JP4283409B2 - 鱗茎菜類用ローラコンベヤおよび鱗茎菜類用農作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送中の鱗茎菜類の姿勢の安定化を図ることができる鱗茎菜類用ローラコンベヤおよび鱗茎菜類用農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉葱等の鱗茎菜類の茎部および根部の切断作業は、作業者による手作業にて行われている。すなわち、作業者が、一方の手で鱗茎菜類の略球状の実部をつかみ、他方の手に持ったはさみ等でその鱗茎菜類の茎部および根部を切断している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような手作業は、重労働であり、作業効率もきわめて悪い問題がある。そこで、この切断作業を自動的に行う鱗茎菜類用農作業機の開発が進んでいる。
【0004】
そして、この鱗茎菜類用農作業機に組み込む鱗茎菜類用ローラコンベヤとしては、例えば、次の構成の鱗茎菜類用ローラコンベヤが考えられている。
【0005】
すなわち、この鱗茎菜類用ローラコンベヤは、茎部引込み間隙を介して互いに離間対向した状態で位置する一対のローラ基体部を備えており、これらのローラ基体部の各々の外周面には、細長帯状で螺旋形状の搬送突部が突出形成されている。また、ローラ基体部の外周面における搬送突部以外の露出部分は、凸凹のない平滑状となっている。
【0006】
そして、一対のローラ基体部が互いに逆方向に回転すると、螺旋形状の搬送突部がローラ基体部とともに回転し、その結果、玉葱等の鱗茎菜類が、茎部引込み間隙に沿って搬送始端側から搬送終端側に向って搬送される。
【0007】
しかし、この構成の鱗茎菜類用ローラコンベヤでは、ローラ基体部の外周面における搬送突部以外の露出部分が平滑状であるので、この露出部分による茎部の茎部引込み間隙内への引込み力がきわめて弱いため、例えば、搬送中の鱗茎菜類が多少の外的抵抗により姿勢を崩してしまうことが多く、鱗茎菜類の姿勢の安定化を図れないおそれがある問題を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、搬送中の鱗茎菜類の姿勢の安定化を図ることができる鱗茎菜類用ローラコンベヤおよび鱗茎菜類用農作業機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤは、茎部引込み間隙を介して互いに離間対向した状態で配設され、互いに逆方向に回転する円筒形状の対をなすローラ基体部と、これらのローラ基体部の各々の外周面に設けられ、前記ローラ基体部とともに回転することにより、鱗茎菜類を前記茎部引込み間隙に沿って搬送する細長帯状で螺旋形状の搬送突部と、前記ローラ基体部の各々の外周面に設けられ、前記搬送突部と並んだ状態でこの搬送突部に沿って位置する細長帯状で螺旋形状の帯状部材と、前記ローラ基体部の各々の外周面における前記搬送突部および前記帯状部材以外の部分に設けられ、前記ローラ基体部とともに回転することにより、鱗茎菜類の茎部を弾性変形により食込み状態で挟持しながら、この鱗茎菜類の茎部を前記茎部引込み間隙内に引き込む細長帯状で螺旋形状の弾性引込み部とを備え、前記帯状部材の外面には、鱗茎菜類の茎部に係合してこの鱗茎菜類の向きを茎部が下を向いた向きにする多数の向き合わせ弾性突起が前記帯状部材の長手方向に沿って互いに間隔をおいた状態で突出形成されているものである。
【0010】
請求項2記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤは、請求項1記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤにおいて、弾性引込み部は、弾性を有する軟質材料にて形成されているものである。
【0011】
請求項3記載の鱗茎菜類用農作業機は、請求項1または2記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤと、この鱗茎菜類用ローラコンベヤにて搬送中の鱗茎菜類の根部を切断する根部切断手段とを備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鱗茎菜類用農作業機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0013】
図1ないし図4において、1は機体で、この機体1は水平方向に長手方向を有する外形略直方体状に形成され、この機体1の長手方向に沿った一側面である前面には操作部2が突設され、この操作部2には複数の押しボタンスイッチ3が設けられている。
【0014】
また、この機体1の下面部の角部分には走行部5が設けられており、この走行部5は回転自在の車輪6を有し、この車輪6の回転で機体1全体が移動する。
【0015】
さらに、この機体1の上部には供給部7が設けられており、この供給部7は茎部T2 および根部T3 を有する鱗茎菜類としての玉葱Tを機体1内の作業部10に連続的に供給可能な構成とされている。
【0016】
一方、この機体1の長手方向の一端部には投入口11が上方に向って開口形成され、この投入口11とは反対側の長手方向の他端部には他側方に向って開口した排出口12が開口形成されており、この機体1の内部には前記投入口11と前記排出口12とを連通した搬送経路部13が設けられている。
【0017】
また、この機体1の内部には、搬送経路部13に沿って搬送手段としての鱗茎菜類用ローラコンベヤ15が配設されており、この鱗茎菜類用ローラコンベヤ15は、機体1内の下側位置に、この機体1の長手方向の一端から他端近傍にわたって位置している。なお、排出口12には排出シュート14が連設されている。
【0018】
さらに、この機体1の内部には、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15と対向する位置に、向き合わせ手段16、根部起し手段17、根部切断手段18、横揺れ防止手段19、茎部切断手段20等が配設されている。
【0019】
ここで、前記供給部7は、茎部T2 および根部T3 を有する複数の玉葱Tを載置可能な載置部21を備えている。この載置部21は、前記機体1の水平方向に沿った平面状で細長矩形板状の載置底板22を有しており、この載置底板22の周縁のうち幅方向に沿った一端縁を除く部分には、側板23が垂直状に立設されている。
【0020】
また、この載置底板22の長手方向の一端縁からは、図5および図6に示すように、先端側に向って下方向に傾斜した傾斜状の搬送傾斜板25が形成されており、この搬送傾斜板25にて玉葱Tが自重により斜め下方に向って転がって搬送される。なお、この搬送傾斜板25の一側縁側にはガイド側板26が垂直状に立設され、このガイド側板26にて玉葱Tが前記投入口11に直接投入されることが防止される。
【0021】
一方、この供給部7は、図5および図6に示されるように、前記投入口11に向けて玉葱Tを1個ずつ互いに所定間隔をおいて順次供給する供給手段としての供給ベルトコンベヤ31を備えている。この供給ベルトコンベヤ31は、機体1の長手方向の一端部に機体1の幅方向に沿って位置し、この機体1の幅方向の一端から他端に向う水平方向に玉葱Tを搬送可能な構成とされ、この供給ベルトコンベヤ31の搬送終端部が前記投入口11と対向している。
【0022】
また、この供給ベルトコンベヤ31は、前記機体1の長手方向に沿った水平方向に一致した回転中心軸を中心として回転する互いに離間対向したコンベヤ駆動プーリ32およびコンベヤ従動プーリ33を有しており、これらの回転体であるコンベヤ駆動プーリ32およびコンベヤ従動プーリ33間には、ゴム材料等にて形成された弾性変形可能な供給用無端回行体35が回行可能に巻き掛けられている。
【0023】
さらに、この供給用無端回行体35の外面には、回行方向に直交する水平方向に長手方向を有する細長状の多数の仕切り片部36が供給用無端回行体35の回行方向に沿って互いに等間隔をおいて突出形成され、この隣合う仕切り片部36間には1個の玉葱Tが位置するようになっている。そして、この供給ベルトコンベヤ31の搬送終端部から搬出された玉葱Tは、前記投入口11から機体1内に投入され、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部に向って自重落下する。
【0024】
また一方、この供給部7は、図5に示されるように、ゴム製等の一対のガイド弾性板体40a ,40b を有し、これらの一対のガイド弾性板体40a ,40b のうち機体1の前側位置に位置する一方のガイド弾性板体40a は、曲面矩形状に形成されている。他方のガイド弾性板体40b は、垂直面に沿った平面矩形状に形成されており、このガイド弾性板体40b は前記供給ベルトコンベヤ31の下方位置に位置している。そして、これらの一対のガイド弾性板体40a ,40b にて、前記投入口11から投入された玉葱Tが前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部に向って案内される。
【0025】
前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15は、玉葱Tの根部T3 を上に向けた姿勢で、玉葱Tの茎部T2 を下方向に引き込みながら玉葱Tを搬送経路部13に沿って搬送するものである。
【0026】
この鱗茎菜類用ローラコンベヤ15は、図7ないし図9に示すように、茎部引込み間隙40を介して互いに離間対向した状態で位置する例えば合成樹脂製の円筒形状の一対のローラ基体部42,42を有している。これらの一対のローラ基体部42は、互いに逆方向に回転、すなわち、対向する面側が上から下に向う方向に同期的に駆動回転するように水平状の回転軸41に取り付けられている。
【0027】
また、これらの一対のローラ基体部42の各々の外周面には、例えばゴム製の細長帯状で螺旋形状の搬送突部としての弾性搬送突条部材43が固定的に取り付けられている。この弾性搬送突条部材43の縦断面は略台形状に形成され、この弾性搬送突条部材43の螺旋状間のピッチは玉葱Tを搬送可能なピッチである。
【0028】
さらに、これらのローラ基体部42の外周面には、例えばゴム製の細長帯状で螺旋形状の帯状部材45が、前記弾性搬送突条部材43と並んだ状態でこの弾性搬送突条部材43に沿って固定的に取り付けられている。この帯状部材45の外面には、多数の向き合わせ弾性突起46が、帯状部材45の長手方向に沿って互いに間隔をおいた状態で一体的に突出形成されている。この向き合わせ弾性突起46は、複数列、例えば2列状に形成され、この各向き合わせ弾性突起46は先端側に向って縮径した截頭円錐状である。そして、これらの多数の向き合わせ弾性突起46は、玉葱Tの茎部T2 に係合し、その結果、玉葱Tの向きが所定の正方向の向きに変えられる。この所定の正方向の向きとは、玉葱Tの茎部T2 が下を向いた向きである。
【0029】
また、これらのローラ基体部42の各々の外周面における前記弾性搬送突条部材43および前記帯状部材45以外の部分には、例えばゴム製或いは合成樹脂製の細長帯状で螺旋形状の弾性引込み部48が形成されている。この弾性引込み部48は、例えば弾性を有する軟質材料、すなわちクッション材、スポンジ材等からなる帯部材をローラ基体部42の露出面に貼り付けて形成する。また、弾性引込み部48は、表面がブラシ状の帯部材、すなわち、表面に獣毛、植物繊維或いは合成樹脂で作った軟質の毛等を植えつけた帯部材をローラ基体部42の露出面に貼り付けて形成してもよく、そのような軟質の毛等をローラ基体部42の露出面に直接植え付けてもよい。
【0030】
そして、この弾性引込み部48は、図9に示すように、ローラ基体部42とともに回転することにより、互いに対向する面側にて玉葱Tの茎部T2を弾性変形により食込み状態で挟持しながら、この玉葱Tの茎部T2を茎部引込み間隙40内に引き込む。すなわち、弾性引込み部48の茎部T2との接触部分から茎部T2に下向きの力が作用することにより、この茎部T2の基端側が、比較的強い引込み力で茎部引込み間隙40内に引き込まれる。
【0031】
一方、この鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部の近傍の上方位置には、図1および図4に示されるように、向き合わせ弾性体49が垂直状に配設されている。この向き合わせ弾性体49はゴム材料等にて矩形板状に成形され、先端側が容易に弾性変形可能な構成とされ、この向き合わせ弾性体49の先端部には作用接触部49aが形成されている。そして、この向き合わせ弾性体49の作用接触部49aは、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15による搬送中の不正方向を向いた玉葱Tの略球状の実部T1 の上側側面に接触し、その結果、玉葱Tの向きが所定の正方向の向きに変えられる。なお、この向き合わせ弾性体49、前記向き合わせ弾性突起46等にて前記向き合わせ手段16が構成されている。
【0032】
前記根部起し手段17は、図1および図4に示すように、互いに逆方向に回転、すなわち、対向する面側が下から上に向う方向に同期的に駆動回転することにより、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15にて搬送中の玉葱Tの垂れた根部T3を起す一対の根部起し回転ブラシ50,50を有している。
【0033】
これらの一対の根部起し回転ブラシ50の各々は、傾斜回転軸51を有しており、この傾斜回転軸51は、軸支持板51aにて回転可能に支持され、基端側から先端側に向って下方向に傾斜した状態で対応するローラ基体部42の上方位置に位置している。なお、傾斜回転軸51は、基端側が先端側より鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送上流側に位置している。また、この傾斜回転軸51には、合成樹脂等からなる弾性変形可能な多数の根部起し毛52が外形円柱状に植設されている。そして、これらの多数の根部起し毛52は、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15による搬送中の玉葱Tの垂れた状態の根部T3 に接触し、その結果、玉葱Tの根部T3 が略直線状に起され、立った状態となる。
【0034】
前記根部切断手段18は、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15により所定の正方向を向いた状態で前記一対の根部起し回転ブラシ50から搬送されてくる玉葱Tの根部T3 を切断するものである。
【0035】
この根部切断手段18は、図1および図2に示すように、軸方向が上下方向に一致した刃取付け回転軸101 を有しており、この刃取付け回転軸101は、軸保持部101aにて回転可能に保持され、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の上方位置に位置している。なお、この刃取付け回転軸101 は、玉葱Tの実部T1 の大きさに対応して昇降可能となっている。また、この刃取付け回転軸101 の先端部である下端部には、水平面に沿った薄肉板状の根部用刃102 が固定的に取り付けられており、この根部用刃102 にて玉葱Tの根部T3 が所定位置で切断される。
【0036】
一方、この根部切断手段18は、玉葱Tの実部T1の上側における肩面に面接触して玉葱Tに下向きの所定の大きさの力を加えながら、玉葱Tの実部T1 を鱗茎菜類用ローラコンベヤ15とともに挟持し、玉葱Tの姿勢を保持する一対の姿勢保持用無端回行体104,104 を有している。
【0037】
これらの一対の姿勢保持用無端回行体104 の各々は、互いに所定距離だけ離間対向した状態で回行自在に配設されており、この所定距離とは玉葱Tの根部T3 を上方に導出可能な距離である。また、各姿勢保持用無端回行体104 は、ともに駆動プーリ105 および多数の従動プーリ106 間に、適度のたるみをもった緊張状態で巻き掛けられ、この駆動プーリ105 の駆動にて前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送速度と一定の比を保ちながら回行する。
【0038】
なお、この根部切断手段18の根部用刃102と前記根部起し手段17の根部起し回転ブラシ50との間には、図4および図8に示すように、一対のガイド棒体130,130等にて構成された案内手段131 が設けられている。この案内手段131は、根部起し回転ブラシ50にて起された根部T3 の起立状態を保持しながら、この起立状態にある根部T3 を根部用刃102に向けてこの根部用刃102の近傍位置まで案内し、その結果、根部起し回転ブラシ50で起立状態にされた根部T3が、重力等によりもとの垂れ状態に戻ることがなく、根部用刃102でその根部T3を精度良く切断できる。
【0039】
前記横揺れ防止手段19は、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15により所定の正方向を向いた状態で前記一対の根部起し回転ブラシ50から搬送されてくる玉葱Tの実部T1 に接触し、根部用刃102 による根部切断位置で玉葱Tの実部T1 の横揺れを防止するものである。
【0040】
この横揺れ防止手段19は、図2および図4に示すように、例えばスポンジ等の海綿状の材料、或いは軟質ゴム材料等からなる横揺れ防止弾性体151 を備えている。この横揺れ防止弾性体151 は、水平方向に長手方向を有する細長矩形状で縦板状の取付け基板部152 を有しており、この取付け基板部152 は、前記根部用刃102と前記ローラ基体部42との間の位置に位置している。
【0041】
また、この取付け基板部152 の表面側には、多数、例えば4つの作用圧接部153 が、互いに等間隔おいて玉葱Tの搬送軌跡側に向って傾斜状に一体的に突出形成されている。そして、この作用圧接部153 は、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15による搬送中の玉葱Tの略球状の実部T1 の上下方向の中央部側面に圧接し、その結果、玉葱Tの横揺れが効果的に防止される。
【0042】
前記茎部切断手段20は、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15により所定の正方向を向いた状態で搬送されてくる根部T3 の切断された玉葱Tの茎部T2 を切断し、その後、前記排出口12に排出するものである。
【0043】
この茎部切断手段20は、図1、図2および図4に示すように、互いに逆方向に回転、すなわち、対向する面側が排出口12側に向う方向に同期的に回転する一対の回転支持体171a,171bを有している。
【0044】
これらの一対の回転支持体171a,171bの各々は、互いに対向した状態で、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送終端部に近接して位置している。また、この各回転支持体171 a ,171 b の上面部には、略球冠状の円盤部172 ,172 が形成され、この円盤部172 にて玉葱Tが載置された状態で支持される。
【0045】
さらに、これらの一対の回転支持体171a,171bのうち、前記機体1の前側に位置する一方の回転支持体171aの軸部には、円板状の茎部用刃173 が水平状に固着されている。他方の回転支持体171bの軸部には、環状体174 が水平状に固着されており、これら茎部用刃173 および環状体174 は、図示しない付勢手段で互いに近づく方向に付勢され、圧接している。
【0046】
そして、この茎部用刃173 は、茎部用刃173 と環状体174 とが互いに圧接した状態での回転時に、この茎部用刃173 と環状体174 との間に玉葱Tの茎部T2 が導入されると、この茎部用刃173 にて玉葱Tの茎部T2 が所定位置で切断され、この切断された玉葱Tは排出口12に向けて排出される。
【0047】
一方、前記作業部10における動力伝達機構について説明すると、図1ないし図4において、181 は第1の駆動手段としての第1の駆動用モータで、この第1の駆動用モータ181 からの駆動力は、チェーン伝動等にて構成される第1の伝動手段182 を介して前記供給ベルトコンベヤ31のコンベヤ駆動プーリ32に伝達されるとともに、前記鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の回転軸41に伝達され、かつ、前記根部切断手段18の駆動プーリ105 に伝達される。また、183 は第2の駆動手段としての第2の駆動用モータで、この第2の駆動用モータ183 からの駆動力は、チェーン伝動等にて構成される第2の伝動手段184 を介して前記根部起し回転ブラシ50の傾斜回転軸51に伝達される。
【0048】
さらに、185 は第3の駆動手段としての第3の駆動用モータで、この第3の駆動用モータ185 からの駆動力は、トルク伝達用可撓軸等を備えた第3の伝動手段186 を介して前記根部切断手段18の刃取付け回転軸101 に伝達される。また、187 は第4の駆動手段としての第4の駆動用モータで、この第4の駆動用モータ187 からの駆動力は、ベルト伝動等にて構成される第4の伝動手段188 を介して前記茎部切断手段20の他方の回転支持体171bの軸部に伝達される。
【0049】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0050】
作業対象物である茎部T2 および根部T3 を有する複数の玉葱Tを、機体1の載置部21に載置する。なお、この作業対象物である玉葱Tは、収穫直後のもの、或いは、収穫後風干し等して乾燥させたものである。
【0051】
そして、作業者Pが切断作業するに当って、操作部2の押しボタンスイッチ3をオン操作し、第1ないし第4の駆動用モータ181 ,183 ,185 ,187 を動作させると、第1の駆動用モータ181 からの駆動力により、供給ベルトコンベヤ31の供給用無端回行体35が回転し、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の一対のローラ基体部42が互いに逆方向に同期的に回転し、根部切断手段18の一対の姿勢保持用無端回行体104 が回転する。
【0052】
また、第2の駆動用モータ183 からの駆動力により、一対の根部起し回転ブラシ50が互いに逆方向に同期的に回転する。
【0053】
さらに、第3の駆動用モータ185 からの駆動力により、根部切断手段18の根部用刃102 が回転する。また、第4の駆動用モータ187 からの駆動力により、茎部切断手段20の茎部用刃173 が回転する。
【0054】
このような状態下において、作業者Pは、まず、図3に示されるように、載置部21上で玉葱Tを選別し、例えば傷付いた玉葱T´等は別の容器Xに取り出す。それ以外の玉葱Tは、その玉葱Tの向きを確認することなく、無造作に載置底板22の搬送傾斜板25上に連続的に送る。
【0055】
この送られた各玉葱Tは、搬送傾斜板25にて斜め下方に向って転がって搬送され、その後、供給ベルトコンベヤ31の供給用無端回行体35の隣合う仕切り片部36間にそれぞれ入り込む。
【0056】
そして、この隣合う仕切り片部36間に位置した玉葱Tは、供給用無端回行体35にて機体1の前方に向って搬送され、その後、投入口11から機体1内に投入され、搬送経路部13に導入される。
【0057】
この搬送経路部13に導入された玉葱Tは、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部に向って、一対のガイド弾性板体40a ,40b にて案内されつつ自重落下する。
【0058】
続いて、この鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部に位置した茎部T2 および根部T3 を有する玉葱Tは、隣合う玉葱T間に1ピッチの間隔をおいた状態で、弾性引込み部48にて玉葱Tの茎部T2 が下方向に比較的強い引込み力で引き込まれながら、搬送経路部13を通って水平状の搬送方向に沿って順次搬送される。
【0059】
すなわち、各玉葱Tは、主として弾性搬送突条部材43から搬送方向に向う力を受けるこで、搬送される。また、この鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の搬送始端部に位置した玉葱Tの向きは一致していないが、各玉葱Tは向き合わせ弾性突起46と係合し、この向き合わせ弾性突起46にて玉葱Tの向きが所定の正方向の向き、すなわち玉葱Tの茎部T2 が下を向いた向きに変えられ、玉葱Tの向きが合わせられる。なお、この向き合わせ弾性突起46にて向き合わせが行われなかった不正方向を向いた玉葱Tは、その実部T1 の上側側面で向き合わせ弾性体49の作用接触部49aに接触し、この作用接触部49aにて玉葱Tの向きが所定の正方向の向きに変えられ、搬送中のすべての玉葱Tの向きが合わせられる。
【0060】
また、この搬送中の玉葱Tの髭状の垂れた根部T3 は、一対の根部起し回転ブラシ50にて起され、その後、この起立状態とされた根部T3は、一対のガイド棒体130で根部用刃102の近傍位置まで案内され、根部用刃102 にて所定位置で確実に切断される。
【0061】
この切断時には、横揺れ防止弾性体151 の作用圧接部153 が、搬送中の玉葱Tの略球状の実部T1 の上下方向の中央部一側面に圧接しているとともに、弾性引込み部48が、搬送中の玉葱Tの茎部T2を比較的強い力で下方向に引張っていることにより、玉葱Tの横揺れの防止が図られている。
【0062】
続いて、この所定の正方向を向いて搬送されてくる玉葱Tの茎部T2 が茎部用刃173 と環状体174 との間に導入され、この茎部用刃173 にて玉葱Tの茎部T2 が所定位置で切断される。
【0063】
そして、この茎部T2 および根部T3 が切断されて略実部T1 になった玉葱Tは、排出口12から機体1外に排出されて搬送経路部13から導出され、その後、排出シュート14を通って図示しない容器に収容される。
【0064】
このようにして、上記一実施の形態によれば、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15のローラ基体部42の各々の外周面に固着した螺旋形状の弾性引込み部48が、ローラ基体部42とともに回転することにより、玉葱Tの茎部T2を締付け挟持しながら、この玉葱Tの茎部T2を茎部引込み間隙40内に引き込むので、この玉葱Tが多少の外的抵抗等にて姿勢を崩すことがなく、玉葱Tの姿勢の安定化を図ることができる。よって、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15で玉葱Tを安定した姿勢のまま茎部引込み間隙40に沿って搬送できるので、根部切断手段18の根部用刃102で玉葱Tの根部T3を精度良く切断できる。
【0065】
また、鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の弾性引込み部48は、クッション材等の弾性軟質材料にて形成したので、例えば、玉葱Tの実部T1 を傷付けたり、玉葱Tの茎部T2 を引きちぎったりすることがなく、玉葱Tを安定した姿勢のまま確実に搬送できる。
【0066】
さらに、機体1の搬送経路部13の途中であって、茎部切断手段20および根部切断手段18より搬送上流側に、玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに合わせる向き合わせ手段16を設けたので、茎部T2 および根部T3 を有する玉葱Tを機体1の投入口11に投入する場合に、玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに合わせる必要がなく、従来必要であった玉葱Tの向きの確認作業が不要となり、玉葱Tを連続的に投入することができ、作業効率を向上でき、よって、自動的でかつ高能率で切断作業できる。
【0067】
また、向き合わせ弾性体49の作用接触部49aを搬送中の不正方向を向いた玉葱Tの略球状の実部T1 上側に接触させて玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに変えるので、簡単な構造で玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに合わせることができる。
【0068】
さらに、各鱗茎菜類用ローラコンベヤ15の多数の向き合わせ弾性突起46を搬送中の玉葱Tの茎部T2 に係合させて玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに変えるので、玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに確実に合わせることができる。
【0069】
また、向き合わせ弾性体49と向き合わせ弾性突起46とにて玉葱Tの向きを所定の正方向の向きに変えるので、搬送中のすべての玉葱Tの向きを確実に合わせることができ、精度よく茎部T2 および根部T3 を切断できる。
【0070】
さらに、一対の鱗茎菜類用ローラコンベヤ15を機体1の下側に長手方向の一端部から他端近傍にわたって配設しかつ茎部切断手段20を機体1の下側の長手方向の他端部に配設するとともに、供給ベルトコンベヤ31、一対の根部起し回転ブラシ50および根部切断手段18を機体1の上側に長手方向に沿って互いに間隔をおいて分散させて配設したので、機体1の長手方向の重量バランスを良くでき、機体1を小型化できる。
【0071】
なお、上記いずれの実施の形態の鱗茎菜類用農作業機も、機体1の運搬性を向上するために、図示しないが、エンジン等の車輪駆動手段を機体1に設けるとともにこの機体1に機体操作用ハンドルを設けた構成でもよい。
【0072】
さらに、上記いずれの実施の形態でも、鱗茎菜類用農作業機は、基本的に玉葱Tの茎部T2 および根部T3の切断作業のみを行う構成として説明したが、例えば、図示しないが、機体の前部の掘取り部の掘起体にて圃場に植生された玉葱を順次掘り取り、この掘り取った玉葱を持上げコンベヤにて機体の上部に搬送した後、この玉葱の茎部および根部を切断し、この切断した玉葱を機体の後部のコンテナ用排出シュートを介してコンテナ内に収容する一連の収穫作業を行う構成でもよい。
【0073】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ローラ基体部の各々の外周面における搬送突部および帯状部材以外の部分に位置する細長帯状で螺旋形状の弾性引込み部が、ローラ基体部とともに回転することにより、鱗茎菜類の茎部を弾性変形により食込み状態で挟持しながら、この鱗茎菜類の茎部を茎部引込み間隙内に引き込むので、弾性引込み部による茎部の茎部引込み間隙内への引込み力は比較的強いため、搬送中の鱗茎菜類が多少の外的抵抗等にて姿勢を崩すことがなく、鱗茎菜類を安定した姿勢のまま搬送でき、搬送中の鱗茎菜類の姿勢の安定化を図ることができる。
【0074】
請求項2記載の発明によれば、弾性引込み部を弾性を有する軟質材料にて形成したので、鱗茎菜類の損傷を防止しつつ、鱗茎菜類を安定した姿勢のまま確実に搬送できる。
【0075】
請求項3記載の発明によれば、鱗茎菜類用ローラコンベヤで鱗茎菜類を安定した姿勢のまま搬送できるので、根部切断手段で鱗茎菜類の根部を精度良く切断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鱗茎菜類用農作業機の一実施の形態を示す一部を省略した正面図である。
【図2】 同上鱗茎菜類用農作業機の一部を省略した側面図である。
【図3】 同上鱗茎菜類用農作業機の平面図である。
【図4】 同上鱗茎菜類用農作業機の一部を省略した平面図である。
【図5】 同上鱗茎菜類用農作業機の一部を省略した側面図である。
【図6】 同上鱗茎菜類用農作業機の供給ベルトコンベヤを示す斜視図である。
【図7】 同上鱗茎菜類用農作業機の鱗茎菜類用ローラコンベヤを示す一部を切り欠いた平面図である。
【図8】 同上鱗茎菜類用農作業機の鱗茎菜類用ローラコンベヤを示す一部を切り欠いた側面図である。
【図9】 同上鱗茎菜類用ローラコンベヤを示す断面図である。
【符号の説明】
15 鱗茎菜類用ローラコンベヤ
18 根部切断手段
40 茎部引込み間隙
42 ローラ基体部
43 搬送突部としての弾性搬送突条部材
45 帯状部材
46 向き合わせ弾性突起
48 弾性引込み部
T 鱗茎菜類としての玉葱
T1 実部
T2 茎部
T3 根部
Claims (3)
- 茎部引込み間隙を介して互いに離間対向した状態で配設され、互いに逆方向に回転する円筒形状の対をなすローラ基体部と、
これらのローラ基体部の各々の外周面に設けられ、前記ローラ基体部とともに回転することにより、鱗茎菜類を前記茎部引込み間隙に沿って搬送する細長帯状で螺旋形状の搬送突部と、
前記ローラ基体部の各々の外周面に設けられ、前記搬送突部と並んだ状態でこの搬送突部に沿って位置する細長帯状で螺旋形状の帯状部材と、
前記ローラ基体部の各々の外周面における前記搬送突部および前記帯状部材以外の部分に設けられ、前記ローラ基体部とともに回転することにより、鱗茎菜類の茎部を弾性変形により食込み状態で挟持しながら、この鱗茎菜類の茎部を前記茎部引込み間隙内に引き込む細長帯状で螺旋形状の弾性引込み部とを備え、
前記帯状部材の外面には、鱗茎菜類の茎部に係合してこの鱗茎菜類の向きを茎部が下を向いた向きにする多数の向き合わせ弾性突起が前記帯状部材の長手方向に沿って互いに間隔をおいた状態で突出形成されている
ことを特徴とする鱗茎菜類用ローラコンベヤ。 - 弾性引込み部は、弾性を有する軟質材料にて形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤ。 - 請求項1または2記載の鱗茎菜類用ローラコンベヤと、
この鱗茎菜類用ローラコンベヤにて搬送中の鱗茎菜類の根部を切断する根部切断手段と
を備えたことを特徴とする鱗茎菜類用農作業機。
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