JP4283033B2 - マンケージ及び地盤掘削用重機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、トンネル掘削作業に用いられる地盤掘削用重機等に取付けられる、高所で作業する作業員を搭載するマンケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図5に示すように、地盤掘削用重機10の重機本体11の前部に設けられた複数の削孔用油圧ドリフター12により地盤を穿孔しながら、地山への爆薬の装填、支保工の建込み、ロックボルト及び切羽へのマーキング作業等を行っている。これらの作業は、作業場が高所であるため、上記重機本体11の上部に、上下動及び揺動可能でかつトンネル軸方向に伸縮可能なブーム13を設け、このブーム13の先端に作業用ケージ(以下、マンケージという)50を取付けて、このマンケージ50に作業員が乗り込んで、上記作業を上記マンケージ50内から行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
これらの作業は、作業員が最も切羽に近づくため、切羽の崩壊や、天端からの岩塊あるいは吹付けコンクリートの剥離等が発生した場合に、上記剥離片等がマンケージ50内の作業員を直撃し、そのため、作業員が負傷する事故が多く発生していた。そこで、事故防止のため、図6(a),(b)に示すように、上記マンケージ50にヘッドガード60を取付けて作業する事例が報告されている。具体的には、上記マンケージ50にヘッドガード取付け用の支柱51を設け、この支柱51に着脱式のヘッドガード60の屋根部61を支持する支持脚62を挿入することにより上記ヘッドガード60を上記マンケージ50に取付ける。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−170490号公報(第2,3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ヘッドガード60は主に人力による着脱式であるため、例えば、後方での風管延長作業やロックボルトの増し締め作業などのように、作業内容によっては上記ヘッドガード60が邪魔になる場合がある。このため、煩雑に着脱を繰り返す必要があり、取り扱いが面倒であった。また、外したヘッドガード60の置き場所もなかった。更には、上記ヘッドガード60の屋根部61が平板状であるため、上部屋根部61の外側がトンネルの側壁側(上部半断面肩部;以下、土平という)に当たって変形してしまい、着脱が容易にできなくなることもあった。そのため、実際の現場においては、ヘッドガード60の使用が長続きせず、結局ヘッドガード60を取り外した状態で作業しているケースが多いのが現状である。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、ヘッドガードを着脱することなく、容易にマンケージの上部を覆ったり開放したりできるマンケージと、このマンケージを搭載した地盤掘削用重機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明は、トンネル内の高所で作業する作業員を搭載する、上部が開放されたマンケージであって、上記マンケージの上部を覆う屋根部とこの屋根部を支持する支持脚とを有するヘッドガードと、上記支持脚の下端側が取付けられる、上記マンケージの側面側に回転自在に取付けられた回転板と、一端側が上記マンケージに固定され、他端側が上記回転板に固定され、伸縮することで上記回転板を回転させて上記屋根部を開閉する油圧シリンダとを備え、上記屋根部は当該マンケージの後部を覆う第1の屋根部と当該マンケージの前部を覆う第2の屋根部とを備えており、上記第2の屋根部は、上記第1の屋根部に回転可能に取付けられ、手動にて回転することで、当該マンケージの前部のみを開放可能に構成されることを特徴とする。これにより、ヘッドガードを着脱することなく、ヘッドガードを開閉してマンケージの上部を覆ったり開放したりすることができるので、安全性を確保しながら容易に高所での作業を行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマンケージにおいて、上記第1及び第2の屋根部は、平坦部と面取り部とを備え、上記第2の屋根部の平坦部が上記第1の屋根部の平坦部に回転可能に取付けられ、上記第2の屋根部の面取り部が上記第1の屋根部の面取り部に回転可能に取付けられていることを特徴とするもので、これにより、ヘッドガードと土平との接触や衝突を容易に回避することが可能となる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、地盤を掘削する掘削機と作業員を搭載するマンケージとを備えた地盤掘削用重機であって、上記マンケージとして、請求項1または請求項2に記載のマンケージを備えたものである。これにより、切羽の崩壊や、天端からの岩塊あるいは吹付けコンクリートの剥離等事故を大幅に低減できるので、安全に地盤の掘削作業を行うことが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施の形態を示す図で、各図において、10は重機本体11の前部に複数の削孔用油圧ドリフター12を備えた地盤掘削用重機である。上記地盤掘削用重機10の重機本体11の上部には、上下動及び揺動可能でかつトンネル軸方向に伸縮可能な2本のブーム13,13が設けられており、このブーム13,13の先端には、爆薬の装填、支保工の建込み、ロックボルト及び切羽へのマーキング作業等を行うための作業員が搭乗するマンケージ20(20A,20B)が取付けられている。
マンケージ20は、図3(a)にも示すように、作業スペースを囲うように、平板状の基台21の周縁部に複数本の手すり22を立設したもので、本例では、この手すり22のうちの左右の手すり22,22の上部の水平片22pと、基台21に取付けられた水平片22qとの間に支持部材23A,23Bをそれぞれ配置し、この支持部材23(23A,23B)に、連結点Rを回転中心として上記支持部材23に対して回転する、回転板25(25A,25B)を取付ける。そして、この回転板25に、マンケージ20の上部を覆うヘッドガード24の屋根部24aを支持する支持脚24bの下端側を取付けるとともに、上記回転板25と上記水平片22qとを図示しない油圧制御装置に接続された油圧シリンダ26(26A,26B)により接続し、上記油圧シリンダ26のシリンダロッド26kを伸縮させることにより、上記回転板25を回転させ、上記ヘッドガード24の屋根部24aを開閉する。また、27は上記手すり22のほぼ中央部の上部に設けられた、上記油圧制御装置を稼動するための開閉釦で、本例では、上記開閉釦27は、全閉釦27a,半開釦27b,全開釦27cの3段階の開閉状態に対応する3つの押し釦から構成した。
【0009】
また、本例では、上記屋根部24aを、マンケージ20のブーム13側の上部を覆う第1の屋根部24Mと、この第1の屋根部24Mに回転可能に取付けられ、上記マンケージ20のトンネル切羽側の上部を覆う第2の屋根部24Nとから構成するとともに、上記第1及び第2の屋根部24M,24Nのトンネル側壁側にそれぞれ面取り部24p,24qを設けた構造としている。これにより、図2に示すように、マンケージ20をトンネルの側壁側(土平)に極力近づけることができるので、作業効率が向上する。
なお、上記第1の屋根部24Mと第2の屋根部24Nとは、詳細には、図3(b)に示すように、上記第2の屋根部24Nの平坦部24nが上記第1の屋根部24Mの平坦部24mと回転可能に連結され、上記第2の屋根部24Nの面取り部24qが上記第1の屋根部24Mの面取り部24pと回転可能に連結される。したがって、上記第2の屋根部24Nの平坦部24nのみを回転させて第1の屋根部24Mの平坦部24mの上に載せて、マンケージ20のトンネル側面側とは反対方向の前部の上部のみを開放したり、上記第2の屋根部24Nの面取り部24qのみを回転させて、第1の屋根部24Mの面取り部24p上に載せて、マンケージ20のトンネル側面側の前部の上部のみを開放したりすることができる。
なお、上記第2の屋根部24Nは軽いので、本例では、上記のような第2の屋根部24Nの開閉作業は手動にて行うようにしている。
【0010】
次に、上記構成のマンケージ20におけるヘッドガード24の開閉動作について説明する。
切羽での爆薬装填作業は、トンネル内面の地山が露出していたり、吹付けコンクリートが十分保持されていない状態のため、切羽の崩壊や、天端からの岩塊あるいは吹付けコンクリートの剥離等が起こり易いことから、ヘッドガード24を全閉にした状態すなわち、油圧シリンダ26のシリンダロッド26kの長さが最長で、回転板25が回転していない状態にて行う。
また、ロックボルトの打設や切羽へのマーキング作業は、切羽の崩壊や、天端からの岩塊あるいは吹付けコンクリートの剥離等が少ないので、ヘッドガード24を半開にした状態にて行う。具体的には、作業員が上記開閉釦27の半開釦27bを押し、図1に示すように、上記油圧シリンダ26のシリンダロッド26kの長さを所定長さだけ縮めて、回転板25を所定角度(30°〜50°)だけ回転させることにより、上記ヘッドガード24を半開状態にする。あるいは、図4(a)に示すように、手動にて、上記第2の屋根部24Nを回転させて開け、上記第1の屋根部24M上に重ねて配置することにより、上記屋根部24aを半開状態にするようにしてもよい。
なお、上記マンケージ20がトンネルの天井近傍に位置する場合には、スペースの関係上、上記第2の屋根部24Nを回転させて上記第1の屋根部24M上に重ねて配置した後、回転板25を所定角度だけ回転させて上記ヘッドガード24を半開状態にすることが望ましい。
【0011】
また、後方での風管延長やロックボルトの増し締め等の作業は、上記ヘッドガード24を全開にした状態にて行う。すなわち、作業員が上記開閉釦27の全開釦27cを押し、図4(b)に示すように、上記油圧シリンダ26のシリンダロッド26kの長さを更に縮めて、回転板25をほぼ90°回転させて、上記ヘッドガード24を全開状態にする。このとき、上記第2の屋根部24Nが作業の妨げとならないように、手動にて、上記第2の屋根部24Nを回転させて開け、上記第1の屋根部24M上に重ねて配置した後、上記ヘッドガード24を全開状態にすることが望ましい。
【0012】
このように、本実施の形態では、マンケージ20に固定された支持部材23に、上記マンケージ20の上部を覆うヘッドガード24の屋根部24aを支持する支持脚24bの下端側が取付けられた回転板25を回転自在に取付けるとともに、上記回転板25と上記マンケージ20の基台21に固定された水平片22qとを油圧シリンダ26により接続し、上記ヘッドガード24を油圧にて開閉するようにしたので、ヘッドガード24を容易に開閉することができる。したがって、マンケージ20に常にヘッドガード24を取付けた状態で作業し、必要に応じて、ヘッドガード24を開閉することにより、容易にマンケージ20の上部を開放したり覆ったりできるので、安全に地盤の掘削作業を行うことができる。
【0013】
なお、上記実施の形態では、2つの油圧シリンダ26A,26Bを用いたが、油圧シリンダ26が一個であっても、ヘッドガード24を容易に開閉することは可能である。
また、上記例では、マンケージ20を、複数の削孔用油圧ドリフター12を備えた地盤掘削用重機10の重機本体11の上部に設けられた2本のブーム13,13の先端に取付けた場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、高所で作業する作業員を搭載する、例えば、落下物等の発生の恐れのある場所で高所作業車のマンケージを使用する場合のような、上部の開閉可能なヘッドガードが必要とされるマンケージに適用可能である。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トンネル内の高所で作業する作業員を搭載する、上部が開放されたマンケージに、マンケージの上部を覆う屋根部とこの屋根部を支持する支持脚とを有するヘッドガードを取付けるとともに、上記支持脚の下端側が取付けられる、上記マンケージの側面側に回転自在に取付けられた回転板と、一端側が上記マンケージに固定され、他端側が上記回転板に固定され、伸縮することで上記回転板を回転させて上記屋根部を開閉する油圧シリンダとを設けて、マンケージの上部を覆ったり開放したりできるようにしたので、ヘッドガードを着脱することなく、安全性を確保しながら容易に高所で作業を行うことができる。
このとき、上記屋根部を当該マンケージの後部を覆う第1の屋根部と当該マンケージの前部を覆う第2の屋根部とから構成し、上記第2の屋根部を、上記第1の屋根部に回転可能に取付け、手動にて回転することで、当該マンケージの前部のみを開放できるようにしたので、ヘッドガードの前部のみを容易に開閉することができる。
また、上記ヘッドガードを備えたマンケージを、複数の削孔用油圧ドリフターを備えた地盤掘削用重機の重機本体上部に設けられた2本のブームの先端に取付けることにより、安全に地盤の掘削作業を行うことのできる地盤掘削用重機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るマンケージを備えた地盤掘削用重機の側面図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係るマンケージを備えた地盤掘削用重機の正面図である。
【図3】 本実施の形態に係るマンケージの側面図である。
【図4】 本実施の形態に係るマンケージの開閉動作を示す図である。
【図5】 従来のマンケージを備えた地盤掘削用重機の側面図である。
【図6】 従来のマンケージを示す図である。
【符号の説明】
10 地盤掘削用重機、11 重機本体、12 削孔用油圧ドリフター、
13 ブーム、20,20A,20B マンケージ、21 基台、22 手すり、22p,22q 手すりの水平片、23,23A,23B 支持部材、
24 ヘッドガード、24a 屋根部、24b 支持脚、24M 第1の屋根部、24N 第2の屋根部、24m,24n 平坦部、24p,24q 面取り部、25,25A,25B 回転板、26,26A,26B 油圧シリンダ、
26k シリンダロッド、27 開閉釦、27a 全閉釦、27b 半開釦、
27c 全開釦。
Claims (3)
- トンネル内の高所で作業する作業員を搭載する、上部が開放されたマンケージであって、
上記マンケージの上部を覆う屋根部とこの屋根部を支持する支持脚とを有するヘッドガードと、
上記支持脚の下端側が取付けられる、上記マンケージの側面側に回転自在に取付けられた回転板と、
一端側が上記マンケージに固定され、他端側が上記回転板に固定され、伸縮することで上記回転板を回転させて上記屋根部を開閉する油圧シリンダとを備え、
上記屋根部は当該マンケージの後部を覆う第1の屋根部と当該マンケージの前部を覆う第2の屋根部とを備えており、
上記第2の屋根部は、上記第1の屋根部に回転可能に取付けられ、手動にて回転することで、当該マンケージの前部のみを開放可能に構成されることを特徴とするマンケージ。 - 上記第1及び第2の屋根部は、平坦部と面取り部とを備え、上記第2の屋根部の平坦部が上記第1の屋根部の平坦部に回転可能に取付けられ、上記第2の屋根部の面取り部が上記第1の屋根部の面取り部に回転可能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のマンケージ。
- 地盤を掘削する掘削機と作業員を搭載するマンケージとを備えた地盤掘削用重機において、上記マンケージとして、請求項1または請求項2に記載のマンケージを備えたことを特徴とする地盤掘削用重機。
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