JP4278669B2 - エポキシ化合物の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ化合物の精製方法に関し、より詳しくは、エポキシ化合物を分解することなく安定に精製する方法に関する。
エポキシ化合物は、種々の誘導体に変換可能な有用な中間体である。従来より、エポキシ化合物の合成法としては、(1)オレフィンを一旦次亜塩素酸ソーダ等によりハロヒドリンとした後、アルカリにより閉環して合成する方法(例えば、特許文献1)、(2)ケトン化合物を、塩基の存在下、トリメチルオキソスルホニウム塩等と反応させて合成する方法が知られている(例えば、特許文献2あるいは3)。
(1)の方法では、通常アルカリ水によりハロヒドリンを閉環させるので、反応性や選択性を確保するためにアルコール溶媒、非プロトン性溶媒、相間移動触媒を使用する提案がなされている。しかし、その影響でアルカリ水により過反応が生起し、エポキシ化合物の分解を招くおそれがある。
これに対し、(2)の方法は、禁水反応のため、反応中にエポキシ化合物が分解するという影響は小さく、エポキシ化合物の合成には適していると考えられる。
特開2000−239346号公報 特許第2997947号公報 国際公開第04/000826号パンフレット(第26−35頁)
しかし、(2)の方法では、反応終了後、抽出・分液を行い、蒸留するとエポキシ化合物が分解するという問題があった。
従って、本発明は、エポキシ化合物が分解することなく安定に精製できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、エポキシ化合物の分解の原因について鋭意検討を行ったところ、分液後には、有機層に、溶媒として使用した非プロトン性極性溶媒(特に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド溶媒やジメチルスルホキシド(DMSO)等)と、反応により副生したアルカリ金属塩(反応系では非プロトン性極性溶媒に溶解しているため、分液時に非プロトン性極性溶媒と共に有機層に溶解する)が残存しており、これらがエポキシ化合物の不安定化を招き、このことがエポキシ化合物の分解の原因となる、という知見を得た。この知見に基づき、精製(例えば、蒸留)前に、非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩の両方を除去すれば、エポキシ化合物を分解することなく安定に精製できることを見出し、発明を完成するに至った。
さらに、非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩の具体的な除去方法について鋭意検討を行ったところ、エポキシ化合物、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物を、水と相分離し得る有機溶媒と酸性水溶液との2相系溶媒に溶解して分液し、有機層を水洗し濃縮することにより、非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩を効率よく除去できることも見出した。この手法では、水層が酸性であるので、分液時のエポキシ化合物のアルカリによる分解の懸念も解消できる。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]一般式(1):
Figure 0004278669
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、Arは、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基を示す。)(以下、エポキシ化合物(1)という)
で表されるエポキシ化合物、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物から、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を除去した後に、当該エポキシ化合物を精製することを特徴とするエポキシ化合物の精製方法。
[2]非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩の除去が、エポキシ化合物、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物を、水と相分離し得る有機溶媒と酸性水溶液との2相系溶媒に溶解して分液し、次いで有機層を水洗し濃縮することを含む方法により行われる、上記[1]に記載の精製方法。
[3]精製が蒸留操作を含む、上記[1]に記載の精製方法。
[4]エポキシ化合物が光学活性である、上記[1]に記載の精製方法。
[5]Arがジフルオロフェニルである、上記[1]に記載の精製方法。
[6]Arが、2,4−ジフルオロフェニルまたは2,5−ジフルオロフェニルである、上記[1]に記載の精製方法。
[7]Rがメチルである、上記[1]に記載の精製方法。
[8]エポキシ化合物が、(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール、または(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールである、上記[1]に記載の精製方法。
[9] 非プロトン性極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびテトラヒドロフラン(THF)から選ばれる1以上である、請求項1に記載の精製方法。
[10]アルカリ金属塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩である、上記[1]に記載の精製方法。
[11]酸性水溶液が、鉱酸水溶液または有機カルボン酸水溶液である、上記[2]に記載の精製方法。
[12]水と相分離し得る有機溶媒が芳香族炭化水素である、上記[2]に記載の精製方法。
[13]有機層の水洗が、イオン交換水、蒸留水、純水および超純水から選ばれる少なくとも1つを使用して行われる、上記[2]に記載の精製方法。
[14]エポキシ化合物に含まれる非プロトン性極性溶媒の除去を、非プロトン性極性溶媒の含有量が、エポキシ化合物と非プロトン性極性溶媒の合計量に対して1重量%以下となるまで行う、上記[1]に記載の精製方法。
[15]水洗後の有機層における、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる非プロトン性極性溶媒の含有量が、エポキシ化合物と当該非プロトン性極性溶媒の合計量に対して、1重量%以下である、上記[2]に記載の精製方法。
[16]有機層の水洗を、分離した水層の電気伝導度が30mS/m以下となるまで行う、上記[2]に記載の精製方法。
[17]エポキシ化合物、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物が、一般式(2):
Figure 0004278669
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、Arは、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基を示す。)(以下、α−ヒドロキシケトン化合物(2)という)
で表されるα−ヒドロキシケトン化合物を、非プロトン性極性溶媒中、塩基の存在下、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩と反応させることにより得られる反応混合物である、上記[1]に記載の精製方法。
本発明によれば、合成中間体として有用なエポキシ化合物(1)を、工業的有利な手段で、分解することなく安定に効率的に精製することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、式(1)および(2)中の各記号について説明する。
Rで示される「炭素数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられ、中でも、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、tert−ブチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
Arで示される「ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基」におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも、フッ素原子が好ましい。
Arで示される「ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基」における「芳香族基」としては、フェニル、ナフチル等の炭素数6〜14のアリール基;ピリジル、ピリミジル、キノリル等の芳香族複素環基等が挙げられる。
なお、上記芳香族基が、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されている場合、その置換基の数は、好ましくは1〜3個、より好ましくは1または2個である。
Arで示される「ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基」の具体例としては、例えば、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2−ヨードフェニル、3−ヨードフェニル、4−ヨードフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,3−ジブロモフェニル、2,4−ジブロモフェニル、2,5−ジブロモフェニル、3,4−ジブロモフェニル、3,5−ジブロモフェニル、2,6−ジブロモフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−(トリフルオロメチル)フェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、1−クロロナフチル基(1−クロロ−2−ナフチル基、1−クロロ−3−ナフチル基、1−クロロ−4−ナフチル基、1−クロロ−5−ナフチル基、1−クロロ−6−ナフチル基、1−クロロ−7−ナフチル基、1−クロロ−8−ナフチル基)、2−クロロナフチル基(2−クロロ−1−ナフチル基、2−クロロ−3−ナフチル基、2−クロロ−4−ナフチル基、2−クロロ−5−ナフチル基、2−クロロ−6−ナフチル基、2−クロロ−7−ナフチル基、2−クロロ−8−ナフチル基)、1−ブロモナフチル基(1−ブロモ−2−ナフチル基、1−ブロモ−3−ナフチル基、1−ブロモ−4−ナフチル基、1−ブロモ−5−ナフチル基、1−ブロモ−6−ナフチル基、1−ブロモ−7−ナフチル基、1−ブロモ−8−ナフチル基)、2−ブロモナフチル基(2−ブロモ−1−ナフチル基、2−ブロモ−3−ナフチル基、2−ブロモ−4−ナフチル基、2−ブロモ−5−ナフチル基、2−ブロモ−6−ナフチル基、2−ブロモ−7−ナフチル基、2−ブロモ−8−ナフチル基)、1−フルオロナフチル基(1−フルオロ−2−ナフチル基、1−フルオロ−3−ナフチル基、1−フルオロ−4−ナフチル基、1−フルオロ−5−ナフチル基、1−フルオロ−6−ナフチル基、1−フルオロ−7−ナフチル基、1−フルオロ−8−ナフチル基)、2−フルオロナフチル基(2−フルオロ−1−ナフチル基、2−フルオロ−3−ナフチル基、2−フルオロ−4−ナフチル基、2−フルオロ−5−ナフチル基、2−フルオロ−6−ナフチル基、2−フルオロ−7−ナフチル基、2−フルオロ−8−ナフチル基)、1−トリフルオロメチルナフチル基(1−トリフルオロメチル−2−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−3−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−4−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−5−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−6−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−7−ナフチル基、1−トリフルオロメチル−8−ナフチル基)、2−トリフルオロメチルナフチル基(2−トリフルオロメチル−1−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−3−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−4−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−5−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−6−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−7−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−8−ナフチル基)、4−フルオロピリジル基(4−フルオロ−2−ピリジル基、4−フルオロ−3−ピリジル基)、3−トリフルオロメチルピリジル基(3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−4−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−5−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−6−ピリジル基)等が挙げられ、中でも、ジフルオロフェニル(好ましくは、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル)、トリフルオロフェニル(好ましくは、2,4,6−トリフルオロフェニル)、トリフルオロメチルフェニル(好ましくは、2−(トリフルオロメチル)フェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル)が好ましく、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニルが特に好ましい。
エポキシ化合物(1)は2つ以上の不斉炭素原子を有するが、本発明では、考えられるすべての光学活性体およびその混合物(例えば、ラセミ体、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物等)が含まれる。
エポキシ化合物(1)としては、3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール、および3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールが好ましく、(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール、および(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールが特に好ましい。
本発明で使用されるエポキシ化合物(1)、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物は、これらの成分を含有する限りどのような反応から得られる混合物でもよい。例えば、特許文献2または3に記載に示されるように(以下の反応式に示す)、α−ヒドロキシケトン化合物(2)を、非プロトン性極性溶媒中、塩基の存在下、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩と反応させることにより得られる混合物が挙げられる。
Figure 0004278669
(式中の各記号は前記と同義である。)
上記の反応において、トリメチルオキソスルホニウム塩としては、塩化トリメチルオキソスルホニウム、臭化トリメチルオキソスルホニウム、ヨウ化トリメチルオキソスルホニウム、メチル硫酸トリメチルオキソスルホニウム等が挙げられ、中でも、入手容易の点から、臭化トリメチルオキソスルホニウム、ヨウ化トリメチルオキソスルホニウムが好ましい。
トリメチルスルホニウム塩としては、例えば、塩化トリメチルスルホニウム、臭化トリメチルスルホニウム、ヨウ化トリメチルスルホニウム、メチル硫酸トリメチルスルホニウム等が挙げられ、入手容易の点から、臭化トリメチルスルホニウム、ヨウ化トリメチルスルホニウムが好ましい。
トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩の使用量は、α−ヒドロキシケトン化合物(2)1モルに対して、通常0.8モル〜5.0モル、好ましくは1.0モル〜3.0モル、より好ましくは1.1モル〜2.5モルである。トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩の使用量が、上記範囲より少ないと、α−ヒドロキシケトン化合物(2)が一部未反応で残り、収率が低下するおそれがある。逆に、上記範囲より多いと、使用量に見合う効果が得られず、経済的に不利である。
塩基としては、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩と反応して硫黄イリドを生成するものであれば、特に限定はなく、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等の水素化アルカリ金属類;n−ブチルリチウム、メチルリチウム、n−ヘキシルリチウム等のアルキルアルカリ金属類;ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属アミド類;カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類等が挙げられ、水素化ナトリウムが好ましい。
この塩基はどのような形態で使用してもよく、粉末固体状のものをそのまま分割するなどして添加する、または、溶液状に調製して滴下する、または、溶媒類や鉱油類に分散あるいは懸濁させて滴下するなど、任意の方法を選択して使用することができる。
塩基の使用量は、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩1モルに対して、通常0.25モル〜1.1モル、好ましくは0.5モル〜1.0モル、より好ましくは0.6モル〜0.9モルである。塩基の使用量が上記範囲よりも少ないと、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩が必要以上に残ることになり経済的に不利であるばかりでなく、副反応を引き起こし、好ましくない。逆に、上記範囲よりも多いと、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩と反応しない塩基が過剰に残ることになり、経済的に不利であるばかりでなく、異性化を主体とした副反応を引き起こし、収率および品質が低下するおそれがある。
非プロトン性極性溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、メチルtert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(diglyme)、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、中でも、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましい。
当該溶媒の使用量は、α−ヒドロキシケトン化合物(2)1kgに対して、通常1L〜50L、好ましくは4L〜30L、より好ましくは5L〜25Lである。
試薬の添加順序は特に限定はなく、例えば、非プロトン性極性溶媒中にトリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩、および塩基を仕込んだ後、α−ヒドロキシケトン化合物(2)を加えてもよいし、あるいは、非プロトン性極性溶媒中にトリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩を仕込んだ後、塩基を加え、これに、非プロトン性極性溶媒中にα−ヒドロキシケトン化合物(2)を仕込んだ溶液に加えてもよい。
この反応は、使用する試薬等に依存するが、通常−40℃〜120℃、好ましくは−20℃〜60℃、より好ましくは−10℃〜40℃で、通常0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜8時間行う。
エポキシ化合物(1)は、従来の方法では、反応混合物から常法によって、例えば、反応液を水にあけ、分液後、有機層を洗浄および濾過に付し、得られた濾液を洗浄、乾燥、減圧濃縮することによって単離されていた。
しかし、本発明者らが得た知見によれば、分液後、溶媒として使用した非プロトン性極性溶媒(特に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド溶媒やジメチルスルホキシド(DMSO)等)と、反応により副生したアルカリ金属塩が残存しており、このためエポキシ化合物(1)が不安定となり、このまま次の精製(例えば、蒸留)を行うとエポキシ化合物(1)が分解してしまう。従って、本発明においては、精製前に、非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩の除去を行うことが必要である。
また、分液操作において使用または副生したアルカリ金属塩も、エポキシ化合物(1)の不安定化を招く場合があり、このアルカリ金属塩の除去も行うことが好ましい。
これらの副生したアルカリ金属塩(分液操作において使用または副生したアルカリ金属塩も含む)としては、使用する試薬(例えば、特許文献2または3に記載の方法により、α−ヒドロキシケトン化合物(2)からエポキシ化合物(1)を製造した場合は、塩基とトリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩)の種類によるが、例えば、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、コハク酸ナトリウムカリウム、マロン酸ナトリウムカリウム等)等が挙げられる。
なお、上記の除去は、反応終了後の反応混合物に対して行ってもよく(分液操作等の後処理を行わずにそのまま行う)、あるいは、分液後の混合物に対して行ってもよいが、後者の場合は、分液時、水層がアルカリ性となるので、エポキシ化合物(1)の分解の懸念があり、従って、前者が好ましい。
非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩の除去の方法は、これらが除去される限り特に限定されないが、エポキシ化合物(1)、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩を含有する混合物を、まず、水と相分離し得る有機溶媒と酸性水溶液との2相系溶媒に溶解して分液し、次いで有機層を水洗し濃縮することを含む方法により行うことが好ましい。
酸性水溶液としては、鉱酸水溶液または有機カルボン酸水溶液が好ましい。ここで、鉱酸水溶液としては、塩酸、硫酸水溶液等が挙げられる。有機カルボン酸水溶液の有機カルボン酸としては、水溶性の有機カルボン酸であれば特に限定されず、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等が挙げられるが、中でも緩衝効果があることから、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等の多塩基カルボン酸が好ましい。酸性水溶液としては、酸の水溶性(溶解性)およびエポキシ化合物の安定性の点から、塩酸、酒石酸水溶液、コハク酸水溶液、クエン酸水溶液がより好ましく、塩酸、クエン酸水溶液が特に好ましい。
酸性水溶液中の酸の使用量は、エポキシ化合物(1)1モルに対して、好ましくは0.1モル〜1.0モル、より好ましくは0.3モル〜0.7モル、特に好ましくは0.3モル〜0.5モルである。酸の使用量が上記範囲よりも少ないと、エポキシ化合物の安定性が損なわれ、分解を誘発するおそれがあり、逆に、上記範囲よりも多いと、不経済であるため、好ましくない。また、酸性水溶液の使用量は、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩の含有量にもよるが、エポキシ化合物(1)1kgに対して、好ましくは0.5L〜15L、より好ましくは1L〜10L、特に好ましくは1L〜8Lであり、非プロトン性極性溶媒1kgに対して、好ましくは0.5L〜5L、より好ましくは1L〜3L、特に好ましくは1L〜2Lである。酸性水溶液の使用量が上記範囲よりも少ないと、エポキシ化合物の安定性が損なわれ、分解を誘発するおそれがあることのほかに、非プロトン性極性溶媒の除去が非効率となるおそれがあり、逆に、上記範囲よりも多いと、処理する容積が大きくなるなど不経済な側面が生じるため、好ましくない。
水と相分離し得る有機溶媒は、疎水性で、エポキシ化合物(1)を溶解し、かつエポキシ化合物(1)が分解しないものであれば任意に選ぶことができる。例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、モノフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒等が挙げられ、中でも、安全性、経済性の点から、炭化水素溶媒が好ましく、芳香族炭化水素がさらに好ましく、トルエンが特に好ましい。また、これらの混合溶媒でもよく、任意の割合で混合されていてもよい。
上記有機溶媒の使用量は、エポキシ化合物(1)1kgに対して、好ましくは0.5L〜10L、より好ましくは1L〜8L、特に好ましくは1L〜5Lである。有機溶媒の使用量が上記範囲よりも少ないと、エポキシ化合物の抽出効率が悪くなり、逆に、上記範囲よりも多いと、不経済であるため、好ましくない。
上記混合物の2相系溶媒への溶解は、混合物を2相系溶媒に添加することにより行っても、あるいは、2相系溶媒を混合物に添加することにより行ってもよいが、操作性とエポキシ化合物の安定性の観点から、前者が好ましい。また、添加は、好ましくは0〜30℃、より好ましくは0〜10℃で行われる。なお、添加は、滴下にて行われることが好ましい。
なお、分液後、必要により、分離された水層を上記の有機溶媒にて抽出してもよい。また、分離された有機層は、必要により、次の水洗前に、炭酸水素ナトリウム水溶液等で洗浄してもよい。
分液後、有機層を水洗し濃縮する。水洗に使用する水は、その品質・グレードを任意に選ぶことができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等が挙げられるが、中でも、洗浄効果の点から、イオン交換水、蒸留水、純水が好ましく、イオン交換水が特に好ましい。
水の使用量は、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩の含有量にもよるが、エポキシ化合物(1)1kgに対しては、好ましくは0.5L〜30L、より好ましくは1L〜20L、特に好ましくは1L〜15Lである。また、水と相分離し得る有機溶媒1kgに対しては、好ましくは0.1L〜20L、より好ましくは0.5L〜5L、特に好ましくは1L〜2Lであり、また、アルカリ金属塩1kgに対しては、好ましくは1,000L〜10,000L、より好ましくは2,000L〜8,000L、特に好ましくは3,000L〜6,000Lである。水の使用量が上記範囲よりも少ないと、非プロトン性極性溶媒およびアルカリ金属塩の除去効率が悪くなり、逆に、上記範囲よりも多いと、不経済であり、好ましくない。
なお、水洗は、数回に分けて行ってもよいが、後述する水層の電気伝導度が30mS/m以下となるまで洗浄することが好ましい。
水洗終了後、有機層を濃縮する。有機溶媒の蒸発留去は、常圧、減圧の条件を問わず、任意に選択することができる。留去時の温度条件は、使用する有機溶媒の種類に左右されるが、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜70℃である。留去時間は、有機溶媒の種類や使用量、および温度条件にもよるが、好ましくは0.5時間〜24時間、より好ましくは1時間〜18時間、特に好ましくは3〜15時間である。
以上の方法により、非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩を除去することができる。
非プロトン性極性溶媒は、ガスクロマトグラフィー(GC)あるいは液体クロマトグラフィー(LC)等を使用し、対象とする非プロトン性極性溶媒の標準溶液から、試料中に含まれる非プロトン性極性溶媒の量を定量することにより、その除去の程度を評価することができる。例えば、非プロトン性極性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類やジメチルスルホキシド(DMSO)等、水に対して溶解(任意の割合で混和あるいは均一化)するものの場合には、該定量は水洗終了後の有機層に対して行うことができる。その含有量は、エポキシ化合物(1)と対象とする非プロトン性極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類やジメチルスルホキシド(DMSO)等。特にDMSOやDMF。非プロトン性極性溶媒が複数の場合は合計量)の合計量に対して、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下、特に好ましくは当該非プロトン性極性溶媒のピークが検出されないことである。当該非プロトン性極性溶媒の含有量がこのような範囲であれば、エポキシ化合物(1)を安定に精製(例えば、蒸留)することができる。
一方、非プロトン性極性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル溶媒等は、水洗終了後の有機層中に存在していても、次の濃縮にて容易に除去でき、当該濃縮物に対して、上記と同様の方法により、除去の程度を評価することができる。
つまり、本発明では、エポキシ化合物に含まれる非プロトン性極性溶媒の除去は、非プロトン性極性溶媒の含有量が、エポキシ化合物と非プロトン性極性溶媒の合計量に対して、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下、特に好ましくは当該非プロトン性極性溶媒のピークが検出されなくなるまで行うのがよい。
アルカリ金属塩については、イオン成分として総称し、水洗時に分離した水層の電気伝導度を測定することにより、その含有量を把握することができる。本発明では、分離した水層の電気伝導度が、好ましくは30mS/m以下、より好ましくは20mS/m以下、特に好ましくは15mS/m以下となるまで行うのがよい。水層の電気伝導度がこのような範囲となるまで水洗を行った有機層であれば、濃縮後、エポキシ化合物(1)を安定に精製(例えば、蒸留)することができる。
以上のように非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属塩を除去した後、エポキシ化合物(1)の精製を行う。精製方法としては、蒸留等が挙げられるが、エポキシ化合物(1)の物性を考慮すると、蒸留による精製が好ましい。蒸留方法は、エポキシ化合物(1)の沸点により、常圧、減圧の条件を問わず任意に選択することができるが、安定性をより確保する意味では減圧蒸留が好ましい。また、共存する高沸点成分が多い場合には、薄膜蒸留装置を使用する等して、一旦エポキシ化合物(1)を分留後、蒸留してもよい。ここで、蒸留時の温度条件は、エポキシ化合物(1)の物性に左右されるが、好ましくは20℃〜200℃、より好ましくは60℃〜160℃、特に好ましくは80℃〜140℃である。蒸留時間は、エポキシ化合物(1)の種類や量、および温度条件にもよるが、好ましくは0.5時間〜24時間、より好ましくは1時間〜15時間、特に好ましくは3〜10時間である。このような条件により、エポキシ化合物(1)を安定に蒸留することができる。
このようにして精製されたエポキシ化合物(1)は、必要に応じて、化学的に誘導する等して付加価値の高い化合物に転換することができる。例えば、国際公開第04/000826号パンフレット等に記載の方法に従って、エポキシトリアゾール化合物に誘導でき、さらには、例えば、特開平4−356471号公報または特開平5−230038号公報等に記載の方法に従って、抗真菌剤として有用なトリアゾール化合物等に誘導することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
(1)エポキシ化合物の化学純度(含量)分析
HPLC条件
カラム:YMC−PACK ODS AM302,4.6mmφ×150mm
移動層:A液 蒸留水またはイオン交換水
B液 アセトニトリル/イソプロパノール/THF=75/20/5(v/v/v)
グラジエント条件:
Figure 0004278669
流速:1.0mL/min
カラム温度:35℃
検出波長:UV 254nm
試料希釈液:アセトニトリル/イオン交換水(または蒸留水)=9/1(v/v)
注入量:15μL
試料の約0.2mLを希釈液約10mLに溶解させてこれを検体溶液とし、うち15μLをHPLCに注入し、分析した。エポキシ化合物が(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの場合の保持時間は約19分であり、(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの場合も、約19分であった。
(2)非プロトン性極性溶媒の含量分析
水洗後の有機層に対して測定した。
GC条件(ジメチルスルホキシド(DMSO)の場合)
カラム:G−100 φ1.2mm×40m,2.0μm
キャリアガス:窒素
流速:10mL/min
カラム温度:80℃(20min.)→[昇温30℃/min.]→200℃(5min.)
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
検出方法:FID
試料希釈液:アセトニトリル
注入量:1μL
解析パラメータ:
Figure 0004278669
DMSOを20mg精密に測り、アセトニトリルを加えて正確に10mLとした標準溶液を調製する。一方、試料1gを精密に測り、アセトニトリルに溶解させて正確に10mLとした検体溶液を調製する。標準溶液、検体溶液のそれぞれ1μLをGCに注入し、それぞれ分析し、下式によりDMSOの含有量を定量する。非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)の場合の保持時間は約16分であり、本条件における検出限界は14ppmであった。
(DMSO含量の定量計算式)
DMSOの含量(%)=(試料溶液のDMSOピーク面積×標準溶液の調製に使用したDMSOの重量(mg))/(標準溶液のDMSOピーク面積×試料溶液の重量(mg))×100(%)
(3)アルカリ金属塩(イオン成分)の含量分析
有機層の水洗時に分離した水層の電気伝導度を測定した。
電気伝導度測定条件
装置:導電率メーター(堀場カスタニーACT)
温度:室温
検体試料に電極を浸漬し、測定・分析した。
製造例1
特許文献3記載の方法に準じて、(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの反応混合物を以下の方法により調製(製造)した。
ジメチルスルホキシド(DMSO)20.93kgとテトラヒドロフラン(THF)7.12kgの溶液に沃化トリメチルスルホキソニウム(4.893kg、22.23mol)を添加し、ついで流動パラフィン1.45kgに分散させた水素化ナトリウム(60%油分散品、730g、17.57mol)を室温にて添加した。水素の発生が止まった後、(2R)−2’,4’−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオフェノン(3.338kg、17.93mol)のDMSO(8.81kg)の溶液を0〜5℃でゆっくりと滴下し、同温で約5時間撹拌することにより、(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの反応混合物を得た。
製造例2
製造例1において、(2R)−2’,4’−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオフェノンを(2R)−2’,5’−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオフェノンに代えたこと以外は、製造例1と同様にして、(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを製造した。
実施例1
製造例2の方法で得られた反応混合物13.17kg((2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール1kg相当量、DMSO8.78kg、THF1.98kg、アルカリ金属塩650g)を、5℃に冷却したトルエン3.5Lと1重量%濃度の塩酸(塩化水素71.0g:1.95mol相当)の2相系溶媒に、攪拌しながら、25℃を上限として滴下し、滴下後20℃付近で撹拌した(この時の水層はpH:2.1)。静置後、有機層と水層を分離し、この水層にトルエン3.5Lを加えて20℃付近で撹拌・静置・分液を行い、さらに、得られた水層に再度トルエン1.8Lを加えて20℃付近で撹拌・静置・分液を行った。
得られた3つの有機層を1つに合わせ、別途調製した炭酸水素ナトリウム21.0g(0.25mol)と水道水3.5Lとの溶液を加えて20℃付近で洗浄(撹拌・静置・分液)した(この時の水層pH:8.5)。次いで、イオン交換水(電気伝導度0.2mS/m)3.5Lで有機層を計3回洗浄(撹拌・静置・分液)することにより、(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールのトルエン溶液を得た。この時、有機層からDMSOは検出されず(検出限界:14ppm未満)、また、イオン交換水による最後の洗浄水層の電気伝導度は2.0mS/mであった。
次に、絶対圧2.6kPa/内温65℃までの条件にて約2.5時間かけて減圧濃縮して、トルエンおよびTHFを留去し、次いで、絶対圧0.27kPa/内温140℃までの条件にて約4時間かけて減圧蒸留して、精製(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを830g得た(回収率83%)。
実施例2
実施例1の酸性水溶液を塩酸からクエン酸水溶液(クエン酸374.7g:1.95mol相当)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、精製(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを830g得た(回収率83%)。
なお、水洗後の有機層のDMSO含有量は検出限界以下(14ppm未満)であり、最後のイオン交換水にて洗浄した水層の電気伝導度は0.5mS/mであった。
実施例3
製造例1の方法により得られた反応混合物13.2kg((2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを1kg相当量、DMSO8.78kg、THF1.98kg、アルカリ金属塩650g)を用い、かつトルエンおよびクエン酸水溶液の2相系溶媒への滴下温度を10℃を上限としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、精製(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを830g得た(回収率83%)。
なお、水洗後の有機層のDMSO含有量は検出限界以下(14ppm未満)であり、最後のイオン交換水にて洗浄した水層の電気伝導度は0.5mS/mであった。
実施例4
実施例3のクエン酸水溶液を酒石酸水溶液(酒石酸292.7g:1.95mol相当)に代えたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、精製(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを830g得た(回収率83%)。
なお、水洗後の有機層のDMSO含有量は検出限界以下(14ppm未満)であり、最後のイオン交換水にて洗浄した水層の電気伝導度は0.5mS/mであった。
参考例1
エポキシ化合物を、5℃に冷却したトルエン3.5Lおよび水7.5Lとの混合溶媒中へ25℃を上限として約1時間かけてエポキシ化合物を滴下し(この時の水層pH:12)、35%塩酸水を用いて約5時間かけて中和(この時の水層pH:6.8)したところ、分解物(RT16.4とRT25)のピークが増加し(図1に示す)、(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの含量が約8割程度に減少した。以降の操作を実施例1と同様に行い、蒸留精製を行ったところ、分解物を含む(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールが600g(回収率60%)得られた。
参考例2
実施例1のイオン交換水(電気伝導度0.2mS/m)3.5Lを用いた有機層洗浄を計3回から1回に変更したところ、洗浄水層の電気伝導度は40mS/mであった。以降の操作を実施例1と同様に行い、有機層の減圧濃縮を行った後のエポキシ化合物の濃縮物と、実施例1で得られた水洗後の有機層(イオン交換水洗浄計3回:電気伝導度2.0mS/m)の濃縮物とで、それぞれ130℃、140℃の各温度水準にて加熱安定性を比較した結果、前者の方がエポキシ化合物の劣化が激しい傾向が見られた(図2に示す)。
本発明の方法により精製されたエポキシ化合物は、合成中間体として有用であり、多岐にわたる幅広い用途に利用することができる。
エポキシ化合物の中和時の安定性を示すグラフである。 エポキシ化合物の水洗後の水層の電気伝導度と安定性を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 一般式(1):
    Figure 0004278669

    (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、Arは、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基を示す。)
    で表されるエポキシ化合物、ジメチルスルホキシドおよびアルカリ金属塩を含有する混合物を、トルエンと塩酸との2相系溶媒に添加して分液し、次いで有機層をイオン交換水を用いて水洗し濃縮することを含む工程を行うことにより、ジメチルスルホキシドおよびアルカリ金属塩を除去した後に、当該エポキシ化合物を蒸留する、エポキシ化合物の精製方法であって、
    (1)水洗後の有機層におけるジメチルスルホキシドからの含有量が、エポキシ化合物とジメチルスルホキシドの合計量に対して1重量%以下であり、かつ
    (2)有機層の水洗を、分離した水層の電気伝導度が30mS/m以下となるまで行なう、
    エポキシ化合物の精製方法。
  2. エポキシ化合物、ジメチルスルホキシドおよびアルカリ金属塩を含有する混合物の添加が、滴下により行われる、請求項1に記載の精製方法。
  3. エポキシ化合物が光学活性である、請求項1に記載の精製方法。
  4. Arがジフルオロフェニルである、請求項1に記載の精製方法。
  5. Arが、2,4−ジフルオロフェニルまたは2,5−ジフルオロフェニルである、請求項1に記載の精製方法。
  6. Rがメチルである、請求項1に記載の精製方法。
  7. エポキシ化合物が、(2R,3R)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール、または(2R,3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールである、請求項1に記載の精製方法。
  8. アルカリ金属塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項1に記載の精製方法。
  9. エポキシ化合物、ジメチルスルホキシドおよびアルカリ金属塩を含有する混合物が、一般式(2):
    Figure 0004278669

    (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、Arは、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基から選択される置換基で置換されてもよい芳香族基を示す。)
    で表されるα−ヒドロキシケトン化合物を、ジメチルスルホキシド中、塩基の存在下、トリメチルオキソスルホニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩と反応させることにより得られる反応混合物である、請求項1記載の精製方法。
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