JP4274181B2 - 脚式ロボット - Google Patents
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Description
そのような脚式ロボットが特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された脚式ロボットは、人が搭乗する搭乗部と、一対の脚リンクを備える。一対の脚リンクの夫々は、搭乗部の下部に配置された回転関節によって、搭乗部に対して回転可能に連結されている。その回転関節の回転軸は、搭乗部の体側方向に伸びている。特許文献1に記載された脚式ロボットは、搭乗部の下部に配置された回転関節の回転軸を中心に一対の脚リンクを体幹の前後方向に交互に揺動させながら歩行する。
なお、特許文献1における搭乗部は本明細書にいう体幹に相当し、脚リンクは本明細書にいう脚機構に相当する。以下では「搭乗部」を「体幹」と表現し、「脚リンク」を「脚機構」と称する。
特許文献1の技術は、一対の脚機構が体幹の下部に設けられた回転関節によって回転可能に連結されている。そのような脚式ロボットは、一対の脚機構を体幹の下部に配置された回転関節の回転軸を中心として体幹の前後方向に交互に揺動させながら歩行する。従って、そのような脚式ロボットが歩行する際の歩幅を大きくするには脚機構の全長を長くしなければならない。脚機構の全長を長くすると、体幹の位置は鉛直上方に高くなってしまう。逆に体幹の位置を低くするために脚機構の全長を短くすると、歩幅が小さくなってしまう。特許文献1の技術では、一対の脚機構によって実現される歩幅を大きくすることと、体幹の位置を低くすることを両立することは困難である。
体幹の位置を高くせずに、少なくとも一対の脚機構によって実現される歩幅を大きくする脚式ロボットを実現する技術が望まれている。
また、「スライド関節が体幹の前後方向に伸びている」とは、スライド関節の接線の水平方向成分が体幹の前後方向を向いていればよい。即ち、スライド関節は体幹の前後方向で水平に伸びている場合のみならず、水平方向に対して所定の角度を有して伸びていてもいし、あるいは曲線を描いて伸びていてもよい。
夫々のスライド関節がなす曲線は、複数の曲率半径を有する曲線が連続して繋がっているものであってよい。その場合には、夫々の曲率半径の中心位置がスライド関節より上方に位置していればよい。
前記曲線を規定する中心位置とは、曲線が円弧の場合はその円弧の中心となる位置である。また、前記曲線が、異なる曲率半径を有する複数の曲線部の連続したものである場合には、夫々の曲率部を規定する夫々の曲率半径の中心となる位置である。
(第1形態)スライド関節は体幹の下面に設けられており、脚式ロボットが直立姿勢をとったときに、脚機構に設けられた各ロール関節が、体幹の体側方向の幅内に位置するように配置されている。
なお、「直立姿勢」とは、体幹の重心位置と、脚機構の関節のうち人間の膝関節に相当する関節と、足首関節に相当する関節が体側方向からみて鉛直方向に略一直線上に位置するときの姿勢をいう。ロール関節とは、関節の回転軸が体幹の側方に伸びている関節をいう。
(第2形態)一対のスライド関節の夫々の前記曲線の中心位置が、体側方向に伸びる直線上に配置されている。
この脚式ロボット10は、体幹12と、一対の脚機構14L、14Rを備える。体幹12の下面12aには、夫々の脚機構14L、14Rに対応して、脚機構14L、14Rの一端24La、24Raを体幹12に対してスライド可能に連結するスライド関節16L、16Rが設けられている。
図1に示す座標系でX軸の正の方向が脚式ロボット10(体幹12)の前方に相当し、Y軸と平行な方向が脚式ロボット10(体幹12)の側方(体側方向ともいう)に相当し、Z軸の方向が脚式ロボット10(体幹12)の上方に相当する。なお、Z軸の方向は鉛直方向にも相当する。
脚機構14Lは、複数のリンク20L、22L、24Lと複数の回転関節30L、32L、34L、36Lから構成されている。
脚機構14Lの接地面側の端部は左第1リンク20Lである。左第1リンク20Lは、人間に例えると足平に相当する。左第1リンク20Lと左第2リンク22Lは、左第1複合関節26Lで連結されている。左第2リンク22Lは人間に例えると下腿に相当する。左第1複合関節26Lは人間に例えると足首関節に相当する。
左第1複合関節26Lは、左第1リンク20Lと左第2リンク22Lを相対的にロール軸s1回りに回転させる左第1ロール関節30Lと、左第1リンク20Lと左第2リンク22Lを相対的にピッチ軸s2回りに回転させる左第1ピッチ関節32Lから構成されている。従って、左第1リンク20Lと左第2リンク22Lは、左第1複合関節26Lにより、相対的にロール軸s1回りとピッチ軸s2回りの2方向の回転が可能である。
ここでロール軸とは、脚式ロボット10の概ね前後方向に伸びる軸をいう。また、ピッチ軸とは、脚式ロボット10の概ね体側方向に伸びる軸をいう。脚機構14Lの各リンクが揺動すると、関節の回転軸の方向も変化するので、ここでは「概ね前後方向」や「概ね体側方向」という表現を用いた。
左第2複合関節28Lは、左第2リンク22Lと左第3リンク24Lを相対的にロール軸s3回りに回転させる左第2ロール関節34Lと、左第2リンク22Lと左第3リンク24Lを相対的にピッチ軸s4回りに回転させる左第2ピッチ関節36Lから構成されている。従って、左第2リンク22Lと左第3リンク24Lは、左第2複合関節28Lにより、相対的にロール軸s3回りとピッチ軸s4回りの2方向の回転が可能である。
各関節30L、32L、34L、36Lには、モータ(不図示)とエンコーダ(不図示)が内蔵されている。モータは、その関節に隣接するリンク同士を相対回転させるためのトルクを発生させる。エンコーダは、その関節に隣接するリンク同士の相対回転角を検出する。
脚機構14Rの各関節30R、32R、34R、36Rにも、モータ(不図示)とエンコーダ(不図示)が内蔵されている。モータは、その関節に隣接するリンク同士を相対回転させるためのトルクを発生させる。エンコーダは、その関節に隣接するリンク同士の相対回転角を検出する。
スライド関節16Lは、体幹12に対して脚機構14Lをスライド可能に連結する関節である。
スライド関節16Lは、ガイド部40Lと、アクチュエータ42Lを有している。ガイド部40Lは、体側方向からみて下側に張り出すように湾曲している体幹12の下面12aに沿って取り付けられている。従ってガイド部40Lも体幹12の下面12aで、体幹12の前後方向に伸びており、体幹12の下側に張り出す曲線状に形成されている。換言すれば、ガイド部40Lは体幹12の下面12aで、体幹12の前後方向に伸びており、曲線を描くように形成されている。その曲線は、図1(B)に示す位置Pを中心として曲率半径Rの曲線を描いている。
ガイド部40Lには、左第3リンク24Lの一方の端部24Laがガイド部40Lに沿ってスライド可能に連結されている。左第3リンク24Lの一方の端部24Laは、脚機構14Lの一方の端部に相当する。左第3リンク24Lの端部24Laがガイド部40Lに沿ってスライド可能に連結されているので、脚機構14L自体が、スライド関節16Lのガイド部40Lに沿ってスライド可能となっている。
アクチュエータ42Lは、ガイド部40Lに沿って脚機構14Lをスライドさせる駆動力を出力する。アクチュエータ42Lによって、脚機構14Lは、ガイド部40Lに沿った任意の位置へ位置決めされる。スライド関節16Lにはまた位置検出器(不図示)を備えている。この位置検出器は、脚機構14Lの端部24Laのガイド部40L上の位置を検出する。
スライド関節16Lの詳細な機構は説明を省略するが、例えば、単軸ステージ用に用いられている直動機構を湾曲させたものを利用して実現することができる。
スライド関節16Rは、体幹12に対して脚機構14Rをスライド可能に連結する関節である。スライド関節16Rの構造は、スライド関節16Lと同一であるので説明を省略する。なお、スライド関節16Rのガイド部40Rも半径Rの円弧を描くように湾曲している。スライド関節16Lのガイド部40Lが描く円弧の中心位置とスライド関節16Rのガイド部40Rが描く円弧の中心位置は体側方向からみて位置Pに一致している。即ち、一対のスライド関節16L、16Rの夫々の前記曲線の中心となる位置が、体幹12の体側方向に伸びる直線上に配置されている。
体幹12には、後述するように人間を搭乗させるための座席が設けられる場合もあれば、荷物を積載するための荷台が設けられる場合もある。また、様々な作業を行わせるためのマニピュレータが搭載される場合もある。
脚機構14Lのガイド部40L上の位置はスライド関節14Lが備える位置検出器(不図示)によって検出される。脚機構14Rのガイド部40R上の位置はスライド関節14Rが備える位置検出器(不図示)によって検出される。脚機構14L、14Rが備える各関節にもエンコーダ(不図示)が備えられている。脚式ロボット10に搭載されたコントローラ(不図示)には、エンコーダが検出するリンク同士の回転角および位置検出器が検出する脚機構14L、14Rのガイド部40L、40R上の位置が入力される。コントローラは、入力された値に基づいて、所定の制御ロジックによって各関節を適切に制御するように各アクチュエータに指令値を出力する。その結果、脚機構14L、14Rの各リンクを協調して動作させた歩行が実現される。
脚式ロボット10は、図2に示すように、脚機構14Lを一歩前へ踏み出す動作を行う際、脚機構14Lの端部24Laをスライド関節16Lのガイド40Lに沿って体幹12の前方へスライドさせる。同時に、脚機構14Rの端部24Raをスライド関節16Rのガイド40Rに沿って体幹12の後方へスライドさせる。その結果、脚機構14Lの端部24Laと脚機構14Rの端部24Raは、体幹12の前後方向に距離Lの差が生じる。
スライド関節16Lのガイド部40Lは、ガイド部40Lより上方に位置する位置Pを中心とした曲率半径を有する曲線を描くように湾曲している。換言すれば、スライド関節16Lのガイド部40Lは、体幹12の下方向に張り出すように湾曲している。従って、脚機構14Lの端部24Laはガイド部40Lの湾曲に沿ってスライドする。脚機構14Lの端部24Laが体幹12の下方に張り出すように曲線を描いて前後方向にスライドすることによって、歩行時の脚機構14Lの運びを円滑なものとすることができる。
即ち、本実施例の脚式ロボット10は、位置Pに配置された仮想的な回転関節52Lによって仮想的なリンク50Lを有する脚機構14Lと体幹12が連結された構造と等価である。従って、この脚式ロボット10は、脚機構14Lが体幹12の下部ではなく、体幹12の体側方向からみて位置Pにおいて回転関節52Lによって連結されている脚式ロボットと等価な歩行を実現できる。換言すれば、位置Pに配置された仮想的な股関節の関節52Lによって体幹12に連結されている仮想的なリンク50Lを有する脚機構が実現できる歩幅と同じ歩幅を本実施例の脚式ロボット10は実現できる。脚式ロボット10は、左第1リンク20Lから仮想的な関節52Lまでの全長を有する脚機構が実現できる歩幅と同じ歩幅を実現することができる。
これに対して本実施例の脚式ロボット10では、現実の脚機構14Lは体幹12の下面12aでスライド関節16Lによって体幹12に連結されている。体幹12の内部にまで脚機構14Lを入り込ませる必要がない。即ち、体幹12の位置を高くすることなく、歩幅を大きくすることができる。
脚式ロボット、特に一対の脚機構によっていわゆる2足歩行する脚式ロボットでは、片脚のみで接地している片足立脚状態となると、その接地している方の脚機構1本で体幹を支えなければならない。片脚のみで接地している場合、脚機構のロール関節には体幹の自重によりモーメントが作用する。モーメントの大きさは、体幹の重心位置を通る鉛直線とロール軸関節の回転軸との距離に比例する。その点、本実施例の脚式ロボット10は、脚機構14Lは、体幹12の下面12aで体幹12に連結している。従って、図1(C)に示すように、脚式ロボット10に直立姿勢をとらせたときに、脚機構14Lに設けられた各ロール関節30L、34Lを、体幹12の体側方向の幅w1内に位置するように配置することができる。これにより、体幹12の重心位置Gを通る鉛直線s0とロール関節30L、34Lの回転軸s1、s3との体側方向の距離w2を短くすることができる。その結果、実施例の脚式ロボット10は、片足立脚状態のときに接地している脚機構のロール関節30L、34Lに作用する体幹12の自重によるモーメントを小さく抑えることができる。スライド関節16L、16Rを体幹12の下面12aに設けることによって、片足立脚状態のときに接地している脚機構のロール関節に加わるモーメントを小さくすることができる。ロール関節に出力の小さいモータを使用することができる。
図1(B)に示すように、ガイド部40Lが描く曲線は、その曲線の中心位置Pが、体幹12の重心位置Gよりも上方に位置する関係になっている。前述したように、脚式ロボット10の体幹12と脚機構14Lとの幾何学的な位置関係は、位置Pに配置された仮想的な回転関節52Lによって、仮想的なリンク50Lを有する脚機構14Lと体幹12が連結された構造と等価である。従って、スライド関節16Lおよび16Rをフリーの状態、即ち、脚機構14L、14Rの端部24La、24Raが、夫々ガイド部40L、40Rの任意の位置に自由に移動可能な状態、にすると、体幹12は、重力の作用によってその重心位置Gが位置Pの直下に位置する姿勢となる。逆に、ガイド部40L、40Rが描く曲線の中心位置Pを、体幹12の重心位置Gよりも下方に位置するようにした場合には、スライド関節16Lおよび16Rをフリーの状態とすると、体幹12の重心位置Gを位置Pよりも鉛直下方となるように重力が作用する。その結果、体幹12が回転してしまう。ガイド部40L、40Rが描く曲線の中心位置Pを、体幹12の重心位置Gよりも上方に位置させることによって、次の効果が得られる。即ち、何からの理由により脚式ロボット10の前後方向の傾斜角が増大した場合に、スライド関節16Lおよび16Rをフリーの状態にすることによって、体幹12が回転してしまうことを防止できる。この効果は、ガイド部40L、40Rが異なる曲率半径の複数の曲線部が連続した曲線を描くように形成されている場合でも同様である。その場合には、各曲線部の夫々の中心位置を体幹12の重心位置Gよりも上方に位置させればよい。
座席60は、その座面60aが、スライド関節16L、16Rのガイド部40L、40Rが描く曲線の中心位置Pよりも下方に位置するように配置されている。一般的に人間が着座したときの重心位置は腰付近にあることが知られている。図3に、座席60に着座した乗員100の重心位置GHを示す。座席60を、その座面60aが、ガイド部40L、40Rが描く曲線の中心位置Pよりも下方に位置するように配置することによって、乗員100の重心位置GHを中心位置Pよりも下方にすることができる。体幹13自体の重心位置Gも、ガイド部40L、40Rが描く曲線の中心位置Pよりも鉛直下方に位置している。従って、体幹13と乗員100を合わせたときの重心位置も中心位置Pよりも下方に位置させることができる。従って、前の説明と同様に、何からの理由により脚式ロボット10の前後方向の傾斜角が増大した場合に、スライド関節16Lおよび16Rをフリーの状態にすることによって、乗員100が搭乗している体幹13が回転してしまうことを防止できる。
本発明は、3本以上の脚機構を有する脚式ロボットに対しても適用可能であるが、特に一対の脚機構を有する脚式ロボットに適用することが特に有効である。なぜならば、前述したように、脚機構が有するロール関節の位置を、体側方向からみて体幹の幅内に配置することができるからである。一対の脚機構を有する脚式ロボットでは、歩行時に片足のみで立脚する状態が生じる。そうすると立脚のロール関節には体幹の自重によってモーメントが生じる。立脚のロール関節はそのモーメントに対向するだけのトルクを出力することが要求される。脚機構が有するロール関節の位置を、体側方向からみて体幹の幅内に配置することによって、ロール関節に作用する体幹の自重によるモーメントを小さくすることができる。本発明によると、体幹の高さを低くしながら歩幅を大きくするとともに、脚関節が有するロール関節に作用する体幹の自重により生じるモーメントを小さくすることができる。
また、本発明の脚式ロボットは、体幹と一対の脚機構をスライド可能に連結するスライド関節は、脚機構を体幹の前後方向にスライドさせるものであれば直線状のスライド関節であってもよい。
12:体幹
12a:体幹下面
13:体幹
14L、14R:脚機構
16L、16R:スライド関節
20L、20R:第1リンク
22L、22R:第2リンク
24L、24R:第3リンク
24La、24Ra:第3リンク端部
26L、26R:第1複合関節
28L、28R:第2複合関節
30L、30R:第1ロール関節
32L、32R:第1ピッチ関節
34L、34R:第2ロール関節
36L、36R:第2ピッチ関節
40L、40R:ガイド部
42L、42R:アクチュエータ
60:座席
60a:座面
100:乗員
Claims (6)
- 体幹と、
隣接するリンク同士が揺動可能に連結されている少なくとも一対の脚機構と、
体幹に設けられており、夫々の脚機構の一端を体幹の前後方向へスライド可能に連結する少なくとも一対のスライド関節と、
を備えており、夫々のスライド関節が、体幹の下方に張り出す曲線状に形成されていることを特徴とする脚式ロボット。 - 一対のスライド関節は、体幹の両側面に一つずつ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の脚式ロボット。
- 一対のスライド関節は、体幹の下面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脚式ロボット。
- 夫々のスライド関節が形成する曲線は、円弧であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の脚式ロボット。
- 前記曲線を規定する中心位置が、体幹の重心位置より上方に位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の脚式ロボット。
- 前記体幹は、乗員が着座するための座席をさらに備えており、座席の座面が前記中心位置より体幹の下方に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の脚式ロボット。
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