、かつ、船体横断面で船体中心線付近を最も
高く形成されるとともに船側へ向かいしだいに低くなる
ように形成されたりしことを特徴としている。
【0020】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、同甲板の船底からの高さ方向の位
置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最
も浅い吃水状態において、船底から上記甲板まで貨油を
積載している場合に、船底部に作用する貨油側の圧力と
同船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置以下
に設定されており、上記二重船側構造の内殻が、上記上
部貨油タンクの側壁下端と上記下部貨油タンクの側壁上
端とを内殻平坦部で連結して形成されたことを特徴とし
ている。
【0021】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段が接続さ
れ、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記貨油タン
クの高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船
底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近
に設定されており、上記二重船側構造の内殻が、上記上
部貨油タンクの側壁下端と上記下部貨油タンクの側壁上
端とを内殻平坦部で連結して形成されたことを特徴とし
ている。
【0022】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給する通気管
と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設けられ、上
甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨油タンク
に貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態におい
て、船底から上記甲板まで貨油を積載している場合に、
船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記下部貨油
タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁の最大圧
力設定値を加えたものと同船底部に作用する海水の圧力
とが等しくなる位置以下に設定されており、上記二重船
側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの側壁下端と上記
下部貨油タンクの側壁上端とを内殻平坦部で連結して形
成されたことを特徴としている。
【0023】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、同甲板の船底からの高さ方向の位
置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最
も浅い吃水状態において、船底から上記甲板まで貨油を
積載している場合に、船底部に作用する貨油側の圧力と
同船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置以下
に設定されており、上記二重船側構造の内殻が、上記上
部貨油タンクの傾斜側壁と、上記下部貨油タンクの傾斜
側壁とで形成され、上記下部貨油タンクの傾斜側壁の傾
斜角が上記上部貨油タンクの傾斜側壁の傾斜角よりも大
きく設定されていることを特徴としている。
【0024】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段が接続さ
れ、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記貨油タン
クの高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船
底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近
に設定されており、上記二重船側構造の内殻が、上記上
部貨油タンクの傾斜側壁と、上記下部貨油タンクの傾斜
側壁とで形成され、上記下部貨油タンクの傾斜側壁の傾
斜角が上記上部貨油タンクの傾斜側壁の傾斜角よりも大
きく設定されていることを特徴としている。
【0025】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給する通気管
と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設けられ、上
甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨油タンク
に貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態におい
て、船底から上記甲板まで貨油を積載している場合に、
船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記下部貨油
タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁の最大圧
力設定値を加えたものと同船底部に作用する海水の圧力
とが等しくなる位置以下に設定されており、上記二重船
側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの傾斜側壁と、上
記下部貨油タンクの傾斜側壁とで形成され、上記下部貨
油タンクの傾斜側壁の傾斜角が上記上部貨油タンクの傾
斜側壁の傾斜角よりも大きく設定されていることを特徴
としている。
【0026】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、同甲板の船底からの高さ方向の位
置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最
も浅い吃水状態において、船底から上記甲板まで貨油を
積載している場合に、船底部に作用する貨油側の圧力と
同船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置以下
に設定されており、上記二重船側構造の内殻を形成する
上記上部貨油タンクの側および上記下部貨油タンクの
部の船体内殻が、垂直側壁および傾斜側壁ならびに内
殻平坦部の少なくとも2つを選択的に組み合わせて形成
されたことを特徴としている。
【0027】さらに、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、上記の上部貨油タンクおよび下部
貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段が接続さ
れ、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記貨油タン
クの高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船
底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近
に設定されており、上記二重船側構造の内殻を形成する
上記上部貨油タンクの側および上記下部貨油タンクの
部の船体内殻が、垂直側壁および傾斜側壁ならびに内
殻平坦部の少なくとも2つを選択的に組み合わせて形成
されたことを特徴としている。
【0028】また、本発明の貨油流出防止型タンカー
は、船内に設けられた貨油タンクと、同貨油タンクから
船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タンクの両側
にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそなえ、上記貨
油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンクとに分割す
る甲板が設けられて、同甲板の船底からの高さ方向の位
置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最
も浅い吃水状態において、船底から上記甲板まで貨油を
積載している場合に、船底部に作用する貨油の自重によ
る圧力に上記下部貨油タンク用の通気管における圧力制
御弁の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用す
る海水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されてお
り、上記二重船側構造の内殻を形成する上記上部貨油タ
ンクの側および上記下部貨油タンクの側部の船体内殻
が、垂直側壁および傾斜側壁ならびに内殻平坦部の少な
くとも2つを選択的に組み合わせて形成されたことを特
徴としている。
【0029】
【作用】上述の本発明の貨油流出防止型タンカーでは、
船側部の損傷に際して、二重船側構造により船内の貨油
タンクが防護されているので、貨油の流出を防止する作
用が行なわれる。また、貨油タンクが上部貨油タンクと
下部貨油タンクとに仕切られているが、上部貨油タンク
の荷役については、下部貨油タンク内の貨油主管を利用
して行なわれる。さらに、船底部の損傷に際しては、貨
油タンクを上部区画と下部区画とに分割する甲板が、水
平に形成されたり傾斜するように形成されたりして、適
切な高さに配置されているので、貨油の流出を防止する
作用が的確に行なわれる。
【0030】また、上記二重船側構造の内殻が上記の
上部貨油タンクおよび下部貨油タンクの各側部におい
て、垂直平板や傾斜平板で構成したり、内殻平坦部を含
たりされると、上述の貨油流出防止作用が、一層的確
に行なわれるようになる。
【0031】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明すると、図1は本発明の基本概念を示す貨油流出防止
型タンカーの船体横断面図、図2はその船底からの鉛直
距離または液位と、貨油タンク部の船底に作用する圧力
との関係を示す特性図である。図1に示すように、船幅
方向の中央部に設けられた貨油タンクを下部貨油タンク
1と上部貨油タンク2とに分割する水平隔壁としての甲
板3が設けられ、また各貨油タンク1,2から船側外方
への貨油流出を防止しうるように、同貨油タンク1,2
の両側に、それぞれその内部をバラストタンクまたは空
所とする二重船側構造4が設けられている。
【0032】そして、甲板3の船底からの高さ方向の位
置すなわち高さHを有する位置は、貨油タンクに貨油を
積載して運航する際の最も浅い吃水状態において、船底
から甲板3まで貨油を積載した場合に、船底部に作用す
る貨油の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等し
くなる位置よりも下方で、同位置の近傍に設定されてい
る。なお、図1中の符号5は下部貨油タンク1に連通す
る通気管を示し、6はイナートガスハッチ、7はイナー
トガス兼通気主管、8は船底、9は船側を示しており、
下部貨油タンク1および上部貨油タンク2の各油面上に
は、イナートガス兼通気主管7から圧力制御弁27を介
して、それぞれイナートガスが所要の圧力で満たされる
ようになっている。
【0033】前述のように甲板3の船底からの高さHを
設定したことにより、船底部が損傷した際の貨油流出防
止に甲板3が有効であることを、次に説明する。貨油の
比重は、貨油の種類により異なり、船舶の建造に際して
特定することは困難である。しかしながら、船舶を建造
する際に予め貨油の設計比重の範囲を決めておくことは
可能である。貨油の設計比重に範囲を設定した場合、比
重の最大値と最小値とがある。
【0034】図2に示す直線aは、最も比重の小さな貨
油の液位とその貨油タンクの船底に作用する圧力(内
圧)との関係を示し、直線bは、最も比重の大きな貨油
の場合の上記と同様の関係を示し、直線cは、海水の液
位(ここでは、船舶の吃水に相当する)と、同じく当該
貨油タンクの船底に作用する圧力(外圧)との関係を示
している。なお、図2中の各記号は、次のとおりであ
る。 dmax…船舶の満載吃水線での吃水 dmin…貨油を積載して運航する際の最小吃水 H…積載される予定の貨油のうち、最も比重の大きな
貨油を積載し運航する際の最小吃水において貨油センタ
ータンク部船底に作用する海水圧力とタンク内貨油圧力
とが等しくなる貨油液位 範囲A…吃水および貨油の比重に関係なく、船底損傷に
より貨油が流出する船内甲板設置高さ 範囲B…吃水および貨油の比重に適正な制限を加えるこ
とにより貨油の流出が防止できる船内甲板設置高さ 範囲C…吃水および貨油の比重に関係なく貨油の流出が
防止できる船内甲板設置高さ但し、船内甲板設置位置
が、船底に近づくほど、船底部損傷で船内甲板自身も損
傷する確率が高くなるため、可能な限り、範囲Cのう
ち、上方に船内甲板を設置することがより有効である。
【0035】船舶の吃水は載荷状態により異なり、貨油
を積載した状態のときの最小吃水dminにおける船底
外圧をPmin、最大吃水dmaxにおける船底外圧を
maxとする。PmaxとPminとの関係は
【数1】 Pmax>Pmin 貨油タンク内の貨油液位に対応して船底に作用する内圧
をPとすると、Pは、貨油比重により、同一液位であっ
ても異なる。船舶の運航時のあらゆる吃水においても、
下部貨油タンク1の船底部が損傷した際に貨油流出を防
止するためには、
【数2】 P≦Pmin となるようにPを選定する必要がある。Pは、貨油の比
重と液位とで決まり、貨油の比重が大きいほど、また液
位が高いほど大きな値となる。したがって[数2]式を
満足し、貨油の液位の上限が最小となるのは、貨油比重
が最大の場合である。この場合の貨油液位をHとす
る。Hの位置より下方のHなる位置に、図1に示す甲
板3を設置し、下部貨油タンク1の貨油液位を甲板3の
高さHまでに制限すれば、当該下部貨油タンク1の船底
部が損傷しても、貨油の比重および船舶の吃水に関係な
く、貨油の流出を防止することが可能となる。つまり
【数3】 H≦H なる関係が成り立つ。
【0036】一方、Hの下限については、Hを0に近づ
けると、すなわち、船底と甲板3との間の距離を近づけ
ると、大きな衝撃による船底損傷の際に、甲板3まで損
傷の及ぶ確率が高くなる。したがって、[数3]式と共
【数4】 H≒H なる条件が必要である。このような条件をそなえた本実
施例のタンカーでは、船底部に損傷を生じても貨油の流
出が十分に防止され、また船側部に損傷を生じた場合
は、二重船側構造4により貨油の流出が十分に防止され
るのである。
【0037】なお、実際には、下部貨油タンク1におい
て貨油は甲板3まで積載されず、貨油を満載した場合で
も貨油面と甲板3との間には空間26が残り、その空間
26にはイナートガスが加圧供給されている。そこで、
貨油のみの重力による圧力をP、イナートガスの圧力
[設計上は下部貨油タンクに通じる通気管5の圧力制御
弁27(図3参照)における最大圧力設定値]をP
空間26の高さをhとすると、上述の[数2]式,[数
3]式,[数4]式は、それぞれ次のようになる。
【数5】 P=P+P≦Pmin
【数6】 H≦H+h
【数7】 H≒H+h ここで、海水の比重をSsw,貨油の比重をSとする
と甲板3の高さHは次の式により決定される。
【数8】 H≦Ssw/S・(dmin−P/Ssw)+h
【0038】次に具体的な設計例について図3に基づき
説明すると、海水の比重を1.025,貨油の比重の最
大値を0.9,イナートガス圧力の運航中の変動幅を大
気圧を中心として1.4mAq(圧力制御弁27の最大
圧力設定値)〜−0.5mAq(圧力制御弁27の最小
圧力設定値),船幅を58m,二重船側構造4の幅を
5.8m,船体の高さを31.5m,満載吃水dmax
を20.6m,最小吃水dminを14.2mとする
と、下部貨油タンク1における甲板3の高さHはそれぞ
れ次のようになる。 (a)イナートガス圧力が大気圧+1.4mAqのとき
【数9】 H≦1.025/0.9・(14.2−1.4/1.025)+h =14.6m+h (b)イナートガス圧力が大気圧のとき
【数10】 H≦1.025/0.9・14.2+h=16.2m+h (c)イナートガス圧力が大気圧−0.5mAqのとき
【数11】 H≦1.025/0.9・(14.2+0.5/1.025)+h =16.7m+h そして下部貨油タンク1の満載状態における同下部貨油
タンク1の上部空間26の高さhは、通常1.5m〜
0.3m,好ましくは1m以下で運航されており、甲板
3の高さHは少なくとも、運航中イナートガス圧力P
が最大となる場合の値(通気管5における圧力制御弁2
7の最大圧力設定値)を採用し、15.6m以下とすれ
ばよいことになる。すなわち、貨油タンクの高さ(ほぼ
船体の高さ31.5m)の半分程度の高さに甲板3が設
けられても安全が保たれるが、それよりも低い高さにす
れば、船底外板に加わる圧力は一層緩和される。 したが
って、甲板3の高さは貨油タンクの高さの半分以下と
れるが、甲板3の高さの下限値については後述する。
【0039】なお、上部空間26の高さhは、運航毎に
異なる。したがって、甲板3の高さHは、下部貨油タン
ク1における上部空間26の高さhを0として決定した
方がより安全である。すなわち、[数9]式により、甲
板の高さHは14.6m以下となる。このように、甲板
3の高さHを、上部空間26の高さhを0として決定し
た場合でも、実際に下部貨油タンク1に貨油を満載する
際には、やはり、同下部貨油タンク1に上部空間26を
残して積み付けが行なわれる。この状態で、船底外板に
作用する貨油側の圧力と海水の圧力との関係は次式とな
る。
【数12】 P<Pmin この状態で下部貨油タンク1に船底損傷を受けた場合、
[数12]式の関係から、同下部貨油タンク内には海水
が流入し、次式で示す圧力バランスが達成されるまで、
海水の流入が続き、海水の比重は貨油の比重より大きい
ことから、浸入した海水は同下部貨油タンクの底部に層
を形成する。
【数13】 P:P+P+P:Pmin ここでPは、下部貨油タンク1内に浸入した海水が形
成する海水層の部分の海水の自重による圧力を示す。こ
の海水層は、船底損傷後の波による船体運動や、潮流に
よる船底破口からの二次的な貨油の流出を有効に阻止す
る働きをする。
【0040】また、甲板3の高さHの下限値を、従来船
底損傷による貨油の流出を防止するために設けられる二
重底の高さの最低基準値、すなわち船幅の1/15また
は2mの小さい方にした場合には、大きな衝撃による船
底損傷の際に甲板3まで損傷の及ぶ確率が高くなる。し
たがって甲板3の高さの下限値はより上方に設定すべき
であり、好ましくは、バラスト航海時の吃水線付近の値
である。上述の考察から明らかなように、甲板3の上限
値は貨油タンクの高さの半分程度で、それ以下ならば船
底に加わる圧力は緩和されるが、甲板3の高さを低くす
ればするほど衝突時に損傷が甲板3におよぶ可能性は高
まる。そこで甲板3の高さの下限値はバラスト吃水線付
近に設定されることになる。すなわち、甲板3の高さ
が、貨油タンクの高さの半分以下で、その下限値をバラ
スト吃水線付近に設定されることにより、二重底のタン
カーよりも貨油流出防止について安全性が高められるよ
うになる。
【0041】図16は、本発明の第1実施例としての貨
油流出防止型タンカーの船体横断面を示したものであ
る。この第1実施例では、前述の本発明の基本概念を示
すタンカー(図1〜3)のように、甲板3の船底からの
高さを貨油タンク全体の高さの半分以下にしたり、圧力
制御弁27を設けて下部貨油タンク内のイナートガスの
圧力制御を行なったりする構造を有するほか、貨油の荷
役手段として、従来のタンカーと同様の貨油管装置を下
部貨油タンク1のみにそなえている。すなわち、下部貨
油タンク1内に、貨油主管20、貨油枝管21および貨
油枝管付き止弁22からなる荷役用貨油管装置が設けら
れている。そして、この貨油管装置を利用して上部貨油
タンクの荷役も行なえるように、甲板3に、上部貨油タ
ンク2を下部貨油タンク1に荷役時にのみ連通させるた
めの隔壁弁23が設置されている。
【0042】本実施例の場合、貨油を積み終えた際に上
下の貨油タンク1,2が連通しているために、下部貨油
タンク1に連通する通気管5内にも、上部貨油タンク2
の貨油液位と等しい高さまで貨油が浸入する。そして、
積荷終了後、隔壁弁23を閉鎖するが、その際、下部貨
油タンク1に接続された通気管5の内部の貨油液位は、
前述のHよりも高く、この状態で当該下部貨油タンク
1の船底が損傷した場合は、通気管5内の液位とH
液位との間の通気管5内の貨油が船底損傷部より流出す
る。ただし、通気管5の断面積は小さく、流出油量は、
微少である。また、貨油タンクへの積荷が終了し、隔壁
弁23を閉鎖した後に、下部貨油タンク1の貨油を、そ
の通気管5内に浸入した量だけ別のタンクに移送するこ
とにより、下部貨油タンクの液位=Hとなり、これによ
り船底損傷時の貨油流出が防止できるようになる。また
船側部損傷時の貨油流出防止については、図1〜3のタ
ンカーについて述べたと同様に、二重船側構造4が寄与
することになる。
【0043】図17は本発明の第2実施例としての貨油
流出防止型タンカーの船体横断面を示したものである。
この第2実施例の場合も図1〜3により説明した本発明
の基本概念を示すタンカーのように、甲板3の船底から
の高さを貨油タンク全体の高さの半分以下にしたり、圧
力制御弁を設けて下部貨油タンク内のイナートガスの圧
力制御を行なったりする構造を有しているが、貨油の荷
役手段としては、従来のタンカーと同様の貨油管装置を
構成する貨油主管20、貨油枝管21および貨油枝管付
き止弁22が下部貨油タンク1に設けられるほか、上部
貨油タンク2の荷役用として、下部貨油タンク1の荷役
用とは独立した第2の貨油枝管25およびその止弁22
が設けられている。なお、図17に示すものでは第2の
貨油枝管25が下部貨油タンク1における貨油枝管21
を介して貨油主管20に連通しているが、この第2の貨
油枝管25は直接貨油主管20に接続されてもよい。こ
の第2実施例では、下部貨油タンク1と上部貨油タンク
2との荷役を個別に行なうことが可能で、下部貨油タン
ク1に貨油を積載する際に、貨油液位を甲板3の位置H
までに制御することが容易である。
【0044】また、この第2実施例の場合も、船体損傷
時における貨油の流出防止については、図1〜3のタン
カーと同じ作用効果を得ることができる。上述の甲板3
はかならずしも完全に水平である必要はなく、多少傾斜
していても、その甲板3の最高部が、上述の高さH以下
であれば問題ない。以下に船内甲板が傾斜している実施
例について述べる。なお、図18以降では、船内甲板が
符号118で示されている。
【0045】図18に示す本発明の第3実施例としての
貨油流出防止型タンカーでは、甲板118が、船体中心
線に沿う局部的に平坦な部分103で船底から最低の高
さH’に形成され、船側へ向かってしだいに高くなるよ
うに直線状に傾斜して形成されて、二重船側構造104
の内殻への接続部の近傍では、船底から最高の高さHを
有する局部的に平坦な最高部102になっている。そし
て、最高の高さHは、貨油タンクに貨油を積載して運航
する際の最も浅い吃水dminの状態において、下部貨
油タンク105に船底から甲板118の最高位置付近ま
で貨油107を積載している場合に、船底部に作用する
貨油107の自重による圧力に下部貨油タンク105用
の通気管112における圧力制御弁113の最大圧力設
定値を加えたものと同船底部に作用する海水の圧力とが
等しくなる位置の近傍までの高さに設定されている。
【0046】なお、図18における符号101は甲板傾
斜部、106は上部貨油タンク、107は上部貨油タン
クにおける貨油、108は船底外板、109は海水、1
10は水面、111は下部貨油タンク内ガス圧力、11
4はイナートガス兼貨油タンク通気管を示している。こ
の管114から圧力制御弁113を介して下部貨油タン
ク105の内部の油面にイナートガスを適切な圧力で供
給することにより、下部貨油タンク105についても十
分に災害の予防をはかることができる。上述のように、
甲板118を傾斜させて設けたことにより、この第
施例では、上部貨油タンク106に積載された貨油10
7の集油や浚渫の効率化がもたらされるとともに、甲板
118に堆積するスラッジの量が減少したり、スラッジ
除去作業範囲が減少したりする効果が得られるようにな
り、さらに下部貨油タンク105の積荷役時のガス抜き
がスムーズに行なわれるようになる効果もある。
【0047】図19および図20は、本実施例により、
スラッジ115が甲板118の最低部103およびそれ
を中心として傾斜部101にかかる範囲に集中的に堆積
している状況を説明したものである。特に図20は、甲
板最低部103の近傍を拡大して示したもので、揚荷役
の際に吸引管開口端116から、貨油107と一緒にス
ラッジ115が吸引除去しうることが示されている。船
体中心線側が低くなるような甲板118の傾斜は、上部
貨油タンク106に貨油107を積載して運航する間に
沈降するスラッジ115を、その上部貨油タンク底面を
なす甲板118の最低部103、すなわち船体中心線側
に集める効果がある。一般にタンクの吸引管開口端はタ
ンクの最下位置に設けることが通常であり、本実施例で
も上部貨油タンク106用の吸引管開口端116は同タ
ンク106の最下位置に設けることを前提としている。
【0048】この前提に基づき、上部貨油タンク106
に積載された貨油107の揚げ荷を考えた場合、当然の
ことながら、タンク底面、すなわち甲板118に傾斜が
あることにより、前述のスラッジ115を効率よく貨油
と共に吸引除去でき、しかも上部貨油タンク106内の
液位が低下した際も、吸引管開口端116の近傍に、常
に貨油107が集合するため、吸引の効率が向上し揚荷
役の時間が短縮できる。さらに、タンカーでは、入渠前
に貨油タンク内に堆積したスラッジをタンク外へ除去す
る作業が行なわれているが、甲板118に傾斜をつける
ことにより、上部貨油タンク106内のスラッジ115
の堆積する範囲が中間デッキの最下位置を中心とした狭
い範囲にとどまるため、入渠前のスラッジ除去作業の範
囲が少なくなり、しかも通常運航中の揚荷役でスラッジ
115が効率よく除去できることと併せ、本作業量自体
の軽減が計られる。
【0049】一方、下部貨油タンク105については、
その頂板を形成する甲板118に傾斜がないと、貨油積
み込み終了以前に積み込み率を一旦おとし、タンク内の
気体が十分に抜けるのを待って、それ以降ゆっくりと積
荷役を行なう必要がある。特に、甲板118付き船殻部
材が、甲板118の下側に配置されている場合は、エア
だまりが発生しやすい。本実施例では、甲板118が船
側方向に向かって高くなっているので、下部貨油タンク
105に積荷役をする際、タンク内液位の上昇と共に貨
油上部の気体がスムーズに甲板118の傾斜に沿って上
方に抜け、同甲板118の最高部102に配置された通
気管112からタンク外へと排出される。したがって、
エアだまりが発生せず、効率よく積荷役ができる。
【0050】なお、図21は船内甲板に部分的な水平部
を設けず、直線的な傾斜部101を甲板最高部102と
甲板最低部103との間に設けた変形例を示している。
また図22は、船内甲板に、直線部a,部分的な水平部
bおよび円弧部cを組み合わせて、傾斜部101を、前
述の高さHを有する甲板最高部102と甲板最低部10
3との間に形成した変形例を示している。さらに、この
第3実施例の場合も、甲板118の船底からの最高位置
を、基本発明で述べたように、貨油タンク全体の高さの
半分以下に設定してもよい。図23および図24は、前
述と同様のタンカーにおいて、前述の高さHを有する甲
板最高部102を船体中心線に沿う部分に設けるように
した本発明の第4実施例を示しており、この実施例の場
合も前述の第実施例と同様の作用効果が得られる。な
お、図24における符号a,b,cは、図22と同様
に、それぞれ直線部、部分的な水平部および円弧部を示
している。
【0051】図25,27に示す本発明の第5実施例
も、前述の第3実施例と同様に、本発明の基本概念を含
む構造を有するものであるが、この第5実施例では、船
内甲板118が各上部貨油タンク106の範囲で船長方
向に傾斜した場合を示しており、各甲板118は、船首
側の端部に前述の最高の高さHを有するとともに、船尾
側の端部に最低の高さH’を有している。そして甲板最
低部103に部分的な平坦部が形成されている。なお、
図中の符号117は横置隔壁を示し、αはトリム角、β
は甲板118の船長方向の傾斜角を示す。図27は、揚
荷役の際のトリムをつけた状態で、甲板118が水平面
となす角度およびその状態における、上部貨油タンク1
06内の揚荷役終了直前の貨油107およびスラッジ1
15の残留状況を、図26に示す甲板118に傾斜がな
い場合と比較したものである。図27に示す本実施例の
タンカーは、図26の場合と比べ甲板118の傾斜角β
の分だけ同一トリム角αの状態でも甲板118の水平面
となす角が大きくとれるようになっており、同時に傾斜
角が大きい分だけ貨油107およびスラッジ115が、
吸引管開口端116付近により集まりやすくなってい
る。これにより揚荷役の効率およびスラッジの除去性が
向上するようになる。
【0052】さらに、詳述すれば、タンカーは一般的に
ポンプ室が貨油タンク区画の船尾側に配置されており、
吸引管は各貨油タンクから船尾側のポンプ室に向かって
配管されている。したがって、揚荷役をする際は、吸引
効率をよくするために、船体姿勢を船尾トリムとするこ
とが通常行なわれている。この場合、貨油タンクの底面
は船体のトリムに応じて水平面に対し各タンクの船尾側
が低くなるように傾斜する。ここで、上部貨油タンク1
06の底面となる甲板118に、予め船尾側が低くなる
ような傾斜を設けることにより、上で述べた船尾トリム
との相乗作用で、揚荷役の際の甲板の傾斜が水平面に対
し、より大きくなる。したがって、上部貨油タンクの揚
荷役の効率を一層向上させることができるとともに、揚
荷役中でのスラッジ115の吸引、除去の効率もより向
上させることができる。
【0053】図28に示す本発明の第6実施例では、前
述と同様に本発明の基本概念を含む構造を有するタンカ
ーにおいて、船内甲板が、各上部貨油タンク106の範
囲で、上部貨油タンク106の船長方向における中間部
分に局部的に水平な甲板最低部103を有し、船首方向
および船尾方向へ向かってそれぞれしだいに高くなる直
線部101を有して、横置隔壁117と接続する部分で
前述の最高の高さHに設定された甲板最高部102を有
している。なお、甲板最低部103は上部貨油タンク1
06の船長方向の長さの中央よりもやや後方に設けられ
ている。この第6実施例では、前述の第5実施例とほぼ
同様の作用効果が得られるが、さらに船内甲板が船首尾
方向でみて、中間部が低く前後部が高いため、その最低
部103を船首尾方向のどこに選定しても、前後端の高
さ方向の位置を等しくすることが可能となる。したがっ
て、船の前後方向に連なる一連の上部貨油タンク間の横
置油密隔壁117の前後で船内甲板の高さを一致させる
ことができ、構造強度面で信頼性が向上するとともに、
所要鋼材重量の低減、建造の容易性といった経済性の向
上にもつながる。
【0054】図29に示す本発明の第7実施例では、前
述と同様に本発明の基本概念を含む構造を有するタンカ
ーにおいて、船内甲板が、船長方向に直線的な傾斜を有
し、かつ、船体横方向には図18に示すものと同様の形
状を有している。すなわち、船内甲板が船体中心線付近
で低く形成され、船側へ向かってしだいに高くなる直線
部101を有して、その両端部に平板状部分が形成され
ている。そして、船内甲板が前述の最高の高さHを有す
る甲板最高部102を船首側の船側部に有し、甲板最低
部103を船尾側の中央部に有している。この第7実施
例では、船内甲板の船体横方向の傾斜と、船長方向の傾
斜とが組合わされているので、上部貨油タンク106の
底面のうち最低となる甲板最低部103が1つの狭い箇
所になる。したがって上部貨油タンク106の貨油およ
びスラッジが、船内甲板の船長方向および船体横方向の
傾斜に沿ってその最低部103に集合し、揚荷役効率、
スラッジ除去効率が一層向上するようになる。なお、こ
の第7実施例の変形例として、上記船内甲板が、船体中
心線付近で高く形成され、船側へ向かってしだいに低く
なるように形成されてもよく、この場合もほぼ同様の効
果が得られる。
【0055】図30〜36に示すように、本発明の貨油
流出防止型タンカーでは、通常二重船側構造104の内
殻119が上部貨油タンクの側壁と下部貨油タンクの側
壁とで形成されている。そして、内殻119は上部貨油
タンクと下部貨油タンクとにわたり上下方向に連続的な
垂直平板で形成されている。貨油タンク区画前後部の船
体外板やせ部では、図37に示すごとく船側外板が船体
中心側に寄ってくると同時に、船底外板平坦部121の
範囲も少なくなってくる。このような部分では、二重船
側構造104の内殻119を船体中央部での内殻の位置
と同一面になるように配置すると、図37に示すごとく
二重船側構造となり得ないことになる。すなわち船側外
板の一部が二重船側でない構造となってしまう。このよ
うな隔壁構造では、軽微な船側船底部の損傷によっても
貨油が流出する可能性がある。
【0056】図37は上記部分における船側船底部の損
傷時の貨油の流出状況を模式的に示したものである。上
記部分におけるこれらの貨油流出を防止するために、図
30に示すごとく、垂直平板で形成される内殻119
が、平面でみて船首側および船尾側では船体中心線側に
折り曲げられた形状になっている。図30〜36のタン
カーでは、二重船側構造の内殻に上下方向に連続的な垂
直平板を採用することにより、船体中央部付近の船側外
板が垂直な平板である範囲においては、船側船底部のビ
ルジ部を除き、二重船側構造ブロックを直方体となしう
る。船舶を建造する際に、船体をいくつかのブロックに
分け、各ブロック組立工場で製作し、そのブロックをド
ックや船台上で接合してゆく建造法が、現在の船の建造
法の主流になっている。直方体のブロックは、そのブロ
ックを組み立てる際も、ブロック同志を接合する際も工
作が容易で、自動化装置が適用しやすく、工作精度の管
理も容易となる。したがって、二重船側構造ブロックを
直方体となしうる本実施例は、建造の容易性および効率
向上につながり、建造時の経済性が向上する。
【0057】さらに、貨油タンク区画前後部の船体外板
やせ部については、前述のように二重船側構造の内殻
を、船体中央部での垂直平板を保持しつつ、船体中心線
側に折り曲げることで、常に船底外板の平坦部に当垂直
平板の下端を接合させることができるので、図37に示
すような、船底外板損傷による油の流出を回避できる作
用を有する。同時に当内殻は、垂直平板で構成されてお
り、ブロック組立てやブロック同志の接合の際も、その
垂直平板部を基準面に工作ができ、建造が容易となる。
【0058】本発明の第8実施例として図38に船体中
央横断面図を示し、図39に上部貨油タンクの配置を表
わす船体水平断面図を示し、図40に下部貨油タンクの
配置を表わす船体水平断面図を示し、図41に上下貨油
タンクの配置を表わす船体中心線での垂直断面図を示
す。この第8実施例も、前述と同様に本発明の基本概念
を含む構造を有しているが、この第8実施例では、船体
甲板118の形状として、図18に示すものを採用し、
二重船側構造104の内殻119を垂直平板と水平平板
とを組合わせて形成している。すなわち上部貨油タンク
106の側部に接する範囲で垂直平板とし、それを船側
外板20に近い位置に配置し、甲板118の位置で水平
平板22を設け、下部貨油タンク5の側部と接する範囲
で垂直平板とし、それを船側外板20と離れた位置に配
置している。
【0059】衝突による船側損傷が発生した際に二重船
側構造104は、内殻119まで損傷が達しない限り、
貨油の流出は防げるが、衝突の際のエネルギーが大きい
と内殻119まで損傷が達する。二重船側構造104の
厚さ(幅)が厚いほど、損傷が内殻119まで達する確
率は減る。しかしながら、二重船側構造104の厚さを
貨油タンク区画の全面にわたり厚くすることは、船型を
一定とすれば貨油タンク容積の減少を招き、逆に貨油タ
ンク容積を一定とすれば船型の大型化につながって、経
済性が劣るようになる。しかも二重船側構造104の内
部は、通常バラストタンクとして使用されるが、タンカ
ーを運航する際のバラスト必要量に対しても二重船側構
造104の内部容積が過大となり、二重船側構造内部に
運航上不用な区画が生ずることになる。
【0060】これに対し、二重船側構造104の厚さを
衝突による損傷が発生しやすい部分、あるいは内殻11
9が破損した際の油流出がより大規模となる部分につい
てより厚くし、それ以外の部分をより薄くすることで、
油流出防止効果をより高め、しかも、上で述べたよう
な、二重船側構造104の内部の無駄な空間を極力少な
くし、貨油タンク容積を有効に確保することが可能にな
る。その結果として船型が極小化され経済性も増す。下
部貨油タンク105は、その範囲の二重船側構造104
の厚さが厚く、船側損傷に対し、より安全である。した
がって、図39,図40および図41に示すように、下
部貨油タンク105については上部貨油タンク106よ
りも、タンクの前後部の横置油密隔壁117の数を減ら
し、下部貨油タンク105の数を上部貨油タンク106
の数の半分としている。
【0061】本発明の第8実施例は、図30〜36の例
について述べた思想を生かしつつ、すなわち、建造の容
易な垂直平板と水平平板の組み合わせを採用して、二重
船側構造104の厚さを、上下方向で変更する手段とし
たものである。この手段により、例えば上部貨油タンク
106の範囲の二重船側構造厚さを薄く、下部貨油タン
ク105の範囲の二重船側構造厚さを十分厚くしてやる
と、衝突により船側損傷が発生した場合でも、下部貨油
タンク105は、二重船側構造104の厚さが十分厚い
ので損傷を受けない。そこで、下部貨油タンク105
は、船側損傷に対しても船底損傷に対しても、油の流出
に関してより安全であるから、1タンク当たりの容積を
大きく、すなわち、大きなタンクとしてもよいことにな
る。下部貨油タンク105は、上部貨油タンク106よ
りもスラッジ除去、ガスフリー、タンク内の点検やメン
テナンスがやりにくい。したがって、下部貨油タンク1
05を、上記手段により、大きなタンクとし、タンク数
を減らすことは、タンク内の艤装品の数の減少やメンテ
ナンス作業の減少につながる。
【0062】一方、上部貨油タンク106は、船側損傷
によって損傷を受けやすくなるので、貨油の流出を小規
模に止めるためには、タンクを細分化する必要が生ず
る。その結果、タンク数が増加し、タンク内に艤装品の
数が増加、メンテナンス作業が増加するが、上部貨油タ
ンク106の方が、下部貨油タンク105よりも艤装工
事やメンテナンス作業が容易であるため、船全体でみた
場合、下部貨油タンク105の数を減らし、上部貨油タ
ンク106の数を増やした方が使いやすく、経済性の優
れた船となる。さらに、この第8実施例によれば、貨油
タンク区画前後部の船体外板やせ部において、前述の図
30〜36の例を適用した場合には、二重船側構造10
4の幅が船側外板上方で不必要に広くその下方で狭くな
る傾向にあり、結果として二重船側構造部分に不必要な
容積を取らざるを得ないことになるのに対し、船体外板
の形状に沿って二重船側構造104の内殻形状を階段状
に形成しうる。
【0063】したがって、二重船側構造104の部分に
不必要な容積をとらずに済み、その分、貨油タンクの容
積を有効に確保することができる。貨油タンク容積を一
定とした場合、この第8実施例の採用により、船型が極
小化され、経済性が増す。図42は、図38に示す思想
を、貨油タンク区画の前後部の船体外板やせ部に適用し
た場合を示したものである。船体外板やせ部での船側外
板20の形状は、図42に示すように、船底部にゆくに
従って船体中心線側に向かうなめらかな曲線となる。内
殻119に、図42に示すごとく、垂直平板と水平平板
を組み合わせることにより、垂直平板のみを内殻119
として使用する場合(図35参照)と比べ、点線のハッ
チングで示す範囲123が、上部貨油タンク106とし
て有効に利用できる。
【0064】本発明の第9実施例として、図43に船体
中央横断面を示す。この第9実施例も、前述と同様に本
発明の基本概念を含む構造を有しているが、この第9実
施例として図43に示すタンカーでは、甲板118の形
状として図18に示すものを用いており、内殻119の
形状として垂直面に対し角度γおよび角度δの2種類の
傾斜をもつ平板を採用し、その傾斜変更位置を甲板11
8との交線としている。そしてδはγよりも大きい。こ
の第9実施例では、上部貨油タンク106の範囲で二重
船側構造104の厚さが最小となる位置は、上甲板と接
する位置で、それより下方にゆくに従い、二重船側構造
104の厚さは厚くなっている。本実施例で船側部に衝
突事故を受けた場合、内殻119において損傷を受けや
すい箇所は二重船側構造104の厚さが最も小さい上甲
板近傍である。
【0065】上部貨油タンク106において、その側面
に損傷をうけた場合、貨油の流出量は損傷部破口の最下
端レベルよりも上方に積載された貨油の量となる。した
がって側面上方より、側面下方に損傷を受けないように
する方が、貨油の流出防止効果が大きくなる。図43に
示す実施例では、上記の点に着目して、上部貨油タンク
106の船側損傷時の油の流出防止効果を大きくしてい
る。下部貨油タンク105の範囲の二重船側構造104
の厚さは、上部貨油タンク106の範囲よりもさらに厚
くしており、船側損傷に対して、より貨油の流出防止効
果は大きくなっている。図44は図43の実施例を船体
外板やせ部での横断面でみたものである。内殻119の
傾斜および傾斜変更位置は、図43の場合と同じとして
いる。本実施例によると、船体外板やせ部において、船
側外板20の形状に沿って、図42に示す実施例より有
効に、上部貨油タンク106および下部貨油タンク10
5の容積が確保できる。
【0066】上述の本発明の第9実施例は、前述の第8
実施例で述べた二重船側構造の厚さを、上下方向で変更
する手段として、内殻119の形状に傾斜平板の組み合
わせを用いたものであり、この手段は、これまで述べた
と同様に、平板の組み合わせであるため建造が容易であ
ることは自明であるが、それ以外に、二重船側構造の内
殻が、折れ曲り部を有するものの、面としての連続性を
有するため、船体前後方向での剪断力を分担させること
ができ、構造強度上、有効な構成要素となる。したがっ
て、剪断補強が不要となり、船殻重量が低減するといっ
た経済性の向上につながる。傾斜平板の組み合わせによ
り、二重船側構造の厚さを、上下方向に変更しうること
で生ずる作用については、前述の第8実施例と同様であ
る。さらに、貨油タンク区画前後部の船体外板やせ部に
ついて、本実施例では、船体外板に沿って二重船側構造
104の内殻119を形成できる点、およびその作用
が、前述の第8実施例について述べたと同様になる。
【0067】本発明の第10実施例として、図45に船
体中央横断面を示し、さらに図46に船体外板やせ部で
の横断面を示す。この第10実施例も、前述と同様に本
発明の基本概念を含む構造を有しているが、本実施例で
は、船内甲板118として図18に示すものを用いてお
り、内殻119の形状は、その上端部および下端部に垂
直平板を有するとともに中間部に、2種類の傾斜角度を
有する傾斜平板を有し、傾斜変更位置を甲板118との
交線としている。本実施例は、図43,図44に示す実
施例を基に、その内殻119の形状を上甲板近傍と船底
外板近傍とで垂直に折り曲げたもので、上部貨油タンク
106については、図43に示すものよりも、二重船側
構造104の厚さが上甲板近傍で厚くなり、より油流出
防止効果が増す。ただし、上部貨油タンク106の容積
が、二重船側構造104が厚くなった分だけ減少するの
で、下部貨油タンク105の下方の船底外板近傍の二重
船側構造104の厚さを減じて、貨油タンクの容積を確
保しようとしたものである。下部貨油タンク105で側
面に損傷を受けた場合、貨油の流出量は、損傷部破口の
最上端レベルより下方に積載された貨油の量となる。し
たがって、側面下方より側面上方に損傷を受けないよう
にする方が、貨油の流出防止効果は大きくなる。この点
に着目すれば、下部貨油タンク105の油流出防止効果
は、その側面の上方、すなわち甲板118との交線部分
での二重船側構造104の厚さが同等であれば、同等と
みなすことができる。したがって、内殻119の船底外
板付近を垂直に折り曲げることにより貨油流出防止効果
を損なうことなく、貨油タンクの容積を確保することが
可能となる。
【0068】図46に示すタンカーでは、内殻119の
船底外板近傍に水平平板を設け、内殻119の外板と接
する位置が、船底外板平坦部121となるようにしてい
る。この部分的な水平平板部、垂直平板部および傾斜平
板部を設けることにより、船側外板120の形状に沿っ
て必要最小限の二重船側構造104の厚さを確保しつ
つ、貨油タンクの容積を有効に確保しうるように内殻1
19の形状を決定することが可能となる。
【0069】以上、各実施例について述べたが、前述の
各実施例でも、本発明の基本概念の説明で述べたよう
に、甲板の船底からの高さを貨油タンク全体の高さの半
分以下にしたり、圧力制御弁を設けて下部貨油タンク内
のイナートガスの圧力制御を行なったりすると、一層効
果があることはいうまでもない。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の貨油流出
防止型タンカーによれば、次のような効果が得られる。 (1)二重船側構造で貨油タンクが防護されるので、船
側部の損傷時の貨油流出が防止され、さらに、貨油タン
クを上部下油タンクと下部貨油タンクとに分割する甲板
の船底からの高さが適切に設定されるので、二重底構造
を採用しなくても、船舶運航時のあらゆる載荷状態にお
いて、船底部の損傷時における貨油の流出を的確に防止
できる効果があり、また単底構造の場合と同程度まで十
分に貨油を積載できる利点がある。 (2)貨油タンクが上部貨油タンクと下部貨油タンクと
に仕切られているにも拘わらず、上部貨油タンクの荷役
については下部貨油タンクの荷役手段を利用して行なう
ことができるので、荷役手段全体としての複雑化を招か
ないですむようになる。 (3)圧力制御弁を介して下部貨油タンク内部の油面に
イナートガスを適切な圧力で供給することにより、下部
貨油タンクについても十分に災害の予防をはかることが
できる。 (4)上部貨油タンク内のスラッジが船内甲板を傾斜さ
せることで、その低い位置に集中して堆積する効果を生
じ、揚荷役の際に、スラッジを貨油と共に効率よく、吸
引除去できる。 (5)揚げ荷役の際に除去できなかったスラッジについ
ても、その分布範囲が、傾斜した船内甲板の低い部分に
限定されるため、スラッジ除去作業が軽減される。 (6)スラッジのみならず貨油も船内甲板上の低い位置
に集中するので、揚荷役の最終段階における浚えの効率
が向上し、揚荷役の時間が短縮する。 (7)下部貨油タンクの積荷の際も、船内甲板に傾斜を
設けることで、油面の上方のタンク内気体が、船内甲板
の裏のより高い位置にスムーズに抜けるため、タンク頂
部にエアだまりが発生せず、積荷役の効率化がはかれ
る。 (8)船内甲板の船体横方向の傾斜と共に、揚荷役時に
船体を船尾方向にトリムさせることにより、船体前後方
向にも傾斜が生じ、前記効果が増幅される。 (9)船内甲板に船長方向の傾斜をつけることにより、
前述の揚荷役時の船体トリムによる船内甲板の船体前後
方向の傾斜をより強くしうるため、前記効果が増幅され
る。 (10)上部貨油タンクの範囲で、船内甲板の船長方向
における中間部分に甲板最低部を設けることにより、前
記効果のほかに船内甲板の高さを、貨油タンクの前後方
向の仕切りとなる横置油密隔壁の前後で一致させること
が可能となり、構造強度面で信頼性が向上するととも
に、経済性も向上する。 (11)船内甲板が船長方向の傾斜と船体横方向の傾斜
とを併有することにより、前述の効果を相乗的に強める
ことができる。 (12)二重船側構造の内殻が、垂直平板、水平平板お
よび傾斜平板を選択的に組み合わせて構成されることに
より、船側損傷および船底損傷に対する貨油の流出防止
効果を維持しつつ、船の建造コストを低減する効果が得
られる。 (13)二重船側構造の幅を、ステップ状に変化させる
手段を用いることにより、船側損傷に対し、貨油タンク
の一部を重点的に防護しうる効果が得られ、貨油タンク
の数を減ずることが可能となるほか、経済性が向上す
る。 (14)二重船側構造の幅を傾斜側壁で連続的に変化さ
せる手段を用いることにより、構造設計面で、内殻が船
体縦方向剪断力を分担しうるようになり、これにより船
殻重量の低減がはかられ、経済性が向上する。 (15)貨油タンク区画前後部の船体外板やせ部におい
ても、二重船側構造のもつ油の流出防止効果を維持しつ
つ、従来は貨油タンクとして十分に利用できなかった部
分を貨油タンクとして有効に利用できるようになり、一
定の貨油タンク容積をもつタンカーで比較すれば、船型
を小型化することができ、建造コスト、運航コストを低
減しうる効果も生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本概念を示す貨油流出防止型タンカ
ーの船体横断面図である。
【図2】上記タンカーにおける上部貨油タンクと下部貨
油タンクとを仕切る甲板の設置位置を決定するための説
明図である。
【図3】上記タンカーの使用例を示す船体横断面図であ
る。
【図4】従来のタンカーの第1例の水平断面図である。
【図5】図4のA−A矢視断面図である。
【図6】図4のB−B矢視断面図である。
【図7】従来のタンカーの第2例の水平断面図である。
【図8】図7のA−A矢視断面図である。
【図9】従来のタンカーの第3例の水平断面図である。
【図10】図9のA−A矢視断面図である。
【図11】従来のタンカーの第4例の水平断面図であ
る。
【図12】図11のA−A矢視断面図である。
【図13】タンカーの他の例の船体横断面図である。
【図14】タンカーのさらに他の例の船体横断面図であ
る。
【図15】図14のタンカーの船側部損傷時における貨
油流出の過程を示す説明図である。
【図16】本発明の第1実施例としての貨油流出防止型
タンカーの船体横断面図である。
【図17】本発明の第2実施例としての貨油流出防止型
タンカーの船体横断面図である。
【図18】本発明の第3実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体横断面図である。
【図19】図18のタンカーについて、上部貨油タンク
の使用状態を示す船体横断面図である。
【図20】図19のタンカーの要部を拡大して示す断面
図である。
【図21】上記第3実施例のタンカーの一部を変形して
示す船体横断面図である。
【図22】上記第3実施例のタンカーの一部を変形して
示す船体横断面図である。
【図23】本発明の第4実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体横断面図である。
【図24】図23のタンカーの一部を変形して示す船体
横断面図である。
【図25】本発明の第5実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体縦断面図である。
【図26】従来のタンカーの要部の縦傾斜状態を示す縦
断面図である。
【図27】図25のタンカーの要部を図26に対比させ
るようにして示す縦断面図である。
【図28】本発明の第6実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体縦断面図である。
【図29】本発明の第7実施例としての貨油流出防止型
タンカーの要部を示す斜視図である。
【図30】二重船側構造の内殻を垂直壁とした場合の貨
油流出防止型タンカーを示す船体水平断面図である。
【図31】図30のA−A矢視断面図である。
【図32】図30のB−B矢視断面図である。
【図33】図30のC−C矢視断面図である。
【図34】図30のD−D矢視断面図である。
【図35】図30のE−E矢視断面図である。
【図36】図30のF−F矢視断面図である。
【図37】船側船底部の損傷時の不具合例を模式的に示
す船体横断面図である。
【図38】本発明の第8実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体中央横断面図である。
【図39】図38のタンカーの上部貨油タンクにおける
水平断面図である。
【図40】図38のタンカーの下部貨油タンクにおける
水平断面図である。
【図41】図38のタンカーの船体中心線に沿う縦断面
図である。
【図42】図38のタンカーの船体外板やせ部における
横断面図である。
【図43】本発明の第9実施例としての貨油流出防止型
タンカーを示す船体中央横断面図である。
【図44】図43のタンカーの船体外板やせ部における
横断面図である。
【図45】本発明の第10実施例としての貨油流出防止
型タンカーを示す船体中央横断面図である。
【図46】図45のタンカーの船体外板やせ部における
横断面図である。
【符号の説明】
1 下部貨油タンク 2 上部貨油タンク 3 甲板 4 二重船側構造 5 通気管 6 イナートガスハッチ 7 イナートガス兼通気主管 8 船底 9 船側 10 バラストタンク 11 二重底構造 12 貨油タンク 13 二重船殻構造 14 貨油 15 上部舷側バラストタンク 16 下部舷側貨油タンク 17 上部中央貨油タンク 18 下部中央貨油タンク 19 満載吃水線 20 貨油主管 21 下部貨油タンク用貨油枝管 22 貨油枝管付き止弁 23 隔壁弁 24 上部舷側貨油タンク 25 上部貨油タンク用貨油枝管 26 空間 27 圧力制御弁 101 船内甲板傾斜部 102 船内甲板最高部 103 船内甲板最低部 104 二重船側構造 105 下部貨油タンク 106 上部貨油タンク 107 貨油 108 船底外板 109 海水 110 水面 111 下部貨油タンク内ガス圧力 112 下部貨油タンク用イナートガス兼通気管 113 下部貨油タンク圧力制御弁 114 イナートガス兼貨油タンク通気主管 115 スラッジ 116 吸引管開口端 117 横置油密隔壁 118 船内甲板 119 内殻 120 船側外板 121 船底外板平坦部 122 内殻水平平坦部 123 貨油タンク容積増加範囲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−150185(JP,A) 特開 昭57−74288(JP,A) 実開 昭61−120690(JP,U) 実開 昭60−110094(JP,U) 特公 昭52−39559(JP,B2) 実公 昭52−47273(JP,Y2) 実公 昭57−2235(JP,Y2) 実公 昭61−5355(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B63B 25/00 - 25/16 B63B 3/00 - 3/70

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの高
    さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航
    する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲板
    まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨油
    の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる
    位置よりも下方で、船底への距離よりも同位置へ近接し
    た距離をもつように設定されており、上記下部貨油タン
    ク内に、貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記下部貨
    油タンクの底面に近接して開口する貨油枝管と、同貨油
    枝管に介装された止弁とからなる荷役用貨油管装置が設
    けられるとともに、荷役時に上記上部貨油タンクを上記
    下部貨油タンクへ連通させるための隔壁弁が上記甲板に
    設けられていることを特徴とする、貨油流出防止型タン
    カー。
  2. 【請求項2】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タンク
    および下部貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手段
    が接続され、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記
    貨油タンクの高さの半分以下に設定されるとともに、同
    甲板の船底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水
    線の付近に設定されており、上記下部貨油タンク内に、
    貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記下部貨油タンク
    の底面に近接して開口する貨油枝管と、同貨油枝管に介
    装された止弁とからなる荷役用貨油管装置が設けられる
    とともに、荷役時に上記上部貨油タンクを上記下部貨油
    タンクへ連通させるための隔壁弁が上記甲板に設けられ
    ていることを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  3. 【請求項3】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タンク
    および下部貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給す
    る通気管と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設け
    られ、上記甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨
    油タンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状
    態において、船底から上記甲板まで貨油を積載している
    場合に、船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記
    下部貨油タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁
    の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用する海
    水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されており、上
    記下部貨油タンク内に、貨油主管と、同貨油主管から分
    岐し上記下部貨油タンクの底面に近接して開口する貨油
    枝管と、同貨油枝管に介装された止弁とからなる荷役用
    貨油管装置が設けられるとともに、荷役時に上記上部貨
    油タンクを上記下部貨油タンクへ連通させるための隔壁
    弁が上記甲板に設けられていることを特徴とする、貨油
    流出防止型タンカー。
  4. 【請求項4】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの高
    さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運航
    する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲板
    まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨油
    の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる
    位置よりも下方で、船底への距離よりも同位置へ近接し
    た距離をもつように設定されており、上記下部貨油タン
    ク内に、貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記下部貨
    油タンクの底面に近接して開口する貨油枝管と、同貨油
    枝管に介装された止弁とからなる荷役用貨油管装置が設
    けられるとともに、上記上部貨油タンクの底面に近接し
    て開口し止弁を介装された第2の貨油枝管が、上記貨油
    主管へ連通するように設けられていることを特徴とす
    る、貨油流出防止型タンカー。
  5. 【請求項5】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タンク
    および下部貨油タンクにそれぞれイナ ートガス供給手段
    が接続され、上記甲板の船底からの高さの上限値が上記
    貨油タンクの高さの半分以下に設定されるとともに、同
    甲板の船底からの高さの下限値がバラスト航海時の吃水
    線の付近に設定されており、上記下部貨油タンク内に、
    貨油主管と、同貨油主管から分岐し上記下部貨油タンク
    の底面に近接して開口する貨油枝管と、同貨油枝管に介
    装された止弁とからなる荷役用貨油管装置が設けられる
    とともに、上記上部貨油タンクの底面に近接して開口し
    止弁を介装された第2の貨油枝管が、上記貨油主管へ連
    通するように設けられていることを特徴とする、貨油流
    出防止型タンカー。
  6. 【請求項6】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タンク
    および下部貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給す
    る通気管と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設け
    られ、上記甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記貨
    油タンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状
    態において、船底から上記甲板まで貨油を積載している
    場合に、船底部に作用する貨油の自重による圧力に上記
    下部貨油タンク用の上記通気管における上記圧力制御弁
    の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用する海
    水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されており、上
    記下部貨油タンク内に、貨油主管と、同貨油主管から分
    岐し上記下部貨油タンクの底面に近接して開口する貨油
    枝管と、同貨油枝管に介装された止弁とからなる荷役用
    貨油管装置が設けられるとともに、上記上部貨油タンク
    の底面に近接して開口し止弁を介装された第2の貨油枝
    管が、上記貨油主管へ連通するように設けられているこ
    とを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  7. 【請求項7】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が水平面に対し傾斜するように設けら
    れて、同甲板の最高位置の船底からの高さが、上記貨油
    タンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水状態
    において、船底から上記甲板の最高位置付近まで貨油を
    積載している場合に、船底部に作用する貨油の圧力と同
    船底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置よりも
    下方で、船底への距離よりも同位置へ近接した距離をも
    つように設定されていることを特徴とする、貨油流出防
    止型タンカー。
  8. 【請求項8】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が水平面に対し傾斜するように設けら
    れて、上記の上部貨油タンクおよび下部貨油タンクにそ
    れぞれイナートガス供給手段が接続され、上記同甲板の
    最高位置の船底からの高さの上限値が上記貨油タンクの
    高さの半分以下に設定されるとともに、同甲板の船底か
    らの高さの下限値がバラスト航海時の吃水線の付近に設
    定されていることを特徴とする、貨油流出防止型タンカ
    ー。
  9. 【請求項9】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨油
    タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油タ
    ンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそな
    え、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タンク
    とに分割する甲板が水平面に対し傾斜するように設けら
    れて、上記の上部貨油タンクおよび下部貨油タンクにそ
    れぞれイナートガスを供給する通気管と、同通気管に介
    装された圧力制御弁とが設けられ、上記甲板の最高位置
    の船底からの高さが、上記貨油タンクに貨油を積載して
    運航する際の最も浅い吃水状態において、上記下部貨油
    タンクに船底から上記甲板の最高位置付近まで貨油を積
    載している場合に、船底部に作用する貨油の自重による
    圧力に上記下部貨油タンク用の上記通気管における上記
    圧力制御弁の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に
    作用する海水の圧力とが等しくなる位置以下に設定され
    ていることを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  10. 【請求項10】 上記甲板が、船体線中心線付近で最も
    低く、船側へ向かってしだいに高くなるように形成され
    たことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つに記
    載の貨油流出防止型タンカー。
  11. 【請求項11】 上記甲板が、船体中心線付近で最も高
    く、船側へ向かってしだいに低くなるように形成された
    ことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つに記載
    の貨油流出防止型タンカー。
  12. 【請求項12】 上記甲板が、上記上部貨油タンクの範
    囲で船長方向に傾斜するように設けられたことを特徴と
    する、請求項7〜9のいずれか1つに記載の貨油流出防
    止型タンカー。
  13. 【請求項13】 上記甲板が、上記上部貨油タンクの範
    囲で、同上部貨油タンクの船長方向における中間部分で
    最も低く形成され、船首方向および船尾方向へ向かって
    それぞれしだいに高くなるように形成されたことを特徴
    とする、請求項7〜9のいずれか1つに記載の貨油流出
    防止型タンカー。
  14. 【請求項14】 上記甲板が、上記上部貨油タンクの範
    囲で船長方向に傾斜し、かつ、船体横断面で船体中心線
    付近を最も低く形成されるとともに船側へ向かいしだい
    に高くなるように形成されたことを特徴とする、請求項
    7〜9のいずれか1つに記載の貨油流出防止型タンカ
    ー。
  15. 【請求項15】 上記甲板が、上記上部貨油タンクの範
    囲で船長方向に傾斜し、かつ、船体横断面で船体中心線
    付近を最も高く形成されるとともに船側へ向かいしだい
    に低くなるように形成されたことを特徴とする、請求項
    7〜9のいずれか1つに記載の貨油流出防止型タンカ
    ー。
  16. 【請求項16】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの
    高さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運
    航する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲
    板まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨
    油側の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等しく
    なる位置以下に設定されており、上記二重船側構造の内
    殻が、上記上部貨油タンクの側壁下端と上記下部貨油タ
    ンクの側壁上端とを内殻平坦部で連結して形成されたこ
    とを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  17. 【請求項17】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タン
    クおよび下部貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手
    段が接続され、上記同甲板の最高位置の船底からの高さ
    の上限値が上記貨油タンクの高さの半分以下に設定され
    るとともに、同甲板の船底からの高さの下限値がバラス
    ト航海時の吃水線の付近に設定されており、上記二重船
    側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの側壁下端と上記
    下部貨油タンクの側壁上端とを内殻平坦部で連結して形
    成されたことを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  18. 【請求項18】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タン
    クおよび下部貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給
    する通気管と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設
    けられ、上記甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記
    貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水
    状態において、船底から上記甲板まで貨油を積載してい
    る場合に、船底部に作用する貨油の自重による圧力に上
    記下部貨油タンク用の上記通気管における上記圧力制御
    弁の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用する
    海水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されており、
    上記二重船側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの側壁
    下端と上記下部貨油タンクの側壁上端とを内殻平坦部で
    連結して形成されたことを特徴とする、貨油流出防止型
    タンカー。
  19. 【請求項19】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの
    高さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運
    航する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲
    板まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨
    油側の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等しく
    なる位置以下に設定されており、上記二重船側構造の内
    殻が、上記上部貨油タンクの傾斜側壁と、上記下部貨油
    タンクの傾斜側壁とで形成され、上記下部貨油タンクの
    傾斜側壁の傾斜角が上記上部貨油タンクの傾斜側壁の傾
    斜角よりも大きく設定されていることを特徴とする、貨
    油流出防止型タンカー。
  20. 【請求項20】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タン
    クおよび下部貨油タンクにそれぞれイナートガス供給手
    段が接続され、上記同甲板の最高位置の船底からの高さ
    の上限値が上記貨油タンクの高さの半分以下に設定され
    るとともに、同甲板の船底からの高さの下限値がバラス
    ト航海時の吃水線の付近に設定されており、上記二重船
    側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの傾斜側壁と、上
    記下部貨油タンクの傾斜側壁とで形成され、上記下部貨
    油タンクの傾斜側壁の傾斜角が上記上部貨油タンクの傾
    斜側壁の傾斜角よりも大きく設定されていることを特徴
    とする、貨油流出防止型タンカー。
  21. 【請求項21】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、上記の上部貨油タン
    クおよび下部貨油タンクにそれぞれイナートガスを供給
    する通気管と、同通気管に介装された圧力制御弁とが設
    けられ、上記甲板の船底からの高さ方向の位置が、上記
    貨油タンクに貨油を積載して運航する際の最も浅い吃水
    状態において、船底から上記甲板まで貨油を積載してい
    る場合に、船底部に作用する貨油の自重による圧力に上
    記下部貨油タンク用の上記通気管における上記圧力制御
    弁の最大圧力設定値を加えたものと同船底部に作用する
    海水の圧力とが等しくなる位置以下に設定されており、
    上記二重船側構造の内殻が、上記上部貨油タンクの傾斜
    側壁と、上記下部貨油タンクの傾斜側壁とで形成され、
    上記下部貨油タンクの傾斜側壁の傾斜角が上記上部貨油
    タンクの傾斜側壁の傾斜角よりも大きく設定されている
    ことを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
  22. 【請求項22】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの
    高さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運
    航する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲
    板まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨
    油側の圧力と同船底部に作用する海水の圧力とが等しく
    なる位置以下に設定されており、上記二重船側構造の内
    殻を形成する上記上部貨油タンクの側および上記下部
    貨油タンクの側部の船体内殻が、垂直側壁および傾斜側
    壁ならびに内殻平坦部の少なくとも2つを選択的に組み
    合わせて形成されたことを特徴とする、貨油流出防止型
    タンカー。
  23. 【請求項23】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの
    高さの上限値が上記貨油タンクの高さの半分以下に設定
    されるとともに、同甲板の船底からの高さの下限値がバ
    ラスト航海時の吃水線の付近に設定されており、上記二
    重船側構造の内殻を形成する上記上部貨油タンクの側
    および上記下部貨油タンクの側部の船体内殻が、垂直側
    壁および傾斜側壁ならびに内殻平坦部の少なくとも2つ
    を選択的に組み合わせて形成されたことを特徴とする、
    貨油流出防止型タンカー。
  24. 【請求項24】 船内に設けられた貨油タンクと、同貨
    油タンクから船側外方への貨油流出を防止すべく同貨油
    タンクの両側にそれぞれ設けられた二重船側構造とをそ
    なえ、上記貨油タンクを上部貨油タンクと下部貨油タン
    クとに分割する甲板が設けられて、同甲板の船底からの
    高さ方向の位置が、上記貨油タンクに貨油を積載して運
    航する際の最も浅い吃水状態において、船底から上記甲
    板まで貨油を積載している場合に、船底部に作用する貨
    油の自重による圧力に上記下部貨油タンク用の通気管に
    おける圧力制御弁の最大圧力設定値を加えたものと同船
    底部に作用する海水の圧力とが等しくなる位置以下に設
    定されており、上記二重船側構造の内殻を形成する上記
    上部貨油タンクの側および上記下部貨油タンクの側
    の船体内殻が、垂直側壁および傾斜側壁ならびに内殻平
    坦部の少なくとも2つを選択的に組み合わせて形成され
    たことを特徴とする、貨油流出防止型タンカー。
JP3053951A 1990-05-23 1991-02-26 貨油流出防止型タンカー Expired - Lifetime JP2831147B2 (ja)

Priority Applications (17)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3053951A JP2831147B2 (ja) 1990-05-23 1991-02-26 貨油流出防止型タンカー
US07/696,575 US5347943A (en) 1990-05-23 1991-05-08 Tanker for the prevention of cargo oil spillage
GB9110077A GB2246543B (en) 1990-05-23 1991-05-09 Tanker for the prevention of cargo oil spillage
GR910100203A GR1002525B (el) 1990-05-23 1991-05-10 Πετρελαιοφορο πλοιο για την παρεμποδιση χυσιματος ελαιοφορτιου.
GR930100045A GR1002386B (el) 1990-05-23 1991-05-10 Πετρελαιοφορο πλοιο για την παρεμποδιση χυσιματος ελαιοφορτιου.
ITRM910343A IT1251767B (it) 1990-05-23 1991-05-20 Nave cisterna per prevenire la fuoriuscita di petrolio.
ES09101223A ES2075779B1 (es) 1990-05-23 1991-05-21 Petrolero para la prevencion del derrame de la carga de petroleo.
BR919102096A BR9102096A (pt) 1990-05-23 1991-05-21 Petroleiro para a prevencao contra derramamento de oleo de carga
CN91103432A CN1039688C (zh) 1990-05-23 1991-05-22 防泄漏型油轮
NO91911966A NO911966L (no) 1990-05-23 1991-05-22 Anordning ved tankskip.
DE4117055A DE4117055C2 (de) 1990-05-23 1991-05-22 Tankschiff
KR1019910008319A KR960010527B1 (ko) 1990-05-23 1991-05-23 화물유(油) 누출방지용 유조선
PA19915911201A PA5911201A1 (es) 1991-02-26 1991-11-22 Tanquero para la prevencion de derramamiento de petroleo de carga
ES9300258A ES2075788B1 (es) 1990-05-23 1993-02-10 Petrolero para la prevencion del derrame de la carga de petroleo.
GB9319177A GB2269565B (en) 1990-05-23 1993-09-16 Tanker with access trunk
US08/214,422 US5445097A (en) 1990-05-23 1994-03-18 Tanker for the prevention of cargo oil spillage
IT95DP000002A IT1282902B1 (it) 1990-05-23 1995-04-05 Nave cisterna per prevenire la fuoriuscita di petrolio con valutazione dell'altezza ottimale del ponte intermedio

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13361190 1990-05-23
JP2-133611 1990-05-23
JP3053951A JP2831147B2 (ja) 1990-05-23 1991-02-26 貨油流出防止型タンカー

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7129508A Division JPH07323883A (ja) 1990-05-23 1995-04-28 貨油流出防止型タンカー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04212692A JPH04212692A (ja) 1992-08-04
JP2831147B2 true JP2831147B2 (ja) 1998-12-02

Family

ID=26394686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3053951A Expired - Lifetime JP2831147B2 (ja) 1990-05-23 1991-02-26 貨油流出防止型タンカー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2831147B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101399629B1 (ko) 2012-09-21 2014-05-27 삼성중공업 주식회사 액상화물 저장탱크

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0450092A (ja) * 1990-06-15 1992-02-19 Shinkurushima Dock:Kk 油槽船の荷油槽
JP2582000B2 (ja) * 1991-03-07 1997-02-19 川崎重工業株式会社 水平隔壁付タンカーのガス圧制御方法及びその装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50150185A (ja) * 1974-05-27 1975-12-02
US4308815A (en) * 1978-06-09 1982-01-05 Conway Charles S Tanker vessel construction

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101399629B1 (ko) 2012-09-21 2014-05-27 삼성중공업 주식회사 액상화물 저장탱크

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04212692A (ja) 1992-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110088608A1 (en) Ballast-free ship
US4030438A (en) Ships for liquid cargoes
US4241683A (en) Liquid cargo tank construction
CN112249219A (zh) 一种船舶压载水舱结构及一种船舶
US4389959A (en) Cargo handling system for tanker vessels
KR960010527B1 (ko) 화물유(油) 누출방지용 유조선
US4313390A (en) Tanker construction
EP0049564B1 (en) Improved tanker vessel construction for reducing the loss of liquid cargoes having a specific gravity less than that of sea-water
SE426465B (sv) Pramberande fartyg
JP2831147B2 (ja) 貨油流出防止型タンカー
US6135044A (en) Transport ship
JP5030807B2 (ja) 船舶
CA1099996A (en) Liquid cargo tank construction
KR20060056947A (ko) 해양 선박용 가스 팽창 트렁크
CN112722171A (zh) 一种甲板驳船
JP2005219559A (ja) 貨物船
EP0863835B1 (en) A method and arrangement for decreasing the risk for sinking of a ship
JP3468307B2 (ja) 油槽船
EP3885243A1 (en) Ballastless cargo vessels
JP2002316688A (ja) 貨物船
KR100334038B1 (ko) 무게보상기능을 갖춘 선박용 연료탱크
JPS5843512Y2 (ja) 油タンカ
JP2001122189A (ja) 上甲板に浮力体を有する船舶
JPH08164890A (ja) 坐礁の損傷を受けた後で2重船殻タンカ内の漏出油を収容する装置および方法
JPS5849911Y2 (ja) 油タンカ−

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980818

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080925

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080925

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090925

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090925

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100925

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110925

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110925

Year of fee payment: 13