JP3922690B2 - 光記録媒体とその記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many)の光記録媒体及びその光記録方法に係り、特に青色レーザ波長領域でも高密度の記録が可能な追記型の光記録媒体及びその光記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型の光記録媒体の開発が行なわれている。
従来の追記型の光記録媒体では、有機化合物からなる記録層にレーザ光を照射し、有機化合物の分解・変質による屈折率変化を主に生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機化合物の光学定数、分解挙動が良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機化合物は、青色レーザ波長に対する光学的性質、分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
【0003】
すなわち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機化合物が分解し、大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される。
なぜなら、大きな吸収帯の長波長側の裾では、適度な吸収係数を有し、かつ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。
【0004】
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する材料は見出されていない。
これは、有機化合物の吸収帯を青色レーザ波長近傍に持たせるためには、分子骨格を小さくする、あるいは共役系を短くする必要があるが、これは吸収係数の低下、すなわち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機化合物は多数存在し、吸収係数を制御することは可能となるが、大きな屈折率は持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
【0005】
青色レーザ対応の有機化合物としては、例えば、特開2001−181524号公報、特開2001−158865号公報、特開2000−343824号公報、特開2000−343825号公報、特開2000−335110号公報に記載がある。
しかし、これらの公報では、実施例は溶液と薄膜のスペクトルを測定したのみで、記録再生に関する記載がない。
【0006】
特開平11−221964号公報、特開平11−334206号公報、特開2000−43423号公報には、実施例で記録の記載があるものの、記録波長は488(nm)であり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
【0007】
特開平11−58955号公報には、実施例で記録の記載があるものの、記録波長は430(nm)であり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
【0008】
特開2001−39034号公報、特開2000−149320号公報、特開2000−113504号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−222772号公報、特開2000−218940号公報、特開2000−222771号公報、特開2000−158818号公報、特開2000−280621号公報、特開2000−280620号公報には、実施例で記録波長430(nm)、NA=0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4(μm)という低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
【0009】
特開2001−146074号公報には、記録再生波長が405〜408(nm)であるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0010】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成、記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特開平7−304258号公報には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行なう技術が提案されている。
特開平8−83439号公報には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色もしくは変形させることで記録を行なう技術が提案されている。
特開平8−138245号公報には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という構成で、記録層の膜厚を変えて溝部の深さを変えることにより記録を行なう技術が提案されている。
特開平8−297838号公報には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行なう技術が提案されている。
特開平9−198714号公報には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行なう技術が提案されている。
特許第2506374号公報には、基板/中間層/金属薄膜という構成で、金属薄膜が変形しバブルを形成することにより記録を行なう技術が提案されている。
特許第2591939号公報には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させるとともに、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が提案されている。
特許第2591940号公報には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、あるいは基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させるとともに、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が提案されている。
特許第2591941号公報には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という構成で、光吸収層を凹状に変形させるとともに、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が提案されている。
特許第2982925号公報には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行なう技術が提案されている。
特開平9−265660号公報には、基板上に反射層と記録層の機能を有する複合機能層、保護層を順次形成した構造で、基板と複合機能層がバンプを形成することで記録を行なう技術が提案されている。なお、複合機能層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの合金との規定がある。
【0011】
特開平10−134415号公報には、基板上に金属薄膜層、変形可能な緩衝層、反射層、保護層を順次形成した構造で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚を薄くさせることで記録を行なう技術が提案されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの合金との規定がある。また、緩衝層としては、変形しやすく適当な流動性を持つ樹脂が用いられ、変形を促進させるために色素を含有させてもよいとの記載がある。
【0012】
特開平11−306591号公報には、基板上に金属薄膜層、緩衝層、反射層を順次積層した構造で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行なう技術が提案されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、緩衝層は色素と有機高分子の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
【0013】
特開平10−124926号公報には、基板上に金属記録層、バッファ層、反射層を順次積層した構造で、基板と金属記録層を変形させ、同時にこの変形部でのバッファ層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行なう技術が提供されている。なお、金属記録層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、バッファ層は色素と樹脂の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
【0014】
以上のように、上記の技術は、青色レーザ波長領域での光記録媒体の実現を狙ったものでなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。特に、現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405(nm)近傍においては、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機化合物がほとんど存在しない。
また、405(nm)近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
さらに、上記公報での実施例の多くは、従来のディスク構成(図1参照)での実験であり、また、従来のディスク構成(図1参照)と異なる構成も提案されているが、そこに用いられる色素は従来と同じ光学特性と機能が要求されており、青色レーザ波長領域で、有機化合物からなる追記型光記録媒体を容易に実現する層構成や記録原理、記録方式についての有効な提案はない。
【0015】
また、従来の有機化合物を用いた追記型光記録媒体では、変調度と反射率の確保の点から、記録再生波長に対し、大きな屈折率と比較的小さな吸収係数(0.05〜0.07程度)を持つ有機化合物しか使用することができない。
すなわち、有機化合物は記録光に対して大きな吸収能を持たないため、有機化合物の膜厚を薄膜化することが不可能であり、したがって、深い溝を持った基板を使用する必要があった(有機化合物は通常スピンコート法によって形成されるため、有機化合物を深い溝に埋めて、厚膜化していた)。
そのため、深い溝を有する基板の形成が非常に難しくなり、光情報記録媒体としての品質を低下させる要因になっていた。
【0016】
さらに、従来の有機化合物を用いた追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍に有機化合物の主吸収帯が存在するため、有機化合物の光学定数の波長依存性が大きくなり(波長によって光学定数が大きく変動する)、レーザの個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度や変調度、ジッタやエラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、前記問題点を解決して、青色レーザ波長以下の領域、特に405(nm)近傍の波長領域であっても、有機化合物からなる追記型の光記録媒体を実現させ、転写性のよい浅溝基板でも、有機化合物からなる追記型の光記録媒体を実現させ、記録再生波長の変動に対し、記録感度や変調度、ジッタやエラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型の光記録媒体を実現させることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体」、(2)「基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体であって、該有機化合物層を構成する有機化合物として、光吸収層の光吸収機能による発熱によって、記録再生波長での吸収係数が増加する有機化合物を用いたことを特徴とする光記録媒体」、(3)「基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体」、(4)「基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体であって、該有機化合物層を構成する有機化合物として、光吸収層の光吸収機能による発熱によって、記録再生波長での吸収係数が増加する有機化合物を用いたことを特徴とする光記録媒体」、(5)「記録再生波長が500nm以下であり、光吸収層がSi、またはGeを主体として構成されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の光記録媒体」、(6)「光干渉層がZnS−SiOを主体として構成されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の光記録媒体」により達成される。
【0019】
また、上記課題は、本発明の(7)「基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法において、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法」、(8)「基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法において、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法」により達成される。
【0020】
即ち、前記第(1)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の層構成を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の層構成を提供し、さらに、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体の層構成を提供する。
また、前記第(2)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の層構成、及び有機化合物の規定を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の層構成、および有機化合物の規定を提供し、さらに、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体の層構成、および有機化合物の規定を提供する。
また、前記第(3)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の層構成を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の層構成を提供し、さらに、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体の層構成を提供する。
また、前記第(4)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の層構成、及び有機化合物の規定を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の層構成、および有機化合物の規定を提供し、さらに、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体の層構成、および有機化合物の規定を提供する。
また、前記第(5)項は、前記第(1)項〜第(4)項の課題を解決するため、記録再生波長と光吸収層として用いる材料の規定を行なうことにある。
また、前記第(6)項は、前記第(1)項〜第(4)項の課題を解決するため、光干渉層として用いる材料の規定を行なうことにある。
【0021】
また、前記第(7)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の記録方法(記録原理)を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の記録方法を提供することにある。
更にまた、前記第(8)項は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の記録方法(記録原理)を提供し、また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の記録方法を提供することにある。
【0022】
前記課題を解決するために本発明では、基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体、あるいは基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0023】
また、これらの光記録媒体に対し、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法を提供する。
【0024】
本発明では、光吸収層の発熱によって、有機化合物層の有機化合物を分解させ、主吸収帯より短波長側の吸収を増加させることが記録の基本原理である。
本発明の光記録媒体は、従来、光吸収層であり、かつ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による記録層として機能していた有機化合物からなる有機化合物層から、光吸収機能と、記録機能とを分離させた。
すなわち、有機化合物層からは光吸収機能を除き、有機化合物層に隣接して光吸収層を設ける構造とした。
【0025】
従来の追記型光記録媒体では、有機化合物の分解・変質によって記録再生波長における吸収係数を低下させ、これによる大きな屈折率変化を利用して変調度を発生させていた(図4参照。矢印は記録再生波長を示す)。
しかし、本発明の追記型光記録媒体では、有機化合物の分解・変質によって、その有機化合物を構成していた分子や分子団の吸収を発生させる(大きな吸収帯の短波長側での吸収係数を増加させる)。
すなわち、記録再生波長における吸収係数を増加させ、これによって変調度を発生させる(図5参照)。
そのため、有機化合物層には、屈折率の制限が全くなくなり、また、有機化合物層は記録再生波長に対し、光吸収能がある必要がなくなるため、光学定数に関して従来のような厳しい制限がなくなる。
【0026】
なお、本発明で言う、「未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層」とは、記録再生波長と有機化合物層の主吸収帯を遠ざけることを意味する。 また、これは、有機化合物層が記録波長に対して充分な光吸収機能をもたず、有機化合物層単独では充分な記録が行なえない状態を意味する。そのため、有機化合物層に記録を行なうため、別途光吸収層を設けるのである。
【0027】
ここでもう少し詳しく、記録再生波長における吸収係数増加の原理を説明する。
本発明で用いる有機化合物は、小さな分子や分子団が結合して、あるいは、錯体や会合体等を形成して大きな共役系を形成した有機化合物であって、分子や分子団が持っていた固有の吸収波長(図6の吸収スペクトルA、Bに相当)よりも長波長側に大きな吸収帯を持ち、個々の分子や分子団が持っていた固有の吸収帯が消滅、あるいは減衰した吸収スペクトルを持つ(図7の吸収スペクトルCに相当)。
【0028】
このような有機化合物に対し、図7で示すようなλを記録再生波長として選択すると、未記録時はλで吸収が少なかった状態から、分解や変質によって、大きな分子を形成していた分子や分子団が持つ固有の吸収が増加し(図6参照)、λでの吸収も増加し、吸収係数の変化による記録部が形成できる。
したがって、ただ小さな分子や分子団が結合してだけであって、共役系の広がりが形成されないような分子は、図7のような状態、すなわち、分子や分子団が持っていた固有の吸収帯が消滅あるいは減衰し、新たに大きな鋭い吸収帯が形成されるような状態が実現されないため、記録前後での吸収係数の変化が大きくならず、記録ピットを形成することができていない。
唯一有機化合物に要求されることは、レーザ光の照射により確実に分解を起こし、かつその分解特性(分解温度、分解スピード、分解量等)が優れていればよい。
【0029】
したがって、記録再生が青色領域で行なわれるにもかかわらず、有機化合物層として、赤色レーザ波長領域に大きな吸収帯を有し、かつ青色レーザ波長領域に大きな吸収帯を持たず、また分解特性の優れた材料、例えばCD−RやDVD−R用の色素を用いることができる。
また、従来は、波長制御のために、複雑な置換基や合成上困難性の高い色素を記録層として用いる必要があったが、本発明の有機化合物層ではそのような複雑な波長制御は不必要なため、コストの安い有機化合物を選択することが可能となる。
【0030】
また、従来の光記録媒体では、有機化合物が記録層と光吸収機能とを兼用していたため、記録再生波長に対して大きな屈折率nと比較的小さな吸収係数kを有することが有機化合物の必須条件であり、そのため有機化合物を分解させる温度まで到達させるには、比較的厚い膜厚が必要となっていた(また相変化型の光記録媒体に対し基板の溝深さが非常に深くなっていた)。
しかし、本発明の記録媒体では、光吸収機能と記録機能を分離したため、有機化合物層の膜厚は従来に対し薄くすることが可能となる。
この有機化合物層の薄膜化が可能となったことで、転写性(成形性)に優れた溝深さの浅い基板を使用することが可能となり、光記録媒体の信号品質が大幅に向上する。
【0031】
さらに、本発明での光吸収層は、屈折率が正常分散性を示す材料を用いることができるため、また有機化合物層では、大きな吸収帯が記録再生波長よりも充分長波長側に存在する色素などの有機化合物を用いるため(大きな吸収帯近傍では屈折率が異常分散性を示し、屈折率が波長によって大きく異なるという性質を示すが、大きな吸収帯から充分離れた波長領域では屈折率は正常分散性を示し、屈折率は波長に対し緩やかな変化を示す)、レーザの個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度や変調度、ジッタやエラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという従来の問題が大幅に解消することができる。
【0032】
本発明では、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうが、物理的な変形(例えば基板や光吸収層の変形)も用いることができる。
但し、この場合、基板や光吸収層等の変形による記録は、有機化合物分解による吸収係数の増加に起因する記録極性(記録によって再生信号が低下するか、増加するかを指す)と同一にすることが好ましい。
この基板や光吸収層等の変形による記録極性は、基板の溝形状や変形量等で制御することができる。
【0033】
なお、本発明では、記録再生波長を500nm以下とすることが好ましい。これは下記の理由による。
▲1▼500nm以上の波長領域では、分子骨格が大きくなるため、分解特性に優れた材料が多数存在する。したがって、この500nm以上に主吸収帯、あるいは最大吸収波長が存在する有機化合物を用いる場合、本発明の記録原理から記録再生波長は500nm以下が適することになる。
▲2▼色素の分解によって発生する分子や分子団の吸収波長はほぼ500nm以下に発生すること。
▲3▼光吸収層として用いるSiやGeの吸収係数(および屈折率)は、長波長になるほど減少すること(赤色レーザ波長領域では、光吸収層あるいは光反射層としてSiやGeが充分機能しなくなる)。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を詳しく説明する。
構成要素を具体的に説明すると、基板の素材としては、熱的、機械的に優れる特性を有しており、基板側から(基板を通して)記録再生が行なわれる場合には光透過特性も優れるものであれば、特別な制限はない。
具体的には、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレートなどが用いられる。望ましくは、ポリカーボネート、非晶質ポリオレフィンが用いられる。
基板の厚さは用途に応じて異なり、特に制限はない。
【0035】
本発明では、光吸収層を用いて、有機化合物を分解させ(例えばメチン鎖を切断させ)記録再生波長での吸収を増加させる。
光吸収層として働くには、熱伝導率が例えばAgやAu等の金属材料に比べて比較的低いことが好ましい(金属でもAgやAu等に比べて熱伝導率が低い金属は本発明で使用可能であり、金属材料を否定するものではない)。
AgやAu等の金属材料に比べて比較的低い低熱伝導率は、効率よく(低記録パワ−で)有機化合物を分解させるためにも必要である。
また、有機化合物の分解を低記録パワ−で生じさせるために、光吸収層として、記録波長に対する吸収係数がある程度大きいものを用いることが好ましい。
すなわち、光吸収層の吸収係数(複素屈折率の虚部)は、有機化合物層の吸収係数よりも充分大きいことが好ましく、0.3以上吸収係数が大きいことがさらに好ましい。
また、反射率を高め、記録再生信号の品質を向上させるために、光吸収層は光反射層として機能することが好ましい。
そのため、光吸収層の屈折率は、有機化合物層の屈折率と大きくことなることが好ましく、1.0以上屈折率差があることがさらに好ましい。
この場合、光吸収層の屈折率は、有機化合物層の屈折率に対し、大きくても、小さくてもよい。
なお、上記のような、熱伝導率、屈折率(複素屈折率の実部)、吸収係数(複素屈折率の虚部)の物性条件が満たされる材料からなる層を、本発明では光吸収層と呼ぶ(本発明の光吸収層は光反射機能をも有するが、単に光吸収層と呼ぶ)。
以上の点から、光吸収層として、SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物、アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物等に代表されるセラミックス、あるいはTe−TeO、Te−TeO−Pd、SbSe/BiTe、Ge−Te−Sb−S、Te−TeO−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−Au、Ge−Te−Sn、Sn−Se−Te、Sb−Se−Te、Sb−Se、Ga−Se−Te、Ga−Se−Te−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、Ge−Sb−Te、In−Se−Te、Ag−In−Sb−Te、Ag−Zn、Cu−Al−Ni、In−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Te等の相変化記録材料、ニッケル、クロム、チタン、タンタル等の純粋金属、または銅/アルミニウム、ニッケル/鉄などの合金、シリコン等の半金属、Ge等の半導体等を用いることが可能である。
そのうち、光吸収層として、SiまたはGe、あるいはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0036】
光干渉層は、変調度と反射率を高めるために有機化合物層と光吸収層の間に挿入される。
光干渉層は、記録再生波長に対して吸収係数が充分小さい材料を用いることが好ましい(有機化合物層の吸収係数よりも充分小さいことが好ましい)。
また、光干渉層の膜厚は、光吸収層で発生した熱が有機化合物層へ充分伝達されるような膜厚に設定されることが好ましい。
【0037】
具体的に光干渉層としては、Al、MgO、BeO、ZrO、UO、ThOなどの単純酸化物系の酸化物、SiO、2MgO・SiO、MgO・SiO、CaO・SiO、ZrO・SiO、3Al・2SiO、2MgO・2Al・5SiO、LiO・Al・4SiOなどのケイ酸塩系の酸化物、AlTiO、MgAl、Ca10(PO(OH)、BaTiO、LiNbO、PZT、PLZT、フェライトなどの複酸化物系の酸化物、あるいは、Si、Si6−ZAl8−Z、AlN、BN、TiNなどの窒化物系の非酸化物、SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物、LaB、TiB、ZrBなどのホウ化物系の非酸化物、CdS、MoSなどの硫化物系の非酸化物、MoSiなどのケイ化物系の非酸化物、アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物を用いることができ、ZnS・SiOを主体(主成分)とすることが好ましい例として挙げられる。
さらに、光干渉層は、光吸収層の変形を抑制するために使用することも可能である。
【0038】
有機化合物層に用いられる材料としては、例えば色素が好ましい。
色素としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、及び金属錯体化合物などが挙げられる。
例えば、熱によって左右の複素環を結合するメチン鎖が切断されタール化し、左右の複素環は残存するという分解挙動が知られるポリメチン色素一般式(化1)は、本発明に適した色素の一例である。
【0039】
【化1】
Figure 0003922690
(化1)
(化1)中、A、B はLと共役系を形成する分子、または分子団を表わす。Lは置換基を有してもよいメチン鎖を表わし、置換基は互いに結合して環構造を形成してもよい。Xは分子の電荷均衡対イオンを表わし、mは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表わす。
【0040】
また、一般式(化1)中の左右の複素環A、Bは、それ単独で300nm以上に吸収ピークを有する分子・分子団であることが好ましい。
これによって、分解時の吸収係数の増加が、青色領域で大きく検出できる。
色素層の形成は蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング又はスピンコーティングなどの慣用のコーティング法で行なうことができる。
【0041】
用いられる有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、あるいはメトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
色素層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは100Å〜2000Åが適当である。
【0042】
カバー層は、高密度化を図るために、高NAのレンズを用いる場合必要となる。
例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
【0043】
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射膜を設け、さらにこの上に光を透過する薄膜である光透過性のカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射膜を設け、その上に記録膜を形成して記録層とし、さらにこの上に光透過性を有するカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、さらなる高記録密度化を図ることができる。
なお、このようなカバー層はポリカーボネートシートや、紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。また、本発明でいうカバー層とは、カバー層を接着するための層を含めてもよい。
【0044】
本発明による光記録媒体における情報の記録原理を図2または図3を参照して説明すると、次のとおりである。
光源として500nm以下の波長のレーザを用いて、5〜15mW程度のパワーで光記録媒体に照射すると、光吸収層が光を吸収し、昇温して熱を放出する。この熱は有機化合物層に伝達されて有機化合物の分解・変質を誘発する。この分解・変質によって、有機化合物は、有機化合物を構成していた個々の分子や分子団に分断され、これらの個々の分子や分子団が持つ吸収帯の強度を増加させる。この個々の分子や分子団が持つ吸収帯の強度増加によって形成された記録ピットは、未記録部と大きな反射率差を生むため、再生レーザを照射することで明瞭に検出することが可能となる。
【0045】
以下、図2または図3の各構成の機能を説明する。
図2は、青色レーザ波長対応の追記型光記録媒体を実現させる層構成の一例を示すもので、基板上に有機化合物層、光干渉層、光吸収層が順次設けられた構造を有する。この構造では、通常記録再生が基板側から行なわれる。この構造では、基板側からのレーザ光照射により光吸収層が発熱し、この熱によって有機化合物の分解あるいは変質を誘発させ、記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録が行なわれる。
【0046】
図3は、青色レーザ波長対応の追記型光記録媒体を実現させる層構成の別の一例を示すもので、基板上に光吸収層、光干渉層、有機化合物層、カバー層が順次設けられた構造を有する。この構造では、通常記録再生がカバー層側から行なわれる。この構造では、カバー層側からのレーザ光照射により光吸収層が発熱し、この熱によって有機化合物の分解あるいは変質を誘発させ、記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録が行なわれる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は必ずしもこれに限られるものではない。
〔実施例1〕
本発明の層構成と記録原理によって、良好な記録再生が実現できることを検証する。
基板上に、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、ZnS−SiOからなる光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層(Si)を積層した光記録媒体に対し、Si層の膜厚を変えて、有機化合物層の膜厚と、光干渉層の膜厚を変化させたときの反射率と変調度を計算した。
なお、有機化合物層の未記録時の複素屈折率は、1.50−i0.050であり、記録後の複素屈折率は1.50−i0.125と仮定した(なお、記録再生波長は405nmである)。
その結果は、Si層の膜厚が10nmの場合、変調度(MA)は図8、反射率(R)は図9に示すとおりである。
Si層の膜厚が30nmの場合、変調度(MA)は図11、反射率(R)は図12に示すとおりである。
Si層の膜厚が50nmの場合、変調度(MA)は図14、反射率(R)は図15に示すとおりである。
また、高い変調度と高い反射率が得られる領域を明確にするために、変調度×反射率(MA×R)を計算し、Si層の膜厚が10nmの場合は図10に、Si層の膜厚が30nmの場合は図13に、Si層の膜厚が50nmの場合は図16に示した。
なお、いずれの図も横軸は有機化合物層(色素層)の膜厚、縦軸は光干渉層(ZnS−SiO)の膜厚を示す。
この結果から、例えばSi層の膜厚が30nmの場合、有機化合物層の膜厚が60nm以上で、光干渉層の膜厚が10nm程度の領域、あるいは有機化合物層の膜厚が60nm以上で、光干渉層の膜厚が60〜90nm以上の領域で、変調度50%程度、反射率30〜40%が得られることがわかり、青色レーザ波長領域でも有機化合物を用いた光記録媒体において、高反射率化と高変調度化が図れることが確かめられた。
なお、上記の最適条件は、記録による有機化合物層の複素屈折率変化が、1.50−i0.050から1.50−i 0.125である場合のものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
有機化合物層の吸収係数(複素屈折率の虚部)の増加が大きくなれば、変調度や反射率を高めることができ、さらに最適条件の範囲は広がり、例えば、さらに有機化合物層の膜厚を薄膜化することができる(つまり浅い溝の基板が使用できる)。
また、実施例1では、基板側からの記録再生を考えた基板/有機化合物層/光干渉層/光吸収層という構成で反射率や変調度の計算を行なったが、記録再生波長に対しカバー層が充分厚いこと、および基板とカバー層の屈折率がほぼ同一であることから、カバー側からの記録再生を考えた基板/光吸収層/光干渉層/有機化合物層/カバー層という構成での反射率や変調度もほとんど同一となることは明白である。
【0048】
〔実施例2〕
次いで、記録によって有機化合物層の吸収係数(複素屈折率の虚部)が増加することを確かめた。
案内溝(溝深さ55nm)を有するポリカ−ボネ−ト基板上に、(株)林原生物化学研究所製の色素(NK3408)からなる有機化合物層をスピンコ−ト法によって形成し、さらにその上にZnS−SiO からなる光干渉層を10nm、Si層(光吸収層)30nmを順次設けた光記録媒体を作成した。
なお、405nmにおけるNK3408の複素屈折率は、1.507−i0.056であり、従来の追記型の光記録媒体に用いる有機化合物に要求される複素屈折率に対し、著しく劣った複素屈折率である(例えばDVD−Rに用いられている色素の、記録再生波長近傍での複素屈折率は、例えば 2.5−i0.10 程度である)。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で記録を行なった。
その結果、変調度約56%の信号が得られた。
また、この光記録媒体の光吸収層を剥がし、記録部分と未記録部分の色素をエタノ−ルで溶かし、それぞれスペクトルを測定した。
その結果、図17に示すように、波長400nm近傍の領域において、記録部分では吸収係数(複素屈折率の虚部)が明らかに増加していることが認められ(記録はグル−ブ部のみに行なわれたため、記録部のスペクトルには多量の未記録部成分が存在する)、本発明の光記録媒体における記録原理を確認できた。
また、実施例1で仮定したように、記録によって有機化合物層の吸収係数(複素屈折率の虚部)が約2.5倍に増加すると仮定した根拠が裏付けられた。
但し、本発明では、記録による有機化合物層の吸収係数(複素屈折率の虚部)の増加が約2.5倍であることに限定するものではない。
【0049】
(記録条件)
記録線密度:1T=0.0917(μm)
記録線速度:6.0(m/s)
記録ストラテジ:Basic strategy Ttop−Tmp=1.40−0.75(T)
記録パワー:8.5(mw)
記録パタ−ン:8−16変調信号
【0050】
以上、本発明の実施例1、2から、本発明の光記録媒体の層構成と記録原理が、青色レーザ波長対応の有機化合物からなる追記型光記録媒体の実現に非常に有効であることが確認できた。
また、従来有機化合物を用いた光記録媒体では、有機化合物層で熱を発生させる必要があったため、有機化合物層を薄膜化できず、深い溝(例えば150〜180nm)を必要としていたが、本発明の記録原理によって、有機化合物の薄膜化が可能となるため、50nm程度という非常に浅い溝を有する基板が適用できることが確かめられた。
但し、本発明では、基板の溝深さを約50nmに限定するものではない。
【0051】
〔実施例3〕
従来のDVD−Rに用いることができる一般式(化2)で示される色素の複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)、本発明で使用でき、かつ従来のDVD−Rにも用いることができる色素(NK4439、(株)林原生物化学研究所製)の複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)、Siの複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)、およびZnS−SiO の複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)を測定した。
従来のDVD−Rに用いることができる一般式(化2)で示される色素の複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)は図18、本発明で使用でき、かつ従来のDVD−Rにも用いることができる色素(NK4439)の複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)は図19、光吸収層として用いることのできるSiの複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)は図20、光干渉層として用いることのできるZnS−SiOの複素屈折率(屈折率nと吸収係数k)は図21に示すとおりである。その結果、従来の記録材料に対し、記録再生波長を有機化合物の吸収帯の長波長側に位置させるような従来の記録方法の場合(図18)、記録再生波長の変動に対し、屈折率nや吸収係数kが大きく変動することが確認できた。
一方、本発明では、従来の記録材料に対し、記録再生波長を有機化合物の吸収帯から充分短波長側に位置させる記録方法であるため(図19)、記録再生波長の変動に対し、屈折率nや吸収係数kがほとんど変動しないことが確認できた。また、光吸収層として用いるSi、および光干渉層として用いるZnS−SiOも記録再生波長の変動に対し、屈折率nや吸収係数kが大きく変動しないことが確認できた。
以上、本発明の光記録媒体の層構成によって、記録再生波長の変動に対し、記録感度や変調度、ジッタやエラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体が実現できることが確認できた。
【0052】
【化2】
Figure 0003922690
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の光記録媒体とその記録方法によって、青色レーザ波長以下対応の有機化合物からなる追記型の光記録媒体、転写性のよい浅溝基板が利用可能な有機化合物からなる追記型の光記録媒体、記録再生波長の変動に対し、記録感度や変調度、ジッタやエラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型の光記録媒体を容易に、しかも安価に提供することができる。
また、本発明の請求項1の追記型光記録媒体の層構成によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体を実現できる。 また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体、および、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体が実現できる。
また、本発明の請求項2の追記型光記録媒体の層構成と有機化合物の規定によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体を実現できる。また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体、および、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体が実現できる。
また、本発明の請求項3の追記型光記録媒体の層構成によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体を実現できる。また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体、および、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体が実現できる。
また、本発明の請求項4の追記型光記録媒体の層構成と有機化合物の規定によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体を実現できる。また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体、および、記録再生波長の変動に対し、記録再生特性の変化が少ない追記型光記録媒体が実現できる。
また、本発明の請求項5の記録再生波長と光吸収層として用いる材料の規定によって、本発明の請求項1〜4の追記型光記録媒体の記録再生特性を向上させることが可能となる。
また、本発明の請求項6の光干渉層として用いる材料の規定によって、本発明の請求項1〜4の追記型光記録媒体の記録再生特性を向上させることが可能となる。
また、本発明の請求項7の光記録媒体の記録方法によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、基板側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の記録方法(記録原理)が実現できる。また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の記録方法が実現できる。
また、本発明の請求項8の光記録媒体の記録方法によって、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数が得ることが困難な青色レーザ波長以下の領域であっても、カバー層側からの記録再生で、高密度化が図れ、かつ良好な記録再生特性が得られる追記型光記録媒体の記録方法(記録原理)が実現できる。また、転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行なえる追記型光記録媒体の記録方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光記録媒体の層構成を説明するための図である。
【図2】本発明の光記録媒体の層構成を説明するための図である。
【図3】本発明の光記録媒体の別の層構成を説明するための図である。
【図4】従来の光記録媒体の記録原理を説明するための図である。
【図5】本発明の光記録媒体の記録原理を説明するための図である。
【図6】本発明の光記録媒体に用いられる有機化合物の特性を説明するための図である。
【図7】本発明の光記録媒体に用いられる有機化合物の特性を説明するための図である。
【図8】本発明のSi膜厚が10nmの場合における変調度(MA)の計算結果を示す図である。
【図9】本発明のSi膜厚が10nmの場合における反射率(R)の計算結果を示す図である。
【図10】本発明のSi膜厚が10nmの場合における変調度×反射率(MA×R)の計算結果を示す図である。
【図11】本発明のSi膜厚が30nmの場合における変調度(MA)の計算結果を示す図である。
【図12】本発明のSi膜厚が30nmの場合における反射率(R)の計算結果を示す図である。
【図13】本発明のSi膜厚が30nmの場合における変調度×反射率(MA×R)の計算結果を示す図である。
【図14】本発明のSi膜厚が50nmの場合における変調度(MA)の計算結果を示す図である。
【図15】本発明のSi膜厚が50nmの場合における反射率(R)の計算結果を示す図である。
【図16】本発明のSi膜厚が50nmの場合における変調度×反射率(MA×R)の計算結果を示す図である。
【図17】実施例2で用いた色素の記録前後のスペクトル変化を示す図である。
【図18】従来の記録再生波長領域での複素屈折率を示す図である。
【図19】本発明の記録再生波長領域での複素屈折率を示す図である。
【図20】本発明で用いることができるSiの複素屈折率を示す図である。
【図21】本発明で用いることができるZnS−SiOの複素屈折率を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 有機化合物層
3 光干渉層
4 光吸収層
5 カバー層
6 反射層

Claims (8)

  1. 基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体。
  2. 基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体であって、該有機化合物層を構成する有機化合物として、光吸収層の光吸収機能による発熱によって、記録再生波長での吸収係数が増加する有機化合物を用いたことを特徴とする光記録媒体。
  3. 基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体。
  4. 基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体であって、該有機化合物層を構成する有機化合物として、光吸収層の光吸収機能による発熱によって、記録再生波長での吸収係数が増加する有機化合物を用いたことを特徴とする光記録媒体。
  5. 記録再生波長が500nm以下であり、光吸収層がSi、またはGeを主体として構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の光記録媒体。
  6. 光干渉層がZnS−SiOを主体として構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の光記録媒体。
  7. 基板上に、少なくとも未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、光干渉層、光吸収機能を有する光吸収層が順次積層された構造を有し、記録再生を基板側から行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法において、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法。
  8. 基板上に、少なくとも光吸収機能を有する光吸収層、光干渉層、未記録時の主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に存在する有機化合物層、カバー層が順次積層された構造を有し、記録再生をカバー層側から行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法において、主に光吸収層の光吸収機能による発熱によって、有機化合物層の記録再生波長での吸収係数を増加させることで記録を行なうことを特徴とする光記録媒体の記録方法。
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