JPH0610079A - ガラス成型金型用合金 - Google Patents

ガラス成型金型用合金

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JPH0610079A
JPH0610079A JP17102092A JP17102092A JPH0610079A JP H0610079 A JPH0610079 A JP H0610079A JP 17102092 A JP17102092 A JP 17102092A JP 17102092 A JP17102092 A JP 17102092A JP H0610079 A JPH0610079 A JP H0610079A
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glass
molding
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勇夫 有方
Hiroto Imamura
博人 今村
Koji Akafuji
広治 赤藤
Michio Endo
道雄 遠藤
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  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス成型用金型の表面に強固なアルミナ被
膜を形成させ成型時の離型剤の塗布作業を無くす。 【構成】 重量比でCu含有量が10〜80%、Al含
有量が4〜11%、Cr含有量が3〜16%、希土類元
素の1種または2種以上0.02〜2.0%を含み、残
部が鉄および不可避的な不純物元素からなり金型表面に
強固なアルミナ被膜を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガラス成型金型用合金に
関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス成型用金型は一般に鋳鉄、耐熱鋼
等により製造されているが、これらの材質の金型は10
00℃を超す高温のガラスと接触した際に酸化し、ガラ
ス表面に酸化物を付着させたり、ガラスとの粘着性が高
く、離型性を悪化させたり、肌荒れと呼ばれる微細な凹
凸をガラス表面に形成する。
【0003】このため現状ではガラス成型用金型の表面
に黒鉛を主体とした潤滑離型剤を塗布するのが通例とな
っている。しかし、この油性の潤滑離型剤にあっては1
時間に数回の頻度で人手により定期的に塗布することが
必要であり、またこれが燃焼して作業環境を悪化させて
いた。さらにガラス製品表面に黒鉛粉末が付着すること
が避けられず品質を悪化させる原因となっていた。
【0004】上記課題を解決するための先行技術とし
て、特開昭57−56339号公報や特開昭63−15
6020号公報に開示されているように、鋳鉄等ベース
材料の表面にタングステンの溶射被膜やTiN等の蒸着
被膜を形成するものもあるが、これらはいずれも金型の
製造後に別途離型性促進金属層を被覆するものであり、
生産設備、生産工程の追加、表面損傷における再形成等
により金型コストの上昇を招くのみならず、未だ型離れ
性は完全でなく、潤滑離型剤のメンテナンスフリーを達
成するに至っていない。
【0005】また、本発明者らは先に特開昭64−73
034号公報により耐高温酸化性が優れた高温用材料を
開示している。しかしこの合金は高温の酸化性雰囲気で
は優れた耐酸化性を示すものの、1000℃を超す高温
のガラスと接触すると共に、成型時に熱衝撃がかかるガ
ラス成型金型として使用した場合、酸化被膜であるアル
ミナ被膜が部分的に剥離するため、離型剤のメンテナン
スフリーを達成することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の技術
的背景に鑑みて、ガラス成型金型材料に必要な条件すな
わち、1.熱伝導率がよく熱膨張係数が小さいこと、
2.高温強度が高いこと、3.耐触性がよいこと、等に
よく適合すると共に、潤滑離型剤や離型性促進金属層の
被覆を不要にしたガラス成型金型用合金を提供しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはガラス成型
金型用材料として適する材料の検討、実験および工場で
の使用試験を進めた結果、以下の組成および条件を具備
するものが、ガラス成型金型用材料として極めて優れて
いることを見出した。
【0008】すなわち本発明のものは重量%で、Cu含
有量が10〜80%、Al含有量が4〜11%、Cr含
有量が3〜16%、希土類元素の1種または2種以上
0.02〜2.0%を含み、残部が鉄および不可避的な
不純物元素からなり、該金型表面に強固なアルミナ被膜
を有することを特徴とする。
【0009】以下に本発明合金の組成を限定する理由に
ついて述べる。Cuの含有量を10〜80%としたの
は、10%未満では図1に示すとおり熱伝導率が現状鋳
鉄材料を下まわるため、現状鋳鉄材並の生産性を確保す
るためには、冷却エアーを最大限供給したとしても金型
の焼け過ぎ対策として冷却フィンの配設等が必要であり
コストが上昇する。
【0010】一方、80%超になると成型時の金型定常
温度(400℃前後)における高温硬さが低下し金型の
寿命を損なう。
【0011】Alはガラス製品の型離れをよくする耐酸
化性被膜を形成するための重要な元素である。Alの含
有量を4〜11%としたのは、4%未満では耐酸化性被
膜であるアルミナ被膜を形成する効果が少なく、11%
超では脆いβ相の出現により金型全体の耐熱疲労強度が
劣化する。
【0012】Crはアルミナ被膜の形成と安定化に不可
欠であり、アルミナ被膜にクラックが生じた場合には、
その間生成したクロム酸化物によって一時的に耐酸化性
を維持することができる。その必要量は鉄−クロム合金
において20%であり、鉄の成分範囲に合わせて3〜1
6%である。
【0013】Y,Ce,La等の希土類元素はアルミナ
被膜の形成と安定化をはかり、とくに後述する実施例の
表2に示すように、アルミナ被膜の耐剥離性を高め、該
被膜によるガラスとの結合反応を抑止し、離型剤のメン
テナンスフリーを達成する。このためには0.02%以
上必要である。しかし2%を超えると、高温での金型全
体の耐熱疲労強度が低下するので好ましくない。
【0014】次に、アルミナ被膜の厚みと成型性との関
係をつかむため、本発明の金型においてアルミナの被膜
厚みを種々変えて、実際の製ビンラインにて2時間使用
した。その結果を図2に示す。
【0015】アルミナの被膜が増大すると金型の熱伝導
率が低下し、とくに200μmを超えると従来の成型速
度ではビン製品が充分冷却せず、製品出し後にビン製品
の変形が発生した。一方アルミナ被膜の下限は被膜の破
壊と金型へのガラス成分の侵入防止のため望ましくは
0.1μm以上必要である。
【0016】この範囲の被膜を生成させるためには、大
気中での高温加熱実験の結果、400℃から900℃の
温度範囲が適切であった。400℃以下ではアルミナ被
膜の表面に酸化第一銅が生成するためアルミナ被膜の効
果が損なわれ、また1000℃以上では金型の寸法変化
を伴なう。この温度範囲はまさに実際のガラスビンの成
型温度に一致しており、本発明の合金がガラス成型金型
に最適であることが判明した。
【0017】詳しく述べると、本金型は成型ラインに適
用の前に事前に加熱し、前記被膜を生成させているた
め、成型当初から離型剤が不要であり、且つ長時間の使
用または成型時の衝撃等により、仮にアルミナ被膜が剥
離しても、本被膜は自己生成機能を有するため、離型剤
なしの連続・安定した操業が可能である。
【0018】
【実施例】表1に示す本発明合金および比較材として特
開昭64−73034号公報にて開示した材料の組成の
合金を半円柱状の金型に鋳造した後、機械加工によりガ
ラスビン成型用金型を製作した。その後、共に大気中で
500℃×8時間のアルミナの被膜生成処理を実施し
た。
【0019】
【表1】
【0020】これらの金型と現状の鋳鉄金型を同一ライ
ンに設置し、現状の成型速度である1分間に12本の成
型速度で20時間の連続成型を行った。その結果、現状
鋳鉄金型は10〜15分に1回、比較材金型は約8時間
後よりアルミナ被膜の部分的な剥離が増大発生し、その
ため粗型へのガラス素材の挿入時にすべりが悪くなり製
品の形状を悪化させるため、潤滑離型剤を必要とした
が、本発明金型は20時間の連続成型の間において潤滑
離型剤を全く必要とせず、ガラスビンの表面品質、寸法
規格とも充分満足するものであった。
【0021】使用後、前記金型の表層2μmまでの表面
層のSIMS(二次イオン質量分析法)による元素分析
結果を表2に示す。鋳鉄金型の表面層にはNa,Ca,
Si等のガラス成分および離型剤の成分であるCが多量
に存在している。比較材金型は表層1μm程度までは上
記元素の侵入が認められた。
【0022】
【表2】
【0023】一方、本発明の金型においては、金型表面
に0.3μm程度の安定したアルミナの被膜が形成され
ており、該被膜の効果により、ガラス成分の侵入は全く
認められなかった。
【0024】尚、比較例の被膜表面を走査電子顕微鏡で
調査したところ表面に多孔質の酸化物による微細な孔が
確認された。これは、アルミナ被膜の部分的な剥離によ
り発生していることがわかった。一方本金型も同様な調
査をしたが、微細な孔はなく健全であった。
【0025】本実施例では、ガラス成型用金型としてガ
ラスビン成型用金型を示したが、本発明は、これに限ら
れるものではなく、ガラス成型用金型として本実施例と
同様な使用環境である例えば建材用、コップ等の食器類
用等幅広く適用可能である。
【0026】
【発明の効果】本発明のガラス成型金型用合金は、金型
表面に極めて安定した強固なアルミナ被膜を形成する特
徴を有しており、さらに現状鋳鉄材料より優れた熱伝導
率を具備していることから、成型性を損なうことなく、
ガラスとの離型性に優れ、煩雑な潤滑離型剤の塗布が不
要となる。このため、ガラス器具成型の生産性増大、離
型剤の混入皆無による製品品質の向上および作業環境の
著しい改善等極めて大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金の熱伝導率と高温硬さ(400℃)
の相関を示す図表である。
【図2】本発明の金型におけるアルミナ被膜と実ライン
でのガラス成型性テスト結果の図表である。
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 道雄 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で Cu含有量10〜80%、 Al含有量 4〜11%、 Cr含有量 3〜16%、 希土類元素の1種または2種以上0.02〜2.0% を含み、残部が鉄および不可避的な不純物元素からなる
    該金型表面に強固なアルミナ被膜を有することを特徴と
    するガラス成型金型用合金。
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