JP4278029B2 - セラミック軸受部品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミック軸受部品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スライド軸受の応用でも、ローラ軸受の応用でも、セラミック製の軸受部品を組み込むことは既に周知である。軸受部品では、例えば、ハイブリッドローラ軸受(ローラ軸受鋼から成るリング)のセラミックローラ軸受またはスライド軸受のローラ本体または軸受リングが問題となり得る。技術水準では、そのような軸受部品は焼結セラミックまたは高熱圧縮セラミックから製造され、とりわけ、良好な疲労耐久性および摩耗耐久性(高度な摩耗抵抗、わずかな摩耗度)のため、特に窒化ケイ素から製造される。加熱圧縮(HPSN)が普及され、加熱アシオスタチック圧縮(HIPSN)、直接焼結(SSN)される窒化ケイ素が使用される。それと並んで、例えば、酸化ジルコニュウム、酸化アルミニュウム、炭化ケイ素から成るセラミック軸受部品を仕上げることができる。
【0003】
EP0366443B1は、セラミック軸受ブロックおよびその種の軸受ブロックの製造方法を開示する。この軸受ブロックは、3500ppm、または、それ以下の数量中の金属成分の含有量を持ち、鉄、ニッケル、クロム、タングステンの多数の元素を含むセラミック材料から形成されることを特徴とする。セラミックローラ軸受ブロックを製造する開示された方法では、セラミック原料粉末がスラッジ形状に変成される。スラッジは粒状化され、最望の構造に成形され、焼結される。この方法では、金属成分は3500ppmまたは、それ以下の残量値に減少される。
【0004】
【特許文献】
EP0366443B1
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
セラミック軸受部品は、例えば、高温度または潤滑材の減少のような極端な条件下でも、比較的に長い寿命を持つので、従来、度々、適切であるのもかかわらず、セラミック軸受部品の使用は、これまで主に特別な用途範囲に限定される。このことは、周知な製造方法の適用の場合、軸受部品の製造費は、比較可能な鋼製の軸受部品の製造費を明らかに越えることが理由である。
【0006】
この発明は、安価であるが、軸受技術分野での高度な品質要求を満たすセラミック軸受部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題は、請求項1による方法ステップの方法で満たされる。
【0008】
この発明による方法では、セラミック軸受部品の製造のために、プレセラミック前駆体としての有機金属化合物物と、元素形状または化学反応する充填材としての合金形状でのケイ素とから混合物を製造し、熱分解反応が実行される。それで、軸受部品は、特に、窒化ケイ素および炭化ケイ素を基礎として製造できる。
【0009】
優先的に、窒化ケイ素基材セラミックが製造される。有機的な前段階の前に、充填材に対する有機金属化合物の体積比は典型的には50%の範囲である。熱分解反応では、セラミック材料への重合体の熱分解(熱分解)が起こる。
【0010】
この処置方式は、製造工程が従来の仕方のセラミック軸受部品の製造に使用される焼結方法および高熱圧縮方法と比較して迅速に進み、1700℃〜2000℃の窒化ケイ素のための典型的な焼結温度と比較して、著しく低い温度のため、明らかに少ないエネルギー使用、並びに本質的に不感性で、それで、明確に少ない費用の工程条件を必要とするという長所を持つ。さらに、使用される原材料は比較的に安価である。別の長所は、適切な工程条件で、熱分解セラミック化中に、決して収縮せず、その際、もちろん、例えば、ロッドまたは棒材等から特に製造されるローラ軸受のローラや球のような簡単な成形体の場合、制御される大きい体積変化も許容できる。
【0011】
混合物は、例えば、事前セラミック前段階としてのシリコンまたはポリシロキサンのような網目状結合有機金属化合物、特に有機ケイ素化合物を含むことができる。特に、シリコン樹脂またはポリシスセルキオキサンが適し、とりわけ、空気で実行できる前処理(吸湿性、加水分解安定性)のために適し、その上、対応する利用性のために比較的に安価に入手できる。それらは、異なる粘性での固体形態および液体形態で入手でき、ケイ素含有量と並んで、特に、予めの組成スペクトルを越えて、異なる炭素成分および酸素成分を許容する。
【0012】
混合物は、元素形状、合金形状、金属間位相形状または化学反応充填剤としての任意の化学化合物の形状の金属を含むことができる。金属成分は、例えば、熱分解反応中に炭化物、窒化物または酸化物の形成のために特別に添加される。特に、混合物は化学反応充填剤として、ケイ化金属を含むことができる。ケイ素に対する金属の原子比は、約1:2またはそれ以下である。金属として、たいてい、遷移金属(例えば、クロム、鉄、モリブデン等)が使用される。というのは、それらは、熱分解反応の枠内で添加元素としてケイ素のニトロ置換(窒素雰囲気)に接触反応するからである。特に、鉄が適し、すなわち、ケイ素/鉄また混合物またはケイ素/鉄/鉄ケイ素混合物が使用され、その際、ケイ素/鉄成分は元素また合金から構成できる。このため、技術的には、名称、第一鉄ケイ素(FeSi;とりわけ、安価に入手できるハンダ付け補助材料)が慣用される。それぞれ、混合比は、鉄ケイ素材料の平均化学組成に従い同様に、典型的にケイ素と鉄の原子比に応じて2:1(約FeSi50に一致する;技術的に通常のようにケイ素成分は重量%で示される)に選択されるか、それ以上(すなわち、多くのケイ素、例えば、FeSi75)に選択される。ケイ素/鉄混合物にとって、窒素(反応気体雰囲気)は充填剤反応のため鉄により活性化されることが重要であり、その際、所定の鉄分残量がセラミック熱分解内に残留できる。さらに、ケイ素/鉄混合物またはケイ素/鉄/鉄ケイ素混合物の使用は、これらの材料が安価に利用できる長所を持つ。同様に、対応する選択に応じて、例えば、とりわけ、鉄工業(製造および処理)、ケイ素産業、ウエハ産業および半導体産業からの適切な産業上の残滓の使用を考慮すべきである。その際、例えば、クロム、モリブデン、アルミニュウム、ケイ素および炭素並びに場合により、混合された研磨材残滓、特に炭化ケイ素のような鋼の合金元素および付随元素が、この発明による方法の枠内での別の用途にとって十分な充填剤作用(化学反応性または化学不活性)を示し、有機残滓成分は熱的に共に変換されることに注意をすべきである。化学反応充填剤は、1μm〜10μmの範囲の粒子寸法の粉末形状に処理できる。
【0013】
さらに、混合物は、例えば、B.アルミニュウム(とりわけ、シリコン樹脂内に含まれる酸素によるアルミニュウム酸化物の形成のために安価である)を含むことができる。同じく、混合物は、粉末形状または繊維としても、特に短繊維として加工できる少なくとも不活性充填剤を含むことができる。これは、材料疲労耐久性および摩耗耐久性に役立つ。特に、酸化ジルコニュウムおよび/または酸化アルミニュウムおよび/または炭化ケイ素および/または窒化ケイ素(後者は、窒素雰囲気中で熱分解反応の枠内で窒化ケイ素の成長形成も促進する)は、機械的特性および/または反応速度の改良のために微細に分布して添加できる。充填剤化合および熱分解条件(例えば、窒素雰囲気での温度調整および圧力制御)の適切な選択により、とりわけ、重合体誘導セラミックの収縮特性、機械的特性および電気的特性(特に、製造される軸受部品のできる限り少ない伝導性を目的とする)が、非常に効率的に一層、最適化できる。同様に、このことは、熱膨張係数または温度伝導性のような最終製品の別の材料特性並びに磁気特性にも当てはまる。この材料最適化は、使用される有機金属化合物の化学的組成にも関係する。
【0014】
例えば、懸濁液、分散溶剤、熱液状混合物または乾燥混合物内でのポリシルセスキオキサン(異なる粘性を持つ固形樹脂)の形状および充填剤の体積成分(典型的には、30%〜50%の範囲)に従って、混合物の混合は、ほぼ、練り、撹拌、強力混合等により行われる。その際、混合物の均質性に注意すべきである。混合物の形状に従って、後準備として、ガス抜き、乾燥または押し出し、粒状化が続く。
【0015】
熱分解反応は、少なくとも部分的に化学反応する全体雰囲気内で実施でき、その際、特に、窒素雰囲気が適する。気体雰囲気により、特に、窒化物塩基、とりわけ、窒化ケイ素でのセラミック材料の製造を目標とする別の反応温度が利用される。できる限り効率的に経過する反応の意味で、熱分解反応が典型的には、数バールから50バールの超過圧力(もちろん、数100バールの雰囲気圧力で可能である)の下で実施されると、有利である。特に、例えば、最適な窒化特性および、それぞれの多孔率の利用に向けた工程は、上記超過圧力範囲の圧力変化を受けて行うことができる。経済的および(安全)技術的に少ない費用の工程に関連して、とりわけ、できる限り、圧力は約50バールを越えない。代わりに、または、追加的に、熱分解反応は、少なくとも部分的に化学的に不活性な気体雰囲気または真空で実施できる。
【0016】
熱分解の最終温度は、典型的には、数時間を越えて得られ、1000℃〜1700℃の間であり、とりわけ、1200℃〜1500℃の間である。経済的考慮から、簡単なオーブン技術のために、1400℃〜1500℃の温度を越えないことを基本的に優先すべきである。例えば、ここで、仮の開放多孔率のため、とりわけ、できる限り広範囲の酸素の追い出し(場合により、使用する充填剤化合に依存する)を目標として、温度制御される多段階方法が選択され、すなわち、温度を変化できる。最初に、加熱処理は、1時間程度の保持時間で、約400℃〜1000℃の範囲で行われ、その際、特に、反応雰囲気気体(とりわけ、窒素)での反応性に関して、開放多孔率の温度範囲を利用する。前記の処置方法は、質的に特に高価値で、例えば、実際的に残留重合体のないセラミック材料が発生される長所を持つ。場合により、もっぱら、窒化ケイ素および炭素から成る化学反応充填剤および窒素雰囲気として、ケイ素/金属混合物、または、ケイ素/金属/金属ケイ素混合物での適切な有機ケイ素前段階の使用の場合に、わずかな金属成分を持つ微細構造セラミック材料の形態となる。反応温度および工程条件に従って、酸素含有セラミック材料または酸素を含有しないセラミック材料を製造でき、または、化合原料内に残留重合体で、わずかな成分を含有し続けることができる。
【0017】
熱分解反応の前に、例えば、圧縮または鋳造および続いて混合物内に含まれる有機金属化合物の硬化により、第1の予め大まかな軸受部品に向けられる成形を行うことができる。できる限り孔のない基礎部品のためのこの安定化は、重さ軽減で行われるか、重さ軽減なしに行われ、特に、約100℃〜300℃の温度で圧力および熱供給を受けて行うことができる。この代わりに、または、補足的に、硬化は、ショット作用によっても実行でき、並びに、添加剤により促進される。硬化の枠内で、混合物から、形状安定した半製品を製造でき、半製品から、熱分解反応の前に、機械加工により軸受部品は、その寸法を最終状態近くに仕上げられる。このことは、軸受部品を製造するために必要な機械加工は、大部分、従来の産業上普通の方法、例えば、わずかな工具摩耗での切削により、比較的弱い基礎部品で行われ、硬く脆いセラミック製品では行われないという長所を持つ。これは、加工を本質的に簡単にし、効率的で安価な仕上げができる。
【0018】
混合物の成分は連続して決定でき、軸受部品は熱分解反応の際に、重要な変動なしに露呈され、または、管理され、寸法仕立てされ、最終精密加工に向けてわずかな体積変化を経験する。このことは、網目状結合基礎部品は、ほぼ、最終寸法まで加工できるという長所を持つ。それから、熱分解反応後、セラミック軸受部品の機械精密加工(例えば、研削、ホーニング、ラップ仕上げ)を行うことができる。しかし、その際、なお比較的わずかな材料切除だけが必要となる。特に、例えば、ロッドまたは棒材から仕上げられるローラ軸受のローラや球のような簡単な成形体の製造の場合、管理された大きさの変動も、または、最も望ましい目標寸法への体積膨張も設けることができる。機械的特性を改良するために、セラミック製品は、機械精密加工の前後でショット硬化でき、それにより、周辺範囲で亀裂を抑制する残留圧縮応力がもたらされる。
【0019】
ケイ素窒化物塩基で軸受部品を製造するため、原理的にケイ素有機前段階としてポリシラキサンが適する。もちろん、その使用は、シリコン樹脂と比較して原材料のために高価であり、費用のかかる再処理(例えば、吸湿性)に関連する。
【0020】
ケイ素有機前段階から炭化ケイ素塩基で軸受部品を製造するため、熱分解反応は、とりわけ、保護気体(不活性雰囲気、例えば、アルゴン)または真空中で行われる。化学反応充填剤として、とりわけ、ケイ素が適する。ポリシランまたはポリカーボシランは、ケイ素有機前段階として使用されるが、さらに、明らかに高価となる。それで、この場合にも、経済的理由から、網目状結合シリコン、シリコン樹脂またはポリシルセスキオキサンが選択される。
【0021】
それで、この発明による方法では、対応する特別な要求に適合し、場合により、例えば、所定の機械的固有値を目標とする修正材料特性により、標準使用および特別使用のためのセラミック軸受部品を製造することができる。
【0022】
【実施例】
【0023】
この発明を、図示の実施例に基づいて次に詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明による方法経過の一実施の形態を示すフローチャート図である。
【0025】
この方法による軸受部品の仕上げのために、ステップ1で適切な充填剤が製造され、充填剤は化学反応成分として、約2:1または、むしろケイ素に有利なようにシフトされている金属対ケイ素の原子比でのケイ素/金属混合物、または、ケイ素/金属/金属ケイ化混合物を含む。有利な実施例では、ケイ素と鉄の混合物が、場合により、ケイ化鉄の添加を受けて使用される。場合により、別の化学反応または不活性充填剤が追加できる。その体積成分と同様に、また、特に、化学反応成分の小さい粒子寸法は、熱分解重合体セラミック置換の場合の調整および最小化のため、密度増加と関連する収縮と共に本質的なものである。それで、化学反応充填剤は1μm〜10μmの粒子寸法の粉末形状で使用され、他方、不活性充填剤(例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、特に、窒化ケイ素の形成の場合の反応速度の改良のための最終物)は、粗い粉末としても提供できる。充填剤の選別は、洗浄、混合、粉砕(例えば、ほぼ有機金属前段階での充填剤粉末からの前混合物の発生による)、ろ過、被覆(例えば、シラン、重合体前段階:ほぼ、充填剤での高度な体積成分を特に入れるための沈殿技術による)と前溶解のような工程段階を包含できる。最後に、特に、セラミック最終製品の機械的特性(ここでは、特別な引き裂き抵抗、引き裂き延性、疲労耐久性、摩耗耐久性、硬度)の改良のため、細分配された酸化ジルコニュウムおよび/または酸化アルミニュウムが添加され、並びに、繊維を使用でき、その際、短繊維は、それと関連する少ない費用のために特に適する。電気抵抗は、同様に、使用される重合体(例えば、炭素含有物、酸素含有物の充填剤化合および合成)の適切な選択を介して調整される。というのは、導電性は発生されるセラミック内のわずかな炭素成分またはカーバイト成分により決められるからである。同様に、熱膨張係数、熱伝導性、弾性係数または磁気特性のような別の原料特性が影響を受け得る。
【0026】
ステップ2では、処理された充填剤と、液状または固形有機金属化合物の少なくとも一方とから、一次セラミック前段階として混合物が製造される。有機金属化合物として、特別に網目状結合される有機ケイ素化合物が適し、その際、次に別に説明する実施例において、優先的なポリシロサンとしてのポリシルセスキオキサン(例えば、メチルポリシルセスキオキサン、ビニルメチルフェニル水素ポリシルセスキオキサン)を使用する。混合物の混合は、ポリシルセスキオキサンの形態(異なる粘性を持つ液状または固形)および充填剤の体積成分(典型的には30%〜50%)に応じて、例えば、懸濁液、分散溶剤、熱液状混合物または乾燥混合物内で、ほぼ、練り、撹拌、強制混合等により行われ、その際、混合物の形態に応じて、ステップ3で後処理として、ガス抜き、乾燥および/または、粒状化を続けることができる。混合の均質性に特に注意しなくてはならない。
【0027】
ステップ3に続くステップ4で、混合物には、製造される軸受部品の輪郭に向いた粗製成形が実行される。これは、例えば、鋳造(例えば、圧縮開始、加熱鋳造、注入鋳造またはプレス)により行われる。その際、選択される形状の均質性および密な充填に注意をしなくてはならない。例えば、回転形状のローラ体を製造しなければならない時、丸棒が形成できる形状が適切である。しかし、この形状は、混合物がローラ軸受またはスライド軸受のリングが製造される管に形成されるように構成できる。原理的には、例えば、ローラ体または軸受リングのような軸受部品の全ての通常の形状が、軸受部品の製造のために半製品から実現できる。
【0028】
ステップ5はステップ4に続き、混合物は、使用されるポリシセスキオキサン網目状結合(例えば、追加網目状結合または濃縮網目状結合)の機構を利用して、いわゆる基礎部品の形状に硬化される。これは、たいてい、約100℃〜300℃の温度で熱誘導的に行われ、その際、追加の圧力作用(例えば、数100バールでの加熱プレス)で行うことができる。この代わりに、網目状結合は原理的に、室温での照射、並びに、補助体により選択できる。照射は、また、熱誘導される網目状結合に対して補足的に使用できる。この場合、室温以上の照射が起こる。
【0029】
基礎部品は形状が安定しているが、なお、比較的に弱く、簡単に機械加工ができる。最終状態に近い機械加工は、ステップ5に続くステップ6で起こる。例えば、緊張加工により、わずかな工具摩耗の場合、基礎部品から1以上のローラ軸受部品が製造でき、その際、最適の最終寸法を考慮して、終了精密加工のためのわずかな追加だけが必要である。それで、丸棒から円筒ローラを製造するために、個々の部分に切り取られ、回転および/または研削により、円筒ローラの最適な粗製寸法にもたらすことができる。最終寸法および最適な表面状態が製造できる精密加工(例えば、研削、ホーニング加工、ラップ仕上げ)は、方法の後の時点で行われる。
【0030】
基礎部品の粗製加工が終了すると、ステップ7で熱分解反応が実行され、それにより、機械加工された基礎部品の網目状結合混合物は、セラミックに変換される(セラミック化)。熱分解反応(熱分解)は有利な実施例では、窒素雰囲気中で圧力制御されて実行され、その際、個々のステップのために、それぞれ、通常、窒素超過圧力が数バールから約50バール(高圧は可能であるが、それにより、この方法はわずかに経済的である)までの範囲で選択される。温度は、約400℃以下で使用される熱分解反応中に、1つ以上の中間ステップの後、全体が約1時間の保持時間で約600℃の範囲となり、その場合、窒素超過圧力は、通過開口多孔性の利用のために、化学反応充填剤での反応にとって重要であり、典型的には、例えば、6時間を越えると1500℃となり、その際、同様に、多くのステップで温度制御される工程が可能となる。原理的には、例えば、1000℃の低い温度も選択できる。しかし、それから、低下する温度により増加する残量重合体でのある種の成分が、このようにして製造されたセラミック材料内に存在することを考慮すべきである。高品質のセラミックを製造するため、たいてい、1200℃〜1500℃の間の温度が必要である。しかし、約1700℃までの高温度も可能であり、全体として、1ステップ以上の工程のために約1000℃〜1700℃の温度が問題となる(経済的理由から、基本的に、約1400℃〜1500℃を越える温度は選択されない)。上記反応条件下で、網目状結合基礎部品は窒化ケイソに基づいてセラミック材料に変換され、有機前段階で得られる酸素は、さらに、追い出される。そのようにして製造されるセラミック製品は、極微細構造で、典型的には、最大数%の程度でわずかな多孔率を有し、極微細構造は、さらに、密集し、非常に微細に分布される。主成分である窒化ケイ素と並んで、生じるセラミック化合物は、特に、カーバイド並びに特に酸素結合される残量酸素および金属成分のわずかな量を含む。使用される充填剤化合物(例えば、酸化アルミニュウムおよび酸化ジルコンのような酸化物;また、例えば、重合体内に含有される酸素による酸化アルミニュウムの形成のための化学反応充填化合物としてのアルミニュウム)および工程処理に従って、高い酸素含有量のセラミックも達成され、最適材料で製造できる。
【0031】
熱分解反応の枠内で、混合物の成分または重合体マトリックスの分解フラグメントは、重合しても、周辺窒素雰囲気でも反応する。それにより、編目状結合混合物の重合体の密度増加および(炭化)水素除去と関連する変化を、対応する体積増加、特に、膨張と関連する充填剤の化学反応により補正することができ、結局、全体体積は、ほぼ変化しない。もちろん、特に、上記実施例でのローラ体のような簡単な成形体の製造の場合、方法の簡素化のための有利な幾何学形状のために、所望の目標寸法への調整された大きい収縮が許容される。ほぼ収縮のない部品セラミック化のため、本質的に特に、化学反応充填粉末の表面と体積との間に十分に大きい関係があり、それで、網目状結合粒子寸法は1μm〜10μmの範囲である。これに関して、方法の最適化のため、例えば、アルミニュウム、ホウ素またはクロムのような別の化学反応充填剤および、さらに、例えば、窒化ケイ素または窒化ホウ素のような化学不活性充填剤も使用できる。その際、大きい粒子寸法および/または繊維(特に短繊維)と精密分配される酸化ジリコニュウム、酸化アルミニュウムおよび/または炭化ケイ素の不活性充填剤を取り入れることができる。適切な充填剤化合、重合体組成および熱分解条件(圧力調整および温度調整)の選択は、非常に効率的な原料最適化(例えば、疲労特性および摩耗特性、機械的固有値、導電性、熱膨張係数、熱伝導性)を許容する。熱分解反応後、材料特性の一層の改良のために従来の後焼結を続行できる。
【0032】
軸受部品の最終形状を製造するために、ステップ8はステップ7に続き、ステップ8では、セラミック体の表面の機械精密加工は、例えば、ダイアモンド工具で行われ、ステップ9では、窒化ケイ素を基礎とするセラミックから成る有利な実施例で前記したような軸受部品が最終製品としてできる。精密加工では、例えば、研削工程、ホーニング工程および/またはラッピング仕上げ工程が問題となり、軸受部品の寸法は所望の最終値にもたらされ、および/または、最適な表面状態(特別な凹凸)、特に、ローラ面またはスライド面の範囲で製造される。機械的特性の改良のために、セラミック軸受部品はショット硬化で製造でき、それにより、周辺範囲で亀裂を抑制する残留圧縮応力がもたらされる。これは、機械精密加工の前後で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る一実施の形態を示すフローチャート図である。

Claims (33)

  1. プレセラミック前駆体としての有機金属化合物と、化学反応充填剤としての合金形状のケイ素とから混合物を製造し、
    前記混合物を、熱分解反応させ、それにより、セラミック材料へ移行することを特徴とするセラミック軸受部品の製造方法。
  2. 混合物は、プレセラミック前駆体として網目状結合有機金属化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 混合物は、プレセラミック前駆体として有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする前記請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 混合物は、プレセラミック前駆体としてポリシロキサンを含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 混合物は、プレセラミック前駆体としてシリコン樹脂またはポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  6. 混合物は、元素形状、合金の形状、金属間層の形状または化学反応充填剤として任意の化学化合物の形状での金属を含むことを特徴とする前記請求項1〜5のいずれか1に記載の製造方法。
  7. 混合物は、化学反応充填剤として金属ケイ化物を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 混合物内の金属原子とケイ素原子の比は、1:2以下であり、全体としてケイ素の側にあることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の製造方法。
  9. 金属として、遷移金属が使用されることを特徴とする請求項6または請求項8に記載の製造方法。
  10. 金属として鉄が使用されることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
  11. 金属としてアルミニュウムが使用されることを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1に記載の製造方法。
  12. 化学的反応充填剤は、1μm〜10μmの範囲での粒子寸法を持つ粉末状で処理されることを特徴とする前記請求項1〜11のいずれか1に記載の製造方法。
  13. 混合物は、不活性充填剤として酸化ジルコニュウム、酸化アルミニュウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素の何れか1を含むことを特徴とする前記請求項1〜12のいずれか1に記載の製造方法。
  14. 混合物は、機械的特性を改良する繊維を含むことを特徴とする前記請求項1〜13のいずれか1に記載の製造方法。
  15. 混合物は、短繊維を含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
  16. 混合物は、機械的特性および/または反応速度を改良するため、酸化ジルコニュウムおよび/または酸化アルミニュウムおよび/または炭化ケイ素および/または窒化ケイ素を含むことを特徴とする前記請求項1〜15のいずれか1に記載の製造方法。
  17. 熱分解反応は、少なくとも部分的に化学反応気体雰囲気中で実行されることを特徴とする前記請求項1〜16のいずれか1に記載の製造方法。
  18. 熱分解反応は、窒素雰囲気中で実行されることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
  19. 熱分解反応は、少なくとも部分的に化学的不活性気体雰囲気または真空中で実行されることを特徴とする前記請求項1〜18のいずれか1に記載の製造方法。
  20. 熱分解反応は、雰囲気気圧より高圧で実行されることを特徴とする前記請求項1〜19のいずれか1に記載の製造方法。
  21. 熱分解反応は、(2〜3)バール〜(2〜3)百バールの範囲の雰囲気気圧より高圧で実行されることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
  22. 熱分解反応中に、圧力は変化される前記請求項1〜21のいずれか1に記載の製造方法。
  23. 熱分解反応は、1000℃〜1700℃の温度で実行されることを特徴とする前記請求項1〜22のいずれか1に記載の製造方法。
  24. 熱分解反応中に、温度が変化することを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
  25. 熱分解反応の枠内で、予め少なくとも400℃〜1000℃の範囲で熱処理が実行されることを特徴とする前記請求項1〜24のいずれか1に記載の製造方法。
  26. 熱処理は1時間の保持時間で実行されることを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
  27. 熱分解反応の前に、軸受部品の大まかな成形および有機金属前駆体の硬化による安定化混合物内で実行することを特徴とする前記請求項1〜26のいずれか1に記載の製造方法。
  28. 熱作用による硬化は、100℃〜300℃の温度で実行されることを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
  29. 硬化は圧力下で実行されることを特徴とする請求項27〜請求項28のいずれかに記載の製造方法。
  30. 硬化の枠内で混合物から形状安定半製品が製造され、半製品から、熱分解反応の実行の前に機械加工により、軸受部品は最終状態近くに仕上げられることを特徴とする請求項27〜請求項29のいずれかに記載の製造方法。
  31. 後焼結が熱分解に続くことを特徴とする前記請求項1〜30のいずれか1に記載の製造方法。
  32. 後焼結するか、後焼結しない熱分解反応の実行後、セラミック軸受部品の機械精密加工が行われることを特徴とする前記請求項1〜31のいずれか1に記載の製造方法。
  33. 後焼結するか、後焼結しない熱分解反応の実行後または機械精密加工後、セラミック軸受部品のショット硬化が行われることを特徴とする前記請求項1〜32のいずれか1に記載の製造方法。
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