JP4277175B2 - 樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤に好適なポリエステル系樹脂組成物に関する。詳しくは、PET等のプラスチックフィルムや鋼板等の平滑面、特にアルミニウムに対する初期接着性が良好で、しかもその接着性が経時的にほとんど変化しない樹脂組成物、及びそれを用いた接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に共重合ポリエステルは、PET,PBTのようなホモポリエステルに共重合成分を加えて、結晶化度を抑え、または非結晶化し、接着剤原料として広範に使用されている。具体的には、PETフィルム等のプラスチックフィルム用接着剤、接着芯地等の繊維用接着剤、鋼板等の金属板用接着剤等である。表面が平滑なフィルムや鋼板への接着は、繊維用途のように楔形接着が期待できないので、表面への濡れ性、塗布・圧着後の収縮による残留応力に注意する必要がある。特に食品包装材料やガスバリア素材、遮光材料として多用されるアルミニウム箔(蒸着アルミニウムも含む)は、通常の鋼板等に比べて、表面に酸化皮膜が出来やすく、金属の中でも接着しにくい素材として知られている。
【0003】
一般に共重合ポリエステルの中で、非結晶性で、かつ常温以下のガラス転移温度を持つものは、粘着性があって、塗布・圧着後の収縮がほとんどなく、接着剤として好適であることが知られており、アルミニウムを多用する包装材料に用いるドライラミネート用接着剤、押し出しラミネート用アンカーコート剤として良く使われている。しかし、あらかじめフィルム等に塗布しておいて、必要な時に被着体に圧着する場合には、常温での粘着性によるブロッキングを防止する為の離型材料(離型紙や離型フィルム)が必要となり、コスト高である。
【0004】
そこで常温を超えて、ブロッキングの問題が生じないレベルまでガラス転移温度を上げたものも接着剤として有効ではあるが、被着体への濡れ性を確保する為に十分な熱量を必要とし、その直後の熱収縮や、徐々に起こるエンタルピー緩和で生じる残留応力による接着性低下への影響を考慮する必要がある。
【0005】
一方、常温以下のガラス転移温度を持つものの中で、結晶性を有する、いわゆるホットメルトタイプのポリエステルは、低いガラス転移温度による適度な柔軟性を有しながら、結晶性による耐ブロッキング性を持つので、常温流通させる接着剤として好適である。しかし、このタイプのポリエステルも熱圧着時の残留応力により徐々に接着力が低下する傾向にあり、この現象はアルミニウム箔では特に顕著である。
【0006】
そのような背景の下で、これまで種々の接着剤用のポリエステル系樹脂組成物が提案されている。
ひとつは、ある特定の融点と溶融特性を有する共重合ポリエステルとポリエチレンとエポキシ樹脂を混合して構成されるプレコート鋼板接着用樹脂組成物で、鋼板表面のポリエステル塗装面に対する接着耐久性を効果として謳っている(特許文献1参照)。しかし、この配合は、ポリエチレンと共重合ポリエステルの非相溶性が大きく、混練分散が非常に困難であり、さらには、十分長期的な接着安定性を得るには至っていない。
また別の提案には、ある特定の引張強度を有する樹脂組成物として、共重合ポリエステルとエポキシ樹脂の組合せを掲げ、金属に対する接着性と耐屈曲性を両立する接着剤組成物としている(特許文献2参照)。しかし、共重合ポリエステルの圧着後の残留応力による接着性低下が、十分に防ぎきれず、長期に安定な接着性を得るには至っていない。また、本発明者らがアルミニウム箔についての適用について検討したがやはり接着安定性という点で不満のあるものであった。
【0007】
ポリエチレンとポリエステルの混練性を改良しようと、ニーディングゾーンを4ヶ所以上有する特殊な二軸押出機を用いて、さらにシリンダー温度と樹脂温度を厳密に制御した方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この方法では、通常の押出機が使えないばかりか、生産性にも問題がある。
【0008】
以上のように、離型フィルム等無しで常温流通可能な耐ブロッキング性を有しながら、フィルムや金属等の平滑面、特にアルミニウムに対して良好な初期接着性と長期安定な接着性を両立する経済的なポリエステル系接着剤は提案されていない。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−254788号公報([特許請求の範囲]他)
【特許文献2】
特開平6−36619号公報([特許請求の範囲]他)
【特許文献3】
特開2002−309205号公報([特許請求の範囲]他)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、PET等のプラスチックフィルムや鋼板、アルミニウム等金属の平滑面に対して初期接着性が良好で、かつその接着性が長期安定な特性を有する樹脂組成物、及びそれを用いた接着剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為、本発明者等は鋭意検討し、以下の発明を提案するに至った。即ち本発明は、以下の樹脂組成物及びそれを用いた接着剤である。
【0012】
(ア)、 (1)ポリエステルと、(2)密度0.75g/cm3以上0.91g/cm3未満のポリオレフィンを、重量比で(1)/(2)=100/1〜50含有する樹脂組成物。
【0013】
(イ)、 (2)ポリオレフィンがポリエチレンまたはエチレン共重合体であることを特徴とする(ア)に記載の樹脂組成物。
【0014】
(ウ)、 (1)ポリエステルが、密度1.10g/cm3以下でかつ分子量500以上4000以下の長鎖のジカルボン酸成分および/またはグリコール成分を0.5mol%以上、50mol%以下共重合していることを特徴とする(ア)、(イ)に記載の樹脂組成物。
【0015】
(エ)、 (1)ポリエステルが60℃以上210℃以下の融点を有する結晶性ポリエステルであることを特徴とする(ア),(イ)、(ウ)に記載の樹脂組成物。
【0016】
(オ)、 さらに(3)エポキシ化合物を(1)ポリエステルに対して重量比で(1)/(3)=100/1〜30含有することを特徴とする(ア)〜(エ)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0017】
(カ)、 (ア)〜(オ)のいずれかに記載の樹脂組成物を使用した接着剤。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる(2)ポリオレフィンは密度が0.75g/cm以上0.91g/cm未満である。このような超低密度のポリオレフィンを使用することによって、元来非相溶のポリエステルと、容易に微分散・混合でき、特別な混練設備を必要とせず、良好な接着剤を得ることができる。また、低密度で結晶性も低いことで、ポリエステルに生じた熱圧着時の残存応力の経時的な緩和にも適切に作用する。このような特性を有するポリオレフィンは、ポリエチレンまたはエチレン共重合体が、入手容易、安価、金属やフィルムへの接着性に悪影響しない点で、特に好ましい。具体的には超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンエラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体が挙げられる。
【0019】
また、本発明に用いる(2)ポリオレフィンの配合量は、(1)ポリエステルに対して、重量比で(1)/(2)=100/1〜50である。(2)ポリオレフィンが1重量部未満の場合、(1)ポリエステルの結晶化やエンタルピー緩和によるひずみエネルギーの緩和が難しいため、接着強度が経時的に低下する傾向がある。また、(2)ポリオレフィンを50重量部以上配合した場合、樹脂組成物がもつ接着特性を打ち消してしまう傾向がある。またマクロな相分離により、十分な伸びが得られず、また平滑な表面を得られないなど成膜性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0020】
本発明に用いる(1)ポリエステルは、共重合ポリエステルである。共重合ポリエステルであれば、特に指定はされないが、離型フィルム等を要せず常温流通可能なように、融点70℃以上210℃以下の結晶性ポリエステルであることが好ましい。
【0021】
本発明に用いる(1)ポリエステルの還元粘度は0.50dl/g以上2.50dl/g未満であることが好ましい。0.50dl/g未満では、接着剤としての凝集力が低く、2.50dl/gを超えると、被着体への濡れ性が不十分になる可能性がある。また、酸価は200eq/t以下が好ましい。(3)エポキシ化合物を樹脂組成物に含有する場合は、混合時のゲル化を避ける為に、50eq/t以下が特に好ましい。
【0022】
本発明に用いる(1)ポリエステルの組成は特に限定されず、一般的なジカルボン酸成分、グリコール成分を使用できるが、超密度の(2)ポリオレフィンとの容易な微分散・混合を達成するために、好ましくは、密度が1.10g/cm以下でかつ分子量500以上4000以下の長鎖のジカルボン酸成分および/またはグリコール成分を0.5mol%以上、50mol%以下共重合する。密度が1.10g/cmを超える場合や、分子量が500未満であると、ポリオレフィンとの容易な微分散・混合が達成しづらくなることがある。一方4000を越えると、ポリエステル部分との相溶性が低下し、ブロック状に共重合することが難しくなる場合がある。また、50mol%を超えるとポリエステルの凝集力が低下し、良好な接着特性を失うおそれがある。0.5mol%未満では共重合の効果が得られないことが懸念される。密度の下限は特に限定されないが、(2)ポリオレフィンとの相溶性を考慮すると0.70g/cm以上、好ましくは0.80g/cm以上である。密度が1.10g/cm以下でかつ分子量500以上4000以下の長鎖のジカルボン酸成分および/またはグリコール成分としては例えばダイマー酸、ダイマージオール、ポリエーテルジオール、ソバモール1005(コグニス社製)等が挙げられる。このような低密度成分の中でも、低温での接着性を付与する目的でグリコール成分としてポリエーテルジオールを含有することが特に好ましい。具体的には、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールの共重合体、テトラメチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体等である。経済性と接着性の観点から、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(テトラメチレングリコール/ネオペンチルグリコール)(共重合体)が特に好ましい。
【0023】
さらに(1)ポリエステルに使用するその他のジカルボン酸成分、グリコール成分は、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の脂肪族または脂環族カルボン酸や、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステル、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ポリオキシメチレングリコール等の脂肪族または脂環族アルコールが挙げられる。それらの中で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の内、少なくとも一種類を、それらの和が、ジカルボン酸成分中40モル%以上であることが、経済性・耐熱性の観点から好ましい。また、グリコール成分においても、耐熱性を付与する上でエチレングリコール、1,4−ブタンジオールのいずれか一方あるいはその両方の和が、グリコール成分中40モル%以上であることが好ましい。
【0024】
本発明に用いる(3)エポキシ化合物とは、分子中に少なくとも1.1個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂のことである。具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルタイプ、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルヒンダントイン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイドなどが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、(1)ポリエステルを可塑化することで、(1)ポリエステルの結晶化を制限し、またはエンタルピー緩和を抑制することで、経時的な接着界面での応力発生を防ぐ。また、金属表面との密着性を向上させる。従って、特に、接着力を大幅に向上させるためには(1)ポリエステルに対して相溶性の良いものが好ましい。ここでエポキシ化合物の数平均分子量は、450〜40000が好ましい。450未満では接着剤組成物が極めて軟化し易く、機械的物性が劣り、40000以上では、(1)ポリエステルとの相溶性が極めて不良となり、接着性への効果が損なわれることがある。
【0025】
本発明の樹脂組成物における(1)ポリエステルと(3)エポキシ化合物の配合比は、好ましくは重量比で(1)/(3)=100/1〜30である。より好ましくは100/5〜20である。(3)エポキシ化合物が30部より多いと、機械的特性が劣り接着性、耐熱性が低下するおそれがある。また、十分な溶融特性が得られず成膜性も不十分となることがある。一方、(3)エポキシ化合物が1部未満であると被着体との密着性に劣り、接着性が低下する場合がある。
【0026】
本発明に用いるポリエステル樹脂の組成及び組成比を決定する方法としては試料を重クロロホルム等の溶剤に溶解して測定する1H−NMRのプロトン積分比から算出するものとする。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、公知の方法をとることができるが、例えば、上記のジカルボン酸及びジオール成分を150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。あるいは、上記のジカルボン酸のジメチルエステル等の誘導体とジオール成分を用いて150℃〜250℃でエステル交換反応後、減圧しながら230℃〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。
【0028】
さらには本発明の樹脂組成物に高温長期間の耐久性を必要とする場合は、酸化防止剤を添加することが好ましい。例えば、ヒンダードフェノール系として、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリトール テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、また、燐系として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ) −2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジフォスファイト等、チオエーテル系として、4,4’−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル) チオジプロピオネートが挙げられる。これらを単独に、または複合して使用できる。添加量は0.1%以上5%以下が好ましい。0.1%未満だと熱劣化防止効果に乏しくなることがある。5%を超えると、密着性等に悪影響を与える場合がある。
【0029】
本発明の樹脂組成物には、その他各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、本発明以外の樹脂、無機フィラー、安定剤、紫外線吸収剤、及び老化防止剤を熱可塑性接着剤への添加剤として広く用いられているものを本発明の特徴を損なわない範囲で添加することができる。
【0030】
本発明以外の樹脂としては、(1)以外のポリエステル樹脂、(2)以外のポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、さらにフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、石油樹脂、ロジン、および変性ロジン等を添加することができる。
【0031】
無機フィラーとしては、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、ベントナント、フュ−ムドシリカ、シリカ粉末、雲母等を本発明の樹脂組成物100重量部に対して40重量部以下配合することができる。
【0032】
また、その他の添加剤として、各種金属塩等の結晶核剤、着色顔料、無機、有機系の充填剤、タック性向上剤、クエンチャー、金属不活性化剤、UV吸収剤、HALS等の安定剤、シランカップリング剤、難燃剤等を添加することもできる。
【0033】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、本発明のポリエステルとエポキシ化合物、ポリオレフィンを単軸もしくは二軸のスクリュー式溶融混錬機、または、ニーダー式加熱機に代表される通常の熱可塑性樹脂の混合機を用いて製造し、引き続き造粒工程によりペレット化するか、もしくは直接被着材に塗布することが可能である。
【0034】
本発明の樹脂組成物を接着剤として用いる方法として、好ましくは、前述の製造方法により造粒されたペレットをT−ダイ方式、インフレ方式、カレンダー方式、紡糸方式と称するダイス部分を有したスクリュー式押出し機により接着剤単体をシート状、フィルム状、不織布状に成形し、積層接着する被着材の中間に固定し、加熱接着するか、またはシート状に成形した接着剤を一方の被着材上で加熱溶融し、そのままもう一方の被着体を冷却しながら圧着する接着方法がある。
【0035】
また、ペレットを前述のスクリュー式押出し機により溶解し、直接積層する被着材間に挿入して熱接着する方法、一方の被着材が熱可塑性プラスチックの場合、共押出しにより直接接着するか、直接一方の被着材に塗布し、改めて加熱接着する方法がある。
【0036】
本発明の接着剤を用い、主にプラスチックフィルムや金属板を接着させるわけであるが、プラスチックフィルムとしてはPETなどのポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどに使用できる。また、金属としては、鋼板、アルミニウム等に使用できる。
【0037】
【実施例】
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。尚、実施例に記載された各測定値は次の方法によって測定したものである。
【0038】
融点、ガラス転移温度:セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度250℃で5分ホールドして試料を完全に溶融させた後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで、20℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の変曲点をガラス転移温度、吸熱ピークを融点とした。
【0039】
還元粘度:充分乾燥したポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローゼ粘度計にて30℃で測定した。
【0040】
酸価:試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解し、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬にはフェノールフタレインを用いた。
【0041】
密度:JIS K 7112に従って測定した。
【0042】
ポリエステル樹脂の製造例
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸108重量部、イソフタル酸58重量部、1,4−ブタンジオール167重量部、テトラブチルチタネート0.4重量部を加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール「PTMG1000」(三菱化学社製、密度0.98g/cm3)を150重量部とヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1330」(チバガイギー社製)を0.8重量部投入し、255℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしてゆき、60分かけて255℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。このポリエステル樹脂(A)の融点は125℃、ガラス転移温度は−70℃で、還元粘度は1.7dl/g、酸価は20eq/tであった。
【0043】
ポリエステル樹脂(B)〜(D)は、ポリエステル樹脂(A)と同様な方法により合成した。それぞれの組成及び物性値を表1に示す。
【表1】
Figure 0004277175
【0044】
実施例1
ポリエステルの合成例1で得られたポリエステル樹脂(A)100部と、エポキシ化合物としてYDCN703(東都化成社製、ノボラック型エポキシ樹脂)10部、ポリオレフィンとして、超低密度ポリエチレン(住友化学製 エクセレンVL EUL731 密度0.90g/cm3)20部を200℃にて、ニーディングゾーンを3ヶ所有する二軸スクリュー式押出し機にて混練した。得られた接着剤を50μmの二軸延伸PETフィルムの上に、スクリュー径40mmφの押し出し機を用いて、170℃の温度でTダイを通して接着剤厚が30μmとなるように押し出し、接着テープを得た。この接着テープを用いて、下記の評価を行った。
【0045】
PET接着性:上記接着テープの接着剤面と、50μmの二軸延伸PETフィルムを合わせ、テスター産業社製ロールラミネーターを用いて接着した。なお、ラミネートは温度180℃、圧力0.3MPa、速度0.5m/minで行った。接着強度は東洋ボールドウイン社製RTM100を用いて、25℃雰囲気下で引っ張り試験を行い、50mm/minの引っ張り速度でT型剥離接着力を測定した。また、同様に準備したサンプルを25℃雰囲気下で3週間放置したもののT型剥離接着力を測定した。
【0046】
アルミ箔接着性:上記測定において、PETフィルムをアルミ箔に変えて、同様に測定した。
【0047】
耐ブロッキング性:上記接着テープを同方向に5枚重ね、接着剤層の上にPETフィルムが重なるようにした。次いで、このようにして重ねた接着フィルムの上に90g/cm2の荷重をかけ、80℃雰囲気中に24時間保存した。この後、接着シートを取り出し、接着剤の非粘着性を観察する為、重ねたシート間の接着強度を25℃で測定し、下記の判定を行った。
(判定)○:0〜5g/cm
×:5g/cm以上
【0048】
実施例2〜5、参考例1、比較例1〜4
表2に記載の原料を用いて実施例1と同様な方法により樹脂組成物を得て、その性能を評価した。結果を表2に併せて記載する。
【0049】
【表2】
Figure 0004277175
【0050】
表1および表2に示すように、特許請求の範囲を満たす樹脂組成物を用いたものにおいては、良好な初期接着性と長期安定な接着性を示したが、特許請求の範囲を満たさない樹脂組成物は接着性低下が大きい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いた接着剤は、従来のポリエステル系接着剤に比べて、優れた初期接着性と、その長期安定性を示すとともに、耐ブロッキング性に優れており、各種プラスチックフィルム同士の接着、各種プラスチックフィルムと金属(特にアルミニウム)との接着、金属同士の接着等の接着剤として有用である。

Claims (6)

  1. (1)ポリエステルと、(2)密度0.75g/cm以上0.91g/cm未満のポリオレフィンを、重量比で(1)/(2)=100/1〜50含有し、
    (1)ポリエステルが、数平均分子量500以上4000以下のポリエーテルジオールを全グリコール成分に対して15mol%以上50mol%以下共重合しており、
    ヒンダードフェノール系酸化防止剤を樹脂組成物に対して0.1重量%以上5%以下含有している
    ことを特徴とするホットメルトタイプ接着剤用樹脂組成物。
  2. (2)ポリオレフィンがポリエチレンまたはエチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (1)ポリエステル共重合している前記ポリエーテルジオールの密度が0.70g/cm 以上1.10g/cm 以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (1)ポリエステルが70℃以上210℃以下の融点を有する結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. さらに(3)エポキシ化合物を(1)ポリエステルに対して重量比で(1)/(3)=100/1〜30含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を使用した接着剤。
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