JP5722054B2 - α−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

α−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラジカル重合性モノマーとして光学部材を始め種々の用途への応用が期待されるα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法及びそれによって得られるα−アシロキシアクリル酸エステルに関する。
α−アシロキシアクリル酸エステルは良好なラジカル重合性を有し、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどのビニルモノマーと共重合可能な化合物である。その構造的特徴として、同一炭素上に逆の極性官能基、すなわち電子吸引性基(アルコキシカルボニル基)と電子供与性基(アシロキシ基)を併せ持つ。この様な置換形態は一般にキャプトデイティブ(Captodative)構造と呼ばれ、該炭素上に発生したラジカルを安定化する効果が知られている。例えば、α−アセトキシアクリル酸エステルは自己重合性や立体選択性といった、単純な電子吸引性基置換型オレフィンや電子供与性基置換型オレフィンには無い特徴的な重合特性を示すが、これらは主にキャプトデイティブ効果に由来するものと考えられている。
一方でα−アシロキシアクリル酸エステルの重合体に関しては、種々の優れた特性を有することが開示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。それによると、α-アシロキシアクリル酸エステルの重合体は光透過性、耐熱分解性に優れ、耐熱性有機ガラスとしての応用が期待できるほか、耐溶剤性や高屈折率といった特性も併せ持つ樹脂が得られることから各種用途へ展開可能なエンジニアリングプラスチックとして期待されるものである。
ところで、α−アシロキシアクリル酸エステルを製造する方法としては、ピルビン酸エステル類と無水酢酸や酢酸イソプロペニルのようなアシル化剤とを酸触媒の存在下に反応させる合成ルートが古くから知られている(例えば、非特許文献2参照。)。また、酸触媒として強酸性陽イオン交換樹脂やヘテロポリ酸のような固体触媒を用いてα−アシロキシアクリル酸エステルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
特開2005−255991公報(第1−2頁) 特開2009−235006号公報(第1−2頁) 特開2009−255023号公報(第1−2頁)
H.Tanaka、「ジャーナル オブ マテリアルズ サイエンス レターズ(Journal of Materials Science Letters)」、1994年、第13巻、p.545−546 Thomas M.Laakso、外1名、「インダスリアル アンド エンジニアリング ケミストリー(Industrial and Engineering Chemistry)」、1958年、第50巻、p.1119−1123
上述のように、α−アシロキシアクリル酸エステルは、モノマー特性として、良好なラジカル重合性、(メタ)アクリル系モノマーを始め種々の汎用モノマーと共重合可能、Captodative構造に由来する重合特性等を挙げることができ、また、ポリマー特性として、光透過性、屈折率、耐熱性、耐溶剤性等の優れた特性を挙げることができる。
このようにα−アシロキシアクリル酸エステルは、特徴的なラジカル重合性モノマーとして種々の用途への展開が期待されることから、工業的な生産手法の確立が求められるところである。α−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法に関して、これまでの製造方法を示せば下記反応式のようになる。なお、下記反応式中、Acは、アセチル基を表している。
Figure 0005722054
すなわち、ピルビン酸エステルのケト−エノール互変異性体に無水酢酸を反応させてα−アシロキシアクリル酸エステルを得ることができる。しかしながら、ピルビン酸エステルを用いる従来の合成ルートにおいては、工業的な生産性の観点から種々の課題を抱えるものであった。例えば、非特許文献2のように、酸触媒を用いてピルビン酸エステル類をアシル化することでα−アシロキシアクリル酸エステルを合成した場合には、収率が低く、また、原料となるピルビン酸エステル類がアベイラビリティー(入手の可能性)に乏しいこと、などの問題があり実用的ではなかった。このように、ピルビン酸エステル及びその誘導体は、入手が困難な汎用性に乏しい化合物であり、例えば、上記反応式中のRが水素原子の場合に必要なピルビン酸自体は入手することができず、また、Rが違う種々のピルビン酸エステルを入手することは更に困難であった。また、特許文献2や特許文献3のように、精製工程の簡略化や反応収率の改善を目的としてイオン交換樹脂やヘテロポリ酸などの固体触媒を用いた例も開示されているが、上記問題点については未だ解決に至っていない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、汎用化学品を出発原料として用いることができるようにすることによって、製造コスト、原料アベイラビリティーの点で優れた製法とし、また、原料化合物の種類を選択することができるようにすることによって、種々のα−アシロキシアクリル酸エステルを同一の合成ルートで製造できるα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法及びそれによって得られるα−アシロキシアクリル酸エステルを提供することを目的とする。
本発明者は、種々の用途への応用が期待され、工業的な有用性が増す可能性が大いにあるα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法について鋭意検討したところ、α−アシロキシアクリル酸エステルを工業的に生産して供給するためには、従来の製法のようにピルビン酸エステル類のアシル化反応を経由する合成ルートでは達成が困難であり、その原因が出発原料であるピルビン酸エステル類に起因していることから、汎用化学品を出発原料として用いることができないかということに着目した。その結果、アクリル酸エステル類の酸化により容易に製造可能なグリシド酸エステル類を触媒の存在下、または非存在下にアシル化剤と反応させることにより、α−アシロキシアクリル酸エステルを高収率で製造できることを見出した。このような反応原料を用いるα−アシロキシアクリル酸エステルの合成に関する先行例は見つかっておらず、合成ルート自体が新規であり、高収率で目的のα−アシロキシアクリル酸エステルが得られるうえ、汎用化学品であるアクリル酸エステル類を出発原料として用いることができるため、製造コスト、原料アベイラビリティーの点で従来法より優れた製法である。また、工業原料として入手できるアクリル酸エステル類の種類を選べば、エステル部分の異なるα−アシロキシアクリル酸エステルを同一の製法で製造できるというメリットもある。
このような本発明の製造方法は、その合成ルートにおける反応機構からすれば、反応原料として種々の基質を用いることが可能であることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。本発明の製造方法は、様々なα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法として工業的に大きな技術的意義を持つものである。
また本発明の製造方法によって得られるα−アシロキシアクリル酸エステルは、上記したようなモノマー特性、ポリマー特性を有することとなり、従来法によって得られたものよりも、製造コスト、工業的に製造できる化合物の種類の豊富さ等の点で優れたものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1);
Figure 0005722054
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるグリシド酸エステル類を用いて、下記一般式(2);
Figure 0005722054
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。Yは、アシル基を表す。)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る工程を含むα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法は、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を用いて、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る工程を含むものであるが、該合成工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。また、本発明の製造方法においては、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。更に、本発明の製造方法は、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を用いて行われる限り、その他の成分を含んで行われてもよいが、後述するように、更にアシル化剤を含んでいることが好ましい。すなわち、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを用いて、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る工程を含むα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記合成工程における反応としては、反応原料として一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を用いて、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得ることができれば一段階の反応であってもよいし、多段階の反応であってもよい。上記一段階の反応とは、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させて一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る反応を表している。また、上記多段階の反応としては、例えば、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアルコールとを反応させた後、該反応によって得られた化合物とアシル化剤とを反応させて一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る反応等が挙げられる。これらの中でも、一段階の反応で行われるため反応工程数が少なくなることから、製造コスト等の工業的生産の観点から、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させて一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る反応が好ましい。すなわち、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程を含むα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる反応は、図1のような反応機構によって進行すると考えられる。すなわち、アシル化剤がグリシド酸エステル類におけるエポキシ環を構成する酸素原子を攻撃し、エポキシ環の開環が起こって、反応中間体が生成する。その後、該反応中間体からR及びRにより置換されている炭素原子に結合しているアシロキシ基(−O−Y)が脱離して、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルが生成するものと考えられる。
なお、図1中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。Yは、アシル基を表す。−O−Yは、アシロキシ基を表し、YOHは、カルボン酸を表す。
上記Rは、炭素数1〜30の有機基を表すが、例えば、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基;炭素数3〜30の環状アルキル基;炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルケニル基;炭素数3〜30の環状アルケニル基;炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキニル基;炭素数6〜30のアリール基;ヒドロキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアリールオキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基又はアリールカルボニルオキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基又はアリールカルボニル基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;シアノ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基によって置換されたカルボニル基;炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基によって置換されたオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数3〜30の環状アルキル基、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルケニル基、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基である。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−、i−又はt−ブチル基、n−、s−又はt−アミル基、ネオペンチル基、n−、s−又はt−ヘキシル基、n−、s−又はt−ヘプチル基、n−、s−又はt−オクチル基、2−エチルヘキシル基、カプリル基、n−、s−、i−又はt−ノニル基、n−、s−、i−又はt−デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、ベンジル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチル−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、シクロペンテニル基、シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルメチル基、4−メチルシクロヘキセニル基、4−t−ブチルシクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、ジシクロペンテニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−の各種トリル基、o−、m−、p−の各種メトキシフェニル基、o−、m−、p−の各種キシリル基、ヘミメリチル基、クメニル基,プソイドクメニル基、メシチル基、ジュニル基、ペンタフェニメチル基、エチルフェニル基,クメニル基、スチリル基、ビフェニル基、p−テルフェニル基,ジフェニルメチルフェニル基、フェノキシフェニル基、ビベンジリル基、スチルベニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
上記Rとしては、上述したものの中でも、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−、i−又はt−ブチル基、n−、s−又はt−アミル基、ネオペンチル基、n−、s−又はt−ヘキシル基、n−、s−又はt−ヘプチル基、n−、s−又はt−オクチル基、2−エチルヘキシル基、カプリル基、n−、s−、i−又はt−ノニル基、n−、s−、i−又はt−デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチルブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、シンナミル基、ナフチル基、アントラニル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトシキエトキシエチル基、3−メトキシブチル基、エトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、シクロペントキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、シクロペントキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基、フェノキシエチル基、フェノキシエトキシエチル基、グリシジル基、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基、2−オキセタンメチル基、3−メチル−3−オキセタンメチル基、3−エチル−3−オキセタンメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサゾラニル基、ジオキサニル基であることが好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
上記一般式(1)におけるR及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。上記R及び/又はRが炭素数1〜30の有機基である場合、そのような有機基としては、上記Rと同様のものが挙げられる。
上記R及びRとしては、これらの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、フェニル基、トリル基、o−、m−、p−の各種キシリル基、ビフェニル基、テルフェニル基,フェノキシフェニル基、ビベンジリル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基であり、最も好ましくは、R、Rが共に、水素原子であることである。
上記アシル化剤としては、アシル化反応によって、化合物にアシル基を導入することができるものであれば特に制限されないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等の有機酸;無水酢酸、無水プロピオン酸等の有機酸の酸無水物;塩化アセチル、塩化プロピオニル等の酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも、酢酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、塩化アセチルが好ましく、より好ましくは、酢酸、無水酢酸、無水プロピオン酸であり、更に好ましくは、無水酢酸である。
上記アシル化剤は、これらアシル化剤を1種含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程における、上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤との配合割合は、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類及びアシル化剤の種類の組み合わせにより適宜設定することができるが、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とのモル比が、10/1〜1/50であることが好ましい。このような範囲の配合割合であると、円滑な反応の進行が望める。より好ましくは、5/1〜1/10であり、更に好ましくは、2/1〜1/5である。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程は、触媒を用いて行ってもよい。上記触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛トリフラート、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、酢酸ランタン、塩化ランタン、ランタントリフラート、酢酸アルミニウム、アルミニウムトリフラート、酢酸鉄、塩化鉄(III)、鉄トリフラート、塩化スズ(II)等のルイス酸性金属塩;1−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−アザビシクロ[3,2,1]オクタン、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン、1−アザビシクロ[2,3,2]ノナン、1−アザビシクロ[3,3,0]オクタン、1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン、キヌクリジン、ピロリジン、ピロコリジン、ルピナン、キヌクリジノン、3−ヒドロキシキヌクリジン、キノリジン,N−メチルピロリジン、N−メチルピロリン、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N’−メチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、アニシジン、トルイジン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、3,5−ジメチルピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン等の環状3級アミン化合物等が挙げられる。
上記触媒は、これら触媒を1種含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
上記触媒の使用量としては、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類100モル%に対して、0〜10モル%であることが好ましい。触媒の使用量が10モル%より多く使用しても、それ以上の触媒活性の向上が見込めず、経済的に不利となる場合がある。より好ましくは、0〜5モル%であり、更に好ましくは、0〜1モル%である。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程は、溶媒中で行ってもよい。上記溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニトリルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸i−プロピル、酢酸t−ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1−クロロブタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等の有機ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタンを用いることが好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
上記溶媒の使用量としては、特に制限されないが、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類100質量%に対して、10000〜0質量%であることが好ましい。より好ましくは、1000〜0質量%であり、更に好ましくは、100〜0質量%である。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程においては、図1に示した通り、反応中間体から、目的生成物であるα−アシロキシアクリル酸エステルが生成する際に、アシル化剤に由来するカルボン酸や塩酸等が副生する場合には、該カルボン酸や塩酸等を中和するための中和剤を用いることが好ましい。中和剤を用いて副生してくるカルボン酸や塩酸等を中和することにより反応系が酸性側に傾くのを防ぎ、これにより、目的生成物が分解するのを抑えることが可能となる。
上記中和剤としては、副生するカルボン酸を中和して反応系が酸性側に傾くのを防ぐことができれば、特に制限されないが、例えば、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピロリジン、N−エチルピペリジン等のアミン類が挙げられる。これらの中でも、ピリジン、トリエチルアミンが好ましい。
上記中和剤としては、これら中和剤を1種含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。なお、上記副生するカルボン酸が蒸気圧を有する場合は減圧蒸発等の操作により該カルボン酸を系外へ留去することにより、上記中和操作と同じく反応系が酸性に傾くことを防ぐことが可能であり、このような形態も好ましい形態の1つである。
上記中和剤の使用量としては、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類100モル%に対して、0〜1000モル%であることが好ましい。中和剤の使用量がこのような範囲であると、反応系が酸性側に傾くのを防ぎ、目的生成物が分解するのを充分に抑制することが可能となる。より好ましくは、0〜500モル%であり、更に好ましくは、0〜400モル%である。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させる工程における反応温度は、0〜150℃であることが好ましい。反応温度が0℃よりも低いと、反応時間が長くなり過ぎて反応を効率的に行うことが困難になる恐れがある。一方、反応温度が150℃よりも高いと、得られた目的生成物が重合してしまう恐れがある。反応温度としてより好ましくは、50〜120℃である。反応時間は、グリシド酸エステル類とアシル化剤との反応が完了するよう、反応温度、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類、アシル化剤、触媒、並びに、溶媒の種類や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定することができる。また、反応圧力は、特に制限されず、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下いずれの条件下で行ってもよい。
本発明の製造方法においては、上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を用いて、上記一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る工程により合成されたα−アシロキシアクリル酸エステルを精製工程により精製することが可能である。上記精製工程としては、蒸留、分留、濾過等の通常化合物の精製工程として用いられるものを用いることができる。
本発明の製造方法により得られるα−アシロキシアクリル酸エステルは、下記一般式(2);
Figure 0005722054
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。Yは、アシル基を表す。)で表されるものである。
ここで、Yは、アシル基を表すが、これは、反応に用いられたアシル化剤に由来するものである。例えば、アシル化剤として酢酸を用いた場合には、一般式(2)中の−Yは、−(CO)−CHを、プロピオン酸を用いた場合には、一般式(2)中の−Yは、−(CO)−CH−CHを、それぞれ表すこととなる。
このように、本発明の製造方法によって得られるα−アシロキシアクリル酸エステルもまた、本発明の1つである。
本発明における反応原料である一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類は、例えば、下記一般式(3);
Figure 0005722054
(式中、R、R及びRは、一般式(1)と同様である。)で表される不飽和結合含有化合物を酸化することにより合成することができる。より具体的には、一般式(1)のR及びRが水素原子、Rがメチル基であるグリシド酸メチルを合成する場合には、アクリル酸メチルを酸化することによって合成することができるものである。このように、上記グリシド酸エステルがアクリル酸エステルを酸化することによって得られるものであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上述のことから、本発明のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法における、好適な形態の1つの反応経路の概略を示せば、図2のようになる。すなわち、アクリル酸エステルを酸化することにより、グリシド酸エステルを得、得られたグリシド酸エステルを無水酢酸等のアシル化剤によってアシル化することにより、α−アセトキシアクリル酸エステル等のα−アシロキシアクリル酸エステルを合成する反応は、本発明の好適な形態の1つである。
なお、図2中、Rは、炭素数1〜30の有機基を表し、Acは、アセチル基を表している。
上記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸s−アミル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸s−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸s−オクチル、アクリル酸t−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸カプリル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸セチル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸セリル、アクリル酸メリシル、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、アクリル酸クロチル、アクリル酸1,1−ジメチル−2−プロペニル、アクリル酸2−メチルブテニル、アクリル酸3−メチル−2−ブテニル、アクリル酸3−メチル−3−ブテニル、アクリル酸2−メチル−3−ブテニル、アクリル酸オレイル、アクリル酸リノール、アクリル酸リノレン、アクリル酸シクロプロピル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロペンチルメチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルメチル、アクリル酸4−メチルシクロヘキシル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸メチルフェニル、アクリル酸ジメチルフェニル、アクリル酸トリメチルフェニル、アクリル酸4−t−ブチルフェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジフェニルメチル、アクリル酸ジフェニルエチル、アクリル酸トリフェニルメチル、アクリル酸シンナミル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸アントラニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシエトキシエチル、アクリル酸メトキシエトシキエトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸シクロペントキシエチル、アクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、アクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、アクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシエトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸β−メチルグリシジル、アクリル酸β−エチルグリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸2−オキセタンメチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタンメチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタンメチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸ジオキサゾラニル、アクリル酸ジオキサニル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸s−アミル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸s−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸s−オクチル、アクリル酸t−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸カプリル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸セチル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸セリル、アクリル酸メリシル、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、アクリル酸クロチルが好ましい。これらアクリル酸エステルは、1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記酸化反応においては酸化剤を用いて行われることが好ましい。上記酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩;過酢酸、過安息香酸、3−クロロ過安息香酸等の過カルボン酸;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩及びそれらを構成成分として含む複合塩;過酸化水素等が挙げられる。これらの中でも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩;過酢酸、過安息香酸、3−クロロ過安息香酸等の過カルボン酸;、過酢酸が好ましい。より好ましくは、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、過酸化水素であり、更に好ましくは、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素である。これら酸化剤は、1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。上記酸化反応においてはチタノシリケートゼオライト(TS−1)やポリオキソメタレート等の既知の酸化触媒を用いてもよい。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類の合成反応時における、酸化剤の使用量としては、上記一般式(3)で表される不飽和結合含有化合物100モル%に対して、100〜500モル%であることが好ましい。このような配合割合とすることによって、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を適切に合成することが可能となる。より好ましくは、100〜300モル%であり、更に好ましくは、100〜150モル%である。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類の合成反応においては、溶媒中で行ってもよく、用いられる溶媒としては、上述した本発明のα−アシロキシアクリル酸エステルを合成する際の反応において用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。それらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸i−プロピル、酢酸t−ブチル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタンが好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類の合成反応時における、溶媒の使用量としては、上記一般式(3)で表される不飽和結合含有化合物100質量%に対して、10000〜0質量%であることが好ましい。このような配合割合とすることによって、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を適切に合成することが可能となる。より好ましくは、1000〜0質量%であり、更に好ましくは、100〜0質量%である。
上記合成反応により合成された上記一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類は、合成した後、精製してから、α−アシロキシアクリル酸エステルの合成に供してもよいし、一旦精製することなく、反応系中に引き続いて、アシル化剤等のα−アシロキシアクリル酸エステル合成の際に用いる化合物を添加することによって、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを合成してもよい。上記精製工程としては、蒸留、分留、濾過等の通常化合物の精製工程として用いられるものを用いることができる。
本発明のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法は、上述の構成よりなり、汎用な化学品を反応原料に用いて高収率にα−アシロキシアクリル酸エステルを得ることができるために、α−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法として工業的に好適に用いることのできるものである。
図1は、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させた場合に進行すると考えられる推定反応機構の概略図である。 図2は、本発明のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法における、好適な形態の1つの反応経路の概略図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例及び比較例において、原料転化率、収率及び選択率は次のようにして測定し、求めた。
原料転化率と収率は、ガスクロマトグラフ(製品名「6890N」、アジレント・テクノロジー社製、キャピラリーカラム:DB−WAX(商品名、アジレント・テクノロジー社製、長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm))を使用して測定し、事前に作成した検量線を用いて定量した。
(合成例1)
グリシド酸メチルの合成
メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、滴下漏斗を備えた3L四つ口フラスコに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製、12質量%水溶液、470mL)と酢酸エチル(470mL)を入れ氷浴で0℃に冷却した。アクリル酸メチル(日本触媒社製、60g)を滴下漏斗で2時間かけて加え、1時間攪拌した後、氷浴を取り除いてさらに2時間攪拌した。反応を分液漏斗に移し、分取した油相を0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、減圧下にロータリーエバポレーターで軽沸分を留去した。続いて減圧蒸留にて精製し無色液体の目的物33g(収率46%)を得た(沸点62℃/10mmHg)。
(合成例2)
グリシド酸エチルの合成
アクリル酸メチルに代えてアクリル酸エチル(日本触媒社製、70g)を原料とした以外は合成例1と同様にして、無色液体の目的物62g(収率76%)を得た(沸点78℃/10mmHg)。
(実施例1〜6)
合成例1又は合成例2で得たグリシド酸エステル(10mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、無水酢酸(15mmol)、ピリジン(20mmol)、及び、表1に示した触媒(0.1mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。グリシド酸エステルの転化率と2−アセトキシアクリル酸エステルの収率を表1に示す。
また、表1中の略号は、以下の通りである。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン
Figure 0005722054
上記実施例の結果から、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を用いて一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを製造すると、α−アシロキシアクリル酸エステルを高収率で得ることができることが分かった。
なお、上記実施例においては、特定の一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類、アシル化剤、触媒が用いられているが、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類から一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルが得られる推定反応機構は図1に示した通りであり、一般式(1)で表されるグリシド酸エステル類を原料として用いて、一般式(2)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る反応は全て同様の反応機構となる。
従って、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。

Claims (5)

  1. α−アシロキシアクリル酸エステルを製造する方法であって、
    該製造方法は、中和剤の存在下で、下記一般式(1);
    Figure 0005722054
    (式中、R及びRは、水素原子を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるグリシド酸エステル類とアシル化剤とを反応させて、下記一般式(2);
    Figure 0005722054
    (式中、R及びRは、水素原子を表す。Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。Yは、アシル基を表す。)で表されるα−アシロキシアクリル酸エステルを得る工程を含み、
    該アシル化剤は、酢酸、無水酢酸及び無水プロピオン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法。
  2. 前記グリシド酸エステル類は、アクリル酸エステルを酸化することによって得られることを特徴とする請求項に記載のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法。
  3. 前記反応工程は、触媒として環状3級アミン化合物を用いて行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法。
  4. 前記中和剤は、前記反応工程において生成する、アシル化剤に由来する副生成物の中和剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法。
  5. 前記中和剤は、アミン類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のα−アシロキシアクリル酸エステルの製造方法。
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