JP5305841B2 - 信号処理装置 - Google Patents
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Description
しかし、これらの信号処理装置では、観測している信号の数を正確に入力する必要があり、このため、観測信号の数を推定する装置が必要になる。
観測データに含まれる信号数を推定する従来方式として、複数のセンサによる観測データから相関行列を算出し、相関行列の固有値から信号数を推定する方式がある。(例えば、非特許文献1参照)
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、固有値を信号成分に対応するものと雑音成分に対応するものとに判別するための閾値を決定する処理がなく統計量に基づいて客観的判断基準により観測信号の数を推定することができる信号処理装置を得ることを目的とする。
被観測物を観測し、観測データを出力するセンサと、
前記センサで観測したデータの高次統計量に基づくキュムラント行列を求めるキュムラント行列演算手段と、
前記キュムラント行列演算手段で算出された高次キュムラント行列を固有値と固有値に対応する固有ベクトルに分解する固有値固有ベクトル演算手段と、
前記固有値固有ベクトル演算手段で分解された固有値を絶対値の大きい方から降順に並べ替える並べ替え手段と、
前記並べ替え手段で並べ替えられた固有値の符号が反転するときまでの固有値数を検出し信号数を推定する符号判定手段と、
前記符号判定手段が検出した符号が反転するときまでの固有値に対応する固有ベクトルを選択するベクトル選択手段と、
前記ベクトル選択手段により選択された固有ベクトルを用いて、未知パラメータを推定するパラメータ推定手段を備える。
まず、高精度/高分解能な信号処理装置実現に必要条件について述べる。高精度/高分解能な信号処理装置を実現する場合、信号処理方式に最尤推定法に基づく方式や超分解能法に基づく方式を用いる。これらの方式では、観測データに含まれる正確な信号数を入力することで高精度/高分解能な運用が可能となる。よって、観測データに含まれる信号数を正確に推定するための方式を別途備える必要がある。
この発明に係る信号処理装置は、キュムラント行列の固有値の符号を判定することで、信号成分と雑音成分を判別するための閾値を自動的に零と設定する信号数推定方式を採用する。この発明における信号数推定方式は、非特許文献2に示されるVESPA(Virtual-Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques Algorithm)に基づく。VESPAでは、4次キュムラントに基づく行列の固有値を算出する。また、この発明に係る信号処理装置で観測する信号の4次キュムラントが負値となることは、非特許文献2にも示される。VESPAに基づく従来の信号処理装置では固有値の絶対値情報のみを使用したが、この発明に係る信号処理装置では固有値の符号を判定する機能を有する。
図1の信号処理装置は図6の従来の信号処理装置を比べて、閾値を決定する装置を不要とすることにより、この発明による信号処理装置は従来の信号処理装置より装置規模が小さくできる。
さらに、この発明の信号処理装置で推定した信号数を、未知パラメータを推定する別の信号処理装置へ出力することもできる。
非特許文献2に基づくVESPAでは、式(1)に示す4次キュムラントを用いて信号数を推定することが特徴である。
#iセンサと#jセンサ(i,j≦L)をガイディングセンサとすると、4次キュムラント行列演算手段2はセンサ11〜1Lで観測したデータベクトルxについて式(1)の4次キュムラントを用いて以下のような4次キュムラント行列Cを算出する。
ベクトル選択手段8で式(10)のように判定された固有値λk(k=1, ・・・,K)に対応する固有ベクトルek(k=1, ・・・,K)を選択し、パラメータ推定手段9でこの選択された固有ベクトルek(k=1, ・・・,K)による式(11)に示される行列Vを用いて、VESPAでは未知パラメータを推定する。
また、推定した信号数Kを、最尤推定や他の超分解能法を用いる別の信号処理装置に出力し、未知パラメータを推定することもできる。
この発明の信号処理装置は、式(2)に示される行列Cを、式(12)のような行列C’を用いるVESPAにおいても実現できる。
前記式(8)における固有値λl(l=1, ・・・,2L)のうち、信号に対応する固有値以外の固有値λl(l=K+1, ・・・,2L)は符号が不定である。このため、図1の信号処理装置では、信号数真値より多めの信号数を推定する場合がある。ただし、未知パラメータ推定方式では、信号数真値未満での推定処理となることを避けるために信号数推定値を多めに設定することが適切な場合もあり、図1の信号処理装置で多めに信号数を推定しても問題にならない。
図2は、信号数真値に対する推定精度を高めた実施の形態2における信号処理装置の構成を示すブロック図である。図2に示す信号処理装置では、擬似信号発生手段170においてセンサに入力される信号のキュムラントと符号が異なるキュムラントとなる擬似信号を発生し、センサ11〜1Lで得られた各観測データへ擬似信号加算手段181〜18Lで上記擬似信号を加算する。例えば、式(19)のように擬似信号yをデータベクトルxに加算する処理をする。
図3は、信号数真値に対する推定精度を高めた他の実施例の信号処理装置の構成を示すブロック図である。図3に示す信号処理装置では、センサに入力される信号のキュムラントと符号が異なるオフセット値130を、オフセット値行列加算手段140で4次キュムラント行列演算手段2により観測データの4次キュムラントにより算出された4次キュムラント行列Cに加算する。例えば、式(20)のようにオフセット値αを行列Cに加算する処理をする。
図4は、図3の信号処理装置と同様の効果を得る更に他の実施例の信号処理装置の構成を示すブロック図の一例である。図4の信号処理装置では、センサに入力される信号のキュムラントと符号が異なるオフセット値130を、オフセット値加算手段150で固有値固有ベクトル演算手段3で分解された固有値4に加算することで、図3の信号処理装置と同様の効果が得られる。例えば、式(21)のように固有値λlにオフセット値αを加算すれば、式(20)のように行列Cにオフセット値を加算する処理と同様の効果が得られる。
また、絶対値の大きな固有値となる大きな観測誤差が混入していたとしても、固有値が正値であれば、固有値の符号による判定処理により未知パラメータ推定処理から観測誤差の影響を排除できる。
4次キュムラント行列Cの対角項に正値の要素が存在する場合、正値の要素に対応するセンサは信号を観測していないと判定できる。よって、信号を観測していないセンサに対応する行列Cの要素を後段の信号処理から除外できる。
従って、本実施の形態においては、符号判定手段7が4次キュムラント行列演算手段2で算出された4次キュムラント行列Cの対角項の符号を判定し、観測している信号数を検出する。
また、符号判定手段7は、4次キュムラント行列Cの対角項の符号を判定し、対角項に正値の要素が存在する場合、正値の要素に対応するセンサは信号を観測していないと判定し、信号を観測していないセンサに対応する行列Cの要素を選択し、後段の信号処理から除外する。
図5は、この発明の実施の形態3による信号処理装置の構成を示すブロック図である。センサ11〜1Lによる観測データを、符号変換手段としてのフーリエ変換手段161〜16Lでフーリエ変換してから、4次キュムラント行列演算手段2へ入力する。
観測データに含まれる信号の4次キュムラントが負値である場合,図5のように観測データをフーリエ変換した後のデータの4次キュムラントは正値となることがある。信号処理装置では固有値4の符号が反転する。よって、信号に対応する固有値の符号が正になるものとして、信号数が推定できる。
Claims (16)
- 被観測物を観測し、観測データを出力するセンサと、
前記センサで観測したデータの高次統計量に基づくキュムラント行列を求めるキュムラント行列演算手段と、
前記キュムラント行列演算手段で算出された高次キュムラント行列を固有値と固有値に対応する固有ベクトルに分解する固有値固有ベクトル演算手段と、
前記固有値固有ベクトル演算手段で分解された固有値を絶対値の大きい方から降順に並べ替える並べ替え手段と、
前記並べ替え手段で並べ替えられた固有値の符号が反転するときまでの固有値数を検出し信号数を推定する符号判定手段と、
前記符号判定手段が検出した符号が反転するときまでの固有値に対応する固有ベクトルを選択するベクトル選択手段と、
前記ベクトル選択手段により選択された固有ベクトルを用いて、未知パラメータを推定するパラメータ推定手段を備えることを特徴とする信号処理装置。 - 前記センサは複数有することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
- 前記符号判定手段は、キュムラント行列の対角要素の符号を判定し、信号検出機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の信号処理装置。
- 前記符号判定手段は、キュムラント行列の対角要素の符号を判定し、信号のキュムラントの符号と一致しない符号の対角要素と、符号が一致しない対角要素に関係する行列要素を判別・選択する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の信号処理装置。
- 信号のキュムラントの符号と一致しない符号となるキュムラントを擬似信号として生成する擬似信号発生手段と、
前記擬似信号発生手段で発生した擬似信号を、センサで観測した観測データに加算し、キュムラント行列演算手段に出力する擬似信号加算手段を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の信号処理装置。 - 信号のキュムラントの符号と一致しない符号となるオフセット値をオフセット値生成手段で生成し、キュムラント行列演算手段で求められたキュムラント行列に加算し、固有値固有ベクトル演算手段に出力するオフセット値行列加算手段を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 信号のキュムラントの符号と一致しない符号となるオフセット値をオフセット値生成手段で生成し、固有値固有ベクトル演算手段で分解された固有値に加算し、符号判定手段に出力するオフセット値加算手段を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 信号以外の雑音電力の評価に基き、前記擬似信号発生手段で発生した擬似信号またはオフセット値生成手段で生成したオフセット値を更新する雑音電力評価装置を備えることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 前記高次統計量として4次キュムラントを用いることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 前記符号判定手段は信号のキュムラントの符号に一致しない符号の固有値に対応する固有ベクトルを判別・選択し、以降の処理には用いないことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 観測データに含まれる信号の高次キュムラント信号に対応するキュムラントの符号を変換し、キュムラント行列演算手段へ入力する符号変換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 信号に対応するキュムラント、または、固有値の符号が負であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 信号に対応するキュムラント、または、固有値の符号が正であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の信号処理装置。
- センサで観測したデータの高次統計量を算出する過程の平均処理において、キュムラント母数を変更する機能を有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 前記パラメータ推定手段で推定した未知パラメータの推定値を装置の外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の信号処理装置。
- 前記符号判定手段で推定した信号数を装置の外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の信号処理装置。
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