JP3099671B2 - 離型性に優れたダイス工具系部品及び製造方法 - Google Patents

離型性に優れたダイス工具系部品及び製造方法

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JP3099671B2 JP07065127A JP6512795A JP3099671B2 JP 3099671 B2 JP3099671 B2 JP 3099671B2 JP 07065127 A JP07065127 A JP 07065127A JP 6512795 A JP6512795 A JP 6512795A JP 3099671 B2 JP3099671 B2 JP 3099671B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、離型性に優れた表面層
をもつアルミニウム押出し用ダイス工具系部品及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al,Al合金等の押出し加工に使用さ
れるダミーブロック等のダイス工具系部品は、塑性流動
する高温金属と接触することから、高温金属又は合金の
焼付きが生じ易い。そこで、これらのダイス工具系部品
は、他のダイス部品と同じ材質の熱間工具鋼で作成し、
無処理状態の表面に黒鉛質等の離型剤を塗布して使用し
ている。しかし、離型剤がビレットに付着し、押出し時
の巻き込み等の原因になり、押出し形材の品質に悪影響
を及ぼしている。離型剤の巻込みに起因した欠陥を解消
し、押出し形材の品質を向上させるために、離型剤を塗
布することなく使用できるダイス工具系が求められてい
る。この要求に応えるため、ダイス工具系の表面改質が
種々の観点から検討されている。たとえば、TiN,B
N,Si34 等のセラミックスコーティングをイオン
プレーティング,CVD等でダイス工具系部品に施すこ
とが特開昭59−178122号公報,特開昭59−1
93713号公報等に紹介されている。これらの方法で
用意されたダイス工具系部品は、疲労した皮膜を剥離
し、同様な方法で皮膜を形成することにより、ダイス基
材等に悪影響を与えることなく何回でも繰返し使用でき
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】PVD,CVD等で形
成したセラミックスコーティングは、密着性が劣ること
から頻繁にコーティングを繰り返す必要が生じる。その
ため、結果としてダイス工具系部品のコストが上昇す
る。本発明は、このような問題を解消すべく案出された
ものであり、イオンビーム支援蒸着法で密着性に優れ且
つ離型性に優れたセラミックス皮膜をコーティングする
ことにより、押出し形材に巻き込まれて欠陥の原因とな
る離型剤を塗布する必要がなく、高品質の押出し形材を
安価に製造できるダイス工具系部品を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のダイス工具系部
品は、その目的を達成するため、基材としての熱間工具
鋼と、該熱間工具鋼の表面にイオンビーム支援蒸着法で
形成された窒化硼素膜又は窒化クロム膜とを備えている
ことを特徴とする。窒化硼素膜は、Sixy系中間層を
介して熱間工具鋼の表面に形成される。このダイス工具
系部品は、塑性流動する高温の金属又は合金と接触する
ダミーブロックとして使用される。窒化硼素膜又は窒化
クロム膜は、基材としての熱間工具鋼の表面にイオンビ
ーム支援蒸着法でコーティングすることにより形成され
る。窒化硼素膜を形成する場合、イオンビーム支援蒸着
法でSixy系中間層を前もって形成することが好まし
い。窒化クロム膜の形成に先立って、金属クロムを蒸着
しても良い。また、最初に金属クロム膜を形成し、順次
窒素濃度を増加させることによって、窒化クロム膜との
中間を傾斜組成にすることもできる。
【0005】
【作用】窒化硼素膜又は窒化クロム膜は、それぞれ90
0℃及び600℃の高温域においても酸化されず、優れ
た低摩擦係数を示す。すなわち、押出し温度域でアルミ
ニウム材料との摩擦力が低く、耐酸化性や潤滑性に優れ
ている。また、高温のアルミニウム材料と反応して焼付
きが生じることがないため、耐剥離性が優れている。そ
の結果、窒化硼素膜又は窒化クロム膜でコーティングさ
れたダイス工具系部品は、離型剤を塗布する必要がな
く、良好な表面性状をもつ押出し形材を製造する機能を
長時間持続する。窒化硼素膜又は窒化クロム膜の作用
は、膜厚を厚くするほど顕著となる。しかし、過度に厚
い窒化硼素膜又は窒化クロム膜は、製膜に時間がかかる
ことは勿論、ダイス工具系部品からの剥離を促す原因と
なる。この点から、0.2〜3μmの厚みで窒化硼素膜
又は窒化クロム膜を形成することが好ましい。
【0006】窒化硼素膜又は窒化クロム膜は、イオンビ
ーム支援蒸着法(Ion BeamAssisted
Deposition)で形成される。イオンビーム支
援蒸着法では、10-2〜10-3Paの真空容器内にダイ
ス基材をセットし、電子ビームで金属B又はCrを蒸発
させると同時に、イオン銃により窒素ガスをイオン化
し、0.3〜1.0KVの加速電圧で窒素イオンビーム
を発生させ、B又はCr蒸気と共にダイス工具系部品の
表面に照射する。すなわち、イオン注入処理中に製膜速
度が早い真空蒸着を併用する方法であり、基板の表面層
を改質しながら異なる特性を持った化合物薄膜を基板表
面に形成することができる。この方法によるとき、従来
のCVDよりも低温で窒化硼素膜又は窒化クロム膜が作
製され、しかも従来のイオンプレーティング等のPVD
に比較して密着性及び耐久性に優れた薄膜が形成され
る。また、低温での処理が可能なことから、ダイス工具
系部品となる熱間工具鋼の材質に悪影響を与えることが
ない。
【0007】窒化硼素膜の形成に先立って、ダイス工具
系部品の表面をSixy でコーティングしておくと、
ダイス工具系部品と窒化硼素膜との間における熱膨張
差,内部応力,格子定数のミスマッチ等が緩和される。
その結果、層間剥離が抑制され、窒化硼素膜の密着性が
一層改善される。Sixy のコーティングは、イオン
銃により窒素ガスをイオン化し、0.5〜1.5KVの
加速電圧で窒素イオンビームを発生させ、Si蒸気と共
に基材表面に照射する。表1は、Sixy 系中間層及
び窒化硼素薄膜を製膜する際の適正条件を示す。
【0008】
【表1】
【0009】他方、窒化クロム膜は、Sixy 系中間
層の格子定数と差が大きく、Sixy 系中間層が却っ
て窒化クロム膜の密着性を低下させる原因となる。この
点、窒化クロム膜の密着性を向上させるためには、熱間
工具鋼の表面にイオンビーム支援蒸着法で直接、或いは
金属Crを蒸着した熱間工具鋼の表面に窒化クロム膜を
形成する。窒化クロム膜は、窒化チタン膜に比較してH
v1500〜2300と若干低い硬度を示すが、離型
性,耐食性,耐摩耗性に優れている。また、耐高温酸化
特性が優れており、約600℃までの耐酸化性を示すこ
とから、400〜500℃に達する押出し温度域への適
用も可能になる。
【0010】窒化硼素膜又は窒化クロム膜でコーティン
グしたダミーブロックを組み込んだダイス工具系部品を
使用して押出し加工すると、離型剤を塗布しないため、
離型剤に起因するピックアップ欠陥,巻込み,ダイライ
ン等の欠陥を抑制でき、しかも表面光沢度が高く且つ表
面平滑度も優れた押出し形材が得られる。
【0011】
【実施例】寸法諸元を図1に示したダミーブロックを工
具鋼SKD61で作製し、無処理のもの、窒化硼素膜で
コーティングしたもの及び窒化クロム膜でコーティング
したもの3種類を用意した。窒化硼素膜及び窒化クロム
膜は、何れもイオンビーム支援蒸着法で施し、膜厚1μ
mに調整した。それぞれのダミーブロックを熱間押出し
用ダイスに装着し、コーティングの有無が離型性に及ぼ
す影響を調査した。押出し条件は、離型性の判定を容易
にするため、できるだけ厳しい次の条件に設定した。 押出し材:純Al(1050) ビレット温度:500℃ 押出し量:焼付きが発生するまで
【0012】焼付きが発生したダミーブロックの表面を
目視観察し、離型性を判定した。判定結果を示す表2に
みられるように、無処理のダミーブロックでは、離型剤
を使用しないとビレット1本目ですでにアルミが溶着
し、焼付きが発生した。溶着したアルミ2は、図2の
(a)及び(b)に示すように、ダミーブロック本体1
の作用面のほぼ全域に広がっていた。これに対し、イオ
ンビーム支援蒸着法で窒化クロム膜をコーティングした
ダミーブロックでは、離型剤の塗布を必要とすることな
く、ビレット15本目まで継続して押出し加工に使用で
きた。また、焼き付いたアルミ2も僅かな量であり、図
3の(a)及び(b)に示すように、ダミーブロック本
体1の周辺部に焼付きが認められるに止まっていた。
【0013】同様に、イオンビーム支援蒸着法で窒化硼
素膜をコーティングしたダミーブロックでは、離型剤の
塗布を必要とすることなく、ビレット20本目まで焼付
きの発生がない良好な離型性を呈し、継続して押出し加
工に使用できた。また、焼き付いたアルミ2も、図3と
同様に、ダミーブロック本体1の周辺部に僅かに焼き付
いているに止まっていた。この対比から明らかなよう
に、イオンビーム支援蒸着法で窒化クロム膜又は窒化硼
素膜をコーティングしたダミーブロックは、離型剤を塗
布しなくても良好な離型性を示し、長時間の使用に耐え
ることが確認された。また、得られた押出し形材も、離
型剤の巻込みに起因する欠陥がなく、高品質の製品であ
った。
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、塑性流動する高温の金属又は合金と接する熱間工具
鋼の表面にイオンビーム支援蒸着法で窒化硼素膜又は窒
化クロム膜を形成している。窒化硼素膜又は窒化クロム
膜は、耐高温酸化性及び潤滑性に優れ、低摩擦係数をも
ち、アルミに対する反応性も低いことから、離型剤を塗
布しなくても焼付きを生じることなく、長期間にわたる
ダイス工具系の使用を可能にする。また、得られた押出
し形材も、離型剤の巻込みに起因する欠陥がなく、表面
性状の良好な製品となる。そのため、アルミの押出し用
ダイスに組み込まれるダミーブロックとして使用する場
合、長時間押出し後も一定した表面品質をもつ押出し形
材が得られるため、製造コストが低減するばかりでな
く、高品質の押出し製品の製造も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例で使用したダミーブロックの概
要を示した平面図(a)及び側面図(b)
【図2】 無処理のダミーブロックにアルミが焼き付い
た状態を(a)及び(b)それぞれ異なる角度からみた
斜視図
【図3】 窒化クロムをコーティングしたダミーブロッ
クにアルミが焼き付いた状態を(a)及び(b)それぞ
れ異なる角度からみた斜視図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−101736(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/38

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材としての熱間工具鋼の表面に窒化ク
    ロム膜がイオンビーム支援蒸着法で形成されていること
    を特徴とする離型性に優れたダイス工具系部品。
  2. 【請求項2】 基材としての熱間工具鋼の表面にSi x
    y 系中間層を介して窒化硼素膜がイオンビーム支援蒸
    着法で形成されていることを特徴とする離型性に優れた
    ダイス工具系部品。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の熱間工具鋼で作ら
    れたアルミニウム押出し用ダミーブロック。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のアルミニウム押出
    し用ダイス工具系部品を使用して押し出されたアルミニ
    ウム押出し形材。
  5. 【請求項5】 基材としての熱間工具鋼の表面を、イオ
    ンビーム支援蒸着法により窒化硼素膜又は窒化クロム膜
    でコーティングすることを特徴とする離型性に優れたダ
    イス工具系部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の窒化硼素膜の形成に先立
    って、イオンビーム支援蒸着法でSixy 系中間層を
    形成するダイス工具系部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の窒化クロム膜の形成に先
    立って、金属クロムを蒸着するダイス工具系部品の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 予め焼入れされた熱間工具鋼を使用する
    請求項5〜7の何れかに記載のダイス工具系部品の製造
    方法。
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