JP4280028B2 - 電動式動力車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作部を手などで把持して操作しながら電動駆動力で走行させる電動式動力車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動力付き車椅子、ゴルフカート等の乗車して走行させる台車、電動配膳車、電動手術台、工事用運搬台車など、動力車の一部にハンドルバーで形成される操作部を設け、この操作部を人の手などで把持して動力車の走行を操作するようにした電動式動力車が実用化されている。また、操作部のハンドルバーを握って、動力車を前後方向や左右方向に動かす方向に操作力を加えると、その力を検出器で検出し、加えた力に応じた駆動力を電動駆動源から駆動車輪に出力させ、操作部への操作力に応じて動力車を走行させるようにした、パワーアシスト方式の電動式動力車も実用化されている。
【0003】
このような電動式動力車において、操作部のハンドルバーを手で握って動力車を動かす操作をしていないときに、操作部に何らかの外力が作用して、電動駆動源から駆動力が駆動車輪に出力されると、動力車が操作する人の意思に反して勝手に走行することになり、乗車者を含めて非常に危険な状態になる。このために、ハンドルバーに安全スイッチを設けて、動力車が操作する人の意思に反して勝手に走行することを防ぐことが要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、特開2000−211518号公報では、ハンドルバーに光学スイッチに設け、ハンドルバーが手で握られたことを光学的に検知して、電動駆動源の出力をオン・オフ制御することが提案されている。このものでは、ハンドルバーが把持されていないときには、そのことを光学スイッチで検知し、電動駆動源からの出力がオフになるように制御して、動力車が勝手に走行することを防ぐことができるのである。
【0005】
しかしこのものにあって、ハンドルバーは一般的に数十cm以上の長さの直線状に形成されており、ハンドルバーのどの位置が把持されていても把持を検知することができるようにするには、ハンドルバーに沿って多数の光学スイッチを設ける必要があり、コストが高価になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、多くのスイッチ類を設ける必要なく、ハンドルバーのどの部分を把持しても検知することができ、安全に走行させることができる電動式動力車を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る電動式動力車は、動力車1の駆動車輪2を駆動させる電動駆動部3と、人が把持して動力車1の操作を行なう操作部4を備えた電動式動力車において、操作部4を、軸回りに回転自在に支持された直線状のハンドルバー5と、ハンドルバー5が所定角度以上回転されたことを検知すると共にこの回転の非検知状態では電動駆動部3の作動をOFF制御する検出スイッチ6と、回転されたハンドルバー5を初期状態に復帰させるためにハンドルバー5を回転付勢する戻しバネ7とを具備して形成し、ハンドルバー5を軸方向で二つのハンドルバー半体5a,5bに分割し、各ハンドルバー半体5a,5bをそれぞれ独立して軸回りに回転自在に形成すると共に、各ハンドルバー半体5a,5bの回転を独立して検知する二つの検出スイッチ6a,6bを備え、この二つの検出スイッチ6a,6bの両方が前記戻しバネ7の付勢力に抗してハンドルバー半体5a,5bが回転したことを検知したときに電動駆動部の作動をON状態に制御するようにして成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2の発明は、請求項1において、検出スイッチ6として、ハンドルバー5の軸回りでの一方方向の回転を検知する検出スイッチ6と、逆方向の回転を検知する検出スイッチ6を具備して成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3に係る電動式動力車は、動力車1の駆動車輪2を駆動させる電動駆動部3と、人が把持して動力車1の操作を行なう操作部4を備えた電動式動力車において、操作部4を、直線状のハンドルバー5と、ハンドルバー5の下面に沿って平行に配置され上下方向に移動自在な握りバー8と、握りバー8が所定距離以上上昇されたことを検知すると共にこの上昇の非検知状態では電動駆動部3の作動をOFF制御する検出スイッチ9と、上昇された握りバー8を初期状態に復帰させるために握りバー8を付勢する戻しバネ10とを具備して形成し、握りバー8をハンドルバー5に沿って二つの握りバー半体8a,8bに分割し、各握りバー半体8a,8bをそれぞれ独立して上下方向に移動自在に形成すると共に、各握りバー半体8a,8bの上昇を独立して検知する二つの検出スイッチ9a、9bを備え、この二つの検出スイッチ9a,9bの両方が前記戻しバネ7の付勢力に抗して握りバー半体8a,8bが上昇したことを検知したときに電動駆動部3の作動をON状態に制御するようにして成ることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、操作部4に加えられる外力を検知する外力検出器18と、外力検出器18で検出された外力に応じて電動駆動部3の出力を制御するパワーアシスト制御器19とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図3は本発明の電動式動力車を電動車椅子に適用した実施の形態を示すものであり、車椅子本体25の両側に駆動車輪2を設けて動力車1が形成してある。また車椅子本体25の背部には操作部4が設けてある。
【0018】
操作部4は、直線状のハンドルバー5と、ハンドルバー5の両端を支持する支持部26,26とで平面形状が略コ字型に形成される操作ハンドル27を具備して形成されるものであり、支持部26,26の基部は外力検出器18に取付けてある。この外力検出器18には固定バー28が取着してあり、この固定バー28を動力車1の車体に取付けることによって、ハンドルバー5を水平に配置した状態で操作部4を動力車1の車体の背部に固定することができるものである。
【0019】
また動力車1にはモーター29及びその電源であるバッテリー30からなる電動駆動部3が設けてあり、モーター29を作動させることによって駆動車輪2を回転駆動させて動力車1を電動で走行させることができるようにしてある。このモーター29とバッテリー30の間にCPU等を搭載して形成されるパワーアシスト制御器19が設けてあり、モーター29の出力をパワーアシスト制御器19で制御して電動駆動部3の作動を制御することができるようにしてある。このパワーアシスト制御器19は外力検出器18に電気的に接続してある。
【0020】
上記のように電動車椅子として形成される電動式動力車において、操作部4のハンドルバー5を手で握って、動力車1を走行させたい方向である前後方向や左右方向に操作力を加えて操作部4を操作すると、この前後方向や左右方向の操作力は外力検出器18で検出される。そして外力検出器18で検出された力検出値がパワーアシスト制御器19に入力されると、入力された力検出値に応じて電動駆動部3を作動させ、駆動車輪2を回転駆動させるようになっている。従って、操作部4のハンドルバー5を操作して動力車1を走行させようとする人力に、電動駆動部3からの出力がアシストパワーとして加わり、小さな人力で動力車1を走行させることができるのである。
【0021】
図1は上記の電動式動力車に設けられる操作部4の参考例を示すものである。このものでは、直線状のハンドルバー5はハンドル軸32の外周に円筒状のハンドル筒33を固定して設けることによって形成してあり、ハンドル軸32の両端はハンドル筒33から突出させてある。また支持部26は円筒状の支持筒34の一端部にL字型の連結筒35を取着して形成してあり、ハンドルバー5の両端のハンドル軸32を連結筒35内に回転自在に挿着することによって、平面形状が略コ字型の操作ハンドル27が形成されるようにしてある。各支持筒34の他端は接続金具36に固定してあり、接続金具36は外力検出器18に取着してある。
【0022】
ハンドルバー5はこのようにハンドル軸32によって支持部26に軸回りに回転自在に支持されているものであり、またハンドルバー5が軸方向に移動しないように支持部26によって規制されている。そしてハンドルバー5と支持部26との間につる巻きバネなどで形成される戻しバネ7が設けてあり、ハンドルバー5を軸回りに回すと、回転に伴なって戻しバネ7が圧縮され、ハンドルバー5に回転された方向と逆方向に回転付勢力が作用するようにしてある。従って、ハンドルバー5を回す力が解除されると、ハンドルバー5は回転された方向と逆方向に回わって、元の初期状態に復帰するようになっている。またハンドル軸32の端部の外周には図2のようにリング体38が取着してあり、リング体38の外周にカム状の作動突起39及びストッパー40が突設してある。また連結筒35内にはリミットスイッチによって形成される検出スイッチ6が取付けてあり、検出スイッチ6のスイッチレバー41が作動突起39の回転軌道上に配置されるようにしてある。この検出スイッチ6は図4に示すようにパワーアシスト制御器19に電気的に接続してあり、パワーアシスト制御器19を介して電動駆動部3をON・OFFできるようにしてある。
【0023】
そして上記のものにおいて、動力車1を走行させていないときには、操作部4のハンドルバー5は手で握られていないので、戻しバネ7による回転付勢力でハンドルバー5は初期の状態にあって、回転角度は0°のままである。このときにはハンドルバー5の作動突起39は検出スイッチ6のスイッチレバー41から離れており、検出スイッチ6はOFFになっている。従って電動駆動部3はパワーアシスト制御器19を介して作動をOFF状態に制御されており、例えば操作部4に外力が作用して外力検出器18からパワーアシスト制御器19に力検出値が入力されても電動駆動部3は作動せず、動力車1が操作する人の意に反して走行するような危険を防ぐことができるものである。
【0024】
次に、動力車1を走行させる際には、操作部4のハンドルバー5を手で握り、ハンドルバー5を図2の矢印のように軸回りに回すと、ハンドルバー5が所定の角度以上に回転したときに検出スイッチ6のスイッチレバー41が作動突起39で押圧され、ハンドルバー5の回転が検知されて検出スイッチ6はONになる。検出スイッチ6がONになると、電動駆動部3はパワーアシスト制御器19を介してON状態に制御される。従って、この状態でハンドルバー5を手で握ったまま動力車1を走行させたい方向に操作力を加えると、この力が外力検出器18で検出され、検出された力検出値に基づいてパワーアシスト制御器19で制御して電動駆動部3を作動させ、駆動車輪2を回転駆動して動力車1を走行させることができるものである。ハンドルバー5の軸回りの回転角度は、ストッパー40が連結筒35の内面などに当ることによって規制されており、ハンドルバー5を回し過ぎることによる破損などのおそれはない。
【0025】
上記のように、操作部4のハンドルバー5を把持して軸回りに回さないと、検出スイッチ6はOFFになっており、動力車1は走行しない。従って、例えばハンドルバー5に傘や荷物を引っ掛けたり、ハンドルバー5にもたれたりしても、ハンドルバー5は軸回りに回ることはないので、検出スイッチ6をOFFのままに保持することができるものであり、このときにも動力車1が操作する人の意に反して走行するような危険を防ぐことができるものである。そして、ハンドルバー5の長手方向のどの部分を把持しても、ハンドルバー5を軸回りに回すことによって検出スイッチ6をONさせることができるので、ハンドルバー5を把持していることが検出スイッチ6で検知されるものであり、従って多くのスイッチ類を用いる必要なく、ハンドルバー5が把持されていることを検知することができるものである。尚、ハンドルバー5は単純な円筒形状に形成することができるものであり、ハンドルバー5が安全スイッチを兼ねているとは第三者には分からないので、第三者がいたずらして動力車1を走行させるようなことを未然に防ぐことができるものである。
【0026】
ここで、ハンドルバー5を握った状態で、押して動力車1を走行させる場合と引いて動力車1を走行させる場合とでは、ハンドルバー5を軸回りに回し易い方向が異なる。そこで図5の参考例では、検出スイッチ6として一対の検出スイッチ6a,6bを用い、ハンドルバー5のハンドル軸32の両端部の位置に各検出スイッチ6a,6bを配置して設けるようにしてある。またハンドル軸32の両端部にはそれぞれ上記のような作動突起39やストッパー40が設けてある(図示は省略)。戻しバネ7もハンドル軸32の両端部にそれぞれ設けてあり、一対の戻しバネ7の回転付勢力が釣り合った位置がハンドルバー5の初期状態になるようにしてある。
【0027】
そして一方の検出スイッチ6aは、ハンドルバー5が一方向に所定の角度以上で回転したときにそのスイッチレバー41が作動突起39で押圧され、ハンドルバー5が軸回りに回されたことを検知するようになっており、他方の検出スイッチ6bは、ハンドルバー5が逆方向に所定の角度以上で回転したときにそのスイッチレバー41が作動突起39で押圧され、ハンドルバー5が軸回りに回されたことを検知するようになっている。このように、ハンドルバー5の回転の向きに関係なく、ハンドルバー5が軸回りに回されたことを検知することができるものであり、ハンドルバー5を手で握って軸回りに回した後に動力車1を走行させる操作を操作性良く行なうことができるものである。
【0028】
図6は請求項1の発明に係る実施の形態の一例を示すものであり、図6(a)のようにハンドルバー5を軸方向で二つのハンドルバー半体5a,5bに分割して形成してある。このものでは、図6(b)に示すように、操作ハンドル27の両端の各支持部26に固定軸52の両端部が固定してあり、固定軸52の長手方向の中央部の外周に中央支持部53が固定ネジ54で固定してある。そして中央支持部53と一方の端部の支持部26との間において固定軸52の外周に円筒状のハンドルバー半体5aがブッシュ55を介して回転自在に取付けてあり、中央支持部53と他方の端部の支持部26との間において固定軸52の外周に円筒状のハンドルバー半体5bがブッシュ55を介して回転自在に取付けてある。各ハンドルバー半体5a,5bと固定軸52との間には戻しバネ7が設けてあり、各ハンドルバー半体5a,5bは回動付勢されて初期状態に戻るようにしてある。
【0029】
また、各支持部26,26内にはそれぞれ検出スイッチ6a,6bが設けてあり、各ハンドルバー半体5a,5bの端部から突出させた作動突起39,39を検出スイッチ6a,6bのスイッチレバー41,41に対向させてある。ハンドルバー半体5a,5bが固定軸52の回りに回されると、作動突起39がスイッチレバー41を押圧作動させて検出スイッチ6a,6bがONするようになっている。さらに各支持部26,26には案内溝56が凹設してあり、各ハンドルバー半体5a,5bの端部から突出させたストッパー46が案内溝56に差し込んである。従ってハンドルバー半体5a,5bはストッパー46が案内溝56内を移動する範囲の角度に規制されて軸回りに回転されるものである。上記の各検出スイッチ6a,6bはパワーアシスト制御器19に電気的に接続してあり、パワーアシスト制御器19を介して電動駆動部3をON・OFFできるようにしてある。また検出スイッチ6a,6bの両方がハンドルバー半体5a,5bの回転を検知してONにならないと、電動駆動部3は作動をOFF状態に制御されるようにしてある。
【0030】
そしてこのものにあって、二つのハンドルバー半体5a,5bのうち一方のハンドルバー半体5aを左手で、他方のハンドルバー半体5bを右手でそれぞれ把持し、二つのハンドルバー半体5a,5bを同時に回すと、検出スイッチ6a,6bの両方がハンドルバー半体5a,5bの回転を検知してONになり、電動駆動部3をパワーアシスト制御器19を介してON状態に制御することができる。従って、ハンドルバー5を両手で握らないと電動駆動部3をON状態にすることができないので、動力車1を走行させる操作を両手で行なうことが必要になり、動力車1の操作が確実になって安全性が向上するものである。
【0031】
図7は他の参考例を示すものであり、図7(a)に示すようにコ字状の操作ハンドル27の直線部分をハンドルバー5として形成してある。この直線状のハンドルバー5の下面の全長に沿って平行に握りバー8が配置してあり、握りバー8の上面の複数箇所にガイド軸44が突設してある。ハンドルバー5は円筒状に形成されるものであり、その下面の複数箇所に孔を設けて上下に開口する筒状のガイドブッシュ45が固定してある。この各ガイドブッシュ45にガイド軸44を図7(c)のようにスライド自在に挿着することによって、握りバー8は上下方向に移動自在になっている。ガイド軸44の上端に設けたストッパー46がガイドブッシュ45の上端に当接することによって、ガイド軸44がガイドブッシュ45から抜けないようにしてある。
【0032】
また握りバー8とハンドルバー5の間に戻しバネ10が設けてあり、戻しバネ10で握りバー8を下方へ付勢することによって、握りバー8を最も下がった状態に保持するようにしてあり、この最も下がった状態が握りバー8の初期状態になっている。この初期状態での握りバー8とハンドルバー5との間の隙間は、指を挟んで怪我をしないように、人の指の厚みより小さく形成するのが好ましい。さらに、ハンドルバー5の下面には図7(b)のようにリミットスイッチなどで形成される検出スイッチ9が取付けてあり、検出スイッチ9の下面にスイッチレバー41が設けてある。この検出スイッチ9はパワーアシスト制御器19に電気的に接続してあり、パワーアシスト制御器19を介して電動駆動部3をON・OFFできるようにしてある。
【0033】
そして上記のものにおいて、動力車1を走行させていないときには、操作部4のハンドルバー5は手で握られていないので、戻しバネ10による付勢力で握りバー8は下方へ押し下げられた初期状態にある。このときには握りバー8は検出スイッチ9のスイッチレバー41から離れており、検出スイッチ9はOFFになっている。従って電動駆動部3はパワーアシスト制御器19を介して作動をOFF状態に制御されており、例えば操作部4に外力が作用して外力検出器18からパワーアシスト制御器19に力検出値が入力されても電動駆動部3は作動せず、動力車1が操作する人の意に反して走行するような危険を防ぐことができるものである。
【0034】
次に、動力車1を走行させる際に、操作部4のハンドルバー5を握りバー8とともに手で握ると、握りバー8は戻しバネ10に抗して上昇し、握りバー8が所定距離以上上昇すると検出スイッチ9のスイッチレバー41が握りバー8の上面で押圧され、握りバー8の上昇が検知されて検出スイッチ9はONになる。検出スイッチ9がONになると、電動駆動部3はパワーアシスト制御器19を介してON状態に制御される。従って、この状態でハンドルバー5を手で握ったまま動力車1を走行させたい方向に操作力を加えると、この力が外力検出器18で検出され、検出された力検出値に基づいてパワーアシスト制御器19で制御して電動駆動部3を作動させ、駆動車輪2を回転駆動して動力車1を走行させることができるものである。
【0035】
上記のように、操作部4のハンドルバー5を把持せず握りバー8を握っていないときには、検出スイッチ9はOFFになっており、動力車1は走行しない。また、例えばハンドルバー5に傘や荷物を引っ掛けたり、ハンドルバー5にもたれたりしても、握りバー8は上昇することはないので、検出スイッチ9はOFFのままに保持することができるものであり、このときにも動力車1が操作する人の意に反して走行するような危険を防ぐことができるものである。そして、ハンドルバー5の長手方向のどの部分を把持しても、握りバー8が握られることになるので、ハンドルバー5を把持していることが検出スイッチ9で検知されるものであり、従って多くのスイッチ類を用いる必要なく、ハンドルバー5が把持されていることを検知することができるものである。
【0036】
図8は請求項3の発明の実施の形態の一例を示すものであり、握りバー8をハンドルバー5に沿って二つの握りバー半体8a,8bに分割してある。各握りバー半体8a,8bは図7(c)と同様にしてハンドルバー5に取付けてあり、各握りバー半体8a,8bはそれぞれ独立して上下方向に移動自在になっている。また検出スイッチ9として一対の検出スイッチ9a,9bを用い、各握りバー半体8a,8bに対応してハンドルバー5の下面にそれぞれ検出スイッチ9a,9bが取付けてあり、各検出スイッチ9a,9bで各握りバー半体8a,8bの上昇を独立して検知するようにしてある。各検出スイッチ9a,9bはパワーアシスト制御器19に電気的に接続してあり、パワーアシスト制御器19を介して電動駆動部3をON・OFFできるようにしてある。また検出スイッチ9a,9bの両方が握りバー半体8a,8bの上昇を検知してONにならないと、電動駆動部3は作動をOFF状態に制御されるようにしてある。その他の構成は図7のものと同じである。
【0037】
そしてこのものにあって、二つの握りバー半体8a,8bのうち一方の握りバー半体8aを設けた箇所のハンドルバー5を左手で、他方の握りバー半体8bを設けた箇所のハンドルバー5を右手でそれぞれ把持し、二つの握りバー半体8a,8bを同時に上昇させると、検出スイッチ9a,9bの両方が握りバー半体8a,8bの上昇を検知してONになり、電動駆動部3をパワーアシスト制御器19を介してON状態に制御することができる。従って、ハンドルバー5を両手で握らないと電動駆動部3をON状態にすることができないので、動力車1を走行させる操作を両手で行なうことが必要になり、動力車1の操作が確実になって安全性が向上するものである。
【0049】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る電動式動力車は、動力車の駆動車輪を駆動させる電動駆動部と、人が把持して動力車の操作を行なう操作部を備えた電動式動力車において、操作部を、軸回りに回転自在に支持された直線状のハンドルバーと、ハンドルバーが所定角度以上回転されたことを検知すると共にこの回転の非検知状態では電動駆動部の作動をOFF制御する検出スイッチと、回転されたハンドルバーを初期状態に復帰させるためにハンドルバーを回転付勢する戻しバネとを具備して形成するようにしたので、ハンドルバーの長手方向のどの部分を把持しても、ハンドルバーを軸回りに回すことによって、ハンドルバーを把持していることが検出スイッチで検知されるものであり、多くのスイッチ類を用いる必要なく、ハンドルバーが把持されていることを検知することができるものである。しかもハンドルバーに傘や荷物を引っ掛けたり、ハンドルバーに人がもたれたりしても、ハンドルバーは軸回りに回ることはなく、検出スイッチをOFFのままに保持することができるものであり、動力車が誤動作する危険を防いで安全に走行させることができるものである。
また、ハンドルバーを軸方向で二つのハンドルバー半体に分割し、各ハンドルバー半体をそれぞれ独立して軸回りに回転自在に形成すると共に、各ハンドルバー半体の回転を独立して検知する検出スイッチを具備し、この二つの検出スイッチの両方が前記戻しバネの付勢力に抗して握りバー半体が上昇したことを検知したときに電動駆動部の作動をON状態に制御するようにしたので、各ハンドルバー半体をそれぞれ片手で把持して同時に回さないと電動駆動部をON状態にすることができないようにすることができるものであり、動力車を走行させる操作を両手で行なうことを必要にして、動力車の操作の安全性を向上することができるものである。
【0050】
また請求項2の発明は、請求項1において、検出スイッチとして、ハンドルバーの軸回りでの一方方向の回転を検知する検出スイッチと、逆方向の回転を検知する検出スイッチを具備するので、ハンドルバーの回転の向きに関係なく、ハンドルバーが軸回りに回されたことを検知することができ、ハンドルバーを手で握って軸回りに回した後に動力車を走行させる操作を操作性良く行なうことができるものである。
【0052】
また本発明の請求項3に係る電動式動力車は、動力車の駆動車輪を駆動させる電動駆動部と、人が把持して動力車の操作を行なう操作部を備えた電動式動力車において、操作部を、直線状のハンドルバーと、ハンドルバーの下面に沿って平行に配置され上下方向に移動自在な握りバーと、握りバーが所定距離以上上昇されたことを検知すると共にこの上昇の非検知状態では電動駆動部の作動をOFF制御する検出スイッチと、上昇された握りバーを初期状態に復帰させるために握りバーを付勢する戻しバネとを具備して形成したので、ハンドルバーの長手方向のどの部分を把持しても握りバーが握られることになり、ハンドルバーを把持していることが検出スイッチで検知されるものであり、従って多くのスイッチ類を用いる必要なく、ハンドルバーが把持されていることを検知することができるものである。しかもハンドルバーに傘や荷物を引っ掛けたり、ハンドルバーに人がもたれたりしても、握りバーは上昇されることはなく、検出スイッチをOFFのままに保持することができるものであり、動力車が誤動作する危険を防いで安全に走行させることができるものである。
【0053】
また、握りバーをハンドルバーに沿って二つの握りバー半体に分割し、各握りバー半体をそれぞれ独立して上下方向に移動自在に形成すると共に、各握りバー半体の上昇を独立して検知する検出スイッチを具備し、この二つの検出スイッチの両方が前記戻しバネの付勢力に抗してハンドルバー半体が回転したことを検知したときに電動駆動部の作動をON状態に制御するようにしたので、各握りバー半体を設けた部分をそれぞれ片手で同時に把持しないと電動駆動部をON状態にすることができないようにすることができるものであり、動力車を走行させる操作を両手で行なうことを必要にして、動力車の操作の安全性を向上することができるものである。
【0057】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、操作部に加えられる外力を検知する外力検出器と、外力検出器で検出された外力に応じて電動駆動部の出力を制御するパワーアシスト制御器とを具備するので、操作部を操作して動力車を走行させようとする人力に、電動駆動部からの出力をアシストパワーとして加えることができ、小さな人力で動力車を走行させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例の操作部を示す断面図である。
【図2】 同上の操作部の内部構造を示す断面図である。
【図3】 同上の動力車の一例を示す斜視図である。
【図4】 同上の制御系のブロック図である。
【図5】 本発明の他の参考例の操作部を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の一例の操作部を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は拡大した断面図である。
【図7】 本発明の他の参考例の操作部を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は一部の正面図、(c)は一部の拡大した断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態の他の一例の操作部を示す一部の正面図である。
【符号の説明】
1 動力車
2 駆動車輪
3 電動駆動部
4 操作部
5 ハンドルバー
5a,5b ハンドルバー半体
6 検出スイッチ
6a,6b 検出スイッチ
7 戻しバネ
8 握りバー
8a,8b 握りバー半体
9 検出スイッチ
9a,9b 検出スイッチ
10 戻しバネ
11 検出スイッチ
18 外力検出器
19 パワーアシスト制御器
Claims (4)
- 動力車の駆動車輪を駆動させる電動駆動部と、人が把持して動力車の操作を行なう操作部を備えた電動式動力車において、操作部を、軸回りに回転自在に支持された直線状のハンドルバーと、ハンドルバーが所定角度以上回転されたことを検知すると共にこの回転の非検知状態では電動駆動部の作動をOFF制御する検出スイッチと、回転されたハンドルバーを初期状態に復帰させるためにハンドルバーを回転付勢する戻しバネとを具備して形成し、ハンドルバーを軸方向で二つのハンドルバー半体に分割し、各ハンドルバー半体をそれぞれ独立して軸回りに回転自在に形成すると共に、各ハンドルバー半体の回転を独立して検知する二つの検出スイッチを備え、この二つの検出スイッチの両方が前記戻しバネの付勢力に抗してハンドルバー半体が回転したことを検知したときに電動駆動部の作動をON状態に制御するようにして成ることを特徴とする電動式動力車。
- 検出スイッチとして、ハンドルバーの軸回りでの一方方向の回転を検知する検出スイッチと、逆方向の回転を検知する検出スイッチを具備して成ることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力車。
- 動力車の駆動車輪を駆動させる電動駆動部と、人が把持して動力車の操作を行なう操作部を備えた電動式動力車において、操作部を、直線状のハンドルバーと、ハンドルバーの下面に沿って平行に配置され上下方向に移動自在な握りバーと、握りバーが所定距離以上上昇されたことを検知すると共にこの上昇の非検知状態では電動駆動部の作動をOFF制御する検出スイッチと、上昇された握りバーを初期状態に復帰させるために握りバーを付勢する戻しバネとを具備して形成し、握りバーをハンドルバーに沿って二つの握りバー半体に分割し、各握りバー半体をそれぞれ独立して上下方向に移動自在に形成すると共に、各握りバー半体の上昇を独立して検知する二つの検出スイッチを備え、この二つの検出スイッチの両方が前記戻しバネの付勢力に抗して握りバー半体が上昇したことを検知したときに電動駆動部の作動をON状態に制御するようにして成ることを特徴とする電動式動力車。
- 操作部に加えられる外力を検知する外力検出器と、外力検出器で検出された外力に応じて電動駆動部の出力を制御するパワーアシスト制御器とを具備して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電動式動力車。
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