JP4274741B2 - ガラス容器成形用金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス容器成形用の金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス容器の成形装置に用いられる金型には、一般に鋳鉄や銅合金が用いられている。そしてこれらの金属材料による金型そのものによる場合は、ガラスとの離型不良や潤滑不良が生じて、製品に皺やクラック等の欠陥を生じさせる。その為、従来は予め金型内に黒鉛の焼付け被膜を施した上で、作業中において、例えば15〜30分毎に潤滑性を有する離型剤を塗布し、これによって離型不良や製品欠陥の発生を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記黒鉛の焼付け作業は煩雑であり、離型剤の塗布は頻繁に行わなければならないという問題や、また人によるばらつきやパリソンの形状によるばらつきが生じる問題があり、更に人手も多く必要であり、作業環境も好ましいものではなかった。
また上記黒鉛の焼付け被膜を施した金型では、黒鉛微紛がプランジャーにも付着し、そのためにパリソン内外表面への異物混入があり、ガラス容器表面の汚れやガラス容器の強度の低下という問題があった。
【0004】
そこで本発明は上記従来のガラス容器の成形における問題を解消し、黒鉛の焼付け作業を必要とせず、また頻繁な離型剤の塗布作業を必要とせず、しかも離型性がよく、更に製品に皺やクラック等の欠陥或いは黒鉛等の異物の混入が少ないガラス容器成形用金型の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明のガラス容器成形用金型は、金型内表面の表面粗さ(Ra)を特定の数値とすることで、金型内に黒鉛の焼付けを必要とせず、また離型剤の塗布を行うことなく、欠陥の少ないガラス容器を成形することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明のガラス容器成形用金型は、ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型2とバッフル3と口型4のうち、粗型2とバッフル3との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型4の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソンPからガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型6と底型7の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材が鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金の何れかからなり、金型内表面が窒化クロムを主成分とする被膜で構成され、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことを第1の特徴としている。
また本発明のガラス容器成形用金型は、ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型2とバッフル3と口型4のうち、粗型2とバッフル3との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型4の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソンPからガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型6と底型7の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材がニッケル基合金からなり、金型内表面に1μm以下のマイクロクラックを形成し、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことを第2の特徴としている。
【0006】
なお本明細書において、ガラス容器とはガラスびん、ガラス食器、ガラス製花瓶を少なくとも含み、その他、物を入れる容器のガラス製品を含むものとする。
また本明細書において、粗型、バッフル、仕上型、口型、底型における内表面とは、被膜が存在する場合はそれも含めたそれら金型の内表面、即ちガラスが接触する表面を言うものとする。
また本発明において、表面粗さRaはJIS B 651による表面粗さである。
上記した本発明の特徴において、その本質は、金型内表面の粗さを調整することにより、ガラスと金型内表面との接触面積を調整し、ガラスと金型内表面との潤滑性を制御することにある。更に潤滑性を制御することにより、金型内に黒鉛の焼付けを必要とせず、また離型剤の塗布を行わずに済むことを可能とすることにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1にガラス容器としてのガラスびんを製造する工程の一部を示す。この工程はガラスびんのブロー成形の例を示すが、勿論、本発明はブロー成形の場合に限定されるものではない。
ガラスびんの製造は、一般に粗型工程と仕上型工程からなる。
図1を参照して、粗型工程では、
(A).先ずファンネル1を介して粗型2内にゴブGを入れる。
(B).バッフル3を介して吹き込まれるエアーによってゴブGが押され、口型4とプランジャー5との間でびんの口部が形成される。
(C).次に口型4側から吹き込まれるエアーによって、粗型2とバッフル3との空間にパリソンPが成形される。
(D).パリソンPの成形が終了すると、粗型2とバッフル3がパリソンPから外され、口型4に保持されたパリソンPが仕上型工程に移動される。
そして仕上型工程では、
(E).パリソンPが仕上型6と底型7との内空間に収められた後、パリソンPの口部側からエアーが吹き込まれ、仕上げ成形される。
従って溶融ガラスと接する金型としては、粗型2、バッフル3、口型4、仕上型6、底型7がある。
【0008】
本発明のガラス容器成形用金型の内、粗型工程において上記パリソンPを成形するために用いる粗型2とバッフル3については、その金型内表面の表面粗さRaを1.0〜8.0μmの範囲に調整して構成する。
前記粗型工程に用いる粗型2とバッフル3の内表面の表面粗さRaが8.0μmを超えると、ガラス容器の透明感が損なわれる問題が生じる。
一方、粗型2とバッフル3の内表面の表面粗さRaが1.0μm未満になると、ガラス容器の対応する外表面に皺が発生し易くなる問題が生じる。またガラス容器の偏肉が生じ易くなる問題が生じる。また前記粗型2の場合は、溶融ガラス(ゴブG)が粗型2内に入る際に滑り難くなる問題が生じる。
前記粗型2とバッフル3についての金型内表面の表面粗さRaは、1.25〜6.0μmに構成するのがより好ましい。
また粗型2については、溶融ガラス(ゴブG)が粗型2内へ入る際の滑り易さを考慮すると、表面粗さRaは1.5μm以上であることが更に好ましい。
更に前記粗型2とバッフル3についての金型内表面の表面粗さRaは、前記皺の発生、偏肉、溶融ガラスの滑り易さ、ガラス容器の透明感の点を総合的にみて、1.5〜4.0μmに構成するのが最適である。
【0009】
次に本発明のガラス容器成形用金型の内、上記口型4及び仕上型工程に用いる仕上型6と底型7については、その金型内表面の表面粗さRaを0.1〜6.0μmの範囲に調整して構成する。
これら口型4、仕上型6、底型7の前記表面粗さRaが6.0μmを超えると、ガラス容器の透明感が損なわれる問題が生じる。
一方、口型4、仕上型6、底型7の表面粗さRaが0.1μm未満になると、ガラス容器の対応する外表面に皺が発生し易くなる問題が生じる。またガラス容器の偏肉が生じ易くなる問題が生じる。
前記口型4、仕上型6、底型7の表面粗さRaは、0.15〜4.0μmに構成するのがより好ましい
更に仕上型6、口型4、底型7の表面粗さRaは、前記皺の発生、偏肉及びガラス容器の透明感の点を総合的にみて、0.2〜3.0μmに構成するのが最適である。
【0010】
上記粗型2、バッフル3、口型4、仕上型6、底型7を含む金型内表面には、黒鉛の焼付け被膜等の黒鉛含有被膜を存在させないようにする。従来においては、潤滑と断熱等の目的から黒鉛被膜を金型内表面に焼付け等により施していたが、黒鉛被膜は自己摩耗性により潤滑効果を付与するため、その他方において黒鉛の微紛がガラス容器の表面に異物欠陥として付着する問題をおこしていた。
黒鉛含有被膜を金型内表面に施さないことで、黒鉛紛による異物欠陥をガラス容器から無くすことができる。
【0011】
上記粗型2、バッフル3、口型4、仕上型6、底型7を含む金型内表面には、断熱性をもたせることが好ましい。金型内表面が断熱性を備えることで、溶融ガラスから金型への急激な熱移動が抑制され、結果として溶融ガラス塊の温度ムラが小さくなり、成形されたガラス容器の外表面に皺が発生したり、肉厚不良が発生したりするのが抑制される。
断熱性の表面としては、マイクロクラック状の表面、多孔質状の表面、凹凸状の表面とすることができる。そして、この中で得られたガラス容器の透明感を考慮すると、マイクロクラック状又は多孔質状の表面形態がより好ましい。
【0012】
上記粗型2、バッフル3、口型4、仕上型6、底型7を含む金型は、その金型基材として鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金の何れかを採用し、金型内表面を炭化クロム、窒化クロムの内の少なくとも1種を主成分とする被膜で構成するのが好ましい。
前記炭化クロムや窒化クロムは耐熱性が良好で且つ熱伝導率が低く、しかもガラスとの親和性が低いので、この炭化クロムや窒化クロムの被膜で金型内表面を構成することで、成形されるガラス容器の表面における皺の発生を良好に抑制することができる。
しかも炭化クロムや窒化クロムに対して鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金からなる金型基材を採用して組み合わせることで、金型基材と被膜との強い結合を得ることができ、被膜が金型から剥離することなく、長期にわたって良好な成形を保持することができる。
【0013】
上記において、銅合金としては、Cu−Ni−Al系、Cu−Ni−Al−Zn系、Cu−Ni−Al−Fe系、Cu−Ni−Al−Zn−Fe系、或いはこれらに他の微量成分を添加したCu含有量が60重量%以上のものを用いることが好ましい。
また上記において、炭化クロム又は窒化クロムを主たる成分として含む被膜の形成方法としては、例えばプラズマ溶射、フレーム溶射、爆発溶射等の溶射法、無電解メッキ、電解複合メッキ等のメッキ法を用いることができる。
【0014】
上記粗型2、バッフル3、口型4、仕上型6、底型7を含む金型は、その金型基材として、ニッケル基合金を用いることができる。
ニッケル基合金は金型基材として、耐熱性がよく、熱伝導率が低くて断熱性に優れ、しかもガラスとの親和性が低い特性を発揮することができる。熱伝導率が低く、しかもガラスとの親和性が低いことにより、ガラスから金型への急激な熱移動が防止され、結果としてガラス容器表面の皺の発生を抑制することができる。
よって金型基材としてニッケル基合金を用いる場合には、金型内表面には必ずしも被膜を形成する必要はない。
ニッケル基合金はニッケル含有量が80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
ニッケル基合金は、珪素及び硼素の内の少なくとも一種を有効成分として含むことが好ましい。この場合の含有量は、1.0〜8.0重量%とするのがよい。また両元素を同時に含むのがより好ましい。珪素や硼素が表面に存在することで、一層断熱性に優れた金型内表面を得ることができる。
【0015】
図2に粗型とその内表面に形成されている被膜とガラスとの関係において、縦軸を温度、横軸を距離とした場合の温度分布乃至熱移動の模試図を示す。
図2を参照して、ガラス容器の成形において、溶融ガラスと金型との関係は、金型へのガラスの接触初期の熱移動を抑制、即ち断熱性を高めることがガラス欠陥の発生を抑制する重要なファクターである。
前記溶融ガラスと金型との断熱性を発揮させるためには、次の3つの要素が重要であることがわかった。
(1).ガラスと接触する金型側の材料そのものが低熱伝導率であること。
これに関しては、本発明では上記した炭化クロム、窒化クロムによる低熱伝導率の被膜を金型内表面に構成するようにし、或いは低熱伝導性のニッケル基合金を用いるようにしている。
(2).金型内表面の被膜等の構造が断熱性を発揮すること。
これに関しては、本発明では炭化クロムや窒化クロムによる被膜の構造を、気孔を有する多孔質にするようにしている。これは、例えばプラズマ溶射等の被膜を多孔質に積層させる積層手段を用いることで達成できる。また薄膜を形成しない上記ニッケル基合金による場合は、例えば焼入れ等の熱処理により多数のマイクロクラックを金型内表面に形成することによっても達成できる。
(3).ガラスとそれに接触する被膜(被膜を用いない場合は金型基材そのもの)との間に介在する気層により断熱性を発揮すること。
これに関しては、本発明では金型内表面の表面粗さを適当に粗くすることで、気層を上手く介在させることができる。ただし表面粗さを粗くしていくと、容器表面の透明感が損なわれる問題を含む。
【0016】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
内容量115ml、重量205gのガラスびんを成形するための鋳鉄製の粗型とバッフル、また口型と仕上型と底型に、それぞれプラズマ溶射法でCr3C2−Ni−Cr被膜からなる多孔質内表面を形成した。ここでNiとCrは金型基材に対する下地処理であり、その上にCr3C2を積層することで、強固な積層を実現することができる。
前記被膜形成した粗型、バッフルの内表面については、サンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを1.0μmと、1.5μmに調整した。
また前記被膜形成した口型、仕上型、底型の内表面をサンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを0.8μmに調整した。
前記粗型とバッフルと口型を用いて、離型剤を塗布することなくパリソンを成形し、そのパリソンを、離型剤を塗布しない仕上型と底型と口型を用いてガラス容器に仕上げ成形した。
上記平均表面粗さRaが1.0μmと、1.5μmの何れの粗型(とバッフル)を用いても、離型不良や製品欠陥を発生することなく、連続5時間にわたって成形ができた。
【0017】
[実施例2]
内容量828ml、重量260gのガラスびんを成形するためのニッケル基合金製の粗型とバッフル、また口型と仕上型と底型とを用意した。
粗型とバッフルの内表面の平均表面粗さRaを、サンドブラスト等によって2.5μmと、4.0μmに調整した。
また口型と仕上型と底型の平均表面粗さRaを、0.8μmに調整した。
前記粗型とバッフルと口型を用いて、離型剤を塗布することなくパリソンを成形し、続いて仕上型と底型と口型とを用いて、同様に離型剤を用いることなくガラス容器を仕上げ成形した。
上記平均表面粗さRaが2.5μmと、4.0μmの何れの粗型(とバッフル)を用いても、離型不良や製品欠陥を発生することなく、連続24時間にわたって成形ができた。
なお使用後の粗型内表面を光学顕微鏡(200倍)で観察したところ、表面に多数のマイクロクラック(幅が1μm以下)が縦横に走っているのが観察された。このようなニッケル基合金からなる金型を焼入れ等の熱処理を施すことによって行うことができる。
【0018】
[比較例1]
内容量115ml、重量205gのガラスびんを成形するための鋳鉄製の粗型とバッフル、また口型と仕上型と底型に、それぞれプラズマ溶射法でCr3C2−Ni−Cr被膜からなる多孔質内表面を形成した。
前記被膜形成した粗型、バッフルの内表面については、サンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを8.5μmに調整した。
また前記被膜形成した口型、仕上型、底型の内表面をサンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを0.8μmに調整した。
前記粗型とバッフルと口型を用いて、離型剤を塗布することなくパリソンを成形し、そのパリソンを、離型剤を塗布しない仕上型と底型と口型を用いてガラス容器に仕上げ成形した。
得られたガラス容器の表面は透明感が損なわれ、商品価値のないものであった。
【0019】
[比較例2]
内容量115ml、重量205gのガラスびんを成形するための鋳鉄製の粗型とバッフル、また口型と仕上型と底型に、それぞれプラズマ溶射法でCr3C2−Ni−Cr被膜からなる多孔質内表面を形成した。
前記被膜形成した粗型、バッフルの内表面については、サンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを0.8μmに調整した。
また前記被膜形成した口型、仕上型、底型の内表面をサンドペーパー等によりその平均表面粗さRaを0.08μmに調整した。
前記粗型とバッフルと口型を用いて、離型剤を塗布することなくパリソンを成形し、そのパリソンを、離型剤を塗布しない仕上型と底型と口型を用いてガラス容器に仕上げ成形した。
得られたガラス容器の表面は皺または偏肉の発生があり、商品価値のないものであった。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上の構成及び作用からなり、請求項1のガラス容器成形用金型によれば、ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型2とバッフル3と口型4のうち、粗型2とバッフル3との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型4の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソンPからガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型6と底型7の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材が鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金の何れかからなり、金型内表面が窒化クロムを主成分とする被膜で構成され、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたので、
ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程において、該粗型工程で用いられる金型の内表面に黒鉛の焼付け作業等を必要とせず、また頻繁な離型剤の塗布作業を必要とせず、しかもパリソンPの離型性をよくすることができる。また粗型工程から仕上型工程を経たガラスびんにおける皺やクラック等の欠陥の発生を少なく抑制すると共に、ガラスびんが透明感を損なうのを確実に抑制することが可能となる。
また金型基材が鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金の何れかからなり、金型内表面が窒化クロムを主成分とする被膜で構成されているので、溶融ガラスと接触する被膜の熱伝導率が低く、且つガラスとの親和性も低いので、十分なるガラスとの断熱性を確保することができ、成形ガラスびんに皺等の欠陥が生じるのを十分に抑制することができる。またゴブ等の滑り、離型性もよい。
更に金型の内表面に黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことで、黒鉛粉に起因する異物欠陥がガラスびんに発生するのを確実に防止することができる。
加えて被膜と金型基材との相性による強固な結合、密着性が期待され、薄膜の剥離を長期にわたって防止して、長期にわたってメンテナンスフリーで良好なガラスびんを仕上げることができる。
また請求項2に記載のガラス容器成形用金型によれば、ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型2とバッフル3と口型4のうち、粗型2とバッフル3との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型4の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソンPからガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型6と底型7の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材がニッケル基合金からなり、金型内表面に1μm以下のマイクロクラックを形成し、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたので、
上記請求項1の発明の場合と同様に、ゴブGからパリソンPをブロー成形する粗型工程において、該粗型工程で用いられる金型の内表面に黒鉛の焼付け作業等を必要とせず、また頻繁な離型剤の塗布作業を必要とせず、しかもパリソンPの離型性をよくすることができる。また粗型工程から仕上型工程を経たガラスびんにおける皺やクラック等の欠陥の発生を少なく抑制すると共に、ガラスびんが透明感を損なうのを確実に抑制することが可能となる。
またニッケル基合金の有する良好な耐熱性、低い熱伝導率による良好な断熱性及びガラスとの低い親和性により、また1μm以下のマイクロクラックにより、ガラスから金型への急激な熱移動を防止し、金型内表面に被膜を形成することなく、ガラスびん表面の皺等の欠陥の発生を抑制することができる。またゴブ等の滑り、離型性もよい。
更に金型の内表面に黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことで、黒鉛粉に起因する異物欠陥がガラスびんに発生するのを確実に防止することができる。
加えて被膜と金型基材との相性による強固な結合、密着性が期待され、薄膜の剥離を長 期にわたって防止して、長期にわたってメンテナンスフリーで良好なガラスびんを仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス容器としてのガラスびんを製造する工程の一部を示す図である。
【図2】粗型とその内表面に形成されている被膜とガラスとの関係において、縦軸を温度、横軸を距離とした場合の温度分布乃至熱移動の模試図である。
【符号の説明】
1 ファンネル
2 粗型
3 バッフル
4 口型
5 プランジャー
6 仕上型
7 底型
G ゴブ
P パリソン
Ra 表面粗さ
Claims (2)
- ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブ(G)からパリソン(P)をブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型(2)とバッフル(3)と口型(4)のうち、粗型(2)とバッフル(3)との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型(4)の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソン(P)からガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型(6)と底型(7)の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材が鋳鉄、ステンレス鋼、銅合金の何れかからなり、金型内表面が窒化クロムを主成分とする被膜で構成され、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことを特徴とするガラス容器成形用金型。
- ブロー成形によりガラスびんを成形するためのガラス容器成形用金型であって、ゴブ(G)からパリソン(P)をブロー成形する粗型工程で用いられる金型においては、それを構成する粗型(2)とバッフル(3)と口型(4)のうち、粗型(2)とバッフル(3)との内表面の平均粗さを1.0〜4.0μmの範囲に限定すると共に前記口型(4)の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、一方、パリソン(P)からガラスびんをブロー成形する仕上型工程で用いられる金型においては、それを構成する仕上型(6)と底型(7)の内表面の平均粗さを0.2〜3.0μmの範囲に限定して構成し、金型基材がニッケル基合金からなり、金型内表面に1μm以下のマイクロクラックを形成し、且つ金型の内表面には黒鉛を含有する被膜を存在させない構成としたことを特徴とするガラス容器成形用金型。
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