JP2008091001A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも有機色素を主成分とする第1記録層と半透過性の第1反射層が順次積層された第1情報層を表面上に有する第1基板と、少なくとも第2反射層、有機色素を主成分とする第2記録層及び保護層が順次積層された第2情報層を表面上に有する第2基板とが、中間層を介して、第1記録層及び第2記録層が内側になるように積層された光記録媒体において、第2記録層の有機色素を示差熱分析(DTA)したときのDTAのピーク幅である熱分解温度範囲(w)と、DTAのピーク量である熱分解量(p)の積(w×p)が、80μV・K/mg以下である光記録媒体。
【選択図】図2
Description
前記DVD+R、DVD+RWなどは、従来の記録可能なCD−R、CD−RW(記録型コンパクトディスク)技術の延長線上に位置するものであり、再生専用DVDとの再生互換性を確保するため、記録密度(トラックピッチ、信号マーク長)、基板厚等をCD条件からDVD条件に合うように設計している。例えば、DVD+Rでは、CD−Rと同様に基板上に記録層を設け、該記録層の上に反射層を設けた情報記録用基板を同形状の基板と貼り合せて製造されており、記録層には色素系材料が用いられている。
また、CD−Rにおいても記録層には色素系材料が用いられているが、CD−RはCDの規格を満足する高反射率(65%)を有することが特徴の一つであり、上記構成において高反射率を得るには、記録層が記録再生光波長で特定の複素屈折率を満たし、色素の光吸収特性が適している必要がある。このことはDVDにおいても同様に必要とされる特性である。
これに対し、特許文献1には、第1記録層及び第2記録層を有し、奥側に位置する第2記録層からも良好な記録信号特性が得られ、耐光性に優れた片面二層記録再生タイプの光記録媒体が開示されているが、この光記録媒体の場合、第2記録層の記録マーク形成性能は不十分であり、更なる改良が望まれているのが現状である。
また、特許文献3〜5には、追記型DVD用記録材料に適したシアニン化合物が記載されており、特許文献6には、追記型DVD用記録材料に適したスクワリリウム金属キレート化合物が記載されている。
しかし、本発明のように、DTAのピーク幅である熱分解温度範囲(w)と、DTAのピーク量である熱分解量(p)の積(w×p)に着目した文献は、本発明者等の知る限り見当たらない。
1) 少なくとも有機色素を主成分とする第1記録層と半透過性の第1反射層が順次積層された第1情報層を表面上に有する第1基板と、少なくとも第2反射層、有機色素を主成分とする第2記録層及び保護層が順次積層された第2情報層を表面上に有する第2基板とが、中間層を介して、第1情報層及び第2情報層が内側になるように積層された光記録媒体において、第2記録層の有機色素を示差熱分析(DTA)したときのDTAのピーク幅である熱分解温度範囲(w)と、DTAのピーク量である熱分解量(p)の積(w×p)が、80μV・K/mg以下であり、熱分解温度範囲(w)が30℃以下であることを特徴とする光記録媒体。
2) 熱分解量(p)が10μV/mg以下であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 第2記録層に用いた有機色素を熱分析したときのDTAのピーク値である熱分解温度が、200〜350℃の範囲にあることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 第2記録層が2種以上の有機色素を含み、そのうちの(w×p)が15〜50μV・K/mgの範囲にある有機色素が色素全体の60重量%以上を占めることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 第2記録層に用いた有機色素の吸収ピーク波長が580〜620nmの範囲にあることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
なお、吸収ピーク波長が複数ある場合は、その少なくとも1つ(最大吸収波長でもそれ以外でもよい)が580〜620nmの範囲にあればよい。
6) 第2記録層に用いた有機色素が下記一般式(I)で表されるシアニン化合物と下記一般式(II)で表されるスクアリリウム金属キレート化合物を含むことを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 前記R7及び/又はR8が、置換基を有していてもよいアラルキル基である6)記載の光記録媒体。
8) 前記R7及び/又はR8がベンジル基である7)記載の光記録媒体。
9) 前記R9がベンジル基又はエチル基である6)〜8)の何れかに記載の光記録媒体。
10) 前記R6がトリフルオロメチル基である6)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 第2記録層の膜厚が、50〜100nmの範囲にあることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 第2情報層の保護層の膜厚が5〜30nmの範囲にあることを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
本発明は、片面二層型光記録媒体において、第2記録層の主成分である有機色素を示差熱分析(DTA)したときのDTAのピーク幅である熱分解温度範囲(w)と、DTAのピーク量である熱分解量(p)の積(w×p)が、80μV・K/mg以下であるような有機色素を用いる点に特徴を有する。ここで、熱分解温度範囲(w)はDTAのピーク幅に相当する温度範囲を意味し、熱分解量(p)はDTAのピーク値を意味する(後述する図3参照)。
また、第2記録層の記録感度を確保するために、第1反射層は半透過性とする必要がある。ここで、半透過性とは、第1基板側から入射したレーザ光の40〜60%程度を透過することを意味する。
光案内溝を有する表面に、有機色素からなる第1記録層と半透過性の第1反射層を順次積層した第1情報層を有する第1基板と、光案内溝を有する表面に、第2反射層、有機色素からなる第2記録層、保護層(無機保護層)を順次積層した第2情報層を有する第2基板とが、透明中間層を介して、積層膜が互いに対向するように記録層を内側にして貼り合わされており、第1基板側からレーザー光を照射することにより、第1及び第2記録層に対して信号情報の記録再生を行うことができる光記録媒体である。
従って本発明では、第2記録層の記録マークの広がりを抑えてクロストークを低減し、ジッターを確保するために、第2記録層には、記録時に熱変形を伴わないで記録マークを形成することができる材料を選定することが望ましい。
図3に、後述する実施例で用いた、構造式〔化5〕で表され、表1のB欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物のDTAの結果(昇温速度:10℃/min、試料量:5mg)を示す。
前述したように、特許文献2では熱分解温度範囲(w)について述べているが、熱分解量(p)もクロストークに大きな影響を与える。特に第2記録層では、熱変形を防止するため変形防止層として第2記録層に接して保護層を設けており、保護層膜厚が薄くなったときには、(w×p)のクロストークへの影響が大きくなる。保護層膜厚は、片面二層型DVD−ROMとの反射率互換性を維持するため、5〜30nm程度の薄膜領域と120〜160nm程度の厚膜領域の何れかの範囲とする必要がある。
まず、図4から、保護層膜厚が薄膜領域内の場合には、熱分解温度範囲(w)が30℃を超えるとクロストークが悪化傾向になることが分かる。しかし保護層膜厚が厚膜領域内の場合には、熱分解温度範囲(w)とクロストークの関係に明瞭な傾向はない。
これに対し、図5からは、保護層膜厚に関わらず(w×p)が80μV・K/mgを超えるとクロストークが悪化傾向になることが分かる。特に保護層膜厚を薄膜領域内にした場合、熱分解温度範囲(w)が同等であっても、熱分解量(p)の大きさによってクロストーク量が大きく変動する。
好ましい熱分解温度範囲(w)は30℃以下、より好ましくは10℃以下であり、好ましい熱分解量(p)は10μV/mg以下、より好ましくは5μV/mg以下である。
有機色素の熱分解温度は200〜350℃の範囲が好ましく、より好ましくは250〜350℃である。熱分解温度が350℃を超えると記録感度が低下することがあり、また記録時のピット形成がうまく行われずジッタ特性が悪くなることがある。200℃未満では、熱安定性や保存安定性が低下すると共に記録マークが広がり易くなることがある。
<基板(第1、第2基板)>
基板は、基板側から記録再生を行なう場合には使用レーザに対して透明でなければならないが、記録層側から記録再生を行なう場合には透明である必要はない。
基板材料としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、或いは、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。
なお、基板の表面にはトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットが形成されていても良い。
一方、第2基板の溝形状は、溝深さ:200〜600Å、溝幅:0.2〜0.4μmが好ましい。第2記録層と第2反射層の界面形状は基板溝形状で決定されるので、界面反射を利用するには上記範囲が適している。
第1基板、第2基板共に、上記溝形状範囲よりも溝深さが深いと反射率が低下し易い。また、上記溝形状範囲よりも溝深さが浅いか又は溝幅がずれると、形成される記録マークの形状が揃い難くジッターが増加し易い。
記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録するものであり、その材料としては有機色素を主成分とするものを用いる。ここで、主成分とは、記録再生に必要十分な量の有機色素を含有することを意味するが、通常は、必要に応じて適宜添加する少量の添加剤を除き、有機色素のみを用いる。
有機色素の例としては、アゾ系、ホルマザン系、ジピロメテン系、(ポリ)メチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系色素、或いはそれらの金属錯体などが挙げられる。中でも好ましいのは、アゾ(金属キレート)色素、ホルマザン(金属キレート)色素、スクアリリウム(金属キレート)色素、ジピロメテン(金属キレート)色素、トリメチンシアニン色素、テトラアザポルフィリン色素である。
また、前記一般式(I)で表されるシアニン色素と一般式(II)で表されるスクワリリウム金属キレート化合物はDVD用記録材料として優れた性能を有する。特に一般式(I)で表されるシアニン色素のアニオン部がPF6−の化合物は、熱分解特性が高速記録に適しているため、一般に採用されている。
その他のシアニン色素化合物としては、特許文献3〜5に開示されているような従来使用されている化合物がそのまま使用できる。
R1とR2あるいはR3とR4が連結して形成される3〜6員環の基としては、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、2,4−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、テトラヒドロピラン−4,4−ジイル、チアン−4,4−ジイル、ピペリジン−4,4−ジイル、N−置換ピペリジン−4,4−ジイル、モルホリン−2,2−ジイル、モルホリン−3,3−ジイル、N−置換モルホリン−2,2−ジイル、N−置換モルホリン−3,3−ジイル等が挙げられ、そのN−置換としては、環A及び環Bの置換基として例示のものが挙げられる。
また、R1〜R4で表される基のうち、少なくとも一つが置換基を有していてもよいベンジル基である。置換ベンジル基の置換基の数は1〜5であり、該置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン基;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等のアルキル基;これらのアルキル基のハロゲン置換体、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ等のアルコキシ基;これらのアルコキシ基のハロゲン置換体、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ等のアルキルチオ基;ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記置換ベンジル基の置換基におけるハロゲン基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、前記環A及び環Bで記載した基が挙げられる。また、炭素数1〜4のハロゲン置換アルキル基としては、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、パーフルオロメチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル等が挙げられる。炭素数1〜4のハロゲン置換アルコキシ基としては、例えば、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、ブロモメチルオキシ、ジブロモメチルオキシ、トリブロモメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、パーフルオロプロピルオキシ、パーフルオロブチルオキシ等が挙げられる。
上記Y1及びY2は、置換基が大きいとシアニン化合物のモル吸光係数が小さくなり、感度に影響を及ぼす場合があるので、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
アラルキル基としては、炭素数7〜19のものが好ましく、より好ましいのは7〜15のものであり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜18のものが好ましく、より好ましいのは6〜14のものであり、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
配位能を有する金属原子Qとしては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、イリジウム、バナジウム、チタン等が挙げられる。
複素環基などにおける複素環としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員又は6員の単環性芳香族あるいは脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環又は三環性で窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族あるいは脂環式複素環等が挙げられ、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
前記アルキル基の置換基としては、同一又は異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子及びアルコキシ基としては、前記と同様なものが挙げられる。
前記アミノ基の置換基としては、同一又は異なる1〜2個のアルキル基等が挙げられ、この場合のアルキル基は前記と同様である。
中でも、アルミニウム錯体を用いると光学特性に優れるし、インドリニウム基の3位にベンジル基を有するアルミニウム錯体を用いると、クロストークが小さくなるので特に好ましい。
前記一般式(II)で表されるスクアリリウム化合物は、国際公開02/050190号パンフレットに準じて製造することができる。
このような金属、金属化合物の例としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合するか或いは積層して用いることができる。
更に、上記色素中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料、或いはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることも出来る。
好ましい色素膜厚は、第1記録層(溝部)で4〜100nmであり、第2記録層(溝間部)で50〜100nmである。色素膜厚がこの範囲よりも薄いと信号変調度(コントラスト)が得難く、反対に厚いとマークの形状が揃い難くジッターが増加し易いためである。
半透過性の第1反射層材料としては、レーザー光波長に対する反射率の高い物質が好ましく、その例としては、Au、Ag、Cu、Al、Ti、V、Cr、Ni、Nd、Mg、Pd、Zr、Pt、Ta、W、Si、Zn、Inから選ばれた少なくとも1種の金属及び半金属を挙げることができるが、中でも、Au、Ag、Cuの何れかを主成分とし、Au、Ag、Cu、Al、Ti、V、Cr、Ni、Nd、Mg、Pd、Zr、Pt、Ta、W、Si、Zn、Inから選ばれた少なくとも1種を0.1〜10重量%添加した合金が好ましく、特にInが好ましい(合金であるから、当然ながらAuとAu、AgとAg、CuとCuの組合せは除く)。0.1重量%以上添加することにより、結晶粒が微細化し耐蝕性に優れた薄膜となる。しかし、10重量%を超えて添加すると反射率が低下するため好ましくない。母材としてはスパッタレートが高いAgが最も好ましく、添加物としては屈折率nが小さく吸収係数kが大きいAu、Cu、Mg、Inが特に好ましい。
Agは全元素中で最もnが小さく光利用効率が最も高いので、その特性を損なわないようにするためには添加物の総量を5重量%以下にすることが特に好ましい。
また、半透過性の第1反射層の材料として、上記の合金と、金属又は半金属の酸化物及び/又は窒化物との混合物を用いる場合、或いは、金属又は半金属の単体、酸化物、窒化物から選ばれた少なくとも2種の混合物を用いる場合には、各材料を所定の比率で混合したターゲットを用いてスパッタリングにより形成することができる。また、混合物の各材料をセットした複数のターゲットを同時に放電してスパッタリングさせることにより混合物薄膜を形成することもできる。
金属又は半金属からなる第1反射層と金属又は半金属の酸化物又は窒化物からなる補助層を積層する場合には、まず、Au、Ag、Cu、Al、Ti、Cr、Mg、Ta、W、Si、Zrなどの何れかからなる膜をスパッタリングにより形成し、続いて酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化シリコン、酸化カルシウム、酸化錫、酸化インジウムなどの少なくとも1種からなるターゲットを用いたスパッタリングにより積層膜を形成しても良いし、上記金属又は半金属からなるスパッタ膜の上にAl、Ti、Cr、Mg、Zr、Ta、Si、Ca、Sn、In、ITOなどの少なくとも1種をターゲットにして、Ar、O2混合ガスを用いた反応性スパッタリングにより酸化膜を形成しても良い。
更に、前述したAu、Ag、Cuの何れかを主成分とする合金からなる第1反射層上に上記と同様の補助層を積層する場合には、まず合金からなる反射層をスパッタリングにより形成し、続いて上記と同様にして補助層を積層すればよい。
第2反射層についても基本的には上記記載の材料を用いるが、欠陥が少なく信頼性が高い光記録媒体を得るためには、合金が好ましい。
第1反射層の膜厚は、通常5〜30nmである。5nmより薄くなると、第1記録層の特性の劣化防止が難しくなるし、30nmを超えると、上記光透過率を満足させることが難しくなる。また、第2反射層の膜厚は、5〜500nm、好ましくは10〜300nmである。5nmより薄いと充分なウォブル特性が得られず、500nmより厚いとジッタ特性が悪くなる。
保護層は、第2記録層と透明中間層の間に、有機色素を主成分とする第2記録層を化学的及び物理的に保護する目的で設けられ、材料としては、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、ZnS、ZnS−SiO2等の光透過性が高い無機物質が用いられる。
保護層膜厚は5〜30nm又は120〜160nmの範囲にすることが好ましい。この範囲を外れると片面二層型DVD−ROMとの反射率互換性の維持が難しくなる。
上記保護層の他に、案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成を目的として、第2記録層と第2反射層の間に保護層を設けてもよい。その材料としては、SnO2、In2O3、SiO2等の混合物が好ましい。
透明中間層は接着層として用いることが好ましく、その材料としては既存のアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型又は熱硬化型接着剤等が使用できる。更に透明シートにより貼り合わせる方法でも良い。好ましい膜厚は45〜70μmの範囲である。この範囲を外れると、再生光であるレーザー光を第1又は第2情報記録層上に焦点が来るように絞り、反射光を検出して各情報層の信号を再生することが難しくなる。
深さ32nm、溝幅(底幅)0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.57mmのポリカーボネート樹脂製第2基板を用意し、その上に、Arをスパッタガスとして、スパッタリング法により膜厚150nmのAgIn(In:0.5原子%)からなる第2反射層を成膜した。
次に、第2反射層の上に、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに色素を溶解させて作製した色素濃度1.2重量%の塗布液を用いて、スピンコート法により膜厚80nmの第2記録層を成膜した。色素化合物は、下記〔化5〕で表され、表1のA欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物と、下記〔化6〕で表されるシアニン色素化合物〔(w)12、(p)6.5、(w×p)78.0〕を重量比40:60で混合したものを用いた。
次に、第2記録層上に、Arをスパッタガスとして、スパッタリング法によりZnS−SiC(モル比8:2)からなる保護層を膜厚15nmになるように成膜し、第2情報層を作製した。
上記第2記録層の光吸収スペクトルは、最大吸収波長が607nm、最大吸収波長での吸光度(Abs)が1.19であった。なお、第2記録層の膜厚は断面透過型電子顕微鏡(TEM)像により測定した。
次に、第1記録層上に、Arをスパッタガスとして、スパッタリング法により膜厚12nmのAgIn(In:0.5原子%)からなる第1反射層を成膜し、第1情報層を作製した。
次いで、上記第1情報層及び第2情報層を、紫外線硬化型接着剤(日本化薬株式会社製、KARAYAD DVD576)で貼り合わせ、図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化6〕で表されるシアニン色素化合物のみに変えた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化5〕で表され、表1のD欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物と〔化6〕で表されるシアニン色素化合物を重量比40:60で混合したものを用いた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化5〕で表され表1のD欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化学物と、〔化6〕で表されるシアニン色素化合物を、重量比80:20で混合したものを用いた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化5〕で表され、表1のB欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物のみに変えた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化5〕で表され、表1のC欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物のみに変えた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
第2記録層の色素を、〔化5〕で表され、表1のA欄に示す置換基を有するスクアリリウム金属キレート化合物と、〔化6〕で表されるシアニン色素化合物を、重量比50:50で混合したものに変えた点以外は、実施例1と同様にして図2に示す層構成の片面二層型光記録媒体を得た。
[信号記録]
波長:659nm、NA:0.65、線速度:8x速度(30.64m/s)の条件でDVD(8−16)信号を記録した。記録条件はDVD+R DL規格に準じたパルス発光パターンを採用した。
[信号再生]
DVD−ROMプレーヤー光学系(NA:0.60、波長:650nm)を用いて速度1xで(3.83m/s)再生し、ピットエッジクロックのジッター(σ/T)をタイムインターバルアナライザーにより測定した。(規格値はジッター9%以下)
また、クロストーク量については(14H−3L)/14H量をI3Rと定義して、
クロストーク量(CT)=〔I3R(マルチトラック)−I3R(シングルトラック)〕/I3R(シングルトラック)とした。
ここで、1トラック記録時の値を〔I3R(シングルトラック)〕、連続トラック記録時の値を〔I3R(マルチトラック)〕と定義して、増加率(ΔI3R)を求め、クロストーク量の評価を行なった。
表2の結果から、実施例1〜4では、記録マークのクロストーク量が抑えられ、ジッタも9%未満で、良好な記録信号特性が得られることが分かる。
これに対し、比較例1、3は、(w×p)が80μV・K/mgを超えており、比較例2は、熱分解温度範囲(w)が30℃を超えているため、記録信号特性が悪化した。
Claims (12)
- 少なくとも有機色素を主成分とする第1記録層と半透過性の第1反射層が順次積層された第1情報層を表面上に有する第1基板と、少なくとも第2反射層、有機色素を主成分とする第2記録層及び保護層が順次積層された第2情報層を表面上に有する第2基板とが、中間層を介して、第1情報層及び第2情報層が内側になるように積層された光記録媒体において、第2記録層の有機色素を示差熱分析(DTA)したときのDTAのピーク幅である熱分解温度範囲(w)と、DTAのピーク量である熱分解量(p)の積(w×p)が、80μV・K/mg以下であり、熱分解温度範囲(w)が30℃以下であることを特徴とする光記録媒体。
- 熱分解量(p)が10μV/mg以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 第2記録層に用いた有機色素を熱分析したときのDTAのピーク値である熱分解温度が、200〜350℃の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 第2記録層が2種以上の有機色素を含み、そのうちの(w×p)が15〜50μV・K/mgの範囲にある有機色素が色素全体の60重量%以上を占めることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
- 第2記録層に用いた有機色素の吸収ピーク波長が580〜620nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 第2記録層に用いた有機色素が下記一般式(I)で表されるシアニン化合物と下記一般式(II)で表されるスクアリリウム金属キレート化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体。
- 前記R7及び/又はR8が、置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項6記載の光記録媒体。
- 前記R7及び/又はR8がベンジル基である請求項7記載の光記録媒体。
- 前記R9がベンジル基又はエチル基である請求項6〜8の何れかに記載の光記録媒体。
- 前記R6がトリフルオロメチル基である請求項6〜9の何れかに記載の光記録媒体。
- 第2記録層の膜厚が、50〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光記録媒体。
- 第2情報層の保護層の膜厚が、5〜30nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
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