JPH08188866A - 耐酸化性に優れた硬質表面層をもつダイス鋼及び製造方法 - Google Patents

耐酸化性に優れた硬質表面層をもつダイス鋼及び製造方法

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JPH08188866A
JPH08188866A JP1863195A JP1863195A JPH08188866A JP H08188866 A JPH08188866 A JP H08188866A JP 1863195 A JP1863195 A JP 1863195A JP 1863195 A JP1863195 A JP 1863195A JP H08188866 A JPH08188866 A JP H08188866A
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重男 大平
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利雄 川合
Reiko Takazawa
令子 高澤
Hideki Ishii
秀樹 石井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒化層の酸化消失を抑制し、耐久性に優れた
鋼製ダイスを得る。 【構成】 基材としての熱間工具鋼を窒化処理した後、
イオンビーム支援蒸着法により窒化硼素膜で熱間工具鋼
をコーティングする。窒化処理には、塩浴窒化,ガス窒
化,ガス軟窒化又は流動層熱処理が採用される。窒化硼
素膜の形成に先立って、Sixy 系中間層を形成して
も良い。 【効果】 窒化硼素膜が窒化層に対し酸素のバリアーと
して働き、表面硬化層の耐久性を改善し、長時間押出し
後も表面粗さが一定した押出し形材を得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性に優れた表面
硬化層をダイス等の鋼製部品の表面に形成する窒化方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】Al,Al合金等の押出し加工に使用さ
れるダイスは、耐摩耗性を向上させるため、窒化処理に
よってベアリング面を表面硬化させている。硬質皮膜
は、ダイスの繰返し使用に伴ってダイス基材から剥離す
る。そのため、所定回数の繰返し使用後に再度の窒化処
理を施し、ダイスを再生している。しかし、再処理の回
数が増えるに従って、押出し形材の品質に悪影響を及ぼ
す欠けや白層等の剥離がベアリング面に生じる。白層
は、窒化層の最表面にあるFe−N系の化合物層であ
り、この層が剥離することによって硬質皮膜本来の機能
が損なわれる。白層の剥離は、アルミの押出しに際して
押出し用ダイスを400〜500℃の押出し温度まで予
熱する段階で生じる酸化に原因がある。また、窒化処理
したダイス鋼を操業条件下の温度範囲に保持すると、窒
化鉄が減少し、酸化鉄が増加する変質が窒化層自体に生
じる。そのため、ダイス鋼の表面硬度が不安定化し、一
定した条件下で表面性状の良好な押出し製品が得られな
い。白層の酸化や窒化層の変質は、白層と拡散層との界
面における接合強度及び硬度を低下させ、白層が剥離,
脱落する原因となる。その結果、ダイス寿命や押出し形
材の表面品質に悪影響が現れる。
【0003】白層の酸化や窒化層の変質を抑制する手段
としては、ダイス加熱温度を可能な限り低く設定するこ
と,保持時間を短くすること等の操業管理が従来から採
用されている。また、窒化処理されたダイス鋼の熱処理
中に酸化防止を図るため、耐熱塗膜剤を塗布することも
提案されている。更に、特開昭59−178122号公
報,特開昭59−193713号公報等では、TiN,
BN,Si34 等のセラミックスコーティングをイオ
ンプレーティング,CVD等で施すことが紹介されてい
る。これらの方法で用意されたダイスは、疲労した硬質
薄膜を剥離し、同様な方法で硬質薄膜を形成することに
より、ダイス基材等に悪影響を与えることなく何回でも
繰返し使用できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窒化処理によってダイ
ス鋼の表面に形成される窒化鉄は、極めて不安定な物質
であり、分解温度が680℃とされているものの、40
0〜500℃の加熱によっても分解・消失する傾向を示
す。そのため、予熱温度,保持時間等の操業条件を管理
するだけでは、窒化層の変質を防止できない。耐熱塗膜
剤の塗布によっても、窒化層の変質を満足できる程度に
抑制することはできない。他方、PVD,CVD等で形
成したセラミックスコーティングは、密着性が劣ること
から頻繁にコーティングを繰り返す必要が生じる。その
ため、結果としてダイスのコストが上昇する。また、イ
オンプレーティング等のPVDでは、狭隘な空間に臨む
表面をコーティングすることが難しく、製膜可能なセラ
ミックスの種類にも制約がある。本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、イオンビーム
支援蒸着法で耐熱・耐酸化性に優れたセラミックス皮膜
をコーティングすることにより、ダイス鋼の表面に形成
されている窒化層を保護し、窒化層の分解・消失による
剥離・脱落を防止して、耐久性に優れた押出し用等の窒
化処理鋼製部品を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のダイス鋼は、そ
の目的を達成するため、基材としての熱間工具鋼と、該
熱間工具鋼の表面に形成された窒化層と、該窒化層の上
にイオンビーム支援蒸着法で形成された窒化硼素膜とを
備えていることを特徴とする。窒化層と窒化硼素膜との
間にSixy 系中間層を形成するとき、窒化硼素膜の
密着性が一層向上する。このダイス鋼は、たとえばアル
ミニウム押出し用ダイスとして使用される。この場合、
ダイスのベアリング面をコーティングしている窒化硼素
膜により、ダイスの耐久性が著しく向上すると共に、表
面性状の良好な押出し形材が得られる。本発明に従った
ダイス鋼は、基材としての熱間工具鋼を窒化処理した
後、イオンビーム支援蒸着法により窒化硼素膜で熱間工
具鋼をコーティングすることにより製造される。窒化処
理としては、それ自体としては従来から知られている塩
浴窒化,ガス窒化,ガス軟窒化又は流動層熱処理等が採
用される。窒化処理と窒化硼素膜の形成との間で、イオ
ンビーム支援蒸着法でSixy 系中間層を形成しても
良い。
【0006】
【作用】窒化硼素膜は、900℃の高温域においても酸
化されず、優れた低摩擦係数を示す。すなわち、押出し
温度域でアルミニウム材料との摩擦力が低く、耐酸化性
や潤滑性に優れている。また、窒化層に対する親和性が
高く、しかもアルミニウム材料と反応することがない。
そのため、窒化層の表面に窒化硼素膜がコーティングさ
れたダイスは、耐剥離性が優れていることと相俟つて、
良好な表面性状をもつ押出し形材を製造する機能を長時
間持続する。窒化硼素膜の作用は、膜厚を厚くするほど
顕著となる。しかし、過度に厚い窒化硼素膜は、製膜に
時間がかかることは勿論、ダイス基材からの剥離を促す
原因となる。この点から、0.2〜3μmの厚みで窒化
硼素膜を形成することが好ましい。窒化硼素膜は、イオ
ンビーム支援蒸着法(Ion Beam Assist
ed Deposition)で形成される。イオンビ
ーム支援蒸着法では、10-2〜10-3Paの真空容器内
にダイス基材をセットし、電子ビームで金属BからBを
蒸発させると同時に、イオン銃により窒素ガスをイオン
化し、0.3〜1.0KVの加速電圧で窒素イオンビー
ムを発生させ、B蒸気と共にダイス基材の表面に照射す
る。すなわち、イオン注入処理中に製膜速度が早い真空
蒸着を併用する方法であり、基板の表面層を改質しなが
ら異なる特性を持った化合物薄膜を基板表面に形成する
ことができる。この方法によるとき、従来のCVDより
も低温で窒化硼素膜が作製され、しかも従来のイオンプ
レーティング等のPVDに比較して密着性及び耐久性に
優れた薄膜が形成される。また、低温での処理が可能な
ことから、ダイス基材となる熱間工具鋼の材質に悪影響
を与えることがない。窒化硼素膜の形成に先立って、窒
化処理したダイス基材の表面をSixy でコーティン
グしておくと、ダイス基材と窒化硼素膜との間における
熱膨張差,内部応力,格子定数のミスマッチ等が緩和さ
れる。その結果、層間剥離が抑制され、窒化硼素膜の密
着性が一層改善される。Sixy のコーティングは、
イオン銃により窒素ガスをイオン化し、0.5〜1.5
KVの加速電圧で窒素イオンビームを発生させ、Si蒸
気と共に基材表面に照射する。表1は、Sixy 系中
間層及び窒化硼素薄膜を製膜する際の適正条件を示す。
【0007】
【表1】
【0008】窒化硼素膜でコーティングしたダイスを使
用して押出し加工するとき、ピックアップ欠陥,巻込
み,ダイライン等の欠陥を抑制でき、しかも表面光沢度
が高く且つ表面平滑度も優れた押出し形材が得られる。
これは、従来法におけるダイス基材のFeとAlとの間
の反応性や親和性よりもAlとBNとの反応性や親和性
よりも大幅に低いことから、Fe−Al−Si系等の化
合物がベアリング表面に生成しないことに起因するもの
と推察される。この点、従来の窒化処理によって単に硬
質皮膜を形成したものでは、押し出されるアルミニウム
材とダイス基材表面の窒化膜とが反応し、形材の欠陥を
誘発させるFe−Al−Si系等の化合物の生成が促進
されるものと考えられる。
【0009】また、従来の窒化処理による化合物層(F
e−N)は、400〜500℃の押出し温度域において
表面が酸化し、Fe23 ,Fe34 等に変化する。
これら酸化物の生成は、摩擦係数を増加させ、白層の剥
離,耐摩耗性の劣化等の原因となる。これに対し、本発
明に従って形成された窒化硼素膜は、900℃に達する
高温域においても酸化されず、低摩擦係数を維持してい
る。そのため、耐摩耗性も良好で、押出し成形された形
材に摩耗粉が巻き込まれることもなく、表面光沢の優れ
た高品質の押出し形材が得られる。窒化硼素膜の形成に
先立って、塩浴窒化,ガス窒化,ガス軟窒化又は流動層
熱処理等でダイス鋼が窒化処理される。ここでいう窒化
処理とは、窒素の拡散によって基材である鋼材と反応し
て鉄窒化物を形成する窒化処理全般をいう。
【0010】
【実施例】窒化硼素膜の耐酸化性評価 イオンビーム支援蒸着法で形成した窒化硼素膜の耐酸化
性を調査するため、ダイス鋼SKD61の表面に平均膜
厚1μmの窒化硼素薄膜を形成した。窒化硼素薄膜を形
成したダイス鋼を、未処理のダイス鋼と共に加熱酸化試
験に供した。加熱試験には、大気雰囲気に維持された電
気炉内で試験片を410〜490℃にそれぞれ5時間加
熱する条件を採用した。加熱後のダイス鋼表面をX線回
折したところ、図1に示すように、未処理のダイス鋼
(a)と窒化硼素膜をコーティングしたダイス鋼(b)
とでは、酸化傾向に顕著な相違がみられた。すなわち、
未処理のダイス鋼(a)では、加熱温度の上昇に伴って
母材のα−Feのピークが高くなると共に、酸化物α−
Fe23のピークが増加しており、基材の酸化が進行
することが示されている。これに対し、イオンビーム支
援蒸着法で窒化硼素コーティングしたダイス鋼(b)で
は、490℃に5時間加熱した場合にあっても、α−F
23 のピークがほとんど検出されず、酸化が抑制さ
れていることが判る。このことから、イオンビーム支援
蒸着法で形成した窒化硼素コーティング層が耐酸化性に
優れていることが確認された。
【0011】窒化層の耐酸化性評価 イオンビーム支援蒸着法で形成した窒化硼素コーティン
グ膜が窒化層に及ぼす影響を調査するため、ダイス鋼S
KD61を塩浴窒化し、拡散層を含めた平均厚みが10
0μmの窒化層を形成した。更に、窒化層の表面にイオ
ンビーム支援蒸着法で平均膜厚1μmの窒化硼素膜を形
成した。そして、窒化硼素薄膜を形成したダイス鋼を、
窒化層が形成されたままのダイス鋼と共に実施例1と同
じ加熱酸化試験に供した。加熱後のダイス鋼表面をX線
回折した結果を、図2(a)及び(b)に対比して示
す。窒化処理したままのダイス鋼(a)では、窒化処理
後に存在していたFe3 Nのピークが加熱温度の上昇に
応じて減少し、代わりにα−Fe23 やFe34
ピークが高くなっている。これに対し、窒化処理後に窒
化硼素コーティングしたダイス鋼(b)では、Fe3
のピーク減少が少なくなっており、α−Fe23 やF
34 のピーク上昇もわずかである。この対比から明
らかなように、イオンビーム支援蒸着法で形成した窒化
硼素膜は、窒化層に対して酸素のバリアーとして働き、
酸化雰囲気中での加熱によって酸化及び消失しがちな窒
化層の酸化や消失を抑制していることが判る。
【0012】窒化硼素膜の作用は、ダイス鋼の表面層を
観察することによっても確認される。すなわち、窒化処
理したままのダイス鋼では、図3に示すように加熱温度
の上昇に応じて窒化層が剥離・脱落し、消失していく過
程が観察された。これに対し、窒化処理後に窒化硼素コ
ーティングしたダイス鋼では、図4に示すように490
℃に5時間加熱した後でも白層が残存しており、窒化硼
素膜の酸化による劣化もみられなかった。加熱によって
も窒化層が残存することから、窒化硼素膜でコーティン
グされたダイス鋼の深さ方向に関する硬度分布は、図5
に示すように加熱の前後でほとんど変わることがなかっ
た。すなわち、加熱後にもHv1000以上の表面硬度
をもっており、加熱に対し安定した硬質表面層となって
いることが判る。
【0013】ダイスの耐久性及び押出し形材の表面品質
に与える影響 従来の塩浴窒化で窒化層を形成したダイス鋼と、塩浴窒
化処理後にイオンビーム支援蒸着法でベアリング面に当
る表面部に窒化硼素膜を形成したダイス鋼から作成され
た押出し用ダイスを使用し、それぞれを表2に示す条件
下の押出し試験に供した。
【0014】
【表2】
【0015】押出しを100m継続した後、ベアリング
面の表面粗さを測定した。測定結果を示す図6にみられ
るように、窒化処理したままのダイス鋼では、押出し前
後の表面粗さが大きく変動していた。これに対し、イオ
ンビーム支援蒸着法で窒化硼素膜を形成したダイス鋼で
は、押出し前に比較して押出し後の表面粗さがほとんど
増加しておらず、長期間の押出しに使用可能であること
が示されている。また、押出し開始直後、すなわち1m
押出し後の押出し形材、及び100m押出し後の押出し
形材のそれぞれについて、表面粗さを測定した。測定結
果を示す図7にみられるように、本発明に従って窒化硼
素膜を形成した押出し用ダイスを使用して押出された形
材では、押出し長さが100mに至った時点でも、押出
し直後とほとんど変わらない優れた表面性状を呈してい
た。これに対し、単に窒化層を形成しただけのダイス鋼
では、押出し長さ100mに至ったときに得られた押出
し形材は、表面粗さが大きくなっており、表面性状が悪
化していた。
【0016】押出し形材の表面粗さを、押出し長さ及び
ダイスの加熱温度で整理した。その結果、窒化処理後の
窒化硼素コーティングは、図8に示されているように表
面性状の優れた押出し形材の製造に顕著な効果を奏する
ことが判る。特に、ダイス温度が490℃と高い領域に
あっても、表面粗さが大きくなることが抑えられてい
る。これに対し、窒化処理したままのダイス鋼では、ダ
イス温度が490℃と高いとき、押出し長さ20m前後
で押出し形材の表面性状が急激に悪化している。また、
ダイス温度が450℃と低い場合でも、押出し長さに応
じて表面粗さが大きくなっていた。この対比からも、窒
化処理後の窒化硼素コーティングは、押出し用ダイスの
寿命及び押出し形材の表面性状の改善に有効であること
が判る。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、窒化処理したダイス鋼の表面にイオンビーム支援蒸
着法で窒化硼素膜を形成している。窒化硼素膜は、高温
で耐酸化性に優れ、窒化層に対する酸素のバリアーとし
て働き、窒化層の酸化や消失を防止する。また、優れた
潤滑性を呈し、低摩擦係数をもつことから、耐久性に優
れ、表面性状の良好な製品の製造に適した各種加工用鋼
製ダイスとして使用される。特にアルミの押出し用ダイ
スとして使用する場合、長時間押出し後も一定した表面
品質をもつ押出し形材が得られるため、製造コストが低
減するばかりでなく、高品質の押出し製品の製造も可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 未処理のダイス鋼(a)及び窒化硼素膜を形
成したダイス鋼(b)それぞれを加熱酸化試験したとき
のX線回折パターン
【図2】 窒化処理したままのダイス鋼(a)及び窒化
処理後に窒化硼素膜を形成したダイス鋼(b)それぞれ
を加熱酸化試験したときのX線回折パターン
【図3】 窒化処理したままのダイス鋼を加熱酸化試験
したとき、加熱温度に応じて窒化層が消失することを示
す表面層の組織。
【図4】 窒化処理後に窒化硼素コーティングを施した
ダイス鋼では、加熱酸化によっても窒化層の消失が抑制
されていることを示す表面層の組織
【図5】 窒化処理後に窒化硼素コーティングを施した
ダイス鋼では、深さ方向に関する硬度分布が加熱温度に
よっても変わらないことを示すグラフ
【図6】 押出し前後における押出し用ダイスのベアリ
ング面の表面粗さの推移を示すグラフ
【図7】 押出し直後1m及び押出し長さ100mに至
った時点で得られた押出し形材の表面粗さを対比したグ
ラフ
【図8】 押出し形材の表面粗さが押出し長さに応じて
変化したことを示すグラフ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 28/04 (72)発明者 石井 秀樹 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 株式会社日軽技研内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材としての熱間工具鋼と、該熱間工具
    鋼の表面に形成された窒化層と、該窒化層の上にイオン
    ビーム支援蒸着法で形成された窒化硼素膜とを備えてい
    る耐酸化性に優れた硬質表面層をもつダイス鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の窒化層と窒化硼素膜との
    間にSixy 系中間層が形成されているダイス鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のダイス鋼で作られ
    たアルミニウム押出し用ダイス。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のアルミニウム押出し用ダ
    イスから押出されたアルミニウム押出し形材。
  5. 【請求項5】 基材としての熱間工具鋼を窒化処理した
    後、イオンビーム支援蒸着法により窒化硼素膜で熱間工
    具鋼をコーティングすることを特徴とする耐酸化性に優
    れた硬質表面層をもつダイス鋼の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の窒化処理として塩浴窒
    化,ガス窒化,ガス軟窒化又は流動層熱処理を施すダイ
    ス鋼の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の窒化処理と窒化硼素膜の
    形成との間で、イオンビーム支援蒸着法でSixy
    中間層を形成するダイス鋼の製造方法。
JP1863195A 1995-01-11 1995-01-11 耐酸化性に優れた硬質表面層をもつダイス鋼及び製造方法 Pending JPH08188866A (ja)

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