JP4270607B2 - カルボシロキサンデンドリマー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なカルボシロキサンデンドリマーに関し、詳しくは、ポリシロキサン構造を核として、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造を有し、分子量分布が狭く置換基を有する新規なカルボシロキサンデンドリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一つの核から放射状に高度な枝分かれ構造を有し、分子量分布が狭い高分子はデンドリマーと呼ばれ、低粘度性,高反応性,高溶解性,低ガラス転移温度といった特徴的な性質を持っており、その応用が注目されている。有機ケイ素デンドリマーとしては、例えば、シロキサンデンドリマー{レブロフら、Dokl. Akad. Nauk. SSSR 309, 367 (1989);正宗ら、J. Am. Chem. Soc. 112, 7077 (1990)参照},カルボシロキサンデンドリマー{柿本ら、Macromolecules 24, 3469 (1991);特開平7−17981号公報、シェイコら、Macromol. Rapid Commun. 17, 283 (1996)参照},カルボシランデンドリマー{ルーバースら、Macromolecules 26, 963 (1993);特開平8−311205号公報参照}などが知られている。これらの中には、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列したカルボシロキサンデンドリマーも開示されているが{特開平7−17981号公報;シェイコら、Macromol. Rapid Commun. 17, 283 (1996)参照}、これらは一個のケイ素原子に複数のビニル基またはアリル基が結合したシラン化合物をデンドリマーの核構成原料とするものに限定されており、しかも、階層数が小さい低分子量のデンドリマーしか得られないという欠点があった。また、一段階重合法によるシロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐状ポリマーの合成も開示されているが{マシウスら、J. Am. Chem. Soc. 113, 4043 (1991)参照}、この方法では、分子量分布の狭いデンドリマーは得られないという欠点があった。すなわち、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造を有し、高分子量化が可能であり、かつ分子量分布が狭く、置換基を有するカルボシロキサンデンドリマーはこれまで知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、ポリシロキサン構造を核として、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造を有し、高分子量化が可能であり、かつ分子量分布が狭く、置換基を有する新規なカルボシロキサンデンドリマーを提供することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明は、一般式:X1R1 aSiO(3-a)/2
{式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、aは0〜2の整数であり、X1次式中の i を1とした場合のシリルアルキル基である。
【化3】
Figure 0004270607
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Xi+1上式中の i i+1 とした場合のシリルアルキル基,非置換の一価炭化水素基,またはアミノ基、環状もしくは非環状のエーテル含有基、あるいはカルボン酸エステル含有基で置換された炭素数1〜30の一価炭化水素基である。iは該シリルアルキル基の階層、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している1〜10の整数であり、階層 i における上記シリルアルキル中のbiは0〜3の整数である。)}で示されるシロキサン単位を含有するケイ素原子数2以上のポリシロキサン構造を核に有し、式:
【化4】
Figure 0004270607
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、R4アミノ基、環状もしくは非環状のエーテル含有基、またはカルボン酸エステル含有基で置換された炭素数1〜30の一価炭化水素基である。)で示されるシロキシ基を1個以上有するカルボシロキサンデンドリマーに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:X1R1 aSiO(3-a)/2 で示される同種もしくは異種のシロキサン単位を含有するケイ素原子数2以上のポリシロキサン構造を核に有する化合物である。上式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、アルキル基としては、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,イソプロピル基,イソブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基,ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。aは0〜2の整数である。X1はi = 1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【化5】
Figure 0004270607
上式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基,メチルエチレン基,1−メチルペンチレン基,1,4−ジメチルブチレン基などの分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基,メチルメチレン基,ヘキシレン基,1−メチルペンチレン基,1,4−ジメチルブチレン基が好ましい。R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,イソプロピル基が例示される。これらの中でもメチル基またはエチル基が好ましい。R1は前記と同じである。Xi+1は上記シリルアルキル基,非置換の一価炭化水素基,炭素原子および水素原子以外の原子で置換された一価炭化水素基または炭素原子および水素原子以外の原子を含む基で置換された一価炭化水素基である。非置換の一価炭化水素基は炭素原子数が1〜30であることが好ましく、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,イソプロピル基,イソブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などのアルキル基;フェニル基,ナフチル基,トリル基,キシリル基などのアリール基;ビニル基,アリル基、ブテニル基、ペンテニル基,へキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基,フェネチル基などのアラルキル基が例示される。また、炭素原子および水素原子以外の原子で置換された一価炭化水素基または炭素原子および水素原子以外の原子を含む基で置換された一価炭化水素基とは、各種シリコーン化合物中に存在し得る公知の有機基で置換された一価炭化水素基を指し、好ましくは1種以上の、アルコール性水酸基,フェノール性水酸基,アミノ基,アルコキシ基,カルボキシル基,ニトリル基,ハロゲン原子,環状もしくは非環状のエーテル含有基,カルボン酸エステル含有基で置換された炭素原子数1〜30の一価炭化水素基である。具体的には、アルコール性水酸基置換炭化水素基として3−ヒドロキシプロピル基,ヒドロキシメチル基,(ヒドロキシエトキシ)プロピル基;フェノール性水酸基置換炭化水素基としてヒドロキシフェニル基,(ヒドロキシフェニル)プロピル基;アミノ基置換炭化水素基としてアミノプロピル基,アミノメチル基,N−ブチルアミノプロピル基,N−シクロヘキシルアミノプロピル基,N,N−ジブチルアミノプロピル基,N,N−ジブチルアミノメチル基;アルコキシ基置換炭化水素基として3−ブトキシプロピル基,3,3−ジメトキシプロピル基;カルボキシル基置換炭化水素基として3−カルボキシプロピル基,10−カルボキシデシル基;ニトリル基置換炭化水素基として2−シアノエチル基,3−シアノプロピル基;ハロゲン原子置換炭化水素基として3−クロロプロピル基,クロロメチル基,3,3,3−トリフルオロプロピル基,p−クロロメチルフェネチル基,ノナフルオロヘキシル基;環状エーテル含有基置換炭化水素基としてグリシドキシプロピル基,5,6−オキシラニルブチル基,テトラヒドロフルフリロキシプロピル基;非環状エーテル含有基置換炭化水素基としてメトキシエトキシプロピル基,ポリオキシエチレニルプロピル基,ポリオキシプロピレニルプロピル基;カルボン酸エステル含有基置換炭化水素基としてアセトキシプロピル基,エトキシカルボニルプロピル基;フェノール性水酸基とアルコキシ基で置換された炭化水素基として4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピル基;アルコール性水酸基とカルボン酸エステル含有基で置換された炭化水素基として6−アセトキシ−5−ヒドロキシヘキシル基;アルコール性水酸基,カルボン酸エステル含有基およびエーテル含有基で置換された炭化水素基として7−アクリロキシ−6−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル基が例示される。iは1〜10の整数であり、biは0〜3の整数である。ここで、iは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。従って、階層数が1である場合に、該シリルアルキル基は一般式:
【化6】
Figure 0004270607
で示され、階層数が2である場合に、該シリルアルキル基は一般式:
【化7】
Figure 0004270607
で示され、階層数が3である場合に、該シリルアルキル基は一般式:
【化8】
Figure 0004270607
で示される。上式中、R1, R2, R3, b1, b2, b3は前記と同じであり、R5は非置換の一価炭化水素基,炭素原子および水素原子以外の原子で置換された一価炭化水素基または炭素原子および水素原子以外の原子を含む基で置換された一価炭化水素基であるが、1分子中のR5の内少なくとも1個は、炭素原子および水素原子以外の原子で置換された一価炭化水素基または炭素原子および水素原子以外の原子を含む基で置換された一価炭化水素基である。この置換炭化水素基としては、前記Xi+1で例示したのと同様の基が挙げられる。
【0006】
本発明のカルボシロキサンデンドリマーの核であるポリシロキサン構造は、上記一般式:X1R1 aSiO(3-a)/2(式中、X1,R1およびaは前記と同じである。)で示されるシロキサン単位を含有するケイ素原子数2以上のシロキサン構造であればよく、一般式:X1R1 aSiO(3-a)/2(式中、X1,R1およびaは前記と同じである。)で示されるシロキサン単位からなるポリシロキサン構造の他、該一般式で示されるシロキサン単位と一般式:R1 cSiO(4-c)/2(式中、R1は前記と同じであり、cは0〜3の整数である。)で示されるシロキサン単位からなるポリシロキサン構造が挙げられる。このような本発明のカルボシロキサンデンドリマーの核を構成するシロキサン単位としては、一般式: X1R1 2SiO1/2またはR1 3SiO1/2で示される1官能シロキサン単位(M単位),一般式:X1R1SiO2/2またはR1 2SiO2/2で示される2官能シロキサン単位(D単位),一般式:X1SiO3/2またはR1SiO3/2で示される3官能シロキサン単位(T単位),SiO4/2で示される4官能シロキサン単位(Q単位)がある。このようなシロキサン単位が結合したポリシロキサン構造を核とし、この核から放射状に高度な枝分かれ構造を有する本発明のカルボシロキサンデンドリマーとしては、次の一般式で示される化合物が挙げられる。式中、X1およびR1は前記と同じであり、m, n, x, y, z, p, q, r, s, tは一分子中に存在するシロキサン単位数を示す1以上の数であるが、(p+q)は5以上、(s+t)は6以上である。
【化9】
Figure 0004270607
【化10】
Figure 0004270607
【化11】
Figure 0004270607
【化12】
Figure 0004270607
【化13】
Figure 0004270607
【化14】
Figure 0004270607
【化15】
Figure 0004270607
【化16】
Figure 0004270607
(X1R1 2SiO1/2)p(R1SiO3/2)q
(X1SiO3/2)r
(X1R1 2SiO1/2)s(SiO4/2)t
本発明のカルボシロキサンデンドリマーは単一化合物もしくはそれらの混合物であるが、ポリスチレン換算の分子量における分散度指数、即ち重量平均分子量と数平均分子量の商(Mw/Mn)が2以下であることが好ましい。
【0007】
このような本発明のカルボシロキサンデンドリマーとして具体的には、下記平均分子式で示される重合体が挙げられる。
【化17】
Figure 0004270607
【化18】
Figure 0004270607
【化19】
Figure 0004270607
【化20】
Figure 0004270607
【化21】
Figure 0004270607
【化22】
Figure 0004270607
【化23】
Figure 0004270607
【0008】
本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、例えば、一般式:HR1 aSiO(3-a)/2(式中、R1およびaは前記と同じである。)で示されるケイ素原子数2以上のケイ素原子結合水素原子含有ポリシロキサンを出発物質として、下記の(x)工程と(y)工程を1回以上交互に行い、最後に(y)工程の後に(z)工程を行うか、もしくは(x)工程の後に(w)工程を行うことにより製造することができる。
(x)工程:上記出発物質または下記(y)工程で生成するケイ素原子結合水素原子含有カルボシロキサンデンドリマーと、一般式:R6Si(OR3)3(式中、R3は前記と同じであり、R6は炭素原子数2〜10のアルケニル基である。)で示されるアルケニル基含有アルコキシシランとを、白金系遷移金属触媒の存在下に付加反応させる工程。
(y)工程:上記(x)工程で得られたアルコキシ基含有カルボシロキサンデンドリマーと、一般式:
【化24】
Figure 0004270607
(式中、R1は前記と同じである。)で示されるジシロキサンを酸性条件下に反応させる工程。
(z)工程:上記(y)工程で得られたカルボシロキサンデンドリマーと、一分子中に1個の非共役アルケニル基と1個以上の炭素原子および水素原子以外の原子もしくは炭素原子および水素原子以外の原子を含む基とを有する化合物、または、一分子中に1個の非共役アルケニル基を有する炭化水素化合物を、白金系遷移金属触媒の存在下に付加反応させる工程。
(w)工程:上記(x)工程で得られたアルコキシ基含有カルボシロキサンデンドリマーと、一般式:
【化25】
Figure 0004270607
(式中、R1およびR5は前記と同じである。)で示されるジシロキサンを酸性条件下に反応させる工程。
【0009】
上記(x)工程および(z)工程で使用される白金系遷移金属触媒としては、塩化白金酸,アルコール変性塩化白金酸,白金のオレフィン錯体,白金のジケトナート錯体が例示される。この白金系遷移金属触媒を用いて付加反応を行う際には、原料中のケイ素原子結合水素原子を完全に反応させるために、やや過剰のアルケニル基含有化合物を反応させるのが好ましい。過剰量のアルケニル基含有化合物は反応後、減圧蒸留等によって分別回収することができる。またこの付加反応は常温もしくは加熱条件下に行うことができ、反応を妨害しない溶媒を用いて行うこともできる。尚、(x)工程で使用されるアルケニル基含有アルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ヘキセニルトリメトキシシラン,ヘキセニルトリエトキシシランが例示され、(z)工程で使用される一分子中に1個の非共役アルケニル基と、1個以上の炭素原子および水素原子以外の原子もしくは炭素原子および水素原子以外の原子を含む基とを有する化合物としては、アルコール性水酸基,フェノール性水酸基,アミノ基,アルコキシ基,カルボキシル基,ニトリル基,ハロゲン原子,環状もしくは非環状のエーテル含有基,カルボン酸エステル含有基から選択される1種以上の原子もしくは基を有する炭素原子数30以下のアルケニル化合物が好ましく、具体的には、アリルアルコール,アリロキシエタノール,ο−アリルフェノール,アリルアミン,ブチルアリルエーテル,ウンデシレン酸,シアン化アリル,アクリロニトリル,塩化アリル,アリルグリシジルエーテル,アリルメタクリレートが例示される。一方、一分子中に1個の非共役アルケニル基を有する炭化水素化合物は炭素原子数が30以下であることが好ましく、具体的には、プロピレン,1−ブテン,イソブテン,1−ヘキセン,1−オクテン,スチレン,α−メチルスチレンが例示される。
【0010】
上記(y)工程および(w)工程において酸性条件を作るのに使われる酸性物質としては、塩酸,硫酸,カルボン酸類,スルホン酸類またはその混合物が好ましい。尚、(y)工程では、ケイ素原子結合水素原子がアルコール分解することにより、本発明のカルボシロキサンデンドリマーに下記式で示されるモノアルコキシシロキシ基が少量含まれることがある。
【化26】
Figure 0004270607
(式中、R1およびR3は前記と同じである。)
【0011】
以上のような本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、ポリシロキサン構造を核として、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造を有する化合物である。このデンドリマーは高分子量化が可能であり、かつ、分子量分布が狭いという特徴を有する。さらに本発明のカルボシロキサンデンドリマーは分岐構造の末端に各種有機基で置換された炭化水素基を有するので、その物理特性は、有機基の化学的、物理的性質に支配される傾向にある。例えば、ポリエーテル構造などの親水性基を持つ本発明のカルボシロキサンデンドリマーは高い水溶性を示し、エポキシ基やアミノ基などの反応性有機基を有する本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、その反応性が非常に高いという特徴を有する。このため本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、離型剤,潤滑剤,樹脂改質剤,架橋剤として有用である。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。実施例中、本発明のカルボシロキサンデンドリマーの同定は、29Si−核磁気共鳴分析およびゲル透過クロマトグラフィー分析(溶媒:トルエン)により行った。
【0013】
【実施例1】
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた200ml4つ口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン107gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.04gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン49.4gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、減圧濃縮したところ、138gの微褐色液体が得られた。これを中間体Aとした。次に、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた300ml4つ口フラスコに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン80.6g、酢酸72.1gおよびトリフルオロメタンスルホン酸0.11gを投入して、これらを撹拌しながら、40℃に加熱した。これに、上記で得た中間体A76.8gを滴下ロートを用いて1時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を50℃で1時間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移して下層を分取した後、残った上層液を水50mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形分を濾別し、得られた溶液を減圧濃縮したところ、119gの無色透明液体が得られた。これを中間体Bとした。さらに、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた200ml4つ口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン88.9gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.04gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、上記で得た中間体B60.5gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、反応溶液を減圧濃縮したところ、134gの微褐色液体が得られた。これを中間体Cとした。撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた300ml4つ口フラスコに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン75.1g、酢酸53.7gおよび上記で得た中間体C66.9gを投入して、これらを撹拌しながら、50℃に加熱した。これに、トリフルオロメタンスルホン酸0.08gを投入した後、反応溶液を50℃で1時間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移して下層を分取した後、残った上層液を水30mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlで1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形分を濾別し、得られた溶液を減圧濃縮したところ、77.1gの無色透明液体が得られた。これを中間体Dとした。最後に、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた100ml4つ口フラスコに、片末端アリル化ポリオキシエチレングリコール(25量体)46.1gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.07gを投入し、これらを撹拌しながら80℃に加熱した。これに、上記で得た中間体D15.0gを、滴下ロートを用いて反応温度が85℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を100℃で1時間加熱した。冷却後、反応溶液を減圧濃縮したところ、64.0gの微褐色液体が得られた。この反応生成物を29Si−核磁気共鳴分析により分析したところ、下記の平均分子式で示されるカルボシロキサンデンドリマーであることが判明した。またこのカルボシロキサンデンドリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量が26030であり、分散度指数が1.32であることが確認された。
【化27】
Figure 0004270607
【0014】
【実施例2】
撹拌装置,温度計,還流冷却管,滴下ロートを取り付けた200ml4つ口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン88.9gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.04gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン30.1gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、反応溶液を減圧濃縮したところ、100gの微褐色液体が得られた。これを中間体Iとした。続いて、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた500ml4つ口フラスコに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン93.0g、濃塩酸27ml、水53mlおよびイソプロパノール53mlを投入してこれらを撹拌した。次いでこれに、上記で得た中間体I80.0gを滴下ロートを用いて1時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で1時間撹拌した。次いで反応溶液を分液ロートに移して下層を分取した後、残った上層液を水50mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形分を濾別し、得られた溶液を減圧濃縮したところ、98.5gの無色透明液体が得られた。これを中間体Jとした。最後に、撹拌装置,温度計,還流冷却管,滴下ロートを取り付けた100ml4つ口フラスコに、アリルグリシジルエーテル45.7gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.04gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、上記で得た中間体J35.0gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、減圧濃縮したところ、60.0gの微褐色液体が得られた。この反応生成物を29Si−核磁気共鳴分析により分析したところ、下記の平均分子式で示されるカルボシロキサンデンドリマーであることが判明した。またこのカルボシロキサンデンドリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量が2061であり、分散度指数が1.21であることが確認された。
【化28】
Figure 0004270607
【0015】
【実施例3】
撹拌装置,温度計,還流冷却管,滴下ロートを取り付けた100ml4つ口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン49.4gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.04gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、平均分子式:
【化29】
Figure 0004270607
で示されるポリシロキサン30.0gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、反応溶液を減圧濃縮したところ、63.1gの微褐色液体が得られた。これを中間体Kとした。次に、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた200ml4つ口フラスコに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン33.9g、濃塩酸13ml、水27mlおよびイソプロパノール27mlを投入してこれらを撹拌した。次いでこれに、上記で得た中間体K40.0gを滴下ロートを用いて1時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で1時間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移して下層を分取した後、残った上層液を水20mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形分を濾別し、得られた溶液を減圧濃縮したところ、45.4gの無色透明液体が得られた。これを中間体Lとした。最後に、撹拌装置,温度計,還流冷却管,滴下ロートを取り付けた100ml4つ口フラスコに、酢酸アリル62.4gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.05gを投入し、これらを撹拌しながら90℃に加熱した。これに、上記で得た中間体L27.0gを、滴下ロートを用いて反応温度が90℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を100℃で1時間加熱した。冷却後、減圧濃縮したところ、30.3gの微褐色液体が得られた。この反応生成物を29Si−核磁気共鳴分析により分析したところ、下記の平均分子式で示されるカルボシロキサンデンドリマーであることが判明した。またこのカルボシロキサンデンドリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量が2894であり、分散度指数が1.73であることが確認された。
【化30】
Figure 0004270607
【0016】
【実施例4】
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた500ml4つ口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン214gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.16gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。これに、平均組成式:{H(CH3)2SiO1/2}10(SiO4/2)5で示されるポリシロキサン 100gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した。冷却後、減圧濃縮したところ、234gの微褐色液体が得られた。これを中間体Mとした。次に、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた1000ml4つ口フラスコに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン468g、濃塩酸75ml、水150mlおよびイソプロパノール150mlを投入してこれらを撹拌した。これに、上記で得た中間体M220gを滴下ロートを用いて1時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で1時間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移して下層を分取した後、残った上層液を水100mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形分を濾別し、得られた溶液を減圧濃縮したところ、273gの無色透明液体が得られた。これを中間体Nとした。最後に、撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた100ml4つ口フラスコに、上記で得た中間体N50.0gと塩化白金酸3%イソプロパノール溶液0.82gを投入し、これらを撹拌しながら100℃に加熱した。次いでこれに、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン18.1gを、滴下ロートを用いて反応温度が100℃を保つようにゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を120℃で1時間加熱した後、メタノール10.0gを加え、1時間加熱還流した。冷却後、反応溶液を減圧濃縮したところ、66.5gの微褐色液体が得られた。この反応生成物を29Si−核磁気共鳴分析により分析したところ、下記の平均分子式で示されるカルボシロキサンデンドリマーであることが判明した。またこのカルボシロキサンデンドリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量が4830であり、分散度指数が1.52であることが確認された。
【化31】
Figure 0004270607
【0017】
【発明の効果】
本発明のカルボシロキサンデンドリマーは、ポリシロキサン構造を核として、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造を有し、高分子量化が可能であり、かつ分子量分布が狭いという特徴を有する。さらに分岐構造の末端にポリエーテル構造などの親水性基を持つ本発明のカルボシロキサンデンドリマーは高い水溶性を示し、エポキシ基やアミノ基などの反応性有機基を有する本発明のカルボシロキサンデンドリマーは反応性が非常に高いという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られたカルボシロキサンデンドリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルである。
【図2】 図2は、実施例2で得られたカルボシロキサンデンドリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルである。
【図3】 図3は、実施例3で得られたカルボシロキサンデンドリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルである。
【図4】 図4は、実施例4で得られたカルボシロキサンデンドリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルである。

Claims (3)

  1. 一般式:X1R1 aSiO(3-a)/2
    {式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、aは0〜2の整数であり、X1次式中の i を1とした場合のシリルアルキル基である。
    Figure 0004270607
    (式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Xi+1上式中の i i+1 とした場合のシリルアルキル基,非置換の一価炭化水素基,またはアミノ基、環状もしくは非環状のエーテル含有基、あるいはカルボン酸エステル含有基で置換された炭素数1〜30の一価炭化水素基である。iは該シリルアルキル基の階層、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している1〜10の整数であり、階層 i における上記シリルアルキル中のbiは0〜3の整数である。)}で示されるシロキサン単位を含有するケイ素原子数2以上のポリシロキサン構造を核に有し、式:
    Figure 0004270607
    (式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、R4アミノ基、環状もしくは非環状のエーテル含有基、またはカルボン酸エステル含有基で置換された炭素数1〜30の一価炭化水素基である。)で示されるシロキシ基を1個以上有するカルボシロキサンデンドリマー。
  2. ポリシロキサン構造が、一般式: X 1 R 1 a SiO (3-a)/2 (式中、 X 1 R 1 および a は前記と同じである。)で示されるシロキサン単位、または一般式: X 1 R 1 a SiO (3-a)/2 (式中、 X 1 R 1 および a は前記と同じである。)で示されるシロキサン単位と一般式: R 1 c SiO (4-c)/2 (式中、 R 1 は前記と同じであり、cは0〜3の整数である。)で示されるシロキサン単位からなる、請求項1記載のカルボシロキサンデンドリマー。
  3. ポリスチレン換算分子量の分散度指数が2以下である請求項1または2記載のカルボシロキサンデンドリマー。
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