JP4282750B1 - イミドオリゴマー及びこれを加熱硬化させてなるポリイミド樹脂 - Google Patents

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Abstract

優れた熱成形性、及び加熱硬化後のポリイミド樹脂として優れた耐熱性を有するとともに、容易且つ安価に得ることのできるイミドオリゴマーを提供する。
非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有し、下記一般式(2)により表されることを特徴とするイミドオリゴマー。
【化1】
Figure 0004282750
(上記式(2)において、Wは、直接結合、−O−、−CH −、−C −、−C(CH −、−CF −、−C −、−C(CF −、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O) −であり、Xは軸対称性酸二無水化物残基、Yは軸対称性ジアミン残基、Zは架橋性反応基、nは(X−Y)で表される各ポリイミド部位の平均重合度で1〜10である)
【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2008年02月07日付け出願の日本国特許出願2008−027704号、及び2008年02月07日付け出願の日本国特許出願2008−027705号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
本発明は、熱硬化性のイミドオリゴマー、特に成形性に優れ、且つ加熱硬化することで耐熱性に優れたポリイミド樹脂を得ることのできるイミドオリゴマーに関する。
ポリイミド樹脂は耐熱性に優れており、非常に高い熱分解温度を示すことから、ロケットや人工衛星分野のカーボンファイバー強化構造材マトリックスとして用いられている(例えば、非特許文献1参照)。また、近年,Siウエハーを利用するLSIの分野では、情報の高密度化高速化に伴いSi−Cを用いた電子部品が盛んに研究されており、Si−Cを用いたLSI等では400℃を超える温度での動作が想定されているものの、耐熱性に優れているといわれる従来のポリイミド樹脂を用いたとしても対応することができない。そこで、ポリイミド樹脂に限らず、様々な耐熱性高分子フィルムの使用も検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
一方で、ポリイミド樹脂は高耐熱性であるが故、結晶構造が強固であり、溶解・溶融特性に欠け、成形が困難であるという問題がある。このような問題に対して、近年、熱硬化性を有するイミドオリゴマーの研究開発が進められている。すなわち、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物等の架橋反応性官能基をイミドオリゴマーの末端に付加することで、イミドオリゴマーを成形した後に、加熱によりオリゴマー鎖間の架橋反応を進行して樹脂を硬化し、高耐熱性を有するポリイミド樹脂成形体を得ようとするものである。
さらに、このようなイミドオリゴマーの溶解・溶融特性、あるいは得られるポリイミド樹脂の物性を改善する目的で、例えば、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物のような非軸対称性のビフェニル酸二無水化物を導入したイミドオリゴマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、通常のポリイミド構造は直線性が高く分子間相互作用が非常に大きいのに対して、このような非軸対称性分子を導入することによってポリイミド鎖が螺旋性を示すため、分子間相互作用が小さくなり、熱溶融性や着色性が改善されることが明らかとなっている(例えば、非特許文献3参照)。
その他、ジアミンとして、例えば、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンのような軟性のジアミンと、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのような剛性のジアミンとを、特定の割合で用いたイミドオリゴマーが、樹脂トランスファー成形(RTM)や樹脂注入(RI)技術によるポリイミド樹脂の成形に適していることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−219741号 米国特許6,359,107号 柿本雅明監修,「最新ポリイミド材料と応用技術」,シーエムシー出版 「SiCパワーエレクトロニクス実用化・導入普及戦略に係る調査研究」,財団法人新機能素子研究開発協会,平成17年3月 Masatoshi Hasegawaら,Macromolecules,1999,32,p382
しかしながら、特許文献1,2において用いられているような非軸対称性の酸二無水化物あるいは芳香族ジアミンモノマーは、合成が難しく比較的高価であることから、このようにして得られた高耐熱性・易熱成形性のイミドオリゴマーを様々な分野へと応用することは、事実上困難であった。
すなわち、本発明は、優れた熱成形性、及び加熱硬化後のポリイミド樹脂として優れた耐熱性を有するとともに、容易且つ安価に得ることのできるイミドオリゴマーを提供することを目的とするものである。
本発明者らが、前記従来技術の課題に鑑み鋭意検討を行った結果、2つのアミノ基が同一軸上に導入されていない非軸対称性の芳香族ジアミン(例えば、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン)の1分子を、イミドオリゴマー鎖の中心部のみに配置することで、得られたイミドオリゴマーが螺旋性を有するため、熱成形性に優れていることを見出し、さらにこのイミドオリゴマーを加熱硬化して得られたポリイミド樹脂が、優れた耐熱性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるイミドオリゴマーは、非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有し、下記一般式(2)により表されることを特徴とするものである。
Figure 0004282750
(上記式(2)において、Wは、直接結合、−O−、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C−、−C(CF−、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O)−であり、Xは軸対称性酸二無水化物残基、Yは軸対称性ジアミン残基、Zは架橋性反応基、nは(X−Y)で表される各ポリイミド部位の平均重合度で1〜10である)
また、前記イミドオリゴマーにおいて、一般式(2)におけるWが−O−、又は−CH−であることが好適である。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、各ポリイミド部位の平均重合度nがそれぞれ1〜6であり、且つイミドオリゴマー全体の平均分子量が8000以下であることが好適である。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、軸対称性酸二無水化物残基Xが、ピロメリット酸二無水化物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水化物、4,4'−ビフタリック酸二無水化物、3,3',4,4'−ジフェニルスルフォン酸、4,4'−オキシジフタル酸二無水化物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水化物、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物、2,2−ビス(4−カルボン酸フェニル)プロパン酸二無水化物から選ばれる少なくとも1種以上の酸二無水化物に由来することが好適である。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、軸対称性ジアミン残基Yが、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、3,3'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも1種以上のジアミンに由来することが好適である。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、末端の架橋性反応基Zが、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水化物、2,5−ノルボルナジエン−2,3−ジカルボン酸無水化物、マレイン酸無水物、プロパギルアミン、フェニルエチニルアニリン、エチニルアニリン、アミノスチレン、ビニルアニリンから選ばれる少なくとも一種以上の化合物に由来することが好適である。
また、本発明にかかるアミック酸オリゴマーは、非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有し、下記一般式(3)により表されることを特徴とするものである。
Figure 0004282750
(上記式(3)において、Wは、直接結合、−O−、−CH −、−C −、−C(CH −、−CF −、−C −、−C(CF −、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O) −であり、Xは軸対称性酸二無水化物残基、Yは軸対称性ジアミン残基、Zは架橋性反応基、nは(X−Y)で表される各ポリイミド部位の平均重合度で1〜10である)
また、本発明にかかるポリイミド樹脂は、前記イミドオリゴマーを加熱硬化させてなることを特徴とするものである。
また、本発明にかかるイミドオリゴマーの製造方法は、下記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有するイミドオリゴマーの製造方法であって、(A)下記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミンと、これに対して2〜20倍モル量の酸二無水化物とを反応させて、オリゴマー前駆体を調製する工程と、(B)前記工程で得られたオリゴマー前駆体及び未反応酸二無水化物と、ジアミンとを重縮合反応させて、イミドオリゴマー又はアミック酸オリゴマーを調製する工程と、(C)前記工程で得られたイミドオリゴマー又はアミック酸オリゴマーの末端に、架橋性反応基を有する化合物を付加する工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、2つのアミノ基が同一軸上に導入されていない非軸対称性の芳香族ジアミン(例えば、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン)の1分子をイミドオリゴマー鎖の中心部のみに配置することによって、得られたイミドオリゴマーが螺旋性を有し、この結果、熱成形性に優れ、且つ加熱硬化後のポリイミド樹脂として優れた耐熱性を有するイミドオリゴマーを、容易且つ安価に得ることができる。
イミドオリゴマー1Aの立体構造図(A)、及び非軸対称部位を含まないイミドオリゴマーの立体構造図(B)である。 非軸対称部位をオリゴマー鎖中心部のみに有し、ポリイミド部位の重合度が2であるイミドオリゴマー1Aの立体構造図(A)、及びポリイミド部位の重合度が6であるイミドオリゴマーの立体構造図(B)である。
本発明にかかるイミドオリゴマーは、下記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有することを特徴とするものである。
Figure 0004282750
ここで、上記一般式(1)により表される化合物は、直接あるいは特定の官能基を介して結合した2つのベンゼン環上のそれぞれ3位と4位にアミノ基が結合したものであり、各アミノ基の結合位置がWを中心とした軸対称位置をとらない、すなわち、非軸対称性の芳香族ジアミンである。
上記一般式(1)中、Wは、直接結合、−O−、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C−、−C(CF−、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O)−である。
上記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミンは、より具体的には、3,4’−ベンジジン(Wが直接結合)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(Wが−O−)、3,4’−ジアミノジフェニルメタン(Wが−CH−)、3,4’−ジアミノジフェニルエタン(Wが−C−)、3,4’−ジアミノジフェニルイソプロパン(Wが−C(CH−)、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン(Wが−CF−)、3,4’−ジアミノジフェニルテトラフルオロエタン(Wが−C−)、3,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロイソプロパン(Wが−C(CF−)、3,4’−ジアミノベンゾフェノン(Wが−C(=O)−)、3,4’−ジアミノジフェニルアミン(Wが−NH−)、N−(4−アミノフェニル)−3−アミノ安息香酸アミド(Wが−NH−C(=O)−)、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノ安息香酸アミド(Wが−C(=O)−NH−)、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(Wが−S−)、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォキシド(Wが−S(=O)−)、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(Wが−S(=O)−)となる。これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、又は3,4’−ジアミノジフェニルメタンを特に好適に用いることができる。なお、これらの非軸対称性芳香族ジアミンは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてよい。
すなわち、本発明にかかるイミドオリゴマーは、上記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミン1分子のそれぞれの末端アミノ基に、任意の酸二無水化物とジアミンとの重縮合により形成したイミドオリゴマー鎖がそれぞれ等量(等モル)付加した化合物であって、これにより、非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有することになる。
本発明にかかるイミドオリゴマーは、例えば、下記一般式(2)により表される。
Figure 0004282750
上記一般式(2)において、Wは、上記一般式(1)と同一であり、直接結合、−O−、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C−、−C(CF−、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O)−である。
上記一般式(2)において、Xは酸二無水化物残基である。本発明のイミドオリゴマーに用いる酸二無水化物は、軸対称性であって、ジアミンと縮合反応してポリイミド構造を形成し得るものであればよく、特に限定されるものではない。本発明に用いる酸二無水化物としては、例えば、ピロメリット酸二無水化物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水化物、4,4'−ビフタリック酸二無水化物、3,3',4,4'−ジフェニルスルフォン酸、4,4'−オキシジフタル酸二無水化物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水化物、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物、2,2−ビス(4−カルボン酸フェニル)プロパン酸二無水化物等が挙げられる。これらのうち、特に4,4'−オキシジフタル酸二無水化物、4,4'−ビフタリック酸二無水化物、3,3',4,4'−ジフェニルスルフォン酸、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物を好適に用いることができる。
上記一般式(2)において、Yはジアミン残基である。本発明のイミドオリゴマーに用いるジアミンは、軸対称性であって、酸二無水化物と縮合反応してポリイミド構造を形成し得るものであればよく、特に限定されるものではない。本発明に用いるジアミンとしては、例えば、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、3,3'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらのうち、特に4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを好適に用いることができる。
上記一般式(2)において、Zは架橋性反応基である。本発明のイミドオリゴマーにおいて、架橋性反応基を有する化合物により末端を修飾することで、熱硬化性が付与される。本発明に用いる架橋性反応基を有する化合物としては、例えば、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水化物、2,5−ノルボルナジエン−2,3−ジカルボン酸無水化物、マレイン酸無水物、プロパギルアミン、フェニルエチニルアニリン、エチニルアニリン、アミノスチレン、ビニルアニリン等が挙げられる。これらのうち、特に4−フェニルエチニルフタル酸無水化物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水化物を好適に用いることができる。
上記一般式(2)において、nは(X−Y)で表されるポリイミド部位の平均重合度で1〜10である。なお、この平均重合度は、イミドオリゴマーの製造に用いる非軸対称性芳香族ジアミン、酸二無水化物及びジアミンの比率を変化させることで適宜調整することが可能である。本発明のイミドオリゴマーにおいて、各ポリイミド部位の平均重合度nが10を超えると、熱溶融性に劣り、成形が困難になる場合がある。イミドオリゴマーの成形性の観点から、各ポリイミド部位の平均重合度は1〜6であることが好ましく、さらに好ましくは2〜5である。各ポリイミド部位の平均重合度が前記範囲内であると、特に成形性に優れたイミドオリゴマーが得られる。
本発明にかかるイミドオリゴマーにおいては、上記一般式(2)に示されるように、上記非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位がオリゴマー鎖の中心部のみにしか存在しないにもかかわらず、例えば、図1に示すようにオリゴマー鎖は全体として螺旋構造を示している。そして、この結果、本発明にかかるイミドオリゴマーは比較的低い温度で熱溶融するため、熱成形が容易であり、また、加熱硬化後のポリイミド樹脂の熱分解温度が500℃以上に達し、耐熱性においても非常に優れている。
なお、例えば、特許文献1に記載されているような従来の螺旋性のイミドオリゴマーは、熱成形性及び加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性に優れてはいるものの、比較的高価な非軸対称化合物をオリゴマー鎖全体にわたって有しているため、製造において多大なコストがかかってしまうという問題があった。これに対し、本発明にかかる螺旋性のイミドオリゴマーは、オリゴマー鎖中に非軸対称化合物を1分子有するだけでよく、高価な非軸対称化合物の使用を大幅に削減できるため、優れた熱成形性及び加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性を有するイミドオリゴマーを、容易且つ安価に得ることができる。
また、本発明にかかるイミドオリゴマーは、例えば、下記(A)〜(C)の工程によって調製することができる。
(A)まず最初に、非軸対称性芳香族ジアミンと、これに対して大過剰量の酸二無水化物とを反応させることによって、非軸対称性芳香族ジアミン1分子を中心とした両側鎖に酸二無水化物を縮合したオリゴマー前駆体を調製する。
ここで、酸二無水化物の添加量は、非軸対称性芳香族ジアミン1モルに対して大過剰量であればよいが、より具体的には、例えば、非軸対称性芳香族ジアミンに対して2〜20倍モル程度であればよい。なお、ここで用いる酸二無水化物の残基が、上記一般式(2)中、Xに相当する。また、反応に用いる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、γ−ブチロラクタム等の非プロトン性溶媒が挙げられる。
(B)つづいて、以上で得られたオリゴマー前駆体(未反応の酸二無水化物を含む)にジアミンを添加し、重縮合反応を行なうことによって、オリゴマー前駆体の両側にポリアミック酸構造を付加したアミック酸オリゴマーを調製する。
なお、ここで用いるジアミンの残基が、上記一般式(2)中、Yに相当する。また、ジアミンとともに適当量の酸二無水化物をさらに添加してもよい。オリゴマー前駆体に対する酸二無水化物及びジアミンの添加割合を変化させることで、一分子当りのポリイミド構造の付加モル数を適宜調整することができる。本発明においては、上記一般式(2)中、nで表される各ポリイミド部位の平均重合度が1〜10となるように、上記各成分の添加割合を調整する必要がある。
また、上記(B)工程の反応は(A)工程と連続して行うことができるが、以上に例示したような非プロトン性溶媒中で重合反応を行なった場合、通常、分子内にアミド部位とカルボン酸部位とを有するアミック酸オリゴマーとして得られる。このアミック酸オリゴマーは、例えば、低温でイミド化剤を添加するか、あるいは高温で加熱還流することによって、前記アミド部位とカルボン酸部位とを脱水・環化(イミド化)させ、イミドオリゴマーとすることができる。
(C)さらに、以上で得られたイミドオリゴマー又はアミック酸オリゴマーの末端に、架橋性反応基を有する化合物を付加する。
この架橋性反応基は加熱によって反応基同士が架橋構造を形成するため、これにより、イミドオリゴマーに熱硬化性を付与することができる。
なお、ここで用いる架橋性反応基含有化合物の残基が、上記一般式(2)中、Zに相当する。ここで、架橋性反応基含有化合物は、酸二無水化物における未反応カルボン酸基、ジアミンにおける未反応アミノ基のいずれかと反応し得るものであればよい。架橋性反応基含有化合物の添加量は、反応可能なカルボン酸基あるいはアミノ酸基の当量に合わせて適宜調整すればよいが、通常の場合、非軸対称性芳香族ジアミン1モルに対して約2モル程度であればよい。
上記(C)工程の反応は(A)〜(B)工程と連続して行なうことができ、通常、(A)〜(C)の全工程をアミック酸オリゴマーの状態で行い、最後にイミドオリゴマーへと変換させる。すなわち、(B)工程により得られたアミック酸オリゴマーの状態で(C)工程による架橋性反応基含有化合物の付加を行い、つづいて、例えば、低温でイミド化剤を添加するか、あるいは高温で加熱還流することによって、アミド部位とカルボン酸部位とを脱水・環化(イミド化)させ、分子末端に架橋性反応基を有するイミドオリゴマーを得る。
なお、上記(A)〜(C)工程において、イミド化を行っていないアミック酸オリゴマーについても、本発明の範疇である。このようなアミック酸オリゴマーは、加熱による脱水・環化反応によって、容易にイミドオリゴマーへと変換することができる。例えば、本発明のアミック酸オリゴマー溶液を、150〜245℃程度の高温で加熱還流することによって、本発明のイミドオリゴマーとすることができる。あるいは、例えば、アミック酸オリゴマー溶液を、ガラス板等の剥離性の良好な支持体上へと塗布し、250〜350℃程度に加熱することによってイミド化し、本発明のイミドオリゴマーを得ることもできる。
また、上記(A)〜(C)の反応工程においては、いずれもアルゴンあるいは窒素のような不活性ガスの存在下、又は真空中で行うことが好ましい。
以下に、本発明にかかるイミドオリゴマーの製造例として、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(非軸対称性芳香族ジアミン)、4,4'−オキシジフタル酸二無水化物(酸二無水化物)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(ジアミン)、及び4−フェニルエチニルフタル酸無水化物(架橋性反応基含有化合物)を用いた場合の、上記(A)〜(C)工程の反応を図示する。
Figure 0004282750
以上のようにして得られたイミドオリゴマーは、反応後の溶液をそのまま用いることも可能であるが、例えば、反応終了後の溶液を多量の水中に攪拌しながら投入し、ろ過により単離した後、100℃程度で乾燥させることで、粉末状のイミドオリゴマーとして用いるができる。また。このようにして得られたイミドオリゴマー粉末は、必要に応じて適当な溶媒中に溶解した溶液として使用することもできる。
また、以上のようにして得られたイミドオリゴマーは、オリゴマー単独で、あるいは炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させた状態で加熱硬化することで、耐熱性に優れたポリイミド樹脂とすることができる。加えて、本発明にかかるイミドオリゴマーは、螺旋構造を示すため、成形性に優れていることから、例えば、金型等により容易に成形することが可能であり、あるいは繊維状補強材等への含浸も比較的容易に行うことができる。
また、イミドオリゴマーの加熱硬化に際し、加熱温度及び加熱時間については、所望のポリイミド樹脂の物性に合わせて適宜調整することができる。なお、本発明にかかるイミドオリゴマーは、架橋性反応基含有化合物の種類等によっても異なるが、通常、約300〜370℃程度で熱硬化を生じる。より具体的には、例えば、予備的に210〜320℃程度の温度で一定時間加熱することでイミドオリゴマーを熱溶融し、その後、350〜400℃の温度で一定時間加熱して架橋反応を行い、ポリイミド樹脂硬化物を得る。それぞれの加熱工程における加熱温度を高くするか、あるいは加熱時間を長くすることによって、通常、ポリイミド樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
なお、本発明のイミドオリゴマーを用いたポリイミド樹脂成形体の製造は、公知の方法にしたがって行なえばよい。例えば、本発明のイミドオリゴマーの粉末を金型内に充填し、250〜370℃、0.5〜5MPa程度で、1〜5時間程度加熱圧縮成形して、ポリイミド樹脂成形体を得ることができる。また、例えば、本発明のイミドオリゴマー溶液を炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させ、180〜260℃で1〜5時間程度加熱乾燥した後、さらに加圧下、250〜370℃で1〜5時間程度加熱して、ポリイミド樹脂の繊維含有複合体を得ることができる。また、例えば、本発明のイミドオリゴマー溶液を、ガラス板等の剥離性の良好な支持体上へと塗布し、250〜350℃で1〜5時間程度加熱して、ポリイミド樹脂フィルムを得ることができる。
以下、実施例の記載に基づいて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
最初に、非軸対称性芳香族ジアミンとして3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いた場合のイミドオリゴマーの製造方法について説明する。
イミドオリゴマー1A
Figure 0004282750
つづいて、以上のようにして得られたイミドオリゴマー粉末をポリイミドフィルムに所要量とり、ホットプレス上230℃で1時間溶融・脱泡した後、さらに350℃,2MPaで1時間加圧し、ポリイミド樹脂硬化物を得た。
以上で得られたポリイミド樹脂硬化物について、窒素気流下、TG−DTA(EASTAR6000:SII社製)により分析した結果、5%熱分解温度(τ)は537.0℃(窒素気流下,昇温速度10度/分)であった。また、DSC(Q200:TA社製)による測定では、ポリイミド樹脂硬化物のガラス転移温度(T)は185.2℃(窒素気流下,昇温速度:10℃/分)であった。
また、TMA(EASTAR6000:SII社製)により測定したポリイミド樹脂硬化物の熱膨張係数(CTE)は31ppmであった。また、ポリイミド樹脂硬化物を厚さ約75μmのフィルムとして、初期弾性率を測定(EZGraph:shimadzu社製)した結果、3.2GPaであった。
以上の結果から、非軸対称性部位となる3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの1分子のみがオリゴマー鎖の中心に位置するように設計したイミドオリゴマー1Aにおいては、230℃程度で溶融を開始することから熱成形が容易であり、また、これを熱硬化して得られたポリイミド樹脂硬化物の5%熱分解温度(τ)は500℃以上であり、耐熱性にも非常に優れていることが確認された。また、得られたポリイミド樹脂硬化物の機械的特性も良好なものであることがわかった。
分子軌道計算に基づく上記イミドオリゴマー1Aの立体構造図を図1(A)に、非軸対称部位を含まないイミドオリゴマーの立体構造図を図1(B)に示す。同図に示すように、上記イミドオリゴマーにおいては、非軸対称性部位となる3,4’−ジアミノジフェニルエーテルがオリゴマー鎖の中心に1分子のみ有していることによって、オリゴマー鎖が全体として螺旋性を示していることがわかる。
さらに、非軸対称部位をオリゴマー鎖中心部のみに有し、ポリイミド部位の重合度が2であるイミドオリゴマー1Aの立体構造図を図2(A)に、ポリイミド部位の重合度が6であるイミドオリゴマーの立体構造図を図2(B)に示す。同図に示すように、オリゴマーの分子鎖長がある程度長くなった場合であっても、非軸対称部位を中心とした両側鎖は直線状とはならずに、オリゴマー鎖が全体として螺旋性を示していることがわかる。
そして、以上のようにオリゴマー鎖が螺旋性を示す結果、本発明にかかるイミドオリゴマーは、例えば、直線性(結晶性)の高いイミドオリゴマーと比較して、より低い温度で容易に熱成形を行なうことが可能となる。また、加熱硬化後、すなわち、上記イミドオリゴマー末端の反応性基が架橋して形成されたポリイミド樹脂は、上記螺旋構造が複雑に絡み合い架橋した高次構造を形成しており、この結果、優れた耐熱性が得られるものと考えられる。
つづいて、非軸対称性芳香族ジアミンとして3,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いた場合のイミドオリゴマーの製造方法について説明する。
イミドオリゴマー2A
Figure 0004282750
アルゴン気流下、3,4’−ジアミノジフェニルメタン3.37gと4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物49.72gを乾燥N,N−ジメチルアセトアミド200mlに溶解させ、約30分間室温下で撹拌した。その後ビス(4−アミノフェニル)スルフォンを27.70g投入し、約1時間撹拌した。最後に、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物9.25gを加え、室温下で約1時間撹拌後、約12時間溶媒を還流させ、灰白色の懸濁液を得た。イオン交換水800mlに懸濁液を投入し、ろ過後、水洗を数回繰り返し、メタノールで洗浄濾過後、120℃で一晩乾燥させ、白色の粉末状イミドオリゴマーを得た(イミドオリゴマー2A)。なお、得られたイミドオリゴマーについて、GPC(Aliance2695:Waters社製)により測定した結果、数平均分子量(Mn)は4.5x10g/molであった(NMP溶媒)。
つづいて、以上のようにして得られたイミドオリゴマー粉末をポリイミドフィルムに所要量とり、ホットプレス上280℃で30分間溶融・脱泡した後、さらに350℃,2MPaで1時間加圧し、飴色透明のポリイミド樹脂硬化物を得た。
以上で得られたポリイミド樹脂硬化物について、窒素気流下、TG−DTA(EASTAR6000:SII社製)により分析した結果、5%熱分解温度(τ)は527.7℃(窒素気流下,昇温速度10度/分)であった。また、DSC(Q200:TA社製)による測定では、ポリイミド樹脂硬化物のガラス転移温度(T)は252.7℃(窒素気流下,昇温速度:10℃/分)であった。
また、TMA(EASTAR6000:SII社製)により測定したポリイミド樹脂硬化物の熱膨張係数(CTE)は38ppmであった。また、ポリイミド樹脂硬化物を厚さ約75μmのフィルムとして、初期弾性率を測定(EZGraph:shimadzu社製)した結果、2.8GPaであった。
以上の結果から、非軸対称性部位となる3,4’−ジアミノジフェニルメタンの1分子のみがオリゴマー鎖の中心に位置するように設計したイミドオリゴマー2Aにおいても、前記イミドオリゴマー1Aと同様に、280℃程度で溶融を開始することから熱成形が容易であり、また、これを熱硬化して得られたポリイミド樹脂硬化物の5%熱分解温度(τ)は500℃以上であり、耐熱性にも非常に優れていることが確認された。また、得られたポリイミド樹脂硬化物の機械的特性も良好なものであることがわかった。
つづいて、本発明者らは、上記実施例のイミドオリゴマー1A及び2Aの各製造方法に準じて、酸二無水化物、ジアミン、加熱温度等を変化させて各種イミドオリゴマーの調製を試み、加熱硬化後のポリイミド樹脂について5%熱分解温度(τ)及びガラス転移温度(T)の測定を行なった。なお、測定に用いた機器は上記実施例と同様である。結果を下記表1及び2に示す。
Figure 0004282750
Figure 0004282750
なお、上記表1及び2において用いた略号は以下のとおりである。
3,4’−ODA;3,4'−ジアミノジフェニルエーテル
3,4’−MDA;3,4’−ジアミノジフェニルメタン
1,3,3−APB;1、3-ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
4,4’−ODA;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
6FTPDA;2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン
FDA;2,2-ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン
SDA:ビス(4−アミノフェニル)スルフォン
DPSDA;ビス(4−アミノフェニル)スルフォン(ジアミン)
4,4’−ODPA;4,4'−オキシジフタル酸無水物
6FDPA:4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物
PEPA;4−フェニルエチニルフタル酸無水化物
上記表1及び2に示すように、非軸対称性部位となる3,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は3,4’−ジアミノジフェニルメタンをオリゴマー鎖の中心になるようにし、側鎖ポリイミドの重合度、あるいは側鎖ジアミンの種類等を各種変化させたイミドオリゴマー1B〜1I,2B及び2Cにおいても、上記イミドオリゴマー1A及び2Aの場合と同様に、5%熱分解温度(τ)が500℃を超えており、いずれも優れた耐熱性を示すものであることが確認された。
つづいて、非軸対称部位である3,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は3,4’−ジアミノジフェニルメタンのオリゴマー鎖中の位置についてさらに検討するため、それぞれの非軸対称性芳香族ジアミンを各ポリイミド部位の末端(各ポリイミド部位と末端反応性官能基との間)に導入したほかは、上記イミドオリゴマー1A及び2Aとまったく同様にしたイミドオリゴマー1J及び2Dを製造し、上記試験と同様にして加熱硬化後のポリイミド樹脂について5%熱分解温度(τ)及びガラス転移温度(T)の測定を行なった。結果を下記表3及び4に示す。
Figure 0004282750
Figure 0004282750
上記表3及び4に示すように、非軸対称部位である3,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は3,4’−ジアミノジフェニルメタンをオリゴマー鎖の末端に導入したイミドオリゴマー1J及び2Dにおいては、他の条件はまったく同一であるにもかかわらず、それぞれの非軸対称性芳香族ジアミンを中心に導入したイミドオリゴマー1A及び2Aと比較して、ガラス転移温度(T)、5%熱分解温度(τ)ともに劣っていた。これは、末端に非軸対称部位を有していることで、オリゴマー鎖が螺旋性を示しにくくなり、より直鎖状に近い立体構造となっているためであると考えられる。
また、本発明のイミドオリゴマーを加熱硬化して得られるポリイミド樹脂について、加熱条件の影響についてさらに検討するため、上記イミドオリゴマー1A及び2Aを用いて、加熱時間を変化させた条件でポリイミド樹脂硬化物を調製し、上記試験と同様にして5%熱分解温度(τ)及びガラス転移温度(T)の測定を行なった。結果を下記表5及び6に示す。
Figure 0004282750
Figure 0004282750
上記表5及び6に示されるように、加熱硬化時の加熱時間を1時間から5時間とすることで、ポリイミド樹脂のガラス転移温度(T)、5%熱分解温度(τ)ともに著しく向上していることがわかる。
このことから、本発明のイミドオリゴマーを用い、加熱硬化時における温度や時間を適宜調整することで、要求される物性に応じた各種のポリイミド樹脂を製造することが可能であると考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、非軸対称性芳香族ジアミン1分子をイミドオリゴマー鎖の中心部のみに配置することによって、イミドオリゴマーが螺旋性を有し、この結果、熱成形性に優れ、且つ加熱硬化後のポリイミド樹脂として優れた耐熱性を有するイミドオリゴマーを、容易且つ安価に得ることができることがわかる。

Claims (9)

  1. 非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有し、下記一般式(2)により表されることを特徴とするイミドオリゴマー。
    Figure 0004282750
    (上記式(2)において、Wは、直接結合、−O−、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C−、−C(CF−、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O)−であり、Xは軸対称性酸二無水化物残基、Yは軸対称性ジアミン残基、Zは架橋性反応基、nは(X−Y)で表される各ポリイミド部位の平均重合度で1〜10である)
  2. 請求項に記載のイミドオリゴマーにおいて、一般式(2)におけるWが−O−、又は−CH−であることを特徴とするイミドオリゴマー。
  3. 請求項又はに記載のイミドオリゴマーにおいて、各ポリイミド部位の平均重合度nがそれぞれ1〜6であり、且つイミドオリゴマー全体の平均分子量が8000以下であることを特徴とするイミドオリゴマー。
  4. 請求項からのいずれかに記載のイミドオリゴマーにおいて、軸対称性酸二無水化物残基Xが、ピロメリット酸二無水化物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水化物、4,4’−ビフタリック酸二無水化物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォン酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水化物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水化物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水化物、2,2−ビス(4−カルボン酸フェニル)プロパン酸二無水化物から選ばれる少なくとも1種以上の酸二無水化物に由来することを特徴とするイミドオリゴマー。
  5. 請求項からのいずれかに記載のイミドオリゴマーにおいて、軸対称性ジアミン残基Yが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン,3,3’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも1種以上のジアミンに由来することを特徴とするイミドオリゴマー。
  6. 請求項からのいずれかに記載のイミドオリゴマーにおいて、末端の架橋性反応基Zが、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水化物、2,5−ノルボルナジエン−2,3−ジカルボン酸無水化物、マレイン酸無水物、プロパギルアミン、フェニルエチニルアニリン、エチニルアニリン、アミノスチレン、ビニルアニリンから選ばれる少なくとも一種以上の化合物に由来することを特徴とするイミドオリゴマー。
  7. 非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有し、下記一般式(3)により表されることを特徴とするアミック酸オリゴマー。
    Figure 0004282750
    (上記式(3)において、Wは、直接結合、−O−、−CH −、−C −、−C(CH −、−CF −、−C −、−C(CF −、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O) −であり、Xは軸対称性酸二無水化物残基、Yは軸対称性ジアミン残基、Zは架橋性反応基、nは(X−Y)で表される各ポリイミド部位の平均重合度で1〜10である)
  8. 請求項1からのいずれかに記載のイミドオリゴマーを加熱硬化させてなることを特徴とするポリイミド樹脂。
  9. 下記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミン1分子に由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖の中心部のみに有するイミドオリゴマーの製造方法であって、
    (A)下記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族ジアミンと、これに対して2〜20倍モル量の酸二無水化物とを反応させて、オリゴマー前駆体を調製する工程と、
    (B)前記工程で得られたオリゴマー前駆体及び未反応酸二無水化物と、ジアミンとを重縮合反応させて、イミドオリゴマー又はアミック酸オリゴマーを調製する工程と、
    (C)前記工程で得られたイミドオリゴマー又はアミック酸オリゴマーの末端に、架橋性反応基を有する化合物を付加する工程と
    を備えることを特徴とするイミドオリゴマーの製造方法。
    Figure 0004282750
    (上記式(1)において、Wは、直接結合、−O−、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C−、−C(CF−、−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−S−、−S(=O)−、又は−S(=O)−である)
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