JP4281114B2 - アクリル型共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル型共重合体に関し、より詳しくは、少なくとも二種類のアクリル型モノマーから成るアクリル型共重合体に関する。
従来から、普通のガラスより加工性、光透過率、比重、安全性等に優れた有機ガラスとしてアクリル型樹脂が研究されており、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)は光透過率が高くかつ強靭な透明材料として自動車部品用材料、光学部材用材料等の用途に用いられてきた。しかしながら、PMMAは熱分解を受けやすく、耐熱性が低いため、用途の範囲が限定されてしまっていた。
一方、H.Yanaka,et al.,"Conversion-Dependent Molecular Weight of the Polymer in Free Radical Polymerization of Captodative Substituted(Acyloxy)acrylates", Macromolecules, Vol.30, No.14,(1997年)p.4010〜4012(非特許文献1)には、α位に炭素数の少ないアシロキシ基を有するアクリル酸エステルの重合体が記載されている。しかしながら、非特許文献1においては前記アクリル酸エステルの重合性、重合条件と得られる分子量の関係等が明らかになっているに過ぎず、得られる重合体の弾性率、耐熱性、力学特性等は明らかになっていなかった。そのため、本発明者らが非特許文献1に記載の重合体を合成して評価したところ、得られた重合体はPMMAと同等の弾性率(通常の使用温度領域における弾性率、以下「常温弾性率」という)を有し、PMMAよりも耐熱性(高温における弾性率及び耐熱分解性、以下「耐熱性」と総称する)が高いことが確認された。しかしながら、非特許文献1に記載の重合体は、熱分解温度以下ではほとんど軟化せず、一般的な成形方法では成形できないという点で未だ十分なものではなかった。
また、米国特許第2559635号公報(特許文献1)や、T.Hongo,et al.,"Radical copolymerization of methyl α-acyloxyacrylates with some vinyl monomers", Polymer International, Vol.48,(1999年)p.505〜508(非特許文献2)には、α位に炭素数の少ないアシロキシ基を有するアクリル酸エステルとスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル等のビニルモノマーとの共重合体が記載されている。しかしながら、特許文献1や非特許文献2においても得られる共重合体の弾性率、耐熱性、力学特性等は明らかになっていなかったため、本発明者らがそれらに記載の共重合体を合成して評価したところ、得られた共重合体は非特許文献1に記載の重合体に比べて常温弾性率及び耐熱性が低下しており、やはり未だ十分なものではなかった。
米国特許第2559635号公報 H.Yanaka,et al.,"Conversion-Dependent Molecular Weight of the Polymer in Free Radical Polymerization of Captodative Substituted(Acyloxy)acrylates", Macromolecules, Vol.30, No.14,(1997年)p.4010〜4012 T.Hongo,et al.,"Radical copolymerization of methyl α-acyloxyacrylates with some vinyl monomers", Polymer International, Vol.48,(1999年)p.505〜508
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、PMMAと同等の常温弾性率を有しかつPMMAよりも耐熱性が高く、しかも熱分解温度以下の温度で適度に軟化するため成形性にも優れたアクリル型樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の条件を満たす少なくとも二種類のアクリル型モノマーを所定の配合比となるように組み合わせて共重合せしめることにより、驚くべきことに、常温弾性率及び耐熱性が高水準に維持されたまま成形性が飛躍的に向上したアクリル型樹脂(アクリル型共重合体)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のアクリル型共重合体は、
下記一般式(1):
Figure 0004281114
[式(1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基から成る群から選択される基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、及び、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基から成る群から選択される基を示す。]
で表される第一のアクリル型モノマーと、
下記一般式(2):
Figure 0004281114
[式(2)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、R及びRのうちの少なくとも一方は、主鎖を構成する炭素原子の数が4〜60の脂肪族炭化水素基、及び、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基からなる群から選択される基を示し、R及びRのうちの残りは、脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基から成る群から選択される基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、及び、脂肪族炭化水素基から成る群から選択される基を示す。]
で表される第二のアクリル型モノマーと、
から少なくとも成るアクリル型共重合体であって、該共重合体中の全モノマー単位の50〜99重量%が前記第一のアクリル型モノマーであることを特徴とするものである。
前記本発明のアクリル型共重合体においては、前記R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル及び2−メチルプロピルから成る群から選択される基であることが好ましく、前記R及びRは水素原子であることが好ましい。また、前記R及びRは同一でも異なっていてもよく、R及びRのうちの少なくとも一方は、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−デセニル、ラウリル、ミリスチル、ミリストレイル、n−ペンタデシル、n−ペンタデセニル、パルミチル、パルミトレイル、n−ヘキサデカジエニル、n−ヘキサデカトリエニル、n−ヘキサデカテトラエニル、n−ヘプタデカニル、n−ヘプタデセニル、ステアリル、オレイル、リノーリル、α−リノレニル、γ−リノレニル、n−オクタデカテトラエニル、アラキジニル、n−イコセニル、n−イコサジエニル、n−イコサトリエニル、n−イコサテトラエニル、アラキドニル、n−イコサペンタエニル、n−ヘンイコサペンタデセニル、ベヘニル、n−ドコセニル、n−ドコサジエニル、n−ドコサテトラデセニル、n−ドコサペンタエニル、n−ドコサヘキサエニル、リグノセリニル及びテトラコセニルから成る群から選択される基であることが好ましく、前記R及びRは水素原子であることが好ましい。
また、本発明のアクリル型共重合体の数平均分子量は10000〜500000であることが好ましい。
このような本発明のアクリル型共重合体によれば、25℃における貯蔵弾性率が好ましくは1×10Pa以上であるという高水準の常温弾性率と、250℃における貯蔵弾性率が好ましくは1×10Pa以下であるという優れた成形性とが同時に達成される。
なお、本発明のアクリル型共重合体において常温弾性率及び耐熱性が高水準に維持されたまま成形性が飛躍的に向上するようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、α位に炭素数の少ないアシロキシ基を有するアクリル酸エステルのみからなる従来の重合体においては、α位に置換している−OCOR基により重合体分子の分子運動性が大きく低下しているため、常温弾性率及び耐熱性が高く、更に熱分解温度まで加熱しても通常の成形方法で成形できる程度に軟化しない。それに対して、本発明のアクリル型共重合体においては、特性の相違する少なくとも二種類のアクリル型モノマーを所定の配合比となるように組み合わせて共重合せしめることにより、上記従来の重合体に比べて重合体分子の分子運動性が向上し、共重合体が熱分解温度以下で成型できる程度に軟化すると本発明者らは推察する。なお、一般に、二成分以上のモノマーからなる共重合体の特性は、それぞれのモノマーのみからなる重合体の特性の中間の特性を示す。すなわち、上記従来の重合体のように常温弾性率及び耐熱性が高い重合体が得られるモノマー成分に成形性を向上させるために他のモノマー成分を共重合させると、成形性は向上するものの弾性率及び耐熱性が低下してしまうのが一般的である。しかしながら、本発明のアクリル型共重合体においては、用いるアクリル型モノマーの中で最も高い常温弾性率及び耐熱性を有する重合体をもたらすものと同等の高弾性率及び高耐熱性を低下させることなく、課題である成形性のみが向上しており、これは驚くべきことである。
本発明によれば、PMMAと同等の常温弾性率を有しかつPMMAよりも耐熱性が高く、しかも熱分解温度以下の温度で適度に軟化するため成形性にも優れたアクリル型樹脂を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のアクリル型共重合体の合成に用いるモノマー成分である第一のアクリル型モノマー及び第二のアクリル型モノマーについて説明する。
本発明において用いる第一のアクリル型モノマーは、下記一般式(1):
Figure 0004281114
で表されるものである。
そして、上記式(1)中のR及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置換していてもよい)から成る群から選択される基である。
ここでいう主鎖とは、その脂肪族基を構成する最も長い鎖をいう。このような主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピルが挙げられ、中でもメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルが好ましい。第一のアクリル型モノマーとして主鎖を構成する炭素原子の数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するものを用いると、得られる共重合体の常温弾性率が低下する。
なお、R及びRが共に脂肪族炭化水素基の場合は、両者がメチル、エチル、イソプロピル及びt−ブチルからなる群から選択される基であることが特に好ましい。R及びRが共に脂肪族炭化水素基の場合、それらの主鎖を構成する炭素原子の数が3以上であると、得られる共重合体の常温弾性率が低下する傾向にある。
また、前記脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部(好ましくは全炭素原子の50%以下)が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換していてもよく、そのような脂肪族基としては、1−メトキシプロピル、(1−メチルチオ)エチル、ジメチルエチルシリル、ジメチルアミノメチル等が挙げられる。
さらに、縮合数が3以下の芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、キノリルが挙げられる。第一のアクリル型モノマーとして縮合数が4以上の芳香族炭化水素基を有するものを用いると、得られる共重合体の高温における弾性率が高くなり過ぎて成形性が低下する。
また、このような芳香族炭化水素基に前記の脂肪族炭化水素基又は脂肪族基が置換基として結合していてもよく、そのような置換基を有する芳香族炭化水素基としては、イソプロピルフェニル、エチルナフチル、メトキシアントリル、ジメチルアミノフェナントリル、メチルキノリル等が挙げられる。
前記式(1)中のR及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置換していてもよい)から成る群から選択される基であるが、重合反応性がより向上するという観点から水素原子であることが特に好ましい。
本発明のアクリル型共重合体においては、前記第一のアクリル型モノマーが得られる共重合体中の全モノマー単位の50〜99重量%となるように配合されることが必要であり、50〜95重量%となるように配合されることがより好ましい。前記第一のアクリル型モノマーの配合割合が50重量%未満では得られる共重合体の常温弾性率及び耐熱性が低下してしまい、他方、99重量%を超えると得られる共重合体における成形性の向上が十分に達成されない。なお、本発明にかかる第一のアクリル型モノマーとしては、1種類のものを用いてもよく、或いは2種類以上のものを混合して用いてもよい。
本発明において用いる第二のアクリル型モノマーは、下記一般式(2):
Figure 0004281114
で表されるものである。
そして、上記式(2)中のR及びRは同一でも異なっていてもよく、R及びRのうちの少なくとも一方は、主鎖を構成する炭素原子の数が4〜60の脂肪族炭化水素基、及び、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換している脂肪族基からなる群から選択される基である。
このような主鎖を構成する炭素原子の数が4〜60の脂肪族炭化水素基としては、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−デセニル、ラウリル、ミリスチル、ミリストレイル、n−ペンタデシル、n−ペンタデセニル、パルミチル、パルミトレイル、n−ヘキサデカジエニル、n−ヘキサデカトリエニル、n−ヘキサデカテトラエニル、n−ヘプタデカニル、n−ヘプタデセニル、ステアリル、オレイル、リノーリル、α−リノレニル、γ−リノレニル、n−オクタデカテトラエニル、アラキジニル、n−イコセニル、n−イコサジエニル、n−イコサトリエニル、n−イコサテトラエニル、アラキドニル、n−イコサペンタエニル、n−ヘンイコサペンタデセニル、ベヘニル、n−ドコセニル、n−ドコサジエニル、n−ドコサテトラデセニル、n−ドコサペンタエニル、n−ドコサヘキサエニル、リグノセリニル、テトラコセニルが挙げられ、中でもn−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ラウリル、n−ペンタデシル、ステアリル等の主鎖を構成する炭素原子の数が20以下のものが好ましい。第二のアクリル型モノマーとして主鎖を構成する炭素原子の数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するものを用いないと、得られる共重合体における成形性の向上が達成されない。他方、第二のアクリル型モノマーとして主鎖を構成する炭素原子の数が60を超える脂肪族炭化水素基を有するものを用いると、得られる共重合体の常温弾性率及び耐熱性が低下する。
また、前記脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部(好ましくは全炭素原子の50%以下)が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換していてもよく、そのような脂肪族基としては、2−エトキシエチル、3−エトキシデシル、2−メチルチオヘキシル、5−トリメチルシリルペンチル、5−ジメチルアミノオクチル等が挙げられる。
さらに、前記のR及びRのうちの残りは、脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置換していてもよい)から成る群から選択される基である。
前記式(2)中のR及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子又は窒素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置換していてもよい)から成る群から選択される基であるが、重合反応性がより向上するという観点から水素原子であることが特に好ましい。
本発明のアクリル型共重合体においては、前記第二のアクリル型モノマーが得られる共重合体中の全モノマー単位の1〜50重量%となるように配合されることが必要であり、主鎖を構成する炭素原子の数が6〜7の脂肪族炭化水素基を有する場合は1〜40重量%となるように配合されることがより好ましく、主鎖を構成する炭素原子の数が8〜60の脂肪族炭化水素基を有する場合は1〜30重量%となるように配合されることがより好ましい。前記第二のアクリル型モノマーの配合割合が前記上限を超えると得られる共重合体の常温弾性率及び耐熱性が低下してしまい、他方、前記下限未満では得られる共重合体における成形性の向上が十分に達成されない。なお、本発明にかかる第二のアクリル型モノマーとしては、1種類のものを用いてもよく、或いは2種類以上のものを混合して用いてもよい。
このように第二のアクリル型モノマーを2種類以上用いる場合、得られる共重合体中の全モノマー単位にしめる第二のアクリル型モノマーの好ましい割合は、以下の式によって示される。すなわち、第二のアクリル型モノマーnを1種類だけ配合する際の好ましい配合割合をX重量%)、共重合する全ての第二のアクリル型モノマー中に含まれるnの割合をY重量%)とすると、それらの好ましい配合割合は以下の式:
×Y/100+X×Y/100+・・・・+X×Y/100
で計算される値以下ということになる。

本発明のアクリル型共重合体は、前述の第一のアクリル型モノマーと第二のアクリル型モノマーとを共重合せしめて成るものであるが、本発明のアクリル型共重合体を合成する際の重合方法としては公知の方法を用いることができる。このような本発明に適用可能な公知の重合方法としては、例えば、エマルジョン重合法、ラジカル重合法、アニオン重合法等が挙げられ、その際に用いられる重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、n−ブチルリチウム等)、溶剤(キシレン、トルエン、イソプロパノール、水等)等としても公知のものが適宜選択して用いられる。
また、重合反応における諸条件も特に制限されず、採用する重合方法に沿って適宜設定されるが、一般的には、重合開始剤の含有量はモノマーに対して0.01〜10mol%程度、モノマー濃度は10〜100wt%程度、雰囲気は窒素等の不活性ガス雰囲気、反応温度は−100〜100℃程度、反応時間は1〜48時間程度の諸条件が採用され得る。
前述の第一のアクリル型モノマーと第二のアクリル型モノマーとを共重合せしめて成る本発明のアクリル型共重合体は、下記一般式(3):
Figure 0004281114
[式(3)中のR〜Rは、前述の式(1)中のR〜R及び式(2)中のR〜Rと同義である。]
で表わされるものであり、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよいが、第二のアクリル型モノマーの単独重合体の特性(低常温弾性率、低耐熱性)を、アクリル型共重合体が示さないようにするという観点からランダム共重合体であることが好ましい。
また、本発明のアクリル型共重合体の分子量として好ましい範囲は、数平均分子量で10000〜500000、より好ましくは10000〜200000である。本発明のアクリル型共重合体の数平均分子量が10000より低いと成形体が脆くなる傾向にあり、他方、500000より高いと成形しにくくなる傾向にある。
このような本発明のアクリル型共重合体によれば、25℃における貯蔵弾性率が好ましくは1×10Pa以上であるという高水準の常温弾性率と、250℃における貯蔵弾性率が好ましくは1×10Pa以下であるという優れた成形性とが同時に達成される。
本発明のアクリル型共重合体は上述のように250℃における貯蔵弾性率が好ましくは1×10Pa以下であるという優れた成形性を有しているため、成形体を製造する樹脂材料として優れている。本発明のアクリル型共重合体から成る成形体を得る際の諸条件は特に制限されないが、270℃を超える温度になると熱分解し易くなる傾向にあることから、成形温度は180〜260℃程度が好ましい。
また、本発明のアクリル型共重合体から成る成形体を製造するに際し、その成形方法は特に制限されず、射出成形、プレス成形、押出成形、紡糸等のいずれの成形方法にも好適に使用することができる。
さらに、本発明のアクリル型共重合体においては、その特性を損なわない限りにおいて、充填剤、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤、末端封止剤等の添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤の含有量は、本発明のアクリル型共重合体中において、30重量%以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
アクリル型モノマーの合成
先ず、下記反応式(4)に示すル−トによりα−アセトキシアクリル酸エチル、α−アセトキシアクリル酸プロピルを、下記反応式(4’)に示すルートによりα−ベンゾイロキシアクリル酸エチルを、下記反応式(5)に示すル−トによりα−アセトキシアクリル酸ブチル、α−アセトキシアクリル酸オクチル、α−アセトキシアクリル酸ステアリル、α−アセトキシアクリル酸2−エトキシエチルを、下記反応式(5’)に示すル−トによりα−オクタノイロキシアクリル酸エチルをそれぞれ合成した。ただし、α−アセトキシアクリル酸エチル、α−ベンゾイロキシアクリル酸エチル、α−オクタノイロキシアクリル酸エチルについては、合成中間体であるピルビン酸エチルが市販されているので、ピルビン酸エチルを出発原料として使用した。
Figure 0004281114
Figure 0004281114
Figure 0004281114
Figure 0004281114
(a)α−アセトキシアクリル酸エチル
ピルビン酸エチル(315g,2.7mo1)と無水酢酸(554g,5.4mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(8g)を加え窒素気流下、120℃で24時間攪拌した。反応溶液から減圧下(40〜50mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、減圧蒸留(35〜40mmHg,90〜103℃)によりα−アセトキシアクリル酸エチル(250g,収率58%)を得た。
(b)α−アセトキシアクリル酸プロピル
ピルビン酸(440g,5.0mo1)とn−プロパノール(300g,5.0mo1)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で16時間加熱還流した。反応により系中に水が生成するが、Dean−Stark trapを用いて取り除いた。反応溶液を室温に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下でトルエンを取り除いた。残渣を減圧蒸留(40mmHg、85〜90℃)により精製し、ピルビン酸プロピル(400g、収率62%)を得た。
さらに、得られたピルビン酸プロピル(195g,1.5mo1)と無水酢酸(306g,3.0mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加え窒素気流下、120℃で25時間攪拌した。反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、減圧蒸留(2mmHg,50〜55℃)によりα−アセトキシアクリル酸プロピル(180g、収率69%)を得た。
(c)α−ベンゾイロキシアクリル酸エチル
ピルヒン酸エチル(174g,1.5mo1)に、0℃で攪拌しながらピリジン(120g,1.5mo1)を滴下した。10分間0℃で攪拌した後に、塩化ベンゾイル(210g,1.5mo1)をゆっくりと滴下した。反応溶液を室温に戻した後、48時間攪拌した。反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とジエチルエーテルを加え、分液ロ−トを用いて有機層を分離した。水層に再度ジエチルエーテルを加えて、有機物を抽出した。得られた有機層を混合し、硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、硫酸ナトリウムをろ過により取り除き、溶媒を減圧下でエバポレーターを用いて取り除いた。濃縮物を減圧下で蒸留を行うことにより(1mmHg,92〜102℃)、α−ベンゾイロキシアクリル酸エチル(180g、収率54%)を得た。
(d)α−アセトキシアクリル酸ブチル
ピルビン酸(440g,5.0mo1)とn−ブタノール(371g,5.0mo1)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で16時間加熱還流した。反応により系中に水が生成するが、Dean−Stark trapを用いて取り除いた。反応溶液を室温に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下でトルエンを取り除いた。残渣を減圧蒸留(40mmHg、93〜100℃)により精製し、ピルビン酸ブチル(505g、収率70%)を得た。
さらに、得られたピルビン酸ブチル(235g,1.6mo1)と無水酢酸(333g,3.3mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加え窒素気流下、120℃で25時間攪拌した。反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、減圧蒸留(2mmHg,56〜63℃)によりα−アセトキシアクリル酸ブチル(200g、収率67%)を得た。
(e)α−アセトキシアクリル酸オクチル
ピルビン酸(440g,5.0mo1)とn−オクタノール(651g,5.0mo1)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で16時間加熱還流した。反応により系中に水が生成するが、Dean−Stark trapを用いて取り除いた。反応溶液を室温に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下でトルエンを取り除いた。残渣を減圧蒸留(2mmHg、82〜92℃)により精製し、ピルビン酸オクチル(762g、収率76%)を得た。
さらに、得られたピルビン酸オクチル(300g,1.5mo1)と無水酢酸(306g,3.0mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加え窒素気流下、120℃で27時間攪拌した。反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、減圧蒸留(1mmHg以下,80〜102℃)によりα−アセトキシアクリル酸オクチル(215g、収率59%)を得た。
(f)α−アセトキシアクリル酸ステアリル
ピルビン酸(220g,2.5mo1)とステアリルアルコール(675g,2.5mo1)とp−トルエンスルホン酸一水和物(1.2g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で16時間加熱還流した。反応により系中に水が生成するが、Dean−Stark trapを用いて取り除いた。反応溶液を室温に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下でトルエンを取り除いた。残渣を高真空下での蒸留(110〜120℃)により精製し、ピルビン酸ステアリル(512g、収率80%)を得た。
さらに、得られたピルビン酸ステアリル(256g,1.0mo1)と無水酢酸(204g,2.0mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(3g)を加え窒素気流下、120℃で24時間攪拌した。反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、高真空下での減圧蒸留によりα−アセトキシアクリル酸ステアリル(200g、収率67%)を得た。
(g)α−アセトキシアクリル酸2−エトキシエチル
ピルビン酸(440g,5.0mo1)と2−エトキシエタノール(450g,5.0mo1)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で16時間加熱還流した。反応により系中に水が生成するが、Dean−Stark trapを用いて取り除いた。反応溶液を室温に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下でトルエンを取り除いた。残渣を減圧蒸留(40mmHg、100〜105℃)により精製し、ピルビン酸2−エトキシエチル(544g、収率68%)を得た。
さらに、得られたピルビン酸2−エトキシエチル(240g,1.5mo1)と無水酢酸(300g,3.0mo1)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加え窒素気流下、120℃で24時間攪拌した。反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除き、その後、減圧蒸留(2mmHg,65〜70℃)によりα−アセトキシアクリル酸2−エトキシエチル(150g、収率50%)を得た。
(h)α−オクタノイロキシアクリル酸エチル
ピルビン酸エチル(174g,1.5mo1)に、0℃で攪拌しながらピリジン(120g,1.5mo1)を滴下した。10分間0℃で攪拌した後に、塩化オクタノイル(243g,1.5mo1)をゆっくりと滴下した。反応溶液を室温に戻した後、48時間攪拌した。反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とジエチルエーテルを加え、分液ロートを用いて有機層を分離した。水層に再度ジエチルエーテルを加えて、有機物を抽出した。得られた有機層を混合し、硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、硫酸ナトリウムをろ過により取り除き、溶媒を減圧下でエバポレーターを用いて取り除いた。濃縮物を減圧下で蒸留を行うことにより(1mmHg,95〜100℃)、α−オクタノイロキシアクリル酸エチル(126g、収率34%)を得た。
比較例1)α−アセトキシアクリル酸エチルの単独重合体
α−アセトキシアクリル酸エチル(100g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(モノマーに対して0.4mol%)とを所定量のキシレンに溶解した(モノマー濃度:62.5wt%)。得られた溶液に10分間窒素バブリングを行った後に、窒素気流下において60℃で10時間攪拌して重合反応を進行せしめた。得られた反応溶液をジクロロメタン(300ml)に溶解し、メタノール(5L)にゆっくりと滴下した。沈殿した白色の重合体をろ過により採取し、一晩真空乾燥することにより、α−アセトキシアクリル酸エチルの単独重合体を得た。得られた単独重合体の数平均分子量(Mn)は80,000、重量平均分子量(Mw)は140,000であった。
実施例1)α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ブチルの共重合体
α−アセトキシアクリル酸エチル(60g)とα−アセトキシアクリル酸ブチル(40g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(モノマーに対して0.4mol%)とを所定量のキシレンに溶解した(モノマー濃度:80wt%)。得られた溶液に10分間窒素バブリングを行った後に、窒素気流下において60℃で10時間攪拌して重合反応を進行せしめた。得られた反応溶液をジクロロメタン(300ml)に溶解し、メタノール(5L)にゆっくりと滴下した。沈殿した白色の重合体をろ過により採取し、一晩真空乾燥することにより、α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ブチルの共重合体(重量比60:40)を得た。得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は80,000、重量平均分子量(Mw)は160,000であった。
実施例2)α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体
α−アセトキシアクリル酸エチル(80g)とα−アセトキシアクリル酸オクチル(20g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(モノマーに対して0.4mol%)とを所定量のキシレンに溶解した(モノマー濃度:80wt%)。得られた溶液に10分間窒素バブリングを行った後に、窒素気流下において60℃で10時間攪拌して重合反応を進行せしめた。得られた反応溶液をジクロロメタン(300ml)に溶解し、メタノール(5L)にゆっくりと滴下した。沈殿した白色の重合体をろ過により採取し、一晩真空乾燥することにより、α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体(重量比80:20)を得た。得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は90,000、重量平均分子量(Mw)は190,000であった。
実施例3)α−アセトキシアクリル酸プロピルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−アセトキシアクリル酸プロピルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体(重量比80:20)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は100,000、重量平均分子量(Mw)は190,000であった。
実施例4)α−ベンゾイロキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ブチルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−ベンゾイロキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ブチルの共重合体(重量比60:40)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は85,000、重量平均分子量(Mw)は160,000であった。
実施例5)α−ベンゾイロキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−ベンゾイロキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸オクチルの共重合体(重量比80:20)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は90,000、重量平均分子量(Mw)は170,000であった。
実施例6)α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ステアリルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸ステアリルの共重合体(重量比85:15)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は90,000、重量平均分子量(Mw)は190,000であった。
実施例7)α−アセトキシアクリル酸エチルとα−オクタノイロキシアクリル酸エチルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−アセトキシアクリル酸エチルとα−オクタノイロキシアクリル酸エチルの共重合体(重量比75:25)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は80,000、重量平均分子量(Mw)は150,000であった。
実施例8)α−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸2−エトキシエチルの共重合体
実施例1と同じ方法によりα−アセトキシアクリル酸エチルとα−アセトキシアクリル酸2−エトキシエチルの共重合体(重量比80:20)を作製した。共重合体の数平均分子量(Mn)は100,000、重量平均分子量(Mw)は200,000であった。
(粘弾性測定)
実施例1〜8で合成した共重合体、比較例1で合成した単独重合体、及びPMMA(クラレ社製、商品名:パラペットG1000)について、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製、商品名:DVA−220)を用いて種々の温度における貯蔵弾性率(粘弾性)を測定した。得られた結果を図1及び表1に示す。
図1及び表1に示した結果から明らかなように、α−アセトキシアクリル酸エチルの単独重合体は、PMMAよりも耐熱性が高かったが、高温になっても軟化(貯蔵弾性率が1×10Pa以下)せず、270℃以上で熱分解が始まった。それに対して、実施例1〜8で合成した共重合体はいずれも、α−アセトキシアクリル酸エチルの単独重合体とほぼ同等の室温付近の弾性率(常温弾性率)及び耐熱性を示しながらも、高温かつ共重合体の分解温度以下の温度(250℃)における貯蔵弾性率が1×10Pa以下となった。これらの共重合体は、実際に、通常の成形方法(射出成形等)により成形が可能であった。
Figure 0004281114
*:溶融しないため測定不可
表中の貯蔵弾性率の単位はPa。
(熱分解性測定)
実施例1で合成した共重合体及びPMMA(クラレ社製、商品名:パラペットG1000)について、熱分解特性測定装置(リガク社製、商品名:Thermo Plus TG8120)を用いて熱分解特性を測定した。得られた結果を図2に示す。
図2に示した結果から明らかなように、PMMAでは170℃から熱分解が始まるのに対して、実施例1で合成した共重合体では270℃以上にならないと熱分解が始まらなかった。このことからも、本発明のアクリル型共重合体はPMMAよりも耐熱性が高いことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、PMMAと同等の常温弾性率を有しかつPMMAよりも耐熱性が高く、しかも熱分解温度以下の温度で適度に軟化するため成形性にも優れたアクリル型樹脂(アクリル型共重合体)を得ることが可能となる。
本発明のアクリル型共重合体は、常温弾性率及び耐熱性が高くかつ成形性に優れた透明な樹脂材料であるため、透明性が必要な用途はもちろん、顔料等を添加することにより不透明性が必要な用途にも使用することが可能である。したがって、本発明のアクリル型共重合体は、自動車用部品(樹脂ガラス、ランプカバー等の透明部品、インストルメントパネル、カーペット、天井用材料等の内装用部品)、樹脂ガラス、飲料用容器、電化製品の筐体、光導波路用材料、光ケーブル、光通信用ケーブル、カーペット、洋服等のための繊維、樹脂ネジ、樹脂ナット、電子基盤等に用いる樹脂材料として非常に有用である。
実施例1〜2で合成した共重合体、比較例1で合成した単独重合体及びPMMAについての動的粘弾性測定の結果を示すグラフである。 実施例1で合成した共重合体及びPMMAについての熱分解特性測定の結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0004281114
    [式(1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基から成る群から選択される基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、及び、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下の脂肪族炭化水素基から成る群から選択される基を示す。]
    で表される第一のアクリル型モノマーと、
    下記一般式(2):
    Figure 0004281114
    [式(2)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、R及びRのうちの少なくとも一方は、主鎖を構成する炭素原子の数が4〜60の脂肪族炭化水素基、及び、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基からなる群から選択される基を示し、R及びRのうちの残りは、脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、及び、前記脂肪族炭化水素基又は前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基から成る群から選択される基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、及び、脂肪族炭化水素基から成る群から選択される基を示す。]
    で表される第二のアクリル型モノマーと、
    から少なくとも成るアクリル型共重合体であって、該共重合体中の全モノマー単位の50〜99重量%が前記第一のアクリル型モノマーであることを特徴とするアクリル型共重合体。
  2. 前記R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル及び2−メチルプロピルから成る群から選択される基であり、前記R及びRは水素原子であり、前記R及びRは同一でも異なっていてもよく、R及びRのうちの少なくとも一方は、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−デセニル、ラウリル、ミリスチル、ミリストレイル、n−ペンタデシル、n−ペンタデセニル、パルミチル、パルミトレイル、n−ヘキサデカジエニル、n−ヘキサデカトリエニル、n−ヘキサデカテトラエニル、n−ヘプタデカニル、n−ヘプタデセニル、ステアリル、オレイル、リノーリル、α−リノレニル、γ−リノレニル、n−オクタデカテトラエニル、アラキジニル、n−イコセニル、n−イコサジエニル、n−イコサトリエニル、n−イコサテトラエニル、アラキドニル、n−イコサペンタエニル、n−ヘンイコサペンタデセニル、ベヘニル、n−ドコセニル、n−ドコサジエニル、n−ドコサテトラデセニル、n−ドコサペンタエニル、n−ドコサヘキサエニル、リグノセリニル及びテトラコセニルから成る群から選択される基であり、前記R及びRは水素原子であることを特徴とする請求項1記載のアクリル型共重合体。
  3. 数平均分子量が10000〜500000であることを特徴とする請求項1又は2記載のアクリル型共重合体。
  4. 25℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以上であり、かつ、250℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のアクリル型共重合体。
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