JP4266773B2 - 短波長対応の追記型光記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、追記型光記録媒体(WORM:Write Once Read Many)、特に青色レーザ波長或いはそれ以下の領域でも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体に関する。
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行なわれている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
したがって、記録層に用いる有機材料としては、青色レーザ波長に対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。即ち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し、且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する有機材料は殆ど見出されていない。これは、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料を得るためには、分子骨格を小さくするか、又は共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収波長を制御することは可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特許文献1〜5に記載がある。
しかし、これらの公報では、実施例を見ても溶液と薄膜のスペクトルを測定しているのみで、記録再生に関する記載はない。
特許文献6〜8には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
特許文献9には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特許文献10〜19には、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特許文献20には、記録再生波長は405〜408nmであるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
以上のように、現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍においては、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機材料が殆んど存在しない。
また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
更に、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍に有機材料の主吸収帯が存在するため、有機材料の光学定数の波長依存性が大きくなり(僅かな波長変動量δλに対して複素屈折率の変動量δnやδkが非常に大きくなる。図1参照)、レーザの個体差や環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
一方、色素開発のコストと労力を低減させるため、色素の吸収極大が書き込み光の波長よりも長波長にある光記録媒体が、特許文献21に記載されているが、この文献記載の発明と本発明との基本的相違については後で説明する。
特開2001−181524号公報 特開2001−158865号公報 特開2000−343824号公報 特開2000−343825号公報 特開2000−335110号公報 特開平11−221964号公報 特開平11−334206号公報 特開2000−43423号公報 特開平11−58955号公報 特開2001−39034号公報 特開2000−149320号公報 特開2000−113504号公報 特開2000−108513号公報 特開2000−222772号公報 特開2000−218940号公報 特開2000−222771号公報 特開2000−158818号公報 特開2000−280621号公報 特開2000−280620号公報 特開2001−146074号公報 特開2002−74740号公報
従来、特に追記型光記録媒体では、ハイ・ツー・ロー(High to Low)記録極性が常識である。したがって、従来と同様な複素屈折率を有する色素等の有機材料を選択する必要があるが、上述したように、青色レーザ波長以下の記録再生波長領域で、赤色レーザ波長領域と同等の複素屈折率を実現することは非常に困難である。また、青色レーザ波長以下の記録再生波長領域で、赤色レーザ波長領域と同等の複素屈折率を有する有機材料が存在した場合でも、その有機材料の複素屈折率を記録再生波長に最適化することは非常に困難である。
何故ならば、一般的に短波長対応の有機材料は、分子骨格が小さいためドナーやアクセプター効果を有する置換基を導入できる部分が少なくなるし、分子骨格が大きい場合でも共役系が短いため、ドナーやアクセプター効果を有する置換基の効果が充分発揮されなくなるからである。
また、従来の場合、ハイ・ツー・ロー記録極性を実現させるには、例えば記録再生波長に対し、記録層中の有機材料の吸収帯を短波長側に位置するようにし、かつ記録再生波長をその吸収帯の裾に位置させなければならないが、この条件では、記録再生波長の選択によって、有機材料をその都度設計しなければならないという問題、或いは、記録再生時のレーザの波長変動に対し、記録再生特性が大幅に変化してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、次のイ)〜ロ)のような追記型光記録媒体の提供を目的とする。
イ)500nm以下の記録再生波長、特に405nm近傍の波長領域であっても記録再生可能な生産性に優れた(生産性良く作製できる)追記型光記録媒体。
ロ)記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体。
上記課題は、本発明の(1)「基板上に、下記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、反射層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が増加した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体;
Figure 0004266773
(但し、Arは、下記式(a)乃至(r)で示される置換基である。)
Figure 0004266773
(2)「基板上に、上記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、干渉層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が減少した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体」、
(3)「基板上に、反射層、上記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が増加した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体」、
(4)「基板上に、干渉層、上記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が減少した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体」、
)「干渉層が、SiO、ZnS・SiO、ZrOの何れかを主成分とする材料からなることを特徴とする前記第(2)項又は第(4)項に記載の追記型光記録媒体」、
)「基板に案内溝を有し、溝部(グルーブ)と溝間部(ランド)の両方に記録部が形成されることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の追記型光記録媒体」によって解決される。
本発明によれば、500nm以下の記録再生波長、特に405nm近傍の波長領域であっても記録再生可能で生産性に優れ、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体を提供できる。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
従来、追記型光記録媒体には高反射率化が要求されてきた。これはROMとの互換性を重視してきたためである。
しかしながら、現在開発が行なわれている青色レーザ波長に対応した光記録媒体では、相変化を利用した書き換え型の光記録媒体がROMに先行して開発されており、書き換え型の光記録媒体は、青色波長領域での標準媒体となっている。
この書き換え型の光記録媒体は、一般的に反射率が10%程度以下の低反射率である。したがって、青色レーザ波長以下の短波長領域では、もはや高反射率化という課題はさほど重要でなくなる。また、青色レーザ波長以下の短波長領域では、反射層自体の反射率も低下するため、ROMが実現された場合でも、必ずしも従来のような高い反射率を有することは期待できない。
そこで本発明では、本来CD-RやDVD-R用であるピリリウム色素を用い、青色レーザ波長以下(500nm以下)の記録再生波長において、従来とは異なる有機材料の吸収帯と記録再生波長の関係を採用することにより、追記型光記録媒体の記録極性をロー・ツー・ハイ(Low to High)化することを提案する(本発明における第一の態様)。
さらに、本来CD-RやDVD-R用であるピリリウム色素を用い、青色レーザ波長以下(500nm以下)の記録再生波長において、従来とは異なる有機材料の吸収帯と記録再生波長の関係と、従来とは異なる層構成を採用することにより、従来通り記録極性がハイ・ツー・ロー(High to Low)となる追記型光記録媒体を提供する(本発明における第二の態様)。
上記いずれの態様においても、従来とは異なる有機材料の吸収帯と記録再生波長の関係を採用することによって、記録層材料の選択の幅を著しく広げ、また従来有機材料を用いた追記型光記録媒体の欠点であった波長依存性を大幅に改善することができる。
なお、前述の特許文献21に記載の技術では、従来の色素(有機化合物)と記録再生波長の関係を逆転させた追記型光記録媒体を実現させているが、この技術は色素の主吸収帯の短波長側の裾に記録再生波長を合わせたものであって、色素の記録再生波長への整合が容易になった訳ではない(図2参照)。また、この技術においては、記録特性に関する記載がなく、本発明とは技術思想が異なる。
本発明の光記録媒体構成では、記録層以外の層は記録を実現させるだけの光吸収機能を持たないため、記録層が主たる光吸収機能を担う必要がある。
したがって、本発明の記録層に用いられる有機材料は、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体同様、記録再生波長近傍に吸収帯を持つ必要があるが、従来の課題を解決するため、記録再生波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を持つ有機材料を適用することを考え出し、このような吸収スペクトルを有する有機材料として、ピリリウム色素を見出したものである。
本発明では、記録再生波長を主吸収帯に合わせるのではなく、主吸収帯に帰属せず主吸収帯よりも短波長側にある吸収帯近傍に記録再生波長を設定する(図3参照。図中の斜線領域に記録再生波長を設定する)。
言い換えれば、記録再生波長近傍に、主吸収帯に帰属しない吸収帯(主吸収帯よりも吸収機能が小さく、スペクトルがブロードな吸収帯)を有し、この吸収帯よりも長波長側に主吸収帯を有する有機化合物として前記式(1)で示されるピリリウム色素を用いる(図3参照)。
なお、本発明でいう「主吸収帯」とは、図4に示すように、可視域の範囲で最も吸収の大きな吸収帯を指し、一般的にはHOMO−LUMO(ホモ−ルモ)の遷移に基づく吸収帯を指す。
したがって、例えば、図5に示すような吸収スペクトルを有する色素(有機材料)では、300nm以下の波長域に最も大きな吸収係数を持つ吸収帯を有するが、本発明ではこの吸収帯を主吸収帯とは呼ばず、700nm近傍の吸収帯(可視域で最も大きな吸収帯)を主吸収帯と呼ぶ。
また、本発明でいう「主吸収帯に帰属せず、主吸収帯よりも短波長側にある吸収帯」とは、図4に示すように、主吸収帯とは別の遷移に基づく吸収帯を指す(HOMO−LUMOの遷移に基づく吸収帯ではない)。
本発明で用いることのできるピリリウム色素としては、主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有すれば何ら制限はないが、この記録再生波長近傍に存在する、主吸収帯に帰属しない吸収帯は、記録を実現させるのに充分な光吸収機能を有する必要がある。
例えば、図5の吸収スペクトルを有する色素(有機材料)では、主吸収帯に帰属しない吸収帯が、記録を実現させるのに充分な光吸収能を持っているが、図6の吸収スペクトルを有する色素(有機材料)では、主吸収帯に帰属しない吸収帯が記録再生波長域とずれており、記録を実現させるのに充分な光吸収能を持っていない(図5、図6中の破線領域は、現在実用化されている青色レーザ波長405nmを中心に、その変動可能性範囲を含めた記録再生波長範囲を示したものである)。
本発明では前記式(1)で示されるピリリウム色素を用いるが、そのメリットとしては次のイ)〜ニ)などが挙げられる。
イ)色素の主吸収帯と記録再生波長の位置関係を細かく制御する必要がないため、CD−RやDVD−R等で検討されてきた一般的なピリリウム色素、或いは合成の容易なピリリウム色素を利用することが可能である。
ロ)従来の追記型光記録媒体と同じ層構成であり、光記録媒体の構成が単純である。
ハ)色素の主吸収帯近傍に記録再生波長を設定しないため、短波長化が容易である(記録再生波長の選択の自由度が大きい)
ニ)記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化を小さくすることができる(大きな吸収係数を有する主吸収帯の吸収機能を利用しないため、記録再生波長近傍での有機材料の複素屈折率変動が少ないことによる)
本発明の第一の態様では、記録極性をロー・ツー・ハイ化するため、基板上に、ピリリウム色素を含有する記録層、反射層が順次設けられた光記録媒体構成、或いは、基板上に、反射層、ピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた光記録媒体構成を採用する。
記録層として、主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有するピリリウム色素を用いることで、容易に記録極性のロー・ツー・ハイ化が実現でき、またピリリウム色素が主たる光吸収機能を担うため、光記録媒体構成の単純化を図ることができる。
本発明の第一の態様においては、ピリリウム色素を含有する記録層の光吸収機能によって、次のイ)〜ホ)の記録原理により記録部を形成する。
イ)基板を変形させる。
ロ)記録層の複素屈折率を変化させる。
ハ)記録層の体積を変化させる。
ニ)記録層に空洞部を形成させる。
ホ)反射層を変形させる。
但し、上記の条件を満足しても、必ずしも記録極性をロー・ツー・ハイ化できる訳ではなく、各層の膜厚や複素屈折率を適宜最適化する必要があることは言うまでもない。
本発明には、上記第一の態様だけでなく、従来通り記録極性をハイ・ツー・ロー化する第二の態様も包含される。
本発明の第二の態様では、記録極性をハイ・ツー・ロー化するため、基板上に、ピリリウム色素を含有する記録層、干渉層が順次設けられた光記録媒体構成、或いは、基板上に、干渉層、ピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた光記録媒体構成を採用する。
この光記録媒体構成では、第一の態様と同様に、記録層として、前述したような、「主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有する有機材料」を選択する。
本発明の第二の態様においては、記録層の光吸収機能によって、次のイ)〜ホ)の記録原理により記録部を形成する。
イ)基板を変形させる。
ロ)記録層の複素屈折率を変化させる。
ハ)記録層の体積を変化させる。
ニ)記録層に空洞部を形成させる。
ホ)干渉層を変形させる。
但し、上記の条件を満足しても、必ずしも記録極性をハイ・ツー・ロー化できる訳ではなく、各層の膜厚や複素屈折率を適宜最適化する必要があることは言うまでもない。
上述のように、本発明では(第一の態様、及び第二の態様)、「主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有する有機材料を選択する」ことにより、従来のように、有機材料の吸収スペクトルと記録再生波長の厳密な関係を保つ必要がなくなり、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化を従来に比べて大幅に低減できる(図3参照。従来の追記型光記録媒体の吸収スペクトルと記録再生波長の関係を図1〜図2に示す。本発明の追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍での複素屈折率の変化が非常に緩やかになる)。
更に本発明の第一の態様では、記録層の複素屈折率変化や体積変化を効率よく発生させ、また記録感度を向上させるため、記録層と反射層の間に断熱層を設けることも好ましい。この断熱層は、いわゆる断熱効果を担うだけでなく、未記録時の反射率を制御したり、変調度を制御するためにも利用可能である。
従来の有機材料を記録層として用いた追記型光記録媒体では、一般的にスピンコート法によって記録層が形成されるため、記録層の膜厚が(溝部の膜厚)>(溝間部の膜厚)となってしまう。また、記録層中の有機材料のみが光吸収機能を担い、その有機材料が光学定数変化等を起こして主たる変調度を発生させていた。
したがって、溝部では良好な記録が行えても、溝間部では記録層膜厚が薄くなるため、光吸収機能の低下と、記録による位相差変化量の低下を招き、一般的には良好な記録が行なえない(特に基板上に有機材料からなる記録層、反射層が順次積層された光記録媒体の溝間部では、反射層の高熱伝導性によって、記録層内の温度が記録部を形成させるだけの温度に達し難い)。
但し、有機材料からなる記録層を蒸着法や、塗布条件を最適化したスピンコート法の適用により、溝間部でも溝部と同様な記録再生特性を得ることは可能である。
本発明では、記録容量をより高めるため、溝部(グルーブ部)と溝間部(ランド部)の両方に記録部を形成させることが好ましい。
溝部(グルーブ部)と溝間部(ランド部)の両方に記録部を形成させるためには、本発明の第一の形態の場合、記録層と反射層の間に断熱層を設けることや、基板と記録層、或いは記録層と反射層の間に光吸収補助層を設けることが好ましい。
このように、記録層と反射層の間に断熱層を導入すること、或いは基板と記録層、或いは記録層と反射層の間に光吸収補助層を設けることにより、溝間部で記録層膜厚が薄くなって光吸収機能が低下した場合でも、記録層を記録部が形成できるまでの温度に高めることができる。その結果、記録部を溝部と溝間部の何れか一方だけでなく、両方に形成することができる。
また本発明の第二の形態においては、記録層上には高熱伝導性を有する反射層が存在しないため、上述のような断熱層や光吸収補助層を設けることなく、記録部を溝部と溝間部の両方に形成することができる。但し、本発明の第二の形態においても、断熱層や光吸収補助層を導入しても良い。
なお、溝部と溝間部で、記録感度や変調度等の記録再生特性は異ってもよい(必ずしも同一である必要はない)。
また、前述のように、本発明では溝部と溝間部の一方にのみ記録部を形成させてもよい。
本発明の光記録媒体は、基本的には基板又は基板とカバー層、記録層、反射層、或いは基板又は基板とカバー層、記録層、干渉層から構成されるものであるが、更に必要に応じて下引層、上引層、保護層等を設けても良い。
基板の材質としては、基板側から記録再生を行う場合のみ、記録光及び再生光に対し透明であればよい。
このような材料としては、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂、ガラス、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けたもの等を使用することができる。これらの中で、高生産性、コスト、耐吸湿性などの点からは、射出成型ポリカーボネートが好ましく、耐薬品性、耐吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答、或いは空隙が発生しないなどの点からは、ガラス基板が好ましい。
記録層に接して樹脂基板又は樹脂層を設け、その樹脂基板又は樹脂層上に記録再生光の案内溝やピットを有していてもよい。
記録層には下記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する。
Figure 0004266773
Figure 0004266773

(上記式(1)における式(2)の部分は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであり、ピリリウム環もしくはピリリウム類似環を示し、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換アリール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基または置換もしくは未置換シクロアルキル基を示し、R3は、−Aまたは−L−Aであり、Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6−であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=CH)−、置換もしくは未置換のアリール基から誘導される2価の基、置換もしくは未置換の低級アルキレン基または−CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)を表わし、Aは、置換もしくは未置換のアリール基、−CH=R5(R5は、置換もしくは未置換の複素環、置換もしくは未置換のシクロアルキル基または置換もしくは未置換の芳香環を示す)を表わし、Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2、R3が結合していない炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級アルアルキル基で置換されていても良く、Y-はアニオンを示す。)
青色レーザ波長域での光吸収機能を確保するために、前記式(1)で示されるピリリウム色素には、多環式縮合環が導入されていることが更に好ましい。
具体的には上記説明中のAとして、多環式縮合環が導入されていることが好ましい。
多環式縮合環としては、四環式以上のオルト(ortho)縮合又はオルトペリ(ortho and peri)縮合した多環式縮合環、又は三環式のオルトペリ縮合した多環式縮合環であることが更に好ましい。
三環式のオルト縮合した多環式縮合環としては、例えばフェナントレン、アントラセン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、フルオレン、ナフト[2,3−b]チオフェン、シラントレン、4aH−カルバゾ−ル、カルバゾ−ル、β−カルバゾ−ル、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、アンチリジン、キサンチリウム、チオキサンチリウム、ホスファントリジン、アルサントリジン、アクリドホスフィン、アクリドアルシン、ホスファントレン、アルサントレン、フェノホスファジニン、フェナルサジニン、フロ[2,3−g]キノリン、フロ[3,2−g]キノリン、シクロブタ[g]キノリン、ナフト[1,8a]アジリン、フロ[3,2−b]チエノ[2,3−e]ピリジン、ジフロ[3,2−b:2’,3’−d]フラン等が挙げられ、三環式のオルトペリ縮合した多環式縮合環としては、例えばアセナフチレン、フェナレン、ペリミジン、1,7−フェナントロリン等が挙げられる。
オルト縮合した四環式以上の多環式縮合環としては、ベンゾ[c]フェナントレン、クリセン、ピセン、ペンタフェン、ベンゾ[a]ナフタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[a,j]アントラセン、ナフト[2,1−a]アントラセン、ジベンゾ[c,g]フェナントレン、ペンタセン、トリフェニレン、トリナフチレン、ヘキサヘリセン、トリンデン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサヘリセン、ヘキサフェン、ヘキサセン、テトラフェニレン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、キンドリン、キニンドリン、アクリンドリン、トリフェノジチアジン、トリフェノジオキサジン、フェナントラジン、アントラジン等が挙げられ、オルトペリ縮合した四環式以上の多環式縮合環としては、ベンゾ[e]ピレン、ペリレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、ピレン、ジベンゾ[def,mno]クリセン、ジベンゾ[fg,qr]ペンタセン、ピラントレン、ナフト[2,1,8−def]キノリン、アントラ[2,1,9,8−stuva]ペンタセン、ベンゾ[pqr]テトラフェン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、プレイアデン、コラントレン、ルビセン、コロネン、ピラントレン、ビオラントレン、オバレン、テベニジン、フタロペリン等が挙げられる。
更にこの他、四環式以上のオルト(ortho)縮合又はオルトペリ(ortho and peri)縮合した多環式縮合環、又は三環式のオルトペリ縮合した多環式縮合環としては、「“Dictionary of Organic Compounds FIFTH EDITION ”CHAPMAN AND HALL」に記載されている化合物を使用することが可能である。
以下、代表的なピリリュウム化合物の構造式を示す。
これらは、特開平6−236579号公報、特開平5−305770号公報等に記載の方法に準じて入手することができる。
Figure 0004266773
Figure 0004266773
Figure 0004266773
記録層には前記式(1)で示されるピリリウム色素以外に、他の色素を含有させることができる。
他の色素としては、含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。
また、記録層は、色素等の有機材料の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。
ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
また、必要に応じて他系統の色素を併用することもできる。
更に、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。
好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
記録層の膜厚は、記録方法などにより適切な膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、通常50〜300nmである。
記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行なわれている薄膜形成法が挙げられる。量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましく、また、厚みの均一な記録層が得られるという点からは、塗布法よりも真空蒸着法等の方が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は500〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、場合によっては加熱或いは溶媒蒸気に当てる等の処理を行なっても良い。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。
例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
干渉層、又は断熱層としては、例えば、Al、MgO、BeO、ZrO、UO、ThOなどの単純酸化物系の酸化物;SiO、2MgO・SiO、MgO・SiO、CaO・SiO、ZrO・SiO、3Al・2SiO、2MgO・2Al・5SiO、LiO・Al・4SiOなどのケイ酸塩系の酸化物;AlTiO、MgAl、Ca10(PO(OH)、BaTiO、LiNbO、PZT=Pb(Zr,Ti)O、PLZT=(Pb,La)(Zr,Ti)O、フェライトなどの複酸化物系の酸化物;Si、Si6−ZAl8−Z、AlN、BN、TiNなどの窒化物系の非酸化物;SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物;LaB、TiB、ZrBなどのホウ化物系の非酸化物;CdS、MoSなどの硫化物系の非酸化物;MoSiなどのケイ化物系の非酸化物;アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物を用いることができる。
記録再生光に対する透明性や生産性の観点からは、SiOを主体(主成分)とすること、或いはZnS・SiOを主体(主成分)とすることが好ましい例として挙げられる。また、断熱効果を充分得るためには、ZrOを主体(主成分)とすることも好ましい。ここで、主成分とは、断熱層材料全体の50重量%以上を占めることを意味する。
更に、ZnS、ZrO、Y、SiOからなる酸化物又はZrO、TiO、SiO、及びXからなり、XがAl、MgO、CaO、NbO、或いはY、CeOなどの希土類酸化物から選ばれた少なくとも1つである材料も好ましい。
反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の充分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Cr、Pdなどの金属を単独で或いは合金にして用いることができる。中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。
また、上記金属を主成分として他の元素を含んでいても良く、他の元素としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。
中でもAgを主成分とするものは、コストが安く高反射率が出易い点から特に好ましい。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
反射層の好ましい膜厚は、50〜300nmである。
また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系又は有機系の上引層、下引層、或いは接着層を設けることもできる。
反射層や干渉層の上に形成する保護層の材料としては、反射層や干渉層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機材料としては、SiO、SiN、MgF、SnO等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂は、そのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は単独で用いても混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。
また、反射層あるいは干渉層面に更に基板を貼り合わせてもよく、また反射層や干渉層面相互を内面とし対向させ光学記録媒体2枚を貼り合わせても良い。
基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜等を成膜してもよい。
カバー層は、高密度化を図るため高NAのレンズを用いる場合に必要となる。
例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
したがって、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に光を透過する薄膜である光透過性のカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録層を設け、更にこの上に光透過性を有するカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。
このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このようなカバー層は、ポリカーボネートシートや、紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。また、本発明で言うカバー層には、カバー層を接着するための層を含めてもよい。
本発明の光記録媒体に使用されるレーザ光は、高密度記録のため波長は短いほど好ましいが、特に350〜530nmのレーザ光が好ましく、その代表例としては、中心波長405nmのレーザ光が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<合成例1>
Figure 0004266773
化合物(1)0.39gと化合物(2)0.22gをエタノール30mlに分散し、無水酢酸0.3mlを加え、80℃の水浴上で分散加熱する。攪拌下にトリエチルアミン0.7mlを加え、80℃、1時間加熱攪拌する。室温まで冷却した後、析出する結晶を吸引濾取し、0.2gの粗製品を得た。その後、クロロホルム/メタノール混液で再結晶を行ない、0.15gの化学式1の化合物を得た。
<合成例2>
Figure 0004266773
化合物(1)0.39gと化合物(3)0.30gをジメチルホルミド10mlに分散し、無水酢酸0.3mlを加え、80℃の水浴上で分散加熱する。攪拌下にトリエチルアミン0.7mlを加え、80℃、1時間加熱攪拌する。室温まで冷却した後、析出する結晶を吸引濾取し、0.2gの粗製品を得た。その後、クロロホルム/メタノール混液で再結晶を行ない、0.14gの化学式5の化合物を得た。
<合成例3>
Figure 0004266773
化合物(1)0.39gと化合物(4)0.49gをアセトニトリル10mlに分散し、無水酢酸0.3mlを加え、80℃の水浴上で分散加熱する。攪拌下にトリエチルアミン0.7mlを加え、80℃、1時間加熱攪拌する。室温まで冷却した後、析出する結晶を吸引濾取し、0.18gの粗製品を得た。その後、クロロホルム/メタノール混液で再結晶を行ない、0.12gの化学式10の化合物を得た。
また、同様にして、化学式2〜4、化学式6〜9、化学式11〜18の化合物を得た。
実施例1
溝深さ55nmのトラッキング用案内溝を有する基板上に、下記化学式5で示されるピリリウム色素からなる記録層(平均厚さ約60nm)、Ag反射層(厚さ150nm)、紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚さ5μm)を順次積層した追記型光記録媒体を作製した。
化学式5で示される色素の吸収スペクトルは、図7のようであり、CD−Rに適した吸収スペクトルを有する。
また、この化学式5の色素は、本発明で言うところの、「主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有する有機材料」である。
Figure 0004266773

この光記録媒体に対して、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、溝部(グルーブ部)に下記の条件で記録を行なった結果、記録極性をロー・ツー・ハイ化することができた。
<記録条件>
記録線密度 :1T=0.0917(μm)
変調方式 :8−16変調
記録線速度 :6.0(m/s)
記録ストラテジ:Basic strategy(基本ストラテジ)
Ttop−Tmp=1.20−0.60(T)
この光記録媒体では、記録パワー7.5mW近傍において最良ジッタが得られ、ジッタ(σ/Tw)は8.0%が得られた。
また、図8に、記録パワーを変えて記録したときの、ジッタ変化、及び未記録部(△)と記録部(■)の再生信号レベル変化(反射率変化)の測定結果を示す。
図8から分るように、記録コントラストも充分大きく、また良好なジッタ特性が得られた。
実施例2
溝深さ55nmのトラッキング用案内溝を有する基板上に、前記化学式5で示されるピリリウム色素からなる記録層(平均厚さ約60nm)、ZnS-SiOからなる干渉層(厚さ60nm)、紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚さ5μm)を順次積層した追記型光記録媒体を作製した。
化学式5で示される色素の吸収スペクトルは、図7のようであり、CD−Rに適した吸収スペクトルを有する。
また、化学式5の色素は、本発明で言うところの、「主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、記録波長近傍には主吸収帯に帰属しない吸収帯を有する有機材料」である。
この光記録媒体に対して、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、溝間部(ランド部)に下記の条件で記録を行なった。
その結果、記録極性はハイ・ツー・ローであり、記録パワー10.0mW近傍において最良ジッタが得られ、ジッタ(σ/Tw)は11.6%であった。
また、記録パワーを変えて記録したときの、ジッタ変化、及び未記録部(■)と記録部(△)の再生信号レベル変化(反射率変化)の測定結果は、図9に示す通りであり、良好な記録再生特性が得られることを確認できた。
<記録条件>
記録線密度 :1T=0.0917(μm)
変調方式 :8−16変調
記録線速度 :6.0(m/s)
記録ストラテジ:Basic strategy(基本ストラテジ)
Ttop−Tmp=1.20−0.60(T)
以上の実施例から明らかなように、化学式5に示すような、赤色レーザ波長に対応したピリリウム色素を用いても、青色領域で良好な記録再生特性を実現できる。
また、化学式5のピリリウム色素の吸収スペクトル(図7)から分るように、青色レーザ波長領域での吸収係数の変化が緩やかであるため、複素屈折率(n、k)の波長依存性も従来に比べて非常に小さい。
従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体の波長と屈折率の関係を示す図である。 従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体の波長と屈折率の関係を示す他の図である。 本発明の有機材料を用いた追記型光記録媒体の波長と屈折率の関係を示す図である。 本発明でいう「主吸収帯」を説明するための図である。 本発明で好ましく用いることのできる「主吸収帯に帰属しない吸収帯」を説明するための図である。 本発明で好ましく用いることのできない「主吸収帯に帰属しない吸収帯」を説明するための図である。 実施例1、2で用いた色素の吸収スペクトルを示す図である。 実施例1で、記録パワーを変えて記録した場合の、ジッタ変化、及び未記録部と記録部の変化の測定結果を示す図である。 実施例2で、記録パワーを変えて記録した場合の、ジッタ変化、及び未記録部と記録部の変化の測定結果を示す図である。
符号の説明
n 複素屈折率の実部
k 複素屈折率の虚部
δλ 波長変動量
δn 複素屈折率の変動量
δk 複素屈折率の変動量

Claims (6)

  1. 基板上に、下記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、反射層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が増加した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
    Figure 0004266773
    (但し、Arは、下記式(a)乃至(r)で示される置換基である。)
    Figure 0004266773
  2. 基板上に、記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、干渉層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が減少した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
    Figure 0004266773
    (但し、Arは、下記式(a)乃至(r)で示される置換基である。)
    Figure 0004266773
  3. 基板上に、反射層、記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が増加した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
    Figure 0004266773
    (但し、Arは、下記式(a)乃至(r)で示される置換基である。)
    Figure 0004266773
  4. 基板上に、干渉層、記式(1)で示されるピリリウム色素を含有する記録層、カバー層が順次設けられた構造を有し、未記録部に対して反射率が減少した記録部が形成され、波長500nm以下の光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
    Figure 0004266773
    (但し、Arは、下記式(a)乃至(r)で示される置換基である。)
    Figure 0004266773
  5. 干渉層が、SiO、ZnS・SiO、ZrOの何れかを主成分とする材料からなることを特徴とする請求項2又は4に記載の追記型光記録媒体。
  6. 基板に案内溝を有し、溝部(グルーブ)と溝間部(ランド)の両方に記録部が形成されることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の追記型光記録媒体。
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