JP4279982B2 - 風味の良好な高純度大豆イソフラボンおよびそれを用いた食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨粗しょう症や更年期障害の予防、乳がんや前立腺がん、動脈硬化の予防に有用な高純度大豆イソフラボン組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
大豆イソフラボンは、弱い女性ホルモン作用を持ち、閉経後のホルモンバランスの変化が関与しているとされる骨粗鬆症の予防[Nutr. Res.,17,1617(1997)]、閉経後の不定愁訴などの緩和[Am.Chem.Soc Symp Ser.,No.662,273(1997)]などの働きがあるといわれている。
また、ホルモンバランスが関与しているとされる疾病のうち、乳がん、前立腺がんなどの発病率についても、大豆食品摂取量の多いアジア諸国と大豆食品摂取量が少ない欧米諸国との比較による疫学調査などから、大豆イソフラボンの摂取量との間に負の相関性がみられている[Science.,120,575(1954)]。
【0003】
最近になって、イソフラボンには動脈硬化に関与する脈管形成の阻害作用があるという報告もなされている[J. Nutr., 125,2307(1995)]。
このように有用な物質である大豆イソフラボンであるが、大豆全体としては含有量が低く、具体的な生理活性を得るためには大量に摂取せねばならず、食生活上、現実的ではない。
【0004】
イソフラボン(3−フェニルクロモン)自体は天然から見いだされていないが、その誘導体(同族体)はマメ科などの植物から十数種類見いだされており、通常イソフラボンと言われるものは抽出される植物によって多少組成が異なるがこれら誘導体の混合物である。植物(主として大豆)から抽出された通常のイソフラボンは、イソフラボン誘導体の他に、サポニン、オリゴ糖、蛋白質等を含んでいる。
イソフラボンは大豆の子葉部分にはわずか0.4%程度の含有量しかないが、胚軸部分には2%程度含まれているので、工業的にイソフラボンを製造するための原料としては、大豆胚軸を利用することが望ましい。しかし、古くから代表的な大豆食品である豆腐などの製造においては、胚軸を除いた子葉部分のみを原料とするのが通例である。これは、1)胚軸中にのみ含まれるイソフラボン同族体の一部(グリシテイン同族体)が、もともと好ましくない風味をもつものであること、2)アセチル体、マロニル体などの風味の悪い同族体が多く含まれていること、3)胚軸にはイソフラボン以外のソヤサポニンなどの不快味配糖体成分が多く含まれていること等が、風味悪化の原因となっているからである。[New Food Industry.,29,73(1987)]。
【0005】
上記のような理由から、大豆胚軸は、イソフラボンの原料として有用であるにも拘わらず、あまり積極的に利用されることは少なかった。
従来、イソフラボンを高濃度で得るための工業的方法としては、大豆または大豆胚軸を原料として、無水アルコールまたは含水アルコールなどの抽出溶媒を用いてイソフラボンを抽出し、スチレン・ジビニルベンゼン骨格をもつ無極性の合成吸着剤にイソフラボンを吸着させた後、アルコール溶液としてイソフラボンを溶出させる方法が知られている(特公平4-21670 号公報)。この方法ではイソフラボンを高濃度で得ることはできるが、同じ配糖体成分であるソヤサポニン等の不快味成分をイソフラボンと分離することが困難なため、上記のような苦味・不快味などはイソフラボンの濃度が増した分だけ却って増大している。このため、大豆イソフラボンは有用性があるにもかかわらず、上記のような味の問題から食品に高濃度で添加することは難しい状況であった。
【0006】
この問題を解決するために、イソフラボンをサイクロデキストリンで包接化合物とし、水溶性を増すと同時にその風味を改善する方法も提案されているが(特開平10-298175 号公報)、包接化合物をつくるためには、イソフラボン量に対して、比較的高価なサイクロデキストリンを当量以上要するため、経済的にはあまり有利といえず、またイソフラボンの濃度もサイクロデキストリン添加により低くなってしまうため、この方法によって得られるイソフラボンは、直接または食品に添加して食べてもイソフラボンを高濃度で摂取できないという難点がある。
【0007】
一方、前述のようにイソフラボン同族体中でも、その風味が異なることが知られており[Agric. Biol. Chem.,55, 2227-2233,1991 ]、ゲニステインおよびその遊離配糖体であるゲニスチン、およびアセチル配糖体・マロニル配糖体の不快味(苦味・収斂味)はダイゼイン化合物、グリシテイン化合物に比較すると少なく、胚軸のみに含有され、子葉部分にはほとんど含有されないグリシテイン化合物が風味が悪く、同じ骨格をもつもの同士の比較では遊離の配糖体が最も不快味が少ない傾向にある。
このことから、イソフラボン同族体中で不快味の最も少ないゲニスチンのみを精製して使用するという方法もあるが(特開2000-95792)、胚軸を原料にした場合ではダイジン、グリシチンに比べてゲニスチン含有量が非常に少なく、経口摂取を目的とした用途では経済的に不利であることは明らかである。
【0008】
【発明が解決すべき課題】
本発明の目的は、大豆イソフラボンの利用に際し、特に胚軸を原料にした場合の大豆イソフラボン含有食品の持つ味の問題点を克服し、食品として利用する際に致命傷となる不快味が殆どない高純度かつ高濃度のイソフラボンおよびそれを含有する食品を、効率良く安価に提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、イソフラボン誘導体の中から選択した特定誘導体からなる組成のイソフラボンは、イソフラボン含量が高濃度であるにもかかわらず、不快味がなく、外観も優れているため、これを食品に用いれば、大豆イソフラボンを大量摂取できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、大豆からの抽出イソフラボンであって、イソフラボンの純度が少なくとも60%以上であり、下式で表される不快味指数(B)が0.05以下であることを特徴とする、高純度大豆イソフラボンである。
不快味指数(B)= (ソヤサポ ニン 含量+アセチルイソフラボ ン 含量+マロニルイソフラボ ン 含量+アグ リコン含量)/(ダ イジ ン含量+グ リシチン含量)
【0010】
ここで、不快味指数(B)として、イソフラボン誘導体のダイジン、グリシチンの合計含有量に対し、総ソヤサポニン、総アグリコン(ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン)、アセチル・マロニル配糖体の含有量の総和が占める割合が0.05以下、望ましくは0.02以下である組成のイソフラボンとすることが好ましい。このように精製することによって、味の改善されたイソフラボンを得ることができる。
また、本発明者は、1)原料としてイソフラボン含有量の高い大豆胚軸を使用し、2)無水又は含水の低級アルコールでイソフラボンを抽出し、3)得られた抽出液を、そのままもしくは水で希釈あるいは含水アルコールからアルコール分を蒸留により除去してから、蛋白質含量が1重量%以下の抽出液に調整して、4)均一粒径のスチレン・ジビニルベンゼン型陰イオン交換樹脂に供してイソフラボンを吸着せしめた後、5)無水または含水アルコールでイソフラボン遊離配糖体のみを溶出させることにより、胚軸に含まれる不快味成分のうち特に味の面で問題がある化合物であるソヤサポニン類、アグリコン、アセチル・マロニル配糖体が分離された遊離配糖体含有率の高い本発明のイソフラボンが得られることを見出した。
【0011】
ここでいう均一粒径の陰イオン交換樹脂とは、平均粒径±10%の範囲に90%以上の粒度分布をもつもので、3級アミンなどのイオン交換基をもつ樹脂である。このような樹脂としては、バイエル社製レバチットMP−64、ダウケミカル社製マラソンWBA、ピューロライト社製PFA−100などが市販されているが、上記均一粒径等の条件を満たしていればここに記載されたものに限定されない。また、必要に応じて市販の製品を篩分け等の手段により上記粒度分布範囲内でかつ抽出処理に適するものに調整して使用してもよい。
粒子径が均一でないと、不快味成分の分離が不充分となるだけでなく、分離がシャープにならない、ショートパスが起きる、負荷量を多くできない、溶剤使用量が多くなる等の問題が多発し、産業上の利用に際しては、現実的でない。
陰イオン交換樹脂の粒径については特に限定されないが、通常平均粒径が150μm〜600μmの範囲から選択するとよい。
【0012】
これら均一粒径樹脂を使用することで、イソフラボン誘導体のうちのアグリコン、マロニル・アセチル配糖体の不快味成分と不快味の少ない遊離配糖体を工業的に分離することが可能となるが、更には、陰イオン交換基、特に弱塩基性のイオン交換基を持つ均一粒径樹脂を使用すると不快味成分であるサポニンを完全に分離することができる。
原料である大豆胚軸からのイソフラボンの抽出は、炭素数1〜3の無水又は含水の低級アルコール、すなわち、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの含水物などが利用できるが、食品としての利用を考え無水エタノールまたは含水エタノールを使用することがより望ましい。
【0013】
原料胚軸よりイソフラボンを抽出する方法は、室温から80℃において原料に対し5〜10倍容量の抽出溶媒を加えて攪拌するのが一般的な方法であるが、イソフラボンが十分な回収率で抽出できる条件であれば特に限定されない。
このようにして得られた抽出液を上記均一粒径樹脂に供するにあたっては、抽出液をそのままあるいは脱溶剤により含水アルコールからアルコール分を除いた抽出液あるいは抽出液を水で希釈したものが利用できる。イソフラボン吸着量を上げるためと、オリゴ糖などの水溶性非吸着成分とイソフラボンをより確実に分離するために、水で希釈あるいは脱溶剤等の処理を行ったものを用いるのがより好ましい。
いずれの場合でも、均一粒径の陰イオン交換樹脂に通液する抽出液の蛋白質含量は、1重量%以下であることが必須である。蛋白質含量が1重量%より多くなると、処理液の粘性の増大、樹脂カラム流路の閉塞、樹脂ブロック化による片流れ(ショートパス)なとが起り、イソフラボンの分離効率が低下し生産性が落ちる。そのため、高純度のイソフラボンを得ることができなくなる。
【0014】
イソフラボンを吸着させた樹脂は、水を流して非吸着成分を洗浄した後、アルコールまたは含水アルコールを流すことによりイソフラボン遊離配糖体を溶出させる。このとき、溶出力を高めるためには樹脂を40〜60℃に加熱することが好ましい。
処理量が適切であれば上記操作により遊離配糖体とサポニン、アグリコン、アセチル・マロニル体はほぼ完全に分離される。工業的に低コストで行いたい場合には、処理量を増やして、溶出液の成分を薄層クロマトグラフィー、あるいは液体クロマトグラフィーなどの手段により確認しながら上記好ましくない成分の溶出がみられた時点で溶出を終了すればよい。
なお、本発明において使用する均一粒径の陰イオン交換樹脂は、無水または含水アルコールを流して本発明のイソフラボン遊離配糖体を溶出させた後、酸またはアルカリの水溶液を通液してサポニン等の不快味を有する成分を取り除いてから再使用する。
【0015】
遊離配糖体の溶出液は、蒸留操作などにより溶媒を留去し、さらに濃縮液を加熱乾燥することで上記不快味成分をほとんど含まず、遊離配糖体を高含有率で含むイソフラボンを得ることができる。
これにより得られたイソフラボンを用いることで、イソフラボン全体の苦味・収斂味などの不快味を低下させ、その結果イソフラボンを食品に対して高濃度で添加でき、従来の問題点であったイソフラボン含有食品の味の改善が可能になる。
この場合、不快味指数(B)として、ダイジン、グリシチンの合計含有量に対し、総ソヤサポニン、総アグリコン(ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン)、アセチル・マロニル配糖体の含有量の総和が占める割合が0.05以下、望ましくは0.02以下である組成のイソフラボンを使用すれば、直接食しても殆ど不快味を感じることがなく、上記イソフラボン含有組成物の味を改善することができる。
【0016】
大豆胚軸中のイソフラボン組成は、上記化合物のうちアセチル配糖体、マロニル配糖体の含有量が多いが、これらの化合物のうち特にマロニル配糖体は熱に対し不安定で、製造工程中で抽出時の加熱などにより加水分解して遊離の配糖体に変化する[Agric. Biol. Chem., 55, 2227(1991)]。そのため、本発明で除去すべき物質は、ソヤサポニン類、イソフラボンアグリコンおよびイソフラボンのアセチル配糖体が主体となり、これらは本発明においては不要な成分(ロス)となる。しかし、大豆胚軸中のイソフラボンは、アグリコンであるダイゼイン、グリシテインやアセチル配糖体が遊離配糖体のダイジン、グリシチンに比較すると少なく、従って本発明を達成するために除去すべきイソフラボン誘導体量はイソフラボン全体のうちごく少量であるので経済的にも特に不利とならない。
【0017】
この場合、味覚に影響を与えることの少ないゲニステイン化合物については、特に取り除く必要はないが、もともと大豆胚軸中では含有量が少なく、本発明を達成する過程で結果的にアグリコンであるゲニステイン、アセチル・マロニルゲニスチン含有量が少なくなっても本発明の目的に対しては全く影響がない。
また、上記成分を除去した高純度イソフラボンはイソフラボン自体の着色も少なく、カルシウム打錠品などの白色の食品あるいは着色を嫌う食品に対しても、添加量を落とすことなく高濃度で使用でき、骨粗鬆症の予防や、閉経後の不定愁訴などの緩和などの有用な効果を発揮させることができる。
本発明の高純度大豆イソフラボンは、そのままでも種々の用途に使用できるが、目的に応じて、予め種々の増量剤と混合した組成物の状態としておくと便利に使用できる。
【0018】
上記の増量剤としては、グルコース、ラクトース、マルトース、蔗糖等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール、デキストリン、サイクロデキストリン等の加工澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ等の澱粉類、カゼイン、大豆蛋白質等の蛋白質、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ゼラチン、ペクチン、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース等の高分子安定剤、レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、カルシウム粉末等が使用できる。
また、本発明によって得られる高純度大豆イソフラボンを飲料など液状のものに利用する場合は、予め水または含水エタノールに溶解した溶液を利用することもできる。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記するが、これらはあくまで一例であり、これにより本発明の請求範囲が限定されるものではない。
【0020】
実施例1
脱脂大豆胚軸(原産国:ブラジル)1,050gに対し7,350ml の70%エタノールを加え、80℃、12時間還流させ、抽出をおこなった。抽出後上清をろ過により分離し、約7L(リットル)のイソフラボン抽出液を得た。この蛋白質含量は0.4%であった。
これを内径50mm、長さ1000mmのガラス製円筒容器(ジャケット付)に均一粒径の弱塩基性陰イオン交換樹脂(バイエル社製、MP−64)1.5 Lを充填し作成したカラムに対し、上記抽出液を水で5倍に希釈したものを25ml/minの流速で30℃で全量通液した。
次いでこのカラムを30℃で水6,000ml を通液し、オリゴ糖などの水溶性成分および非吸着成分を洗浄除去した。
さらに40℃にて70%エタノール7,500ml を通液し、イソフラボン遊離配糖体画分を回収した。この溶液を、80℃、真空度30torrでエタノールを回収し、濃縮スラリー液をさらに棚式乾燥機にて乾燥し、イソフラボン▲1▼を得た。
このようにして得られたイソフラボン▲1▼の収量は18.0g、その組成並びに性状は表1に示すとおりであった。
表中の全イソフラボン含有量は、表に示したアセチルエステル等のイソフラボン誘導体と表に示さない微量のイソフラボン誘導体からなる量を示す。全イソフラボン含有量とソヤサポニン以外は未分離のオリゴ糖、蛋白質等である(以下の表において同じ)。
【0021】
【表1】
Figure 0004279982
白色度数(W)および黄色指数(Y)は、各々日本電子工業(株)製の SPECTRO COLOR METERを用いて測定した。数値が大きいほど色が濃いことを示す。
【0022】
比較例1
実施例1と同様にして得たイソフラボン抽出液を内径50mm、長さ1000mmのガラス製円筒容器(ジャケット付)に粒径が不均一な無極性スチレン・ジビニルベンゼン型樹脂(三菱化学製、ダイヤイオンHP−20)1.5 Lを充填し作成したカラムに対し、上記抽出液を水で5倍に希釈したものを上記と同量30℃で全量通液した。
次いでこのカラムに30℃で水 6,000mlを通液し、オリゴ糖などの水溶性成分および非吸着成分を洗浄除去した後、40℃にて70%エタノール 7,500mlを通液し、イソフラボン画分を回収した。この溶液を、80℃、真空度30torrでエタノールを回収し、濃縮スラリー液をさらに棚式乾燥機にて乾燥し、粗イソフラボン▲2▼を得た。
このようにして得られた粗イソフラボン▲2▼の収量は25g、その組成並びに性状を表2に示す。
【0023】
【表2】
Figure 0004279982
【0024】
比較例2
粒径が不均一の弱塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学製ダイヤイオンWA−30)を用い、実施例1と同様のカラムを作成し、蛋白質スラリー(蛋白質含量が3.6%の豆乳)10Lを通液した。
通液途中で、カラム上部に固形分の堆積がみられたが、そのまま通液を続け、通液終了後、水 6,000mlでカラムを洗浄し、その後40℃で70%エタノール7,500ml でイソフラボン画分を溶出した。
この溶液を、80℃、真空度30torrでエタノールを回収し、濃縮スラリー液をさらに棚式乾燥機にて乾燥し、粗イソフラボン▲3▼を得た。
このようにして得られた粗イソフラボン▲3▼の収量は 2.0g、その組成並びに性状を表3に示す。
【0025】
【表3】
Figure 0004279982
【0026】
以上の実施例1および比較例1と2の結果を、原料・使用樹脂などの違いにより表4にまとめた。
【表4】
Figure 0004279982
【0027】
実施例2
実施例1により得られたイソフラボン▲1▼、比較例1により得られたイソフラボン▲2▼、比較例2により得られたイソフラボン▲3▼、市販のイソフラボン▲4▼(サイクロデキストリン包接物)を用いて、乳糖、牛骨粉を加え、一錠の重量が500mg 、一粒中にカルシウム50mg、イソフラボン20mgを含有する食品を打錠機により試作した。使用イソフラボンについて表5に示す。
【0028】
【表5】
Figure 0004279982
【0029】
これらのカルシウム錠剤に関して、打錠性・外観について5段階評価(1:最も良い〜5:最も悪い)を行った。風味試験*については、20〜50才代の男女各5名の熟練したパネルによる官能試験を行い、平均点を算出した。
官能試験の評価は下記の基準に従った。
1:不快味を全く感じない。 2:不快味をほとんど感じない。
3:不快味を感じた。 4:かなり強い不快味を感じた。
5:強烈な不快味を感じて吐き出した。
それらの結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0004279982
以上の結果から、本発明によるイソフラボンを添加した食品は、食品の着色、風味においてはサイクロデキストリンなどの包接品と同程度で、添加量がすくなくてすむため打錠適性も良好であった。
【0030】
実施例3
実施例1で得られた高純度イソフラボン20gに増量剤として、デキストリン10gを加えて、本発明の希釈したイソフラボン組成物を得た。
このイソフラボン組成物、常温で6ケ月間保存しても、風味や色の劣化がなく、食品への添加物として優れたものであった。
【0031】
実施例4
実施例1で得られた高純度イソフラボン5gを焼酎100gに溶解し、風味に悪影響を与えない本発明の大豆イソフラボン含有溶液を得た。
このイソフラボン含有溶液は、梅酒等の嗜好品の原料として優れたものであった。

Claims (1)

  1. (a) 原料として大豆胚軸を使用し、
    (b) 該大豆胚軸を炭素数1〜3の無水又は含水の低級アルコールにて抽出し、蛋白質含量が1重量%以下の抽出液を得、
    (c) 蛋白質含量が1重量%以下の該抽出液を、スチレン・ジビニルベンゼン重合体を基本骨格に持ち、平均粒径±10%の粒径範囲内に90%以上の粒度分布を持つ均一粒径の陰イオン交換樹脂に接触させた後、
    (d) 該均一粒径のイオン交換樹脂を炭素数1〜3の無水又は含水の低級アルコールにて処理して、イソフラボンを溶出させた後、溶媒を留去することからなる高純度大豆イソフラボン組成物の製造法であって、
    得られる組成物が、イソフラボンの純度が少なくとも60%以上であり、該組成物のうちのダイジン、グリシチン、ソヤサポニン、アセチルイソフラボン、マロニルイソフラボン及びアグリコンの含量が、下式で表される不快味指数(B)が0.05以下となる割合であることを特徴とする、高純度大豆イソフラボン組成物の製造法。

    不快味指数(B)=(ソヤサポニン含量+アセチルイソフラボン含量+マロニルイソフラボン含量+アグリコン含量)/(ダイジン含量+グリシチン含量)
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