JP4273697B2 - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、マルチメディア情報化時代の必需品として、携帯電話、携帯端末、ノート型パーソナルコンピュータ、カメラ一体型ビデオテープレコーダ等の多くの製品に使用されている。
特に、低温ポリシリコンTFT液晶表示装置 (Low-Temperature Poly-Silicon Thin-Film-Transistor liquid-Crystal-Display) は、駆動回路であるTFT素子をガラス基板上に集積することができるため、高精細化、低消費電力化が可能となり、将来、様々な回路を集積できることで応用も広がることが期待されている。また、低温ポリシリコンTFT型の高精細液晶パネルを量産化するうえで、一層の低コスト化への要求が高まっている。
【0003】
液晶表示装置を光の利用方法で分類すると、液晶表示装置はバックライトを利用する透過型、外光を利用する反射型、および、両方の機能を持った反射/透過型に分類される。
反射/透過型は、暗所ではバックライトを利用し、明所では外光を画素電極で反射させることにより、高輝度、省消費電力を実現している。
【0004】
図9は、反射/透過型の液晶表示装置の駆動基板の構造の一例を示す平面図である。この液晶表示装置は、いわゆるボトムゲート型の低温ポリシリコンTFT−LCDである。
図9において、表示画素部101は、マトリクス状に配置されており、この表示画素部101は、反射用画素電極102とこの反射用画素電極102の下に形成された透過用画素電極103を有する。各表示画素部101は、透過部Wを備えており、また、各表示画素部101の一隅部には、TFT素子104が形成されている。
TFT素子104は、ゲート線106、信号線105、反射用画素電極102および透過用画素電極103にそれぞれ電気的に接続されている。
【0005】
図10は、液晶表示装置のTFT素子104の断面構造を示す断面図であって、図9におけるA−A線方向の断面図である。また、図11は液晶表示装置の透過部Wの周辺の構造を示す断面図であって、図9におけるB−B線方向の断面図である。
図10に示すTFT素子104において、ガラス板等からなる絶縁性で透明な基板110上には、たとえば、Cr,Mo等の導電材料からなるゲート電極107が所定のパターンで形成されている。このゲート電極107は、上記したゲート線106に電気的に接続および図示しない蓄積容量配線に電気的に接続されている。
【0006】
ゲート電極107上には、当該ゲート電極107を被覆するように窒化シリコンからなるバリア絶縁膜112が形成され、このバリア膜112上には酸化シリコンからなるゲート絶縁膜113が形成されている。
このゲート絶縁膜113上には、所定パターンのポリシリコン層108が形成されている。このポリシリコン層108は、図示しないコンタクトホールを通じて上記の信号線105および反射用画素電極102、透過用画素電極103に電気的に接続される。
ポリシリコン層108上には、当該ポリシリコン層108のゲート電極107上に位置する部分を被覆するためのストッパ層115が形成されている。ポリシリコン層108は、周知の方法により、LDD(Lightly Doped Drain )領域およびN+ 領域が形成され、活性化されている。
ゲート絶縁膜113上には、ポリシリコン層108およびストッパ層115を被覆するように、酸化シリコンからなる層間絶縁膜116が形成され、層間絶縁膜116上には窒化シリコンからなる層間絶縁膜117が形成されている。
【0007】
層間絶縁膜117上には、表面に凹凸を有する拡散板118が形成されている。この拡散板118は、上層に形成される反射用画素電極102に凹凸を発生させて、当該反射用画素電極102に入射する光を拡散させて輝度を向上させるために設けられている。
拡散板118上には、平坦化層119が形成されている。この平坦化層119は、反射用画素電極102を形成しやすい程度に拡散板118の凹凸を滑らかにするために設けられている。
【0008】
平坦化層119上には、透過用画素電極103が形成され、透過用画素電極103上には反射用画素電極102が形成されている。透過用画素電極103は、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明膜で形成され、反射用画素電極102はAl,Ag等の反射膜で形成されている。
【0009】
基板110から反射用画素電極102までは、一連のプロセスで形成され、液晶表示装置を駆動する駆動基板を構成する。図10に示すように、この駆動基板の表面側にITO膜等の透明膜からなる対向電極134、カラーフィルタ135、位相差板136および偏光板137が設けられており、反射用画素電極102と対向電極134との間に液晶130が封入され、駆動基板の裏面側に位相差板133、偏光板132および面状光源131が設けられている。
図10に示すように、外部から偏光板137に向かって入射する外光OLは、液晶130を通じて反射用画素電極102で反射し、液晶130を通じて再び外部に出力可能となっている。
一方、面状光源131からの光BLは、反射用画素電極102が存在するため、偏光板137側に出力されない。
【0010】
一方、図11に示すように、基板110上に積層されたバリア膜112、ゲート絶縁膜113、層間絶縁膜116,117、拡散板118および平坦化層119には、基板110にまで達する穴Hが形成されている。透過用画素電極103は、平坦化層119上に形成されているとともに、穴Hの底部である基板110の表面および穴Hの内周面を覆うように形成されている。
さらに、この透過用画素電極103上に形成された反射用画素電極102は、穴Hの底部において窓102wが形成されている。
このため、図11に示すように、面状光源131からの光BLは窓102wを通じて偏光板137側に出力可能となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成の液晶表示装置の反射用画素電極102および透過用画素電極103を形成するには、まず、平坦化層119上に透明導電膜を真空雰囲気において成膜したのち、フォトリソグラフィー工程によって図9に示した所定パターンにパターニングし透過用画素電極103を形成する。次いで、透過用画素電極103上に反射導電膜を真空雰囲気において成膜したのち、フォトリソグラフィー工程によってパターニングし反射用画素電極102を形成する。
フォトリソグラフィー工程は、処理前洗浄・レジスト塗布・プリベーク・露光・現像・ポストベーク等の多くの工程からなりたっている。このため、反射用画素電極102および透過用画素電極103を形成するのに2つのフォトリソグラフィー工程が必要であると、量産工場においては工程数が多く、大型のコーターディベロッパーが多数必要となり設備コストが嵩み、製品の低コスト化を妨げる要因となっていた。このため、反射用画素電極102および透過用画素電極103を形成するための工程数の削減が望まれていた。
また、フォトリソグラフィー工程では、多量の薬液を使用するため、省資源化や環境汚染の防止の観点から、反射用画素電極102および透過用画素電極103の形成をいわゆるドライプロセスによって行うことが望まれていた。
【0012】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、画素電極をフォトリソグラフィー工程によらず形成可能な反射/透過型の液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願発明の液晶表示装置の製造方法は、透明な基板上に、所定形状にパターニングされた光を透過する透過用画素電極と光を通過させる開口を備えて光を反射する反射用画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、光を透過する基板上に導電性反射膜を形成する工程と、前記導電性反射膜を所定形状にパターニングし、光を通過させる開口を備える反射用画素電極を形成する工程と、前記反射用画素電極を被覆するように前記基板上にレーザ光を用いた加工によって選択的に除去するのに必要なレーザ光のエネルギー密度が前記導電性反射膜よりも小さく、かつ線膨張係数が前記導電性反射膜よりも小さく、エネルギー密度の設定により前記導電性反射膜に対して選択的に除去可能な材料からなる導電性透過膜を形成する工程と、前記導電性反射膜を選択的に除去するのに必要なエネルギー密度よりも小さく、前記導電性透過膜を選択的に除去可能なエネルギー密度のレーザ光を前記導電性透過膜に照射して前記導電性透過膜と前記導電性反射膜との界面に歪みを生じさせ、前記導電性透過膜を前記導電性反射膜に対して選択的に除去して所定形状にパターニングし、少なくとも前記開口を覆う透過用画素電極を形成する工程とを有する。
【0018】
好適には、本発明の液晶表示装置の製造方法は、前記反射用画素電極を形成する工程において、前記導電性反射膜をレーザ光を用いた加工により所定形状にパターニングする。
【0019】
本発明では、導電性反射膜からなる反射用画素電極と導電性透過膜からなる透過用画素電極とを備え、透過用画素電極のパターニング、さらには反射用画素電極のパターニングを、レーザ光を用いた加工により行う。これにより、フォトリソグラフィー工程が削減される。
また、導電性透過膜に、レーザ光を用いた加工によって選択的に除去するのに必要なレーザ光のエネルギー密度が導電性反射膜よりも小さい材料を用いることで、導電性透過膜をレーザ光により加工した際に、下層の導電性反射膜まで除去されることがない。
さらに、導電性透過膜に、線膨張係数が導電性反射膜よりも小さい材料を用いることで、導電性透過膜をレーザ光により加工した際に、熱膨張差により導電性反射膜と導電性透過膜との界面に歪みが生じ、上層にある線膨張係数が小さい導電性透過膜のみ除去される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における駆動基板の構成を示す平面図である。
図1に示すように、駆動基板1は、マトリクス状に配列された画素電極部2と、各画素電極部2に対して設けられたTFT(Thin Film Transistor)素子30とを有する。各画素電極部2の間には、信号線5およびゲート線6が設けられている。
【0021】
画素電極部2は、反射用画素電極10と、この反射用画素電極10上に形成された透過用画素電極12とを有する。また、反射用画素電極10には、開口10wが形成されており、この開口10wと透過用画素電極12とによって透過部3が構成されている。
【0022】
TFT素子30は、ゲート電極7とこのゲート電極7に交差するように配置されたポリシリコン層8とを有している。ゲート電極7は、ゲート線6に電気的に接続されている。ポリシリコン層8の一端部は信号線5に電気的に接続され、他端部は反射用画素電極10に電気的に接続されている。
なお、ゲート線6はTFT素子30に走査信号を供給するための配線であり、信号線5はTFT素子30に信号電圧を印加するための配線である。
【0023】
図2は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT素子30の周辺の断面構造を示す断面図であって、図1におけるA−A線方向の断面を示している。また、図3は、本実施形態に係る液晶表示装置の駆動基板の透過部3の周辺の断面構造を示す断面図であって、図1におけるB−B線方向の断面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置は、駆動基板1、この駆動基板1の電極形成面側に対向して配置された、対向電極62、カラーフィルタ64、位相差板66および偏光板68と、駆動基板1の裏面側に配置された位相差板70、偏光板72および面状光源74とを有する。
【0024】
駆動基板1は、基板40と、ゲート電極7と、バリア膜44と、ゲート絶縁膜46と、ポリシリコン層8と、ストッパ層50と、層間絶縁膜48,52と、拡散板54と、平坦化層56と、反射用画素電極10と、透過用画素電極12とを有する。
【0025】
基板40は、たとえば、ガラス材料等の光を透過する材料で形成されている。
ゲート電極7は、基板40上に上記したゲート線6とともにパターニングされている。このゲート電極7は、たとえば、Cr(クロム)等の導電材料を基板40上にスパッタリングにより成膜し、このCrの薄膜を、たとえば、フォトリソグラフィーによってパターニングすることにより得られる。
【0026】
バリア膜44は、ゲート電極7を被覆するように基板40上に成膜されている。このバリア膜44は、たとえば、プラズマCVD法により、窒化シリコンを基板40上に成膜したものである。
ゲート絶縁膜46は、バリア膜44上に形成されており、たとえば、酸化シリコンをプラズマCVD法により成膜したものである。
【0027】
ポリシリコン層8は、ゲート絶縁膜46上にパターニングされている。このポリシリコン層8は、たとえば、非晶質シリコンをゲート絶縁膜46上にプラズマCVD法により成膜したのち、アニール処理を施して非晶質シリコンに含まれる水素を除去し、ポリシリコンに転換させ、このポリシリコンを、たとえば、フォトリソグラフィーによりパターニングすることにより得られる。
また、ポリシリコン層8のストッパ層50の両側には、たとえば、リン(P)等の不純物が所定の濃度で注入され、活性化されることによりLDD(LightlyDoped Drain )領域およびN+ 領域が形成されている。
【0028】
ストッパ層50は、たとえば、酸化シリコンで形成されている。このストッパ層50は、たとえば、CVD法によりポリシリコン層8を覆うようにゲート絶縁膜46上に酸化シリコンを成膜したのち、この酸化シリコンをゲート電極7をマスクとしてセルフアライメントによりパターニングすることにより得られる。このため、ストッパ層50は、ポリシリコン層8のゲート電極7上に位置する部分を被覆している。
なお、上記のLDD領域は、このストッパ層50をマスクとして不純物がイオン注入されることにより形成される。また、このストッパ層50および当該ストッパ層50の周辺をフォトレジストによりマスクしたのち、不純物をポリシリコン層8にイオン注入することにより、N+ 領域が形成される。その後、アニール処理により、不純物の活性化を図る。
【0029】
層間絶縁膜48は、ストッパ層50およびポリシリコン層8を覆うようにゲート絶縁膜46上に形成されている。この層間絶縁膜48は、たとえば、酸化シリコンがCVD法により成膜されている。
層間絶縁膜52は、層間絶縁膜48上に形成されている。この層間絶縁膜48は、たとえば、窒化シリコンがCVD法により成膜されている。
【0030】
拡散板54は、層間絶縁膜52上に形成されている。この拡散板54は、表面に凹凸を有している。この凹凸により、当該拡散板54上層に形成される反射用電極10に凹凸を形成し、当該反射用電極10に入射する光を拡散させて輝度を向上させるために設けられている。
拡散板54は、層間絶縁膜52上にアクリル樹脂等からなるレジストをスピンコートにより塗布し、ポストベーク処理によりレジストを下地層に定着させ溶媒を除去し、このレジストの表面に凹凸を形成することにより得られる。レジスト表面への凹凸の加工は、たとえば、フォトリソグラフィーあるいはレーザ加工によって行われる。
【0031】
平坦化層56は、拡散板54上に形成されており、拡散板54の表面の凹凸を滑らかにし、反射用画素電極10が定着しやすいようにするために設けられている。このため、平坦化層56の表面は拡散板54の表面よりも滑らかになっている。
【0032】
反射用画素電極10は、平坦化層56上にパターニングされている。この反射用画素電極10は、たとえば、Al,Ag等の導電性の反射膜で形成されている。後述するように、反射用画素電極10は、導電性の反射膜を平坦化層56上にスパッタリングしたのち、後述するレーザ光によるアブレーション及び熱的加工によりパターニングされる。
【0033】
また、反射用画素電極10は、図3に示すように、透過部3において開口10wが形成されている。
反射用画素電極10は、透過部3において、基板40上に積層されたバリア膜42、ゲート絶縁膜46、層間絶縁膜48,52、拡散板54および平坦化層56に形成された基板40にまで達する穴Hの底部である基板40の表面および穴Hの内周面を覆うように形成されている。基板40の表面に形成された反射用画素電極10に開口10wが形成されている。
なお、反射用画素電極10の形成方法については後述する。
【0034】
透過用画素電極12は、基板40の表面に形成された反射用画素電極10上に形成されており、開口10wおよびこの開口10wの周縁部のみを覆っている。この透過用画素電極12は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性の透過膜によって形成されている。なお、透過用画素電極12の形成方法については後述する。
【0035】
対向電極62、カラーフィルタ64、位相差板66および偏光板68は、一体化されて駆動基板1の画素電極形成側に対向配置される。
対向電極62は、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性の透過膜によって形成されており、反射用画素電極10および透過用画素電極12との間で電界を形成する。
【0036】
偏光板68および72は、入射する光を直線偏光にする。
位相差板66,70は、液晶表示装置のコントラストの向上、色変化の低減、防止のために、偏光板68または72を通じて入射する直線偏光を円偏光にする光学補償を行う。
カラーフィルタ64は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の微細な着色層とブラックマトリックスと呼ばれる遮光層とが所定パターンに形成されたものである。
面状光源74は、たとえば、冷陰極蛍光管等の光源を内蔵しており、面状の光BLを基板40側に向けて出力する。
【0037】
対向電極62と反射用画素電極10および透過用画素電極12との間に封入される液晶60には、たとえば、ツイスティッドネマティック(TN)液晶が使用される。
【0038】
上記構成の液晶表示装置では、偏光板68側から入射した外光OLは、偏光板68、位相差板66、カラーフィルタ64および対向電極62を通過して反射用画素電極10に入射し、この反射用画素電極10で反射されて偏光板68から外部に再び出力される。反射用画素電極10の表面は、拡散板54の凹凸により凹凸を有しているので、反射用画素電極10に入射された外光OLは、散乱し画面の輝度が向上する。
また、反射用画素電極10上には、透過部3を除いて透過用画素電極12が存在しないため、反射用画素電極10に入射する外光OLの反射が妨げられることがなく、さらに高輝度の画面が得られる。
【0039】
一方、面状光源74から出力された光BLは、図2に示すように、反射用画素電極10が存在する領域では、反射用画素電極10によって遮断され、偏光板68から外部へ出力されないが、図3に示すように、透過用画素電極12に入射した光BLは、透過用画素電極12を通過し、対向電極62、カラーフィルタ64、位相差板66および偏光板68を通じて外部に出力される。
この結果、暗所では面状光源74を利用し、明所では外光を反射用画素電極10で反射させることにより、高輝度で省消費電力化された液晶表示装置が得られる。
【0040】
次に、上述した反射用画素電極10および透過用画素電極12の形成方法について説明する。
図4は、反射用画素電極10および透過用画素電極12のパターニングに用いるレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。
図4に示すレーザ加工装置200は、レーザ光源201と、複数のミラー202,203,204と、ビーム整形器205と、マスク206と、縮小投影レンズ207と、ステージ208とを有する。
【0041】
レーザ光源201は、レーザビームLBを出力する。このレーザ光源201から出力されるレーザビームLBによって加工対象物210の被加工面210fが加工される。
レーザ光源1には、たとえば、エキシマレーザや、YAGレーザが用いられる。エキシマレーザには、レーザ媒質の異なる複数の種類が存在する。レーザ媒質としては、波長の長いほうからXeF(351nm)、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F2 (157nm)が存在する。エキシマレーザは、熱エネルギーを利用した加工を行うYAGレーザ(1.06μm)、CO2 レーザ(10.6μm)と大きく異なる点は、発振波長が紫外線の領域にあることである。エキシマレーザは、本質的にパルスでのみ発振し、パルス幅は数ns〜数十nsでありレーザビームの形は長方形である。
一般に、また、エキシマレーザは、アブレーションと呼ばれる、光化学的に直接結合を解離する熱的な影響を受けにくい加工を行うため、被加工面のエッジの仕上がりが非常にシャープとなる。これに対して、YAGレーザ、CO2 レーザでは加工部分が溶融後蒸発するため、熱の影響で周辺部が丸くなりきれいな端面とならない。
さらに、エキシマレーザは、初期のビームの断面が約10×10mmの寸法を有し、このレーザビームを後述するビーム整形器により長面積化、大面積化することにより比較的広い面積を一括して加工できる。したがって、大面積の領域を同時に加工するのにエキシマレーザは適している。
【0042】
ビーム整形器205は、ミラー202および203によって反射されたレーザ光源201からのレーザビームLBを拡大整形し、ミラー204に向けて出力する。
【0043】
マスク206は、ビーム整形器205で整形されミラー204で反射されたレーザビームLBを通過させる所定パターンを有している。このマスク206は、たとえば、金属材料で形成されたマスク、透明なガラス材料や透明な樹脂で形成されたマスク、誘電体材料で形成されたマスク等が用いられる。
【0044】
縮小投影レンズ207は、マスク206のパターンを通過したレーザビームLBを所定倍率で縮小してステージ208上の加工対象物210の被加工面210fに投影する。
【0045】
ステージ208は、縮小投影レンズ207から投影されるレーザビームLBが加工対象物210の被加工面210fに合焦するように縮小投影レンズ207に対して配置されている。このステージ208は、加工対象物を固定する、たとえば、真空チャック等の固定手段を備えており、レーザビームLBを加工対象物210の被加工面210f上の所望の位置に照射し、かつ、レーザビームLBを被加工面210f上で合焦させることが可能なように、x、y,z方向およびθ方向に移動位置決めが可能となっている。
【0046】
上記構成のレーザ加工装置200では、加工対象物210の被加工面210fにマスク206で規定される所定パターンのレーザビームLBが照射され、被加工面210fがアブレーション加工される。
【0047】
次に、上記レーザ加工装置200を用いた反射用画素電極10および透過用画素電極12のパターニングについて説明する。
図5は、駆動基板1の透過部3において、基板40上に積層されたバリア膜42、ゲート絶縁膜46、層間絶縁膜48,52、拡散板54および平坦化層56にエッチングによって穴Hを形成したのち、平坦化層56上に導電性反射膜11を形成した状態を示している。
導電性反射膜11は、たとえば、Al,Ag等の金属材料をスパッタリングすることによって形成される。
【0048】
次いで、図5に示す状態の駆動基板1をレーザ加工装置200のステージ208に設置し、さらに、反射用画素電極10を形成するのに必要なマスク206をレーザ加工装置200にセットする。
【0049】
レーザ加工装置200によって、所定パターンのレーザビームLBを導電性反射膜11に導電性反射膜11の除去に必要なエネルギー密度で照射すると、導電性反射膜11が選択的に除去され、図6に示すように、開口10wをもつ反射用画素電極10が形成される。なお、図示しないが、このレーザ加工により隣接する反射用画素電極10間のギャップも同時に加工される。
【0050】
次いで、図6に示した反射用画素電極10が形成された状態の駆動基板をレーザ加工装置200から搬出し、図7に示すように、反射用画素電極10を覆うように、導電性透過膜13を形成する。
ここで、導電性透過膜13の形成材料には、レーザ加工装置200において選択的に除去するのに必要なレーザビームLBのエネルギー密度が上記の導電性反射膜11の形成材料よりも小さいものを用いる。
さらに、導電性透過膜13の形成材料には、線膨張係数が導電性反射膜11よりも小さい材料を用いる。
具体的には、たとえば、導電性反射膜11の形成材料にAlを用いた場合には、導電性透過膜13には、たとえば、ITOを用いる。Alの線膨張係数は約2.37×10-5/Kであり、ITOの線膨張係数は約5×10-6/Kであり、AlのほうがITOよりも約5倍大きい。
【0051】
導電性透過膜13を反射用画素電極10を覆うように形成すると、図7に示すように、導電性透過膜13は反射用画素電極10の開口10wを覆い、開口10w内において基板40の表面に接した状態となる。また、図示しないが、隣接する反射用画素電極10のギャップ間にも導電性透過膜13は形成される。
【0052】
次いで、図7に示した状態の駆動基板をレーザ加工装置200のステージ208に設置し、透過用画素電極12をパターニングするのに必要なマスク206をセットする。
【0053】
上記の状態において、レーザ加工装置200によって、図8に示すように、所定パターンのレーザビームLBを導電性透過膜13に当該導電性透過膜13の除去に必要なエネルギー密度で照射する。なお、上述したように、このレーザビームLBのエネルギー密度は、導電性反射膜11を除去するのに必要なエネルギー密度よりも小さい。
【0054】
このとき、所定パターンのレーザビームLBがITOからなる導電性透過膜13に照射されると、導電性透過膜13およびAlからなる反射用画素電極10のレーザビームLBの照射領域の温度が上昇し、導電性透過膜13および反射用画素電極10に熱膨張が発生する。
導電性透過膜13の形成材料であるITOは、線膨張係数が反射用画素電極10の形成材料であるAlよりも小さいので、導電性透過膜13と反射用画素電極10との間には熱膨張差が発生する。このため、導電性透過膜13と反射用画素電極10との界面に歪みが生じ、上層にある線膨張係数が小さい導電性透過膜13のみが選択的に除去される。
【0055】
さらに、導電性透過膜13に、導電性反射膜11の加工に必要なエネルギー密度よりも小さいエネルギー密度のレーザビームLBを照射しているので、除去される導電性透過膜13の下層にある反射用画素電極10までレーザビームLBの照射により除去されることがない。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、導電性透過膜13をレーザビームLBにより加工して透過用画素電極12を形成した際に、下層の反射用画素電極10まで除去されることがないため、反射用画素電極10および透過用画素電極12の双方のパターニングをレーザ加工により行うことが可能となる。この結果、反射用画素電極10および透過用画素電極12の形成にフォトリソグラフィーが不要となり、工程数の大幅な削減が可能となる。
また、本実施形態に係る液晶表示装置は、反射用画素電極10上に透過用画素電極12が形成される構造を有するため、反射用画素電極10および透過用画素電極12のレーザ加工によるパターニングが可能になる。
さらに、本実施形態に係る液晶表示装置は、透過用画素電極12が反射用画素電極10の開口10wおよびその周縁部のみを覆っているため、透過用画素電極12が反射用画素電極10の光の反射を妨げることがなく、高輝度の画面が得られる。
【0057】
本発明は上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、反射用画素電極10および透過用画素電極12のパターニングをレーザ加工によって行ったが、反射用画素電極10および透過用画素電極12の一方のパターニングにのみレーザ加工を使用し、他方にフォトリソグラフィーを用いても電極形成に必要な工程数の削減は可能である。
また、上述した実施形態に係る液晶表示装置のTFT素子30は、いわゆるボトムゲート構造であったが、トップゲート構造のTFT素子を備える液晶表示装置の製造にも本発明は適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、反射/透過型の液晶表示装置における2つの画素電極をフォトリソグラフィー工程によらずドライプロセスにより形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における駆動基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のTFT素子30の周辺の断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の駆動基板の透過部3の周辺の断面構造を示す断面図である。
【図4】反射用画素電極10および透過用画素電極12のパターニングに用いるレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。
【図5】電極形成工程を説明するための図であって、平坦化層56上に導電性反射膜11を形成した状態を示す断面図である。
【図6】電極形成工程を説明するための図であって、導電性反射膜11をレーザ加工によりパターニングする状態を示す断面図である。
【図7】電極形成工程を説明するための図であって、反射用画素電極10上に導電性透過膜13を形成した状態を示す断面図である。
【図8】電極形成工程を説明するための図であって、導電性透過膜13をレーザ加工によりパターニングする状態を示す断面図である。
【図9】反射/透過型の液晶表示装置の駆動基板の構造の一例を示す平面図である。
【図10】液晶表示装置のTFT素子104の断面構造を示す断面図であって、図9におけるA−A線方向の断面図である。
【図11】液晶表示装置の透過部Wの周辺の構造を示す断面図であって、図9におけるB−B線方向の断面図である。
【符号の説明】
1…駆動基板、2…画素電極部、5…信号線、6…ゲート線、7…ゲート電極、8…ポリシリコン層、10…反射用画素電極、12…透過用画素電極、30…TFT素子、40…基板、42…バリア膜、46…ゲート絶縁膜、48,52…層間絶縁膜、54…拡散板、56…平坦化層、60…液晶、62…対向電極、64…カラーフィルタ、66,70…位相差板、68,72…偏光板、74…面状光源。
Claims (3)
- 透明な基板上に、所定形状にパターニングされた光を透過する透過用画素電極と光を通過させる開口を備えて光を反射する反射用画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、
光を透過する基板上に導電性反射膜を形成する工程と、
前記導電性反射膜を所定形状にパターニングし、光を通過させる開口を備える反射用画素電極を形成する工程と、
前記反射用画素電極を被覆するように前記基板上にレーザ光を用いた加工によって選択的に除去するのに必要なレーザ光のエネルギー密度が前記導電性反射膜よりも小さく、かつ線膨張係数が前記導電性反射膜よりも小さく、エネルギー密度の設定により前記導電性反射膜に対して選択的に除去可能な材料からなる導電性透過膜を形成する工程と、
前記導電性反射膜を選択的に除去するのに必要なエネルギー密度よりも小さく、前記導電性透過膜を選択的に除去可能なエネルギー密度のレーザ光を前記導電性透過膜に照射して前記導電性透過膜と前記導電性反射膜との界面に歪みを生じさせ、前記導電性透過膜を前記導電性反射膜に対して選択的に除去して所定形状にパターニングし、少なくとも前記開口を覆う透過用画素電極を形成する工程と
を有する液晶表示装置の製造方法。 - 前記反射用画素電極を形成する工程において、前記導電性反射膜をレーザ光を用いた加工により所定形状にパターニングする
請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。 - 前記透過用画素電極を形成する工程は、前記導電性透過膜の前記反射用画素電極の開口および当該開口の周縁部を覆う領域以外を選択的に除去する
請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。
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