JP4271041B2 - 空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離 - Google Patents

空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離 Download PDF

Info

Publication number
JP4271041B2
JP4271041B2 JP2003586801A JP2003586801A JP4271041B2 JP 4271041 B2 JP4271041 B2 JP 4271041B2 JP 2003586801 A JP2003586801 A JP 2003586801A JP 2003586801 A JP2003586801 A JP 2003586801A JP 4271041 B2 JP4271041 B2 JP 4271041B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
matrix
spatial
signal
separation
order
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003586801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005523475A (ja
Inventor
エフ ディッシュマン,ジョン
ジー マーティン,パトリック
レイモンド ビードル,エドワード
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harris Corp
Original Assignee
Harris Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harris Corp filed Critical Harris Corp
Publication of JP2005523475A publication Critical patent/JP2005523475A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4271041B2 publication Critical patent/JP4271041B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/69Spread spectrum techniques
    • H04B1/707Spread spectrum techniques using direct sequence modulation
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01SRADIO DIRECTION-FINDING; RADIO NAVIGATION; DETERMINING DISTANCE OR VELOCITY BY USE OF RADIO WAVES; LOCATING OR PRESENCE-DETECTING BY USE OF THE REFLECTION OR RERADIATION OF RADIO WAVES; ANALOGOUS ARRANGEMENTS USING OTHER WAVES
    • G01S3/00Direction-finders for determining the direction from which infrasonic, sonic, ultrasonic, or electromagnetic waves, or particle emission, not having a directional significance, are being received
    • G01S3/02Direction-finders for determining the direction from which infrasonic, sonic, ultrasonic, or electromagnetic waves, or particle emission, not having a directional significance, are being received using radio waves
    • G01S3/74Multi-channel systems specially adapted for direction-finding, i.e. having a single antenna system capable of giving simultaneous indications of the directions of different signals
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F18/00Pattern recognition
    • G06F18/20Analysing
    • G06F18/21Design or setup of recognition systems or techniques; Extraction of features in feature space; Blind source separation
    • G06F18/213Feature extraction, e.g. by transforming the feature space; Summarisation; Mappings, e.g. subspace methods
    • G06F18/2134Feature extraction, e.g. by transforming the feature space; Summarisation; Mappings, e.g. subspace methods based on separation criteria, e.g. independent component analysis
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04KSECRET COMMUNICATION; JAMMING OF COMMUNICATION
    • H04K1/00Secret communication
    • H04K1/02Secret communication by adding a second signal to make the desired signal unintelligible
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F2218/00Aspects of pattern recognition specially adapted for signal processing
    • G06F2218/22Source localisation; Inverse modelling
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/69Spread spectrum techniques
    • H04B1/707Spread spectrum techniques using direct sequence modulation
    • H04B1/7097Interference-related aspects
    • H04B1/7103Interference-related aspects the interference being multiple access interference
    • H04B1/7105Joint detection techniques, e.g. linear detectors
    • H04B1/71052Joint detection techniques, e.g. linear detectors using decorrelation matrix

Description

発明の詳細な説明
本出願は、その内容のすべてが参照することによりここに含まれる、2002年4月22日に出願された米国仮特許出願第60/374,149号「空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離(Blind Source Separation Using A Spatial Fourth Order Cumulant Matrix Pencil)」に対する優先権を主張する。
本発明は、一般に、複数の音源信号から個々の音源信号を分離することに関し、より詳細には、ブラインド音源分離(blind source separation)に関する。
しばしばブラインド音源分離(BSS)と呼ばれる信号処理における古典的問題は、複数の音源信号の混合からなる合成信号から個々の音源信号を復元することに関する。よく知られた例として、パーティのある参加者が会場のあらゆる声の組み合わせから1つの声を分離することができる「カクテルパーティ」効果があげられる。この分離は、信号に関する限られた情報と信号源により実行されるため、「ブラインド」と呼ばれる。
ブラインド音源分離(BSS)は、特に、多数の周波数帯域がしばしば同一のスペクトルに共存する多数の電磁エミッタにより散在する携帯及びパーソナル無線通信技術に適用可能である。コチャネル(co−channel)エミッタの問題は、ブルートゥース(登録商標)などの低出力の免許不要な無線技術及び他のパーソナルエリアネットワークの進歩により、これからも悪化していくものと予想される。これらの進歩により、スペクトルモニタリングを行うための様々なセンサ及びアレー信号処理技術の利用がもたらされた。このような技術は、空間情報を利用することにより、同一チャネルの検出、分類及び識別のための分離を可能にする。さらに、低検出確率(LPD)または低傍受確率(LPI)に対し設計された多くの信号は、環境背景電磁放射や既知の同一チャネルエミッタを隠匿手段として利用しているかもしれない。このようなエミッタに対する必要とされる感度を有する単一のセンサ受信システムを構築することは、一般に高価なものとなる。このため、多くのアプリケーションは、BSSとセンサアレーを利用する。
BSS問題を解決するのにいくつかの手法が提案されてきた。これらの手法は、主として2つのグループに分類することができる。第1のグループは2次統計量に基づくものであり、第2のグループは、独立成分分析(ICA)や他の高次スペクトル推定及び空間フィルタリング技術に基づくものなどの高次統計量に基づくものである。
1つの2次ブラインド音源分離技術として、到来方向を推定するため、信号部分空間の回転不変性を利用するスペクトル推定方法がある。ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance)として知られるこの手法は、キャリブレートされた要素ペアを用いて、空間相関及び相互相関行列により構成される行列束を用いる。例えば、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、R.Roy、A.Paulraj及びT.Kailathによる「部分空間回転法による到来方向推定(Direction−of−Arrival Estimation by Subspace Rotation Methods)」(Proc.ICASSP86,pp.2495−2498)、R.Roy及びT.Kailathによる「ESPRIT−Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques」(IEEE Trans.on ASSP,Vol.37,No.7,Jul.1989,pp.984−995)などを参照せよ。しかしながら、ESPRITの欠点は、極めて低い信号対雑音比では、信号プラス雑音部分空間及び雑音部分空間を区別することができず、空間相関行列の雑音部分空間の変換を非実用的なものにしてしまうということである。これは、部分的には、雑音部分空間を空間相関行列の零部分空間に変換するための雑音分散の推定を要し、雑音が空間白色であるということを仮定するESPRITによる。
他の2次ブラインド音源分離技術として、Goddardのアルゴリズムとしても呼ばれるCMA(Constant Modulus Algorithm)として知られるものがある。CMAは、アダプティブな空間フィルタリング技術であり、出力信号に可能な限りユニティ(unity)に近接した包絡線を具備させる空間フィルタタップ重み係数群を決定することによる音源分離の実行に利用される。典型的には、すべての音源信号を逐次的に分離するため、CMAが実行される。CMAは、電話チャネル上のFSK、PSK及びFM変調信号などの定包絡線信号の符号間干渉を低減させ(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、D.N.Godardによる「2次元データ通信システムにおける自己回復等化及び搬送波追跡(Self−recovering Equalization and Carrier Tracking in Two−dimensional Data Communication Systems)」(IEEE Trans.Commun.,Vol.COMM−28,Nov.1980,pp.1867−1875)、マルチパスフェージングに対抗し、同一チャネル干渉信号を抑制するため、ブラインド等化を実行する(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、B.G.Ageeによる「ブラインドアダプティブ信号抽出に対する属性回復アプローチ(The Property Restoral Approach to Blind Adaptive Signal Extraction)」(カリフォルニア大デービス校電子工学コンピュータサイエンス学部博士論文,1989)を参照せよ)ブラインド等化技術としての利用に提案されてきた。しかしながら、CMA技術は、定包絡線を有する信号にのみ機能し、大部分の用途に対して実用的でない。実際、信号は送信側における自らのスペクトル占有を制限し、受信側における雑音帯域幅を制限するようフィルタリングされるため、真の定包絡線信号はほとんど存在しなくなってしまう。さらに、極めて低い信号対雑音比では、雑音が入力信号を凌駕し、空間フィルタの出力信号の包絡線に歪みを生じさせ、調整に用いられる誤り信号に大きな変動をもたらしてしまう。
さらなる他の2次ブラインド音源分離技術として、音源信号が周期定常的であるという仮定により、2次周期定常的統計量を用いた空間フィルタリング技術がある。この技術は、ブラインド等化において用いられるブラインドSISO(Single−Input Single−Output)チャネル識別技術として開発され(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、L.Tong,G.Xu及びT.Kailathらによる「2次統計量に基づくブラインド識別及び等化:時間領域アプローチ(Blind Identification and Equalization Based on Second−Order Statistics:A Time−Domain Approach)」(IEEE Trans.Information Theory,Vol.40,No.2,Mar.1994,pp.340−349)を参照せよ)、以降において周期定常的信号のブラインド分離を実行するのに構成されたものである(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、L.Castedo及びA.R.Figueiras−Vidalらによる「周期定常的信号特性に基づくアダプティブビーム形成技術(An Adaptive Beamforming Technique Based on Cyclostationary Signal Properties)」(IEEE Trans.Signal Processing,Vol.43,No.7,Jul.1995,pp.1637−1650)を参照せよ)。この周期定常的アプローチの1つの欠点は、複数の重ね合わせされた信号を分離するのに、異なる符号レート及び/または異なる搬送波周波数が必要されるということである。さらにもう1つの欠点として、ランダムな初期位相による残留搬送波オフセットにより、信号が定常状態になり、周期定常の仮定が無効になってしまうということがあげられる。さらに他の欠点として、当該アプローチは非線形または非デジタル変調を用いる音源の分離を不可能にするというものや、当該アプローチは雑音ベクトルが時間的及び空間的に白色であるということを仮定することなどがあげられる。
さらなる他の2次統計量に基づくブラインド音源分離技術として、SOBI(Second−Order Blind Identification)と呼ばれるものがあげられる。当該技術の説明として、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.Belouchrani,K.Abed−Meraim,J.F.Cardoso及びE.Moulinesらによる「2次統計量を利用したブラインド音源分離(Blind Source Separation Using Second−Order Statistics)」(IEEE Trans.Signal Processing,Vol.45,No.2,Feb.1997,pp.434−444)を参照せよ。当該技術は、音源信号の時間コヒーレンスを利用し、共分散行列群の同時対角化(joint diagonalization)に拠る。当該技術の欠点は、加法性雑音が時間的に白色であることを求め、ゼロラグ(zero lag)行列の固有値を使って、雑音分散を推定し、センサ出力ベクトルを空間的に無相関化(whiten)するということである。他の欠点は、低信号対雑音比において、雑音分散の推定は良くても困難なものであり、大抵の場合には不可能であるということである。さらなる他の欠点は、音源数が既知または推定されねばならないということである。さらに、他の欠点とし、空間的に相関する雑音に対し、SOBI技術が有効であるということがある。雑音分散の推定は、高信号対雑音比であっても極めて困難であり、当該技術を非実用的なものにしてしまう。
他の2次ブラインド音源分離技術として、空間共分散行列束の一般化固有分解に基づくものがある。当該技術は、ESPRITアルゴリズムに関するものであるが、空間共分散行列のペアの推定に時間及び/または極性ダイバーシチが利用されるため、(N−1)までの信号を分離するのに2Nセンサを必要としない。当該技術は、デュアル偏向アレーを使用し、行列束の生成に2つの直交偏波に関する空間共分散行列を推定する。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.Belouchrani,K.Abed−Meraim,J.F.Cardoso及びE.Moulinesらによる「2次統計量を利用したブラインド音源分離(Blind Source Separation Using Second−Order Statistics)」(IEEE Trans.Signal Processing,Vol.45,No.2,Feb.1997,pp.434−444)を参照せよ。以降において、これは行列束の生成にゼロタイムラグと非ゼロタイムラグにおける空間共分散行列の利用に発展する。当該技術の1つの欠点は、Nのセンサにより(N−1)までの音源を分離するという制限があるということである。これは部分的には、当該アプローチがESPRITと同様の雑音分散の推定を要し、雑音が空間的及び時間的に白色であるということを仮定することによる。
最後に、他の2次ブラインド音源分離技術として、空間共分散行列の推定において2つの非ゼロタイムラグを利用するものがある。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、C.Chang,Z.Ding,S.F.Yau及びF.H.Y.Chanらによる「白色雑音における非白色音源のブラインド分離に対する行列束アプローチ(A Matrix−Pencil Approach to Blind Separation of Non−White Sources in White Noise)」(IEEE Trans.Signal Processing,Vol.48,No.3,Mar.2000,pp.900−907)を参照せよ。雑音ベクトルが時間的に白色であるという仮定と結び付く非ゼロタイムタグは、雑音部分空間を取り除くため、雑音分散推定の必要性を解消し、これにより、NのセンサによりNまでの音源の分離を可能にする。しかしながら、当該2次行列束技術の欠点として、雑音ベクトルが時間的に白色であることが求められ、分離行列の推定が信号自己相関がその最大値にあるときのゼロタイムラグにおける空間共分散行列の1つによっては行われないということがあげられる。これらの欠点は、多くの実用例では、雑音帯域幅が雑音と信号の無相関回数をほぼ等しくする信号帯域幅のオーダに制限されるという事実により増幅される。
高次ブラインド音源分離技術は、2より大きな次数の統計量を用いるあらゆる方法を含むものである。これらには、独立成分分析(ICA)法、空間フィルタリング法、空間推定に基づく方法が含まれ、3以上の次数のモーメントあるいはキュムラントが利用可能である。
独立成分分析(ICA)法は、分離過程の出力の統計的独立を最大化する分離行列を求めるものである。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.K.Nandiによる「高次統計量を利用したブラインド推定(Blind Estimation Using Higher−Order Statistics)」(Kluwer Academic,Dordecht,The Netherlands:1999)、A.Hyvarinenによる「独立成分分析に関するサーベイ(Survey on Independent Component Analysis)」(Neural Computing Surveys,Vol.2,No.1,1999,pp.94−128)及びJ.F.Cardosoによる「ブラインド信号分離:統計的原理(Blind Signal Separation:Statistical Principles)」(Proc.of the IEEE,Vオl。9、No.10,Oct.1998,pp.2009−2025)を参照せよ。様々なICAが知られており、統計的独立を測定するのに用いられる目的/コントラスト(contrast)関数により主として区別される。ICAベースのブラインド音源分離アルゴリズムの例として、ニューラルネットワークの利用により非線形相関の相殺を介し分離を実現しようとするJutten−Heraultアルゴリズム(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、C.Jutten及びJ.Heraultらによる「音源のブラインド分離,パートI:神経模倣的構成(Blind Separation of Sources,Part I:An Adaptive Algorithm Based on Neuromimetic Architectures)」(Signal Processing,Vol.24,1991,pp.1−10)、高次固有値分解あるいはHOEVD法(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、P.Comonによる「独立成分分析,新たな概念か?(Independent Component Analysis,A New Concept?)」(Signal Processing,Vol.36,No.3,Apr.1994,pp.287−314)を参照せよ)、4次キュムラントテンソルの固有構造を利用するJADE(Joint Approximate Diagonalization of Eigen matrices)アルゴリズム(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、J.F.Cardoso及びA.Souloumiacらによる「非ガウス信号に対するブラインドビーム形成(Blind Beamforming for Non−Gaussian Signals)」(IEEE Proceedings F,Vol.140,No.6,Dec.1993,pp.362−370)を参照せよ)、出力エントロピーを最大化する分離行列を求める情報最大化またはインフォマックス(infomax)手法(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.J.Bell及びT.J.Sejnowskiらによる「ブラインド音源分離及びブラインドデコンボリューションに対する情報最大化アプローチ(An Information−Maximization Approach to Blind Source Separation and Blind Deconvolution)」(Neural Computing,Vol.7,1995,pp.1129−1159)を参照せよ)、センサ出力データでの変換が推定される混合行列での同様の変換を生成するよう混合行列の推定が選択されるエクイバリアンス(equivariance)アダプティブ音源分離またはEASIアルゴリズム(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、J.F.Cardoso及びB.Hvam Laheldらによる「エクイバリアンスアダプティブ音源分離(Equivariance Adaptive Source Separation)」(IEEE Trans.On Signal Processing,Vol.44,No.12,Dec.1996,pp.3017−3030)を参照せよ)があげられる。これらICA技術は、(1)プリホワイトニングステップが必要である、(2)当該技術は用途に対してパラメータ調整が必要である、及び(3)ICAベース技術は収束時間が遅くなる傾向がある、の欠点がある。
KMA(Kurtosis Maximization Algorithm)として知られる他の高次ブラインド音源分離技術は、分離手段として尖度(kurtosis)を利用する(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、Z.Dingによる「自動ビーム形成のための新しいアルゴリズム(A New Algorithm for Automatic Beamforming)」(Proc.25th Asilomar Conf.Signals,Syst.,Comput.,Vol.2,1991,pp.689−693)、及びZ.Ding及びT.Nguyenらによる「ブラインド信号分離及びアンテナビーム形成のための尖度最大化アルゴリズムの定常点(Stationary Points of Kurtosis Maximization Algorithm for Blind Signal Separation and Antenna Beamforming)」(IEEE Trans.Signal Processing,Vol.48,No.6,Jun.2000,pp.1587−1596)を参照せよ)。KMAは、非決定性収束時間を有するアダプティブ空間フィルタリング技術である。KMAの1つの欠点は、音源信号を同時に分離できないということである。KMAは、最大尖度を有する信号から始まって、音源が逐次的に分離されることを求める。このため、信号数に関する知識は当該技術によっては与えられない。KMAの他の欠点は、雑音が空間的に白色であることが要求され、複数の信号によるその収束は雑音のない場合においてのみ保証される。
最後に、他の高次BSS技術として、ESPRITアルゴリズムの高次のものがあげられる。この名前が含意するように、高次ESPRITは、空間相関または共分散行列を空間4次キュムラント行列と置き換える。様々なタイプの高次ESPRIT技術の説明のため、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasらによる「高次統計量によるESPRITアルゴリズム(The ESPRIT Algorithm with Higher−Order Statistics)」(Proc.Workshop on Higher−Order Spectral Analysis,Vail,CO.,Jun.1989,pp.163−168)、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク(Higher−Order Spectra Analysis:A Non−Linear Signal Processing Framework)」(PTRPrentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)、及びM.C.Dogan及びJ.M.Mendelらによる「アレー処理に対するキュムラントの応用−パートI:開口拡張及びアレーキャリブレーション(Applications of Cumulants to ArrayProcessing−Part I:Aperture Extension and Array Calibration)」(IEEE Trans.Siganl Processing,Vol.43,No.5,May 1995,pp.1200−1216)を参照せよ。これら高次ESPRIT技術はいくつかの欠点を有する。これら高次ESPRIT技術の一部はN個のペアのセンサのキャリブレーションを必要とするが、雑音分散をもはや推定する必要がないため、Nまでの音源の分離が可能である。他の高次ESPRIT技術は、センサのペアが同一のマニホールドを有することを保証するため(標準的ESPRITと同様)、アレーをキャリブレーションすることが要求される。これら技術は、センサペアのマニホールドが互いに離れるに従い、パフォーマンスの大きな劣化をもたらす。
上記ブラインド音源分離技術のそれぞれは、上記欠点を有する。さらに、上記ブラインド音源分離技術の何れもが、信号対雑音プラス干渉比が低い状況では、満足に動作しない。従って、より向上したブラインド音源分離技術が所望される。
本発明の一実施例では、複数の音源から与えられ、複数の素子からなるアレーにより受信される複数の信号を分離する方法は、前記複数の素子による前記複数の信号の受信間の時間差の関数としての分離行列と、空間4次キュムラント行列束とを生成するステップを有する。本方法はまた、前記分離行列と前記複数の信号の行列表現を乗算するステップを有する。
本発明の他の実施例では、複数の音源により与えられる複数の信号を分離するシステムは、前記複数の信号の受信及び提供を行う受信機を有する。本システムはまた、前記受信した信号の受信、分離行列の生成、及び前記分離行列と前記受信した信号の行列表示の乗算を行う信号プロセッサを有する。前記分離行列は、前記受信機による前記複数の信号の受信間の時間差の関数及び空間4次キュムラント行列束の関数である。
[詳細な説明]
本発明によるブラインド音源分離(BSS)を実行する技術は、信号部分空間のスペクトル推定に関連してキュムラントを利用することにより、狭帯域の仮定の下での低い信号対雑音比での統計的に独立な複数の信号のブラインド分離を実行する。本発明によるBSS技術は、2つの類似した空間4次キュムラント行列上で定義される行列束の一般化固有分析を活用したものである。ここで開示されるBSS技術は、空間及び/または時間相関したガウス雑音における複数の信号を分離することが可能な、低信号対雑音比において線形混合した未知の統計的に独立した定常的狭帯域信号をブラインド分離する行列束の一般化固有分析による高次統計量方法、具体的には4次キュムラントを利用したものである。本発明によるBSS技術は、例えば、音源数がセンサ数に等しい場合における低信号対雑音比において、ブラインド分離を実行する2次技術が見出されていない状況において、複数の信号をブラインド分離する方法を提供する。
本発明によるBSS技術を説明するため、一様でないゲイン及び/または方向性を有するセンサによるブラインド音源分離に適した空間4次キュムラント行列の定義と、時間情報を利用した空間4次キュムラント行列束の定義が与えられる。また、ここでの説明は、BSS技術のパフォーマンスの尺度として分離出力効率(SPE)の概念を利用し、行列束の間の広い意味での等価性の概念を行列代数の分野に適用する。
概観すると、ここで説明されるBSS技術は、信号部分空間のスペクトル推定に関連してキュムラントを利用することにより、低信号対雑音比での空間及び/または時間相関した雑音の存在下におけるブラインド音源分離を行う。キュムラントに基づく分離アルゴリズムを導く前に、狭帯域モデルが構成され、すべての仮定が説明され、4つのパフォーマンス尺度が定義され、空間キュムラント行列からの空間混合行列情報の抽出を可能にする関連するキュムラントの性質が与えられる。その後、新規な空間キュムラント行列の定義が構成され、混合行列に関する空間情報の抽出にどのような数学的手法が有効であるか判断するため、当該行列に関連する行列の性質が導かれる。さらに、空間4次キュムラント行列に対する他の2つの定義が述べられ、関連する性質が導かれる。さらに、2つの類似した空間4次キュムラント行列上で定義される行列束の一般化固有分析の定義、性質及び利用が検討され、音源分離問題の解法へのそれらの適用可能性が調べられる。行列束を利用した信号部分空間技術に基づくブラインド音源分離を実行するための処理が説明される。当該処理において、行列束間における広い意味での等価の概念が構成され、その後、2つの類似した空間4次キュムラント行列上で定義される行列束の一般化固有値が、タイムラグ(0,0,0)での各音源の4次キュムラントのタイムラグ(τ,τ,τ)での4次キュムラントに対する比率に等しいということを示すのに利用される。これにより、正規化4次自己キュムラント(auto−cumulant)関数が導入される。本発明によるBSS技術の理解にさらに資するため、ここで使用される記号が以下に示される。
Figure 0004271041
Figure 0004271041
Figure 0004271041
Figure 0004271041
図1は、本発明の一実施例による空間4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離を行うシステム100の機能ブロック図である。システム100は、受信機11と信号プロセッサ12から構成される。受信機11は、複数の音源から供給される複数の信号を示す信号s(t)を受信し、信号x(t)を信号プロセッサ12に提供する。受信機11は、信号s(t)を受信するよう構成される任意の受信機であってよい。例えば、信号s(t)は、音響信号、光信号、地震信号、電磁信号あるいは上記の組み合わせであってもよく、受信機11は、各自のタイプの信号を受信するよう構成されてもよい。一実施例では、受信機11は、複数の素子を有するアレーとして構成される。信号s(t)は、受信され、適切に処理され(例えば、時間遅延及び多重化など)、信号x(t)の形で信号プロセッサ14に与えられる。
信号プロセッサ12は、汎用コンピュータ、ラップトップコンピュータ、特定用途向けコンピュータ、ハードウェアにより実現されるプロセッサ、あるいは上記の組み合わせなどの信号x(t)を処理するよう構成された任意の適切なプロセッサであってもよい。信号x(t)は、光信号、電磁信号、デジタル信号、アナログ信号、あるいは上記の組み合わせなどの任意の適切なフォーマットであってもよい。以下でより詳細に説明されるように、信号プロセッサ12は、行列束推定部13、非零有限固有値決定部14、固有値数決定部15、重複度決定部16、線形独立固有ベクトル計算部17、正規化係数計算部18、分離ベクトル生成部19、分離行列生成部20及び任意的な分離パワー効率計算部21から構成される。行列束推定部13は、受信機11の素子への信号s(t)の到来時間差の関数として、空間4次キュムラント行列束を推定するよう構成される。非零有限固有値決定部14は、空間4次キュムラント行列束に対する非零有限固有値を決定するよう構成される。固有値数決定部15は、相異なる固有値の個数を決定するよう構成される。重複度決定部16は、相異なる有限の固有値のそれぞれの重複度を決定するよう構成される。線形独立固有ベクトル計算部17は、相異なる有限の固有値のそれぞれに対して、線形独立な固有ベクトルを計算するよう構成される。正規化係数計算部18は、重複度が1である各固有値に対して、正規化係数を計算し、当該正規化係数の関数として各自の分離ベクトルと、重複度が1である固有値に対応する固有ベクトルを生成するよう構成される。分離ベクトル生成部19は、繰り返される固有値のそれぞれに対して、当該固有値に対応する固有ベクトルの関数として分離ベクトルを生成するよう構成される。分離行列生成部20は、分離ベクトルの関数として分離行列を生成するよう構成される。任意的な分離パワー効率計算部21は、式ζ≡S/P(ただし、ζは複数の音源の第j音源に対する分離パワー効率を示し、Sは第j音源から分離された信号のパワーを示し、Pは第j音源からの信号の正規化されたパワーを示す。)に従って、分離過程の効率性を計算するよう構成される。
図2は、本発明の一実施例による、信号源24、アレー素子26、及びアレー信号処理及びBSS処理を実行するプロセッサ22を示す。アレー信号処理は、伝搬波動場(wavefield)をサンプリングする相異なる空間位置においてセンサアレーにより生成される、例えば、電磁、地震、音響、光、機械、熱、あるいは上記の組み合わせなどの信号群の処理に関する信号処理内で特化したものである。図2に示されるように、アレーは、各位置zにおける波動場を示す信号x(t)を生成するセンサ群26による位置
外1
Figure 0004271041
(図2には位置zのみが示される)における第j音源24により生成される第j波動場
外2
Figure 0004271041
をサンプリングする。信号x(t)は、プロセッサ22による処理が可能な任意の適切なタイプの信号であってよい。適切なタイプの信号x(t)の例として、電気信号、音響信号、光信号、機械信号、熱信号、あるいは上記の組み合わせがあげられる。第iセンサ26により供給される信号x(t)は、各センサ位置におけるすべての音源24からの波動場の合計からなり、それぞれは信号の
外3
Figure 0004271041
到来方向におけるセンサの反応と加法性雑音項n(t)とを加えたものにより重み付けされる。ここで詳細に説明されるように、プロセッサ22は、本発明によるブラインド音源分離(BSS)技術を介し、音源信号の個々の信号対干渉プラス雑音比を向上させるため、音源信号の特性、音源とアレー素子との間のチャネル、音源位置あるいはアレー位置を把握することなく、異なる空間位置での音源信号の干渉を抑えることにより信号x(t)を処理する。
本発明によるブラインド音源分離技術は、音源信号及び雑音源についてなされる基礎となる仮定を定義することにより説明される。本発明によるBSS技術で利用される狭帯域モデルもたらす異なるMIMO(Multiple Input Multiple Output)アレーチャネルモデルが説明される。
ブラインド音源分離(BSS)は、オリジナル信号の線形的混合であり、センサ群により生成される未知の音源信号群の向上及び特徴付けを要するアレー信号処理の多くの領域に適用可能である。例えば、これらには、信号知能、スペクトルモニタリング、ジャミング抑制並びに干渉拒絶、位置決定及び認識などが含まれる。典型的には、混合変換、音源信号特性及びセンサアレーマニホールドは知られていない。このため、ブラインド音源分離は、MIMOブラインドチャネル推定問題としてみなされてもよい。
図3は、相異なる放射パターンを有する5つの未知の音源s,s,s,s,sと、相異なる受信パターンを有する5つのセンサx,x,x,x,xとを示すMIMOブラインドチャネル推定シナリオを示す。音源s,s,s,s,sにより、音響エネルギー、電磁エネルギー、光エネルギー、機械エネルギー、熱エネルギー、あるいは上記の組み合わせが与えられ、センサx,x,x,x,xによりこれらが受信される。図3に示されるように、相異なる放射パターンを有する5つの未知音源s,s,s,s,sにより、未知のアレーマニホールドを有する5つのセンサx,x,x,x,xのアレーに衝突する波動場群が生成されている。各音源s,s,s,s,sは、各自の音源信号を与える。本発明によるBSS分離技術は、到来方向または地形の関数として、信号特性またはアレーの感度に関する知識を有することなく、相異なる空間位置において音源信号の伝搬波動場の総体(合成)をサンプリングするセンサアレー(例えば、x,x,x,x,xなど)から音源信号群を同時に抽出する。
相対的に小さい空間的広がりを有するセンサアレーからの出力群が与えられると、狭帯域信号の分離に適したブラインド音源分離技術を確立し、その性能を評価するためには、当該アレーに対するMIMO狭帯域チャネルモデルを構成し、課される仮定を説明し、数学的に問題を説明し、当該技術のいくつかの評価尺度が構成される。
最も一般的な畳み込みMIMOチャネルモデルから始まり、ここで利用される狭帯域モデルが構築できるように問題を簡単化するため、信号帯域幅とアレーサイズに制限を課すことにより、狭帯域MIMOチャネルモデルが構成される。その後、信号及び雑音に関する仮定が与えられ、本発明によるブラインド音源分離技術が数学的及びグラフィカルに説明される。その後、分離パワー効率(SPE)の新規な概念を含む性能評価に利用される2つの性能尺度が説明される。
ブラインド音源分離問題に適用可能な4つのMIMOチャネルモデルがここで説明される。これらのモデルは、一般的チャネルモデル、非分散ダイレクトパスオンリーチャネルモデル(non−dispersive direct path only channel model)、GFIR(General Finite Impulse Response)チャネルモデル及び狭帯域チャネルモデルである。その後、本発明による狭帯域チャネルモデルを利用したBSS技術が説明される。
一般的チャネルモデル
最も一般的なケースでは、各素子の出力は、各々が音源出力とセンサ入力として参照されるセンサプラス加法性ガウス雑音の出力との間のチャネルのインパルス応答により畳み込まれるMの音源信号の和としてモデル化される。すなわち、
Figure 0004271041
となる。ただし、「*」は畳み込みを表す。第j音源の出力と第iセンサの出力との間のチャネルのインパルス応答vij(t)は、時間可変的であり、マルチパス伝搬、分散、センサによる時間可変的応答、音源の動き、センサの動きなどの現象を説明する。これは、MIMOチャネルモデルとして行列形式により記述することができる。
Figure 0004271041
ただし、[]は転置を表す。
非分散ダイレクトパスオンリーチャネルモデル
マルチパス、動きあるいは分散がない場合、チャネルインパルス応答は遅延と減衰によりモデル化することができる。すなわち、
Figure 0004271041
である。ただし、αijは第j音源の出力から第iセンサの出力までのカスケードされた減数/ゲインであり、τijは第j音源の出力から第iセンサの出力までの伝搬時間(遅延)である。このモデルにおいて、デルタ関数のシフト性質が利用されるとき、第iセンサの出力(雑音を無視する)は、
Figure 0004271041
となる。
この時点で、「差分」遅延は、第j音源の出力から第kセンサの出力と第lセンサの出力までの伝搬時間の差として定義される。
Figure 0004271041
この差分時間遅延は、与えられた信号に対する2つのセンサ間の到来時間差を定義するものであり、センサアレーの空間的広がりの尺度である。さらに、第j音源からこれらセンサまでの最小伝搬遅延が、最大差分伝搬遅延、すなわち、
Figure 0004271041
よりかなり大きい場合、状況を容易にするため、伝搬時間τijは「基準」遅延と「相対」遅延の2つの成分に分解される。ここで、「基準」遅延は、音源出力からセンサ出力までの平均的伝搬時間として定義され、
外4
Figure 0004271041
として表され、「相対」遅延は、基準時間遅延と実際の伝搬時間との間の伝搬時間の差として定義され、
外5
Figure 0004271041
として定義される。このとき、第j音源から第iセンサまでの伝搬時間は、
Figure 0004271041
として表すことができる。
図4は、センサと音源との間の時間遅延をグラフィカルに示す。図4に示されるような伝搬時間の分解は、x,x,x,x,xと記された5つのセンサを照射する波動場群と、第1音源sと第3センサxに対する相対時間遅延
外6
Figure 0004271041
を生成している、関連付けされた基準遅延
外7
Figure 0004271041
を有するs,s,s,s,sと記された5つの音源を有する。上記定義を用いることにより、差分時間遅延は以下ように変形することができる。
Figure 0004271041
狭帯域及び一般的有限インパルス応答モデルの定式化において、差分時間遅延と相対時間遅延の両方が利用される。
GFIRチャネルモデル
第j音源の出力と第iセンサの出力との間のチャネルvij(t)をFIRフィルタまたはタップドディレイライン(tapped delay line)としてモデル化することにより、一般的モデルをしばしば簡単化する。一般的モデルに関して、GFIRモデルは、時間可変的であってもよく、マルチパス伝搬、分散、センサ時間可変的応答、システム挙動などの現象を説明することができる。vij(t)のモデル化に利用されるFIRフィルタは、チャネルのマルチパス遅延スプレッドと共に、音源信号を遅延させたものを定義することにより説明される、入力されたときの「基準」遅延
外8
Figure 0004271041
に対する相対時間遅延
外9
Figure 0004271041
を説明できるだけの十分な長さを有する必要がある。すなわち、第j音源の出力とセンサアレーとの間のチャネルのモデル化に利用されるFIRフィルタ群への入力は、
Figure 0004271041
である。
FIRフィルタまたはタップドディレイラインモデルは、このようなチャネルのコヒーレンス帯域幅が音源信号の等価雑音帯域幅より小さい場合、すなわち、
Figure 0004271041
である場合、フェージングチャネルに対し有効である。ただし、コヒーレンス帯域幅はマルチパス遅延スプレッドの逆数として定義される。この状況において、少なくとも
Figure 0004271041
の遅延により分離されるチャネルのマルチパス成分は分解能であり、フェージング現象は「周波数選択的(frequency selective)」であると呼ばれる。これにより、チャネルインパルス応答は、
Figure 0004271041
として表すことが可能であり、ここで、第l成分の時間可変複素数チャネルゲインは、
Figure 0004271041
として表すことができる。当該モデルの長さLijは、
Figure 0004271041
である分解能マルチパス成分の個数である。ただし、
外10
Figure 0004271041
は、シーリング(ceiling)関数を表す。GFIRチャネルモデルに対し、FIRフィルタの長さは、マルチパス遅延スプレッドだけでなく相対時間遅延
外11
Figure 0004271041
もまた収容する必要がある。すなわち、式(11)は、
Figure 0004271041
となる。実際、すべてのFIRフィルタの長さは、
Figure 0004271041
として定義される共通の値Lに設定される。
コヒーレンス帯域幅が音源信号の等価雑音帯域幅より大きい場合、すなわち、
Figure 0004271041
である場合、フェージングは「周波数非選択的(frequency non−selective)」と呼ばれ、フェージングモデルは1つの時間可変的複素ウェートに還元される。すなわち、Lij=1であり、これにより、
Figure 0004271041
は、時間可変的狭帯域モデルと同様となり始める。しかしながら、アレー信号処理に保持すべき単一の複素ウェートへの上記簡単化のため、音源信号は中心周波数よりかなり小さい等価雑音帯域幅を有することが必要とされ、センサアレーは相対的に小さな空間的広がりを有する必要がある。すなわち、
Figure 0004271041
狭帯域チャネルモデル
信号のスペクトルサポートの尺度は、BWNEq[]として表される等価雑音帯域幅である。時間と周波数の双対原理により、逆等価雑音帯域幅を信号の時間サポートの尺度として利用することができる。言い換えると、信号の無相関(decorrelation)時間の標識として利用することができる。信号等価雑音帯域幅が中心周波数よりかなり小さい場合、すなわち、
Figure 0004271041
(ただし、ωは第j音源の中心周波数である)である場合、伝搬遅延あるいは相対伝搬遅延を位相シフトとしてモデル化することができる。この状況において、分散やマルチパスが存在しないとき、チャネルモデルは狭帯域モデルと呼ばれる。
しかしながら、中心位相に関して位相シフトがmodulo2πであるため、帯域幅が中心周波数よりかなり小さいものでなければならないという要件は、時間遅延が位相シフトとしてモデル化され、波形を保持するためには不十分である。すなわち、無視できる符号間干渉(ISI)がデジタル通信信号において誘導される。従って、狭帯域モデルが成り立つためには、センサアレーはまた、相対的に小さな空間的広がりを有する必要がある。すなわち、
Figure 0004271041
である。
Figure 0004271041
が成り立つため、
Figure 0004271041
を要求することは、三角不等式を介し式(18)が成り立つことを保証するための十分条件である。式(17)及び(19)に定義される狭帯域条件が成り立つ場合、相対時間遅延は、信号の無相関時間に比較して無視できるものであり、従って、
Figure 0004271041
は、当該波形が保持される(位相シフト内で)ということを主張する。これにより、相対時間遅延は、位相シフト
Figure 0004271041
(ただし、
Figure 0004271041
であり、複素ウェートvijは、
Figure 0004271041
として定義される)としてモデル化することができる。この複素ウェートは、第j信号に関するその他のN−1のウェートと共に、第jステアリングベクトルを構成する。
Figure 0004271041
このとき、第jセンサの出力は、
Figure 0004271041
となる。一般的な第jモデルに対して行われたように、これは、
Figure 0004271041
としてセンサ出力のベクトルに対して行列形式に変形することができる。
エネルギーの保存により、アレーを照射する第j音源からのトータルの平均信号パワーは、Pを超えることはない。信号対雑音比がセンサの入力において取得されるため、トータルでは、アレイゲインは正規化されているとみなすことができる。このため、狭帯域モデルでは、混合行列Vの第j列の内積は、
Figure 0004271041
となる。ただし、[]はエルミート転置を表す。
信号及び雑音仮定
以下の仮定は、音源信号と雑音ベクトルに関してなされるものである。この仮定は、4次キュムラントの利用を可能にし、分離技術が利用する十分な自由度を保証するのになされる。仮定A1及びA2は、音源信号の4次キュムラントの存在を保証する。零平均(zero−mean)仮定は、キュムラントの利用に必要なものではなく、実用的な電磁信号が零平均を有するため仮定されている。仮定A3及びA4は、BSS問題に対するキュムラントの利用に特に有用である。これらの仮定がない場合、雑音源は信号源として扱われる必要が生じ、これにより、アレーにおける追加的自由度が必要となる。雑音源が時間的または空間的に白色であると仮定されていないことに注意すべきである。これは、他の2次技術でなされる仮定と対照的である。音源信号数に関する最後の仮定は、行列束アプローチを利用した分離を行うのに十分な自由度が存在することを保証することに資するものである。
第1仮定(A1)
アレーを照射するM個の音源信号は、統計的に独立な非ガウス定常ランダム過程である。仮定A1は、数学的には以下のように表される。
Figure 0004271041
音源信号は、空間4次キュムラント行列の推定期間上において、4次まで定常的であると仮定される。
第2仮定(A2)
アレーを照射するM個の音源信号は、パワーPと非零4次モーメントを有する零平均を有する。仮定A2は数学的には以下のように表される。
Figure 0004271041
第3仮定(A3)
音源信号(過程)群と雑音過程群は統計的に独立である。仮定A3は数学的には以下のように表される。
Figure 0004271041
第4仮定(A4)
雑音過程は定常的零平均ガウスランダム過程である。それらは、空間的または時間的に独立であると仮定されていない。仮定A3は数学的に以下のように表される。
Figure 0004271041
第5仮定(A5)
音源数は、センサの個数以下である。すなわち、M≦Nである。
図5は、本発明の一実施例による相対的に小さな空間的広がりを有し、未知の任意のアレー配置を備えたセンサアレーからの出力群が与えられると、M個の統計的に独立な狭帯域音源信号のブラインド音源分離(BSS)を実行する装置の機能ブロック図である。ここで説明されるBSS技術は、混合行列Vを対角化する分離行列Wを決定する。これには、混合行列Vを対角化する複素成分wijを有するN×Mの分離行列W
Figure 0004271041
の検出を伴う。すなわち、行列の積WVが成分ρを有するM×Mの対角「損失」行列となるような分離行列Wが所望される。
Figure 0004271041
分離行列Wがセンサ出力のベクトルに適用されるとき、この結果は
Figure 0004271041
となり、音源信号が分離される。数学的完全さを備えるため、ベクトルr(t),x(t),n(t)と行列V,Wは以下の空間上からとられる。
Figure 0004271041
Figure 0004271041
Figure 0004271041
損失行列が単位行列である場合、分離過程はアレーを照射する信号エネルギーのすべてをキャプチャし、これにより、分離された出力信号が最大到達可能信号対干渉プラス雑音比に到達したことが保証される。
狭帯域モデルにおいて以前に構成されたように、各センサの出力は、独立な音源信号プラス雑音の重み付けされた線形結合である。
Figure 0004271041
分離行列をセンサ出力ベクトルに適用することにより、音源が分離される。
Figure 0004271041
分離過程出力ベクトルの第j成分y(t)は第j音源信号r(t)の推定であり、分離行列の第j列とセンサ出力のベクトルとの内積である。
Figure 0004271041
式(41)を式(43)に代入すると、所望の信号、残留干渉及び出力雑音に対応する相異なる3つの項が明示される
Figure 0004271041
が得られる。通信及び信号知能システムの性能評価に特に関係のあるものは、各項の2次モーメントである。第1項の2次モーメントは、所望の信号出力パワーであり、
Figure 0004271041
として定義される。仮定A1とA2を適用すると、
Figure 0004271041
となり、これにより、式(45)は、
Figure 0004271041
となり、これはベクトル表記を用いることにより、
Figure 0004271041
として表すことができる。
式(44)の第2項の2次モーメントは、残留干渉パワーであり、
Figure 0004271041
により与えられる。しかしながら、仮定A1によって、当該信号は統計的に独立であり、このため、
Figure 0004271041
となる。さらに、仮定A1とA2の定常性を適用することにより、
Figure 0004271041
となる。式(50)を用いて、式(51)を式(49)に代入することにより、残留干渉パワーは、
Figure 0004271041
に還元され、これはベクトル表記を用いることにより、
Figure 0004271041
として表すことができる。
式(44)の第3項の2次モーメントは、出力雑音パワーであり、
Figure 0004271041
により与えられ、これはベクトル表記を用いることにより、
Figure 0004271041
として表すことができる。定義と仮定A4により、雑音ベクトルの外積の期待値は、雑音共分散行列
Figure 0004271041
となり、これにより、出力雑音パワーは
Figure 0004271041
となる。
ブラインド音源分離技術の効果を評価するため、当該分離の品質を測る尺度が利用される。前述のように、ここで説明されるブラインド音源分離は、混合行列を対角化する分離行列Wを決定する。ブラインド音源分離アルゴリズムの品質を評価する2つの尺度がここで構成される。BSS技術の性能は、残留干渉とセンサアレーを照射する利用可能なすべての信号パワーの「キャプチャ処理」での当該アルゴリズムの効率性の観点から、評価されても良い。
分離品質の1つの尺度は、分離行列適用後における信号出力において検出される残留干渉量である。具体的には、すべての音源上で平均化された所望の音源の推定における所望の信号に対する残留干渉パワーと共に、同一チャネル干渉の抑制に関して分離技術を評価するためのピークあるいは最大残留干渉対信号比の利用が提起される。この尺度は、分離行列が混合行列を完全には対角化できない場合、結果として得られた行列の非対角項が信号出力における残留干渉を許容するため、重要なものとなる。
大部分の通信用途において、干渉量の共通な尺度は、所望の信号パワーのすべての干渉信号の合成パワーに対する比である信号対干渉比である。しかしながら、ブラインド音源分離の目的はすべての干渉を完全に除去することにあるため、当該比は極めて大きなものとなりうる。この結果、ブラインド音源分離アルゴリズムあるいは技術が特定の所望の信号パワーに対して抑制することができない干渉の残留パワーを定量化する干渉対信号比(ISR)が提起される。アルゴリズムが向上するに従い、当該比もまたより小さくなる。
所望の信号のISRは、
Figure 0004271041
として定義される。式(53)と(48)を式(58)に代入すると、特定の信号に対するISRは
Figure 0004271041
となる。この値はまた拒絶レートとして知られている。
ブラインド音源分離技術の全体的な分離性能は、すべてのj上における個々の音源信号ISRのζの平均値を参照することにより測定されてもよい。これにより、残留干渉に関するブラインド音源分離アルゴリズムの性能評価に用いられる主要な尺度は、
Figure 0004271041
により与えられる平均ISRとなるであろう。
残留干渉に関する補助的尺度は、
Figure 0004271041
として定義されるピークまたは最大ISRとなるであろう。この補助的尺度は、すべての音源信号がISRmaxより悪くないISRにより効果的に分離される。
分離性能の第2の尺度は、利用可能な信号パワーの利用性に関して音源分離行列の効率性を決定するのに利用される。出力信号対干渉プラス雑音比が最大化される場合、BSS技術はより効率的であるとみなされ、これにより、出力信号対干渉プラス雑音比を最大化しないBSS技術より、より小さな信号のキャプチャ可能性に関してより大きな感度を有することとなる。
センサアレーを照射する音源信号パワーのすべてを利用することにおけるブラインド音源分離アルゴリズムの効率性は、分離性能の他の重要な尺度である。この尺度は、特定音源からの利用可能な信号パワーのうちのどの程度が分離過程において浪費または損失されるか決定するものである。この損失により、信号対雑音プラス干渉比は、そうでない場合における理論的に達成可能なものより低いものとなり、これにより、システム感度の損失が生じる。所望の音源信号の利用可能な正規化パワーに対する特定の分離過程出力に対する分離パワー効率(SPE)は、
Figure 0004271041
として定義される。ただし、ζは複数の音源の第j音源に対する分離パワー効率を示し、Sは第j音源からの分離された信号のパワーを示し、Pは第j音源からの信号の正規化パワーを示す。式(48)を分離過程出力パワーに代入することにより、特定のSPE
Figure 0004271041
が第j音源に対するステアリングベクトルと分離行列の第j列にのみ依存するということが明らかにされる。ISRに関して、
Figure 0004271041
及び
Figure 0004271041
としてそれぞれ定義される平均SPEと最小SPEは、分離パワー効率の評価に利用されるであろう。
ここで、照射音源信号パワーPの定義により、SPEが達成可能な最大値が1であるということに着目せよ。これにより、最大となる達成可能な平均値もまた1となる。1のSPEを達成する分離アルゴリズムは、対応する分離過程出力における音源信号パワーを最大化させるよう保証される。最小のSPEは、すべての音源が最小分離パワー効率により良好に分離されることを保証する尺度を提供する。
本発明の一実施例によるBSS技術は、キュムラント、具体的には、空間4次キュムラント行列を利用する。ブラインド音源分離の実行におけるキュムラントの利用をより良く理解するため、キュムラントの低ごと関連する性質が以下で与えられる。
次数Nのランダム変数の集合{s,s,・・・,s}の半不変量(semi−invariant)として知られる結合キュムラント(joint cumulant)は、第2特性関数の原点の周りのテイラー級数展開のN次係数として定義される。例えば、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク(Higher−Order Spectra Analysis:A Non−Linear Signal Processing Framework)」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)、及びM.Rosenblattによる「定常的シーケンス及びランダムフィールド(Stationary Sequences and Random Fields)」(Birkhauser,Boston,MA:1985)を参照せよ。第2特性関数は、特性関数の自然対数として定義される。
Figure 0004271041
ただし、特性関数は
Figure 0004271041
として定義される。このとき、結合N次キュムラントは、
Figure 0004271041
となる。
モーメントと異なりキュムラントは、データから直接的には推定することができない。例えば、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、A.K.Nandiによる「高次統計量を利用したブラインド推定(Blind Estimation Using Higher−Order Statistics)」(Kluwer,Academic,Dordecht,The Netherlands:1999)を参照せよ。しかしながら、キュムラントはモーメントとの関係を通じて検出することが可能であり、このため、まずは必要なモーメントを推定することにより間接的に推定することが可能である。キュムラントとモーメントとの関係は、M.Rosenblattによる「定常的シーケンス及びランダムフィールド」(Birkhauser,Boston,MA:1985)において、ランダム変数の集合{s,s,・・・,s}のN次結合キュムラントに対して、
Figure 0004271041
として説明される。ただし、整数の集合{1,2,・・・,N}を各自が
Figure 0004271041
となるgl,p,nとして表されるp個のグループに分割する方法は、N(p)通り存在する。
一例として、N=4の場合、分割は整数の集合{1,2,3,4}上で定義され、以下の表1.0に与えられるものとなる。
Figure 0004271041
このとき、モーメントの関数としての4次結合キュムラントは以下のようになる。
Figure 0004271041
ここで、式(71)は、N次結合キュムラントの計算には、次数Nまでのすべてのモーメントを知っている必要があるということに注意せよ。
キュムラントは、空間的及び/または時間的に相関したガウス雑音における、特に低信号対雑音比での未知の統計的に独立な信号の線形結合のブラインド分離での利用に効果的ないくつかの性質を有する。
ブラインド音源分離での利用においてキュムラントを有用にする1つの性質は、ランダム変数の集合{s,s,・・・,s}が統計的に独立な2以上のグループに分割可能である場合、それらのN次結合キュムラントがゼロとなるということである。従って、統計的に独立な音源のブラインド分離におけるキュムラントオペレータは、すべてのクロス音源信号キュムラント項を抑制するであろう。一般に、これは、高次モーメントに対しては成り立つものではない。BSSでの利用においてキュムラントを有用にする他の性質は、
Figure 0004271041
が成り立つということである。一般に、信号項の集合{s,s,・・・,s}と雑音項の集合{n,n,・・・,n}は互いに統計的に独立であるため、それらのベクトル和{s+n,s+n,・・・,s+n}の項のN次結合キュムラントは、それらの個々の結合キュムラントの和となる。従って、雑音項と信号項とのクロスキュムラントはゼロとなるであろう。この性質は、空間4次キュムラント行列が、一方は信号に対応し、他方は雑音ベクトルに対応する2つの行列の和に分解することができる。
BSSでの利用においてキュムラントを有用にする他の性質は、ガウスランダム変数の次数N>2の結合キュムラントがゼロとなるというものである。雑音ベクトルが多変量ガウスランダム過程であるため、
Figure 0004271041
それの3次以上の結合キュムラントはゼロとなるであろう。すなわち、
Figure 0004271041
となる。この最後の性質は、雑音部分空間を持たない空間4次キュムラント行列をもたらし、当該行列の非零成分のみが音源信号と関連付けされる。これは、雑音ベクトルが空間的または時間的に相関している場合でさえ成り立つものである。
最後に、2より高い次数のキュムラントは、相関のような2次統計量の利用により失われる位相情報を保持する。例えば、自己相関は、最小位相信号と非最小位相信号との識別に必要な陣号を破壊してしまう。このため、2つの信号は、同一の2次統計量を有するが、異なる高次統計量を有するかもしれない。この性質は、同一の自己相関関数により信号を処理することに興味があり、音源信号のグループが異なる高次キュムラントを有するタイムラグ集合の検出のための追加的自由度を有する。この性質は、当該BSS技術の識別可能性の条件がすべての信号が一意的な正規化4次自己キュムラントを有することであるということのため、本発明のBSS技術にとって特に効果的なものである。ここで、対称的な分布に従う過程の奇次数のキュムラントはゼロとなるため、4次キュムラントが利用される。
本発明によるBSS技術において利用されるキュムラントに関する4つの性質が以下で説明される。これらキュムラントの性質についての証明は、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)、及びM.Rosenblattによる「定常的シーケンス及びランダムフィールド」(Birkhauser,Boston,MA:1985)において見つけることができるであろう。
第1キュムラント性質
ランダム変数の集合{a,a,・・・,a}のN次結合キュムラントは、
Figure 0004271041
である。ただし、{a,a,・・・,a}は一定である。
第2キュムラント性質
ランダム変数の集合{s,s,・・・,s}が統計的に独立な2以上のグループに分割可能である場合、これらのN次結合キュムラントはゼロとなる。
第3キュムラント性質
ランダム変数の集合{s,s,・・・,s}及び{n,n,・・・,n}が統計的に独立である場合、すなわち、
Figure 0004271041
である場合、各成分ごとの和のN次結合キュムラントは、
Figure 0004271041
となる。
第4キュムラント性質
ランダム変数の集合{n,n,・・・,n}が結合ガウスに従う場合、次数N>2の結合キュムラントは等しくゼロとなる。すなわち、
Figure 0004271041
である場合、
Figure 0004271041
となる。
本発明によるBSS技術は、4次空間キュムラント行列を利用する。以下において、空間4次キュムラント行列の3つの定義及び関連する性質が与えられる。
空間4次キュムラント行列は、理論的に雑音部分空間を持たないため、雑音が相関していたとしても、低信号対雑音比において、空間的及び時間的に相関した雑音の存在の下、分離行列を推定する基礎として利用される。これは、行列束の生成のため除去されねばならない雑音部分空間の推定のための自由度及び/または補助的センサデータの利用の必要性を解消する。以下で説明されるように、雑音部分空間の欠如は、高次キュムラント、すなわち、2より高い次数のキュムラントを用いた直接的な結果であり、本発明によるブラインド音源分離技術に特に効果的である。
これら3つの空間4次キュムラント行列の定義とそれらに関連する性質は、センサが実際には全方位的なものでなく、同一のマニホールド有するものでないという事実、及び異なるタイムラグの集合が行列束の生成のため空間4次キュムラント行列のペアを推定するのに必要とされるという事実を考慮して、ここで与えられる。上記の考慮は、空間4次キュムラント行列の以前の処理とは明らかに区別される。例えば、H.H.Ciang及びC.L.Nikiasらによる「高次統計量によるESPRITアルゴリズム(The ESPRIT Algorithm with Higher−Order Statistics)」(Proc.Workshop on Higher−Order Spectral Analysis,Vail,CO.,Jun.1989,pp.163−168)、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)、M.C.Dogan及びJ.M.Mendelらによる「アレー処理に対するキュムラントの応用−パートI:開口拡張及びアレーキャリブレーション」(IEEE Trans.Siganl Processing,Vol.43,No.5,May 1995,pp.1200−1216)、及びN.Yuen及びB.Friedlanderらによる「ESPRIT、高次ESPRIT及びバーチャルESPRITアルゴリズムの漸近的性能分析(Asymptotic Performance Analysis of ESPRIT,Higher−order ESPRIT,and Virtual ESPRIT Algorithms)」(IEEE Trans.Siganl Processing,Vol.44,No.10,Oct.1996,pp.2537−2550)を参照せよ。ランク、零空間などの空間4次キュムラント行列の性質、及びそれと混合行列との関連は、本発明による4次キュムラント及び行列束を利用した信号部分空間ブラインド分離技術の構築に有益である。
本発明によるBSS技術における利用性の理解に役立つように、空間相関行列及びその性質が概観される。センサアレー出力の空間相関行列は、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、D.H.Johnson及びD.E.Dudgeonらによる「アレー信号処理:概念及び技術(Array Signal Processing:Concepts and Techniques)」(PTR Prentice−Hall,Englewood Cliffs,NJ:1993)において、
Figure 0004271041
として定義される。ベクトルx(t)に対して、式(25)を式(72)に代入し、仮定A1及びA3を適用することにより、空間相関行列は、
Figure 0004271041
となり、当該行列は成分
Figure 0004271041
を有する。ただし、添え字rcは、当該成分が第r行第c列にあるということを示している。信号過程と雑音過程は仮定A2及びA4より零平均であると仮定されているため、式(72)で定義される空間相関行列は空間共分散行列に等しくなり、これにより、当該項は交換可能に利用される。
一般に、大部分の2次技術は、ゼロの遅延ラグ{τ=0}においてのみ空間相関または共分散行列を利用する。このような場合、空間相関行列は、エルミート非負定値となる。例えば、「アレー信号処理:概念及び技術」(PTR Prentice−Hall,Englewood Cliffs,NJ:1993)、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)、及びA.Papoulisによる「確率、ランダム変数及び確率過程(Probability,Random Variables,and Stochastic Processes)」(WCB/McGraw−Hill,Boston,MA:1991)を参照せよ。さらに、センサ出力が線形独立である場合、すなわち、
Figure 0004271041
である場合、空間相関行列は正定値となる。空間相関行列がτ=0に対して非負定値となる結果として、その行列式は非負の実数となり、センサ出力が線形独立である場合かつその場合に限って厳密に正となるであろう。しかしながら、τ≠0である場合、空間共分散行列は不定値かつエルミートではない。
空間4次キュムラント行列の第1定義
与えられる空間4次キュムラント行列の第1の定義は、1のノルムを有するステアリングベクトルを利用したものである。これは、数学的には式(26)により記述される。図示されるように、これは、センサが同一のマニホールドを有する全方位的なものでないとき、空間4次キュムラント行列をエルミート形式に因数分解するのに利用される。第1空間4次キュムラント行列は、タイムラグ(τ,τ,τ)において、
Figure 0004271041
として定義され、第1空間4次キュムラント行列と呼ばれる。
式(75)で定義される第1空間4次キュムラント行列は、一般に、
Figure 0004271041
(ただし、{}は共役複素数を示す)により与えられる第r行第c列の成分を有するN×Nの複素行列である。式(24)を式(76)に代入することにより、成分rcは、
Figure 0004271041
となる。従って、キュムラントの第3性質と仮定A3により、式(77)は、
Figure 0004271041
となる。ただし、項は並び替えされている。しかしながら、仮定A4とキュムラントの第4性質により、
Figure 0004271041
であり、これにより、式(78)は、
Figure 0004271041
となる。このとき、仮定A1の音源信号の統計的独立と、キュムラントの第3性質を繰り返し適用することにより、式(80)は、
Figure 0004271041
に還元される。
キュムラントの第1性質を利用することにより、複素ウェートは、
Figure 0004271041
を与えるため、式(81)のキュムラント演算子の前に置かれるようにしてもよい。和を並び替えることにより、
Figure 0004271041
が生成される。しかしながら、ステアリングベクトルが1のノルムを有するため、すなわち、
Figure 0004271041
であるため、式(83)は、
Figure 0004271041
に還元される。
式(84)から、第1空間4次キュムラント行列は、空間相関行列の場合と同様に、エルミート形式に分解することができる。
Figure 0004271041
ただし、行列C (τ,τ,τ)は成分
Figure 0004271041
を有するM×Mの対角行列である。式(85)を展開すると、第1空間4次キュムラント行列は、個々の音源信号の4次キュムラントによりスケーリングされたステアリングベクトルの外積の和
Figure 0004271041
として記述することができるということがわかる。ただし、行列C (τ,τ,τ)は、各自が複数の音源の1つから複数の素子の1つへの時間遅延を示す第1タイムラグτと、第2タイムラグτと、第3タイムラグτを有する空間4次キュムラント行列であり、Mは、複数の音源におけるある個数の音源を示し、
外12
Figure 0004271041
は、遅延ラグτ,τ及びτを有する複数の音源の1つからの第j音源信号の4次キュムラントであり、
外13
Figure 0004271041
は、第jステアリングベクトルの外積を示す。式(87)から、第1空間4次キュムラント行列がステアリングベクトルの集合により張られる信号部分空間に存在することは明らかである。ここで、空間4次キュムラント行列は、空間相関行列において与えられる雑音部分空間を持たないということに注意せよ。空間共分散行列で雑音部分空間であったものが、現時点では、空間4次キュムラント行列の零空間となっている。この性質は、与えられたその他の空間4次キュムラント行列に対して真であることが示されるであろう。
空間4次キュムラント行列の第1性質
第1空間4次キュムラント行列C (τ,τ,τ)は、いくつかの性質を備え、当該性質の理解が分離行列Wの推定方法の構築を容易にするであろう。第1空間4次キュムラント行列を確立することは、2つのタイムラグにおける第1空間4次キュムラント行列のペアにより構成される行列束の一般化固有分解の利用への第1ステップである。ランクや混合行列の部分空間との関係などは、信号部分空間分離アルゴリズムの構成に効果的である。各センサが、衝突する各音源信号の波動場に対して同一の指向性を有する全方位的なものであるとは仮定されていないという事実が注目される。
性質1
第1空間4次キュムラント行列がエルミート行列であるということは、τ=τ=τかつτ=0、すなわち、C (τ,τ,0)であることと同値である。
性質2
第1空間4次キュムラント行列のトレースは、対角行列C (τ,τ,τ)のトレース
Figure 0004271041
である信号4次キュムラントの和に等しい。
性質3
C(C (τ,τ,τ))として示される第1空間4次キュムラント行列の列空間は、ステアリングベクトルの集合
Figure 0004271041
により張られる。さらに、混合行列がフルの列ランクを有する場合、ステアリングベクトルの集合は線形独立であり、第1空間4次キュムラント行列の列空間の基底を形成する。
性質4
行列Vがフルの列ランクを有する場合、第1空間4次キュムラント行列のランクは、混合行列のランクに等しくなる。すなわち、ρ(V)=Mとしたとき、
Figure 0004271041
となる。ただし、ρ()はランクを示す。
性質5
第1空間4次キュムラント行列の「右」零空間と混合行列の「左」零空間は、混合行列がフルの列ランクを有する場合、等しくなる。
Figure 0004271041
空間4次キュムラント行列の第2定義
空間4次キュムラント行列の第2定義は、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasらによる「高次統計量によるESPRITアルゴリズム」(Proc.Workshop on Higher−Order Spectral Analysis,Vail,CO.,Jun.1989,pp.163−168)、C.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTRPrentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)に記載された定義から修正されたものである。これらの定義が利用され、タイムラグ(τ,τ,τ)が第2空間4次キュムラント行列
Figure 0004271041
を取得するよう含まれる。
第2空間4次キュムラント行列は、第r行第c列の成分
Figure 0004271041
を有するN×Nの行列である。x(t)に対して、式(24)を式(93)に代入すると、成分rcは、
Figure 0004271041
となる。第1空間4次キュムラント行列の簡単化に続いて、キュムラントの第3性質と仮定A3が式(94)を還元するのに適用される。
Figure 0004271041
しかしながら、仮定A4とキュムラントの性質4により、
Figure 0004271041
が成り立ち、式(95)は、
Figure 0004271041
に還元される。その後、仮定A1の音源信号の統計的独立と、キュムラントの第3性質を繰り返し適用することにより、式(97)は、
Figure 0004271041
に還元される。
キュムラントの第1性質を利用することにより、複素ウェートは、
Figure 0004271041
を与えるため、式(98)のキュムラント演算子の前に置かれるようにしてもよい。しかしながら、
Figure 0004271041
であり、式(99)は、
Figure 0004271041
に還元される。
式(100)から、第2空間4次キュムラント行列は、一般に、第1空間4次キュムラント行列と空間共分散行列の場合と同様に、エルミート形式に分解することができない。しかしながら、
Figure 0004271041
が定義されている場合、それは双一次形式(bilinear form)
Figure 0004271041
に分解することができる。ただし、N×Mの「修正された」混合行列
外14
Figure 0004271041
の第r行第c列の成分は、
Figure 0004271041
である。式(102)を展開すると、第2空間4次キュムラント行列は、「修正された」ステアリングベクトル
外15
Figure 0004271041
と、各音源信号の4次キュムラントによりスケーリングされたステアリングベクトルとの外積の和として、
Figure 0004271041
記述することができる。ここで、「修正された」ステアリングベクトル
外16
Figure 0004271041
は、行列
外17
Figure 0004271041
の第j列である。
第2空間4次キュムラント行列に関する問題は、それがランク不足であるかどうかということである。第1空間4次キュムラント行列のランクの導出に従って、第2空間4次キュムラント行列のランクは、「修正された」混合行列
外18
Figure 0004271041
と混合行列の両方がフルの列ランクを有する場合、混合行列のランクに等しいものとなるであろう。混合行列Vは、アレーの構成により保証することが可能であるため、フルの列ランクを有すると仮定することができる。しかしながら、
外19
Figure 0004271041
のランクは設計により保証することは不可能であり、現時点では、混合行列がフルの列ランクを有することを保証することは、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有することを保証するのに十分であるかどうかは不確かである。「修正された」混合行列
外20
Figure 0004271041
はアダマール積
Figure 0004271041
であるが、混合行列のランクは必ずしも保持されない。例えば、J.R.Schottによる「統計のための行列分析(Matrix Analysis for Statistics)」(John Wiley and Sons,New York,NY:1997)を参照せよ。これに関して、アダマール積は混合行列のランクを保持し、これにより、フルの列ランクを有する混合行列は「修正された」混合行列がフルの列ランクを有することを保証するのに十分であると仮定される。「修正された」混合行列がフルの列ランクを持たないということを意味することは、以降のセクションにおいて明らかとなるであろう。
「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、式(104)を考察することにより、第2空間4次キュムラント行列が、「修正された」ステアリングベクトルの集合により張られる信号部分空間に存在するということが明らかである。再び、空間共分散行列の雑音部分空間は、第2部分4次キュムラント行列の零空間となる。ここで、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasらによる「高次統計量によるESPRITアルゴリズム」(Proc.Workshop on Higher−Order Spectral Analysis,Vail,CO.,Jun.1989,pp.163−168)、及びC.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)において、素子/センサは、αij =1となるよう単位ゲインによる全方位的なものであり、第2空間4次キュムラント行列と第1空間4次キュムラント行列は等しいものとなり、「修正された」混合行列はフルの列ランクを有するものとなるであろう。しかしながら、これは、実際のセンサが全方位的なものではないため、非現実的な仮定である。
空間4次キュムラント行列の第2性質
「修正された」混合行列
外21
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有する場合、第2空間4次キュムラント行列は第1空間4次キュムラント行列と同様の性質の多くを有するであろう。以降のセクションは、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する仮定により、行列束信号部分空間分離技術の構築に関連する主要な性質を導出する。
性質1
第2空間4次キュムラントは、一般に、エルミートではない。それがエルミートとなるのは、τ=τ=τかつτ=0、すなわち、C4’ (τ,τ,0)であり、かつセンサが与えられた信号に対して同一のゲインを有する場合、かつその場合に限る。
性質2
第2空間4次キュムラント行列のトレースは、4乗のセンサ量の和によってスケーリングされた信号4次キュムラントの和に等しい。
Figure 0004271041
性質3
C(C4’ (τ,τ,τ))として表される第2空間4次キュムラント行列の列空間は、「修正された」ステアリングベクトルにより張られる。
Figure 0004271041
さらに、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、「修正された」ステアリングベクトルの集合は線形独立であり、第2空間4次キュムラント行列の列空間の基底を形成する。
性質4
第2空間4次キュムラント行列のランクは、Vと
外22
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有する場合、混合行列のランクに等しくなる。すなわち、
Figure 0004271041
である場合、
Figure 0004271041
となる。ただし、ρ()はランクを示す。
性質5
第2空間4次キュムラント行列の「右」零空間と混合行列の「左」零空間は、混合行列と「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、等しくなる。
Figure 0004271041
第3空間4次キュムラント行列
空間4次キュムラント行列の第3及び最後の定義は、タイムラグ(τ,τ,τ)を含み、以下の式をもたらす。
Figure 0004271041
第3空間4次キュムラント行列は、再び、第r行第c列の成分
Figure 0004271041
を有するN×Nの行列である。x(t)に対して、式(81)を式(111)に代入すると、成分rcは、
Figure 0004271041
となる。第2空間4次キュムラント行列の簡単化に続き、キュムラントの第3性質と仮定A3が式(112)を還元するのに適用される。
Figure 0004271041
しかしながら、仮定A4とキュムラントの第4性質により、
Figure 0004271041
となり、これにより、式(95)は、
Figure 0004271041
に還元される。このとき、仮定A1の音源信号の統計的独立と、キュムラントの第3性質を繰り返し適用することにより、式(114)は、
Figure 0004271041
に還元される。
キュムラントの第1性質を利用して、その後、複素ウェートが、
Figure 0004271041
を与えるため、キュムラント演算子の前に置かれるようにしてもよい。しかしながら、
Figure 0004271041
であり、式(116)は、
Figure 0004271041
に還元される。
式(117)から、第3空間4次キュムラント行列は、一般に、第1空間4次キュムラント行列と空間共分散行列の場合と同様に、エルミート形式に分解することは不可能である。しかしながら、「修正された」ステアリングベクトルの成分が、再び、
Figure 0004271041
として定義されると、それは双一次形式に分解することができる。
Figure 0004271041
ただし、N×Mの「修正された」混合行列
外23
Figure 0004271041
の第r行第c列の成分は、
Figure 0004271041
である。式(119)を展開すると、第3空間4次キュムラント行列は、「修正された」ステアリングベクトル
外24
Figure 0004271041
の共役と各音源信号の4次キュムラントによりスケーリングされたステアリングベクトルとの外積の和
Figure 0004271041
として記述することができるということがわかる。
前述のように、フルの列ランクを有する混合行列Vは、「修正された」混合行列
外25
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有するということを保証するのに十分であるか証明されるであろう。しかしながら、アダマール積が混合行列のランクを保持し、従って、フルの列ランクを有する混合行列が、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有すると保証するのに十分であるということが仮定される。
「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、式(120)を考察することにより、第3空間4次キュムラント行列が共役の「修正された」ステアリングベクトルの集合により張られる信号部分空間に存在するということが明らかであろう。再び、第2空間4次キュムラント行列と同様に、第3空間4次キュムラント行列は、雑音部分空間を持たない。N.Yuen及びB.Friedlanderらによる「ESPRIT、高次ESPRIT及びバーチャルESPRITアルゴリズムの漸近的性能分析」(IEEE Trans.Siganl Processing,Vol.44,No.10,Oct.1996,pp.2537−2550)、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasらによる「高次統計量によるESPRITアルゴリズム」(Proc.Workshop on Higher−Order Spectral Analysis,Vail,CO.,Jun.1989,pp.163−168)、及びC.L.Nikias及びA.P.Petropuluらによる「高次スペクトル分析:非線形信号処理フレームワーク」(PTR Prentice−Hall,Upper Saddle River,NJ:1993)において、素子/センサは,αij =1となるよう単位ゲインによる全方位的になものであると仮定される。
第3空間4次キュムラント行列の性質
第2空間4次キュムラント行列と同様に、「修正された」混合行列
外26
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有する場合、第3空間4次キュムラント行列は、第1空間4次キュムラント行列と共通した多くの性質を有するであろう。行列束の構築と関連した性質と、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有するという仮定に関連した分離技術が以下で導出される。
性質1
第3空間4次キュムラント行列は、一般に、エルミートではない。それがエルミートとなるのは、τ=τ=τかつτ=0、すなわち、C4’’ (τ,0,τ)であり、かつすべてのセンサが与えられた信号に対して同値宇野ゲインを有する場合、かつその場合に限られる。
性質2
第3空間4次キュムラント行列のトレースは、センサ量の和により4乗にスケーリングされた信号の4次キュムラントの和に等しい。
Figure 0004271041
性質3
C(C4’’ (τ,τ,τ))として示される第3空間4次キュムラント行列の列空間は、共役の「修正された」ステアリングベクトルの集合により張られる。
Figure 0004271041
さらに、「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、共役の「修正された」ステアリングベクトルの集合は線形独立であり、第3空間4次キュムラント行列の列空間に対する基底を形成する。
性質4
第3空間4次キュムラント行列のランクは、行列Vと
外27
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有する場合、混合行列のランクに等しい。すなわち、
Figure 0004271041
である場合、
Figure 0004271041
となる。ただし、ρ()はランクを表す。
性質5
第3空間4次キュムラント行列の「右」零空間と混合行列の「左」零空間の共役は、混合行列と「修正された」混合行列がフルの列ランクを有する場合、等しくなる。
Figure 0004271041
与えられた空間4次キュムラント行列の3つの定義のすべてが、雑音部分空間を持たないという主要な属性を有する。この特徴により、雑音空間を推定するためアレーの自由度を利用する必要性、あるいは雑音部分空間が非ゼロタイムラグにおいてなくなるよう時間白色を仮定する必要性を回避することを可能にする。しかしながら、定義1、2及び3の間には2つの主要な相違点がある。
第1に、定義2及び3は、定義1に対して計算上の利点を有する。これは、式(76)を式(93)及び(111)と比較することにより確認することができる。ここでは、定義2及び3はNのキュムラントが推定される必要があるが、定義1はNのキュムラントの推定が必要とされる。第2に、混合行列がフルの列ランクを有する場合、第1空間4次キュムラント行列が信号数に等しいランクを有するということが厳密に証明されていないままであるが、混合行列がフルの列ランクを有する場合、第2及び第3空間4次キュムラント行列が信号数に等しいランクを有することはまだ証明されなかった。この第2の相違点は、アダマール積がランクを保持するという証明がまだわかっていないとい事実から生じるものである。従って、「修正された」混合行列の特別な場合では、第2の相違点は生じ、このため、第2及び第3空間4次キュムラント行列は、ブラインド音源分離を実行するのに必要とされる導き出された性質群を有するということが仮定される。しかしながら、この仮定が真でないと判明した場合、アレーのセンサが同一のマニホールドを持たなければ、第2あるいは第3空間4次キュムラント行列は、分離を実行するだけの十分な自由度を持たないかもしれない。
アレーのセンサのすべてが同一のマニホールドを有するとき、センサの反応量|νij|=αijは、各信号に対して一定となる。すなわち、
Figure 0004271041
式(26)から、
Figure 0004271041
となり、これにより、すべてのセンサが同一のマニホールドを有するとき、式(125)は、
Figure 0004271041
を取得するため、式(126)に代入され、これにより、
Figure 0004271041
となる。さらに、マニホールドが同一である場合、すべてのjに対して、
Figure 0004271041
となる。従って、第2空間4次キュムラント行列に対して、センサが同一のマニホールドを有するとき、式(129)を式(100)に代入して、双一次形式に分解することにより、
Figure 0004271041
が導かれ、これにより、第2空間4次キュムラント行列と第1空間4次キュムラント行列は、実数スケーリング係数の範囲内で等しくなる。第3空間4次キュムラント行列に対する同一のパスに続き、
Figure 0004271041
となることがわかり、これにより、センサが同一のマニホールドを有するとき、第3空間4次キュムラント行列は、実数スケーリング係数の範囲内において、第1空間4次キュムラント行列の共役に等しくなる。残念なことに、すべてのセンサが同一の空間反応を有するという仮定は、物理的に非現実的なものであり、ESPRITアルゴリズムとその高次の対応するものを破壊するものであるとわかるであろう。
最後に、N.Yuen及びB.Friedlanderらによる「ESPRIT、高次ESPRIT及びバーチャルESPRITアルゴリズムの漸近的性能分析」(IEEE Trans.Siganl Processing,Vol.44,No.10,Oct.1996,pp.2537−2550)では、定義2に対する定義3の利点は、有限長のデータが空間4次キュムラント行列の推定に利用されるとき、第3空間4次キュムラント行列は、第1の性質に述べられた条件の下、それのエルミート対称性を保持するということであると主張される。この性質は、以降の章で与えられる行列束アプローチに対して価値あるものであると知られておらず、従って、その有効性に対する評価がなされていない。
以下において、空間4次キュムラント行列束の定義と関連する性質が与えられる。空間4次キュムラント行列の標準的な固有分析の不定性が、証明することにより空間4次キュムラント行列束の利用を動機付けるのに説明される。特異束の処理及び広い意味での等価の新規な概念の構築を含む行列束の定義、性質及びスペクトル理論が与えられる。空間4次キュムラント行列束が定義され、その性質が空間4次キュムラント行列の3つすべての定義に対して導かれる。最後に、空間4次キュムラント行列束のスペクトル分析が、個々の音源信号をブラインド分離するための基礎として利用可能な一般化固有ベクトルの集合を提供することが示される。
ブラインド音源を実行するための分離行列の定式化は、各自が1つを除いたすべてのステアリングベクトルに一意的に直交するベクトルの集合を検出することを含む。おそらく正規化係数によりスケーリングされるこれらベクトルの集合は、混合行列Vを対角化する分離行列Wの列を形成する。ブラインド音源分離の概念は前述されたが、以下においては、空間4次キュムラントを利用して分離行列を求める技術の構築が与えられる。
ブラインド分離を実行する空間4次キュムラント行列部分空間に基づくスペクトル推定技術が求められる。行列部分空間に関して、スペクトル推定は、固有分析を伴い、項スペクトルと固有が交互に利用されるであろう。数学的には、固有値はまたしばしば「プロパー値(proper value)とも呼ばれる。例えば、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、P.R.Halmosによる「有限次元ベクトル空間(Finite−Dimensional Vector Spaces)」(Springer−Verlag,New York,NY:1987)を参照せよ。残念なことに、一般には、空間4次キュムラント行列の標準スペクトル分解は、混合行列を対角化する固有ベクトルの集合を直接的に与えるものではない。混合行列を対角化する空間4次キュムラント行列に対する固有ベクトルの集合は存在するが、しかしながら、信号部分空間全体は、この一意的な固有ベクトル集合を求めるために探索される必要があるであろう。このため、空間4次キュムラント行列の標準固有分解は、それを望ましくないものにする不定性を有する。標準固有分析の不定性は、セクション5.2において詳細に説明される。
標準固有分解の不定性は、空間4次キュムラント行列束の一般化固有分析の利用により克服することができる。従って、2つの空間4次キュムラント行列の空間4次キュムラント行列束は、異なる2つのタイムラグ(0,0,0)と(τ,τ,τ)を利用することにより定義される。
標準的固有分析の不定性
統計的に独立な音源信号の混合をブラインド分離する信号部分空間に基づくスペクトル推定方法の定式化は、第1空間4次キュムラント行列C (τ,τ,τ)の標準固有ベクトルを利用して、ブラインド音源分離を実行するときに存在する不定性をチェックすることにより開始される。一般に、第1空間4次キュムラント行列に対し与えられる結果は、第2及び第3空間4次キュムラント行列に直接的に適用可能であり、このため、第1空間4次キュムラント行列のみが提示されるであろう。しかしながら、第2及び第3空間4次キュムラント行列に対して存在する相違点または例外点は、適切に与えられるであろう。
第1空間4次キュムラント行列に対する標準固有ベクトルの問題は、
Figure 0004271041
として定義される。スカラーλは、式(132)の等号がゼロでない固有ベクトルeと関連する固有ベクトルに対して成り立つ場合に、第1空間4次キュムラント行列の固有値であると言われる。式(132)を書き換えると、第1空間4次キュムラント行列の固有ベクトルが、行列束の「右」零空間にあるということがわかる。すなわち、
Figure 0004271041
であり、これにより、
Figure 0004271041
となる。行列束
Figure 0004271041
は、λが固有値でないとき、行列C (τ,τ,τ)がランクMを有したとしても、ランクNの非特異行列となる。このため、固有値λは、固有値λの「幾何的重複度」と呼ばれ、
Figure 0004271041
により与えられる値ηgeomだけ、行列束{C (τ,τ,τ),I}のランクを減少させるであろう。
λが固有値となるのは、行列束のランクが減少する場合、かつその場合に限られるため、固有値は特性方程式の根を探索することにより求めることができる。すなわち、行列束の行列式をゼロにする値
Figure 0004271041
が固有値である。
式(137)の行列式は、積の和
Figure 0004271041
として定義される。ただし、集合{c,c,・・・,c}は最初のN個の正の整数のl番目の順列であり、この和はすべてのL=N!の順列上で行われ、スカラーδrcは単位行列Iの第r行第c列の成分を表す。式(138)の指数は、
Figure 0004271041
により集合{c,c,・・・,c}の関数として定義されるスカラーである。ただし、ξはcより小さいシーケンスcn+1,・・・,cの整数の個数である。式(84)を式(138)に代入すると、
Figure 0004271041
となるため、式(140)の行列式をゼロにするλのゼロでない各値が、各音源信号の4次キュムラントの線形結合であることが明らかとなるであろう。このため、各固有値が音源信号の4次キュムラントの線形結合であるため、当該固有ベクトルが関連するステアリングベクトルの線形結合となることを予想することは妥当である。実際、これは真であることを示すことができる。空間4次キュムラント行列に対し、式(87)を式(132)に代入することにより、式(132)は、
Figure 0004271041
となる。ベクトルの内積v eは、
Figure 0004271041
として定義されるスカラーに等しくなるであり、このとき、式(141)は、
Figure 0004271041
となる。
あるいは、ある固有ベクトルに対して式(141)の等号が成り立つ固有値は一意的に存在するため(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、D.A.Harvilleによる「統計学者の視点からの行列代数(Matrix Algebra from a Statistician‘s Perspective)」(Springer−Verlag,New York,NY:1999)を参照せよ)、固有ベクトルのエルミート転置と前から乗算させ、内積eeと除算させることにより、各固有値が音源信号の4次キュムラントの線形結合となることを示すことができる。これにより、各固有値は、明らかに個々の音源信号の4次キュムラントの線形結合である
Figure 0004271041
として表現することができる。
混合行列Vがフルの列ランクを有すると仮定される場合、第1空間4次キュムラント行列は、第4の性質によりランクMを有することになるであろう。従って、空間4次キュムラント行列のトレースに等しい和を有するM個のゼロでない固有値が存在することになる。すなわち、第1空間4次キュムラント行列の第2の性質を利用して、
Figure 0004271041
となる。式(144)を式(145)に代入することにより、
Figure 0004271041
を得ることができる。
明らかに、
第1空間4次キュムラント行列の標準固有分析には、不定性が存在する。同様の不定詞は第2及び第3の定義にも存在し、これは、一般に、単位行列が第1空間4次キュムラント行列と「類似」でないという事実から生じるものである。従って、新たな行列Bと呼ぶことができる空間4次キュムラント行列と「類似」の新たな行列を、行列束の単位行列を置き換え、これにより、第1空間4次キュムラント行列の一般化固有分析に移行するため、求める必要がある。ここでの「類似」とは、行列Bが第1空間4次キュムラント行列に対して実行されたことと同様に、双一次形式に因数分解可能であるということを意味し、定義2及び3に対する修正された混合行列が3つの因数の2つであり、ある対角行列が3番目にくる。すなわち、
Figure 0004271041
である。ただし、行列Dは対角行列である。
行列束の定義、性質及びスペクトル理論
行列束は、数学的には多項式演算子束(polynomial operator pencil)として知られるものの特別な場合である。多項式演算子束とそれに関連するスペクトル問題は、微分方程式、境界値問題、制御理論、ハーモニックシステム分析、波動、弾性理論、回路シミュレーション及びモデリング、流体力学などの多様な領域で生じるものである。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.S.Markusによる「多項式演算子束のスペクトル理論へのイントロダクション,数学モノグラフの翻訳,第71巻(Intoroduction to the Spectral Theory of Polynomial Operator Pencils,Translation of Mathematical Monographs,Vol.71)」(American Mathematical Society,Prividence,RI:1988)を参照せよ。一般に、n次多項式演算子束は、
Figure 0004271041
の形式をとる。ただし、λはスペクトルパラメータであり、Aはヒルベルト空間上の線形演算子である。行列束P(λ)は、
Figure 0004271041
の形式を有する1次多項式演算子束である。
一般に、行列束は、正則または特異として分類される。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、A.S.Markusによる「多項式演算子束のスペクトル理論へのイントロダクション,数学モノグラフの翻訳,第71巻」(American Mathematical Society,Prividence,RI:1988)、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH.van der Vorstらによる「代数的固有値問題の解法テンプレート:実践ガイド(Templates for the Solution of Algebraic Eigenvalue Problems:A Practical Guide)」(SIAM,Philadelphia,PA:2000)、K.Kanataniによる「幾何計算のための統計的最適化:理論及び実践(Statistical Optimization for Geometric Computation:Theory and Practice)」(Elsevier Science B.V.,Amsterdam,The Netherlands:1996),G.H.Golub及びC.F.Van Loanによる「行列計算(Matrix Computations)」(The Johns Hopkins University Press,Baltimore,MD:1996)、F.R.Gantmacherによる「行列理論,第1巻(The Theory of Matrices,Volume I)」(AMS Chelsea Publishing,Providence,RI,1977)、及びF.R.Gantmacherによる「行列理論,第2巻(The Theory of Matrices,Volume II)」(AMS Chelsea Publishing,Providence,RI,1989)を参照せよ。2つの行列AとBは正方行列であり、行列束の行列式はλのすべての値に対してゼロでない場合、すなわち、
Figure 0004271041
である場合、当該行列束は正則であり、そうでない場合、当該行列束は特異である。正則束は、行列A及びBの関数として連続的に変化する明確な固有値を有する。他方、特異束は、行列A及びBの不連続関数である固有値を有する。何れのタイプの束も実際上生じるものであり、本発明によるBSS技術に適用可能である。ここで、標準固有問題はB=Iによる正則行列束となる。
正則行列束の性質及びスペクトル理論
正則束はさらに、エルミートまたは非エルミートとして分類することができる。非エルミート行列束とそれに関連する一般化非エルミート固有問題は、行列AまたはBがエルミートでないとき、あるいは行列Bが正定値でないとき、生じるものである。空間4次キュムラント行列の第1の性質により、一般に、空間4次キュムラント行列束はエルミートではない。これは、3つすべての定義に対して成り立つことが示される。従って、非エルミート正則束にのみ着目し、これにより、項正則束が利用されるとき、非エルミート束が意味される。エルミート束の説明のため、あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH.van der Vorstらによる「代数的固有値問題の解法テンプレート:実践ガイド」(SIAM,Philadelphia,PA:2000)、K.Kanataniによる「幾何計算のための統計的最適化:理論及び実践」(Elsevier Science B.V.,Amsterdam,The Netherlands:1996),G.H.Golub及びC.F.Van Loanによる「行列計算」(The Johns Hopkins University Press,Baltimore,MD:1996)、F.R.Gantmacherによる「行列理論,第1巻」(AMS Chelsea Publishing,Providence,RI,1977)を参照せよ。
正則なN×Nの行列束の特性多項式は、
Figure 0004271041
定義により、λのすべての値に対してゼロでない。p(λ)の次数は高々Nである。これは、行列束の有限の固有値であるp(λ)=0の根を有する、有限または無限であってもよいN個の固有値が存在するということを意味する。行列束P(λ)の固有値の集合は、行列Bに関する行列Aの「一般化」固有値として通常には知られ、
Figure 0004271041
として定義される。
正則束の固有値は行列A及びBの連続関数であり、このため、行列A及びBのわずかな変化は固有値のわずかな変化を生じさせる。特性多項式の次数がN未満である場合、当該束は、(N−M)の無限固有値を有すると言われる。ただし、Mは特性多項式p(λ)の次数である。行列束のすべての固有値λ(A,B)の集合は、それのスペクトルと呼ばれる。あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、F.R.Gantmacherによる「行列理論,第2巻」(AMS Chelsea Publishing,Providence,RI,1989)、A.S.Markusによる「多項式演算子束のスペクトル理論へのイントロダクション,数学モノグラフの翻訳,第71巻」(American Mathematical Society,Prividence,RI:1988)、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH.van der Vorstらによる「代数的固有値問題の解法テンプレート:実践ガイド」(SIAM,Philadelphia,PA:2000)、K.Kanataniによる「幾何計算のための統計的最適化:理論及び実践」(Elsevier Science B.V.,Amsterdam,The Netherlands:1996),G.H.Golub及びC.F.Van Loanによる「行列計算」(The Johns Hopkins University Press,Baltimore,MD:1996)、F.R.Gantmacherによる「行列理論,第1巻」(AMS Chelsea Publishing,Providence,RI,1977)を参照せよ。ここで、標準固有値に関して、固有値は、固有値λの「幾何重複度」と呼ばれる値ηgeomだけ束のランクを減少させる。
各有限固有値に対して、当該固有値において評価される行列束の右零空間に存在する任意の非零ベクトルは、当該固有値に対する「右」固有ベクトルとして定義される。
Figure 0004271041
すなわち、
Figure 0004271041
に対して、
Figure 0004271041
を満たす任意のベクトルeは、当該固有値に対応する固有ベクトルである。行列束の固有値に関して、固有ベクトルはしばしば「一般化」固有ベクトルと呼ばれる。無限固有値に対して、行列Bの右零空間に存在する任意のゼロでないベクトルは、固有ベクトルとなる。すなわち、
Figure 0004271041
を満たす任意のゼロでないベクトルは、固有値λ=∞に対応する。N×Nの正則行列束は、N個の線形独立な固有ベクトルを有していないかもしれない。しかしながら、相異なる各固有ベクトルに対して、少なくとも1つの独立な固有ベクトルが存在するであろう。標準固有ベクトルに関して、一般化固有値λ(A,B)の集合は一意的であるが、固有ベクトルの集合は一意的とはならない。
各正則行列束は、X及びYと記される同一の次元を有し、
Figure 0004271041
を満足する2つの関連する部分空間を有する。これらの部分空間は、右及び左収縮(deflating)部分空間とそれぞれ呼ばれる。さらに、
Figure 0004271041
が成り立ち、これにより、
Figure 0004271041
となる。収縮部分空間は、稠密な非エルミート正則一般化固有問題を解くための最も強力な技術と現在考えられているQZアルゴリズムなどの正則一般化固有問題を解くための技術の進展において重要なものである(あたかもここで提示されたかのようにその内容のすべてが参照することによりここに含まれる、例えば、P.Van Doorenによる「縮小部分空間:定義、性質及びアルゴリズム(Reducing Subspaces:Definitions,Properties,and Algorithms)」(Matrix Pencils,Proc.Pite Havsbad,Lecture Notes in Mathematics 973,Springer−Verlag,New York,NY,1982,pp。58−73)を参照せよ)。
最後に、XとYを
Figure 0004271041
である非特異行列とする。このとき、行列束
Figure 0004271041
は、行列束P(λ)と「等価」となり、行列X及びYは、「等価変換(equivalence transformation)」と呼ばれる。行列束
外28
Figure 0004271041
は、P(λ)と同一の固有値を有し、
外29
Figure 0004271041
と記されるそれの右固有ベクトルは、変換
Figure 0004271041
により束P(λ)の右固有ベクトルに関するものとなる。
特異行列束の性質及びスペクトル理論
行列束は、矩形または正方であり、
Figure 0004271041
が成り立つ場合、特異である。正方束が特異となるためには、行列AとBの何れもが特異であり、かつ共通の零空間を有する必要がある。すなわち、束P(λ)が特異となるための必要十分条件は、
Figure 0004271041
が成り立つことである。何れの場合も実際的に生じるものであり、正則束を扱う場合と比較してはるかに困難なものとなる。定義により、空間4次キュムラント行列は正方であるため、正方特異束のみが考察される。
N×Nの特異な行列束の特性多項式は、ラムダのすべての関数に対してゼロとなる。従って、特異束の固有値は行列A及びBの不連続関数であり、特異束の固有値を定義するのに考慮がなされねばならない。明らかに、固有値は、特性多項式の根を求めることによっては、もはや求めることができない。代わりに、縮小部分空間の概念を用いて、特異束の固有値及び固有ベクトルが定義される。
XとYにより記される束P(λ)の右及び左縮小部分空間のペアは、それぞれ
Figure 0004271041
及び
Figure 0004271041
を満たしている。ここで、右縮小部分空間Xの次元は、λのすべての有理関数の体上の束の右零空間の次元だけ、左縮小部分空間Yの次元より大きなものである。すなわち、
Figure 0004271041
である。縮小部分空間は、正則束に対して収縮部分空間と同様の役割を担う。行列束のランクは、一般に、λの大部分の値に対して定数Mとなる。
Figure 0004271041
しかしながら、ある値の集合に対しては、束のランクは縮小され、これにより、縮小部分空間の概念が動機付けされる。λ(A,B)により記される、特異束のランクを縮小させるλの値を有する値の集合は、この特異束の固有値またはスペクトルである。
Figure 0004271041
束のランクの減少量は、当該固有値の幾何重複度ηgeomとなる。
Figure 0004271041
ここで、特異行列束の固有値は、有限、無限または不定とすることができるということに注意せよ。
各有限固有値に対して、当該固有値において評価される行列束の右零空間に存在する任意のゼロでないベクトルは、当該固有値に対応する「右」固有ベクトルとして定義される。
Figure 0004271041
すなわち、
Figure 0004271041
に対して、
Figure 0004271041
を満たす任意のベクトルeは、当該固有値に対応する固有ベクトルである。不定性の固有値に対して、行列Bの右零空間、従って、行列Aの右零空間に存在する任意のゼロでないベクトルは、不定的な固有値に対応する固有ベクトルである。言い換えると、A(またはB)の右零空間に存在する任意のゼロでないベクトルは、不定的な固有値に対応する固有ベクトルである。式(171)を書き換え、λに対し解くことにより、
Figure 0004271041
が得られる。明らかに、ベクトルeが行列A及びBの共通の右零空間に存在する場合、λ=0/0となり、固有値は不定となる。
正則束に関して、「厳密な」等価の概念が定義される。XとYをλに依存せず、
Figure 0004271041
となる非特異行列とする。このとき、行列束
Figure 0004271041
は、行列束P(λ)に「厳密に等価」であり、X及びYは「厳密な等価変換」と呼ばれる。行列束
外30
Figure 0004271041
は、P(λ)と同一の固有値を有する。また、行列束
外31
Figure 0004271041
の右及び左縮小行列
外32
Figure 0004271041
は、
Figure 0004271041
だけ、束P(λ)の右及び左縮小部分空間に関する。縮小部分空間に関する等価変換の効果の結果は、
外33
Figure 0004271041
と記される
外34
Figure 0004271041
の右固有ベクトルが、変換
Figure 0004271041
によるP(λ)の右固有ベクトルに関するものとなるということである。
行列束の広い意味での等価
「厳密な」等価という用語は、「広い意味での」等価として定義されたものと区別するために強調されたものである。
Figure 0004271041
を満たすλから独立なM×Nのフルの行ランクを有する行列XとYが与えられると、N×Nの特異束
外35
Figure 0004271041
は、
Figure 0004271041
となるM×Mの非特異束P(λ)に広い意味で等価であると言われる。矩形行列XまたはYを有することは、
外36
Figure 0004271041
が特異であることを保証するための十分条件である。
広い意味での等価変換がP(λ)のスペクトルを保持し、
外37
Figure 0004271041
の固有ベクトルがある等価変換により非特異束P(λ)の固有ベクトルに関するものであるか判断される。これが真であるということを証明するため、
Figure 0004271041
及び
外38
Figure 0004271041
を特異束
外39
Figure 0004271041
の有限または無限一般化固有値及び関連する固有ベクトルとする。M×Nの行列Xはフルの行ランクを有するため、Xは「右」逆行列を有する。すなわち、
Figure 0004271041
を満たすN×Mの行列X−1rが存在する。また、行列Yはフルの行ランクを有するため、行列Yはフルの列ランクを有し、それゆえ、行列Yは「左」逆行列を有する。すなわち、
Figure 0004271041
を満たすM×Nの行列
外40
Figure 0004271041
が存在する。明らかに、
Figure 0004271041
が成り立つ。一般化固有値問題は、
Figure 0004271041
として定式化される。N×1のベクトルyを
Figure 0004271041
として定義する。ここで、ベクトルeは、行列束P(λ)の固有ベクトルである。
外41
Figure 0004271041
との積はスカラーとなり、これにより、
Figure 0004271041
となる。同様に、非特異束P(λ)の固有値は、
Figure 0004271041
である。式(177)を式(184)に代入することにより、
Figure 0004271041
が得られる。このとき、式(183)と(186)を利用することにより、
Figure 0004271041
が得られる。明らかに、すべての有限または無限
Figure 0004271041
は、対応する固有ベクトル
Figure 0004271041
を有する束P(λ)の固有値である。
従って、
外42
Figure 0004271041
の有限及び無限固有値の集合は、非特異束の固有値の集合に等しくなることが結論付けされる。すなわち、
Figure 0004271041
であり、
外43
Figure 0004271041
の固有ベクトル
外44
Figure 0004271041
は、等価変換
Figure 0004271041
によりP(λ)の固有ベクトルに関連付けされる。
空間4次キュムラント行列束:定義及び性質
空間4次キュムラント行列束は、遅延ラグ(0,0,0)及び(τ,τ,τ)における空間4次キュムラント行列のペア上で、
Figure 0004271041
として定義される。ただし、ゼロでない遅延ラグの集合は、ベクトル形式により
Figure 0004271041
として記される。空間4次キュムラント行列に関して、各自が対となる空間4次キュムラント行列で利用される定義に対応する3つの定義による空間4次キュムラント行列が存在する。第1空間4次キュムラント行列束は、第1空間4次キュムラント行列束のペアを利用し、上記の式(191)により与えられる。第2空間4次キュムラント行列束は、定義2を用いた空間4次キュムラント行列のペア上で、
Figure 0004271041
として定義される。最後に、第3空間4次キュムラント行列は、定義3を用いた空間4次キュムラント行列のペア上で、
Figure 0004271041
として定義される。アダマール積がランクを保持する場合、これら3つすべての定義が同様の行列性質を有するということが第4章において示されたため、第1空間4次キュムラント行列束の性質が導出され、第2及び第3空間4次キュムラント行列束に対する相違が述べられる。
空間4次キュムラント行列束の第1性質
第1空間4次キュムラント行列束は、エルミート形式により、
Figure 0004271041
として因数分解することができる。ただし、行列Vは混合行列であり、
外45
Figure 0004271041
は、対角信号キュムラント行列のペア上のM×Mの行列束である。
Figure 0004271041
第2及び第3空間4次キュムラント行列束は、双一次形式
Figure 0004271041
及び
Figure 0004271041
に、それぞれ因数分解することができる。
空間4次キュムラント行列束の第2性質
第1空間4次キュムラント行列束のランクは、行列Vがフルの列ランクを有する場合、λの「大部分の」値に対して、信号数Mに等しくなる。すなわち、
Figure 0004271041
とρ(V)=Mに対して、
Figure 0004271041
となる。第2及び第3空間4次キュムラント行列束は、アダマール積(196)がランクを保持する場合、同様の性質を有する。
空間4次キュムラント行列束の第3性質
空間4次キュムラント行列束は、一般には、エルミートではない。M=Nかつ行列Vがフルの列ランクを有する場合、それは正則束となる。そうでない場合には、M<Nのとき、あるいは行列Vがフルの列ランクを持たない場合、それは特異束となる。第2及び第3空間4次キュムラント行列束は、さらに、式(4.65)で与えられたアダマール積が、当該束を正則にする行列Vのランクを保持することを要求する。
空間4次キュムラント行列束の第4性質
空間4次キュムラント行列束
外46
Figure 0004271041
は、
外47
Figure 0004271041
が正則束である場合、正則束
外48
Figure 0004271041
に厳密に等価となる。そうでない場合、空間4次キュムラント行列束
外49
Figure 0004271041
は、混合行列がフルの列ランクを有する場合、正則束
外50
Figure 0004271041
に広い意味で等価となる。空間4次キュムラント行列束
外51
Figure 0004271041
は、さらに、式(4.65)で与えられるアダマール積がランクを保持することを求める。
空間4次キュムラント行列束のスペクトル分析
空間4次キュムラント行列束のスペクトル理論が、2つの方法により利用される。第1に、厳密あるいは広い意味での等価を利用して、束
外52
Figure 0004271041
の有限スペクトルが信号4次キュムラントの集合に対する1対1写像を有し、これにより、各一般化固有値が1つの音源とそれに関連する信号のステアリングベクトルを有する固有ベクトルに関連付けすることができるということが示される。その後、固有値問題の外積展開とステアリングベクトルの線形独立を利用することにより、同様の関係が示される。どちらの場合においても、行列Vはフルの列ランクを有すると仮定され、関心があるのは信号部分空間のみであるため、有限一般化固有値とそれに関連する固有ベクトルが着目される。上述のように、第1空間4次キュムラント行列束に対するスペクトル理論が与えられ、第2及び第3空間4次キュムラント行列束に対して生じる相違点が説明される。
空間4次キュムラント行列束の第4性質から、
外53
Figure 0004271041
は、M×Mの正則束
外54
Figure 0004271041
に厳密または広い意味で等価である。等価の定義より、
外55
Figure 0004271041
の有限及び無限スペクトル固有値の集合は、束
外56
Figure 0004271041
のスペクトルに等しい。
Figure 0004271041
明らかに、
外57
Figure 0004271041
が正則である場合、
Figure 0004271041
となる。
外58
Figure 0004271041
が正則であるため、そのスペクトルは、ゼロに等しいしそれの行列式の集合の根を求めることにより決定することができる。
外59
Figure 0004271041
は定義により対角形であるため、行列式はそれの対角成分の積になるであろう。すなわち、
Figure 0004271041
となる。式(201)を考察することにより、
外60
Figure 0004271041
のスペクトルは、集合
Figure 0004271041
となる。仮定A2により、信号キュムラントは厳密にゼロではなく、スペクトルは、各自が零及び非零のラグの集合における特定の信号のキュムラントの比に対応するMの有限、非零個誘致及びカウントした重複度を有するであろう。固有値は複素数であるため、それらを順序付けする固定した方法はない。しかしながら、便宜上、それらはλ、すなわち、
Figure 0004271041
としての第j信号との関連により順序付けされるであろう。M個の固有値のうち、ηの重複度を有するμとして記される相異なるK個の値しか存在しないかもしれない。従って、固有値は、μに等しい固有値を含む
外61
Figure 0004271041
と記されるKの集合にグループ化することができる。
Figure 0004271041
ここで、対角正則束に対して、
Figure 0004271041
が成り立つことに着目せよ。明らかに、
Figure 0004271041
となる。各μに対して、ゼロラグでのキュムラントの非ゼロラグでのキュムラントに対する同一の比を有するη個の信号が存在する。この比は、以降の章において正規化4次自己キュムラントとして定義されるものの逆数である。
正則束に対する特定の固有値に対応する「右」固有ベクトルは、当該固有値において評価された束の右零空間に存在するゼロでないベクトルとなるであろう。
Figure 0004271041
固有ベクトルeは、相異なる固有値λ=λ=μにおいて評価されるとき、ゼロでない成分を含む対角束の列に対応するインデックスを有する位置にM−ηを有するM×1のベクトルである。これを例により示す。
例えば、M×M(M>3)の対角束は、
Figure 0004271041
の形式を有する。
Figure 0004271041
が成り立つ場合、
Figure 0004271041
となり、相異なる固有値μは重複度2を有する。固有値λとλに対応する固有ベクトルは、
Figure 0004271041
の形式を有する。ただし、e1jとe3jは、ともにゼロではない任意のスカラーである。明らかに、これらの固有ベクトルは一意的なものではないが、ゼロでない成分の位置と固有ベクトルは、信号に一意的に関連付けされる。
M個の固有ベクトルの集合が必要とされる。しかしながら、K個しか相異なる固有値が存在しないとき、繰り返される固有値と関連付けされる信号を分離する以降の分離工程が利用可能となるように、繰り返される固有値に対応する固有ベクトルの選択において考慮される必要がある。繰り返される固有値に対応する固有ベクトルを求めるための制約条件が、以下の章において説明される。
空間4次キュムラント行列束
外62
Figure 0004271041
を考える。混合行列Vがフルの列ランクを有すると仮定されている場合、空間4次キュムラント行列束の第4性質により、
外63
Figure 0004271041
は、厳密または広い意味において、束
外64
Figure 0004271041
に等価である。このとき、束
外65
Figure 0004271041
は、
外66
Figure 0004271041
と同一の有限及び無限固有値を有し、有限固有値に対応する
外67
Figure 0004271041
と記された
外68
Figure 0004271041
の固有ベクトルは、
Figure 0004271041
により
外69
Figure 0004271041
の固有ベクトルと関連付けされる。行列Vの行は、定義により、共役信号ステアリングベクトルであるため、
Figure 0004271041
に対して、
外70
Figure 0004271041
の列は、それ自身の列インデックスに対応するインデックスを有する列のものを除いて、すべてのステアリングベクトルに直交となる必要がある。従って、
外71
Figure 0004271041
の列は、信号のステアリングベクトルに一意的に関連付けされる。これにより、
Figure 0004271041
となることがわかる。
従って、
外72
Figure 0004271041
は、信号をブラインド分離するのに利用することができる。前述のように、繰り返される固有値に対応する固有ベクトルの選択に注目されねばならない。明らかに、
外73
Figure 0004271041
の出力は、混合行列の列の線形結合となり、固有ベクトルに関連する信号のステアリングベクトルの列、すなわち、eのゼロでない成分に対応する行列Vの列の線形結合であるベクトルが生成されるであろう。第2及び第3空間4次キュムラント行列束に対して、アダマール積がVのランクを保持する場合、束
外74
Figure 0004271041
の「左」固有ベクトル間の対応する等価変換を利用することにより、同様の結果が求められる。ここで、固有値において評価される束の左零空間に存在する左固有ベクトル、すなわち、1×Nのベクトル
外75
Figure 0004271041
により、同様の結果が達成されるということに注意せよ。
空間4次キュムラント行列束の前述のスペクトル分析は、束を外積の和に展開し、ステアリングベクトルの線形独立を利用することによる他の方法により実行することができる。行列束
外76
Figure 0004271041
に対する一般化(右)固有値問題は、
Figure 0004271041
として定義される。空間4次キュムラント行列に対し、式(87)を式(210)に代入し、項を並び替えることにより、
Figure 0004271041
を生成することができる。混合行列がフルの列ランクを有すると仮定される場合、それの列は線形独立であり、これにより、式(211)の等号が成り立つように、すべてのjに対して、
Figure 0004271041
となる。これにより、
Figure 0004271041
であるとき、任意のjに対して、
Figure 0004271041
が導かれる。第5の性質により、VとC (τ,τ,τ)は共通の右零空間を有するため、Vの右零空間に存在する任意の固有ベクトルは、束が特異である場合には、
外77
Figure 0004271041
がVの零空間に存在するだけであるため、対応する不定値の固有値を有する。これにより、前に与えられた等価アプローチに関して、固有値とそれに関連する固有ベクトルとは、判別手段として機能する比
Figure 0004271041
により音源信号と一意的に関連付けされる。修正混合行列
外78
Figure 0004271041
がフルの列ランクを有する場合、第2及び第3空間4次キュムラント行列束に対しても同様の結果が成り立つ。
本発明によるブラインド音源分離技術が、空間4次キュムラント行列の3つすべての定義を用いて説明され、識別可能性の条件が説明される。分離アルゴリズムによる分離パワー効率(SPE)の最大化を可能にする正規化方法がまた構築される。正規化された4次自己キュムラントの概念が与えられ、カスケード処理を容易にする繰り返し固有値の固有ベクトルの選択方法が構築される。
図5は、本発明の一実施例によるブラインド音源技術とプロセッサの機能ブロック図である。狭帯域の仮定の下、M個の統計的に独立した音源信号のブラインド分離は、混合行列Vを対角化するN×Mの分離行列Wを求めることを要する。すなわち、式(39)から、
Figure 0004271041
となるような分離行列が求められる。この分離行列の計算は、ブラインド音源分離技術の一機能である。
前に、空間4次キュムラント行列束の一般化固有ベクトルが、異なる2つのタイムラグにおけるキュムラントの比に基づき、信号を分離するということが説明された。これらの結果は、分離計算技術の定式化において利用される。この技術は、適切な正規化により、分離パワー効率(SPE)を最大化するため、残留ISR(Interference−to−Signal Ratio)を理論的に最小化するであろう。
前述のように、空間4次キュムラント行列束の固有ベクトルを求めるときの係数は、正規化4次自己キュムラントと呼ばれたものである。これは、各信号の正規化4次自己キュムラントの逆数に等しい空間4次キュムラント行列束の有限固有値から生じたものであり、ゼロに等しい分子のキュムラントにおけるタイムラグを有する異なる2つのタイムラグにおけるキュムラントの上記比である。具体的には、信号が一意的な正規化4次自己キュムラントを有する場合、関連する固有ベクトルがその他の信号のステアリングベクトルのすべてに対し直交するということが示されているため、正規化4次自己キュムラントは、信号判別機能として作用するものと考えることができる。この章では、正規化4次自己キュムラントが定義され、判別機能としてそれを利用することに関するいくつかのコメントがなされる。
複数の信号が使用されている遅延ラグにおいて、同一の正規化4次自己キュムラントを有するとき、繰り返しの固有値が発生する。理想的には、信号がもはや等しい正規化4次自己キュムラントを有する新たなタイムラグにおいて分離技術の繰り返しを容易にするため、結果として得られるステアリングベクトルが線形独立を維持することを保証するため、繰り返しの固有値の固有ベクトルの選択において考慮がなされる必要がある。繰り返しの固有値に関連する固有ベクトルを選択するための基準が以下で与えられる。新たなステアリングベクトルの結果として得られる集合は線形独立を維持することが示されるであろう。
ブラインド音源分離アルゴリズムの評価に利用されるパフォーマンスの1つの尺度は、分離パワー効率(SPE)である。SPEを1にするため、分離ベクトルと関連するステアリングベクトルとの内積は1にならなければならない。これを実現するため、分離ベクトルの基底を構成する固有ベクトルは、それがステアリングベクトルと共線的(co−linear)であるが、SPEが1となることを保証するための正確な量を必ずしも持たないため、正規化される必要がある。従って、SPEが最大化されることを保証するため、正規化アルゴリズムが構築される。空間4次キュムラント行列には3つの定義が存在するため、各々に対して異なる正規化技術が必要とされる。
瞬間的な線形混合された信号の分離を可能にする識別可能性の条件が、以下において与えられる。これらの条件には、ステアリングベクトルの線形独立、音源信号の統計的独立と非ガウス性、及び各信号が相異なる正規化4次自己キュムラントを有するタイムラグの存在などが含まれる。
最後に、空間4次キュムラント行列束に基づくアルゴリズムが、フロー図においてステップごとに与えられる。各ステップが説明され、重要な問題があれば、それが提示される。当該アルゴリズムにおける異なる空間4次キュムラント行列の定義を使用したときに生じる相違が強調されるであろう。
信号判別手段としての正規化4次自己キュムラント
空間4次キュムラント行列束の一般化固有値は、
Figure 0004271041
であるということが以前に示された。分離を行うため、各信号に対して相異なる固有値λが必要とされる。このため、λは「信号識別手段」として機能する。この識別手段とそれの性質を考察するため、第j信号の正規化4次自己キュムラントが、
Figure 0004271041
として定義される。明らかに、この信号に関連する一般化固有値は、それの正規化4次自己キュムラントの逆数となる。
Figure 0004271041
仮定A1により、信号r(t)は、定常非ガウスランダム過程である。さらに、仮定A2により、当該信号は、出力Pとゼロでない4次モーメントにより零平均を有すると仮定される。これらの仮定は、信号4次キュムラントが存在し、ゼロでないことを保証する。上記仮定の必要な拡張は、4次自己キュムラントもまた存在し、ゼロとならないように、タイムラグ(τ,τ,τ)が選ばれることということである。これにより、正規化4次自己キュムラントが存在し、有限となることが仮定されてもよい。
信号が定常ランダム過程であると仮定されているため、そのモーメントは時間差あるいはタイムラグ(τ,τ,τ)にのみ依存することとなる。従って、正規化4次キュムラントは、3次元関数となる。これにより、信号分離のため、1つのみの独立な変数を有する2次技術と比較して、信号が一意的な正規化4次自己キュムラントを有することを保証するのに共同する3つの独立な変数が存在することになる。これは、2次空間相関に基づくアプローチに対する4次キュムラントアプローチの他の利点となる。
正規化4次自己キュムラントは、一般には、複素数である。タイムラグ(0,0,0)における信号のキュムラントは実数値をとるが、タイムラグ(τ,τ,τ)におけるキュムラントは複素値となるであろう。従って、正規化4次自己キュムラントは、(τ,τ,τ)の関数である位相情報を含む。位相雑音、搬送波周波数、送信フィルタ反応、アンプ反応、送信クロックジター、伝搬チャネル送信機能などの音源信号エミッタの属性が、音源信号の正規化4次自己キュムラントに寄与する。受信した音源信号の定義から、
Figure 0004271041
であり、キュムラントの第1性質を利用して、正規化4次自己キュムラントが信号パワーの関数とならないことは明らかである。
Figure 0004271041
従って、異なる信号パワーを有することによってではなく、一意的な正規化4次自己キュムラントを有する基礎となる波形を有することにより、信号は識別される。
上述のように、第jエミッタからのユニットパワー変調信号は、送信機の一意的な性質により影響を受ける。実際、2つの受信機はほとんど同一の信号を生成することはないため、音源信号は高い確率で一意的な4次自己キュムラント関数を有し、これにより、一意的な正規化4次自己キュムラント関数を有する。従って、信号グループが一意的な正規化4次自己キュムラントを有するタイムラグが存在し、これにより、分離が可能となることが予想される。
繰り返し固有値に対する固有ベクトルの選択
複数の信号の正規化4次自己キュムラント関数が、選択されたタイムラグにおいて同じ値を偶然にも有するとき、繰り返し固有値の問題が発生する。この状況では、これらの固有ベクトルから生成された分離ベクトルの集合が混合行列をフルの列ランクを有する新たに縮小された次元の混合行列に変換することを保証するため、関連する固有ベクトルの選択が考慮される必要がある。これにより、この新たな次元が減らされた混合行列により混合される繰り返し固有値に関する信号を分離するため、分離アルゴリズムが繰り返し実行されることが保証される。
図6は、単一の繰り返し固有値に対し分離アルゴリズムを繰り返す処理を示す。図6において、第1分離段階のM×1のベクトルの出力y(t)が、y(t)により記される一意的な固有値に対応するy(t)のM−ηの成分を有するものと、xRK(t)により記される重複度ηを有する繰り返し固有値μに対応するy(t)のηの成分を有するものからなる2つのベクトルに分割される。第1分離段階と同様に、繰り返し固有値に関連する信号を分離する新たなη×ηの分離行列WRKが求められる。この新たな分離行列は、異なるタイムラグにおいて空間4次行列束アルゴリズムを繰り返すことにより求められる。しかしながら、このアルゴリズムを2回目に利用するためには、以下のセクションで説明される識別可能性に対する条件が成り立つ必要がある。1つの条件は、混合行列がフルの列ランクを有し、これにより、新しい次元が減らされたη×ηの混合行列VRKがフルの列ランクを有する必要があるということである。繰り返しの各固有値は、同様の新しい混合行列を有し、分離アルゴリズムを繰り返し実行する。
新たな混合行列VRKがフルの列ランクを有することを保証するため、繰り返しの固有値に関連する固有ベクトルを選択するための要件が、以下において導かれる。特定の固有値に関連する信号を表す整数の集合は、
Figure 0004271041
として定義される。固有値λが第j信号の正規化自己キュムラントの逆数に等しいことを思い起こしてほしい。
Figure 0004271041
M個の信号が存在するため、Kのみが相異なる繰り返しを含むM個の固有値が存在することになるであろう。この相異なる固有値は、
Figure 0004271041
として定義される。スケーリングまたは正規化されたMに関するN×1の固有ベクトルは、分離行列Wの列になる。
Figure 0004271041
式(215)から、分離行列がすべての信号を分離する場合、結果として得られる混合行列WVは対角行列となるということがわかる。これは、相異なる固有値がMだけ存在する場合にのみ起こる。前述のように、繰り返しの固有値に対して、固有ベクトルは、特定の固有値に関する信号をそれに関係しない信号から分離する。しかしながら、結果として得られるスカラーは、関連する信号の線形結合となっていた。従って、行列の積WVは、各自が集合g(k=1,2,・・・,K)により番号付けされた列のη個の非ゼロ成分を有する集合gにより番号付けされたη個の行を有するであろう。このことは、相異なるM個の固有値の場合に対し成り立ち、その場合、
Figure 0004271041
であり、かつ各g(k=j)は1つの成分のみを有し、このため、行列WVは対角行列となる。
新しい混合行列VRKは、除去された集合gに含まれない整数により番号付けされた列、すなわち、すべてがゼロである列を有する集合gにより番号付けされたWVのη個の列から構成される。従って、VRKは、ベクトルxRK(t)のηの成分を形成する繰り返し固有値に関連するηの信号を線形混合するη×ηの行列である。Vが初期分離過程に対するのと同様に、VRKは第2段階の分離過程に対するものであるため、それはVと同様の性質を有する必要があり、主として、フルの列ランクを有する必要がある。
Figure 0004271041
RKがフルの列ランクを有することを保証する
Figure 0004271041
を選択するための条件が決定される。
ベクトルwは、固有ベクトル
外79
Figure 0004271041
のスケーリングされたものであるため、wに関する制約条件は、実際には
外80
Figure 0004271041
の選択に関する制約条件となる。
Figure 0004271041
に対して、固有ベクトル
外81
Figure 0004271041
が線形独立であることを求めることは、Vがフルの列ランクを有する場合、行列VRKがフルの列ランクを有することを保証するのに十分であるということが示される。
分離ベクトルの形成:固有ベクトルの正規化
固有ベクトルは、関連する固有値に等しい正規化自己キュムラントを有するものを除くすべての信号に直交しているが、その内積
Figure 0004271041
は、SPEが最大値1を有することを保証するものではない。このため、分離ベクトルは、各固有ベクトルをSPEの最大値1を保証する実数の正規化係数γによりスケーリングすることにより形成される。
Figure 0004271041
繰り返しの固有値に対して、正規化係数は異なる効果を有し、第1分離段階において繰り返し固有値に関する固有ベクトルを正規化する明快な効果はない。さらに、達成可能なSPEに関する分離アルゴリズムの繰り返しの効果の研究が必要とされる。
式(39)から、内積
Figure 0004271041
が、一般には複素数である「損失」項ρをもたらすということがわかる。式(63)から、SPEは、
Figure 0004271041
となるということがわかる。式(227)を式(228)に代入することにより、
Figure 0004271041
が得られる。SPEを1とするためには、
Figure 0004271041
が必要とされ、これにより、
Figure 0004271041
となる正規化係数γが必要とされ、これにより、
Figure 0004271041
となる。
一意的な固有値に関する固有ベクトルに対するこのスケーリング係数の計算は、利用可能な変数が異なるため、用いられる空間4次キュムラント行列の定義に依存することになる。第1空間4次キュムラント行列に対しては、SPEが最大値1を達成することを保証する正規化係数を求めることができ、以下のセクションにおいてそれが導出される。しかしながら、第2及び第3空間4次キュムラント行列に対しては、双一次形式による修正された混合行列
外82
Figure 0004271041
の存在により、正規化係数を解くのに利用可能な方程式群が特定され、これにより、定義2及び3を用いることは分離が1のSPEの達成を妨げるパワー損失を生じさせる。
第1空間4次キュムラント行列の正規化
固有ベクトルの正規化において利用可能なデータは、空間4次キュムラント行列と、固有値と、関連する固有ベクトルのみである。式(225)から、
Figure 0004271041
が成り立ち、前述のように、
外83
Figure 0004271041
が相異なる固有値と関連すると仮定すると、第j位置に非ゼロ成分を有する
Figure 0004271041
が成り立つことが知られている。従って、第1空間4次キュムラント行列が、
Figure 0004271041
(ただし、C (0,0,0)はM×Mの対角行列)のようにエルミート形式に因数分解することが可能であるため、積は、
Figure 0004271041
となる。このとき、式(236)のユークリッドまたはlノルムは、
Figure 0004271041
となる。しかしながら、
Figure 0004271041
であるため、このとき、
Figure 0004271041
となる。さらに、式(236)の積に第j固有ベクトルのエルミート転置を前から乗算することにより、スカラー
Figure 0004271041
が得られる。式(239)に対する(240)の絶対値の比をとると、スカラー
Figure 0004271041
が得られる。これにより、式(232)の未知の分母が求められ、これにより、第1空間4次キュムラント行列を利用したとき、正規化係数は、
Figure 0004271041
となる。
第2及び第3空間4次キュムラント行列の正規化
第2及び第3空間4次キュムラント行列は、エルミート形式には変形できないが、その代わりに、それぞれ
Figure 0004271041
及び
Figure 0004271041
として示されるような双一次形式に変形することができる。第5章における結果から、第2及び第3空間4次キュムラント行列を用いて形成された束は、第2空間4次キュムラント行列束の固有ベクトルの共約に等しい第3空間4次キュムラント行列束の関連する固有値を有する同一の固有値を有するであろう。従って、正規化係数が実数であるため、存在するとすれば、それは両方の定義に対して同じものとなるであろう。
第2及び第3空間4次キュムラント行列はエルミート形式に変形できないため、修正された混合行列は、式(232)において与えられる正規化係数を推定するのに処理される必要がある。しかしながら、一般には、
Figure 0004271041
である。さらに、相異なる固有値に対してさえ、固有ベクトル、具体的には右固有ベクトル
外84
Figure 0004271041
は、一般には、
外85
Figure 0004271041
を除くすべての修正されたステアリングベクトルに対してもはや直交せず、修正されたステアリングベクトルが1のユークリッドノルムを有する、すなわち一般には、
Figure 0004271041
となることを保証しない。従って、第1空間4次キュムラント行列が|ε|の推定に対して許容されたものを有するという性質は、第2及び第3空間4次キュムラント行列によっては共有されない。
第2または第3空間4次キュムラント行列のみが与えられたとき、|ε|を解くには、関連する束の一般化固有ベクトル、それの関連する左固有ベクトル
外86
Figure 0004271041
及び右固有ベクトル
外87
Figure 0004271041
が特定される。第1空間4次キュムラント行列はエルミート形式に変形することが可能であるため、第1空間4次キュムラント行列束の左及び右固有ベクトルはエルミート変換により関連付けされる。すなわち、
外88
Figure 0004271041
が第1空間4次キュムラント行列束の右固有ベクトルである場合、
外89
Figure 0004271041
は左固有ベクトルである。従って、積
Figure 0004271041
は、1つが|ε|である2つのみの未知数を有することになる。同様に、
Figure 0004271041
は、
Figure 0004271041
であるため、同一の2つの未知数を有し、これにより、|ε|を解くことができる。しかしながら、第2空間4次キュムラント行列、及び同様に第3空間4次キュムラント行列に対して、
Figure 0004271041
となり、
Figure 0004271041
とすることができる。ただし、
外90
Figure 0004271041
は、第j信号に関する1×Nの左固有ベクトルであり、
Figure 0004271041
となる。
これにより、2つの方程式に4つの未知数が存在することになる。遅延ラグ(τ,τ,τ)において第2空間4次キュムラント行列を利用することにより、4つの方程式を構成することにより、4つの方程式と5つの未知数を有するものとすることができる。従って、第2空間4次キュムラント行列と、同様に第3空間4次キュムラント行列に対して、正規化係数を解くことは、解くことができない指定のない問題にする。これにより、SPEの最大値1を保証する正規化係数を解くことができるという理由から、定義1はさらなる利点を有している。
識別可能性の条件
識別可能性は、分離ベクトルと到来する音源信号と一意的に関連付けするブラインド音源分離アルゴリズムによる機能を扱うものであり、その他の信号を抑制することにより、線形混合から当該信号を分離する。提案されているブラインド音源分離アルゴリズムが分離を実行するためには、ある条件が満たされねばならない。それらの一部は、信号及び雑音の仮定としてすでに与えられており、ここでは、空間4次キュムラント行列束に基づくブラインド音源分離アルゴリズムが音源信号の分離を実現するのに課される条件として再び説明される。必要とされる識別可能性に対する条件が少ないほど、より広範な音源分離問題を扱うことができるという意味で、当該アルゴリズムはより強力なものとなるであろう。CI1〜CI5の識別可能性に対する5つの条件が以下に与えられる。
・CI1:混合行列Vはフルの列ランクを有する。これは、センサ数以下の音源数を要し、すなわち、M≦Nを要し、信号ステアリングベクトルが線形独立となることを必要とする。
・CI2:正規化4次自己キュムラント
外91
Figure 0004271041
は、各信号に対して異なる。当該アルゴリズムは、同一の正規化4次自己キュムラントを有する第1分離段階における信号に対してのみ処理を行う第2分離段階において、異なるタイムラグ(τ,τ,τ)において繰り返されるようにしてもよい。
・CI3:アレーを照射するM個の音源信号は、統計的に独立な非ガウス定常ランダム過程であり、空間4次キュムラント行列の推定期間においてオーダ4に対して定常的である。
・CI4:雑音過程は、定常ガウスランダム過程である。雑音過程は、空間的または時間的に白色である必要はない。空間4次キュムラント行列の推定期間においてのみ定常性が要求される。
・CI5:第2及び第3空間4次キュムラント行列に対し、アダマール積
Figure 0004271041
は、混合行列Vのランクを保持する。すなわち、修正された混合行列はフルの列ランクを有する。第1空間4次キュムラント行列を用いるときには、この条件は必要とされない。
分離行列生成アルゴリズム
図7及び図8は、本発明の一実施例による空間4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離を実行するためのプロセスのフロー図である。本アルゴリズムは、タイムラグ(τ,τ,τ)を入力として必要とする(ただし、(τ,τ,τ)≠(0,0,0)である)。ステップ61において、遅延ラグの各値τ,τ,τが与えられ、ステップ63において、センサデータ値x(t)が与えられる。位相情報を保持するため、τ≠τまたはτ≠0であることが推奨される。これにより、繰り返し固有値の出現を低減することができ、この結果、分離処理が要する繰り返し回数を減らすことができる。
ステップ60において、タイムラグ(0,0,0)と(τ,τ,τ)での空間4次キュムラント行列の推定が、行列成分ごとに行われる。キュムラントはデータからは直接的には推定することができないため、オーダ4までのすべてのモーメントが推定される必要がある。この推定は、アレーが伝搬波動場をサンプリングし、センサ出力データx(t)を生成するに従いリアルタイムで行うことが可能であり、あるいはキュムラントの推定に要するデータ集合の全体が取得された後に行うことも可能である。
空間4次キュムラント行列C (0,0,0)とC (τ,τ,τ)の推定後、ステップ62において、行列束
外92
Figure 0004271041
の一般化固有分析が行われ、それの有限スペクトル
外93
Figure 0004271041
が決定される。ステップ64において、相異なる有限の固有値の個数Kと、各固有値の重複度が決定される。スペクトルは、各自が信号の正規化4次自己キュムラントに対応する重複度をカウントするM個の有限値を有するであろう。これらM個の固有値の中には、各自が重複度ηを有する相異なるK個の固有値μ(k∈1,2,・・・,K)が存在する。相異なる各固有値ηに対して、線形独立な固有ベクトルが計算される。ステップ66において、インデックスkがゼロに設定される。インデックスkは、各固有値がアドレス指定されることを保証するのに利用される。ステップ68において、相異なる固有値インデックスkが、相異なる有限固有値数Kと比較される。少なくとも1つの相異なる固有値が存在する場合、Kはゼロにはならない。従って、第1の繰り返しにおいて、kはKより小さいものであり、本プロセスは、図7及び図8の丸印の記号「A」により示されるステップ72に移行する。ステップ72において、重複度ηが1より大きいか判断される。重複度ηが1より大きくない場合、本プロセスはステップ74に移行する。ステップ74において、固有ベクトル
外94
Figure 0004271041
が、相異なる第k固有値の固有値に対し計算される(λ=μ)。重複度が1である各λ=μに対して、ステップ76において、正規化係数γが計算される。ステップ78において、分離ベクトルは、
Figure 0004271041
として形成される。ステップ80において、分離ベクトルWを利用(付加)して、分離ベクトルが(定義により)分離行列Wの列となる分離行列Wが生成される。分離ベクトルWが分離行列Wに付加された後、ステップ82において、インデックスkがインクリメントされる。その後、本プロセスは、図7及び図8において丸印の記号「B」により示されるステップ68に移行する。ステップ68において、kがKと比較される。kがKより多きいい場合、ステップ70において、分離行列Wが与えられ、以降の処理に利用可能となる。kがKより大きくない場合(ステップ68)、本プロセスは、図7及び図8の丸印の記号「A」により示されるステップ72に移行する。ステップ72において、重複度ηが1より大きいか判断される。重複度ηが1より大きい場合、本プロセスはステップ84に移行する。ステップ84において、ηの線形独立な固有ベクトルの固有ベクトル
外95
Figure 0004271041
が、相異なる固有値(λ=μ)に対し計算される。ステップ86において、繰り返し固有値のそれぞれに対し、ηの分離ベクトルは、
Figure 0004271041
のように、それに関連する固有ベクトルに等しくなるよう設定される。ステップ80において、分離ベクトルWを付加することにより、分離行列Wが生成される。ステップ82において、インデックスkがインクリメントされ、相異なるすべての固有値がアドレス指定されるまで(ステップ68において、k>K)、本プロセスは繰り返される。ステップ68において、kがKより大きい場合、ステップ70において、分離行列Wが与えられ、以降の処理において利用可能となる。ステップ71において、分離を実行するため、分離行列Wが入力信号x(t)と乗算される。より具体的には、以下の式
Figure 0004271041
に従って、入力信号x(t)の行列表現が分離行列Wのエルミート転置と乗算される。
ここで説明されるようなBSS技術は、コンピュータにより実現されるプロセス及び当該プロセスを実現するシステムの形態により実現されてもよい。ここで説明されるようなBSS技術はまた、フロッピー(登録商標)ディスケット、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM、ハードドライブ、高密度ディスク、あるいは他の任意のコンピュータ読み出し可能な記憶媒体などの有形の媒体に実現されるコンピュータプログラムコードの形式により実現されてもよく、このコンピュータプログラムコードがコンピュータにロード及び実行されるとき、当該コンピュータは本発明を実現するシステムになる。ここで説明されるようなBSS技術はまた、例えば、記憶媒体に格納され、コンピュータへのロード及び/または実行、あるいは電気配線またはケーブル、光ファイバ、電磁放射などの送信媒体を介し送信されるコンピュータプログラムコードの形式により実現されてもよく、このコンピュータプログラムコードがコンピュータにロード及び実行されるとき、当該コンピュータは本発明を実現するシステムになる。汎用プロセッサ上で実現されると、コンピュータプログラムコードセグメントは、特定の論理回路を生成するようプロセッサを構成する。
本発明によるブラインド音源分離(BSS)技術は、時間的及び空間的に相関する雑音が存在する場合において良好な実行可能性を有する低信号対雑音比において良好に実行するロウバストな高次キュムラントに基づく主要な要素のブラインド音源分離技術を提供する。さらに、一様でないゲインの方向センサによるブラインド音源分離に適した空間4次キュムラント行列の新たな定義が与えられ、時間情報を利用した空間4次キュムラント行列束の定義が与えられ、アルゴリズムのパフォーマンスの尺度としての分離パワー効率の概念が与えられ、行列束間の広い意味での等価の概念が与えられた。
本発明によるBSS技術の用途には、信号知能に対するスペクトルモニタリングや、電波天文学などの、ガウスランダム雑音過程がアレーからの受信信号を凌駕する他の用途が含まれる。本発明による4次アレー信号処理BSS技術は、検出、分類及び識別のため、同一チャネルのエミッタを分離するため、空間情報を利用することができる。これは、環境背景電磁照射と隠匿手段としての既知の同一チャネルエミッタを利用しうるLPD(Low Probability of Detection)あるいはLPI(Low Probability of Intercept)のため設計された信号の検出に、特に適用可能である。本発明による空間4次キュムラント行列束に基づくブラインド音源分離技術は、個々のセンサの雑音下限近傍またはそれ以下の未知の同一チャネルエミッタをブラインド分離することができる。
ここでは、特定の実施例を参照して例示及び説明がなされたが、ここで説明されるようなBSS技術は、示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、クレームの均等物の範囲内に属し、本発明の趣旨を逸脱しない詳細さにより様々な変更が可能であるかもしれない。
図1は、本発明の一実施例による空間4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離を実行するシステムの機能ブロック図である。 図2は、本発明の一実施例によるアレー信号処理及びBSS処理を実行するための信号源、アレー素子及びプロセッサを示す。 図3は、相異なる放射パターンを有する5つの未知の音源と、相異なる受信パターンを有する5つのセンサを示すMIMOブラインドチャネル推定シナリオを示す。 図4は、センサと音源との間の時間遅延を図示する。 図5は、分離過程に与えられる雑音と混合される入力信号を示すブラインド音源分離(BSS)を示す図である。 図6は、1つの繰り返し固有値に対する分離過程の繰り返し処理を示す図である。 図7は、本発明の一実施例による空間4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離を実行するプロセスのフロー図である。 図8は、図7のフロー図の続きである。

Claims (11)

  1. 複数の音源により与えられ、複数の素子からなるアレーにより受信される複数の信号を分離する方法であって、
    前記複数の素子による前記複数の信号の受信間の時間差と、空間4次キュムラント行列束との関数として分離行列を生成するステップと、
    前記分離行列と前記複数の信号の時系列行列表現とを乗算するステップと、
    から構成される方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、
    前記空間4次キュムラント行列束は、空間4次キュムラント行列の関数であることを特徴とする方法。
  3. 請求項2記載の方法であって、
    前記空間4次キュムラント行列は、
    Figure 0004271041
    に従い、ここで、
    (τ,τ,τ)は、各自が前記複数の音源の1つから前記複数の素子の1つまでの時間遅延を示す第1タイムラグτ、第2タイムラグτ及び第3タイムラグτを有する空間4次キュムラント行列であり、
    Nは、前記アレーの素子数を示し、
    Figure 0004271041
    は、引数
    Figure 0004271041
    に対するキュムラント演算子であり、
    tは、時間を表す変数であり、
    (t−τ)は、時間t−τにおける第i音源からの前記複数の信号の1つの複素共役を表し、
    (t−τ)は、時間t−τにおける第i音源からの前記複数の信号の1つを表し、
    ベクトルx(t)は、前記複数の信号のベクトル表記であり、及び
    ベクトルx(t−τ)は、ベクトルx(t−τ)のエルミート転置を表す、
    ことを特徴とする方法。
  4. 請求項1記載の方法であって、
    前記複数の素子の少なくとも2つは、同一でないビームパターンを有することを特徴とする方法。
  5. 請求項1記載の方法であって、さらに、
    前記複数の信号から信号を分離する効率性を計算するステップを有し、
    前記効率性は、分離された信号のパワーと各自の音源からの信号のパワーとの比の関数であることを特徴とする方法。
  6. 複数の音源により与えられる複数の信号を分離するシステムであって、
    前記複数の信号を受信し、受信した信号を提供する受信機と、
    前記受信信号を受信し、分離行列を生成し、前記分離行列と前記受信信号の時系列行列表現とを乗算する信号プロセッサとを有し、
    前記分離行列は、前記受信機による前記複数の信号の受信間の時間差と空間4次キュムラント行列束との関数であることを特徴とするシステム。
  7. 請求項6記載のシステムであって、
    前記受信機は、アレーを形成するよう構成される複数の素子から構成されることを特徴とするシステム。
  8. 請求項7記載のシステムであって、
    前記空間4次キュムラント行列束は、個々の音源信号の4次キュムラントによりスケーリングされたステアリングベクトルの外積の和である空間4次キュムラント行列の関数であり、
    前記ステアリングベクトルは、前記複数の素子の各素子間の位相遅延を示す、
    ことを特徴とするシステム。
  9. 請求項8記載のシステムであって、
    前記空間4次キュムラント行列は、
    Figure 0004271041
    に従い、ここで、
    (τ,τ,τ)は、各自が前記複数の音源の1つから前記複数の素子の1つまでの時間遅延を示す第1タイムラグτ、第2タイムラグτ及び第3タイムラグτを有する空間4次キュムラント行列であり、
    Nは、前記アレーの素子数を示し、
    Figure 0004271041
    は、引数
    Figure 0004271041
    に対するキュムラント演算子であり、
    tは、時間を表す変数であり、
    (t−τ)は、時間t−τにおける第i音源からの前記複数の信号の1つの複素共役を表し、
    (t−τ)は、時間t−τにおける第i音源からの前記複数の信号の1つを表し、
    ベクトルx(t)は、前記複数の信号のベクトル表記であり、及び
    ベクトルx(t−τ)は、ベクトルx(t−τ)のエルミート転置を表す、
    ことを特徴とするシステム。
  10. 請求項6記載のシステムであって、
    前記信号プロセッサは、
    前記時間差の選択されたものの関数として前記空間4次キュムラント行列束を推定する行列束推定部と、
    前記空間4次キュムラント行列束に対し、非ゼロの有限固有値を決定する非零有限固有値決定部と、
    相異なる前記有限固有値の個数を決定する相異なる固有値数決定部と、
    前記相異なる有限固有値の重複度を決定する重複度決定部と、
    前記相異なる有限固有値のそれぞれに対し、線形独立固有ベクトルを計算する線形独立固有ベクトル計算部と、
    1に等しい重複度を有する各固有値に対して、正規化係数を計算し、前記正規化係数と前記1に等しい重複度を有する固有ベクトルの関数として各自の分離ベクトルを生成する正規化係数部と、
    各繰り返しの固有値に対して、該繰り返しの固有値に属する固有ベクトルの重複度を利用して、分離ベクトルの線形独立集合を生成する分離ベクトル生成部と、
    前記分離ベクトルの関数として前記分離行列を生成する分離行列生成部と、
    を有することを特徴とするシステム。
  11. 請求項6記載のシステムであって、
    前記効率性は、
    Figure 0004271041
    に従うものであり、ただし、
    ζは、前記複数の音源の第j音源に対する前記分離パワー効率を示し、
    は、前記第j音源からの分離信号のパワーを示し、
    は、前記第j音源からの信号の正規化パワーを示す、
    ことを特徴とするシステム。
JP2003586801A 2002-04-22 2003-04-14 空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離 Expired - Lifetime JP4271041B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US37414902P 2002-04-22 2002-04-22
PCT/US2003/011473 WO2003090127A1 (en) 2002-04-22 2003-04-14 Blind source separation utilizing a spatial fourth order cumulant matrix pencil

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005523475A JP2005523475A (ja) 2005-08-04
JP4271041B2 true JP4271041B2 (ja) 2009-06-03

Family

ID=29251149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003586801A Expired - Lifetime JP4271041B2 (ja) 2002-04-22 2003-04-14 空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離

Country Status (8)

Country Link
US (2) US6711528B2 (ja)
EP (1) EP1500007B1 (ja)
JP (1) JP4271041B2 (ja)
CN (1) CN100386764C (ja)
AT (1) ATE487187T1 (ja)
AU (1) AU2003223605A1 (ja)
DE (1) DE60334790D1 (ja)
WO (1) WO2003090127A1 (ja)

Families Citing this family (119)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE521024C2 (sv) * 1999-03-08 2003-09-23 Ericsson Telefon Ab L M Metod och anordning för att separera en blandning av källsignaler
US7952511B1 (en) 1999-04-07 2011-05-31 Geer James L Method and apparatus for the detection of objects using electromagnetic wave attenuation patterns
US6711528B2 (en) * 2002-04-22 2004-03-23 Harris Corporation Blind source separation utilizing a spatial fourth order cumulant matrix pencil
JP4309110B2 (ja) * 2002-09-27 2009-08-05 パナソニック株式会社 適応アンテナ無線通信装置
US7187326B2 (en) * 2003-03-28 2007-03-06 Harris Corporation System and method for cumulant-based geolocation of cooperative and non-cooperative RF transmitters
US6931362B2 (en) * 2003-03-28 2005-08-16 Harris Corporation System and method for hybrid minimum mean squared error matrix-pencil separation weights for blind source separation
FR2853480B1 (fr) * 2003-04-01 2005-06-17 Procede et dispositif d'identification autodidacte d'un melange sous-determine de sources au quatrieme ordre
FR2853427B1 (fr) * 2003-04-01 2005-06-17 Thales Sa Procede d'identification aveugle de melanges de sources aux ordres superieurs
US7672834B2 (en) * 2003-07-23 2010-03-02 Mitsubishi Electric Research Laboratories, Inc. Method and system for detecting and temporally relating components in non-stationary signals
JP4000095B2 (ja) * 2003-07-30 2007-10-31 株式会社東芝 音声認識方法、装置及びプログラム
WO2005040739A2 (en) * 2003-10-22 2005-05-06 Softmax, Inc. System and method for spectral analysis
FR2862173B1 (fr) * 2003-11-07 2006-01-06 Thales Sa Procede de demodulation aveugle aux ordres superieurs d'un emetteur de forme d'onde lineaire
GB0326539D0 (en) 2003-11-14 2003-12-17 Qinetiq Ltd Dynamic blind signal separation
US20100265139A1 (en) * 2003-11-18 2010-10-21 Harris Corporation System and method for cumulant-based geolocation of cooperative and non-cooperative RF transmitters
US7139536B2 (en) * 2003-12-02 2006-11-21 Mediatek Inc. Method and apparatus for I/Q imbalance calibration of a transmitter system
US8204149B2 (en) 2003-12-17 2012-06-19 Qualcomm Incorporated Spatial spreading in a multi-antenna communication system
US7336746B2 (en) * 2004-12-09 2008-02-26 Qualcomm Incorporated Data transmission with spatial spreading in a MIMO communication system
US8169889B2 (en) 2004-02-18 2012-05-01 Qualcomm Incorporated Transmit diversity and spatial spreading for an OFDM-based multi-antenna communication system
US20050180312A1 (en) * 2004-02-18 2005-08-18 Walton J. R. Transmit diversity and spatial spreading for an OFDM-based multi-antenna communication system
KR100600313B1 (ko) 2004-02-26 2006-07-14 남승현 다중경로 다채널 혼합신호의 주파수 영역 블라인드 분리를 위한 방법 및 그 장치
US20050238111A1 (en) * 2004-04-09 2005-10-27 Wallace Mark S Spatial processing with steering matrices for pseudo-random transmit steering in a multi-antenna communication system
US8285226B2 (en) * 2004-05-07 2012-10-09 Qualcomm Incorporated Steering diversity for an OFDM-based multi-antenna communication system
US8923785B2 (en) * 2004-05-07 2014-12-30 Qualcomm Incorporated Continuous beamforming for a MIMO-OFDM system
US7356075B2 (en) * 2004-05-24 2008-04-08 General Dynamics C4 Systems, Inc. Method and apparatus for signal separation
US7110463B2 (en) 2004-06-30 2006-09-19 Qualcomm, Incorporated Efficient computation of spatial filter matrices for steering transmit diversity in a MIMO communication system
US7978649B2 (en) 2004-07-15 2011-07-12 Qualcomm, Incorporated Unified MIMO transmission and reception
US7978778B2 (en) 2004-09-03 2011-07-12 Qualcomm, Incorporated Receiver structures for spatial spreading with space-time or space-frequency transmit diversity
JP4660773B2 (ja) * 2004-09-14 2011-03-30 国立大学法人北海道大学 信号到来方向推定装置、信号到来方向推定方法、および信号到来方向推定用プログラム
US7190308B2 (en) * 2004-09-23 2007-03-13 Interdigital Technology Corporation Blind signal separation using signal path selection
US7860182B2 (en) * 2004-09-23 2010-12-28 Interdigital Technology Corporation Receiver hardware reduction for spatially independent signals and associated methods
US7414579B2 (en) * 2004-09-23 2008-08-19 Interdigital Technology Corporation Blind signal separation using correlated antenna elements
FR2887379B1 (fr) * 2005-06-17 2007-08-31 Thales Sa Procede de demodulation aveugle aux ordres superieurs de plusieurs emetteurs de forme d'onde lineaire
US7876845B2 (en) * 2005-06-22 2011-01-25 Eices Research, Inc. Wireless communications systems and/or methods providing low interference, high privacy and/or cognitive flexibility
US8050337B2 (en) * 2005-06-22 2011-11-01 Eices Research, Inc. Systems, methods, devices, and/or computer program products for providing communications devoid of cyclostationary features
US8233554B2 (en) 2010-03-29 2012-07-31 Eices Research, Inc. Increased capacity communications for OFDM-based wireless communications systems/methods/devices
US8670493B2 (en) 2005-06-22 2014-03-11 Eices Research, Inc. Systems and/or methods of increased privacy wireless communications
USRE47633E1 (en) 2005-06-22 2019-10-01 Odyssey Wireless Inc. Systems/methods of conducting a financial transaction using a smartphone
JP2007034184A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Kobe Steel Ltd 音源分離装置,音源分離プログラム及び音源分離方法
US7330801B2 (en) * 2005-07-29 2008-02-12 Interdigital Technology Corporation Signal separation using rank deficient matrices
US7599714B2 (en) * 2005-09-30 2009-10-06 Alcatel-Lucent Usa Inc. Increasing the range of access point cells for a given throughput in a downlink of a wireless local area network
US7769118B2 (en) * 2006-02-10 2010-08-03 Interdigital Technolgy Corporation Method and apparatus for equalizing received signals based on independent component analysis
WO2007103037A2 (en) * 2006-03-01 2007-09-13 Softmax, Inc. System and method for generating a separated signal
US8543070B2 (en) 2006-04-24 2013-09-24 Qualcomm Incorporated Reduced complexity beam-steered MIMO OFDM system
US8290089B2 (en) * 2006-05-22 2012-10-16 Qualcomm Incorporated Derivation and feedback of transmit steering matrix
JP2007324754A (ja) * 2006-05-30 2007-12-13 Ntt Docomo Inc 信号受信区間検出器
US7603245B2 (en) * 2006-06-20 2009-10-13 Southwest Research Institute Blind estimation of bandwidth and duration parameters of an incoming signal
EP2035854B1 (en) * 2006-06-27 2014-04-16 Telefonaktiebolaget LM Ericsson (publ) A radio frequency emitter detection and location method and system
CN100433046C (zh) * 2006-09-28 2008-11-12 上海大学 一种基于稀疏变换的图像盲源分离方法
JP5034469B2 (ja) * 2006-12-08 2012-09-26 ソニー株式会社 情報処理装置および情報処理方法、並びに、プログラム
US7555064B2 (en) * 2007-08-27 2009-06-30 Harris Corporation System and method for estimating noise power level in a multi-signal communications channel
US7499515B1 (en) 2007-08-27 2009-03-03 Harris Corporation System and method for automated link quality measurement for adaptive modulation systems using noise level estimates
US20090060008A1 (en) * 2007-08-29 2009-03-05 Harris Corporation System and method for blind source separation of signals using noise estimator
US7447276B1 (en) 2007-08-29 2008-11-04 Harris Corporation Receiver and method for blind adaptive thresholding using noise estimator
US7884602B2 (en) * 2007-09-18 2011-02-08 Baker Hughes Incorporated Nuclear magnetic resonance evaluation using independent component analysis (ICA)-based blind source separation
US9374746B1 (en) 2008-07-07 2016-06-21 Odyssey Wireless, Inc. Systems/methods of spatial multiplexing
US8195118B2 (en) 2008-07-15 2012-06-05 Linear Signal, Inc. Apparatus, system, and method for integrated phase shifting and amplitude control of phased array signals
JP5305841B2 (ja) * 2008-11-04 2013-10-02 三菱電機株式会社 信号処理装置
US8707138B2 (en) * 2009-05-28 2014-04-22 Xieon Networks S.A.R.L. Method and arrangement for blind demultiplexing a polarisation diversity multiplex signal
EP2476008B1 (en) 2009-09-10 2015-04-29 Rudjer Boskovic Institute Underdetermined blind extraction of components from mixtures in 1d and 2d nmr spectroscopy and mass spectrometry by means of combined sparse component analysis and detection of single component points
US8340588B2 (en) * 2009-09-18 2012-12-25 Her Majesty The Queen In Right Of Canada As Represented By The Minister Of National Defence Handheld synthetic antenna array
CA2693012C (en) * 2009-09-18 2015-06-23 Her Majesty The Queen In Right Of Canada As Represented By The Ministeof National Defence Signal detection in fading environments
US8666734B2 (en) 2009-09-23 2014-03-04 University Of Maryland, College Park Systems and methods for multiple pitch tracking using a multidimensional function and strength values
US8872719B2 (en) 2009-11-09 2014-10-28 Linear Signal, Inc. Apparatus, system, and method for integrated modular phased array tile configuration
CN101729157B (zh) * 2009-12-11 2016-02-17 南京航空航天大学 一种强噪声环境下的振动信号盲源分离方法
US8548067B2 (en) * 2010-01-29 2013-10-01 Goran Ivkovic Single sensor radio scene analysis for packet based radio signals using 2nd and 4th order statistics
CN101807301B (zh) * 2010-03-17 2012-11-07 北京航空航天大学 一种基于高阶统计量的高光谱图像目标检测方法
US9806790B2 (en) 2010-03-29 2017-10-31 Odyssey Wireless, Inc. Systems/methods of spectrally efficient communications
GB2481782A (en) * 2010-06-21 2012-01-11 Optimized Systems And Solutions Ltd Asset health monitoring
US9015093B1 (en) 2010-10-26 2015-04-21 Michael Lamport Commons Intelligent control with hierarchical stacked neural networks
US8775341B1 (en) 2010-10-26 2014-07-08 Michael Lamport Commons Intelligent control with hierarchical stacked neural networks
JP5675285B2 (ja) * 2010-11-10 2015-02-25 富士通テン株式会社 レーダ装置
US9015007B2 (en) * 2010-12-13 2015-04-21 Southwest Research Institute Sensor array processor with multichannel reconstruction from random array sampling
US8878726B2 (en) 2011-03-16 2014-11-04 Exelis Inc. System and method for three-dimensional geolocation of emitters based on energy measurements
US8878725B2 (en) * 2011-05-19 2014-11-04 Exelis Inc. System and method for geolocation of multiple unknown radio frequency signal sources
CN102288285B (zh) * 2011-05-24 2012-11-28 南京航空航天大学 一种单通道振动信号的盲源分离方法
US8615190B2 (en) 2011-05-31 2013-12-24 Exelis Inc. System and method for allocating jamming energy based on three-dimensional geolocation of emitters
US8723730B2 (en) 2011-07-27 2014-05-13 Exelis Inc. System and method for direction finding and geolocation of emitters based on line-of-bearing intersections
US9054870B2 (en) * 2012-10-22 2015-06-09 Donatello Apelusion Gassi Information security based on eigendecomposition
AU2014201436A1 (en) * 2013-03-22 2014-10-09 Cgg Services Sa System and method for interpolating seismic data
US10042037B2 (en) * 2014-02-20 2018-08-07 Nestwave Sas System and method for estimating time of arrival (TOA)
CN103973411B (zh) * 2014-04-10 2017-12-22 沈阳理工大学 一种差分空时编码信号盲检测方法
CN104267265B (zh) * 2014-09-30 2017-02-08 中国科学院新疆天文台 一种基于射电天文仪器设备电磁辐射的评估系统及方法
CN104796360B (zh) * 2015-04-09 2018-04-17 西安交通大学 一种基于ica滤波方法的信道估计方法
WO2017069727A1 (en) * 2015-10-19 2017-04-27 Halliburton Energy Services, Inc. T1 distribution-based logging systems and methods using blind source separation independent component analysis
CN105609112A (zh) * 2016-01-15 2016-05-25 苏州宾果智能科技有限公司 一种声源定位方法和装置及其时延估计方法和装置
EP3217575A1 (en) * 2016-03-08 2017-09-13 Xieon Networks S.à r.l. Adaptive constellation diagram reducing the impact of phase distortions
GB2550581A (en) * 2016-05-23 2017-11-29 Vodafone Ip Licensing Ltd Dynamic cyclic prefix configuration
US20180007045A1 (en) * 2016-06-30 2018-01-04 Mehdi Arashmid Akhavain Mohammadi Secure coding and modulation for optical transport
CN106226729B (zh) * 2016-07-15 2018-08-31 西安电子科技大学 基于四阶累量的互质阵列波达方向角估计方法
US10429491B2 (en) * 2016-09-12 2019-10-01 The Boeing Company Systems and methods for pulse descriptor word generation using blind source separation
US10324167B2 (en) 2016-09-12 2019-06-18 The Boeing Company Systems and methods for adding functional grid elements to stochastic sparse tree grids for spatial filtering
US10324168B2 (en) 2016-09-12 2019-06-18 The Boeing Company Systems and methods for spatial filtering using data with widely different error magnitudes
US10332530B2 (en) * 2017-01-27 2019-06-25 Google Llc Coding of a soundfield representation
US10985846B2 (en) * 2017-04-13 2021-04-20 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Signal separating apparatus and signal separating method
WO2018205169A1 (en) * 2017-05-10 2018-11-15 Huawei Technologies Co., Ltd. Method and device for estimating a time of arrival of a radio signal
CN108366034B (zh) * 2018-02-11 2020-02-14 哈尔滨工程大学 高阶单通道数模一体化通信方法及系统
CN108594194A (zh) * 2018-03-19 2018-09-28 长江大学 基于四线性分解的双基地mimo雷达角度估算方法
CN108872928A (zh) * 2018-03-19 2018-11-23 长江大学 基于四线性分解的平面阵列角度的估算方法
CN109188473B (zh) * 2018-07-26 2020-12-15 广东工业大学 基于盲分离技术的北斗卫星微弱信号高精度快速捕获方法
CN109192220B (zh) * 2018-08-02 2022-11-11 福建师范大学福清分校 一种比例微分控制的混合信号自适应快速分离方法
CN109547371B (zh) * 2019-01-17 2020-06-05 西安电子科技大学 基于准高次方谱的信号处理方法
KR102192564B1 (ko) * 2019-01-23 2020-12-17 국방과학연구소 Mimo 인지 무선 통신 시스템의 서브 단말의 수신기 성능 제어 장치 및 그 방법
CN110236589B (zh) * 2019-06-03 2022-04-29 苏州美糯爱医疗科技有限公司 一种电子听诊器的实时心肺音自动分离方法
US11108457B2 (en) 2019-12-05 2021-08-31 Bae Systems Information And Electronic Systems Integration Inc. Spatial energy rank detector and high-speed alarm
CN111027645B (zh) * 2019-12-27 2023-05-26 北京工业大学 一种基于子阶段内高阶统计量构建的微生物发酵过程故障监测方法
CN111025424B (zh) * 2020-01-06 2021-09-07 中国石油化工股份有限公司 叠前时间偏移响应算子量化评判方法
CN111239718B (zh) * 2020-01-17 2022-11-15 电子科技大学 一种基于单星辐射源的多基站目标定位方法
CN112307927A (zh) * 2020-10-26 2021-02-02 重庆邮电大学 基于bp网络针对非合作通信中mpsk信号的识别研究
CN112881975B (zh) * 2021-01-08 2023-09-08 电子科技大学 基于子阵特征矩阵联合对角化的单脉冲和差波束测角方法
CN112885366A (zh) * 2021-01-18 2021-06-01 宇龙计算机通信科技(深圳)有限公司 主动降噪方法、装置、存储介质以及终端
CN113376604A (zh) * 2021-05-17 2021-09-10 西安电子科技大学 基于盲源分离的机载三维异构阵杂波与干扰抑制方法
CN113591537B (zh) * 2021-05-19 2024-03-22 西安电子科技大学 一种双迭代非正交联合块对角化卷积盲源分离方法
CN113345456B (zh) * 2021-05-31 2023-06-06 北京小米移动软件有限公司 回声分离方法、装置及存储介质
CN114039824B (zh) * 2021-11-09 2022-08-09 北京邮电大学 基于位操作和分层枚举球面成形的数据传输方法及系统
CN114095045B (zh) * 2022-01-24 2022-05-06 成都航天通信设备有限责任公司 基于星座拟形调制的通信方法、装置及系统
CN114371145A (zh) * 2022-03-21 2022-04-19 武汉工程大学 奶油混合色素的检测方法、装置、电子设备及存储介质
CN115604061B (zh) * 2022-08-30 2024-04-09 电子科技大学 一种基于外部注意力机制的射频信号调制方式识别方法
CN115694710A (zh) * 2022-10-12 2023-02-03 香港理工大学深圳研究院 双偏振联合信号噪声处理方法和噪声处理装置
CN116866124A (zh) * 2023-07-13 2023-10-10 中国人民解放军战略支援部队航天工程大学 一种基于基带信号时间结构的盲分离方法

Family Cites Families (46)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3031527A (en) * 1959-09-08 1962-04-24 Manson Lab Inc Ultra stable frequency shift keying system
US3223925A (en) * 1962-01-29 1965-12-14 Ibm Digital data modulation device
US5493612A (en) * 1962-03-27 1996-02-20 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Secure communication keying system
US4166980A (en) * 1977-08-25 1979-09-04 Sanders Associates, Inc. Method and apparatus for signal recognition
JPS5537002A (en) * 1978-08-24 1980-03-14 Fujitsu Ltd Fs modulation system
US4506225A (en) * 1981-12-28 1985-03-19 Barringer Research Limited Method for remote measurement of anomalous complex variations of a predetermined electrical parameter in a target zone
US4607305A (en) 1983-02-08 1986-08-19 Ampex Corporation Monolithic multichannel multistack magnetic transducer assembly and method of manufacturing thereof
US4965732A (en) * 1985-11-06 1990-10-23 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Methods and arrangements for signal reception and parameter estimation
CA1273411A (en) * 1986-02-14 1990-08-28 Lajos Gazsi Digital circuit for sampling rate variation and signal filtering and method for constructing the circuit
IL97345A0 (en) * 1991-02-24 1992-05-25 Univ Ramot Method and apparatus for blind deconvolution
US5651030A (en) * 1991-05-06 1997-07-22 Motorola, Inc. Receiver with signal classifier
IL101556A (en) * 1992-04-10 1996-08-04 Univ Ramot Multi-channel signal separation using cross-polyspectra
IT1270935B (it) * 1993-05-12 1997-05-16 Sixtel Spa Dispositivo di comunicazione per reti informatiche, particolarmente del tipo cordless
US5459668A (en) * 1993-06-04 1995-10-17 University Of Southern California Method and apparatus for signal analysis employing a virtual cross-correlation computer
US5381450A (en) * 1993-08-20 1995-01-10 Hitachi America, Ltd. Technique for automatically detecting the constellation size of a quadrature amplitude modulated (QAM) signal
US6252962B1 (en) 1994-04-22 2001-06-26 Raytheon Company Featureless covert communication system
US5640419A (en) 1994-07-19 1997-06-17 Grumman Aerospace Corporation Covert communication system
US5706402A (en) * 1994-11-29 1998-01-06 The Salk Institute For Biological Studies Blind signal processing system employing information maximization to recover unknown signals through unsupervised minimization of output redundancy
FR2730881A1 (fr) * 1995-02-22 1996-08-23 Philips Electronique Lab Systeme pour estimer des signaux recus sous forme de signaux melanges
US6208295B1 (en) 1995-06-02 2001-03-27 Trw Inc. Method for processing radio signals that are subject to unwanted change during propagation
US6018317A (en) * 1995-06-02 2000-01-25 Trw Inc. Cochannel signal processing system
US6535666B1 (en) * 1995-06-02 2003-03-18 Trw Inc. Method and apparatus for separating signals transmitted over a waveguide
US6658234B1 (en) * 1995-06-02 2003-12-02 Northrop Grumman Corporation Method for extending the effective dynamic range of a radio receiver system
US5848160A (en) 1996-02-20 1998-12-08 Raytheon Company Digital synthesized wideband noise-like waveform
US5893031A (en) * 1996-06-27 1999-04-06 Cellular Technical Services Company, Inc. System and method for collection of transmission characteristics
FR2755565B1 (fr) * 1996-11-07 1999-01-08 France Telecom Procede d'emission par une station de base equipee d'une antenne a plusieurs capteurs vers un mobile
US5996406A (en) * 1997-05-20 1999-12-07 Motorola, Inc. Advanced signal process for a material storage measuring device
US5959966A (en) * 1997-06-02 1999-09-28 Motorola, Inc. Methods and apparatus for blind separation of radio signals
US6185309B1 (en) * 1997-07-11 2001-02-06 The Regents Of The University Of California Method and apparatus for blind separation of mixed and convolved sources
US6167417A (en) * 1998-04-08 2000-12-26 Sarnoff Corporation Convolutive blind source separation using a multiple decorrelation method
EP1017253B1 (en) * 1998-12-30 2012-10-31 Siemens Corporation Blind source separation for hearing aids
SE521024C2 (sv) * 1999-03-08 2003-09-23 Ericsson Telefon Ab L M Metod och anordning för att separera en blandning av källsignaler
US6177906B1 (en) * 1999-04-01 2001-01-23 Arraycomm, Inc. Multimode iterative adaptive smart antenna processing method and apparatus
US6426977B1 (en) 1999-06-04 2002-07-30 Atlantic Aerospace Electronics Corporation System and method for applying and removing Gaussian covering functions
GB9915103D0 (en) * 1999-06-28 1999-09-01 Northern Telecom Ltd A method of and apparatus for determining the capacity of a telecommunications system
GB9915842D0 (en) * 1999-07-06 1999-09-08 Btg Int Ltd Methods and apparatus for analysing a signal
US6449560B1 (en) * 2000-04-19 2002-09-10 Schlumberger Technology Corporation Sonic well logging with multiwave processing utilizing a reduced propagator matrix
US6681054B1 (en) * 2000-05-01 2004-01-20 Eastman Kodak Company Noise reduction method utilizing probabilistic weighting, apparatus, and program for digital image processing
JP4392109B2 (ja) * 2000-05-12 2009-12-24 パナソニック株式会社 到来方向推定装置
US20030204378A1 (en) * 2001-06-26 2003-10-30 Cai Khiem V. System and method for forming a beam and creating nulls with an adaptive array antenna using orthogonal eigen-weighting
US7068715B2 (en) * 2001-10-10 2006-06-27 Genral Electric Company Ultra-wideband communications system and method using a delay hopped, continuous noise transmitted reference
KR100795824B1 (ko) * 2001-12-08 2008-01-17 주식회사 세스텍 안테나 어레이를 구비한 통신시스템에서 다이버시티이득을 얻기 위한 신호 처리 방법 및 장치
US6711528B2 (en) * 2002-04-22 2004-03-23 Harris Corporation Blind source separation utilizing a spatial fourth order cumulant matrix pencil
US7068977B1 (en) * 2002-10-11 2006-06-27 Navini Networks, Inc. Method and system for interference assessment and reduction in a wireless communication system
AU2003247662A1 (en) * 2003-03-27 2004-11-23 Bae Systems Information And Electronic Systems Integration Inc Direction-finding for multiple cochannel sources
EP1489867A1 (en) * 2003-06-20 2004-12-22 Nortel Networks Limited Method and device for selecting parameters for a cellular radio communication network based on occurrence frequencies

Also Published As

Publication number Publication date
ATE487187T1 (de) 2010-11-15
WO2003090127A1 (en) 2003-10-30
US20030204380A1 (en) 2003-10-30
EP1500007A1 (en) 2005-01-26
EP1500007B1 (en) 2010-11-03
EP1500007A4 (en) 2009-09-02
US6711528B2 (en) 2004-03-23
US20030228017A1 (en) 2003-12-11
JP2005523475A (ja) 2005-08-04
AU2003223605A1 (en) 2003-11-03
CN1656485A (zh) 2005-08-17
DE60334790D1 (de) 2010-12-16
CN100386764C (zh) 2008-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4271041B2 (ja) 空間的4次キュムラント行列束を利用したブラインド音源分離
Zhou et al. Direction-of-arrival estimation for coprime array via virtual array interpolation
JP2007524860A (ja) ブラインド音源分離のハイブリッド最小平均2乗誤差の行列ペンシル分離の重み用のシステム及び方法
CN109407045B (zh) 一种非均匀传感器阵列宽带信号波达方向估计方法
Chen et al. RARE-based localization for mixed near-field and far-field rectilinear sources
Zheng et al. Classification and localization of mixed near-field and far-field sources using mixed-order statistics
Beck et al. Doubly constrained robust Capon beamformer with ellipsoidal uncertainty sets
Wu Localization of far-field and near-field signals with mixed sparse approach: A generalized symmetric arrays perspective
Birot et al. Sequential high-resolution direction finding from higher order statistics
Liang et al. Cramér-Rao bound analysis of underdetermined wideband DOA estimation under the subband model via frequency decomposition
Steinwandt et al. Beamspace direction finding based on the conjugate gradient and the auxiliary vector filtering algorithms
Wang et al. An importance sampling maximum likelihood direction of arrival estimator
Tian et al. Passive localization of mixed sources jointly using MUSIC and sparse signal reconstruction
Wu et al. A gridless one-step method for mixed far-field and near-field sources localization
Wang et al. Approaches and applications of semi-blind signal extraction for communication signals based on constrained independent component analysis: The complex case
Rahman et al. Location estimates from channel state information via binary programming
Pan Spherical harmonic atomic norm and its application to DOA estimation
Li et al. Localization of near-field sources based on sparse signal reconstruction with regularization parameter selection
Al-Sadoon et al. Construction of projection matrices based on non-uniform sampling distribution for AoA estimation
Hu et al. DOA estimation for wideband signals based on sparse signal reconstruction using prolate spheroidal wave functions
Zhou et al. Blind separation of partially overlapping data packets
Chen et al. A stochastic model of the time-variant MIMO channel based on experimental observations
Lee et al. Performance Analysis of Noise Signal Reduction Using
Pinto et al. Knowledge-aided parameter estimation based on Conjugate Gradient algorithms
Brahmi et al. Blind separation of cyclostationary sources sharing common cyclic frequencies using joint diagonalization algorithm

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20071010

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20071017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090127

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090224

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130306

Year of fee payment: 4