JP2007524860A - ブラインド音源分離のハイブリッド最小平均2乗誤差の行列ペンシル分離の重み用のシステム及び方法 - Google Patents

ブラインド音源分離のハイブリッド最小平均2乗誤差の行列ペンシル分離の重み用のシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

ブラインド分離を実行するために、信号部分空間のスペクトル推定と共にキュムラントを使用して、狭帯域の仮定で低信号対雑音+干渉比を有する統計的に独立した信号のブラインド音源分離(“BSS”)用の技術が開示される。BSS技術は、行列ペンシルの一般化固有分析で高次の統計方法(特に4次キュムラント)を使用し、空間的及び/又は時間的相関のガウス雑音で信号を分離する機能を有する低信号対雑音+干渉比で、未知の統計的に独立した定常狭帯域信号の線形混合をブラインド的に分離する。開示されたBSS技術は、任意の非校正センサアレイを使用した観測用の低SNR同一チャネル音源を分離する。開示されたBSS技術は、干渉エミッタ及びガウス雑音による平均2乗誤差を最小化するハイブリッド行列ペンシルの適応的アレイ重みを備えた分離行列を作る。ハイブリッド重みは、信号対干渉+雑音比を最大化する。

Description

本発明は、概して音源信号の混合から個々の音源信号を分離することに関し、特にブラインド音源分離(blind source separation)に関する。
しばしばブラインド音源分離(“BSS”:blind source separation)と呼ばれる信号処理の典型的な問題は、個々の信号の混合を有するコンポジット信号から個々の音源信号を回復することを有する。その例として、よく知られている“カクテルパーティ”効果があり、パーティの人が部屋の全ての音声の結合から信号の音声を分離することができる。分離は、しばしば信号及び信号の音源について限られた情報で実行されるため、“ブラインド”と呼ばれる。
ブラインド音源分離は、特にセルラ及びパーソナル無線通信技術に適用可能であり、多数の周波数帯域がしばしば同じスペクトルに共存する複数の電磁気エミッタで散乱されている。同一チャネルのエミッタの問題は、Bluetooth(商標)や他のパーソナルエリアネットワークのような低出力の無免許の無線技術の開発で、近い将来に悪化する一方であると予想される。これらの開発は、スペクトルの監視を実行するために、複数のセンサ及びアレイ信号処理技術の使用を生じている。このような技術は、空間情報の活用で、検出、分類及び識別用に同一チャネルのエミッタを分離することを可能にする。更に、低確率の検出(LPD:low probability of detection)又は低確率の傍受(LPI:low probability of intercept)用に設計された多数の信号は、隠蔽を用いて周囲の背景電磁気放射及び既知の同一チャネルのエミッタを使用することがある。そのようなエミッタに対して所要の感度で単一センサの受信システムを構成することは、概してかなり高くなる。従って、多くの用途はBSSとセンサアレイとを使用している。
前述の“Blind Source Separation Utilizing A Spatial Fourth Order Cumulant Matrix Pencil”に記載されているように、平滑化空間4次キュムラント行列定義(smoothed fourth-order cumulant matrix definition)を使用した1次行列ペンシル(first order matrix pencil)BSS法は、センサアレイの特性及び/又は雑音環境の非実用的な制限を回避するために開発された。それに記載されている手法は、ガウスランダム過程のより高次のキュムラントがゼロになるため、4次キュムラントがガウスセンサ雑音の空間又は時間相関に鈍感であるという事実を利用する。有利には、その方法は、ガウス雑音の部分空間を推定するために自由度を犠牲にせず、アレイにセンサが存在する限り、できるだけ多くの音源を分離するために全ての自由度を使用することを可能にする。複数の音源を分離する適応的複素センサの重みを推定するために、空間4次キュムラント行列の組が、異なるセンサからの観測の間で2つの異なるセットの時間差について形成される。
平滑化空間4次キュムラント行列(“SFOCM”:Spatial Fourth Order Cumulant Matrix)ペンシルの一般化固有値の分解は、適応的分離重みベクトルを検出するために使用される。一般化固有ベクトルは、1つのステアリングベクトル以外の全てに対して直交であり、正規化固有ベクトルから適応的重みが形成される。これらの重みは、他の干渉する音源による出力を最小化しつつ、特定の音源に利得を維持する。しかし、正規化固有ベクトルの重みは、センサでの付加的なガウス雑音による出力を低減しない。従って、改善したブラインド音源分離技術が望まれている。
従って、開示の対象の実施例は、SFOCMP手法の拡張及び対応物であり、干渉の出力及びガウスセンサ雑音の出力を最小化する。
本発明の一実施例では、それぞれ複数の音源により提供されて複数のエレメントを有するアレイにより受信された複数の信号を分離する方法は、複数のエレメントによる複数の信号の受信間の時間差と、空間4次キュムラント行列ペンシル又は一対の2次相関行列と、空間相関行列と、その複数の信号のステアリングベクトルとの関数として分離行列を生成することを有する。その方法はまた、複数の信号の行列表示で分離行列を乗算することを有する。
本発明の他の実施例では、それぞれ複数の音源により提供された複数の信号を分離するシステムは、複数の信号を受信して受信信号を提供する受信機を有する。そのシステムはまた、受信信号を受信し、分離行列を生成し、受信信号の行列表示で分離行列を乗算する信号プロセッサを有する。分離行列は、受信機による複数の信号の受信間の時間差と、空間4次キュムラント行列ペンシル又は一対の2次相関行列と、空間相関行列と、その複数の信号のステアリングベクトルとの関数である。
本発明に従ってブラインド音源分離(BSS)を実行する技術は、狭帯域の仮定のもとで低信号対雑音比で統計的に独立した信号のブラインド分離を実行するために、信号部分空間のスペクトル推定と共にキュムラントを利用する。このBSS技術は、2つの類似した空間4次キュムラント行列で定められた行列ペンシルの一般化固有分析を利用する。ここに開示されたBSS技術は、空間的及び/又は時間的相関のガウス雑音での信号を分離する機能を有する低信号対雑音比での未知の統計的に独立した狭帯域信号の線形混合をブラインド的に分離する行列ペンシルの一般化固有分析で、高次の統計的方法(特に4次キュムラント)を利用する。このBSS技術は、例えば音源の数がセンサの数に等しい場合での低信号対雑音比において、ブラインド分離を実行するために2次技術が見出されない場合に、信号をブラインド的に分離する方法を提供する。
このBSS技術を説明するために、異なる利得及び/又は指向性センサでのブラインド音源分離に適した空間4次キュムラント行列の定義と、時間情報を使用した空間4次キュムラント行列ペンシルの定義とが提供される。ここでの説明はまた、BSS技術の性能の指標として分離出力効率(separation power efficiency)の概念を利用し、行列ペンシル間の広義の同値の概念を行列代数の分野に適用する。
概要として、ここで説明するBSS技術は、低信号対雑音比での空間的及び/又は時間的相関雑音の存在でブラインド音源分離を実行するために、信号部分空間のスペクトル推定技術と共にキュムラントを利用する。キュムラントに基づいて分離アルゴリズムを導く前に、狭帯域のアレイモデルが作られ、全ての仮定が記述され、4つの性能の指標が定義され、空間キュムラント行列から抽出される空間混合行列情報を考慮した関連のキュムラント特性が提示される。次に、混合行列についての空間情報を抽出するためにどの数学的方法が有効であるかを決定するために、新規な空間キュムラント行列の定義が作られ、その関連の行列特性が導かれる。更に、空間4次キュムラント行列の2つの代替の定義が記述され、関連の属性が導かれる。更に、2つの類似の空間4次キュムラント行列で定められた行列ペンシルの定義、特性及び一般化固有分析の使用が検討され、ブラインド音源分離問題を解決する適用性が調べられる。行列ペンシルを使用した信号部分空間に基づくブラインド音源分離を実行する処理が記述される。その処理において、行列ペンシルの間の広義の同値の概念が作られ、2つの類似の空間4次キュムラント行列で定められた行列ペンシルの一般化固有値が、時間差のセット(0,0,0)での各音源の4次キュムラントに対する時間差のセット(τ123)での4次キュムラントの比に等しいことを示すために使用される。従って、正規化4次自己キュムラント関数の概念が導入される。このBSS技術を理解する際の更なる補助のため、ここで使用される表記を以下に示す。
M=音源の数
N=センサの数
Pj=第jの音源信号の正規化出力
mj(t)=第jの音源からの連続時間ユニット出力変調信号
sj(t)=第jの音源からの連続時間信号
(外15)
Figure 2007524860

rj(t)=sj(t)の遅延バージョン
xi(t)=第iのセンサからの連続時間信号
(外16)
Figure 2007524860

=センサ出力のベクトル
hij(t)=第jの音源と第iのセンサとの間のチャネルの連続時間インパルス応答
ni(t)=第iのセンサでの付加的雑音過程
σi 2=第iのセンサでの雑音過程の分散
τij=第jの音源から第iのセンサまでの伝搬遅延
Δτl,k,j=“差分時間遅延”。第jの音源の出力から第kのセンサの出力までの伝搬遅延と、第jの音源の出力から第lのセンサの出力までの伝搬遅延の差。
ljkj
(外17)
Figure 2007524860

=第jの音源からアレイの周辺の何らかの任意の基準点までの“基準時間遅延”
Δτij=“相対時間遅延”。第jの音源から第iのセンサまでの伝播時間とアレイ基準点の差。
τ=定常過程の相関での時間差
νij=狭帯域モデルの第iのセンサでの第jの音源の複素重み。“混合行列”のijエレメント。第jのステアリングベクトルの第iのエレメント。
(外18)
Figure 2007524860

=狭帯域モデルの第jの“ステアリングベクトル”
(外19)
Figure 2007524860

=狭帯域も出るの“混合行列”
wij=狭帯域の場合の第iのセンサでの第jの音源の混合重み。“分離行列”のijエレメント。第jのセンサの重みベクトルの第iのエレメント。
(外20)
Figure 2007524860

=第jの音源のハイブリッドMMSE重みベクトル推定値
(外21)
Figure 2007524860

=“分離行列”
αij=第iの音源出力から第jのセンサ出力までのチャネルの実数値利得(減衰)
BWNEq[]=雑音相当の帯域
BWij COH=第jの音源と第iのセンサとの間のチャネルのコヒーレンス帯域
yj(t)=分離処理からの第jの出力。第jの遅延音源信号rj(t)の雑音推定値。
y(t)=分離処理からの出力信号のベクトル
ρj=第jの信号損失項。“損失”行列のエレメント。
Sj=第jの音源信号の分離処理の出力信号の出力
Ij=第jの分離処理の出力の残差干渉出力
Nj=第jの分離処理の出力の雑音出力
ζj=第jの分離処理の出力の“干渉対信号比”
ISRavg=“平均干渉対信号比”
ISRmax=“最大干渉対信号比”
ξj=第jの音源のブラインド音源分離アルゴリズムの“出力効率”
ξavg=ブラインド音源分離アルゴリズムの“平均出力効率”
ξmin=ブラインド音源分離アルゴリズムの“最小出力効率”
(外22)
Figure 2007524860

=遅延量τ123を有するNxNの“空間4次キュムラント行列1”
(外23)
Figure 2007524860

=遅延量τ123を有するNxNの“空間4次キュムラント行列2”
(外24)
Figure 2007524860

=遅延量τ123を有するNxNの“空間4次キュムラント行列3”
Cum[]=キュムラント演算子
crj 4123)=遅延量τ123を有する第jの音源信号の4次キュムラント。4次自己キュムラントとも呼ばれる。
(外25)
Figure 2007524860

=“変更混合行列”。Hadamard Product
(外26)
Figure 2007524860

としても定義される。
(外27)
Figure 2007524860

=遅延量τ123を有する第jの音源信号の正規化4次キュムラント。正規化4次自己キュムラントとも呼ばれる。
(外28)
Figure 2007524860

=遅延量τ123を有するMxMの“4次信号キュムラント行列”
(外29)
Figure 2007524860

=行列の“列空間”
Nr()=行列の“右零空間”
Nl()=行列の“左零空間”
(外30)
Figure 2007524860

=NxNの単位行列
tr()=行列の“トレース”
sp()=部分空間の“スパン”
ρ()=行列の“階数”
(外31)
Figure 2007524860

=遅延量{τ123}のセットのベクトル表記
(外32)
Figure 2007524860

=空間4次キュムラント行列1の対を使用した“空間4次キュムラント行列ペンシル”
(外33)
Figure 2007524860

=空間4次キュムラント行列2の対を使用した“空間4次キュムラント行列ペンシル”
(外34)
Figure 2007524860

=空間4次キュムラント行列3の対を使用した“空間4次キュムラント行列ペンシル”
(外35)
Figure 2007524860

=対角4次信号キュムラント行列の対を使用した“4次信号キュムラント行列ペンシル”
(外36)
Figure 2007524860

=推定ゼロの遅延量の空間相関行列
(外37)
Figure 2007524860

=第jの音源の干渉対雑音相関行列推定値
(外38)
Figure 2007524860

=行列
(外39)
Figure 2007524860

及び
(外40)
Figure 2007524860

で定められたペンシルの“スペクトル”。一般化固有値のセット。
(外41)
Figure 2007524860

=行列
(外42)
Figure 2007524860

及び
(外43)
Figure 2007524860

で定められたペンシルの“有限スペクトル”。非ゼロの有限の一般化固有値のセット。
λj=空間4次キュムラント行列の対で定められたペンシルの“第jの固有値”。多重度を計算してMのこのような固有値が存在する。λjはμkのKの値のうち1つを取る。
μk=空間4次キュムラント行列の対で定められたペンシルの“第kの別個の固有値”。λjのセットが取るKのこのような値が存在する。
gk=インデックス{j}のセット。λjk
(外44)
Figure 2007524860

=固有値λjに関連する空間4次キュムラント行列の対で定められたNx1の“固有ベクトル”
εj=
(外45)
Figure 2007524860

γj=第jの固有ベクトルの“正規化因数”
(外46)
Figure 2007524860

ηk geom=固有値の“幾何学的”多重度
ηk alg=固有値の“代数的”多重度
ηk=“ηk geomk alg”であるときの固有値の“多重度”
*=使用状況に応じて、共役又は畳み込み
図1は、本発明の実施例に従って空間4次キュムラント行列ペンシルを使用して、ブラインド音源分離を実行するシステム100の機能ブロック図である。システム100は、受信機11と信号プロセッサ12とを有する。受信機11は信号s(t)を受信する。その信号s(t)は、それぞれ複数の音源により提供された複数の信号を示しており、信号x(t)を信号プロセッサ12に提供する。受信機11は、信号s(t)を受信するように構成された如何なる適切な受信機でもよい。例えば、信号s(t)は、音響信号、光信号、地震信号、電磁気信号又はその組み合わせでもよく、受信機11は、それぞれの種類の信号を受信するように構成されてもよい。一実施例では、受信機11は、複数のエレメントを有するアレイとして構成される。信号s(t)は、受信されて適切に処理され(例えば時間遅延及び多重化)、信号x(t)の形式で信号プロセッサ14に提供される。
信号プロセッサ12は、汎用コンピュータ、ラップトップコンピュータ、特殊目的コンピュータ、ハードウェア実装のプロセッサ又はその組み合わせのように、信号x(t)を処理するように構成された如何なる適切なプロセッサでもよい。信号x(t)は、光信号、電磁気信号、デジタル信号、及びアナログ信号、又はその組み合わせのように、如何なる形式でもよい。以下に詳細に説明するように、信号プロセッサ12は、行列ペンシル推定部13と、非ゼロ有限固有値決定部14と、別個の固有値数決定部16と、線形独立固有ベクトル計算部17と、正規化因数計算部18と、分離ベクトル生成部19と、分離行列生成部20と、最適分離出力効率計算部21とを有する。行列ペンシル推定部13は、受信機11のエレメントへの信号s(t)の到達の時間差の関数として、空間4次キュムラント行列ペンシルを推定するように構成される。別個の固有値数決定部15は、別個の固有値の数を決定するように構成される。多重度決定部16は、別個の有限の固有値のそれぞれの多重度を決定するように構成される。線形独立固有ベクトル計算部17は、別個の有限の固有値毎に線形独立の固有ベクトルを計算するように構成される。正規化因数部18は、1に等しい多重度を有する固有値毎に正規化因数を計算し、1に等しい多重度を有する固有値に対応する正規化ベクトルと固有ベクトルとの関数として、各分離ベクトルを生成するように構成される。分離ベクトル生成部19は、繰り返しの固有値毎に、繰り返しの固有値に対応する固有ベクトルの関数として分離ベクトルを生成するように構成される。分離行列生成部20は、分離ベクトルの関数として分離行列を生成するように構成される。最適分離出力効率計算部21は、式ζj=Sj/Pjに従って分離処理の効率を計算するように構成される。ただし、ζjは複数の音源のうち第jの音源の分離出力効率を示し、Sjは第jの音源から分離した信号の出力を示し、Pjは第jの音源からの信号の正規化出力を示す。
図2は、信号音源24と、アレイエレメント26と、本発明の実施例に従ってアレイ信号処理及びBSS処理を実行するプロセッサ22との図である。アレイ信号処理は、例えば、電磁気、地震、音響、光、機械、温度又はその組み合わせのような、伝搬波動場をサンプリングする異なる空間的位置でセンサのアレイにより生成された信号のセットを処理することに関する信号処理内の特殊化である。図2に示すように、アレイは、各位置zjでの波動場を示す信号xi(t)を生成するセンサ26iのセットを用いて、位置
(外47)
Figure 2007524860

(図2に1つのみの位置zjを図示する)で第jの音源24jにより生成された第jの波動場
(外48)
Figure 2007524860

をサンプルする。信号xi(t)は、プロセッサ22により処理され得る如何なる適切な種類の信号でもよい。適切な種類の信号xi(t)の例は、電気信号、音響信号、光信号、機械信号、温度信号、又はその組み合わせを含む。第iのセンサ26iにより提供された信号xi(t)は、信号
(外49)
Figure 2007524860

の到達方向と付加的な雑音項ni(t)とを加えてセンサに応じてそれぞれ重み付けされて、各センサの位置での全ての音源24からの波動場の和を有する。ここで詳細に説明するように、プロセッサ22は、音源信号の特性、音源とアレイエレメントとの間のチャネル、音源の位置、又は本発明によるブラインド音源分離(BSS)技術を介したアレイ外形を認識することなく、異なる空間位置での音源信号の干渉を抑制することにより、音源信号の個々の信号対干渉+雑音比のセットを向上するように、信号x(t)を処理する。
本発明によるブラインド音源分離技術について、音源信号と雑音音源について行われる基礎的な仮定を定義することにより、ここで説明する。狭帯域モデルを生じる異なる多入力多出力(MIMO)アレイチャネルモデルが記述され、本発明によるBSS技術で使用される。
ブラインド音源分離(BSS)は、それぞれ元の信号の線形混合であるセンサのセットにより生成された音源信号の未知のセットの向上及び特徴付けを必要とするアレイ信号処理の多くの分野に適用可能である。これらは、例えば、信号インテリジェンス、スペクトル関し、ジャミング抑制、干渉除去、位置確認及び認識を含む。一般的に、混合変換、音源信号の特徴、及びセンサアレイ集合体は未知である。従って、ブラインド音源分離は、多入力多出力(MIMO)ブラインドチャネル推定問題として考えられ得る。
図3は、異なる放射パターンを有する5つの未知の音源s1,s2,s3,s4,s5と、異なる受信パターンを有する5つのセンサx1,x2,x3,x4,x5とを示したMIMOブラインドチャネル推定シナリオの図である。音源s1,s2,s3,s4,s5は、音響エネルギー、電磁気エネルギー、光エネルギー、機械エネルギー、温度エネルギー、又はその組み合わせを提供してもよく、それに対してセンサx1,x2,x3,x4,x5は、それを受信してもよい。図3に示すように、異なる放射パターンを備えた5つの未知の音源s1,s2,s3,s4,s5は、未知のアレイ集合体で5つのセンサx1,x2,x3,x4,x5のアレイに影響を与える波動場のセットを生成している。各音源s1,s2,s3,s4,s5は、各音源信号を提供する。本発明によるBSS分離技術は、信号の特性を認識せずに、又は到達方向若しくは形状の関数としてのアレイの感度を認識せずに、異なる空間位置で音源信号の伝搬波動場の集合(混合)をサンプリングするセンサ(例えばx1,x2,x3,x4,x5)のアレイから音源信号のセットを一緒に抽出する。
比較的小さい空間的広がりを備えたセンサのアレイからの出力のセットを前提として、狭帯域の信号を分離するのに適したブラインド音源分離技術を開発し、その性能を評価するために、アレイの多入力多出力(MIMO)狭帯域チャネルモデルを作り、仮定を記述し、問題を数学的に記述し、技術を評価する一式の指標を作ることが有利である。
従って、最も一般的な畳み込みMIMOチャネルモデルで始まり、問題を簡略化するために信号帯域及びアレイサイズに制限を設定し、ここで使用する狭帯域モデルを生じることで、狭帯域のMIMOチャネルモデルが作られる。信号及び雑音の仮定が提示され、本発明によるブラインド音源分離技術が数学的及び図式的に記述される。性能を評価するときに使用される2つの性能指標は、分離出力効率(SPE:separation power efficiency)の新規な概念を含んで記述される。
ブラインド音源分離問題に適用可能な4つの多入力多出力(MIMO)チャネルモデルについて、ここで説明する。これらのモデルは、一般チャネルモデル、非分散的直接パスのみのチャネルモデル、一般有限インパルス応答(GFIR:general finite impulse response)チャネルモデル及び狭帯域チャネルモデルである。その後、本発明によるBSS技術について、狭帯域チャネルモデルを使用して説明する。
[一般チャネルモデル]
最も一般的な場合、各エレメントの出力は、音源の出力と、センサの出力+センサ入力を基準とした付加的なガウス雑音との間のチャネルのインパルス応答でそれぞれ畳み込まれたMの音源信号の和としてモデル化される。すなわち、
Figure 2007524860

になる。ここで*は畳み込みを示す。第jの音源の出力と第iのセンサの出力との間のチャネルのインパルス応答vij(t)は、時間変化してもよく、マルチパス伝搬、分散、センサの時間変化応答、音源の動き、センサの動き等のような現象を考慮してもよい。これは、一般多入力多出力(MIMO)チャネルモデルとして行列形式で記述可能である。
Figure 2007524860

ここで[]Tは転置を示す。
[非分散的直接パスのみのチャネルモデル]
マルチパス、動き又は分散が存在しない場合、チャネルインパルス応答は遅延及び減衰でモデル化され得る。すなわち、
Figure 2007524860

になる。ここでαijは第jの音源の出力から第iのセンサ出力までのカスケード減衰/利得であり、τijは第jの音源の出力から第iのセンサの出力までの伝搬時間(遅延)である。このモデルで、デルタ関数のシフト特性が使用される場合、第iのセンサの出力(雑音を無視する)は、
Figure 2007524860

になる。
この時点で、“差分”遅延は、第iの音源の出力から第kのセンサの出力及び第lのセンサの出力までの伝搬時間の差として定められる。
Figure 2007524860

この差分時間遅延は、所定の信号について2つのセンサの間の到達時間差を定め、センサのアレイの空間的広がりの指標である。更に、第jの音源からセンサまでの最小伝搬遅延が最大差分伝搬遅延よりかなり大きくなる状況(すなわち
(外50)
Figure 2007524860

)を助けるために、伝播遅延τijは2つの成分に分解される。すなわち、音源の出力からセンサの出力までの平均伝搬時間として定義され、
(外51)
Figure 2007524860

で示す“基準”遅延と、基準時間遅延と実際の伝播時間との間の伝搬時間差として定義され、Δτijで示す“相対”遅延である。第jの音源から第iのセンサまでの伝播時間は、
Figure 2007524860

として表され得る。
図4は、センサと音源との間の時間遅延の図である。図4に示す伝搬時間の分解は、関連の基準遅延
(外52)
Figure 2007524860

を備えた5つの音源(ラベルs1,s2,...,s5)を有する。その5つの音源(ラベルs1,s2,...,s5)は、5つのセンサ(ラベルx1,x2,...,x5)のセットに照射する波動場のセットを生成する。また、相対時間遅延Δτ31が、第1の音源s1と第3のセンサx3とについて示されている。前記の定義を用いて、差分時間遅延は以下のように再公式化され得る。
Figure 2007524860

差分時間遅延及び相対時間遅延の双方は、狭帯域の図式及び一般有限インパルス応答モデルで使用される。
[一般有限インパルス応答(GFIR:General Finite Impulse Response)チャネルモデル]
一般モデルは、FIRフィルタ又はタップ付き遅延線として、第jの音源の出力と第iのセンサの出力との間のチャネルvij(t)をモデル化することにより、しばしば簡略化される。一般モデルと同様に、GFIRモデルは時間変化してもよく、マルチパス伝搬、分散、センサの時間変化応答、システムの動き等のような現象を考慮してもよい。モデルvij(t)に使用されるFIRフィルタは、チャネルのマルチパス遅延スプレッドと、その入力としての音源ン信号の遅延バージョンを定めることにより考慮される“基準”遅延
(外53)
Figure 2007524860

での相対時間遅延Δτijとを考慮するのに十分長くなければならない。すなわち、第jの音源の出力とセンサのアレイとの間のチャネルをモデル化するために使用されるFIRフィルタのセットへの入力は、次のようになる。
Figure 2007524860

フェーディングチャネルのコヒーレンス帯域が音源信号の雑音相当の帯域よりかなり小さい場合に(すなわちBWNEq[sj(t)]<BWij COH)、フェーディングチャネルについてFIRフィルタ又はタップ付き遅延線が有効である。ここで、コヒーレンス帯域は、マルチパス遅延スプレッドの逆数として定められる。この状態で、少なくとも2π/BWNEq[sj(t)]の遅延で分離されるチャネルのマルチパス成分は分解可能であり、フェーディング現象は“周波数選択”と呼ばれる。従って、チャネルインパルス応答は次のように表され得る。
Figure 2007524860

ここで、第lの成分の時間変化の複素値のチャネル利得は次のように表され得る。
Figure 2007524860

モデルの長さLijは、分解可能なマルチパス成分の数であり、次のようになる。
Figure 2007524860

ただし、
(外54)
Figure 2007524860

はシーリング関数を示す。GFIRチャネルモデルでは、FIRフィルタの長さは、マルチパス遅延スプレッドに適応するだけでなく、相対時間遅延Δτijにも適応する。すなわち、式(11)は次のようになる。
Figure 2007524860

実際には、全てのFIRフィルタの長さは共通値Lに設定され、Lは以下のように定められる。
Figure 2007524860

コヒーレンス帯域が音源信号の雑音相当の帯域より大きい場合(すなわちBWNEq[sj{t}]<BWij COH)、フェーディングは“周波数非選択”と呼ばれ、フェーディングモデルは、単一の時間変化の複素重みに帰着する。すなわち、Lij=1であるため、次のようになる。
Figure 2007524860

これは時間変化の狭帯域モデルのようになり始める。しかし、アレイ信号処理に当てはめる単一の複素重みへの前記の簡略化では、音源信号は、中心周波数よりかなり小さい雑音相当の帯域を有さなければならず、線差のアレイは、比較的小さい空間的広がりを有さなければならない。すなわち、次のようになる。
Figure 2007524860
Figure 2007524860

[狭帯域チャネルモデル]
信号のスペクトルサポートの指標は、雑音相当の帯域(BWNEq[]で示す)である。時間及び周波数の二重性の原理により、逆の雑音相当の帯域が、信号の時間的サポートの指標として使用可能である。換言すると、信号の非相関の時間の指示として使用され得る。信号雑音相当の帯域が中心周波数よりかなり小さい場合、すなわち、
Figure 2007524860

である場合(ωjは第jの音源の中心周波数である)、伝搬遅延又は相対伝搬遅延は、位相シフトとしてモデル化され得る。この状況で、分散又はマルチパスが存在しない場合、チャネルモデルは狭帯域モデルと呼ばれる。
しかし、位相シフトは中心周波数に対して2πを法とするため、帯域が中心周波数よりかなり小さいという要件自体は、時間遅延が位相シフトとしてモデル化され、波形を維持する(すなわち、ごく小さいシンボル間干渉(ISI:inter-symbol interference)がデジタル通信信号に生じる)ためには不十分である。従って、狭帯域モデルを適用するためには、センサのアレイは比較器小さい空間的広がりをも有していなければならない。すなわち、次のようになる。
Figure 2007524860

Δτl,k,j=Δτlj-Δτkjであるため、
Figure 2007524860

の要件は、三角不等式を介して(18)が当てはまることを確保する十分な状況になる。(17)及び(19)で定められる狭帯域の状況が当てはまる場合、相対的時間遅延は、信号の非相関の時間に対してごく小さくなり、従って次のようになる。
Figure 2007524860

すなわち、波形が(位相シフト内で)維持される。従って、相対的時間遅延は位相シフトとしてモデル化され得る。
Figure 2007524860

ここで、
(外55)
Figure 2007524860

であり、複素重みvijは次のように定められる。
Figure 2007524860

この複素重みは、他のN-1の重みと共に、第jのステアリングベクトルからの第jの信号に関連する。
Figure 2007524860

第iのセンサの出力は次のようになる。
Figure 2007524860

一般のmの第jモデルと同様に、これは、センサ出力のベクトルの行列形式で次のように再公式化され得る。
Figure 2007524860

エネルギー保存のため、アレイを照射する第jの音源からの全平均信号出力は、決してPjを超過しない。信号対雑音比がセンサの入力で定められるため、全アレイ利得は正規化されているとみなされ得る。従って、狭帯域モデルでは、混合行列
(外56)
Figure 2007524860

の第j列の内積は次のようになる。
Figure 2007524860

ここで[]Hはエルミート転置を示す。
[信号及び雑音の仮定]
以下の仮定は、音源信号及び雑音ベクトルについて行われる。これらの仮定は、4次キュムラントの使用を可能にするため、及び分離技術が生かされるのに十分な数の自由度を確保するために行われる。仮定A1及びA2は、音源信号の4次キュムラントが存在することを確保する。キュムラントの使用についてゼロ平均の仮定は必要ないが、実際に伝搬する電磁気信号はゼロ平均を有するため、それが仮定される。仮定A3及びA4は、BSS問題に対してキュムラントを使用することに特に有用である。それらがなければ、雑音音源は信号音源として扱われる必要があり、アレイに更なる自由度を要求する。雑音音源は時間的又は空間的に白色であると仮定されないことに留意すべきである。音源信号の数についての最後の仮定は、行列ペンシルの手法を使用して分離を実行するのに十分な自由度が存在することを確保することに役立つ。
[第1の仮定(A1)]
アレイを照射するMの音源信号は、統計的に独立した非ガウスの定常ランダム過程である。仮定A1は、数学的に以下のように表される。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列の推定期間で4つを整理するため、音源信号は定常であると仮定される。
[第2の仮定(A2)]
アレイを照射するMの音源信号は、出力Pjでゼロ平均を有し、非ゼロの4次モーメントを有する。仮定A2は、数学的に以下のように表される。
Figure 2007524860
Figure 2007524860
Figure 2007524860
Figure 2007524860
Figure 2007524860
Figure 2007524860

[第3の仮定(A3)]
音源信号(処理)のセット及び雑音過程のセットは統計的に独立である。仮定A3は、数学的に以下のように表される。
Figure 2007524860

[第4の仮定(A4)]
雑音過程は、定常のゼロ平均のガウスランダム過程である。それらは空間的又は時間的に独立していると仮定されない。仮定A3は、数学的に以下のように表される。
Figure 2007524860
Figure 2007524860
Figure 2007524860

[第5の仮定(A5)]
音源の数はセンサの数以下である。すなわち、M≦N。
図5は、本発明の実施例に従って、比較的小さい空間的広がり及び任意の未知のアレイ形状を備えたセンサのアレイからの出力のセットを前提として、Mの統計的に独立の狭帯域の音源信号のブラインド音源分離(BSS)を実行する装置の機能ブロック図である。ここで説明するBSS技術は、混合行列
(外57)
Figure 2007524860

を対角化する分離行列
(外58)
Figure 2007524860

を決定する。これは、複素エレメントwijでNxMの分離行列
(外59)
Figure 2007524860

を見出すことを含む。
Figure 2007524860

は、混合行列
(外60)
Figure 2007524860

を対角化する。すなわち、分離行列
(外61)
Figure 2007524860

は、積
(外62)
Figure 2007524860

がエレメントρjでのMxMの対角“損失”行列を生じるように求められる。
Figure 2007524860

分離行列Wがセンサ出力のベクトルに適用されると、その結果は次のようになり、
Figure 2007524860

音源信号が分離される。数学的完全性のため、ベクトル
(外63)
Figure 2007524860

、ベクトル
(外64)
Figure 2007524860

及び行列
(外65)
Figure 2007524860

である点に留意すべきでる。損失行列が単位行列である場合、分離処理は、アレイを照射する全ての信号エネルギーをとらえており、そのため、分離の出力信号が最大の実現可能な信号対干渉+雑音比に到達することを確保する。
狭帯域モデルで前述したように、各センサの出力は、独立した音源信号と雑音とを加えた重み付け線形混合である。
Figure 2007524860

センサ出力のベクトルに分離行列を適用することで、音源を分離する。
Figure 2007524860

分離処理の出力ベクトルの第jのエレメントyj(t)は、第jの音源信号rj(t)の推定値であり、分離行列の第j列とセンサ出力のベクトルとの内積である。
Figure 2007524860

式(41)を式(43)に置換することで次のようになる。
Figure 2007524860

所望の信号と残差干渉と出力雑音とに対応する3つの異なる項が存在することが明らかである。通信の性能及び信号インテリジェンスシステムを評価する際に特に関心があるものは、これらの項のそれぞれの2次モーメントである。第1の項の2次モーメントは、所望の信号出力であり、以下のように定められる。
Figure 2007524860

仮定A1及びA2を適用して
Figure 2007524860

であり、式(45)は次のようになる。
Figure 2007524860

これはベクトル表記を使用して次のように表され得る。
Figure 2007524860

(44)の第2の項の2次モーメントは、残差干渉出力であり、次で得られる。
Figure 2007524860

しかし、仮定A1により、信号は統計的に独立であり、従って次のようになる。
Figure 2007524860

更に、仮定A1及びA2の定常性を適用して次のようになる。
Figure 2007524860

(50)を使用して式(51)を(49)に置換して、残渣の干渉出力は次に帰着する。
Figure 2007524860

これはベクトル表記を使用して次のように表され得る。
Figure 2007524860

(44)の第3の項の2次モーメントは、雑音出力であり、次で得られる。
Figure 2007524860

これはベクトル表記を使用して次のように表され得る。
Figure 2007524860

定義及び仮定A4により、雑音ベクトルの外積の期待値は、雑音共分散行列
Figure 2007524860

であり、従って、雑音出力は次になる。
Figure 2007524860

ブラインド音源分離技術の有効性を評価するために、複数の分離の指標が使用される。前述のように、ここで説明したブラインド音源分離技術は、混合行列
(外66)
Figure 2007524860

を対角化する分離行列
(外67)
Figure 2007524860

を決定する。ブラインド音源分離技術の品質を評価する2つの指標がここで作られる。BSS技術の性能は、センサのアレイを照射する全ての利用可能な信号出力を“取得”する際の残差干渉及びアルゴリズムの効率の点で測定されてもよい。
分離の品質の1つの指標は、分離行列が適用された後の信号出力にある残差干渉の量である。特に、全音源で平均した所望の音源の推定で所望の信号に対する残差干渉の出力と、同一チャネル干渉を抑制することに関して分離技術を評価するためのピーク又は最大残差干渉対信号比とを使用することを提案する、この指標は重要である。その理由は、分離行列が混合行列を完全に対角化しない場合、結果の行列の非対角項が、信号出力における残差干渉を許容するからである。
ほとんどの通信用途では、干渉量の共通指標は、信号対干渉比であり、それは全ての干渉信号の結合出力に対する所望の信号出力の比である。しかし、ブラインド音源分離の目標は、全ての干渉を完全に除去することであり、この比は非常に大きくなる可能性がある。その結果、ブラインド音源分離アルゴリズム又は技術が特定の所望の信号出力に対して抑制できない干渉の残差出力を定量化する干渉対信号比(ISR:Interference-to-Signal ratio)を提案する。アルゴリズムが優れるほど、この比が小さくなる。
特定の所望の信号のISRは次のように定められる。
Figure 2007524860

(53)及び(48)を(58)に置換することで、特定の信号のISRは次のようになる。
Figure 2007524860

この値は除去率としても知られる。
ブラインド音源分離技術の分離の全体品質は、全てのjに対する個々の音源信号のISRのζjの平均値を調べることにより測定されてもよい。従って、残差干渉に関するブラインド音源分離アルゴリズムの性能を評価するために使用される主な指標は、
Figure 2007524860

により得られる平均ISRになる。
残差干渉に関する第2の指標は、ピーク又は最大ISRであり、これは次のように定められる。
Figure 2007524860

この第2の指標は、全ての音源信号がISRmaxより悪くないISRで効率的に分離されることを確保する。
分離の品質の第2の指標は、利用可能な信号出力を利用する機能に関する音源分離行列の効率を決定するために使用される。出力信号対干渉+雑音比が最大のときに(小さい信号を取得可能なことに関して大きい感度を有するとき)、BSS技術が出力信号対干渉+雑音比で最大でない場合より、BSS技術は効率的であると考えられる。
センサのアレイを照射する音源の信号出力の全てを使用する場合でのブラインド音源分離アルゴリズムの効率は、その分離の品質の更に重要な指標である。この指標は、特定の音源からの利用可能な信号出力のうちどの程度が分離処理で浪費又は損失されているかを決定する。この損失により、損失がなければ理論的に実現可能なものより低い信号対雑音+干渉比になり、システム感度の損失を生じる。所望の音源信号の利用可能な正規化出力に対する特定の分離処理の出力の分離出力効率(SPE:Separation Power Efficiency)は、以下のように定められる。
Figure 2007524860

ζjは複数の音源のうち第jの音源の分離出力効率を示しており、Sjは第jの音源からの分離信号の出力を示しており、Pjは第jの音源からの信号の正規化出力を示している。分離処理の出力について式(48)を置換することで、特定のSPE
Figure 2007524860

は、第jの音源のステアリングベクトル及び分離行列の第j列のみに依存することが明らかになる。ISRと同様に、平均SPE及び最小SPEは、それぞれ以下のように定められる。
Figure 2007524860
Figure 2007524860

これらは分離出力効率を評価するために使用される。
照射音源信号出力Pjの定義により、SPEが実現可能な最大値は1であることに留意すべきである。従って、最大の実現可能な平均SPEも1である。1のSPEを実現する分離アルゴリズムは、対応の分離処理出力で音源信号出力を最大化するように確保される。最小SPEは、全ての音源が最小分離出力効率でうまく分離されることを確保する指標を提供する。
本発明の実施例によるBSS技術は、キュムラント(特に空間4次キュムラント行列)を使用する。ブラインド音源分離を実行するときのキュムラントの使用についてよく理解するため、キュムラントの定義及び関連の特性が以下に提供される。
ランダム変数のセット{s1,s2,...sN}のうちN次の半不変数としても知られる結合キュムラント(joint cumulant)は、第2の特性関数の起点についてのテイラー級数の展開のN次係数として定義される。例えば、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)と、M.RosenblattのStationary Sequences and Random Fields (Birkhauser, Boston, MA: 1985)を参照のこと。これらの全体が参照として取り込まれる。第2の特性関数は、特性関数の自然対数として定められる。
Figure 2007524860

ここで、特性関数は次のように定められる。
Figure 2007524860

従って、結合N次キュムラントは次になる。
Figure 2007524860

モーメントと異なり、キュムラントはデータから直接的に評価され得ない。例えば、A.K.NandiのBlind Estimation Using Higher-Order Statistics (Kluwer Academic, Dordecht, The Neitherlands: 1999)を参照のこと。この全体が参照として取り込まれる。しかし、キュムラントは、モーメントに対するその関係を通じて見出されることが可能であるため、最初に所要のモーメントを評価することにより、間接的に評価され得る。モーメントに対するキュムラントの関係は、M.RosenblattのStationary Sequences and Random Fields (Birkhauser, Boston, MA: 1985)に、ランダム変数のセット{s1,s2,...sN}のN次結合キュムラントについて次のように記載されている。
Figure 2007524860

ここで、整数のセット{1,2,...,N}をpのグループ(それぞれgl,p,nで示す)に分割するN(p)の方法が存在するため、次のようになる。
Figure 2007524860

一例としてN=4の場合、整数のセット{1,2,3,4}で分割が定義され、以下の表1.0が得られる。
Figure 2007524860
モーメントの関数としての4次結合キュムラントは次のようになる。
Figure 2007524860

式(71)は、N次結合キュムラントの計算がN次までの全てのモーメントを認識する必要があることを示している。
キュムラントは、特に低信号対雑音比で、空間的及び/又は時間的相関のガウス雑音において未知の統計的に独立した信号の線形結合のブラインド分離で使用することに対して魅力的にする複数の特性を有する。
ブラインド音源分離で使用することに対してキュムラントを魅力的にする1つの特性は、ランダム変数のセット{s1,s2,...sN}が統計的に独立した2つ以上のグループに分割され得る場合に、N次結合キュムラントがゼロになる点である。従って、統計的に独立した音源のブラインド分離のキュムラント演算子は、全ての交差音源信号キュムラント項を抑制する。一般的に、これは高次モーメントの場合ではない。BSSで使用することに対してキュムラントを魅力的にする他の特性は、次の点である。
Cum[s1+n1,s2+n2,...,sN+nN]=Cum[s1,s2,...,sN]+Cum[n1,n2,...,nN]
一般的に信号項のセット{s1,s2,...,sN}と雑音項のセット{n1,n2,...,nN}は統計的に相互に独立しているため、そのベクトル和{s1+n1,s2+n2,...,sN+nN}の項のN次結合キュムラントは、その個々の結合キュムラントの和である。従って、雑音項と信号項との間の交差キュムラントはゼロになる。この特性は、4次キュムラント行列が2つの行列(一方は信号に対応し、他方は雑音ベクトルに対応する)の和に分解され得ることを確保する点で重要である。
BSSで使用することに対してキュムラントを魅力的にする他の特性は、ガウス雑音変数のN>2次の結合キュムラントがゼロになるという点である。雑音ベクトルは多変量のガウスランダム過程であるため、
(外68)
Figure 2007524860

その3次以上の結合キュムラントはゼロになる。すなわち、Cum[n1,n2,...,nN]=0である。この最後の特性は、雑音の部分空間を有さない空間4次キュムラント行列を生じ、行列の非ゼロのエレメントのみが音源信号のみに関連する。これは、雑音ベクトルが空間的又は時間的に相関する場合にも当てはまる。
最後に、2より高次のキュムラントは、相関のように、2次統計の使用により失われた位相情報を保存する。例えば、自己相関は、最小の位相信号と最小でない位相信号とを区別するために必要な情報を破壊する。従って、2つの信号は、異なる高次統計を有するが、同一の2次統計を有してもよい。この特性は、同一の自己相関関数で信号を処理するときに特に興味深く、音源信号のグループが異なる高次キュムラントを有する時間差のセットを見出す更なる自由度を追加する。この特性は、本発明によるBSS技術に特に有利である。その理由は、全ての信号が一意の正規化4次自己キュムラントを有することが、このBSS技術の識別可能性の条件であるからである。対称分布での過程の奇数次キュムラントがゼロになるため、4次キュムラントが使用される点に留意すべきである。
本発明によるBSS技術で使用されるキュムラントの4つの特性について、以下に説明する。このキュムラントの特性の検証は、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)と、M.RosenblattのStationary Sequences and Random Fields (Birkhauser, Boston, MA: 1985)に見出され得る。
[キュムラントの特性1]
ランダム変数{a1s1,a2s2,...,aNsN}のセットのN次結合キュムラントは、
(外69)
Figure 2007524860

であり、{a1,a2,...,aN}は定数である。
[キュムラントの特性2]
ランダム変数のセット{s1,s2,...,sN}が、統計的に独立した2つ以上のグループに分割可能である場合、そのN次結合キュムラントはゼロである。
[キュムラントの特性3]
ランダム変数のセット{s1,s2,...,sN}及び{n1,n2,...,nN}が統計的に独立である場合(すなわち、fs,n(s1,s2,...,sN,n1,n2,...,nN)=fs(s1,s2,...,sN)・fn(n1,n2,...,nN))、ペアワイズ和(pair-wise sum)のN次結合キュムラントは、次のようになる。
Cum[s1+n1,s2+n2,...,sN+nN]=Cum[s1,s2,...,sN]+Cum[n1,n2,...,nN]
[キュムラントの特性4]
ランダム変数のセット{n1,n2,...,nN}が併せてガウス分布である場合、N>2次の結合キュムラントは等しくゼロになる。すなわち、
(外70)
Figure 2007524860

の場合、Cum[n1,n2,...,nN]=0である。
本発明によるBSS技術は、4次空間キュムラント行列を使用する。空間4次キュムラント行列の3つの定義及び関連の特性を以下に示す。
空間4次キュムラント行列は、低い信号対雑音比において、及び空間的及び時間的相関の雑音が存在する場合に、分離行列を評価する基礎として使用される。その理由は、雑音が相関していたとしても、それは雑音の部分空間を理論的に有さないからである。このことは、行列ペンシルが作られるように除去されなければならない雑音の部分空間を除去するために、自由度及び/又は2次センサデータを使用する必要を除去する。以下に説明するように、雑音の部分空間がないことは、高次キュムラント(すなわち2次より高い)を使用する直接的な結果であり、本発明によるブラインド音源分離技術に特に有利である。
3つの空間4次キュムラント行列の定義及びその特性は、センサが実際には決して無指向性でなく、決して同じ形状を有していないという事実を考慮して、及び異なるセットの時間差が空間4次キュムラント行列の対を推定して、行列ペンシルを作るために必要ないという事実を考慮して、ここに示されている。これらの考慮点は、空間4次キュムラント行列の以前の扱いと明確な差異がある。例えば、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasの“The ESPRIT Algorithm with Higher-Order Statistics”, Proc. Workshop on Higher-Order Spectral Analysis, Vail, CO., Jun. 1989, pp.163-168と、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)と、M.C.Dogan及びJ.M.Mendelの“Applications of Cumulants to Array Processing - Part I: Aperture Extension and Array Calibration”, IEEE Trans. Signal Processing, Vol.43, No.5, May 1995, pp.1200-1216と、N.Yuen及びB.Friedlanderの“Asymptotic Performance Analysis of ESPRIT, Higher-order ESPRIT, and Virtual ESPRIT Algorithms”, IEEE Trans. Signal Processing, Vol.44, No.10, Oct. 1996, pp.2537-2550とを参照のこと。階数や零空間等のような空間4次キュムラント行列の特性と、混合行列に対するその関係とを理解することは、本発明による4次キュムラント及び行列ペンシルを使用した信号部分空間のブラインド分離技術を作ることに有利である。
空間相関行列及びその特性の簡単な考察について、本発明によるBSS技術での使用の理解に役立つように、以下に示す。センサアレイ出力の空間相関行列は、D.H.Johnson及びD.E.DudgeonのArray Signal Processing: Concepts and Techniques (PTR Prentice-Hall, Englewood Cliffs, NJ: 1993)に以下のように定められており、その全体が参照として取り込まれる。
Figure 2007524860

x(t)について(25)を式(72)に置換し、仮定A1及びA3を適用することで、空間相関行列は次のようになる。
Figure 2007524860

これは次のエレメントを有する。
Figure 2007524860

ここで、添字rcはエレメントが第r行及び第c列にあることを示す。信号及び雑音過程はゼロ平均、仮定A2及びA4であると仮定されるため、式(72)で定められる空間相関行列は、空間共分散行列に等しくなり、これらの用語が交換可能に使用される。
一般的に、ほとんどの2次技術は、ゼロの遅延時間{τ=0}のみで空間相関又は共分散行列を使用する。このような場合、空間相関行列はエルミート且つ非負値定符号である。例えば、D.H.Johnson及びD.E.DudgeonのArray Signal Processing: Concepts and Techniques (PTR Prentice-Hall, Englewood Cliffs, NJ: 1993)と、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)と、A.PapoulisのProbability, Random Variables, and Stochastic Process (WCB/McGraw-Hill, Boston, MA: 1991)を参照のこと。更に、センサの出力が線形独立である場合(すなわち、如何なる
(外71)
Figure 2007524860

について
(外72)
Figure 2007524860

である場合)、空間相関行列は正値定符号である。空間相関行列がτ=0について非負値定符号である結果、その行列式は実数の非負であり、センサの出力が線形独立である場合且つその場合に限り、厳密に正になる。しかし、τ≠0の場合、空間共分散行列は非定符号且つ非エルミートである。
[空間4次キュムラント行列の定義1]
提示する空間4次キュムラント行列の第1の定義は、1のノルムを有するステアリングベクトルを利用する。これは式(26)で数学的に記述されている。以下に示すように、これは、センサが同一の形状で無指向性でないときに、空間4次キュムラント行列をエルミート形式に因数分解するために使用される。第1の空間4次キュムラント行列は、時間差のセット(τ123)で次のように定められる。
Figure 2007524860

これは空間4次キュムラント行列1とも呼ばれる。
(75)で定める空間4次キュムラント行列1は、以下で得られる第r行及び第c列のエレメントでの複素NxN行列である。
Figure 2007524860

ここで{}*は複素共役を示す。式(24)を式(76)に置換することで、エレメントrcは次のようになる。
Figure 2007524860

次に、キュムラントの特性3及び仮定A3により、(77)は次のようになる。
Figure 2007524860

ここで、項が再整理されている。しかし、仮定A4及びキュムラントの特性4により、
Figure 2007524860

であるため、(78)は次のようになる。
Figure 2007524860

次に、仮定A1の音源信号の統計的な独立性と、キュムラントの特性3を繰り返し適用することにより、式(80)は次に帰着する。
Figure 2007524860

キュムラントの特性1を使用して、複素重みは、式(81)のキュムラント演算子の前に抜粋されてもよく、次を得る。
Figure 2007524860

和を再整理することで次になる。
Figure 2007524860

しかし、ステアリングベクトルは1のノルムを有するため(すなわち、
(外73)
Figure 2007524860

であるため)、式(83)は次に帰着する。
Figure 2007524860

(84)から、空間4次キュムラント行列1は、空間相関行列と同様に、エルミート形式に因数分解され得ることがわかる。
Figure 2007524860

ここで、
(外74)
Figure 2007524860

は次のエレメントを有するMxMの対角行列である。
Figure 2007524860

式(85)を展開することで、空間4次キュムラント行列1は、個々の音源信号の4次キュムラントで評価したステアリングベクトルの外積の和として記述され得ることがわかる。
Figure 2007524860

ここで、Cx 4123)は、第1の時間差τ1と第2の時間差τ2と第3の時間差τ3とを有する空間4次キュムラント行列である。それぞれの時間差は、複数の音源の1つから複数のエレメントの1つまでの時間遅延を示す。Mは複数の音源での音源の数を示す。
(外75)
Figure 2007524860

は、時間差τ1、τ2及びτ3を有する複数の音源の1つからの第jの音源信号の4次キュムラントである。
(外76)
Figure 2007524860

は第jのステアリングベクトルの外積を示す。
式(87)から、空間4次キュムラント行列1は、ステアリングベクトルのセットで広がった信号部分空間にあることが明らかである。空間4次キュムラント行列は空間相関行列に存在する雑音の部分空間を有さない点に留意すべきである。空間共分散行列の雑音の部分空間であったものは、この時点では空間4次キュムラント行列の零空間である。この特性は、提示される他の空間4次キュムラント行列の定義にも当てはまると見られる。
[空間4次キュムラント行列1の特性]
空間4次キュムラント行列1
(外77)
Figure 2007524860

は、複数の特性を有しており、その理解により分離行列
(外78)
Figure 2007524860

を推定する方法の展開が容易になる。空間4次キュムラント行列1の行列の特性を定めることは、2つのセットの時間差で空間4次キュムラント行列1の対で作られた行列ペンシルの一般化固有分解の使用に対する最初のステップである。混合行列の部分空間に対するその階数及びその部分空間のようなものは、信号部分空間分離アルゴリズムを作る際に有利である。個々のセンサがそれぞれ音源信号の波動場にそれぞれ影響を与える同一の指向性を備えた無指向性であると仮定されていない事実について、特に注意が行われる。
[特性1]
τ12=τ且つτ3=0(すなわち、
(外79)
Figure 2007524860

)の場合且つその場合に限り、空間4次キュムラント行列1はエルミートである。
[特性2]
空間4次キュムラント行列1のトレースは、信号4次キュムラントの和に等しく、それは対角行列
(外80)
Figure 2007524860

のトレースである。
Figure 2007524860

[特性3]
空間4次キュムラント行列1の列空間(
(外81)
Figure 2007524860

で示す)は、ステアリングベクトルのセットで展開される。
Figure 2007524860

更に、混合行列がフルの列の階数を有する場合、ステアリングベクトルのセットは線形独立であり、空間4次キュムラント行列1の列空間の基礎を作る。
[特性4]
(外82)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列1の階数は、混合行列の階数に等しい。すなわち、ρ()が階数を示し、
(外83)
Figure 2007524860

の場合に、次のようになる。
Figure 2007524860

[特性5]
空間4次キュムラント行列1の“右” 零空間及び混合行列の“左”零空間は、混合行列がフルの列の階数を有する場合に、等しくなる。
Figure 2007524860

[空間4次キュムラント行列の定義2]
空間4次キュムラント行列の第2の定義は、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasの“The ESPRIT Algorithm with Higher-Order Statistics”, Proc. Workshop on Higher-Order Spectral Analysis, Vail, CO., Jun. 1989, pp.163-168と、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)とに記載された定義を変更したものである。空間4次キュムラント行列2を得るため、これらの定義が使用され、時間差のセット(τ123)が組み込まれる。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列2は、第r行及び第c列のエレメント
Figure 2007524860

でのNxNの行列である。
式(93)のxi(t)について式(24)を置換することで、エレメントrcは次のようになる。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列1の簡略化に続いて、式(94)を変形するために、キュムラントの特性3及び仮定A3が適用される。
Figure 2007524860

しかし、仮定A4及びキュムラントの特性4により、
Figure 2007524860

であり、(95)は次に帰着する。
Figure 2007524860

次に、仮定A1の音源信号の統計的な独立性と、キュムラントの特性3を繰り返し適用することにより、式(97)は次に帰着する。
Figure 2007524860

キュムラントの特性1を使用して、複素重みは、式(98)のキュムラント演算子の前に抜粋されてもよく、次を得る。
Figure 2007524860

和を再整理することで次になる。
しかし、
(外84)
Figure 2007524860

であり、式(99)は次になる。
Figure 2007524860

(100)から、一般的に、空間4次キュムラント行列2は、空間4次キュムラント行列1及び空間共分散行列の場合と同様に、エルミート形式に因数分解され得ないことがわかる。しかし、
Figure 2007524860

が定義されると、それは双一次形式に因数分解され得る。
Figure 2007524860

ここで、NxMの“修正”混合行列
(外85)
Figure 2007524860

の第r行及び第c列のエレメントは、次のようになる。
Figure 2007524860

式(102)を展開すると、空間4次キュムラント行列2は、“修正”ステアリングベクトル
(外86)
Figure 2007524860

の外積と、個々の音源信号の4次キュムラントで評価したステアリングベクトルとの和として記述され得ることがわかる。
Figure 2007524860

“修正”ステアリングベクトル
(外87)
Figure 2007524860

は、行列
(外88)
Figure 2007524860

の第j列である点に留意すべきである。
空間4次キュムラント行列2に関する問題は、階数不足であるか否かという点である。空間4次キュムラント行列1の階数の導出に続いて、空間4次キュムラント行列2の階数は、“修正”混合行列
(外89)
Figure 2007524860

と混合行列との双方がフルの列の階数を有する場合に、混合行列の階数に等しくなる。
混合行列
(外90)
Figure 2007524860

は、アレイの設計により保証され得るため、フルの列の階数を有すると仮定され得る。しかし、
(外91)
Figure 2007524860

の階数は、まだ今のところ設計により保証され得ず、混合行列がフルの列の階数を有することの保証が、“修正”混合行列がフルの列の階数を有することの保証に十分であるか否かは不明確である。しかし、“修正”混合行列
(外92)
Figure 2007524860

はアダマール積
Figure 2007524860

であり、混合行列の階数は保存される必要はない。例えば、J.R.SchottのMatrix Analysis for Statistics (John Wiley and Sons, New York, NY: 1997)を参照のこと。この時点で、アダマール積は混合行列の階数を保存することが仮定されるため、フルの列の階数を有する混合行列が、“修正”混合行列がフルの列の階数を有することの保証に十分であることが仮定される。フルの列の階数を有さない“修正”混合行列の意味は、以下のセクションで明らかになる。
“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合、式(104)を調べることで、空間4次キュムラント行列2は、“修正”ステアリングベクトルのセットで広がった信号部分空間にあることが明らかである。この場合も同様に、空間共分散行列の雑音の部分空間は、空間4次キュムラント行列2の零空間である。H.H.Chiang及びC.L.Nikiasの“The ESPRIT Algorithm with Higher-Order Statistics”, Proc. Workshop on Higher-Order Spectral Analysis, Vail, CO., Jun. 1989, pp.163-168と、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)とにおいて、エレメント/センサは、αij 2=1であるように単位利得で無指向性であり、従って、空間4次キュムラント行列2と空間4次キュムラント行列1とは等しくなり、“修正”混合行列がフルの列の階数を有する。しかし、実際にセンサは無指向性ではないため、このことは非現実的な仮定である。
[空間4次キュムラント行列2の特性]
“修正”混合行列
(外93)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列2は、空間4次キュムラント行列1と同じ多くの特性を有する。以下のセクションは、“修正”混合行列がフルの列の階数を有するという仮定で、行列ペンシルの信号部分空間分離技術の進展に関する主要な特性を導く。
[特性1]
空間4次キュムラント行列2は、一般的にエルミートではない。τ12=τ且つτ3=0(すなわち、
(外94)
Figure 2007524860

)であり、センサの全てが所定の信号について同一の利得を有する場合且つその場合に限り、それはエルミートになる。
[特性2]
空間4次キュムラント行列2のトレースは、第4の出力に対するセンサの大きさの和で評価した信号4次キュムラントの和に等しい。
Figure 2007524860

[特性3]
4次キュムラント行列2の列空間(
(外95)
Figure 2007524860

で示す)は、“修正”ステアリングベクトルのセットで展開される。
Figure 2007524860

更に、“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合、“修正”ステアリングベクトルのセットは線形独立であり、空間4次キュムラント行列2の列空間の基礎を作る。
[特性4]
(外96)
Figure 2007524860

及び
(外97)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列2の階数は、混合行列の階数に等しい。すなわち、ρ()が階数を示し、
(外98)
Figure 2007524860

の場合に、次のようになる。
Figure 2007524860

[特性5]
空間4次キュムラント行列2の“右”零空間及び混合行列の“左”零空間は、混合行列及び“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合に、等しくなる。
Figure 2007524860

[空間4次キュムラント行列の定義3]
第3及び最後の定義の空間4次キュムラント行列は、時間差(τ123)を組み込み、以下の式を生じる。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列3は、同様に第r行及び第c列のエレメント
Figure 2007524860

でのNxNの行列である。
式(111)のxi(t)について式(81)を置換することで、エレメントrcは次のようになる。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列2の簡略化に続いて、式(112)を変形するために、キュムラントの特性3及び仮定A3が適用される。
Figure 2007524860

しかし、仮定A4及びキュムラントの特性4により、
(外99)
Figure 2007524860

であり、(95)は次に帰着する。
Figure 2007524860

次に、仮定A1の音源信号の統計的な独立性と、キュムラントの特性3を繰り返し適用することにより、式(114)は次に帰着する。
Figure 2007524860

キュムラントの特性1を使用して、複素重みは、式(115)のキュムラント演算子の前に抜粋されてもよく、次を得る。
Figure 2007524860

しかし、
(外100)
Figure 2007524860

であり、式(116)は次になる。
Figure 2007524860

(117)から、一般的に、空間4次キュムラント行列3は、空間4次キュムラント行列1及び空間共分散行列の場合と同様に、エルミート形式に因数分解され得ないことがわかる。しかし、“修正”ステアリングベクトルのエレメントが同様に次のように定義されると、
Figure 2007524860

それは双一次形式に因数分解され得る。
Figure 2007524860

ここで、NxMの“修正”混合行列
(外101)
Figure 2007524860

の第r行及び第c列のエレメントは、次のようになる。
(外102)
Figure 2007524860

式(119)を展開すると、空間4次キュムラント行列3は、“修正”ステアリングベクトル
(外103)
Figure 2007524860

の共役の外積と、個々の音源信号の4次キュムラントで評価したステアリングベクトルとの和として記述され得ることがわかる。
Figure 2007524860

前述のように、フルの列の階数を有する混合行列
(外104)
Figure 2007524860

が、“修正”混合行列
(外105)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有することの保証に十分であるか否かは、まだ証明されていない。しかし、アダマール積は混合行列の階数を保存することが仮定されるため、フルの列の階数を有する混合行列が、“修正”混合行列がフルの列の階数を有することの保証に十分であることが仮定される。
“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合、式(120)を調べることで、空間4次キュムラント行列3は、共役の“修正”ステアリングベクトルのセットで広がった信号部分空間にあることが明らかである。この場合も空間4次キュムラント行列2と同様に、空間共分散行列3は雑音の部分空間を有さない。N.Yuen及びB.Friedlanderの“Asymptotic Performance Analysis of ESPRIT, Higher-order ESPRIT, and Virtual ESPRIT Algorithms”, IEEE Trans. Signal Processing, Vol. 44, No.10, Oct. 1996, pp.2537-2550と、H.H.Chiang及びC.L.Nikiasの“The ESPRIT Algorithm with Higher-Order Statistics”, Proc. Workshop on Higher-Order Spectral Analysis, Vail, CO., Jun. 1989, pp.163-168と、C.L.Nikias及びA.P.PetropuluのHigher-Order Spectra Analysis: A Non-linear Signal Processing Framework (PTR Prentice-Hall, Upper Saddle River, NJ: 1993)とにおいて、エレメント/センサは、αij 2=1であるように単位利得で無指向性であると仮定される。
[空間4次キュムラント行列3の特性]
空間4次キュムラント行列2と同様に、 “修正”混合行列
(外106)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列3は、空間4次キュムラント行列1と共通の多くの特性を有する。“修正”混合行列がフルの列の階数を有するという仮定で、行列ペンシル関連の分離技術の進展が、以下に得られる。
[特性1]
空間4次キュムラント行列3は、一般的にエルミートではない。τ12=τ且つτ3=0(すなわち、
(外107)
Figure 2007524860

)であり、センサの全てが所定の信号について同一の利得を有する場合且つその場合に限り、それはエルミートになる。
[特性2]
空間4次キュムラント行列3のトレースは、第4の出力に対するセンサの大きさの和で評価した信号4次キュムラントの和に等しい。
Figure 2007524860

[特性3]
4次キュムラント行列3の列空間(
(外108)
Figure 2007524860

で示す)は、共役の“修正”ステアリングベクトルのセットで展開される。
Figure 2007524860

更に、“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合、共役の“修正”ステアリングベクトルのセットは線形独立であり、空間4次キュムラント行列3の列空間の基礎を作る。
[特性4]
(外109)
Figure 2007524860

及び
(外110)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列3の階数は、混合行列の階数に等しい。すなわち、ρ()が階数を示し、
(外111)
Figure 2007524860

の場合に、次のようになる。
Figure 2007524860

[特性5]
空間4次キュムラント行列3の“右”零空間及び混合行列の“左”零空間の共役は、混合行列及び“修正”混合行列がフルの列の階数を有する場合に、等しくなる。
Figure 2007524860

提示した空間4次キュムラント行列の3つの定義は、雑音の部分空間を有さないという主要な特性を全て有する。この特徴により、アレイの自由度を使用する必要性又は時間的白色の仮定を行う必要性を回避することが可能になり、雑音の部分空間が非ゼロの時間差で進められる。しかし、定義1と定義2及び3との間に2つの主な違いが存在する。
第1に、定義2及び3は、定義1に対して計算上の利点を有する。これは、式(76)と式(93)及び(111)を比較することによりわかり、定義2及び3はN2のキュムラントが推定されることを必要とするが、定義1はN3のキュムラントが推定されることを必要とする。第2に、空間4次キュムラント行列1は信号の数に等しい階数を有することが厳密に証明されているが、混合行列がフルの列の階数を有する場合に、空間4次キュムラント行列2及び3は信号の数に等しい階数を有することが証明されていない。この第2の違いは、アダマール積が階数を保存するという証明が見出されていないという事実から生じる。従って、“修正”混合行列の特別の場合に、空間4次キュムラント行列2及び3は、ブラインド音源分離を実行するために必要な特性の導出されたセットを有することが仮定される。しかし、この仮定が真でないとわかると、アレイのセンサが同一の形状を有さない場合には、空間4次キュムラント行列2又は3は、分離を実行するために十分な自由度を有さないことがある。
アレイのセンサが全て同一の形状を有する場合、センサの応答の大きさ|vij|=αijは、信号毎に定数になり、すなわち、次になる。
Figure 2007524860

式(26)から、
Figure 2007524860

であり、すべてのセンサが同一の形状を有する場合、すなわち、(125)が式(126)に置換されて次を得る場合、
Figure 2007524860
Figure 2007524860

である。更に、形状が同一である場合、全てのjについて次になる。
Figure 2007524860

従って、空間4次キュムラント行列2では、センサが同一の形状を有する場合に、式(100)に(129)を置換し、双一次形式に因数分解することで、次を得る。
Figure 2007524860

従って、空間4次キュムラント行列2と空間4次キュムラント行列1は、実際の倍率で同等である。空間4次キュムラント行列3の同一経路に従って、以下のことがわかる。
Figure 2007524860

従って、センサが同一の形状である場合、空間4次キュムラント行列3は、実際の倍率で空間4次キュムラント行列1の共役と同等である。残念なことに、全てのセンサが同一の空間応答を有するという仮定は、物理的に実現不可能であり、ESPRITアルゴリズム及びその高次の対応物の取消しになることがわかる。
最後に、N.Yuen及びB.Friedlanderの“Asymptotic Performance Analysis of ESPRIT, Higher-order ESPRIT, and Virtual ESPRIT Algorithms”, IEEE Trans. Signal Processing, Vol. 44, No.10, Oct. 1996, pp.2537-2550において、定義2に対する定義3の利点は、空間4次キュムラント行列を推定するために有限長のデータが使用される場合に、特性1で説明した条件を前提として、空間4次キュムラント行列3はそのエルミート対称性を保持するという点である。この特性は、次の章で提示される行列ペンシルの手法に重要であることがわからないため、その有効性について評価しない。
以下に提示するものは、空間4次キュムラント行列ペンシルの定義及び関連の特性である。空間4次キュムラント行列の標準固有分析の不確定性は、示すことにより、空間4次キュムラント行列ペンシルの使用を誘導するために記述される。行列ペンシルの定義、特性及びスペクトル理論は、特異なペンシルの処理と、広義の同値の新しい概念の進展とを含んで提示される。3つの空間4次キュムラント行列の定義の全てについて、空間4次キュムラント行列ペンシルが定義され、その特性が導かれる。最後に、空間4次キュムラント行列ペンシルのスペクトル分析が、個々の音源信号をブラインド的に分離する基礎として使用可能な一般化固有ベクトルのセットを提供することが示される。
ブラインド音源を実行する分離行列の定式化は、1つ以外の全てのステアリングベクトルにそれぞれ一意に直交するベクトルのセットを見出すことを含む。これらのベクトルのセットは、場合によって正規化因数で評価され、混合行列
(外112)
Figure 2007524860

を対角化する分離行列
(外113)
Figure 2007524860

の列を作る。ブラインド音源分離の概念は前述した通りであり、空間4次キュムラント行列を使用して分離行列を見出す技術の進展について、以下に示す。
スペクトル推定技術に基づく空間4次キュムラント行列の信号部分空間は、ブラインド分離を実行するように求められる。行列の部分空間に関して、スペクトル推定は固有分析を意味するため、スペクトルと固有という用語は交換可能に使用される。数学では、固有値(eigenvalue)はまた、しばしば固有値(proper value)とも呼ばれる。例えば、P.R.HalmosのFinite-Dimensional Vector Spaces (Springer-Verlag, New York, NY: 1987)を参照のこと。その全てが参照として取り込まれる。残念なことに、一般的には、空間4次キュムラント行列の標準スペクトル分解は、混合行列を対角化する固有ベクトルのセットを直接提供しない。混合行列を対角化する空間4次キュムラント行列の固有ベクトルのセットが存在するが、この一意の固有ベクトルのセットを見出すために、全体の信号部分空間が検索される必要がある。従って、空間4次キュムラント行列の標準固有分解は、それを望ましくないようにする不確定性を有する。標準固有分析の不確定性は、セクション5.2で詳細に説明する。
標準固有分解の不確定性は、空間4次キュムラント行列ペンシルの一般化固有分析を使用することで克服され得る。従って、2つの空間4次キュムラント行列の空間4次キュムラント行列ペンシルは、2つの異なるセットの時間差(0,0,0)及び(τ123)を使用することで定められる。
[標準固有分析の不確定性]
統計的に独立の音源信号の混合をブラインド的に分離するためのスペクトル推定法に基づく信号部分空間の公式化は、ブラインド音源分離を実行するために、空間4次キュムラント行列1
(外114)
Figure 2007524860

の標準固有ベクトルを使用とするときに存在する不確定性を調べることで始まる。一般的に、空間4次キュムラント行列1で提示された結果は、空間4次キュムラント行列2及び3に直接適用可能であるため、空間4次キュムラント行列1のみについて提示する。しかし、空間4次キュムラント行列2及び3について存在し得る何らかの違い又は例外は、適当に記述される。
空間4次キュムラント行列1の標準固有値の問題は以下のように定められる。
Figure 2007524860

式(132)の等式が非零の固有ベクトル
(外115)
Figure 2007524860

(関連の固有ベクトル)に適用できる場合には、スカラλは、空間4次キュムラント行列1の固有値になると考えられる。式(132)を書き換えることで、空間4次キュムラント行列1の固有ベクトルが行列ペンシルの“右”零空間にあることがわかる。すなわち、次のようになる。
Figure 2007524860

従って、
Figure 2007524860

である。λが固有値でない場合に、
(外116)
Figure 2007524860

が階数Mを有するとしても、行列ペンシル
Figure 2007524860

は、階数Nで非特異である。従って、固有値λは、値ηgeom(固有値λの“幾何学的多重度”と呼ばれ、
Figure 2007524860

で得られる)により行列ペンシル
(外117)
Figure 2007524860

の階数を減少させる。
行列ペンシルの階数が減少した場合且つその場合に限り、λは固有値であるため、固有値は、特性方程式のルートを検索することで見出され得る。すなわち、行列ペンシルの行列式を0にさせる値
Figure 2007524860

が固有値である。式(137)の行列式は、積の和として定められる。
Figure 2007524860

ここで、セット{c1,c2,...,cN}は、全てのL=N!のこのような順列で生じた和で、最初のNの正の整数の第lの順列であり、スカラδrcは、単位行列
(外118)
Figure 2007524860

の第r行及び第c列のエレメントを表す。(138)の指数は、
Figure 2007524860

によるセット{c1,c2,...,cN}の関数としてスカラ定義される。ここで、ξnはcnより小さいシーケンスcn+1,...,cNの整数の数である。式(84)を(138)に置換して、次になる。
Figure 2007524860

(140)の行列式を0に等しくするλのそれぞれ非ゼロの値は、個々の音源信号の4次キュムラントの結合になることが明らかになる。従って、各固有値が音源信号の4次キュムラントの線形結合であるため、固有ベクトルは関連のステアリングベクトルの線形結合になると予想することが合理的である。これは実際に真であることが示され得る。空間4次キュムラント行列について式(87)を置換することにより、式(132)は次になる。
Figure 2007524860

ベクトル内積
(外119)
Figure 2007524860

は、
Figure 2007524860

として定められるスカラと等しく、式(141)は次になる。
Figure 2007524860

代替として、固有ベクトルのエルミート転置により(141)を予め乗算し、内積
(外120)
Figure 2007524860

で除算することにより、各固有値が音源信号の4次キュムラントの線形結合であることが示され得る。その理由は、特定の固有ベクトルで式(141)と等しい唯一の固有値が存在するからである(例えば、D.A.Harville, Matrix Algebra from a Statistician’s Perspective (Springer-Verlag, New York, NY: 1999)を参照のこと。その全てが参照として取り込まれる)。従って、各固有値は次のように表され得る。
Figure 2007524860

これは、明らかに個々の音源信号の4次キュムラントの線形結合である。
混合行列
(外121)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有することが仮定される場合、空間4次キュムラント行列1は、特性4による階数Mを有する。従って、和が空間4次キュムラント行列のトレースに等しいMの非ゼロの固有値が存在する。すなわち、空間4次キュムラント行列1の特性2を使用して、次になる。
Figure 2007524860

(144)を式(145)に置換することで、次を得る。
Figure 2007524860

明らかに、空間4次キュムラント行列1の標準固有分析に不確定性が存在する。定義2及び3についても同じ不確定性が存在し、一般的に単位行列が空間4次キュムラント行列1と“類似”ではないという事実から生じる。従って、新しい
(外122)
Figure 2007524860

行列として呼ばれ得る新しい行列が見出されなければならない。それは、行列ペンシルの単位行列を置き換え、この新しい
(外123)
Figure 2007524860

行列に関して空間4次キュムラント行列1の一般化固有分析に移る空間4次キュムラント行列と“類似”である。この“類似”とは、混合行列で空間4次キュムラント行列1に対して行われたことと同様に、
(外124)
Figure 2007524860

行列が双一次形式に因数分解され、定義2及び3の修正混合行列が3つの因数のうち2つであり、何らかの対角行列が第3であり得ることを意味する。すなわち、次のようになる。
Figure 2007524860

ここで
(外125)
Figure 2007524860

は対角行列である。
[行列ペンシルの定義、特性及びスペクトル理論]
行列ペンシルは、数学で多項演算子ペンシル(polynomial operator pencil)として知られているもののうちの特別の場合である。多項演算子ペンシル及びその関連のスペクトル問題は、微分方程式、境界値問題、制御理論、調和システム分析、波動伝播、弾性理論、回路シミュレーション及びモデリング、並びに流体力学のように、多くの様々な分野で自然に生じる。例えば、A.S.MarkusのIntroduction to the Spectral Theory of Polynomial Operator Pencils, Translation of Mathematical Monographs, Vol.71 (American Mathematical Society, Providence, RI: 1988)を参照のこと。その全てが参照として取り込まれる。一般的に、n次多項演算子ペンシルは次の形式になる。
Figure 2007524860

λはスペクトルパラメータであり、
(外126)
Figure 2007524860

はヒルベルト空間で動作する線形演算子である。行列ペンシル
(外127)
Figure 2007524860

は、次の形式を有する1次多項演算子ペンシルである。
Figure 2007524860

一般的に、行列ペンシルは、正則又は特異に分類される。例えば、A.S.MarkusのIntroduction to the Spectral Theory of Polynomial Operator Pencils, Translation of Mathematical Monographs, Vol.71 (American Mathematical Society, Providence, RI: 1988)と、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH. van der VorstのTemplates for the Solution of Algebraic Eienvalue Problems: A Practical Guide (SIAM, Philadelphia, PA: 2000)と、K.KanataniのStatistical Optimization for Geometric Computation: Theory and Practice (Elsevier Science B.V., Amsterdam, The Netherlands: 1996)と、G.H.Golub及びC.F.Van LoanのMatrix Computations (The John Hopkins University Press, Baltimore, MD: 1996)と、F.R.GantmacherのThe Theory of Matrices, Volume I (AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 1997)と、F.R.GantmacherのThe Theory of Matrices, Volume II (AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 1989)とを参照のこと。そのそれぞれの全てが参照として取り込まれる。2つの行列
(外128)
Figure 2007524860

が正方であり、行列ペンシルの行列式が全ての値のλについて同じようにゼロでない場合、すなわち、
Figure 2007524860

の場合、ペンシルは正則であり、そうでない場合には特異である。正則ペンシルは、行列
(外129)
Figure 2007524860

及び
(外130)
Figure 2007524860

の関数として連続的に変化する別個の固有値を有する。他方、特異ペンシルは、
(外131)
Figure 2007524860

及び
(外132)
Figure 2007524860

の不連続関数である固有値を有する。双方の種類のペンシルが実際に現れ、本発明によるBSS技術に適用可能である。標準固有問題は、
(外133)
Figure 2007524860

での正則行列ペンシルである点に留意すべきである。
[正則行列ペンシルの特性及びスペクトル理論]
正則ペンシルは、エルミート及び非エルミートに更に分類され得る。非エルミート行列ペンシル及びその関連の一般化非エルミート固有問題は、
(外134)
Figure 2007524860

若しくは
(外135)
Figure 2007524860

が非エルミートの場合、又は
(外136)
Figure 2007524860

が正値定符号でない場合に生じる。空間4次キュムラント行列の特性1のため、空間4次キュムラント行列ペンシルは、一般的に非エルミートである。これは3つの定義の全てに適用できることが示される。従って、焦点は、非エルミートの正則ペンシルのみであり、そのため、正則ペンシルという用語が使用される場合には、非エルミートペンシルという意味を含む。例えば、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH. van der VorstのTemplates for the Solution of Algebraic Eienvalue Problems: A Practical Guide (SIAM, Philadelphia, PA: 2000)と、K.KanataniのStatistical Optimization for Geometric Computation: Theory and Practice (Elsevier Science B.V., Amsterdam, The Netherlands: 1996)と、G.H.Golub及びC.F.Van LoanのMatrix Computations (The John Hopkins University Press, Baltimore, MD: 1996)と、F.R.GantmacherのThe Theory of Matrices, Volume I (AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 1997)とを参照のこと。エルミートペンシルを説明するため、そのそれぞれの全てが参照として取り込まれる。
正則N×N行列ペンシルの固有多項式
Figure 2007524860

は、定義上で、λの全ての値について同じようにゼロではない。p(λ)の次数はせいぜいNである。このことは、Nの固有値が存在することを意味し、そのNの固有値は有限でも無限でもよく、p(λ)=0のルートが行列ペンシルの有限の固有値である。行列ペンシルの固有値のセット
(外137)
Figure 2007524860

は、行列
(外138)
Figure 2007524860

に関する行列
(外139)
Figure 2007524860

の“一般化”固有値として一般的に知られており、次で定められる。
Figure 2007524860

正則ペンシルの固有値は、
(外140)
Figure 2007524860

及び
(外141)
Figure 2007524860

連続関数であるため、
(外142)
Figure 2007524860

及び
(外143)
Figure 2007524860

の小さい変化は固有値の小さい変化を引き起こす。固有多項式の次数がN未満である場合、ペンシルはN-Mの無限の固有値を有すると考えられ、Mは固有多項式p(λ)の次数である。行列ペンシルの全ての固有値のセット
(外144)
Figure 2007524860

は、そのスペクトルと呼ばれる。例えば、F.R.GantmacherのThe Theory of Matrices, Volume II (AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 1989)を参照のこと。その全てが参照として取り込まれる。また、A.S.MarkusのIntroduction to the Spectral Theory of Polynomial Operator Pencils, Translation of Mathematical Monographs, Vol.71 (American Mathematical Society, Providence, RI: 1988)と、Z.Bai、J.Demmel、J.Dongarra、A.Ruhe及びH. van der VorstのTemplates for the Solution of Algebraic Eienvalue Problems: A Practical Guide (SIAM, Philadelphia, PA: 2000)と、K.KanataniのStatistical Optimization for Geometric Computation: Theory and Practice (Elsevier Science B.V., Amsterdam, The Netherlands: 1996)と、G.H.Golub及びC.F.Van LoanのMatrix Computations (The John Hopkins University Press, Baltimore, MD: 1996)と、F.R.GantmacherのThe Theory of Matrices, Volume I (AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 1997) [45-50]とを参照のこと。標準固有値と同様に、固有値は、値ηgeom(固有値λの“幾何学的多重度”と呼ばれる)によりペンシルの階数を減少させる。
有限の固有値毎に、固有値で評価された行列ペンシルの右零空間にある何らかの非ゼロのベクトルは、その固有値の“右”固有ベクトルとして定められる。
Figure 2007524860

すなわち、
(外145)
Figure 2007524860

について、
Figure 2007524860

を満たす如何なるベクトル
(外146)
Figure 2007524860

も固有値に対応する固有ベクトルである。行列ペンシルの固有値と同様に、固有ベクトルは、しばしば“一般化”固有ベクトルと呼ばれる。無限の固有値では、行列
(外147)
Figure 2007524860

の右零空間にある如何なる非ゼロのベクトルも固有ベクトルである。すなわち、
Figure 2007524860

を満たす如何なる非ゼロのベクトルも、固有値λ=∞に対応する。N×Nの正則行列ペンシルは、Nの線形独立の固有ベクトルを有さなくてもよい。しかし、少なくとも1つの独立の固有ベクトルが、別個の固有値毎に存在する。標準固有ベクトルと同様に、一般化固有値のセット
(外148)
Figure 2007524860

は一意であるが、固有ベクトルのセットはそうではない。
各正則行列ペンシルは、2つの関連の部分空間(X及びYで示す)を有し、その2つの関連の部分空間は同じ次元を有し、次を満たす。
Figure 2007524860

これらの部分空間は、それぞれ右及び左デフレーティング部分空間(deflating subspace)と呼ばれる。更に、
Figure 2007524860

であり、従って次のようになる。
Figure 2007524860

緻密な非エルミート正則一般化固有問題を解く最も強力な技術であると現在考えられているQZアルゴリズムのように、デフレーティング部分空間は、正則一般化固有問題を解く技術の進展において重要である(例えば、P.Van Doorenの“Reducing Subspaces: Definitions, Properties, and Algorithms”, Matrix Pencils, Proc. Pite Havsbad, Lecture Notes in Mathematics 973, Springer-Verlag, New York, NY, 1982, pp.58-73を参照のこと。その全てが参照として取り込まれる)[51]。
最後に、
(外149)
Figure 2007524860

及び
(外150)
Figure 2007524860

を非特異行列とし、
Figure 2007524860

とする。この場合、行列ペンシル
Figure 2007524860

は行列ペンシル
(外151)
Figure 2007524860

と“同値”になり、
(外152)
Figure 2007524860

及び
(外153)
Figure 2007524860

は“同値変換”と呼ばれる。行列ペンシル
(外154)
Figure 2007524860

(外155)
Figure 2007524860

と同じ固有値を有しており、その右固有ベクトル(
(外156)
Figure 2007524860

で示す)は、次の変換
Figure 2007524860

により、ペンシル
(外157)
Figure 2007524860

の右固有ベクトルに関係する。
[特異行列ペンシルの特性及びスペクトル理論]
行列ペンシルは、矩形又は正方の場合に特異であり、
Figure 2007524860

が適用できる。正方ペンシルが特異になるために、
(外158)
Figure 2007524860

及び
(外159)
Figure 2007524860

の双方の行列が特異であり、共通の零空間を有さなければならない。すなわち、
Figure 2007524860

が必要であり、ペンシル
(外160)
Figure 2007524860

が特異であるための十分条件である。双方の場合は実際に生じ、正則ペンシルを扱うよりかなり困難である。定義上で空間4次キュムラント行列は正方であるため、正方特異ペンシルのみについて検討する。
特異N×N行列ペンシルの固有多項式は、全てのλの関数について0に等しい。従って、特異ペンシルの固有値は、行列
(外161)
Figure 2007524860

及び
(外162)
Figure 2007524860

の不連続関数であり、特異ペンシルの固有値を定める際に注意しなければならない。明らかに、固有値は、固有多項式のルートを見つけることでは、もはや見出すことができない。その代わりに、特異ペンシルの固有値及び固有ベクトルを定めるために、縮小部分空間(reducing subspace)の概念が使用される。
ペンシル
(外163)
Figure 2007524860

の右及び左縮小部分空間の対(それぞれXとYとで示す)は、次を満たす。
Figure 2007524860
Figure 2007524860

ここで、右縮小部分空間Xは、λの全有理関数の場で、ペンシルの右零空間の次元だけ左縮小部分空間Yの次元より大きい。すなわち、次のようになる。
Figure 2007524860

縮小部分空間は、正則ペンシルのデフレーティング部分空間のものと類似した役目をする。行列ペンシルの階数は、一般的にほとんどのλの値について定数Mである。
Figure 2007524860

しかし、特定のセットの値では、ペンシルの階数は“減少”し、そのため、縮小部分空間の概念を誘導する。特異ペンシルの階数を“減少”させるλの値を含む値のセット(
(外164)
Figure 2007524860

で示す)は、特異ペンシルの固有値又はスペクトルである。
Figure 2007524860

ペンシルの階数が減少する量は、特定の固有値の幾何学的多重度ηgeomである。
Figure 2007524860

特異行列ペンシルの固有値は有限でも無限でも不確定でもよいことに留意すべきである。
有限固有値毎に、固有値で評価された行列ペンシルの右零空間にある如何なる非ゼロのベクトルも、その固有値に対応する“右”固有ベクトルとして定められる。
Figure 2007524860

すなわち、
(外165)
Figure 2007524860

について
Figure 2007524860

を満たす如何なるベクトル
(外166)
Figure 2007524860

も、その固有値に対応する固有ベクトルである。不確定の固有値では、行列
(外167)
Figure 2007524860

の右零空間にある如何なる非ゼロのベクトル、従って、行列
(外168)
Figure 2007524860

の右零空間にある如何なる非ゼロのベクトルも、不確定の固有値に対応する固有ベクトルである。換言すると、
(外169)
Figure 2007524860

にある如何なる非ゼロのベクトルも、不定の固有値に対応する固有ベクトルである。式(171)を書き直し、λについて解くことにより、以下を生じる。
Figure 2007524860

明らかに、
(外170)
Figure 2007524860

(外171)
Figure 2007524860

及び
(外172)
Figure 2007524860

の共通の右零空間にあるとき(λ=0/0)、固有値は不確定である。
正則ペンシルと同様に、“厳密”同値の概念がここで定義される。
(外173)
Figure 2007524860

及び
(外174)
Figure 2007524860

をλに依存しない非特異行列とする。ここで、
Figure 2007524860

とすると、行列ペンシル
Figure 2007524860

は、行列ペンシル
(外175)
Figure 2007524860

と“厳密に同値”であり、
(外176)
Figure 2007524860

及び
(外177)
Figure 2007524860

は“厳密同値変換”と呼ばれる。行列ペンシル
(外178)
Figure 2007524860

(外179)
Figure 2007524860

と同じ固有値を有する。また、行列ペンシル
(外180)
Figure 2007524860

の右及び左縮小
(外181)
Figure 2007524860

及び
(外182)
Figure 2007524860

は、
Figure 2007524860

でペンシル
(外183)
Figure 2007524860

の右及び左縮小空間に関係する。縮小部分空間の同値変換の影響の結果、
(外184)
Figure 2007524860

の右固有ベクトル(
(外185)
Figure 2007524860

で示す)は、変換
Figure 2007524860

によりペンシル
(外186)
Figure 2007524860

の右固有ベクトルに関係する。
[行列ペンシルの広義の同値]
“厳密”同値の用語は、ここで“広義”の同値として定義するものと区別するために、前で強調された。λと独立したM×Nのフルの行の階数の行列
(外187)
Figure 2007524860

及び
(外188)
Figure 2007524860

を検討し、ここで
Figure 2007524860

である場合、N×Nの特異ペンシル
(外189)
Figure 2007524860

は、M×Nの非特異ペンシル
(外190)
Figure 2007524860

と広義の同値であると考えられ、ここで次のようになる。
Figure 2007524860

矩形
(外191)
Figure 2007524860

又は
(外192)
Figure 2007524860

を有することが、
(外193)
Figure 2007524860

が特異であることを確保する十分条件である点に留意すべきである。
広義の同値変換が
(外194)
Figure 2007524860

のスペクトルを保存するか否か、及び
(外195)
Figure 2007524860

の固有ベクトルが、何らかの同値変換で非特異ペンシル
(外196)
Figure 2007524860

の固有ベクトルに関係するか否かが判断される。これが真であることを示すために、
(外197)
Figure 2007524860

及び
(外198)
Figure 2007524860

が特異ペンシル
(外199)
Figure 2007524860

の有限又は無限の一般化固有値及び関連の固有ベクトルであるとする。M×Nの行列
(外200)
Figure 2007524860

がフルの行の階数を有するため、それは“右”逆行列を有する。すなわち、N×Mの行列
(外201)
Figure 2007524860

は、
Figure 2007524860

のように存在する。また、行列
(外202)
Figure 2007524860

がフルの行の階数を有するため、
(外203)
Figure 2007524860

はフルの列の階数を有し、そのため、
(外204)
Figure 2007524860

は“左”逆行列を有する。すなわち、N×Mの行列
(外205)
Figure 2007524860

は、
Figure 2007524860

のように存在する。明らかに、次のようになる。
Figure 2007524860

一般化固有値問題は、次のように公式化される。
Figure 2007524860

N×1のベクトル
(外206)
Figure 2007524860

を次のように定義する。
Figure 2007524860

ここで、
(外207)
Figure 2007524860

は行列ペンシル
(外208)
Figure 2007524860

の固有ベクトルである。積
(外209)
Figure 2007524860

及び
(外210)
Figure 2007524860

はスカラであるため、次のようになる。
Figure 2007524860

同様に、非特異ペンシル
(外211)
Figure 2007524860

の固有値は次になる。
Figure 2007524860

(177)を式(184)に置換することで、次を生じる。
Figure 2007524860

次に、式(183)、(186)を使用して、次になる。
Figure 2007524860

明らかに、各有限又は無限の
(外212)
Figure 2007524860

は、対応の固有ベクトルでのペンシル
(外213)
Figure 2007524860

の固有値である。
Figure 2007524860

従って、
(外214)
Figure 2007524860

の有限及び無限の固有値のセット
(外215)
Figure 2007524860

は、非特異ペンシルの固有値のセットに等しくなると結論付けられ得る。すなわち、
Figure 2007524860

であり、
(外216)
Figure 2007524860


固有ベクトル
(外217)
Figure 2007524860

は、同値変換により
(外218)
Figure 2007524860

の固有値に関係する。
Figure 2007524860

[空間4次キュムラント行列ペンシル:定義及び特性]
空間4次キュムラント行列ペンシルは、遅延量(0,0,0)及び(τ123)での2つの空間4次キュムラント行列の対で、次のように定められる。
Figure 2007524860

ここで、非ゼロの遅延量は、ベクトル形式で
(外219)
Figure 2007524860

として示されている。空間4次キュムラント行列と同様に、空間4次キュムラント行列について3つの定義が存在する。そのそれぞれは、対の空間4次キュムラント行列で使用した定義に対応する。空間4次キュムラント行列ペンシル1は、空間4次キュムラント行列1の対を使用し、前記の式(191)で得られる。空間4次キュムラント行列ペンシル2は、定義2を使用した空間4次キュムラント行列の対で、次のように定められる。
Figure 2007524860

最後に、空間4次キュムラント行列ペンシル3は、定義3を使用した空間4次キュムラント行列の対で、次のように定められる。
Figure 2007524860

章4で、アダマール積が階数を保存する場合に、3つの定義の全てが類似の行列特性を有することが示されたため、空間4次キュムラント行列ペンシル1の特性が導かれ、空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3の何らかの差が記述される。
[空間4次キュムラント行列ペンシルの特性1]
空間4次キュムラント行列ペンシル1は、次のようにエルミート形式に因数分解され得る。
Figure 2007524860

ここで、
(外220)
Figure 2007524860

は混合行列であり、
(外221)
Figure 2007524860

は対角信号キュムラント行列の対のM×Mの行列ペンシルである。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3は、それぞれ次のように双一次形式に因数分解され得る。
Figure 2007524860
Figure 2007524860

[空間4次キュムラント行列ペンシルの特性2]
(外222)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列ペンシル1の階数は、λの“ほとんど”の値について信号の数Mに等しい。すなわち、
(外223)
Figure 2007524860

且つ
(外224)
Figure 2007524860

について、次のようになる。
Figure 2007524860

空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3は、アダマール積(196)が階数を保存する場合に、同じ特性を有する。
[空間4次キュムラント行列ペンシルの特性3]
空間4次キュムラント行列ペンシルは、一般的に非エルミートである。M=N且つ
(外225)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合に、それは正則ペンシルであり、そうでない場合、M<N又は
(外226)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有さない場合に、それは特異ペンシルである。空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3は、ペンシルが正則であるために、(4.5)で得られるアダマール積が
(外227)
Figure 2007524860

の階数を保存することを更に必要とする。
[空間4次キュムラント行列ペンシルの特性4]
空間4次キュムラント行列ペンシル
(外228)
Figure 2007524860

は、
(外229)
Figure 2007524860

が正則ペンシルである場合に、正則ペンシル
(外230)
Figure 2007524860

と厳密に同値である。そうでない場合、混合行列がフルの列の階数を有する場合、空間4次キュムラント行列ペンシル
(外231)
Figure 2007524860

は正則ペンシル
(外232)
Figure 2007524860

と広義で同値である。空間4次キュムラント行列ペンシル
(外233)
Figure 2007524860

及び
(外234)
Figure 2007524860

は、式(4.65)で得られるアダマール積が階数を保存することを更に必要とする。
[空間4次キュムラント行列ペンシルのスペクトル分析]
空間4次キュムラント行列ペンシルのスペクトル理論は2つの方法で検討される。まず、厳密であれ広義であれ同値を検討すると、ペンシル
(外235)
Figure 2007524860

の有限スペクトルが、信号4次キュムラントのセットに対して1対1のマッピングを有し、従って、それぞれの一般化固有値が音源に関連し、その関連の固有ベクトルが信号のステアリングベクトルに関連することが示される。固有値問題の外積展開及びステアリングベクトルの線形独立性を使用することにより、同じ関係が示される。双方の場合に、
(外236)
Figure 2007524860

はフルの列の階数を有することが仮定され、関心のあるものは信号部分空間のみであるため、有限の一般化固有値及びその関連の固有ベクトルが焦点になる。前述のように、空間4次キュムラント行列ペンシル1のスペクトル理論が提示され、空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3で生じ得る何らかの差が記述される。
空間4次キュムラント行列ペンシルの特性4から、
(外237)
Figure 2007524860

は、M×Mの正則ペンシル
(外238)
Figure 2007524860

と厳密又は広義に同値である。同値の定義から、
(外239)
Figure 2007524860

の有限及び無限のスペクトル固有値のセット
(外240)
Figure 2007524860

は、ペンシル
(外241)
Figure 2007524860

のスペクトル
(外242)
Figure 2007524860

に等しい。
Figure 2007524860

明らかに、
(外243)
Figure 2007524860

が正則である場合に、次になる。
Figure 2007524860

ペンシル
(外244)
Figure 2007524860

が正則であるため、そのスペクトルは、ゼロに等しいその行列式のセットのルートを見出すことにより、決定され得る。
(外245)
Figure 2007524860

が定義上で対角であるため、行列式はその対角成分の積になる。すなわち、次になる。
Figure 2007524860

(201)を調べることにより、
(外246)
Figure 2007524860

のスペクトルは次のセットになる。
Figure 2007524860

仮定A2により、信号キュムラントは厳密に非ゼロであり、従って、スペクトルは多重度を考慮してMの有限の非ゼロの固有値を有し、そのそれぞれがゼロ及び非ゼロの遅延での特定の信号のキュムラントの比に対応する。固有値は複素である可能性があるため、それらを整列する固定の方法は存在しない。しかし、便宜上で、λjとしての第jの信号に関連付けて整列される。すなわち、次になる。
Figure 2007524860

Mの固有値のうち、それぞれの値がηkの多重度を有するμkで示すKの別個の値のみが存在してもよい。従って、固有値は、μkに等しい固有値を有する
(外247)
Figure 2007524860

で示すKのセットにグループ化され得る。
Figure 2007524860

対角正則ペンシルではηk geomk algkである点に留意すべきである。明らかに、次になる。
Figure 2007524860

μk毎に、非ゼロの遅延のキュムラントに対するゼロの遅延のキュムラントの同じ比を備えたηkの信号が存在する。この比は、正規化4次自己キュムラントとして以下の章で定めるものの逆数である。
正則ペンシルの特定の固有値に対応する“右”固有ベクトルは、固有値で評価されたペンシルの右零空間にある比ゼロのベクトルである。
Figure 2007524860

固有ベクトル
(外248)
Figure 2007524860

は、λ=λjk(別個の固有値)で評価されたときに比ゼロのエレメントを有する対角ペンシルの列に対応するインデックスでの位置でM-ηkのゼロを有するM×1のベクトルである。これについて一例として示す。
例えば、M×Mの対角ペンシル(M>3)は、次の形式を有する。
(外249)
Figure 2007524860
(外250)
Figure 2007524860

の場合に、
(外251)
Figure 2007524860

であり、別個の固有値μ1は2の多重度を有する。固有値λ1及びλ3に対応する固有ベクトルは、次の形式を有する。
(外252)
Figure 2007524860

ここでe1j及びe3jは任意のスカラであり、双方はゼロに等しくない。明らかに固有ベクトルは一意でないが、非ゼロの位置及び固有ベクトルは信号に一意に関連する。
Mの固有ベクトルのセットが必要になる。しかし、Kのみの別個の固有値が存在する場合に、繰り返しの適切な値に対応する固有ベクトルを選択することに注意が行われなければならず、それにより、その後の分離段階は繰り返しの固有値に関連する信号を分離するために使用されてもよい。繰り返しの固有値に対応する固有ベクトルを見出す制約について、以下の章で説明する。
次に空間4次キュムラント行列ペンシル
(外253)
Figure 2007524860

を検討する。混合行列
(外254)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有すると仮定すると、空間4次キュムラント行列ペンシルの特性4により、
(外255)
Figure 2007524860

はペンシル
(外256)
Figure 2007524860

に厳密又は広義で同値になる。従って、ペンシル
(外257)
Figure 2007524860

は、
(外258)
Figure 2007524860

と同じ有限及び無限の固有値を有し、有限の固有値に対応する
(外259)
Figure 2007524860

の固有ベクトル(
(外260)
Figure 2007524860

で示す)は、
Figure 2007524860

により
(外261)
Figure 2007524860

の固有ベクトルに関係する。
(外262)
Figure 2007524860

の行が定義上で共役の信号のステアリングベクトルであるため
Figure 2007524860
(外263)
Figure 2007524860

の列は、その自分の列インデックスに対応するインデックスでの行の1つを除く全てのステアリングベクトルに直交しなければならない。従って、
(外264)
Figure 2007524860

の列は、信号のステアリングベクトルに一意に関連する。従って、次がわかる。
Figure 2007524860

従って、固有ベクトル
(外265)
Figure 2007524860

は、信号をブラインド的に分離するために使用され得る。前述のように、繰り返しの固有値に対応する固有ベクトルの選択は、注意深く行われなければならない。明らかに、
(外266)
Figure 2007524860

の出力は、混合行列の行の線形結合であり、従って、固有ベクトルに関連する信号のステアリングベクトルの行の線形結合であるベクトルを生じる。それは、
(外267)
Figure 2007524860

の非ゼロのエレメントに対応する
(外268)
Figure 2007524860

の行である。空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3では、アダマール積が
(外269)
Figure 2007524860

の階数を保存する場合、ペンシル
(外270)
Figure 2007524860

及び
(外271)
Figure 2007524860

の“左”固有ベクトル間で対応の同値変換を利用することにより、類似の結果が見出される。固有値で評価したペンシルの左零空間にある左固有ベクトル(すなわち、1×Nのベクトル
(外272)
Figure 2007524860

で類似の結果が実現されることに留意すべきである。空間4次キュムラント行列ペンシルの前記のスペクトル分析は、ペンシルを外積の和に展開し、ステアリングベクトルの線形独立性を利用することによる代替方法で実行され得る。行列ペンシル
(外273)
Figure 2007524860

の一般化(右)固有値問題は、以下のように定められる。
Figure 2007524860

(210)の空間4次キュムラント行列に式(87)を置換し、項を再整理することで次を生じる。
Figure 2007524860

混合行列がフルの列の階数を有すると仮定する場合、その列は線形独立であり、式211が成立する全てのjについて
Figure 2007524860

が適用できる。これは、
(外274)
Figure 2007524860

のときの如何なるjについて次を導く。
Figure 2007524860

特性5により、
(外275)
Figure 2007524860

及び
(外276)
Figure 2007524860

は共通の零空間を有するため、ペンシルが特異である場合に
(外277)
Figure 2007524860

(外278)
Figure 2007524860

の零空間のみにあるため、
(外279)
Figure 2007524860

の零空間にある如何なる固有ベクトルも対応の不確定の固有値を有する。従って、前記の同値の手法と同様に、固有値及びその関連の固有ベクトルは、判別式として動作する比
Figure 2007524860

で、音源信号に一意に関連する。修正混合行列
(外280)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合に、同様の結果が空間4次キュムラント行列ペンシル2及び3にも適用できる。
本発明によるブラインド音源分離技術について、3つの空間4次キュムラント行列の定義の全てを利用して説明し、識別可能性の条件について議論した。分離アルゴリズムが分離出力効率(SPE)を最大化することを可能にするように、正規化方法も作られる。正規化4次自己キュムラントの概念が提示され、カスケード処理を促進するために繰り返しの固有値の固有ベクトルを選択する方法が作られる。
図5は、本発明のよるブラインド音源技術及びプロセッサの機能ブロック図である。狭帯域の仮定のもとでMの統計的に独立の音源信号をブラインド的に分離することは、混合行列
(外281)
Figure 2007524860

を対角化するN×Mの分離行列
(外282)
Figure 2007524860

を見出すことを必要とする。すなわち、式(39)から、分離行列は次のように求められる。
Figure 2007524860

この分離行列の計算は、ブラインド音源分離技術の1つの機能である。
空間4次キュムラント行列ペンシルの一般化固有ベクトルは、2つの異なるセットの時間差でのそのキュムラントの比に基づいて信号を分離することを、前に説明した。これらの結果は、分離を計算する技術を公式化する際に利用される。この技術は、残差干渉対信号比(ISR:interference-to-signal ratio)を理論的に最小化し、適切な正規化で分離出力効率(SPE)を最大化する。
また、前述したように、空間4次キュムラント行列ペンシルの固有ベクトルを見出す因数は、正規化4次自己キュムラントと呼ばれるものである。これは、個々の音源信号の正規化4次自己キュムラントの逆数に等しい空間4次キュムラント行列ペンシルの有限の固有値から生じる。分子キュムラントの時間差のセットでの、前述の2つの異なるセットの時間差でのキュムラントの比は、0に等しい。特に、信号が一意の正規化4次自己キュムラントを有する場合、関連の固有ベクトルは、他の信号のステアリングベクトルの全てに直交し、正規化4次自己キュムラントは、信号識別関数として動作すると考えられ得る。この章では、正規化4次自己キュムラントが定義され、識別関数としてのその使用について、いくつかのコメントが行われる。
複数の信号が、使用される遅延量のセットで同じ正規化4次自己キュムラントを有する場合、繰り返しの固有値が生じる。理想的には信号がもはや同じ正規化4次自己キュムラントを有さない新しいセットの時間遅延で分離技術を繰り返すことを促進するために、結果のステアリングベクトルが線形独立のままになることを確保するために、繰り返しの固有値の固有ベクトルを選択する際に注意が行われなければならない。繰り返しの固有値に関連する固有ベクトルを選択する基準を以下に提示する。新しいステアリングベクトルの結果のセットが線形独立のままになることが示される。
ブラインド音源分離アルゴリズムを評価する際に使用される1つの性能指標は、分離出力効率(SPE)である。1のSPEを実現するために、分離ベクトルと関連のステアリングベクトルとの内積は1の大きさを有さなければならない。これを実現するために、分離ベクトルの基礎を作る固有ベクトルは正規化されなければならない。その理由は、それはステアリングベクトルと共直線性であるが、1のSPEが実現可能であることを確保するために、必ずしも正確な大きさを有する必要がないからである。従って、正規化アルゴリズムは、SPEが最大化されることを確保するように作られる。空間4次キュムラント行列について3つの定義が存在するため、それぞれに異なる正規化技術が必要になる。
信号の瞬間線形結合を分離することを可能にする識別可能性の条件を以下に示す。これらは、2〜3例を挙げると、ステアリングベクトルの線形独立性と、音源信号の統計的独立性及び非ガウスの性質と、各信号が別個の正規化4次自己キュムラントを有する時間遅延のセットの存在とを含む。最後に、空間4次キュムラント行列ペンシルに基づくアルゴリズムが、フローチャートでステップ毎に提示される。各ステップについて説明し、存在する場合には重要な問題について提示する。アルゴリズムで異なる空間4次キュムラント行列の定義を使用する際に存在し得る差が、強調される。
[信号識別子としての正規化4次自己キュムラント]
空間4次キュムラント行列ペンシルの一般化固有値は、次になることが以前に示された。
Figure 2007524860

分離を行うために、別個の固有値λjが信号毎に必要になる。従って、λjは“信号識別子”として動作する。この識別子とその特性を調べるために、第jの信号の正規化4次自己キュムラントは次のように定められる。
Figure 2007524860

明らかに、信号に関連する一般化固有値は、その正規化4次自己キュムラントの逆数である。
Figure 2007524860

仮定A1により、信号rj(t)は定常の非ガウスランダム過程である。更に、仮定A2により、信号は、出力Pjでのゼロ平均及び非ゼロの4次モーメントを有することが仮定される。これらの仮定により、信号4次キュムラントが存在し、非ゼロであることを確保する。これらの仮定に対する必要な拡張は、4次自己キュムラントも存在して非ゼロであるように、時間遅延のセット(τ123)が選択される点である。従って、正規化4次自己キュムラントが存在し、有限でることが仮定されてもよい。
信号は定常のランダム過程であると仮定されているため、そのモーメントは時間差又は遅延(τ123)のみに依存する。従って、正規化4次キュムラントは3次元関数である。このように、信号を分離するために、1つのみの独立した変数を有する2次技術に対して、信号が一意の正規化4次自己キュムラントを有することを確保するように動作する3つの独立の変数が存在する。これは、2次空間相関に基づく手法に対する4次キュムラントの手法の更なる明確な利点である。
正規化4次自己キュムラントは、一般的に複素数値になる。時間量のセット(0,0,0)での信号のキュムラントは実数値になるが、時間量(τ123)でのキュムラントは複素数値になる。このように、正規化4次自己キュムラントは、(τ123)の関数である位相情報を含む。位相雑音、搬送周波数、送信フィルタ応答、増幅器の応答、送信機のクロックのジッタ、伝搬チャネルの伝達関数等のような、音源信号エミッタの属性は、音源信号の正規化4次事故キュムラントに寄与する。受信音源信号の定義
Figure 2007524860

から、キュムラントの特性1を使用して、正規化4次自己キュムラントが信号の出力の関数でないことが明らかである。
Figure 2007524860

従って、異なる信号出力を有することによるのではなく、一意の正規化4次自己キュムラントを有する基礎の波形を有することにより、信号が識別される。
前述のように、第jのエミッタからの単位出力変調信号は、送信機に固有の特性により影響を受ける。実際には2つの送信機はほとんど同一の信号を作らないため、音源信号は、一意の4次自己キュムラント関数を有する可能性が高く、そのため、一意の正規化4次自己キュムラント関数を有する可能性が高い。従って、信号のグループが一意の正規化4次自己キュムラントを有し、それにより、分離され得るような、時間遅延のセットが存在することが予想される。
[繰り返しの固有値についての固有ベクトルの選択]
複数の信号の正規化4次自己キュムラント関数が時間遅延のセットで同じ値を有するように選択されると、繰り返しの固有値の問題が生じる。この状況では、これらの固有ベクトルから作られる分離ベクトルのセットが、フルの列の階数を有する新しい低次元の混合行列に混合行列を変換することを確保するために、関連の固有ベクトルを選択する際に注意が行われなければならない。このことは、分離アルゴリズムがこの新しい低次元の混合行列で混合された繰り返しの固有値に関連する信号を繰り返し分離することができることを確保する。
図6は、単一の繰り返しの固有値について分離アルゴリズムを繰り返すことを示す。図6において、第1の分離段階のM×1のベクトル出力
(外283)
Figure 2007524860

は、2つのベクトルに分割される。1つは、一意の固有値に対応する
(外284)
Figure 2007524860

のM-ηkのエレメントを有するものであり、
(外285)
Figure 2007524860

で示す。もう1つは、多重度ηkを有する繰り返しの固有値μkに対応する
(外286)
Figure 2007524860

のηkのエレメントを有するものであり、
(外287)
Figure 2007524860

で示す。第1の分離段階のときに、新しいηk×ηkの分離
(外288)
Figure 2007524860

が、繰り返しの固有値に関連する信号を分離すると考えられる。新しい分離行列は、異なるセットの時間遅延で空間4次行列ペンシルアルゴリズムを繰り返すことにより見出される。しかし、アルゴリズムを2度使用するために、以下のセクションで説明する識別可能性の条件が適用できなければならない。これらの1つは、混合行列がフルの列の階数を有しており、そのため、新しい低次元のηk×ηkの混合行列
(外289)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有さなければならないという点である。それぞれの繰り返しの固有値は、類似の新しい混合行列を有しており、分離アルゴリズムが繰り返される。
新しい混合行列
(外290)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を確保するように繰り返しの固有値に関連した固有ベクトルを選択する要件は、以下で得られる。特定の固有値に関連する信号を表す整数のセットは以下のように定められる。
Figure 2007524860

固有値λjが第jの信号の正規化自己キュムラントの逆数であることを思い出すと、次になる。
Figure 2007524860

Mの信号が存在するため、繰り返しを含み、Mの固有値が存在し、そのうちのKのみが別個である。別個の固有値は、μk(k∈1,2,...,K)で示す。スケール化又は正規化したMの関連のN×1の固有ベクトルは、分離行列
(外291)
Figure 2007524860

の列である。
Figure 2007524860

式(215)から、分離行列が全ての信号を分離する場合、結果の行列の積
(外292)
Figure 2007524860

は対角であることがわかる。このことは、Mの別個の固有値が存在する場合にのみ生じる。前述のように、繰り返しの固有値について、固有ベクトルは、関連しないものからの特定の固有値に関連する信号を分離する。しかし、結果のスカラは、関連の信号の線形結合である。従って、行列積
(外293)
Figure 2007524860

は、k=1,2,...,Kについてのセットgkによりインデックス化された列のηkに非ゼロのエレメントをそれぞれ有する、セットgkでインデックス化されたηkの行を有する。これは、Mの別個の固有値の場合にも適用でき、K=M且つηk=1,∀k,k=j且つ各gkがそれに唯一のエレメントk=jを有する場合、
(外294)
Figure 2007524860

は対角である。
新しい混合行列
(外295)
Figure 2007524860

は、除去されたセットgkに含まれない整数によりインデックス化された行(すなわち、全てがゼロである行)を有するセットgkによりインデックス化された
(外296)
Figure 2007524860

のηkの列で構成される。従って、
(外297)
Figure 2007524860

は、ベクトル
(外298)
Figure 2007524860

のηkのエレメントを形成する繰り返しの固有値に関連するηkの信号を線形混合するηk×ηkの行列である。
(外299)
Figure 2007524860

が最初の分離処理に対するのと同様に、
(外300)
Figure 2007524860

は第2段階の分離処理に対するものであるため、それは
(外301)
Figure 2007524860

と同様の特性を有する必要があり、主として、それはフルの列の階数を有さなければならない。
Figure 2007524860
(外302)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有することを確保する
(外303)
Figure 2007524860

を選択するための条件が決定されなければならない。
(外304)
Figure 2007524860

は、固有ベクトル
(外305)
Figure 2007524860

のスケール化バージョンであるため、
(外306)
Figure 2007524860

関する制約は、実際には
(外307)
Figure 2007524860

の選択についての制約になる。j∈gkについて固有ベクトル
(外308)
Figure 2007524860

が線形独立であることを必要とすることは、
(外309)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有する場合、
(外310)
Figure 2007524860

がフルの列の階数を有することを保証するために十分であるということが示される。
[分離ベクトルの形成:固有ベクトルの正規化]
固有ベクトルは、関連の固有値に等しい正規化自己キュムラントを有するものを除くすべての信号に対して直交しているが、内積
Figure 2007524860

は、1の最大SPEが実現されることを確保しない。従って、分離ベクトルは、各固有ベクトルを1の最大SPEを確保する実数の正規化因数γjによりスケール化することにより形成される。
Figure 2007524860

繰り返しの固有値について、正規化因数は異なる効果を有し、第1の分離段階での繰り返しの固有値に関する固有ベクトルを正規化する明らかな利点は存在しない。更に、実現可能なSPEについての分離アルゴリズムの繰り返しの効果の研究が必要になる。
式(139)から、内積
Figure 2007524860

が、一般には複素である“損失”項ρjを生じることがわかる。式(63)から、SPEは、次になることがわかる。
Figure 2007524860

式(227)を式(228)に代入することにより、次を得る。
Figure 2007524860

SPEを1にするために、次のことが必要になる。
Figure 2007524860

そのため、
Figure 2007524860

のような正規化因数γjが必要になり、従って、次になる。
Figure 2007524860

一意の固有値に関連する固有ベクトルについてのこのスケール因数の計算は、利用可能な変数が異なるため、使用される空間4次キュムラント行列の定義に依存する。空間4次キュムラント行列1について、SPEが1の最大値を実現することを確保する正規化因数が見出され、以下のサブセクションで導かれる。しかし、空間4次キュムラント行列2及び3について、双一次形式による修正混合行列
(外311)
Figure 2007524860

の存在により、一意に定まらない正規化因数を解くために利用可能な式のセットが得られ、それにより、定義2及び3を用いることで、分離が1のSPEを実現することを、出力損失が回避する。
[空間4次キュムラント行列1の正規化]
固有ベクトルの正規化で連動する利用可能なデータは、空間4次キュムラント行列と、固有値と、関連の固有ベクトルのみである。式(225)から、次のようになり、
Figure 2007524860

前述のように、
(外312)
Figure 2007524860

が別個の固有値に関連すると仮定すると、第jの位置に非ゼロのエレメントを有する
Figure 2007524860

になることが知られている。従って、空間4次キュムラント行列1が、
Figure 2007524860

(ただし、
(外313)
Figure 2007524860

はM×Mの対角行列)のようにエルミート形式に因数分解され得るため、積は、次のようになる。
Figure 2007524860

式(236)のユークリッド又はl2のノルムは、次になる。
Figure 2007524860

しかし、
Figure 2007524860

であるため、
Figure 2007524860

になる。更に、式(236)の積に第jの固有ベクトルのエルミート転置を前から乗算することで、スカラ
Figure 2007524860

を生じる。式(239に対する(240)の絶対値の比を検討すると、スカラ
Figure 2007524860

を得る。従って、(232)の未知の分母が求められ、それにより、空間4次キュムラント行列1を利用したときの正規化因数は、次のようになる。
Figure 2007524860

[空間4次キュムラント行列2及び3の正規化]
空間4次キュムラント行列2及び3は、エルミート形式には因数分解できないが、その代わりに、それぞれ
Figure 2007524860
Figure 2007524860

として示されるような双一次形式に因数分解することができる。5章の結果から、空間4次キュムラント行列を使用して形成されたペンシルは、空間4次キュムラント行列ペンシル2の固有ベクトルの共役に等しい空間4次キュムラント行列ペンシル3の関連の固有値を有する同一の固有値を有する。従って、正規化因数が実数であるため、存在する場合には、それは両方の定義で同じものになる。
空間4次キュムラント行列2及び3はエルミート形式に因数分解できないため、修正混合行列は、式(232)で得られる正規化因数を推定しようとするときに処理される必要がある。残念なことに、一般には、次になる。
Figure 2007524860

更に、別個の固有値についてさえ、固有ベクトル(特に右固有ベクトル
(外314)
Figure 2007524860

は、一般的に
(外315)
Figure 2007524860

を除く全ての修正ステアリングベクトルにもはや直交せず、修正ステアリングベクトルが1のユークリッドノルムを有することを確保しない。すなわち、一般的に、次のようになる。
Figure 2007524860

従って、空間4次キュムラント行列1が|εj|の推定に可能なものを有するという特性は、空間4次キュムラント行列2及び3によっては共有されない。
空間4次キュムラント行列2又は3のみを検討して、|εj|を解くときに、関連のペンシルの一般化固有値、並びにその関連の左固有ベクトル
(外316)
Figure 2007524860

及び右固有ベクトル
(外317)
Figure 2007524860

は一意ではない。空間4次キュムラント行列1はエルミート形式に因数分解され得るため、空間4次キュムラント行列ペンシル1の左及び右固有ベクトルはエルミート転置により関係する。すなわち、
(外318)
Figure 2007524860

が空間4次キュムラント行列ペンシル1の右固有ベクトルである場合、
(外319)
Figure 2007524860

は左固有ベクトルである。従って、積
(外320)
Figure 2007524860

は、1つが|εj|である2つのみの未知数を有する。同様に、
(外321)
Figure 2007524860

は、
(外322)
Figure 2007524860

であるため、同一の2つの未知数を有し、従って|εj|を解くことができる。しかし、空間4次キュムラント行列2、及び同様に3に対して、次のようになる。
Figure 2007524860
Figure 2007524860

ただし、
(外323)
Figure 2007524860

は、第jの信号に関する1×Nの左固有ベクトルであり、
Figure 2007524860

である。
従って、2つの方程式と4つの未知数が存在する。遅延量(τ123)で空間4次キュムラント行列2を使用することにより、4つの方程式を定めようとすることで、4つの方程式と5つの未知数を有するものを生じる。従って、空間4次キュムラント行列2と、同様に3について、正規化因数を解くことは、解決不可能な一意でない問題を生じる。これは、1の最大SPEを確保する正規化因数を解くことができるため、定義1の更なる利点である。
[識別可能性の条件]
識別可能性は、分離ベクトルを到達する音源信号に一意に関連付けるブラインド音源分離アルゴリズムの機能を扱い、他の信号を抑制することにより、線形混合からそれを分離する。提案されているブラインド音源分離アルゴリズムが分離を実行するために、特定の条件を満たされねばならない。いくつかは、信号及び雑音の仮定として既に提示されており、空間4次キュムラント行列ペンシルに基づくブラインド音源分離アルゴリズムが音源信号の分離を実現するのに課される条件として再び説明する。必要な識別可能性の条件が少ないほど、広義の音源分離問題を扱うという意味で、アルゴリズムがより強力になる。CI1〜CI5の識別可能性についての5つの条件を以下に示す。
CI1:混合行列
(外324)
Figure 2007524860

はフルの列の階数を有する。これは、センサの数以下の音源の数を必要とし(すなわち、M≦N)、信号ステアリングベクトルが線形独立になることを必要とする。
CI2:正規化4次自己キュムラント
(外325)
Figure 2007524860

は、信号毎に異なる。アルゴリズムは、同一の正規化4次自己キュムラントを有する第1の段階での信号でのみ動作する第2の分離段階において、異なる遅延量(τ123)で繰り返されてもよい。
CI3:アレイを照射するMの音源信号は、統計的に独立の非ガウス定常ランダム過程であり、空間4次キュムラント行列の推定期間で4次に対して定常である。
CI4:雑音過程は、定常ガウスランダム過程である。それらは、空間的又は時間的に白色である必要はない。空間4次キュムラント行列の推定期間のみで定常性が要求される。
CI5:空間4次キュムラント行列2及び3について、アダマール積
Figure 2007524860

は、混合行列
(外326)
Figure 2007524860

の階数を保存する。すなわち、修正混合行列はフルの列の階数を有する。空間4次キュムラント行列を使用する場合には、この条件は必要とされない。
[分離行列生成アルゴリズム]
図7及び図8は、本発明の実施例に従って空間4次キュムラント行列ペンシルを使用したブラインド音源分離を実行する処理のフローチャートである。そのアルゴリズムは、遅延量(τ123)(ただし、(τ123)≠(0,0,0)である)を入力として必要とする。ステップ61において、遅延量の値τ123が提供され、ステップ63において、センサデータ値x(t)が提供される。位相情報を保存するため、τ1≠τ2又はτ3≠0であることが推奨される。これにより、繰り返しの固有値の発生を低減することができ、そのため、分離が繰り返しされる回数を低減することができる。
ステップ60において、遅延(0,0,0)及び(τ123)での空間4次キュムラント行列の推定が、行列エレメント毎に実行される。キュムラントはデータからは直接的に推定することができないため、4次までのすべてのモーメントが推定されなければならない。この推定は、アレイが伝搬波動場をサンプリングし、センサ出力データ
(外327)
Figure 2007524860

を生成するとともにリアルタイムで行われてもよく、又はキュムラントの推定に必要な全てのデータセットが取得された後に行われてもよい。
空間4時キュムラント行列
(外328)
Figure 2007524860

及び
(外329)
Figure 2007524860

の推定後に、ステップ62において、行列ペンシル
(外330)
Figure 2007524860

の一般化固有分析が実行され、それの有限スペクトル
(外331)
Figure 2007524860

を決定する。ステップ64において、別個の有限の固有値の数Kと、それぞれ別個の固有値の多重度とが決定される。スペクトルは、信号の正規化4次自己キュムラントにそれぞれ対応する多重度を検討して、Mの有限値を有する。Mの固有値のうち、それぞれ多重度ηkを有するKの別個の固有値μk(k∈1,2,...,K)が存在する。別個の固有値ηk毎に、線形独立の固有ベクトルが計算される。ステップ66において、インデックスkがゼロに設定される。インデックスkは、各固有値が指定されることを確保するのに利用される。ステップ68において、別個の固有値インデックスkが、別個の有限の固有値の数Kと比較される。少なくとも1つの別個の固有値が存在するため、Kはゼロに等しくない。従って、第1の繰り返しで、kはK未満であり、処理は、図7及び図8の丸印の記号“A”で示すステップ72に進む。ステップ72において、多重度ηkが1より大きいか否かが決定される。多重度ηkが1より大きくない場合、処理はステップ74に進む。ステップ74において、固有ベクトル
(外332)
Figure 2007524860

が、第kの別個の固有値の固有値について計算される(λjk)。1の多重度でのλjkについて、ステップ76において、正規化因数γjが計算される。ステップ78において、分離ベクトルは、
(外333)
Figure 2007524860

として作られる。ステップ80において、分離ベクトル
(外334)
Figure 2007524860

を使用(付加)して、分離ベクトルが(定義により)分離行列
(外335)
Figure 2007524860

の列になる分離行列
(外336)
Figure 2007524860

を作る。分離ベクトル
(外337)
Figure 2007524860

が分離行列
(外338)
Figure 2007524860

に付加された後、ステップ82において、インデックスkがインクリメントされる。次に、処理は、図7及び図8で丸印の記号“B”で示すステップ68に進む。ステップ68において、kがKと比較される。kがKより多きい場合、ステップ70において、分離行列
(外339)
Figure 2007524860

が提供され、その後の処理に利用可能になる。kがKより大きくない場合(ステップ68)、処理は、図7及び図8の丸印の記号“A”で示すステップ72に進む。ステップ72において、多重度ηkが1より大きいか否かが決定される。多重度ηkが1より大きい場合、処理はステップ84に進む。ステップ84において、ηkの線形独立の固有ベクトルの固有ベクトル
(外340)
Figure 2007524860

が、別個の固有値(λjk)について計算される。ステップ86において、繰り返しの固有値毎に、ηkの分離ベクトルは、
(外341)
Figure 2007524860

のように、その関連の固有ベクトルに等しくなるよう設定される。ステップ80において、分離ベクトル
(外342)
Figure 2007524860

を付加することにより、分離行列
(外343)
Figure 2007524860

が作られる。ステップ82において、インデックスkが再びインクリメントされ、全ての別個の固有値が指定されるまで(ステップ68でk>K)、処理が繰り返される。ステップ68において、kがKより大きい場合、ステップ70において、分離行列
(外344)
Figure 2007524860

が提供され、その後の処理において利用可能となる。ステップ71において、分離を実行するために、分離行列
(外345)
Figure 2007524860

が入力信号
(外346)
Figure 2007524860

で乗算される。より具体的には、以下の式
Figure 2007524860

に従って、入力信号
(外347)
Figure 2007524860

の行列表示が分離行列
(外348)
Figure 2007524860

のエルミート転置で乗算される。
[ハイブリッド分離行列の重み]
前述のBSSシステムは、適応的分離重み(適応的重み)を使用する。BSSを実行する方法及びシステムはまた、干渉+雑音による平均2乗誤差(MSE)を最小化するために、ハイブリッド分離重み(ハイブリッド重み)を用いて実装され得る。最小MSE(MMSE)ハイブリッド重みは、ゼロ遅延の空間相関行列と、SFOCMPの一般化固有ベクトルから計算される。各固有ベクトルは、対応のステアリングベクトルと音源出力とを推定するために使用される。ゼロ遅延の空間相関行列、音源ステアリングベクトル及び音源出力推定は、干渉+雑音の空間相関行列に基づいて推定MMSE重みベクトルを作るために使用される。
図9は、前述のBSSシステムの代表ずであり、適応的重みとハイブリッド重みとの違いを示すために提示されている。図9において、各音源分離ベクトル(すなわち適応重みベクトル)は、空間4次キュムラント行列ペンシル又は空間相関行列ペンシルの正規化固有値に対応する。各固有ベクトルは全ての他の音源ステアリングベクトルに直交するため、これらの適応的重みは、信号対干渉比を最小化するため、又は同じように干渉対信号比を最小化するように設計される。
ブロック901は、アレイデータx(t)を出力し、空間4次キュムラント又は相関行列の対の推定がブロック902で行われる。903において、その結果は一般化固有値分解を受ける。ブロック904において、SFOCMP固有ベクトルが正規化され、ブロック905に示すアレイ出力データに適用される分離行列を作る。前述及び図9のBSSの実施例は、ブロック906に示すようにステアリングベクトルを推定するが、推定値は分離行列Wの生成で使用されない。
正規化固有ベクトルは、干渉を抑制するために効果的に使用され得るが、これらの適応的重みは、付加的なガウス雑音による出力波形の誤りを制限するように拘束されない。ハイブリッド適応的重みを備えたSFOCMに基づく行列ペンシルの手法は、2次及び4次統計の双方を使用し、干渉及び雑音による平均2乗誤差を最小化するように重みベクトルが設計される適応重みを作る。このハイブリッド方法は、推定のゼロ遅延空間相関行列
(外349)
Figure 2007524860

と、第jの音源の推定のステアリングベクトル
(外350)
Figure 2007524860

と、推定の音源出力Pjとを使用し、干渉+雑音相関行列Kjを作り、それによって第jの適応重みベクトル
(外351)
Figure 2007524860

を作る。
第jの固有ベクトルejは式(252)を満たすため、
Figure 2007524860
(外352)
Figure 2007524860

は積Cx(0)ej=VCr(0)VHej=vj(cr,j(0)εj *)に比例し、ステアリングベクトルは正規化により推定可能である。
第jの音源出力の推定値は、拘束されないMMSE重みベクトルwj=Kj -1vjから導かれ得る。Rxに関して、これはRxwj-vj=vjPjVj Hwjと書き直され得る。wj及び
(外353)
Figure 2007524860

の推定値を使用して、音源出力の推定値は、次のようになる。
(外354)
Figure 2007524860

ステアリングベクトルの推定値及び音源出力の推定値を用いて、第jの音源についての干渉+雑音相関行列の推定値は、単に
(外355)
Figure 2007524860

になる。従って、第jの音源のハイブリッドMMSE重みベクトルの推定値は次で得られる。
Figure 2007524860

適応的重みベクトルに対するこのハイブリッドMMSE重みは、Nの干渉+雑音相関行列の転置を含み、複数の追加ステップを必要とする。ハイブリッドMMSE重みベクトルは、付加的なガウス雑音に対する改善したロバスト性に対して干渉の抑制をトレードオフする。この付加的なガウス雑音は、信号のSNRが低くなると更に重要になる。適応ビームパターンについて、正規化固有ベクトルの重みは、異なる干渉方向にヌルを配置し、所望の音源方向で単一の利得を維持する。他方、ハイブリッド重みは、干渉の方向により小さいヌルを作り、音源でない方向で平均サイドローブレベルを更に制限しつつ、所望の音源方向で単一の利得を維持する。
従って、信号対干渉+雑音比を最適にするために、ステアリングベクトルの推定値に基づく行列ペンシルと、空間自己相関行列と、推定の干渉+雑音相関行列とから、最小平均2乗誤差の適応的分離重みベクトル(ハイブリッド重み)が見出され得る。図10は、ハイブリッド分離重みを作る前述のシステム恩図を示している。図9との違いは、違いがハイライトされて斜線を施されている。
アレイ出力1001は、GEVDがブロック1003で実行される空間4次キュムラント1002を推定するために使用される。1003の出力は前述のように使用され、ブロックでステアリングベクトルを推定し、ブロック1004で空間相関行列の推定値と共に、干渉+雑音相関行列を推定する。空間相関行列はまた、推定用にアレイ出力も使用する。ハイブリッド重みベクトルは0000で生成され、アレイ出力に適用される分離行列Wを作り、適応重みが使用された場合と同様に信号y(t)を作る。
ハイブリッド重みを使用した分離性能を示すために、適応的重み(SFCM EigVEC及びハイブリッドMMSE重み(SFCMハイブリッド及びR1,R2-MMSE))を使用した2つのGMSK音源及び6個のセンサアレイでのSNRに対する25のMote Carlo trialsでの平均ISR及びSINR(ランダム混合行列及び等方性白色雑音)が、図11a及び図11bに示されている。
図11aでわかるように、正規化固有ベクトルの重みは、ハイブリッド重みより干渉信号のわずかに優れた抑制を提供する。しかし、図11bに示すように、正規化固有ベクトルの重みは、適応的雑音の抑制を提供しない。一方、ハイブリッドMMSE重みは、干渉と雑音との双方のかなりの抑制を示す。ハイブリッドMMSE重みはまた、低音源入力のSNRで改善したISRを提供する。
これらの結果が図12a及び12bについて繰り返される。6個のGMSK音源及び6個のセンサアレイでのSNRに対する25のMote Carlo trialsでの平均ISR及びSINR(ランダム混合行列及び非等方性の空間的及び時間的相関ガウス雑音)が、従来技術の重みとハイブリッドMMSE重みとの双方について示されている。
従って、行列ペンシルに基づくハイブリッドMMSE適応的アレイの重みは、SIGINTマッピングプロセッサや、クラッタの空間ベースのレーダ適応抑制や、双方向音源信号の1つ以上のジャマー及び抑制のように、同一チャネル干渉とガウス雑音との双方が抑制されなければならない多数のシナリオに一意に適用可能である。
ここで説明したBSS技術は、コンピュータ実装の処理及びその処理を実行するシステムの形式で具現されてもよい。ここで説明したBSS技術はまた、フロッピー(登録商標)ディスケット、読み取り専用メモリ(ROM)、CD-ROM、ハードドライブ、高密度ディスク、又は他のコンピュータ読取可能記憶媒体のような、具体的な媒体に具現されるコンピュータプログラムコードの形式で具現されてもよく、そのコンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされて実行されると、そのコンピュータは本発明を具現するシステムになる。ここで説明するBSS技術はまた、例えば、記憶媒体に格納され、コンピュータへのロード及び/又は実行、あるいは電気配線またはケーブル、光ファイバ、電磁放射などの伝送媒体を介して伝送されるコンピュータプログラムコードの形式で具現されてもよく、そのコンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされて実行されると、そのコンピュータは本発明を具現するシステムになる。汎用プロセッサ上に実装されると、コンピュータプログラムコードセグメントは、特定の論理回路を生成するようにプロセッサを構成する。
本発明によるブラインド音源分離(BSS)技術は、時間的及び空間的相関の雑音が存在する場合において良好な実行可能性を有する低信号対雑音比で良好に実行するロバストな高次キュムラントに基づく基本構成要素のブラインド音源分離技術を提供する。更に、一様でない利得の方向センサによるブラインド音源分離に適した空間4次キュムラント行列の新たな定義が提供され、時間情報を利用した空間4次キュムラント行列ペンシルの定義が提供され、アルゴリズムの性能の指標としての分離出力効率の概念が提供され、行列ペンシル間の広義の同値の概念が提供された。
本発明によるBSS技術の用途は、信号インテリジェンスに対するスペクトル監視や、電波天文学のような、ガウスランダム雑音過程がアレイからの受信信号を支配する他の用途を含む。本発明による4次アレイ信号処理BSS技術は、検出、分類及び識別のため、同一チャネルのエミッタを分離するために空間情報を利用することができる。これは、環境背景電磁照射と隠蔽手段としての既知の同一チャネルのエミッタを使用し得る低確率の検出(LPD:low probability of detection)又は低確率の傍受(LPI:low probability of intercept)のため設計された信号の検出に、特に適用可能である。本発明による空間4次キュムラント行列ペンシルに基づくブラインド音源分離技術は、個々のセンサの雑音下限の近く又はそれ以下の未知の同一チャネルのエミッタをブラインド的に分離する機能を提供する。
本発明の実施例に従って空間4次キュムラント行列ペンシルを使用して、ブラインド音源分離を実行するシステムの機能ブロック図 本発明の実施例に従ってアレイ信号処理及びBSS処理を実行する信号音源、アレイエレメント及びプロセッサの図 異なる放射パターンを有する5つの未知の音源と、異なる受信パターンを有する5つのセンサとを示したMIMOブラインドチャネル推定シナリオの図 センサと音源との間の時間遅延の図 分離処理に提供される雑音で混合した入力信号を示すブラインド音源分離(BSS)を示した図 単一繰り返しの固有値について分離処理を繰り返すことを示した図 本発明の実施例に従って空間4次キュムラント行列ペンシルを使用してブラインド音源分離を実行する処理のフローチャート 図7のフローチャートの続き 正規化固有ベクトル(適応的重み)を備えたブラインド音源分離システムの実施例 最適MMSE分離ベクトル(ハイブリッド重み)を備えたブラインド音源分離システムの実施例 適応的重みと等方性白色雑音でのハイブリッド重みとを比較する出力ISR対受信SNR性能のグラフ 適応的重みと等方性白色雑音でのハイブリッド重みとを比較する出力ISR対受信SNR性能のグラフ 適応的重みと異方性空間及び時間相関ガウス雑音でのハイブリッド重みとを比較する出力ISR対受信SNR性能のグラフ 適応的重みと異方性空間及び時間相関ガウス雑音でのハイブリッド重みとを比較する出力ISR対受信SNR性能のグラフ

Claims (10)

  1. Mの音源により提供されてNのエレメントを有するアレイにより受信されたMの信号を分離する方法であって、
    前記Nのエレメントによる前記Mの信号の受信間の時間差と、空間4次キュムラント行列ペンシル、空間相関行列と、前記Mの信号のステアリングベクトルとの関数として、ハイブリッド分離行列を生成し、
    前記Mの信号の時系列行列表示で前記分離行列を乗算することを有する方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記ハイブリッド分離行列は、
    (外1)
    Figure 2007524860

    ただし、vjは第jの信号のステアリングベクトルであり、Kjは、第jの信号の雑音空間共分散行列である式に従う方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    前記空間4次キュムラント行列ペンシルは、空間4次キュムラント行列の関数である方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記空間4次キュムラント行列は、
    (外2)
    Figure 2007524860

    ただし、Cx 4123)は、第1の時間遅延τ1と第2の時間遅延τ2と第3の時間遅延τ3とを有し、それぞれの時間遅延が前記Mの音源のうち1つから前記Nのエレメントのうち1つまでの時間遅延を示す前記空間4次キュムラント行列であり、
    Nは前記アレイのエレメントの数であり、
    (外3)
    Figure 2007524860

    は引数
    (外4)
    Figure 2007524860

    のキュムラント演算子であり、
    tは時間を表す変数であり、
    xi *(t-τ1)は時間t-τ1での第iの音源からの前記Mの信号のうちの1つの複素共役を示し、
    xi(t-τ2)は時間t-τ1での第iの音源からの前記Mの信号のうちの1つを示し、
    (外5)
    Figure 2007524860

    は前記Mの信号のベクトル表示であり、
    (外6)
    Figure 2007524860


    (外7)
    Figure 2007524860

    のエルミート転置を示す式に従う方法。
  5. Mの音源により提供されたMの信号を分離するシステムであって、
    前記Mの信号を受信して受信信号を提供する受信機と、
    前記受信信号を受信し、ハイブリッド分離行列を生成し、前記受信信号の時系列行列表示で前記分離行列を乗算する信号プロセッサと
    を有し、
    前記ハイブリッド分離行列は、前記受信機による前記Mの信号の受信間の時間差と、空間相関行列と、前記Mの信号のステアリングベクトルと、空間4次キュムラント行列ペンシルとの関数であるシステム。
  6. 請求項5に記載のシステムであって、
    前記ハイブリッド分離行列は、
    (外8)
    Figure 2007524860

    ただし、vjは第jの信号のステアリングベクトルであり、Kjは、第jの信号の雑音空間共分散行列である式に従うシステム。
  7. 請求項5に記載のシステムであって、
    前記空間4次キュムラント行列ペンシルは、個々の音源信号の4次キュムラントによりスケーリングされたステアリングベクトルの外積の和である空間4次キュムラント行列の関数であり、
    前記ステアリングベクトルは、前記Nのエレメントのうち1つずつの間のそれぞれの位相遅延を示すシステム。
  8. 請求項7に記載のシステムであって、
    前記空間4次キュムラント行列は、
    (外9)
    Figure 2007524860

    ただし、Cx 4123)は、第1の時間遅延τ1と第2の時間遅延τ2と第3の時間遅延τ3とを有し、それぞれの時間遅延が前記Mの音源のうち1つから前記Nのエレメントのうち1つまでの時間遅延を示す前記空間4次キュムラント行列であり、
    Nは前記アレイのエレメントの数であり、
    (外10)
    Figure 2007524860

    は引数
    (外11)
    Figure 2007524860

    のキュムラント演算子であり、
    tは時間を表す変数であり、
    xi *(t-τ1)は時間t-τ1での第iの音源からの前記Mの信号のうちの1つの複素共役を示し、
    xi(t-τ2)は時間t-τ1での第iの音源からの前記Mの信号のうちの1つを示し、
    (外12)
    Figure 2007524860

    は前記Mの信号のベクトル表示であり、
    (外13)
    Figure 2007524860


    (外14)
    Figure 2007524860

    のエルミート転置を示す式に従うシステム。
  9. 複数センサのアレイでの複数信号及び雑音環境において、低SNR信号を回復する方法であって、
    分離行列が前記複数センサのアレイのデータに適用され、
    ハイブリッド最小平均2乗誤差の重みで前記分離行列を作る改善を行い、
    前記重みは、空間相関行列と、前記複数信号のステアリングベクトルと、空間4次キュムラント行列ペンシルとの関数として生成される方法。
  10. 未知の信号と少なくとも1つの干渉信号と雑音とを有する混合信号から未知の信号を回復する方法であって、
    前記少なくとも1つの干渉信号と前記雑音とを抑制する分離行列を生成するステップを有し、
    前記分離行列は、前記未知の信号の空間相関行列と、ステアリングベクトルと、前記未知の信号及び前記少なくとも1つの干渉信号の空間4次キュムラント行列ペンシルとの関数である方法。
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