次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る搭載装置が車両に適用された状態の斜視図、図1(b)は、把持部の縦断面図、図2は、搭載装置を構成するスロープが車両と接地面との間に掛け渡された状態を示す側面図、図3は、図2に示す車両及びスロープの模式図である。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車両の前後方向及び上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。また、図1(a)では、後記する駆動機構等の図示を省略している。
図1(a)に示されるように、本発明の実施形態に係る搭載装置10は、例えば、車体後部開口部12を開閉するバックドア(テールゲート)14が設けられた車両16に適用される。なお、搭載装置10は、バックドア14を有する車両16に限定されるものではなく、例えば、左右のサイドドア(図示せず)を有する車両にも適用することが可能である。
図2に示されるように、この搭載装置10は、車体後部開口部12のフロア面18と接地面(路面)20との間に掛け渡されるスロープ22を備える。このスロープ22は、被介護者24が乗った車椅子(被搭載物)26を車室後部スペース(車体後部室)28に引き込むと共に、車外へ引き出すためのものである。
図1(a)に示されるように、展開時におけるスロープ22(後記する接地側板体38)の上面で左右方向の中央部には、例えば、介護者(操作者)等によって把持される把持部46が設けられる。この把持部46は、介護者の手によって把持されるグリップ23を有するハンドル25と、スロープ22の上面に固定され、ハンドル25を回動自在に保持するヒンジ27と、スロープ22の上面においてハンドル25を収容するための矩形状の収容凹部29とを含む。
さらに、把持部46は、図1(b)に示されるように、ハンドル25が収容凹部29内に横倒し状態で収容された状態(図1(b)中の2点鎖線参照)から介護者によってハンドル25が起立した状態まで引き起こされて把持状態(図1(b)中の実線参照)となったことを検知する把持センサ31を有する。ヒンジ27には、ハンドル25が起立した状態となったときに当接して収容状態の反対側へハンドル25が傾倒することを阻止するストッパ部が設けられる。把持センサ31からの把持検知信号は、後記する制御部100の把持状態判断部190に導入され、把持状態判断部190が把持センサ31からの把持検知信号を受け取ることで、介護者によってハンドル25が把持された把持状態であると判断される(後記する図12参照)。なお、把持センサ31は、例えば、周知のリミットスイッチや、ハンドル25を把持されたときの引っ張り荷重を検出する半導体歪ゲージからなる荷重センサ等によって構成されるとよい。
図2に示されるように、車両16の車室内には、左右一対の電動ウインチ30が設けられる。左右一対の電動ウインチ30は、車椅子26に係止されたベルト32を巻き取ると共に、引き出し可能な図示しないドラムを備え、被介護者24が乗った車椅子26を車室後部スペース28に引き込むことができる。なお、左右一対の電動ウインチ30は、例えば、車幅方向に沿った車体と座席との間に配置される。
図3に示されるように、スロープ22は、車椅子26が搭載される主板体34と、主板体34の車両前方側の一端と車体後部開口部(車体)12との間に設けられる板体からなる車体側板体36と、主板体34の車両後方側の他端と接地面20との間に設けられる板体からなる接地側板体38とによって構成される。
主板体34、車体側板体36、及び、接地側板体38は、それぞれ平面視して矩形状の平板からなり、例えば、樹脂製材料や軽金属製材料によって中空体で構成されるとよい。スロープ22の軽量化を図るためである。
本実施形態では、主板体34を単一の板体で構成しているが、例えば、隣接する複数のプレートが相互にスライドするように展開された複数のプレート全体を主板体34としてもよい(後記する図27参照)。また、車体側板体36及び接地側板体38は、それぞれ単一の板体に限定されるものではなく、複数の板体で構成されてもよい(後記する図26参照)。
図2、図3又は図13に示されるように、車両16のフロア面18と車体側板体36との間には、車幅方向に沿って延在する第1回動軸40aが設けられる。車体側板体36の車両前方側の端部は、第1回動軸40aの軸心を回動中心として固定側のフロア面18に対して回動可能に連結される。また、車体側板体36と主板体34との間には、車幅方向に沿って延在する第2回動軸40bが設けられる。主板体34は、第2回動軸40bの軸心を回動中心として第2回動軸40bと一体的に回動可能に連結される。さらに、主板体34と接地側板体38との間には、車幅方向に沿って延在する第3回動軸40cが設けられる。接地側板体38は、第3回動軸40cの軸心を回動中心として回動可能に連結される。
搭載装置10は、第2回動軸40bを回動させる第1駆動機構42aと、第3回動軸40cを回動させる第2駆動機構42bをそれぞれ備える(後記する図4参照)。第1駆動機構42aと第2駆動機構42bとによって駆動手段が構成される。また、搭載装置10は、第2駆動機構42bによる回転駆動力が第3回動軸40cに伝達されて第3回動軸40cを回動中心として接地側板体38が回動可能な回転駆動力の伝達状態と、第2駆動機構42bによる回転駆動力の伝達が遮断されて接地側板体38が回動不可な回転駆動力の非伝達状態とを切り換える切換機構(切換手段)44(後記する図8参照)を備える。なお、以下の説明では、第1駆動機構42aと第2駆動機構42bの両者を総称して駆動機構42という。
本実施形態において、この切換機構44は、第3回動軸40cにのみ設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1回動軸40a及び第2回動軸40bにそれぞれ切換機構44を設けてもよい。また、駆動機構を、車体と車体側板体36との間に配設される第1回動軸40aにも設けるようにしてもよい。
スロープ22は、第1駆動機構42a及び第2駆動機構42bによって、第2回動軸40bを回動中心とする主板体34と第3回動軸40cを回動中心とする接地側板体38とをそれぞれ所定方向に回動させることにより、主板体34が上下方向における低位置(図3中の太実線の位置)と高位置(図3中の太破線の位置)との間で変位するように設けられる(図23参照)。この主板体34は、傾斜角度を所定角度に保持したまま、低位置と高位置との間で上下方向に沿って平行に移動する。
主板体34が上下方向の低位置(図3中の太実線の位置)の状態にあるとき、主板体34の車体前後方向の軸線と接地側板体38の車体前後方向の軸線とは、一直線上となるように設定される。低位置の状態のとき、車体側板体36の車体前後方向の軸線は、主板体34側(車両後方側)への下り勾配で主板体34に対して所定角度だけ傾斜した状態に設定される。
主板体34が上下方向の高位置(図3中の太破線の位置)の状態にあるとき、車体側板体36の車体前後方向の軸線と主板体34の車体前後方向の軸線とは、一直線上となるように設定される。高位置の状態のとき、接地側板体38の車体前後方向の軸線は、車両後方側への下り勾配で主板体34に対して所定角度だけ傾斜した状態に設定される。
図4は、スロープに対し、第1駆動機構、第2駆動機構、及び、切換機構が配設された状態を示す斜視図、図5は、第1駆動機構の分解斜視図、図6(a)は、第1駆動機構を構成する減速機構の概略構造図、図6(b)は、図6(a)の矢印A方向からみた矢視図、図7は、第2駆動機構の分解斜視図、図8は、切換機構の構成を示すブロック図、図9は、切換機構を構成するロック解除アクチュエータの斜視図である。
図4に示されるように、第1駆動機構42aは、同一構成からなる一対の駆動ユニットが第2回動軸40bの軸方向に沿った両端部にそれぞれ線対称の位置に対向して配置される。第2駆動機構42bは、同一構成からなる一対の駆動ユニットが第3回動軸40cの軸方向に沿った両端部にそれぞれ線対称の位置に対向して配置される。相互に対向配置された一対の第2駆動機構42b、42bの間には、ロック解除アクチュエータ43が配設される。なお、以下の説明において、第1駆動機構42aと第2駆動機構42bとの間で同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5に示されるように、第1駆動機構42aは、モータユニット45と、第1ブラケット47aと、減速機構49と、第2ブラケット47bとによって構成される。
モータユニット45は、図示しないバッテリを電源として図示しないモータ軸を正逆方向に回転させるモータ60と、モータ60と一体的に連結されるモータハウジング51と、モータハウジング51を貫通して減速機構49に連結され、モータ60の回転駆動力によって正逆方向に回動する回転軸53とを有する。
第1ブラケット47aは、円板部55aと円板部55aに連続する矩形状の取付部55bとによって一体的に構成される。この取付部55bは、主板体34の左右方向に沿った側面に固定される。
図6(a)、(b)に示されるように、減速機構49は、2段の遊星歯車機構が配設された円盤体からなり、回転軸53を介して第1駆動機構42aから入力された回転駆動力を第2回動軸40b側に出力する円筒状嵌合部57と、回転軸53に外嵌されるサンギヤ59と、サンギヤ59の外周面に配置されサンギヤ59のギヤ歯59aと噛合する複数のプラネタリギヤ61と、内周面に形成されたギヤ部が複数のプラネタリギヤ61の大径ギヤ歯63aと噛合する第1リング63、段部を介して設けられたプラネタリギヤ61の小径ギヤ歯63bと噛合する第2リング65とを有する。なお、図6(a)に示されるように、第1リング63は、第1ブラケット47aに固定されている。
図5に戻って、第2ブラケット47bは、円板部67aと円板部67aに連続する矩形状の取付部67bとによって一体的に構成される。この取付部67bは、車体側板体36の左右方向に沿った側面に固定される。なお、第1駆動機構40aにおいて、第2ブラケット47bは、車体側板体36に固定された固定側ブラケットとして機能すると共に、第1ブラケット47aは、主板体34に固定されてモータ60により第2回動軸40bを回動中心として主板体34を所定方向に回動させる可動側ブラケットとして機能するものである。
図7に示されるように、第2駆動機構42bは、モータユニット45と、第1ブラケット47aと、減速機構49と、第2ブラケット47bとを有する点で第1駆動機構42aと共通している。第2駆動機構42bでは、減速機構49の円筒状嵌合部57に対してセクタギヤ69が外嵌されると共に、ロック爪71aが設けられたロックプレート71を有する点で第1駆動機構42aと相違している。ロックプレート71は、ロック爪71aと反対側の端部に設けられたピンを回動支点として第2ブラケット47bの一側面に所定角度だけ回動自在に軸着されている。ロック爪71aは、図8中の実線で示されるように、セクタギヤ69のギヤ歯を係止してロック状態とすることで、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達される伝達状態となる。ロックプレート71には、ケーブル73が接続され(図4中ではケーブル73が接続される部分を省略)、ロック解除アクチュエータ43が駆動してケーブル73を引っ張ることで、セクタギヤ69のギヤ歯からロックプレート71のロック爪71aを離間させ(図8中の破線参照)、ロック状態を解除することができる。なお、第2駆動機構40bにおいて、第1ブラケット47aは、主板体34に固定された固定側ブラケットとして機能すると共に、第2ブラケット47bは、接地側板体38に固定されてモータ60により第3回動軸40cを回動中心として接地側板体38を所定方向に回動させる可動側ブラケットとして機能するものである点で、第1駆動機構40aと相違している。
図9に示されるように、ロック解除アクチュエータ43は、アクチュエータ本体43aと、アクチュエータ本体43aに連結されるモータ部43bと、図示しないギヤ機構によって回転する回転軸43cと、回転軸43cを回転中心として回転軸43cと共に一体的に所定角度回動するケーブル接続プレート43dと、ケーブル接続プレート43dの軸方向に沿った両端部に設けられ、ロックプレート71に接続されたケーブル73が係止される一対の係止部43eとを有する。
セクタギヤ69、ロックプレート71、及び、ロック解除アクチュエータ43は、第2駆動機構42bの回転駆動力を第3回動軸40cに対して伝達する伝達状態と、第2駆動機構42bの回転駆動力を第3回動軸40cに対して伝達されることが遮断された非伝達状態とを切り換える切換機構44として構成される。すなわち、ロックプレート71のロック爪71aがセクタギヤ69のギヤ歯を係止してロック状態(図8中の実線参照)にあるときは、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第2ブラケット47bを介して第3回動軸40cに伝達される。第3回動軸40cが回動することで、第3回動軸40cを回動中心として第2ブラケット47bと一体的に接地側板体38が回動動作する。このようにロック状態となることで第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに対して伝達される伝達状態(以下、クラッチのオン状態ともいう)となる。一方、ロック解除アクチュエータ43が駆動されてケーブル73が引っ張られることでロック爪71aがセクタギヤ69のギヤ歯から離間してロック状態が解除されたとき(図8中の破線参照)、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに対して伝達されない非伝達状態(以下、クラッチのオフ状態ともいう)となる。
なお、本実施形態では、セクタギヤ69、ロックプレート71、及び、ロック解除アクチュエータ43によって切換機構44を構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、図10(a)に示されるように、切換機構44として電磁クラッチ機構68(後記する図11参照)を採用し、モータ部75と減速機構49との間に電磁クラッチ機構68を介装するようにしてもよい。モータ部75、減速機構49及び電磁クラッチ機構68は、スロープ22の左右方向に沿った両側面に、それぞれ第1取付プレート77a及び第2取付プレート77bを介して取り付けられる。
また、図10(b)に示されるように、例えば、スロープ22の左右方向に沿った略中央部にモータ部75を配置し、モータ部75を間にした両側に一対の電磁クラッチ機構68、68を配設するようにしてもよい。この場合、スロープ22の左右方向に沿った両側面に一対の減速機構49が対向して配設される。
図11に示されるように、電磁クラッチ機構68は、コイルが積層して巻回されたソレノイド66と、凹凸面と凸凹面とが相互に対向し連結(接続)及び離間可能に配置された円板状の一対のクラッチ板70a、70bと、一対のクラッチ板70a、70bの中心部にそれぞれ連結される一対の軸部72a、72bと、ばね力によって他方のクラッチ板70bを押圧して一方のクラッチ板70aと連結(接続)させるばね部材74とを有する。なお、ソレノイド66に近接する他方のクラッチ板70bは、ソレノイド66に吸引される可動鉄心(アーマチュア)として機能するものである。電磁クラッチ機構68のオン状態では、一方のクラッチ板70aと他方のクラッチ板70bとが連結された連結状態となり、スロープ22を構成する各板体を電動操作することができる。
次に、車両16の床面に配置された制御部100について説明する。図12は、制御部との接続関係を示すブロック構成図、図13は、スロープの収納位置、起立位置、及び、接地位置を示す説明図、図14は、図13の模式図である。
である。
図12に示されるように、制御部(制御手段)100には、主板体34に対する車椅子26の搭載状態と非搭載状態とを検知する第1搭載検知手段110と、接地側板体38に対する車椅子26の搭載状態と非搭載状態とを検知する第2搭載検知手段120と、車体側板体36に対する車椅子26の搭載状態と非搭載状態とを検知する第3搭載検知手段130と、車体の車室後部スペース28への車椅子(被搭載物)26の乗車の有無を検知する乗車検知手段140とがそれぞれ接続されている。
第1〜第3搭載検知手段100、110、120からの各検知信号は、それぞれ、制御部100のスロープに対する搭載状態判断部150に導出される。スロープに対する搭載状態判断部150は、第1〜第3搭載検知手段100、110、120からの各検知信号に基づいて、車椅子26がスロープ22に対して搭載された搭載状態と、スロープ22に対して搭載されていない非搭載状態とを判断する。また、スロープに対する搭載状態判断部150では、例えば、第1搭載検知手段110の搭載信号と、第2搭載検知手段120の非搭載信号と、第3搭載検知手段130の非搭載信号との3つの検知信号のアンドをとることで、車椅子26が所定位置(主板体34にのみ搭載)に搭載されたと判断することができる。さらに、スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26がスロープ22に対して搭載状態であると判断されたとき、車椅子26が現時点でどの板体(主板体34、車体側板体36、接地側板体38)に搭載されているかを判断することができる。
乗車検知手段140からの検知信号は、制御部100の乗車有無判断部160に導出される。乗車有無判断部160では、乗車検知手段140からの検知信号に基づいて、車椅子26が車体の車室後部スペース28に乗車したか否かを判断する。
また、制御部100には、車体と車体側板体36との間に設けられる第1回動軸40aの回動角度を検出する回転角度センサ(角度センサ)170が接続されている。この回転角度150は、例えば、光学式のロータリエンコーダ等で構成される。回転角度センサ170からの角度検出信号は、制御部100のスロープ位置検知部180に導出される。スロープ位置検知部180では、回転角度センサ170によって検出される第1回動軸40aの回動角度によってスロープ22の位置を検知することができる。
すなわち、回転角度センサ170によって検出される第1回動軸40aの回動角度は、図14に示されるように、フロア面18を基準面(回動角度が零度)としてフロア面18からの時計回り方向の複数の回動角度θ1〜θ4として、予め図示しない記憶手段に記憶されている。この予め設定された回動角度θ1〜θ4に基づいて、スロープ22が収納位置(θ1)、起立位置(θ2)、接地位置(高位置(θ3)、低位置(θ4))のいずれの位置にあるかが判断される。また、回転角度センサ170によって検出される第1回動軸40aの回動角度に基づいて、スロープ位置検知部180によってスロープ22が収納位置から起立位置までの範囲内にあると検知されたとき、切換機構44は、第2駆動機構42bからの回転駆動力の伝達が遮断された非伝達状態に維持される。この回動角度θ1〜θ4は、実験又はシミュレーションによって予め求められる。なお、回動角度θ1〜θ4は、フロア面18と車体側板体36の軸線との間の交差角度と同一である(回動角度=交差角度)。
さらに、図12に戻って、制御部100は、切換機構44と電気的に接続され、ロック解除アクチュエータ43に対して切換制御信号(電気信号)を導出することで、ロック状態(第2駆動機構42b、42bのモータ60の回転駆動力による接地側板体38の回動可能状態)とロック解除状態(第2駆動機構42b、42bのモータ60の回転駆動力による接地側板体38の回動不可状態)とを切換制御する。さらに、制御部100は、駆動機構42と電気的に接続され、駆動機構42のモータ60にモータ駆動信号を導出することで、モータ60を駆動制御する。
さらにまた、制御部100は、スロープ22の後方に位置する把持部46の把持センサ31から導出された把持検知信号が入力される把持状態判断部190を有する。この把持状態判断部190は、把持センサ31から導出される把持検知信号に基づいて、介護者(操作者)によってハンドル25が把持されたか否かが判断される。
第1搭載検知手段110は、図2及び図3に示されるように、主板体34の内部又は上面と面一に配置された重量センサ(歪ゲージ)によって構成される。主板体34上に移動した車椅子26による歪量を重量センサで検出することで搭載状態が検知される。なお、第1搭載検知手段110は、重量センサ等に限定されるものではなく、例えば、主板体34の車幅方向の両側部に発光素子と受光素子とからなる一対の光センサを対向して配置し、発光素子から受光素子への発光光が主板体34上に移動した車椅子26によって遮光されることで車椅子26の搭載状態を検知するようにしてもよい。さらに、主板体34に対して図示しない静電容量センサ(静電容量型近接センサ)を配置し、静電容量センサに設けられた図示しない電極に対して車椅子26に乗った被介護者24が接近して電極の静電容量が増大することで搭載状態を検知するようにしてもよい。さらにまた、スロープ22上に、複数の圧電素子(ピエゾ素子)をマトリックス状に配設したものを配置してもよい。
なお、図2及び図3に示されるように、第1〜第3搭載検知手段110、120、130を、電動ウインチ30の図示しないドラムに設けられるロータリエンコーダ等のような回転角度センサ110aによって構成してもよい。回転角度センサ110aでドラムの回転角度を検出しドラムによるベルト32の巻き取り量(引き上げ量)を検出することで、主板体34に対する車椅子26の搭載状態と非搭載状態とが(車椅子26のスロープ22上での位置が)検知される。
第2搭載検知手段120は、図2及び図3に示されるように、接地側板体38の内部又は上面と面一に配置された重量センサ(歪ゲージ)によって構成される。接地側板体38上に移動した車椅子26による歪量を重量センサで検出することで搭載状態が検知される。なお、第2搭載検知手段120は、重量センサ等に限定されるものではなく、例えば、接地側板体38の車幅方向の両側部に発光素子と受光素子とからなる一対の光センサを対向して配置し、発光素子から受光素子への発光光が接地側板体38上に移動した車椅子26によって遮光されることで車椅子26の搭載状態を検知するようにしてもよい。さらに、接地側板体38に対して図示しない静電容量センサ(静電容量型近接センサ)を配置し、静電容量センサに設けられた図示しない電極に対して車椅子26に乗った被介護者24が接近して電極の静電容量が増大することで搭載状態を検知するようにしてもよい。さらにまた、スロープ22上に、複数の圧電素子(ピエゾ素子)をマトリックス状に配設したものを配置してもよい。
第3搭載検知手段130は、図2及び図3に示されるように、車体側板体36の内部又は上面と面一に配置された重量センサ(歪ゲージ)によって構成される。車体側板体36上に移動した車椅子26による歪量を重量センサで検出することで搭載状態が検知される。なお、第3搭載検知手段130は、重量センサ等に限定されるものではなく、例えば、車体側板体36の左右方向の両側部に発光素子と受光素子とからなる一対の光センサを対向して配置し、発光素子から受光素子への発光光が車体側板体36上に移動した車椅子26によって遮光されることで車椅子26の搭載状態を検知するようにしてもよい。さらに、車体側板体36に対して図示しない静電容量センサ(静電容量型近接センサ)を配置し、静電容量センサに設けられた図示しない電極に対して車椅子26に乗った被介護者24が接近して電極の静電容量が増大することで搭載状態を検知するようにしてもよい。さらにまた、スロープ22上に、複数の圧電素子(ピエゾ素子)をマトリックス状に配設したものを配置してもよい。
乗車検知手段140は、図2及び図3に示されるように、フロア面18に配置された重量センサ(歪ゲージ)によって構成される。車体のフロア面18上に乗車した車椅子26による歪量を重量センサで検出することで乗車状態が検知される。なお、乗車検知手段140は、重量センサ等に限定されるものではなく、例えば、フロア面18の左右方向の両側部に発光素子と受光素子とからなる一対の光センサを対向して配置し、発光素子から受光素子への発光光がフロア面18上に乗車した車椅子26によって遮光されることで車椅子26の乗車状態を検知するようにしてもよい。さらに、フロア面18に対して図示しない静電容量センサ(静電容量型近接センサ)を配置し、静電容量センサに設けられた図示しない電極に対して車椅子26に乗った被介護者24が接近して電極の静電容量が増大することで搭載状態を検知するようにしてもよい。さらにまた、フロア面18上に、複数の圧電素子(ピエゾ素子)をマトリックス状に配設したものを配置してもよい。
制御部100は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、各検知手段からの検知信号の入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を行なうことによって制御を実行する。
図13及び図14に示されるように、スロープ22は、収納位置から起立位置を経て車外に移動させた後、スロープ22の車両前後方向の他端が接地面20に接地した接地位置となる。接地位置は、主板体34が比較的高い位置にある高位置と、主板体34が高位置よりも低い位置にある低位置とから構成される。スロープ22の車室内(フロア部分)における収納位置(フロア部分)では、主板体34及び車体側板体36が略水平状態にあると共に、接地側板体38が第3回動軸40cを起点として主板体34及び車体側板体36に対して上側に鋭角状に折曲した状態となっている。この収納位置では、図1(a)に示されるように、把持部46が接地側板体38の上面で車体後部開口部12に近接する位置に設けられるため、例えば、介護者が車室内へ進入しなくても車外から車体後部開口部12を介して把持部46を把持してスロープ22を容易に接地させることができる。
本実施形態に係る搭載装置10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
図15(a)〜図15(k)は、乗車時のスロープ操作手順において、手動操作範囲と電動操作範囲との関係を示す説明図、図16は、図2に示す状態から車椅子が移動して、車椅子が低位置にある主板体に搭載された状態を示す側面図、図17は、車椅子が主板体に搭載されたまま、主板体が低位置から高位置に変位した状態を示す側面図、図18は車椅子が移動して車室後部スペースに乗車した状態を示す側面図、図19及び図20は、乗車時のスロープ操作手順とクラッチのオン/オフ状態との関係を示すフローチャート、図21及び図22は、降車時のスロープ操作手順とクラッチのオン/オフ状態との関係を示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、「クラッチのオフ状態」とは、ロック解除アクチュエータ43が駆動されてケーブル73が引っ張られることでロック爪71aがセクタギヤ69のギヤ歯から離間してロック状態が解除され(図8中の破線参照)、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに対して伝達されない非伝達状態をいう。また、「クラッチのオン状態」とは、ロックプレート71のロック爪71aがセクタギヤ69のギヤ歯を係止してロック状態にあり(図8中の実線参照)、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第2ブラケット47bを介して第3回動軸40cに伝達される伝達状態をいう。
先ず、介護者(操作者)は、車室内にフロア面18と略平行で収納位置(図15(a))にあるスロープ22の把持部46(ハンドル25)を把持しながら回動させて起立位置(図15(b))とした後、スロープ22の把持部46(ハンドル25)を把持しながら起立位置から車外に引き出す(図15(c))。図15(a)〜図15(c)に示される状態では、第3回動軸40cのクラッチがオフ状態でフリー状態となっている。このため、介護者は、第3回動軸40cを回動中心として接地側板体38を所望の角度だけ手動操作によって回動させることができる。
その際、制御部100では、把持状態判断部190が把持センサ31からの把持検知信号に基づいて把持状態にあるか否かを判断する(ステップS1A)。把持状態判断部190によって、ハンドル25が把持された把持状態にあると判断されたとき(ステップS1A→Yes)、クラッチがオフ状態に維持される(ステップS1B)。なお、本実施形態において、「オフ状態の維持」とは、第2駆動機構42bのモータ60側の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達されない非伝達状態に機械的に保持(維持)されることを意味すると共に、さらに、例えば、図示しないリモコンが誤操作された場合であってもクラッチがオン状態に切り換わることを制御的に禁止する場合をも含んで用いている。以下も同様である。クラッチがオフ状態に維持されることで、介護者は、収納位置にあるスロープ22のハンドル25を把持しながら手動操作によって回動させて容易に起立位置とすることができる。一方、把持状態判断部190によってハンドル25が把持されていない非把持状態にあると判断されたとき(ステップS1A→No)、把持状態と判断されるまでステップS1Aの判断を繰り返す。
また、制御部100は、スロープ位置検知部180によってスロープ22が起立位置から接地面20側(外部側)に引き出されたか否かを判断する(ステップS2)。スロープ位置検知部180は、スロープ22が起立位置のまま保持されて接地面20側に引き出されていないと判断したとき(ステップS2→No)、クラッチのオフ状態を維持しながらステップS1Bに戻ってスロープ22が接地面20側に引き出されたと判断されるまでステップS2の判断を繰り返す。
一方、スロープ位置検知部190は、スロープ22が起立位置から接地面20側に引き出されたと判断したとき(ステップS2→Yes)、さらにステップS3に進み、制御部100の乗車有無判断部160により車内に車椅子26が非乗車か否かを判断する。乗車有無判断部160によって車椅子26が車内に未だ乗車されていない非乗車状態であると判断されたとき(ステップS3→Yes)、車椅子26を車内に乗車させるためのスロープ操作手順となり、クラッチがオフ状態に保持される(ステップS4)。一方、乗車有無判断部160によって車椅子26が既に車内に乗車した乗車状態であると判断されたとき(ステップS3→No)、車椅子26を降車させるためのスロープ22の操作手順となり、後記する図21のステップS51に進む。ステップS3には、把持状態判断部190により把持部46が把持された把持状態にあると判断されていると共に、第1〜第3搭載検知手段110、120、130からの各検知信号のアンドをとることで、スロープに対する搭載状態判断部150がスロープ22に対して車椅子26が搭載されていない非搭載状態であると判断することで、切換機構44が非伝達状態に維持される(ステップS4)ことも含まれる。
なお、乗車有無判断部160によって車椅子26が非乗車状態であると判断され乗車のスロープ操作手順が選択されたとき、車外に引き出されたスロープ22は低位置の状態となるように接地される。また、乗車有無判断部160によって車椅子26が乗車状態であると判断され降車のスロープ操作手順が選択されたとき、車外に引き出されたスロープ22は高位置の状態となるように接地される。
介護者によって車外に引き出されたスロープ22は、主板体34を上下方向で低位置となるように車体と接地面20との間で掛け渡される(図15(d))。この低位置では、図16に示されるように、主板体34の車体前後方向の軸線と接地側板体38の車体前後方向の軸線とが一直線上に設定されると共に、車体側板体36の車体前後方向の軸線が、主板体34側(車両後方側)への下り勾配で主板体34に対して所定角度だけ傾斜した状態に設定される。
制御部100のスロープ位置検知部180は、回転角度センサ170の検出角度に基づいて、起立位置から引き出されたスロープ22が低位置の状態で接地されたか否かを判断する(ステップS5)。スロープ位置検知部180がスロープ22が低位置に接地された状態であると判断したとき(ステップS5→Yes)、さらに、把持状態判断部190は、把持センサ31からの把持検知信号に基づいてハンドル25が非把持状態にあるか否かを判断する(ステップS6A)。スロープ位置検知部180によりスロープ22が低位置の状態で接地されていると共に、スロープ把持状態判断部190によってハンドル25が把持されていないと判断されたとき、制御部100は、クラッチをオン状態に切り換える(ステップS6B)。すなわち、車外に引き出されたスロープ22が低位置の状態となったことをスロープ位置検知部180が検知すると共に、介護者がハンドル25から手を離間させたとき、制御部100から切換機構44に対して切換制御信号が導出され、クラッチがオフ状態からオン状態に切り換わる。この結果、図15(d)に示されるスロープ22の低位置では、クラッチがオン状態でモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達される伝達状態(電動操作範囲)に切り換わる。この電動操作範囲では、クラッチがオン状態となって第3回動軸40cの手動による回動動作が禁止されるため、介護者による手動操作ができない状態となる。なお、この電動操作は、後記する図15(i)に示す車椅子26の乗車が完了するまで維持される。
スロープ位置検知部180は、スロープ22が未だ低位置の状態に到達していないと判断したとき(ステップS5→No)、ステップS4に戻ってクラッチのオフ状態を維持する。なお、スロープ22が起立位置から車外側に引き出されて低位置に接地されるまでの間において所定角度となったとき、制御部100は、第2回動軸40bに配設された第1駆動機構42aのモータ60を駆動させ、車体側板体36に対して主板体34を所定角度だけ回動させる。車体側板体36に対して主板体34を所定角度だけ回動させることで、スロープ22を低位置に接地するときの姿勢にすることができる。
続いて、スロープ22(主板体34)が低位置にある状態において、例えば、介護者の図示しないリモコン操作によって電動ウインチ30を駆動し車椅子26に係止されたベルト32を図示しないドラムで巻き上げることで、被介護者24が車椅子26に乗ったままスロープ22に沿って車体側へ移動する(図15(e))。図15(f)及び図16に示されるように、制御部100は、車椅子26が主板体34にのみ搭載された状態となったとき、電動ウインチ30のドラムの巻き取り操作を制御により停止させる。
制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS7)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS7→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30を駆動させ(ステップS8)、被介護者24を車椅子26に乗ったままスロープ22に沿って車体側へ移動させる。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS7→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS7の判断を繰り返す。
電動ウインチ30が駆動されて車椅子26が車体側へ向かって移動しているとき、制御部100のスロープに対する搭載状態判断部150は、スロープ22に対して車椅子26が搭載状態にあるか否かを判断する(ステップS9)。スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26がスロープ22に対して搭載状態にあると判断したとき(ステップS9→Yes)、クラッチのオン状態を維持し(ステップS10)、搭載状態にないと判断したとき(ステップS9→No)、スロープ22に対して車椅子26が搭載されていると判断されるまでステップS9の判断を繰り返す。なお、本実施形態において、「オン状態の維持」とは、第2駆動機構42bのモータ60側の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達される伝達状態に機械的に保持されることを意味すると共に、さらに、例えば、図示しないリモコンが誤操作された場合であってもクラッチがオフ状態に切り換わることを制御的に禁止する場合をも含んで用いている。以下も同様である。
続いて、図15(g)及び図17に示されるように、車椅子26が主板体34に搭載された状態を保持しながら、第2回動軸40b及び第3回動軸40cをそれぞれ所定方向に回動させて主板体34を低位置から高位置の状態に切り換える。すなわち、第2回動軸40bを所定方向に回動させて車体側板体36の車体前後方向の軸線と主板体34の車体前後方向の軸線とを一直線上にする。同時又は略同時に、第3回動軸40bを回動させて接地側板体38の車体前後方向の軸線が車両後方側への下り勾配で主板体34に対して所定角度だけ傾斜した状態にする。
その際、スロープ22に対して車椅子26が搭載状態にあると判断された後、制御部100のスロープに対する搭載状態判断部150は、さらに、車椅子26が主板体34にのみ搭載されているか否かを判断する(ステップS11)。スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26が主板体34にのみ搭載されて他の接地側板体38及び車体側板体36に搭載されていないと判断したとき(ステップS11→Yes)、電動ウインチ30に制御信号を出力して電動ウインチ30の駆動を停止させる(ステップS12)。一方、スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26が主板体34と他の接地側板体38、車体側板体36とを跨いで搭載されているとき、及び、他の接地側板体38又は車体側板体34のいずれか一方にのみ搭載されていると判断したとき(ステップS11→No)、車椅子26が主板体34にのみ搭載されていると判断されるまでステップS11の判断を繰り返す。
車椅子26が主板体34にのみ搭載されて電動ウインチ30の駆動が停止された後、制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS13)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS13→Yes)、制御部100は、モータ駆動信号を出力して第1駆動機構42a及び第2駆動機構42bを駆動させて第2回動軸40b及び第3回動軸40cを回動させ(ステップS14)、スロープ22を低位置から高位置に切り換える(図23参照)。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS13の判断を繰り返す。
その際、制御部100のスロープ位置検知部180は、回転角度センサ170の検出角度に基づいて、スロープ22が高位置の状態に到達したか否かを判断する(ステップS17)。スロープ位置検知部180によりスロープ22が高位置にあると判断されたとき(ステップS17→Yes)、制御部100は、駆動機構42に制御信号を出力して第2回動軸40b及び第3回動軸40cの回動動作を停止させる(ステップS18)。
一方、スロープ位置検知部180によりスロープ22が未だ高位置に到達していないと判断されたとき(ステップS18→No)、ステップS16に戻ってクラッチがオン状態に維持されたまま、スロープ22が高位置に到達したと判断されるまでステップS17の判断を繰り返す。なお、ステップS17でNoのとき、スロープ位置検知部180は、スロープ22が低位置から高位置へ変位中であると判断され、クラッチがオン状態に維持される。
スロープ22が高位置に到達して第2回動軸40b及び第3回動軸40cの回動が停止した後、制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS19)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS19→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30を駆動させ(ステップS20)、被介護者24を車椅子26に乗ったまま高位置にあるスロープ22に沿って車体側へ移動させる。すなわち、高位置にある主板体34に車椅子26が搭載された状態を保持しながら、再び、介護者のリモコン操作によって電動ウインチ30を駆動してベルト32の巻き取りを開始すると共に、介護者がスロープ22に沿って車椅子26を車体側に押圧することで、車椅子26を車室後部スペース28の位置に乗車させることができる(図15(h)、図15(i)、図18参照)。これにより電動ウインチ30の負荷が軽減される。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS19→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS19の判断を繰り返す。
制御部100の乗車有無判断部160は、車椅子26が車内への乗車が完了したか否かを判断する(ステップS21)。乗車有無判断部160によって乗車が完了したと判断されたとき(ステップS21→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30に制御信号を出力して電動ウインチ30によるベルト32の巻き取りを停止する(ステップS22)。一方、乗車有無判断部160によって車内への乗車が未だ完了していないと判断されたとき(ステップS21→No)、乗車が完了したと判断されるまでステップS21の判断を繰り返す。
車椅子26の乗車が完了した後、制御部100の把持状態判断部190は、把持センサ31からの把持検知信号に基づいて把持状態にあるか否かを判断する(ステップS23A)。把持状態判断部190によって、ハンドル25が把持された把持状態にあると判断されたとき(ステップS23A→Yes)、次のステップS23Bに進む。一方、把持状態判断部190によってハンドル25が把持されていない非把持状態にあると判断されたとき(ステップS23A→No)、把持状態と判断されるまでステップS23Aの判断を繰り返す。
ステップS23AでYesのとき、制御部100のスロープ位置検知部180は、回転角度センサ170の検出角度に基づいて、高位置にあるスロープ22の接地側板体38が介護者によって引き上げられたか否かを判断する(ステップS23B)。スロープ位置検知部180によりスロープ22の接地側板体38が介護者によって所定角度α(図24(b)参照)まで引き上げられた(図15(j))ことを検知したとき(ステップS23B→Yes)、クラッチがオン状態からオフ状態に切り換わる(ステップS24)。この結果、第3回動軸40cが回動自由状態となり、第1回動軸40aを回動中心として回動させてスロープ22を起立位置として車室内に収納することができる(図15(k))。
ステップS23BでYesのとき、制御部100は、駆動機構42のモータ60に対してモータ停止信号を導出すると共に、切換機構44に対して切換制御信号を導出し、クラッチをオン状態からオフ状態に切り換える。この結果、図15(j)に示されるように、スロープ22の接地側板体38が高位置から引き上げられた状態では、クラッチがオフ状態でモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達されない非伝達状態(手動操作範囲)に切り換わる。
スロープ22が引き上げられてクラッチがオフ状態となり第1回動軸40aを回動中心としてスロープ22を車体側に回動させた後、制御部100のスロープ位置検知部180は、スロープ22が起立位置となった否かを判断する(ステップS25)。スロープ位置検知部180によりスロープ22が起立位置にあると判断されたとき(ステップS25→Yes)、この乗車時のスロープ操作手順に関する制御フローが終了する。一方、スロープ位置検知部180によりスロープ22が未だ起立位置に到達していないと判断されたとき(ステップS25→No)、スロープ22が起立位置に到達したと判断されるまでステップS25の判断を繰り返す。
被介護者24が乗った車椅子26を車室後部スペース28から降車させる場合には、前記と逆の操作手順となり(図15(k)→図15(a)の順序)、スロープ22の主板体34を高位置から低位置に切り換えることで車椅子26を容易に降車させることができる。また、介護者が把持部46を把持しながら、スロープ22の高位置から起立位置を経由して収納位置とすることにより、スロープ22を簡便に車室内に収納することができる。
以下、降車の操作手順とクラッチのオン/オフとの関係を図21、図22及び図15に基づいて詳細に説明する。
降車時のスロープ操作では、図15(k)に示されるスロープ22の起立位置から、介護者(操作者)によってスロープ22が車外に引き出された図15(j)に示す状態までクラッチがオフ状態に維持された手動操作範囲となる。
図15(k)に示されるスロープ22の起立位置では、クラッチがオフ状態(ステップS1B)で、第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに対して伝達されない非伝達状態となっている。このクラッチのオフ状態は、介護者によってスロープ22が接地面20側(車外側)に引き出されて高位置に接地されるまで維持される(ステップS2でNoのとき)。
すなわち、制御部100の把持状態判断部190によってハンドル25が把持された把持状態にあると判断されたとき(ステップS1A→Yes)、クラッチがオフ状態に維持される(ステップS1B)。さらに、制御部100は、スロープ位置検知部180によってスロープ22が把持部46を介して接地面20側に引き出されたと判断されたとき(ステップS2→Yes)、制御部100の乗車有無判断部160により車内に車椅子26が非乗車か否かを判断する。乗車有無判断部160によって車椅子26が既に車内に乗車した乗車状態であると判断されたとき(ステップS3→No)、車椅子26を降車させるためのスロープ22の操作手順となる。
クラッチ68がオフ状態(ステップS51)のまま、スロープ22が接地面20側に引き出された後、制御部100のスロープ位置検知部180は、スロープ22が高位置で接地されたか否かを判断する(ステップS52)。スロープ位置検知部180は、スロープ22が高位置に接地されていると判断したとき(ステップS52→Yes)、ステップS53Aに進む。ステップS53Aでは、把持状態判断部190によって把持部46が非把持状態にあるか否かが判断され、ハンドル25が把持されていない非把持状態にあると判断されたとき(ステップS53A→Yes)、クラッチがオン状態に切り換えられる(ステップS53B)。一方、スロープ位置検知部180は、未だスロープ22が高位置に接地されていないと判断したとき(ステップS52→No)、クラッチがオフ状態に維持されたままスロープ22が高位置に接地されたと判断されるまでステップS52の判断を繰り返す。また、把持状態判断部190によって未だ把持された把持状態にあると判断されたとき(ステップS53A→No)、クラッチがオフ状態に維持される。なお、起立位置から車外側に引き出されたスロープ22は、各板体が一直線上に延在した仮接地状態を経た後、接地側板体38が第3回動軸40cを回動中心として回動して高位置の状態に接地される。
スロープ22が高位置となった後、制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS54)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS54→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30を駆動させ(ステップS55)、被介護者24を車椅子26に乗ったまま高位置にあるスロープ22側へ移動させる。すなわち、介護者のリモコン操作によって電動ウインチ30を駆動してベルト32の巻き戻しを開始しながら、車椅子26を車内から高位置にある主板体34側へ移動させることで、車椅子26を車室後部スペース28から高位置にあるスロープ22側に移動させることができる(図15(i)、図15(h)参照)。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS54→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS54の判断を繰り返す。
電動ウインチ30が駆動されて車椅子26が車室内からスロープ22側へ向かって移動しているとき、制御部100のスロープに対する搭載状態判断部150は、スロープ22に対して車椅子26が搭載状態にあるか否かを判断する(ステップS56)。スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26がスロープ22に対して搭載状態にあると判断したとき(ステップS56→Yes)、さらに、車椅子26が主板体34にのみ搭載されているか否かを判断する(ステップS57)。
スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26が主板体34にのみ搭載されて他の接地側板体38及び車体側板体36に搭載されていないと判断したとき(ステップS57→Yes)、電動ウインチ30に制御信号を出力して電動ウインチ30の駆動を停止させる(ステップS58)。一方、スロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26が主板体34と他の接地側板体38、車体側板体36とを跨いで搭載されているとき、及び、他の接地側板体38又は車体側板体34のいずれか一方にのみ搭載されていると判断したとき(ステップS57→No)、車椅子26が主板体34にのみ搭載されていると判断されるまでステップS57の判断を繰り返す。
続いて、図15(g)及び図15(f)に示されるように、車椅子26が主板体34に搭載された状態を保持しながら、第2回動軸40b及び第3回動軸40cをそれぞれ所定方向に回動させて主板体34を高位置から低位置の状態に切り換える。すなわち、第3回動軸40bを所定方向に回動させて接地側板体38の車体前後方向の軸線と主板体34の車体前後方向の軸線とを一直線上にする。同時又は略同時に、第2回動軸40bを回動させて車体側側板体36の車体前後方向の軸線が車両後方側への下り勾配で主板体34に対して所定角度だけ傾斜した状態にする。
車椅子26が主板体34にのみ搭載されて電動ウインチ30の駆動が停止された後、制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS59)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS59→Yes)、制御部100は、モータ駆動信号を出力して第1駆動機構42a及び第2駆動機構42bを駆動させて第2回動軸40b及び第3回動軸40cを回動させ(ステップS60)、スロープ22を高位置から低位置に切り換える(図15(g)→図15(f)、図23参照)。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS59→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS59の判断を繰り返す。
その際、制御部100のスロープ位置検知部180は、回転角度センサ170の検出角度に基づいて、スロープ22が低位置の状態に到達したか否かを判断する(ステップS63)。スロープ位置検知部180によりスロープ22が低位置にあると判断されたとき(ステップS63→Yes)、制御部100は、駆動機構42に制御信号を出力して第2回動軸40b及び第3回動軸40cの回動動作を停止させる(ステップS64)。
一方、スロープ位置検知部180によりスロープ22が未だ低位置に到達していないと判断されたとき(ステップS63→No)、ステップS62に戻ってクラッチ68がオン状態に維持されたまま、スロープ22が低位置に到達したと判断されるまでステップS63の判断を繰り返す。なお、ステップS63でNoのとき、スロープ位置検知部180は、スロープ22が高位置から低位置へ変位中であると判断され、クラッチ68がオン状態に維持される。
スロープ22が低位置に到達して第2回動軸40b及び第3回動軸40cの回動が停止した後、制御部100は、図示しないリモコンが介護者によって操作されたか否かを判断する(ステップS65)。介護者によって図示しないリモコンが操作されたと判断したとき(ステップS65→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30を駆動させ(ステップS66)、被介護者24を車椅子26に乗ったまま低位置にあるスロープ22に沿って接地面20側へ移動させる。すなわち、低位置にある主板体34に車椅子26が搭載された状態を保持しながら、再び、介護者のリモコン操作によって電動ウインチ30を駆動してベルト32の巻き戻しを開始すると共に、介護者がスロープ22に沿って車椅子26を接地面20側に移動させることで、車椅子26をスロープ22から降ろして接地面20に着地させることができる(図15(f)、図15(e))。一方、制御部100は、介護者によって図示しないリモコンが操作されていないと判断したとき(ステップS65→No)、図示しないリモコンが操作されるまでステップS65の判断を繰り返す。
制御部100のスロープに対する搭載状態判断部150は、車椅子26の車外への降車が完了したか否かを判断する(ステップS67)。スロープに対する搭載状態判断部150によって車椅子26の降車が完了したと判断されたとき(ステップS67→Yes)、制御部100は、電動ウインチ30に制御信号を出力して電動ウインチ30によるベルト32の巻き戻しを停止する(ステップS68)。一方、スロープに対する搭載状態判断部150によって車外への降車が未だ完了していないと判断されたとき(ステップS67→No)、降車が完了した判断されるまでステップS67の判断を繰り返す。
図15(d)に示されるように、車椅子26から電動ウインチ30のベルト32を取り外して車椅子26の降車が完了した後、把持センサ31からの把持検知信号に基づいて把持状態判断部190は、把持部46が把持状態にあるか否かが判断される(ステップS69A)。ステップS69AでYesのとき、さらに、スロープ位置検知部180は、回転角度センサ170の検出角度に基づき、低位置にあるスロープ22の接地側板体38が介護者によって所定角度α(図25(b)参照)まで引き上げられたか否かを判断する(ステップS69B)。把持状態判断部190によって把持状態であると判断されると共に、スロープ位置検知部180によりスロープ22の接地側板体38が介護者によって所定角度α(図25(b)参照)まで引き上げられた(図15(c)参照)ことを検知したとき、クラッチがオン状態からオフ状態に切り換わる(ステップS70)。この結果、第3回動軸40cが回動自由状態となり、第1回動軸40aを回動中心として回動させてスロープ22を起立位置(図15(b))、又は、起立位置を経由した収納位置(図15(a))として車室内に収納することができる。
すなわち、ステップS69A及びステップ69Bで両者の判断がそれぞれYesのとき、制御部100は、第2駆動機構42bのモータ60に対してモータ停止信号を導出すると共に、切換機構44に対して切換制御信号を導出し、クラッチをオン状態からオフ状態に切り換える。図15(c)に示されるように、スロープ22の接地側板体38が低位置から起立位置側に引き上げられた状態では、クラッチがオフ状態で第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに伝達されない非伝達状態(手動操作範囲)に切り換わるため、スロープ22を車室内に容易に収容することができる。この結果、介護者の負担を軽減することができる。
スロープ22が引き上げられてクラッチがオフ状態となり第1回動軸40aを回動中心としてスロープ22を車体側に回動させた後、制御部100のスロープ位置検知部180は、スロープ22が起立位置となった否かを判断する(ステップS71)。スロープ位置検知部180によりスロープ22が起立位置にあると判断されたとき(ステップS71→Yes)、この降車時のスロープ操作手順に関する制御フローが終了する。一方、スロープ位置検知部180によりスロープ22が未だ起立位置に到達していないと判断されたとき(ステップS71→No)、スロープ22が起立位置に到達したと判断されるまでステップS71の判断を繰り返す。なお、ステップS71では、車内に収納されるスロープ22が起立位置を経由して収納位置となったことをスロープ位置検知部180で検知するようにしてもよい。
本実施形態では、介護者(操作者)が把持部46を把持する把持状態に基づいて把持状態判断部190が、第2駆動機構42bのモータ60から第3回動軸40cへ回転駆動力が伝達されない非伝達状態に切換機構44を切り換えることができる。切換機構44が非伝達状態に切り換えられることで、接地側板体38を回動自由状態(フリー状態)とすることができる。介護者は、把持部46を把持したまま、回動自由状態にあるスロープ22を車体後部スペース28内に容易に収納することができると共に、車体と接地面20との間にスロープ22を容易に接地することができる。この結果、本実施形態では、スロープ22の収納・展開時における利便性を向上させ、介護者の負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、把持部46を把持するだけで切換機構44を非伝達状態に切り換えることができる。このため、介護者に複雑な操作をさせることがなく、単に把持部46を把持するだけで切換機構44を制御(オン/オフ信号による電気的制御及び機械的な制御の両者を含む)することができ、スロープ22の操作性を向上させることができる。さらに、例えば、第2駆動機構42bを構成するモータ60が故障したときや電源であるバッテリ(図示せず)が上がったとき、介護者が把持部46を把持するだけで接地側板体38を回動自由状態としてスロープ22を容易に折り畳むことができる。
さらに、本実施形態では、第1〜第3搭載検知手段110、120、130によって車椅子26のスロープ22に対する搭載状態と非搭載状態とを検知することができ、スロープ22に対する車椅子26の搭載状態に対応させて切換機構44を好適に切換制御することができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープ22に対する車椅子26の非搭載状態(車椅子26がスロープ22上に無いとき)で把持部46が把持されたとき、切換機構44を非伝達状態(回動自由状態)としてスロープ22の収納及び展開時の利便性を向上させることができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープ22に対する車椅子26の搭載状態(車椅子26がスロープ22上に搭載されている)のとき、切換機構44を伝達状態(回動不可状態、固定状態)として各板体の自由な回動を阻止することができる。
さらにまた、本実施形態では、回転角度センサ170によって検出される第1回動軸40aの回動角度に対応して、伝達状態と非伝達状態との間で切換機構44を切換制御することができる。この結果、スロープ22を回動自由状態(フリー状態)として、収納・引き出し時の利便性を高めると共に、固定状態として各板体の自由な回動を阻止することができる。
さらにまた、本実施形態では、例えば、車椅子26を乗車させた後、介護者が高位置にあるスロープ22を起立位置側に所定角度α(後記する図24(b)参照)だけ持ち上げて回動させることで、切換機構44が非伝達状態に切り換えられると共に、非伝達状態に維持される。この結果、接地側板体38が回動自由状態となって車体内への収納が容易となり、車椅子26の乗車後のスロープ22の収納性を向上させることができる。
図24(a)〜(c)は、車椅子の乗車完了後にスロープを車内に収納する状態を示す説明図である。スロープ22が高位置にある状態(図24(a)参照)から、第1回動軸40aを回動中心として所定角度α(図24(b)参照)だけスロープ22を回動させる(引き上げる)ことで、切換機構44が非伝達状態に切り換えられた後、第3回動軸40cを手動操作で回動させてスロープ22を起立位置(図24(c)参照)とすることができる。
一方、車椅子26を降車させた後、介護者が低位置にあるスロープ22を起立位置側に所定角度α(後記する図25(b)参照)だけ持ち上げて回動させることで、切換機構44が非伝達状態に切り換えられると共に、非伝達状態に維持される。この結果、接地側板体38が回動自由状態となって車体内への収納が容易となり、車椅子26の降車後のスロープ22の収納性を向上させることができる。このように、本実施形態では、乗車後・降車後のスロープ22の収納性を向上させて、収納時の利便性を高めることができる。
図25(a)〜(c)は、車椅子の降車完了後にスロープを車内に収納する状態を示す説明図である。スロープ22が低位置にある状態(図25(a)参照)から、第1回動軸40aを回動中心として所定角度α(図25(b)参照)だけスロープ22を回動させる(引き上げる)ことで、切換機構44が非伝達状態に切り換えられた後、第3回動軸40cを手動操作で回動させてスロープ22を起立位置(図25(c)参照)とすることができる。なお、スロープ22の低位置(図25(a))からのスロープ22が所定角度αだけ引き上げられた状態(図25(b))に移行する際、図25(a)の破線で示されるように、制御部100によって第1駆動機構42aのモータ60が駆動され、主板体34、車体側板体36及び接地側板体38が一直線上となった後、切換機構44を介して接地側板体38が回動自由状態に切り換えられる。
さらにまた、本実施形態では、スロープ22が低位置及び高位置にあるとき、並びに、スロープ22が低位置と高位置との間で変位しているときに切換機構44を伝達状態に維持することで、切換機構44が非伝達状態となることがなく各板体の自由な回動を禁止することができる。
さらにまた、本実施形態では、切換機構44によって第2駆動機構42bのモータ60から第3回動軸40cへ回転駆動力を伝達しない非伝達状態に切り換えることで、接地側板体38を回動自由状態(フリー状態)とすることができる。介護者は、この回動自由状態にあるスロープ22を車室後部スペース28(車体後部室)内に容易に収納することができると共に、車体と接地面20との間にスロープ22を容易に接地することができる。この結果、本実施形態では、スロープ22の収納・展開時における利便性を向上させ、介護者の負担を軽減することができる。
さらにまた、本実施形態では、第1回動軸40aに設けられた回転角度センサ170によって検出されるスロープ22(車体側板体36)の回動角度に対応して、モータ60の回転駆動力の伝達状態と非伝達状態との間で切換機構44(クラッチ68)を切換制御(オン・オフ制御)することができる。この結果、スロープ22を回動自由状態(フリー状態)として、収納・引き出し時の利便性を高めると共に、固定状態として接地側板体38の自由な回動を阻止することができる。
さらにまた、本実施形態では、回転角度センサ170によって検出される第1回動軸40aの回動角度によりスロープ22の各位置(収納位置θ1、起立位置θ2、高位置θ3、低位置θ4)を検知することができ、スロープ22の各位置に対応させて切換機構44を好適に切換制御することができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープ22が収納位置及び起立位置にあるときに接地側板体38を回動自由状態(フリー状態)とすることで、スロープ22の収納時及び引き出し時における利便性を高めることができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープ22が低位置及び高位置にあるとき、並びに、スロープ22が低位置と高位置との間で変位しているときに切換機構44を伝達状態に維持する(クラッチが手動操作によって伝達状態から非伝達状態に切り換わることを禁止する)ことで、切換機構44が非伝達状態となることがなく接地側板体38の自由な回動を禁止することができる。
さらにまた、本実施形態では、車椅子26(被搭載物)を乗車させた後、介護者が高位置にあるスロープ22を起立位置側に所定角度αだけ持ち上げて回動させることで(乗車時のスロープ操作手順における図15(j)参照)、接地側板体38が回動自由状態となり、車椅子26の乗車後のスロープ22の収納性を向上させることができる。また、車椅子26を降車させた後、介護者が低位置にあるスロープ22を起立位置側に所定角度αだけ持ち上げて回動させることで(降車時のスロープ操作手順における図15(c)参照)、接地側板体38が回動自由状態となり、車椅子26の降車後のスロープ22の収納性を向上させることができる。このように、本実施形態では、乗車後・降車後のスロープ22の収納性を向上させて、収納時の利便性を高めることができる。
さらにまた、本実施形態では、乗車有無判断部160によって、車体内に車椅子26が乗車しているか否かを検知することができ、車椅子26の乗車の有無に対応して切換機構44を切換制御することができる。例えば、車椅子26が乗車していない状態でスロープ22を収納位置から車外に展開するとき、車椅子26を乗車させるために切換機構44を介してスロープ22を容易に低位置に移行させることができる(乗車時の操作手順における図15(c)→図15(d)参照)。また、車椅子26が乗車している状態でスロープ22を収納位置から車外に展開するとき、車椅子26を降車させるために切換機構44を介してスロープ22を容易に高位置に移行させることができる(降車時の操作手順における図15(j)→図15(i)参照)。
さらにまた、本実施形態では、車椅子26が乗車していないときにスロープ22を車外側(接地面側)に引き出すと、切換機構44によって接地側板体38が回動自由状態(フリー状態)となり、回動自由状態となった接地側板体38を自在に回動させてスロープ22を低位置へ容易に移行させることができる。
さらにまた、本実施形態では、車椅子26が乗車しているときに起立位置にあるスロープ22を車外側(接地面側)に引き出すと、切換機構44によって接地側板体38が伝達状態に切り換えられ、スロープ22を高位置へ容易に移行させることができる。
さらにまた、本実施形態では、第1〜第3搭載検知手段110、120、130からの各検知信号(例えば、第1搭載検知手段110の搭載信号と、第2搭載検知手段120の非搭載信号と、第3搭載検知手段130の非搭載信号との3つの検知信号のアンドをとる)によって車椅子26が主板体34上に搭載されていると検知された搭載状態において、切換機構44を伝達状態に維持して接地側板体38の自由な回動を禁止することができる。
さらにまた、本実施形態では、主板体34と接地側板体38との間の第3回動軸40cに切換機構44を配設することで、スロープ22の展開時において回動自由状態(フリー状態)にある接地側板体38の把持部46を持ってスロープ22を容易に引き出すことができると共に、スロープ22の収納時において回動自由状態(フリー状態)にある接地側板体38の把持部46を持ってスロープ22を容易に車室後部スペース28内に収納することができる。この結果、スロープ22の収納時及び展開時の作業性を向上させ、介護者への負担を軽減することができる。
次に、本発明の他の実施形態に係る搭載装置10aを以下に説明する。
図26は、本発明の他の実施形態に係る搭載装置が適用された車両及びスロープの模式図である。なお、以下に示す実施形態において、図2に示す前記実施形態と同一の構成要素には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2に示す前記実施形態では、主板体34の車両前後方向に沿った一端と車体との間に配置される車体側板体36が単数の板体で構成されているのに対し、他の実施形態に係る搭載装置10aでは、この車体側板体36を第1車体側板体36a及び第2車体側板体36bからなる複数の板体で構成されている点で相違している。
第1車体側板体36aは、第1回動軸40aに連結されると共に、第1回動軸40aから車両前方のフロア面18上に設けられている。第2車体側板体36bは、第1回動軸40に連結されると共に、第1回動軸40aから車両後方位置で、第2回動軸40bを介して主板体34と連結されている。
フロア面18上に第1車体側板体36aを配置することで、フロア面18における第1回動軸40aのレイアウトの自由度を向上させることができる。換言すると、第1回動軸40aは、車体後部開口部12の位置(フロア面18の最後部)に限定されるものではなく、例えば、車体後部開口部12よりも車両前方に位置するフロア面18上に配置してもよい。
次に、本発明のさらに他の実施形態に係る搭載装置10bを以下に説明する。
図27は、本発明のさらに他の実施形態に係る搭載装置が適用された車両及びスロープの側面図である。
図27に示される搭載装置10bでは、第2回動軸40bと第3回動軸40cとの間に配設される主板体34が軸方向に沿って伸縮可能に構成されている点で前記搭載装置10、10aと相違している。すなわち、主板体34は、第3回動軸40c側に連結され開口部を有する中空状のアウタ側板体34aと、第2回動軸40b側に連結され前記アウタ側板体の中空部200内に摺動可能に収納(内嵌)されるインナ側板体34bとによって構成される。
インナ側板体34bに外嵌されたアウタ側板体34aを軸方向に沿ってスライド(摺動)させることで、主板体34の長さを自在に伸長することができる。なお、インナ側板体34bには、スライドした伸長時においてアウタ側板体34aの端部に係止されてスライド動作を規制する図示しない係止部が設けられる。このように主板体34を伸縮可能に構成することで、収納位置及び起立位置におけるスロープ22の全長を短縮することができると共に、接地時にスロープ22の全長を伸長させることができる。なお、その他の作用効果は、前記実施形態と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
次に、本発明のさらに他の実施形態に係る搭載装置10cを以下に説明する。
図28(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係る搭載装置が車両に適用された状態の斜視図、図28(b)は、把持部の縦断面図である。
図1に示される搭載装置10では、把持センサ31を用いて介護者によってハンドル25が把持された状態であるか否かを検知しているが、図28(a)、(b)に示されるさらに他の搭載装置10cでは、把持センサ31を不要として機械的(メカ的)に構成している点で相違している。
すなわち、さらに他の搭載装置10cでは、ワイヤ部材210の一端部がハンドル25のグリップ23に接続されると共に、ワイヤ部材210の他端部が切換機構44のロックプレート71に接続されている。従って、ハンドル25が収容凹部29内に横倒し状態で収容された状態(図28(b)中の2点鎖線参照)から介護者によってハンドル25が起立した状態まで引き起こされて(持ち上げられて)把持状態(図1(b)中の実線参照)となることでワイヤ部材210がハンドル25側に引っ張られる。この結果、ワイヤ部材210の引張力によってセクタギヤ69のギヤ歯からロックプレート71が離間しロック状態が解除される。なお、ヒンジ27には、ハンドル25が起立した状態となったときに当接して収容状態の反対側へハンドル25が傾倒することを阻止するストッパ部が設けられる点は、搭載装置10と同一である。
このように、さらに他の実施形態に係る搭載装置10cでは、把持部46のハンドル25の回動操作力がワイヤ部材210を介して直接的に切換機構44に伝達されることで、第3回動軸40cのクラッチがオフ状態(第2駆動機構42bのモータ60の回転駆動力が第3回動軸40cに対して伝達されない非伝達状態)でフリー状態とすることができる。
以上から、本実施形態では、介護者に複雑な操作をさせることがなく、単に把持部46を把持することで、切換機構44を機械的に制御することができる。なお、その他の作用効果は、図1に示す搭載装置10と同一であるため、その詳細な説明を省略する。