JP4282797B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池や、イメージセンサ、フォトセンサ等の画像入力センサーに使用される光電変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池や、イメージセンサ、フォトセンサー等の光電変換素子を非晶質半導体膜で作製する技術が実用化されている。非晶質半導体膜の代表例は非晶質シリコン膜であるが、その他にも非晶質シリコンカーボン膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜、非晶質シリコンスズ膜等が知られている。これらの非晶質半導体膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法や蒸着法で作製されるものであるが、通常はプラズマCVD法が用いられている。その特徴は、結晶系シリコンとの比較において製造プロセスの最高温度を400℃以下とすることが可能であり、大面積の基板に作製できることや、光電変換装置として光を吸収するために必要な膜厚が1μm以下で良いこと等が良く知られている。
【0003】
非晶質半導体膜を用いた光電変換素子の代表的な構成は、絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを所定の形状にパターニングして積層させた一つまたは複数のユニットセルを形成して構成されるものである。必要があれば、前記複数のユニットセルを同じ基板上で直列または並列に接続して、必要な電圧または電流を得ることができるといった特徴がある。
【0004】
上記非晶質半導体膜を用いた光電変換素子は、通常、光電変換効率や光応答速度を高めるために、pin接合ダイオード構造が適した構造とされている。非晶質半導体膜でpin接合ダイオードを作製する場合には、価電子制御元素が添加されたp型とn型の非晶質半導体膜と、前記価電子制御元素が添加されていないi(真正)型の非晶質半導体膜を用い、順次堆積させ積層することにより作製することができた。プラズマCVD法で非晶質半導体膜を作製する場合には、シラン(SiH4)ガスやジシラン(Si26)ガスを原料ガスとして、価電子制御元素を添加しないで作製したものは通常i(真正)型の導電型と呼ばれている。一方前記原料ガスに、価電子制御元素としてボロン(B)に代表される周期律表13族の元素を添加して作製したものはp型に価電子制御され、一方、リン(P)に代表される周期律表15族の元素を添加して作製したものはn型に価電子制御することができた。価電子制御元素はガス状物質で前記原料ガスに混入され、通常、ボロン(B)に対してはジボラン(B26)ガスが、リン(P)に対してはフォスフィン(PH3)ガスが用いられた。
【0005】
pin接合ダイオードにおいて、良好な光電変換特性を得る目的のために、p型とn型の非晶質半導体膜には高い光透過性と電極を良好なコンタクトを得るために高い電気伝導度が要求された。一方、i型の非晶質半導体膜には高い光吸収性と、低暗伝導度と高光伝導度を兼ね備えた光感度特性が要求されていた。しかし、p型とn型の非晶質半導体膜で高い光透過率と高い電気伝導度を同時に達成することは困難であった。
【0006】
上記目的を達成する手段として、p型とn型の非晶質半導体膜に代えて微結晶半導体膜を適用する方法があった。微結晶半導体膜は非晶質半導体膜と比較して、高い光透過性と、高い電気伝導度を有している特徴があった。具体的には、非晶質半導体膜と比較して、吸収係数が約1桁低く、電気伝導度は100倍から10000倍高い値を達成することができた。一方、作製方法から見ると、微結晶半導体膜は作製条件に若干の違いはあるものの、実質的には非晶質半導体膜と同じ作製方法で得ることができた。従って、例えば、微結晶半導体膜と非晶質半導体膜とを交互に積層させるようなことは比較的容易なことであった。
【0007】
いずれにしても、良く知られた技術に基づけば、プラズマCVD法でpin接合を作製する場合には、シランガスと、少なくとも2種類の価電子制御元素を用いる必要があった。この方法によればp型やn型の半導体膜は、シランガスに価電子制御元素を添加して、その混合ガスから作製されるものであった。さらに、導電型の異なる半導体膜の成膜工程において、要求される膜の特性を得るためにガスの混合比の他にも価電子制御元素の相互拡散防止等、成膜装置や成膜条件の取り扱いは注意が必要であった。
【0008】
一方、pin接合ダイオードを作製する第2の方法として、特願平9−369413号、特願平10−18099号、特願平10−18100号、特願平10−18097号、特願平10−29282には、価電子制御元素を添加せずに、第1の微結晶シリコン膜と、i型の非晶質シリコン膜と、第2の微結晶シリコン膜とをプラズマCVD法で作製した後で、イオンドープ法により第2の微結晶シリコン膜にp型の価電子制御元素を添加する工程と、前記第1の微結晶シリコン膜と第2の微結晶シリコン膜とに加熱処理による活性化の工程を加えて、第1の微結晶シリコン膜をn型化し、第2の微結晶シリコン膜をp型化する方法が開示されている。
【0009】
前記pin接合ダイオードを作製する第2の方法において、価電子制御元素を添加せずに作製した第1の微結晶シリコン膜が、その後の加熱処理によりn型化する理由はかならずしも明らかではない。推定される原因として、成膜と同時に膜中に取り込まれてしまう、酸素や窒素といった不純物が影響する可能性は指摘されている。しかし、微結晶シリコン膜を堆積した後で、膜堆積時の基板温度と同程度の温度で加熱処理することで電気伝導度が向上してn型化することは新規な事実であった。同様な現象は、酸素や窒素といった不純物元素を同程度含んだ非晶質シリコン膜では観測されないものであった。
【0010】
このpin接合ダイオードを作製する第2の方法によれば、成膜の工程と価電子制御元素を添加する工程を別々に実施することが可能となり、プラズマCVD工程の簡略化が図られると同時に、使用しなければならない価電子制御元素を1種類に削減することが可能となり、光電変換装置の生産性の向上と製造コストの削減にはきわめて効果があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
pin接合ダイオードのp型やn型の半導体膜は、光の吸収損失を極力抑えるために膜の特性面からのみでなく、素子の構造面からも最適化が図られてきた。これは、微結晶半導体膜を用いたとしても、その光吸収損失を抑えるために、30nm以下の厚さに形成することが望ましかった。しかし、微結晶半導体膜は、膜堆積における下地材料の影響により、通常は最初の数nmから数十nmの厚さに渡って微結晶化せず、非晶質成分が大部分を占める遷移領域が形成されることが知られていた。この遷移領域は、微結晶半導体膜が本来持つ光学的及び電気的特性を得ることができないので、電極とのオーム接触がとれなくなり、結局pin接合ダイオードの光電変換特性を低下させてしまう原因となっていた。
【0012】
この問題は、前記pin接合ダイオードを作製する第2の方法においても同様であった。第1の電極に密接して、第1の微結晶半導体膜を30nm以下の厚さで形成したとき、イオンドープ法による価電子制御元素の添加工程や、加熱処理による活性化の工程の条件をいくら検討しても、良好な微結晶半導体膜を得ることができず、第1の電極とのオーム接触がとれないことが原因で光電変換特性が低下した。これは上述したように、非晶質成分が大部分を占める遷移領域が形成されているためであり、非晶質半導体膜を加熱処理しても電気伝導度の向上が図られなかった結果と同様な理由によるものであると考えられた。従って、30nm以下の厚さで第1の微結晶半導体膜を形成したときにも良好な光電変換特性を得ることが、光電変換素子を設計する上での課題であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として、本発明は、
絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と光電変換層と第2の電極とを積層して成るユニットセルを、少なくとも一つ有する光電変換装置において、
前記第1の電極は、
前記絶縁表面を有する基板に密接して設けられた金属膜と、
該金属膜に密接して形成された光透過性酸化物導電膜とを有し、
前記光電変換層は、
前記光透過性酸化物導電膜に密接して形成された価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と、
該第1の微結晶半導体膜に密接して形成された非晶質半導体膜と、
該非晶質半導体膜に密接して形成されたp型の価電子制御元素が添加された第2の微結晶半導体膜と、からなることを特徴とする。
【0014】
本発明は、絶縁表面を有する基板に密接して形成される第1の電極は、金属膜と、光透過性酸化物導電膜とから形成され、光透過性酸化物導電膜が第1の微結晶半導体膜と密接して形成することを特徴とする。ここで、光透過性酸化物導電膜は、通常n型の導電性を示すことが知られている。
【0015】
前記第1の微結晶半導体膜は、光透過性酸化物導電膜に密接して形成されることにより、従来と同様に微結晶化しない遷移領域が形成されるものであるが、上記の構成によれば、第1の微結晶半導体膜をn型の光透過性酸化物導電膜に密接して形成することで接触抵抗が改善され、第1の微結晶半導体膜に形成される遷移領域による出力特性の低下を、光透過性酸化物導電膜によって補償することができる。
【0016】
本発明において、第1の電極の金属膜としてAl、Ag、Ti、Cr、Ni、Pt、Mo、Taから選ばれた金属膜を用いることができる。また光透過性酸化物導電膜としてはIn23、SnO2、ZnOから選ばれた一種または複数種の材料から成る光透過性酸化物導電膜を用いることができる。光透過性酸化物導電膜は、太陽電池やイメージセンサに利用される光に対しておよそ70%以上の透過率を有していれば良く、列記した材料は可視光に対して透光性を有している。
【0017】
これらの光透過性酸化物導電膜を公知の方法で作製すれば、禁制帯幅が約3eVとなるが縮退しているため導電率は高く、n型の非晶質半導体膜や微結晶半導体膜とはオーム接触が得られることが経験的に知られている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の光電変換装置は、絶縁表面を有する基板上に、金属膜と光透過性酸化物導電膜とを有する第1の電極を形成する工程と、価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と非晶質半導体膜と第2の微結晶半導体膜とから成る光電変換層を形成する工程と、第2の微結晶半導体膜に価電子制御元素を添加する工程と、加熱処理を加える工程と、主な工程として作製されるものであり、第1の電極を構成する光透過性酸化物導電膜と第1の微結晶半導体膜とを密接して形成した構造に特徴を有する。
【0019】
本発明による光電変換装置の光電変換層の作製工程は、絶縁表面を有する基板の一面上に形成された金属膜に密接して光透過性酸化物導電膜が形成されている第1の電極側から、価電子制御元素を添加しないで第1の微結晶半導体膜を形成する工程と、非晶質半導体膜を形成する工程と、価電子制御元素を添加しないで第2の微結晶半導体膜を形成する工程とを行うことで、第1の微結晶半導体膜と光透過性酸化物導電膜とが密接した構造として、その後、第2の微結晶半導体膜に対して、p型の価電子制御元素を添加する工程を実施し、さらに、第1の微結晶半導体膜と第2の微結晶半導体膜に、加熱処理を加える工程を行って、第1のn型の微結晶半導体膜と第2のp型の微結晶半導体膜を得て、光電変換層を得ることを特徴とする。
【0020】
p型の価電子制御元を添加する工程は、第2の微結晶半導体膜上に形成した第2の電極の表面から行うことも可能である。また、p型の価電子制御元素を添加する工程において、p型の価電子制御元素は第2の微結晶半導体膜と、前記第2の微結晶半導体膜と、非晶質半導体膜の界面と界面近傍とに添加することも可能である。
【0021】
本発明による光電変換装置の光電変換層の作製工程は、第1の微結晶半導体膜には微結晶シリコン膜を、非晶質半導体膜には非晶質シリコン膜を、第2の微結晶半導体膜には微結晶シリコン膜を用いることが望ましい。その他にも、非晶質半導体膜として、非晶質シリコンカーボン膜や、非晶質シリコンゲルマニウム膜や、非晶質シリコンスズ膜を用いることも可能である。
【0022】
p型の価電子制御元素を、第2の微結晶半導体膜に添加する方法は、イオンドープ法を用いることが、本発明の望ましい実施形態の一例である。イオンドープ法を用いることによって、p型の価電子制御元素が第2の微結晶半導体膜に有効に添加され、さらにイオンドープ法の条件を制御することで、非晶質半導体膜の第2の微結晶半導体膜との界面と界面近傍とに添加することも可能となる。
【0023】
本発明による光電変換装置の光電変換層の作製工程は、従来のp型またはn型の微結晶半導体膜を成膜する工程において、p型及びn型の価電子制御元素を添加することが不要となる。このことは、微結晶半導体膜と非晶質半導体膜とを成膜する工程において、価電子制御元素による非晶質半導体膜への汚染を考慮する必要がなく、例えば、同一成膜室で連続して成膜することも可能となる。具体的には、光電変換層を形成するための微結晶シリコン膜と非晶質シリコン膜とは、SiH4ガスやSi26ガスを主な原料として作製されるものであり、他の価電子制御元素を添加する必要がないために、同一反応室に設けられた同一のグロー放電プラズマ発生手段により成膜することができる。
【0024】
従って、本発明によれば、第1の微結晶半導体膜を形成する工程と、非晶質半導体膜を形成する工程と、第2の微結晶半導体膜を形成する工程と、第2の微結晶半導体膜にp型に価電子制御元素を添加する工程と、第1及び第2の微結晶半導体膜に加熱処理を加える工程と、によりp型及びn型の導電性を示す微結晶半導体膜を得ることができ、pin接合ダイオードを形成することができる。従って、従来の技術で必要であったn型の価電子制御元素を使用しなくても良い。
【0025】
さらに本発明の絶縁表面を有する基板として、ガラス基板や石英基板を用いることができる。また、グロー放電プラズマCVD装置を用いることで、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アラミドから選択された有機樹脂基板を用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0027】
[実施例1]
本発明のSID法による実施例を、図1で示した太陽電池の工程に従って説明する。本実施例で示す基板101は絶縁表面を有したものであれば良く、ガラス材料は適した材料である。ここでは市販のホウケイ酸ガラス基板を使用した。
【0028】
また、その他に適用できる基板材料として、有機樹脂材料があり、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アラミド等が使用できる。
【0029】
この基板101の表面に金属膜102aと光透過性酸化物導電膜102bとから成る第1の電極102を形成した。第1の電極102は真空蒸着法やスパッタ法に代表される公知の方法を用いて形成すれば良く、Al、Ag、Ti、Cr、Ni、Pt、Mo、Taから選ばれた金属膜102aと、n型の導電性を有するIn23、SnO2、ZnOから選ばれた一種または複数種の材料から成る光透過性酸化物導電膜102bとを積層させて形成することが望ましい。必要な膜厚は、金属膜が100〜300nm程度、光透過性酸化物導電膜が20〜500nm程度あれば良い。ここではスパッタ法を用いて、金属膜102aとして、Al膜を150nmの厚さに形成し、さらにそのAl膜の表面に光透過性酸化物導電膜102bとして、ZnO膜を60nmの厚さに形成したものを第1の電極とした。(図1(a))
【0030】
金属膜102aの表面に光透過性酸化物導電膜102bを形成することで、この後の工程で光透過性酸化物導電膜102bに密接して形成される、第1の微結晶シリコン膜との接触を良好にすることができ、また、光透過性酸化物導電膜102bの導電型はn型であるので、後の工程で形成される第1の微結晶シリコン膜の特性を補って、光電変換効率を向上させることができる。
【0031】
第1の電極を形成する光透過性酸化物導電膜102bの表面に、光電変換層となる微結晶シリコン膜及び非晶質シリコン膜を成膜する工程は、第1の微結晶シリコン膜103と、非晶質シリコン膜104と、第2の微結晶シリコン膜105aとをプラズマCVD法で形成した。(図1(b))
【0032】
図2は本実施例で使用した枚葉式のプラズマCVD装置の概念図である。プラズマCVD装置は基板のトランスファ室201を中心に、基板の搬出搬入室202と複数の反応室203a、203b、203cがゲート弁を介して連結されている。各反応室203a、203b、203cには、RF電源を備えたプラズマ発生手段204a、204b、204cが設けられている。また原料ガスや雰囲気制御用のガスを供給するガス供給手段205に各反応室が接続されている。また、図示はしてないが、各反応室203a、203b、203cには反応室を減圧状態に保つための排気手段と、基板加熱する手段とが設けられている。
【0033】
本実施例によれば、第1及び第2の微結晶シリコン膜103、105aと、非晶質シリコン膜とは、SiH4ガスとH2ガスとから作製されるため、同一の反応室内で、同一の放電手段を用いて作製することができる。従って、図2で示した従来の構成による枚葉式プラズマCVD装置を使用した場合、複数の反応室のそれぞれで同じ成膜を実施することもできる。
【0034】
また、本実施例では用いなかったが、従来技術の、基板の搬出搬入室と、複数個の反応室を直列に接続した構成のインライン式のプラズマCVD装置を用いても良い。
【0035】
この工程で、価電子制御元素を添加せずに成膜する第1の微結晶シリコン膜103と、第2の微結晶シリコン膜105aは同一条件で成膜した。具体的には、SiH4流量2sccm、H2流量200sccmとして、圧力を133Paに保ち、120mW/cm2のRF(13.56MHz)電力を投入して成膜を行った。この時基板温度は160℃に保った。微結晶シリコン膜の成膜条件に関しては、基本的には公知の技術であり、上記成膜条件のみに限定を受けるものではない。適用可能な成膜条件の範囲としては、SiH4:H2=1:30〜100、圧力5〜266Pa、RF電力密度10〜250mW/cm2、基板温度80〜300℃である。堆積膜厚は第1の微結晶シリコン膜103及び第2の微結晶シリコン膜105aは1〜30nmの範囲で成膜すれば良く、本実施例では、第1の微結晶シリコン膜103を10nmとし、第2の微結晶シリコン膜105aを15nmとした。
【0036】
上記条件で作成される第1及び第2の微結晶シリコン膜には、膜中には酸素、窒素の不純物が含まれていた。2次イオン質量分析法でこの不純物を調べると、通常は酸素と窒素不純物の合計量は5×1018/cm3から2×1021/cm3の範囲にあった。このように不純物濃度に範囲がある原因は、作製条件による違いや、装置の作業履歴による影響であることが推測された。図6は本実施例に示す条件で作製した微結晶シリコン膜中の酸素、窒素の不純物濃度を2次イオン質量分析法で測定した結果を示す。このデータは測定上の問題で試料の構造を、非晶質シリコン膜/微結晶シリコン膜/非晶質シリコン膜として測定されたものであるが、図に示されているように、微結晶シリコン膜の領域で、酸素及び窒素の不純物濃度の合計量は2×1019/cm3程度であった。
【0037】
非晶質シリコン膜104は、SiH4流量40sccm、H2流量360sccmとして、圧力を133Paに保ち、48mW/cm2のRF(13.56MHz)電力を投入して成膜を行った。この時基板温度は160℃に保った。非晶質シリコン膜の成膜条件に関しては、基本的には公知の技術であり、上記成膜条件のみに限定を受けるものではない。適用可能な成膜条件の範囲は、SiH4ガスに対するH2ガスの割合は0%から95%の範囲で選択すれば良く、圧力5〜266Pa、RF電力密度5〜100mW/cm2、基板温度80〜350℃である。堆積膜厚は100〜2000nmの範囲にすることが望ましく、本実施例では1000nmの厚さで成膜した。
【0038】
また、実質的に真性な非晶質シリコン膜の替わりに、成膜時においてSiH4ガスに加えて、炭素(C)、ゲルマニューム(Ge)、スズ(Sn)の水素化物、フッ化物、塩化物からなるガスを導入して、非晶質シリコンカーボン膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜、非晶質シリコンスズ膜を形成することも可能である。
【0039】
次いで、第2の微結晶シリコン膜105aに、p型の価電子制御元素を導入し、加熱処理を加えてp型微結晶シリコン膜105bを得る工程を行った。微結晶シリコン膜105aに対して、p型に価電子制御可能な元素として、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等の周期律表13族の元素を加えれば良い。イオンドープ法は、前記価電子制御元素を含む水素化物、塩化物、フッ化物等の気体をプラズマ化し、生成された前記価電子制御元素をイオン化し、基板に対して垂直に電界を印加して加速して添加する方法である。本実施例では、B26ガスを用いた。ドーズ量は2.0×1013〜5.0×1015/cm2の範囲で行えば良く、ここでは1.0×1014/cm2とした。(図1(c))
【0040】
イオンドープ法では、加速電圧によって、添加した価電子制御元素に濃度分布を持たせることが可能であり、この値を適切に調整することが必要となる。太陽電池の場合、p型層の厚さによりその最適な条件は異なるが、加速電圧は5〜25keVの範囲で設定した。本実施例では15keVとした。膜中に添加されたBの濃度は、ドーズ量1.0×1014/cm2、加速電圧10keVの条件でBを添加したとき、2次イオン質量分析法により調べられ、ピーク位置の濃度で5×1019/cm3の濃度が得られた。
【0041】
また、加速電圧を調節して、第2の微結晶シリコン膜と、第2の微結晶シリコン膜に接する非晶質シリコン膜の界面領域(p/i界面)と、に前記p型の価電子制御元素を添加しても良い。太陽電池の技術分野において、p/i界面におけるp型の価電子制御元素濃度を連続的に変化させて、その界面の接合特性を改善する方法は従来から知られた技術である。従来技術では、成膜工程において、微量のp型の価電子制御元素を含むガスを、コンピュータ等を使用して、精密に制御する必要があったが、本発明によれば、イオンドープ法の工程において、加速電圧のみを制御すれば良いので、この界面における価電子制御元素濃度に分布を持たせて制御することががより精密にできるようになった。添加されたB元素はこのままではp型の価電子制御元素として作用しないので、加熱処理による活性化の工程が必要となる。加熱処理の工程は、大気雰囲気中、窒素雰囲気中、または、水素雰囲気中で行えば良く、温度は150〜450℃の範囲で可能であり、好ましくは200〜400℃の範囲で行うと良い。ここでは、クリーンオーブンを使用して、大気雰囲気中において200℃で2時間の加熱処理を行った。上記温度による加熱処理の効果は、微結晶シリコン膜の構造変化と電気伝導度の変化によって確認することができた。(図1(d))
【0042】
構造変化はラマン分光法により観測された。図5はその結果で、B元素をイオンドープ法で添加した直後と、その後300℃の加熱処理を加えた時の微結晶シリコン膜のラマン散乱スペクトルを示している。ラマン散乱スペクトルによれば、480cm-1付近に非晶質シリコンに起因するピークがあり、510〜520cm-1に結晶シリコンに起因するピークが観測されることが知られている。通常、微結晶シリコン膜は微細な結晶粒とその結晶粒と他の結晶粒の間に存在する非晶質成分とから成るので、ラマン散乱スペクトルには前述の両方のピークが観測される。図5の結果では、加熱処理を加えることにより、非晶質ピーク強度が減少し、結晶ピークが増加していて、結晶性が改善されていることが確認できる。
【0043】
上記の加熱処理による構造変化は、同様な方法でn型の価電子制御元素であるリン(P)を添加した微結晶シリコン膜についても調べられた。しかしこの場合には、ピーク強度の変化が観測されず、結晶性の改善は確認されなかった。
【0044】
また、電気伝導度の変化は、初期値で約5×10-4S/cmであるが、本発明の結果では、p型の価電子制御元素を添加して加熱処理を加えると電気伝導度を5×10-3S/cmから5×101S/cmの範囲で高めることができた。また、p型の価電子制御元素を添加しないで同様な加熱処理を加えても、電気伝導度を5×10-2S/cmまで高めることができた。図3のデータは、ドーズ量が1×1014/cm2とした時の結果で、電気伝導度は150℃の加熱処理で1.2×10-2S/cmまで増加し、200℃の加熱処理で1.5×10-1S/cmまで増加させることができた。さらに、価電子制御元素を何ら添加しない微結晶シリコン膜に対して同様な加熱処理を加えると、電気伝導度は5×10-3S/cmから5×10-2S/cmの範囲まで増加することが確認された。価電子制御元素を何ら添加しない微結晶シリコン膜はn型の導電性を有しているので、この膜をn型の微結晶シリコン膜として使用することができた。
【0045】
以上の工程により、第1のn型微結晶シリコン膜と、実質的に真性な非晶質シリコン膜と、第2のp型の微結晶シリコン膜とから成る光電変換層を形成することができた。
【0046】
次に、同一基板面内で光電変換層と電極とをユニットセルごとに分割し、ユニットセルを直列に接続する集積化加工の工程を行った。集積化加工はレーザースクライブ法で光電変換層と電極とに開孔を形成する工程と、スクリーン印刷法で絶縁樹脂を形成する工程とから成っている。
【0047】
第1の開孔107a、107bは、光電変換層と第1の電極102とに形成される絶縁分離用の開孔であり、この開孔107a、107bは同一基板面内上に複数個のユニットセルを形成する為のものである。第2の開孔108a、108bは第1の開孔107a、107bにそれぞれ隣接して設けられ、隣り合う第1の電極102と後の工程で形成される第2の電極106とを接続するための開孔である。上記それぞれの開孔を形成する工程は、公知のレーザースクライブ法により行った。(図1(e))
【0048】
第1の開孔107a、107bと第2の開孔108a、108bとを形成した後に、スクリーン印刷法で絶縁樹脂を印刷して第1の絶縁樹脂領域109a、109bと第2の絶縁樹脂領域111a、111bとを形成した。第1の絶縁樹脂領域109a、109bは、第1の開孔107a、107b上に当該開孔を充填する形で形成され、第2の絶縁樹脂領域111a、111bは第2の開孔108a、108bに隣接して設けられる。絶縁樹脂は市販のものを使用すれば良いが、200℃程度で焼成できることが望ましく、アクリル系またはウレタン系の樹脂が使用できる。絶縁樹脂の厚さに関しては特に限定される範囲はないが、ここでは20μmの厚さに形成した。(図1(f))
【0049】
第2の電極106は、前記第2の微結晶シリコン膜105bと第1の絶縁樹脂領域109a、109bと第2の絶縁樹脂領域111a、111bとを覆って形成した。第2の電極106は光透過性と有する透明電極であり、具体的には、SnO2、ZnO、ITO膜等を用いれば良く、また形成方法は真空蒸着法やスパッタ法に代表される公知の方法を用いれば良い。ここではITO膜をスパッタ法で70nmの厚さに形成した。(図1(g))
【0050】
第2の電極106を分割する第3の開孔112a、112bは、第2の開孔に隣接して、第2の絶縁樹脂領域111a、111b上にレーザースクライブ法で形成した。(図1(h))
【0051】
第2の電極106は、比較的抵抗率が高いので、補助電極を設けるとさらに望ましい構成となる。補助電極113a、113bは、第2の電極106に密接して形成され、第2の開孔108a、108bを覆う形で形成される。補助電極は導電性の高い金属材料で形成され、ここでは銀(Ag)を櫛形状にスクリーン印刷法で形成した。(図1(h))
【0052】
以上の工程で、複数個のユニットセル110a、110b、110cを直列接続した太陽電池を作製することができた。本実施例で示した太陽電池の作製方法は、第1の電極を形成する工程、第1の微結晶シリコン膜を形成する工程、実質的に真性な非晶質シリコン膜を形成する工程、第2の微結晶シリコン膜を形成する工程、第2の微結晶シリコン膜にp型の価電子制御元素を添加する工程、第1及び第2の微結晶シリコン膜と実質的に真性な非晶質シリコン膜に加熱処理を加える工程、第2の電極を形成する工程から成り、第1または第2の電極を公知の方法でパターニングして、基板の表面上の所定の位置に配列させる工程を加えれば、太陽電池の直列接続構造や、イメージセンサや、フォトセンサの作製に適用できる。
【0053】
[実施例2]
本発明のSID法よる実施例を、図4で示した太陽電池の工程に従って説明する。本実施例に示す基板401は絶縁表面を有し、最高でも450℃程度の耐熱温度を有する材質のものであれば良い。ここでは市販のホウケイ酸ガラス基板を使用した。
【0054】
この基板401の表面に金属膜402aと光透過性酸化物導電膜402bとから成る第1の電極402を形成した。第1の電極402は真空蒸着法やスパッタ法に代表される公知の方法を用いて形成されるもので、Al、Ag、Ti、Cr、Ni、Pt、Mo、Taから選ばれた金属膜402aと、n型の導電性を有するIn23、SnO2、ZnOから選ばれた一種または複数種の材料から成る光透過性酸化物導電膜402bとを積層した構造である。各膜厚は、金属膜が100〜300nm程度、光透過性酸化物導電膜が20〜500nm程度あれば良い。ここではスパッタ法で金属膜402aとして、Al膜を150nmの厚さに形成し、さらにそのAl膜の表面に光透過性酸化物導電膜402bとして、ZnO膜を60nmの厚さに形成したものを第1の電極とした。(図4(a))
【0055】
次いで、実施例1と同様に、第1の電極を構成する光透過性酸化物導電膜402bに密接させて、光電変換層を形成した。光電変換層は、第1の電極側から、第1の微結晶シリコン膜403、実質的に真性な非晶質シリコン膜404、第2の微結晶シリコン膜405aの順番にプラズマCVD法で作製した。(図4(b))
【0056】
第1及び第2の微結晶シリコン膜と、非晶質シリコン膜とを得る工程は、プラズマCVD法を用いた公知の技術に従うものであり、成膜条件は実施例1と同様であった。
【0057】
光電変換層を形成した後に、同一基板面内で光電変換層と電極とをそれぞれ分割し、直列に接続する集積化加工の工程を行った。集積化加工はレーザースクライブ法で光電変換層と電極とに開孔を形成する工程と、スクリーン印刷法で絶縁樹脂を形成する工程とから成っている。
【0058】
第1の開孔407a、407bは、光電変換層と第1の電極とに形成される絶縁分離用の開孔であり、この開孔は同一基板面内上に複数個のユニットセルを形成する為のものである。第2の開孔408a、408bは第1の開孔407a、407bにそれぞれ隣接して設けられ、隣り合う第1の電極と第2の電極とを接続するための開孔である。上記開孔の形成は、レーザースクライブ法により行った。(図4(c))
【0059】
第1の開孔と第2の開孔を形成した後に、スクリーン印刷法で絶縁樹脂を印刷した。絶縁樹脂は、第1の絶縁樹脂領域409a、409bと第2の絶縁樹脂領域411a、411bとが形成された。第1の絶縁樹脂領域409a、409bは、第1の開孔407a、407b上と該開孔を充填する形で形成され、第2の絶縁樹脂領域411a、411bは第2の開孔408a、408bに隣接して設けられる。絶縁樹脂は市販のものを使用すれば良いが、200℃程度で焼成できることが望ましく、アクリル系またはウレタン系の樹脂が使用できる。絶縁樹脂の厚さに関しては特に限定される範囲はないが、ここでは20μmの厚さに形成した。(図4(d))
【0060】
第2の電極406は、前記第2の微結晶シリコン膜405bと第1の絶縁樹脂領域409a、409bと第2の絶縁樹脂領域411a、411bとを覆って形成した。第2の電極406は透明電極であり、真空蒸着法やスパッタ法に代表される公知の方法を用いれば良い。具体的には、SnO2、ZnO、ITO膜等を用いれば良く、ここではITO膜をスパッタ法で70nmの厚さに形成した。(図4(e))
【0061】
第2の電極406をそれぞれのユニットセルに対して分割する第3の開孔412a、412bは、第2の開孔に隣接して、第2の絶縁樹脂領域上にレーザースクライブ法で形成した。(図4(f))
【0062】
第2の電極406は、比較的抵抗率が高いので、補助電極413を形成するとさらに望ましい構成となる。補助電極413a、413bは、第2の電極406に密接して設けられ、第2の開孔408a、408bを覆う形で形成される。補助電極は導電性の高い金属材料で形成され、ここでは銀(Ag)を櫛形状にスクリーン印刷法で形成した。(図4(f))
【0063】
以上の工程の後に、第2の電極406の表面から、イオンドープ法で、第2の微結晶シリコン膜405aに、p型の価電子制御元素を導入し、p型微結晶シリコン膜405bを形成する工程を行った。微結晶シリコン膜に対して、p型に価電子制御可能な元素は、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等の周期律表13族の元素を加えれば良い。イオンドープ法は、前記価電子制御元素の水素化物、塩化物、フッ化物等の気体をプラズマ化し、生成された前記価電子制御元素をイオン化し、基板に対して加速する方向に電界を印加して添加する方法である。本実施例では、B26ガスを用いた。ドーズ量は2.0×1013〜5.0×1015/cm2の範囲で行えば良く、ここでは1.0×1014/cm2とした。(図4(g))
【0064】
イオンドープ法では、加速電圧によって、添加する元素に濃度分布を持たせることが可能で、この値を適切に調整することが必要となる。太陽電池の場合、p型層の厚さによりその最適な条件は異なるが、加速電圧は5〜25keVの範囲で設定した。本実施例では20keVとした。ドーズ量は1.0×1014/cm2とした。
【0065】
また、加速電圧を調整することにより、第2の微結晶シリコン膜と、第2の微結晶シリコン膜に接する非晶質シリコン膜の領域とに前記p型の価電子制御元素を添加することも可能であった。太陽電池の技術分野において、p/i界面におけるp型の価電子制御元素濃度を連続的に変化させて、その界面の接合特性を改善する方法は従来から知られた技術である。従来技術では、成膜工程において、微量のp型の価電子制御元素を含むガスを、コンピュータ等を使用して、精密に制御する必要があったが、本発明によれば、イオンドープ法の工程において、加速電圧のみを制御すれば良いので、この界面における価電子制御元素濃度の制御をより精密にできるようになった。
【0066】
添加されたB元素はこのままではp型の価電子制御元素として作用しないので、加熱処理による活性化の工程が必要となる。加熱処理の工程は、大気雰囲気中、窒素雰囲気中、または水素雰囲気中で行えば良く、温度は150〜450℃の範囲で可能であり、好ましくは200〜400℃の範囲で行うと良い。ここでは、クリーンオーブンを用い、大気雰囲気中において200℃で2時間の加熱処理を行った。(図4(h))
【0067】
加熱処理の工程により、実施例1と同様に微結晶シリコン膜の電気伝導度を向上させることができた。
【0068】
価電子制御元素を添加しないで作製される微結晶シリコン膜は加熱処理の工程により、第1のn型の微結晶シリコン膜が得られ、真性な非晶質シリコン膜と、第2のp型の微結晶シリコン膜とから成る光電変換層が形成され、太陽電池を作製することができた。
【0069】
以上の工程で、複数個のユニットセル410a、410b、410cを直列接続した太陽電池を作製することができた。本実施例で示した太陽電池の作製方法は、第1の電極を形成する工程、第1の微結晶シリコン膜を形成する工程、実質的に真性な非晶質シリコン膜を形成する工程、第2の微結晶シリコン膜を形成する工程、第2の微結晶シリコン膜にp型の価電子制御元素を添加する工程、第1及び第2の微結晶シリコン膜と実質的に真性な非晶質シリコン膜に加熱処理を加える工程、第2の電極を形成する工程から成り、第1または第2の電極を公知の方法でパターニングして、基板の表面上の所定の位置に配列させる工程を加えれば、太陽電池の直列接続構造や、イメージセンサや、フォトセンサの作製に適用できる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、第1の電極は金属膜と光透過性酸化物導電膜とから成るものであり、該光透過性酸化物導電膜の厚さを20〜500nmの範囲で形成することで、該光透過性酸化物導電膜に密接して形成される第1の微結晶半導体膜の厚さを1〜30nmの厚さにしても、該第1の電極と第1の微結晶半導体膜との間でオーム接触とることが可能となり、良好な光電変換特性を得ることができる。第1の微結晶半導体膜は、従来と同様に第1の電極上に形成することで微結晶化しない遷移領域が形成されるものであるが、本発明の構成のように、第1の微結晶半導体膜をn型の光透過性酸化物導電膜に密接して形成することにより補償され、出力特性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光電変換装置の作製方法の一例を示す概略図
【図2】本発明の光電変換装置を作製する為に適用されるプラズマCVD装置の構成を示す概略図
【図3】本発明により得られたp型及びn型の導電性を示す微結晶シリコン膜の加熱処理温度による電気伝導度の変化を示すグラフ図。
【図4】本発明における光電変換装置の作製方法の一例を示す概略図
【図5】本発明により得られたp型の微結晶シリコン膜の加熱処理によるラマン散乱スペクトルの変化を示すグラフ図。
【図6】本発明の微結晶シリコン膜に含まれる酸素、窒素濃度を示す図。
【符号の説明】
101・・・・・・・基板
102・・・・・・・第1の電極
102a・・・・・・第1の電極を構成する金属膜
102b・・・・・・第1の電極を構成する光透過性酸化物導電膜
103・・・・・・・第1の微結晶シリコン膜(n型)
104・・・・・・・非晶質シリコン膜(i型)
105a・・・・・・第2の微結晶シリコン膜(活性化前)
105b・・・・・・第2の微結晶シリコン膜(活性化後p型)
106・・・・・・・第2の電極
107a、107b・・・・第1の開孔
108a、108b・・・・第2の開孔
109a、109b・・・・第1の絶縁樹脂領域
110a110b110c・・・・・・・・ユニットセル
111a、111b・・・・第2の絶縁樹脂領域
112a、112b・・・・第3の開孔
113a、113b・・・・補助電極
201・・・・・・・・・・トランスファ室
202・・・・・・・・・・基板搬出搬入室
203a、203b、203c・・・・・・・・反応室
204・・・・・・・・・・グロー放電プラズマ発生手段
205・・・・・・・・・・反応ガス供給手段
401・・・・・・・・・・基板
401・・・・・・・・・・第1の電極
402a・・・・・・・・・第1の電極を構成する金属膜
402b・・・・・・・・・第1の電極を構成する光透過性酸化物導電膜
403・・・・・・・・・・第1の微結晶シリコン膜(n型)
404・・・・・・・・・・非晶質シリコン膜(i型)
405a・・・・・・・・・第2の微結晶シリコン膜(活性化前)
405b・・・・・・・・・第2の微結晶シリコン膜(活性化後p型)
406・・・・・・・・・・第2の電極
407a、407b・・・・第1の開孔
408a、408b・・・・第2の開孔
409a、409b・・・・第1の絶縁樹脂領域
410a410b410c・・・・・・・・ユニットセル
411a、411b・・・・第2の絶縁樹脂領域
412a、412b・・・・第3の開孔
413a、413b・・・・補助電極

Claims (14)

  1. 絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを積層して成るユニットセルを、少なくとも一つ有する光電変換装置において、
    前記第1の電極は、
    前記絶縁表面を有する基板に密接して設けられた金属膜と、
    該金属膜に密接して設けられた光透過性酸化物導電膜と、を有し、
    前記光電変換層は、
    前記光透過性酸化物導電膜に密接して形成された、価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と、
    該第1の微結晶半導体膜に密接して形成された非晶質半導体膜と、
    該非晶質半導体膜に密接して形成され、p型の価電子制御元素が添加された第2の微結晶半導体膜と、から成ることを特徴とする光電変換装置。
  2. 絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを積層して成るユニットセルを、少なくとも一つ有する光電変換装置において、
    前記第1の電極は、
    前記絶縁表面を有する基板に密接して設けられた金属膜と、
    該金属膜に密接して設けられた光透過性酸化物導電膜と、を有し、
    前記光電変換層は、
    前記光透過性酸化物導電膜に密接して形成された、価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と、
    該第1の微結晶半導体膜に密接して形成された非晶質半導体膜と、
    該非晶質半導体膜に密接して形成された第2の微結晶半導体膜と、を有し、
    前記第2の微結晶半導体膜と、前記非晶質半導体膜であって前記第2の微結晶半導体膜との界面近傍とに、p型の価電子制御元素が存在することを特徴とする光電変換装置。
  3. 絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを積層して成るユニットセルを、複数有する光電変換装置において、
    前記第1の電極は、
    前記絶縁表面を有する基板に密接して設けられた金属膜と、
    該金属膜に密接して設けられた光透過性酸化物導電膜と、を有し、
    前記光電変換層は、
    前記光透過性酸化物導電膜に密接して形成された、価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と、
    該第1の微結晶半導体膜に密接して形成された非晶質半導体膜と、
    該非晶質半導体膜に密接して形成され、p型の価電子制御元素が添加された第2の微結晶半導体膜と、を有し、
    前記ユニットセルは絶縁樹脂により隣接するユニットセルと絶縁され、
    前記ユニットセルは前記隣接するユニットセルと直列に接続されていることを特徴とする光電変換装置。
  4. 絶縁表面を有する基板上に、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを積層して成るユニットセルを、複数有する光電変換装置において、
    前記第1の電極は、
    前記絶縁表面を有する基板に密接して設けられた金属膜と、
    該金属膜に密接して設けられた光透過性酸化物導電膜と、を有し、
    前記光電変換層は、
    前記光透過性酸化物導電膜に密接して形成された、価電子制御元素が添加されていない第1の微結晶半導体膜と、
    該第1の微結晶半導体膜に密接して形成された非晶質半導体膜と、
    該非晶質半導体膜に密接して形成された第2の微結晶半導体膜と、を有し、
    前記ユニットセルは絶縁樹脂により隣接するユニットセルと絶縁され、
    前記ユニットセルは前記隣接するユニットセルと直列に接続されており、
    前記第2の微結晶半導体膜と、前記非晶質半導体膜であって前記第2の微結晶半導体膜との界面近傍とに、p型の価電子制御元素が存在することを特徴とする光電変換装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一つにおいて、
    光透過性酸化物導電膜は、20〜500nmの厚さを有することを特徴とする光電変換装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一つにおいて、
    第1の微結晶半導体膜は、1〜30nmの厚さを有することを特徴とする光電変換装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一つにおいて、
    第2の微結晶半導体膜は、1〜30nmの厚さを有することを特徴とする光電変換装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一つにおいて、
    金属膜は、Al、Ag、Ti、Cr、Ni、Pt、Mo、Ta、から選ばれた一種または複数種の材料から成り、
    光透過性酸化物導電膜は、In23、SnO2、ZnO、から選ばれた一種または複数種の材料から成ることを特徴とする光電変換装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一つにおいて、
    第1の微結晶半導体膜及び第2の微結晶半導体膜が、微結晶シリコン膜であり、
    非晶質半導体膜が、非晶質シリコン膜であることを特徴とする光電変換装置。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一つにおいて、
    第1の微結晶半導体膜及び第2の微結晶半導体膜が、微結晶シリコン膜であり、
    非晶質半導体膜が、非晶質シリコンカーボン膜、または非晶質シリコンゲルマニウム膜、または非晶質シリコンスズ膜のいずれかであることを特徴とする光電変換装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一つにおいて、
    p型の価電子制御元素が、B、Al、Ga、In、から選ばれた元素であることを特徴とする光電変換装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一つにおいて、
    前記第1の微結晶半導体膜に含まれる酸素、窒素の合計量は、1.0×1018/cm3以上、2.0×1021/cm3以下であることを特徴とする光電変換装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか一つにおいて、
    前記絶縁表面を有する基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アラミドから選択された有機樹脂基板であることを特徴とする光電変換装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1つにおいて、
    前記第1の微結晶半導体の電気伝導度が、5.0×10-3S/cm3以上、5.0×10-2S/cm3以下であり、
    前記第2の微結晶半導体の電気伝導度が、5.0×10-3S/cm3以上、5.0×101S/cm3以下であることを特徴とする光電変換装置。
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