JP4265811B2 - 精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子の製造方法に関し、さらに詳しくは、レンズなどの光学素子を精密プレス成形法で作製する際に用いるガラス製プリフォームおよび該プリフォームを用いる前記光学素子の製造方法に関するものである。
ガラス製非球面レンズを効率よく生産する方法として精密プレス成形法が知られている。精密プレス成形法では特許文献1に記載されているようにプレス成形に適した形状に予備成形された光学ガラス製のプリフォームを用いる。
光学ガラスには使用目的に応じて様々な光学特性を有するものが用意されている。その中で利用価値の高いものの一つがフツリン酸ガラスなどの低分散特性を有するものである。
特開平8−277132号公報
しかしながら、このフツリン酸ガラスの精密プレス成形には次のような問題がある。
フツリン酸ガラスのプレス成形温度は、他の組成系のガラス、例えばB−La系ガラスと比べて低温である。しかし、フッ素を含有するため、プレス成形型とガラスの反応がおきやすく、その反応によりガラスの表面に白濁やクモリなどの問題が生じやすい。したがって、このようなリスクを低減するため、より一層低温でのプレス成形が求められる。
ところが、プレス成形温度を低下させるとガラスの粘性が上昇し、プレス時にガラスが伸びにくくなるという問題が発生する。特に精密プレス成形で生産されるレンズのほとんどは、上型および下型のようなプリフォームを加圧する一対の対向型の型成形面の面積が異なる成形型を用いて成形される。例えば、メニスカスレンズの凸状レンズ面と凹状レンズ面の有効径が等しい場合、曲率半径の絶対値が小さいレンズ面をプレスする型成形面の面積のほうが他方の型成形面の面積よりも大きい。メニスカスレンズだけでなく両凸レンズや両凹レンズの場合にもこのように一対の型成形面の面積差が大きい場合がある。
このようなレンズの精密プレス成形では、より面積の大きい型成形面に沿ってガラスをより大きく伸ばす必要がある。つまり、プレス前に成形型中心に配置したプリフォームを、プレスによって型成形面に沿って伸ばし、型成形面の全域をガラスに転写するため、一対の対向型のうち型成形面の面積がより大きい方の型成形面に沿ってよりガラスを大きく伸ばす必要がある。
しかし、粘度が高い状態ではガラスの伸びが不十分になったり、ガラスと型成形面の界面での摩擦が大きくなるなどの理由で、得られたレンズ面に放射状の傷が生じるなどの問題が生じる。このような問題を解消するためプレス成形温度を上げると前述の問題が発生する。
このようにフッ素含有ガラスの精密プレス成形では、一方のレンズ面の成形条件を適正にしようとすると他方のレンズ面の成形に支障が生じるという問題があった。
本発明は、このような事情のもとで、精密プレス成形によって、良好なレンズなどの光学素子を生産するためのフッ素成分含有の酸化物ガラス製プリフォーム、および前記プリフォームを使用して良好な光学素子を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す知見を得た。
前述のように、2つのレンズ面のうち型成形面を転写して形成された面積が大きい側では、精密プレス成形において型成形面に沿ってガラスを大きく伸ばす必要がある。そこで型成形面の面積がより大きい側のガラスを型成形面に沿って伸びやすくすれば上記問題は解決されることに着目した。そこで、本発明者は、プリフォームの一方の表面と型成形面の潤滑性を、他方の表面と型成形面の潤滑性よりも大きくするための手段について考えた。
その結果、本発明者は、フッ素成分含有の酸化物ガラスでは極表面層のフッ素濃度によりガラスと型成形面の間の潤滑性が変化すること、型成形面との間で潤滑性のよい面がより大面積の型成形面側を向くようにして精密プレス成形すればよいことを見出した。
このようなプリフォームを作るには、プリフォームの表面の一部において、フッ素濃度を一様に増加又は減少させればよいが、上記面内においてフッ素濃度が局所的に大きくなったり小さくならないよう注意することが大切である。局所的なフッ素濃度変化は脈理となって光学的性能を低下させる要因になる。
そして、脈理を発生させずに表面近傍のフッ素濃度を変化させるには、熔融状態のフッ素成分含有の酸化物ガラスは極めて高い揮発性を示すので、プリフォームの作製にあたり、予めガラスの揮発性をコントロール可能なレベルまで低下させた上で、脈理ができないように表面付近のフッ素を揮発により減少させればよいことを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成ものである。
すなわち、本発明は、
(1) プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率が異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム、
(2) 1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面における光線反射率と第2の曲面における光線反射率が異なる値を示す上記(1)項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、
(3) プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における表面自由エネルギーが異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム、
(4) 1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面における表面自由エネルギーと第2の曲面における表面自由エネルギーが異なる値を示す上記(3)項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、
(5) 第1の曲面の曲率半径と第2の曲面の曲率半径が異なる上記(2)または(4)項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、
(6) 全表面が熔融ガラスを冷却、固化して形成されたものである上記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、
(7) 精密プレス成形に供するためのガラス製のプリフォームを作製する精密プレス成形用プリフォームの製造方法において、
パイプから流出する熔融ガラス流の下端を含む熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を成形型の凹部上で該凹部に設けたガス噴出口からガスを噴出させて風圧を加えて浮上させながら上下反転することなくプリフォームに成形すること、
および前記ガラスがフッ素成分を含有する酸化物ガラスであること、
を特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法、および
(8) ガラス製プリフォームを精密プレス成形して光学素子を作製する光学素子の製造方法において、
上記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、または、上記(7)に記載の方法により作製した精密プレス成形用プリフォームを使用することを特徴とする光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、精密プレス成形によって良好なレンズなどの光学素子を生産するためのフッ素成分含有の酸化物ガラス製プリフォーム、および前記プリフォームを使用して良好な光学素子を製造する方法を提供することができる。
本発明の精密プレス成形用プリフォームには、2つの態様がある。第1の態様は、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率が異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム(以下、精密プレス成形用プリフォームIと称す。)であり、第2の態様は、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における表面自由エネルギーが異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム(以下、精密プレス成形用プリフォームIIと称す。)である。
プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面は、精密プレス成形時にプレス成形型によってプレスされる被プレス面となるが、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなるプリフォームでは、2つの被プレス面にうち、フッ素リッチな被プレス面のほうが光線反射率は小さく、表面自由エネルギーは大きい。また、フッ素リッチな被プレス面のほうが、型成形面に沿ってガラスが伸びやすい。したがって、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面の光線反射率や表面自由エネルギーの値を異ならせることにより、2つの被プレス面の間で精密プレス成形時の型成形面との滑り性を異ならせることができ、一対の型成形面の面積差が大きい場合でも、良好な精密プレス成形を行うことができる。
このような性状を有する精密プレス成形用プリフォームIおよびIIを作製するには、前記の[課題を解決するための手段]において述べたように、本発明者は、脈理を発生させずに、プリフォームの表面近傍のフッ素濃度を変化させればよいこと、そのためには、熔融状態のフッ素成分含有の酸化物ガラスは極めて高い揮発性を示すので、プリフォームの作製にあたり、予めガラスの揮発性をコントロール可能なレベルまで低下させた上で、脈理ができないように表面付近のフッ素を揮発により減少させればよいことを見出した。
[熔融ガラスの揮発性低減操作]
フッ素成分含有の酸化物ガラスを熔融する際、熔融反応によって極めて揮発性の高いフッ素化合物と揮発性がさほど高くないフッ素化合物が生成されると考えられる。熔融雰囲気に乾燥状態の窒素ガスのような不活性ガスを流すことにより揮発性の高い生成物の揮発が促され、熔融ガラス中における前記生成物の濃度が低下する。このような操作により、熔融ガラスの揮発性を低下させることができる。揮発性を十分に低下させたガラス中のフッ素成分は、揮発性が高くない生成物に由来するものである。
ただし、この操作によりガラス中のフッ素成分が減少するため、原料調合時に揮発によって目減りする分のフッ素成分などの成分を多めに導入すべきである。
上記操作は熔融工程中、ガラスの温度が最も高い清澄工程で行うことが好ましい。より高温で上記操作を行うことにより揮発性生成物の揮発をさらに促進することができる。
揮発性が十分低下しているかどうかは、次の方法で確認することができる。
精密プレス成形用プリフォームは幸いにして屈折率が高精度に決められている光学ガラスからなる。ガラスの屈折率は組成を反映しており、組成の変化により屈折率も変化する。揮発性生成物の揮発によって僅かながら組成が変化するが、屈折率が高精度に決められている光学ガラスでは、このような僅かな組成変化も屈折率変化としてモニターすることができる。
熔融ガラスを冷却、固化して得られたガラスが揮発性を低下させて得られたものであるかどうかは、ガラスを再加熱、再熔融し、その前後の屈折率変化を調べれば判る。再熔融の前後でガラスの屈折率を精密に測定し、再熔融の前後における屈折率差が大きければ、再熔融前のガラス中に揮発性生成物が多量に残留していることになり、逆に、屈折率差が小さければ、再熔融前のガラス中に揮発性生成物が少ないことになる。
再熔融の前後での屈折率差の大小と脈理解消の可否を関連付け、再熔融の前後での屈折率を実質的に等しくすること、より具体的には再熔融前後での屈折率の差の絶対値を所定の値以下にすることにより、脈理が解消される程度にまでガラスの揮発性を低下させたことを判別することができる。
具体的には、ガラスの屈折率の値をn (1)、該ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率の値をn (2)としたとき、n (1)とn (2)とが実質的に等ければ揮発性が低下したと理解してよい。
ここにn (1)とn (2)とが実質的に等しいとは、光学ガラスにおいて、脈理が生じないようにn (1)とn (2)とが近似していることを意味するが、具体的目安としては、n (2)−n (1)の絶対値が、0.00300以下であることが好ましい。n (2)−n (1)の絶対値が0.00300を超えると、熔融ガラスをプリフォームに成形する際に、プリフォーム表面に通常脈理が発生する。前記絶対値が0.00300以下であれば、脈理防止可能なガラス材料を提供することができる。
前記絶対値のより好ましい範囲は0.00200以下、さらに好ましい範囲は0.00150以下、より一層好ましい範囲は0.00100以下である。フッ素含有酸化物ガラスにおいて、フッ素はガラスの屈折率を相対的に低下させる成分なので、n (2)−n (1)の値は一般に正となる。
(2)を測定するために行われる再熔融時の雰囲気は、ガラスと雰囲気の反応により揮発以外の要因によってガラスの屈折率が影響を受けないようにするために窒素ガスとする。再熔融は900℃で1時間の所定条件下で行われ、その後、ガラス転移温度まで冷却する。n (2)の値は冷却時の降温速度にも影響を受けるので、冷却は毎時30℃の所定の降温速度で行われ、25℃まで冷却される。
屈折率の測定は公知の方法を用いることができ、有効桁数6桁(小数点以下5桁)の精度で測定することが望ましい。屈折率の測定例としては、日本光学硝子工業会規格JOGIOS 01−1994「光学ガラスの屈折率の測定方法」を適用することができる。
ガラスの形状、体積などによっては、例えばガラスが小さな球状であったり、肉薄のレンズに成形されている場合には、上記規格に定められた形状、寸法の試料にガラスを加工することができない場合もある。その場合には、ガラスを加熱、軟化してプレス成形し、アニールして2つの平面が所定の角度で交わるプリズム形状にする。そして、上記規格と同じ測定原理に基づき、屈折率を測定する。プレス成形によるプリフォーム製造時の加熱温度は高々ガラスを軟化できればよい温度域であって、ガラスが熔融する温度よりも極めて低いから、揮発性物質の濃度への影響は無視できる程度であり、上記加熱前後の屈折率変化量は無視して差支えない。
本発明のプリフォームを構成するガラスは、好ましくは揮発性に関して上記性質を有するものである。
[精密プレス成形用プリフォームの作製]
次に、このようにして揮発性低減操作を行った熔融ガラスを流出し、フッ素濃度を低下させたい面に接する雰囲気を常に新しい雰囲気に置換する。揮発性を低下させたガラスであっても高温のガラス表面から僅かに揮発性生成物が揮発する。前記雰囲気置換を行うことにより雰囲気中の揮発性生成物の濃度は常に低く保たれるため、単位面積あたりの揮発スピードはガラスの温度によってほぼ決まる。一方、雰囲気置換を行わない面では、雰囲気中の揮発性生成物の濃度が上昇し、単位面積あたりの揮発スピードは雰囲気置換を行う場合よりも減少する傾向を示す。
このように熔融ガラスの一部の表面のみ雰囲気を置換することにより、その部分の表面近傍におけるフッ素濃度を低下させることができる。この状態でガラスを冷却すれば上記フッ素濃度の分布が固定される。
このような原理を利用して、幾つかの方法で本発明のプリフォームを作製することができる。
第1の方法は、パイプから流出する熔融ガラス流の下端を含む熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を成形型の凹部上で該凹部に設けたガス噴出口からガスを噴出させて風圧を加えて浮上させながら上下反転することなくプリフォームに成形する。具体的には、揮発性を低下させた熔融ガラスをパイプから流出し、流出した熔融ガラス流の下端を支持する。この操作により熔融ガラス流のパイプ流出口側と下端の間に表面張力によりくびれが生じる。次に前記支持を取り去る、または、熔融ガラス流の下端を支持している支持体を急降下し、前記くびれにおいて表面張力により熔融ガラス流を分離する。下端を含む熔融ガラス塊をこのようにして分離し、成形型の凹部上でプリフォームに成形する。凹部にはガラスを支持する全面にわたりガス噴出口が多数設けられており、これらガス噴出口からガスを噴出させてガラスに風圧を加えて凹部上に浮上させながら成形を行う。上記ガス(浮上ガスという。)はフッ素を含まないガスを用いることが望ましい。例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの希ガスを用いればよい。凹部の全面にわたりガスを噴出してガラスを浮上させることにより、ガラスは上下反転することなくプリフォームに成形される。したがって、凹部上におけるプリフォームの下面は常に新しい浮上ガスの供給を受け、前述した雰囲気置換がなされていることになる。一方、プリフォームの上面は浮上ガスが噴きつけられないのでガラスから揮発した揮発性生成物を含む雰囲気が滞留した状態で成形される。こうしてフッ素濃度の高い面と低い面を有するプリフォームを作製することができる。
第2の方法では、揮発性を低下させた熔融ガラスをパイプから流出、滴下し、熔融ガラス滴をベンチュリー管と呼ばれる逆円錐状の成形型で受けてプリフォームに成形する。
ベンチュリー管は下部へ行くほど内径が減少するように作られ、底部には浮上ガスを噴出するガス噴出口が設けられている。このガス噴出口からガスを噴出し、ガラスに上向きの風圧を加える。ベンチュリー管の形状からガラスは底部に行くほど強い上向きの風圧を受けて浮上するが、浮上によって上向きの風圧が弱まるので逆円錐状の斜面に沿って転がり、再度浮上するという上下運動を繰り返す。この運動によってガラスはランダムな方向に回転しながら球状のプリフォームに成形される。この方法ではガラス表面全体が雰囲気置換を受けてフッ素濃度が低下する。次に、プリフォームの表面の一部を研磨やエッチングなどにより除去すると、フッ素濃度が低下した表面層が除去されてフッ素濃度の高い面が現れる。こうしてフッ素濃度の異なる面を有するプリフォームを作ることができる。
この他、揮発性を低下させて脈理ができない状態のガラスを用いて、ガラス表面の一部の揮発を促進させたり、一様にフッ素濃度を低下させたガラスの表面の一部を除去してフッ素濃度が低下する前の状態にある部分を表面として露出させることにより、所望のプリフォームを作ることができる。なお、揮発により表面近傍のフッ素濃度を低下させたガラスの内部は、表面よりもフッ素濃度が高い状態になっていることは言うまでもない。
フッ素濃度が高い面と低い面の濃度差は僅かな差でよい。精密プレス成形時、プリフォームは対向する一対の成形型部材、例えば上型と下型でプレスされる。型成形面の面積が大きいほうの型成形面とガラスの間の潤滑性が、他方より僅かでも良ければ、ガラスはスムーズに成形型内に広がり、面精度の高い光学素子を成形することができる。このような僅かなフッ素濃度を直接測定することは、測定精度や手間、コストの面から得策ではない。また、フッ素濃度が低い表面層は極めて薄いと考えられ、その濃度を測定することは困難と考えられる。そこで、本発明では、フッ素濃度を直接管理する代わりに、プリフォーム表面における光線反射率や表面自由エネルギーを管理することによって、間接的にフッ素濃度を管理することにした。
例えば、フツリン酸ガラス、フツホウ酸ガラス、フツケイ酸ガラスなどのフッ素含有酸化物ガラスでは、フッ素濃度が高いと屈折率が低下し、逆にフッ素濃度が低いと屈折率が増加する。これはアニオン成分に注目したとき、酸素リッチのガラスのほうがフッ素リッチのガラスより屈折率が高いことによる。
このように屈折率はフッ素濃度を敏感に反映するため、表面近傍のフッ素濃度をガラスの屈折率によって間接的に管理すればよい。ただし、表面の極薄い部分の屈折率を測定することは困難だから、代わりに表面における光線反射率を測定すればよい。プリフォーム表面における光線反射率とガラス表面の屈折率の関係はフレネルの公式と呼ばれる式によって関係付けられる。
プリフォーム表面のフッ素濃度が低下すると表面近傍の屈折率が増加し、光線反射率が増加し、逆にフッ素濃度が増加すると表面近傍の屈折率が減少し、光線反射率が減少する。
本発明の第1の態様である精密プレス成形用プリフォームIは、このような知見に基づき、なされたものである。
[精密プレス成形用プリフォームI]
第1の態様である精密プレス成形用プリフォームIは、前述したように、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率が異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする。
レンズなどの回転対称性を有する光学素子を成形するためのプリフォームとしては、1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面における光線反射率と第2の曲面における光線反射率が異なる値を示すプリフォームであることが好ましい。このプリフォームは前述の第1の方法により作製することができる。
このプリフォームでは第1の面および第2の面における交点近傍で曲率半径が極大になるため、屈折率を反射率で間接的に管理する際、プリフォームの表面形状の影響を小さくすることができ好都合である。
本発明において、発明の目的を達成する上から、前記2つの面の波長500nmにおける光線反射率の差を0.03%以上設けることが好ましく、0.05%以上にすることがより好ましい。本発明では、光線反射率の差が複数の波長において設けられており、それら波長のいずれにおいても、反射率が大きい面が同一の面になるようにすることが望ましい。
例えば、波長500nm、600nm、700nmの3波長における光線反射率を測定し、いずれも光線反射率の差が0.03%以上設けることが好ましく、0.05%以上にすることがより好ましい。ただし、必要以上に光線反射率の差を大きくすると、光学素子の性能が低下するとともに、製法によってはプリフォームに脈理が生じ、光学的に均質なプリフォームを得るという本発明の前提条件が崩れてしまうおそれがある。したがって、前記光線反射率の差をいずれも1.0%以下にすることが好ましく、0.7%以下にすることがより好ましい。
<プリフォーム表面の光線反射率の測定>
プリフォーム表面の光線反射率は以下のように測定する。
プリフォーム表面は曲面である場合が多い。光線反射率は測定面への測定光の入射角に依存するため、測定面の曲率が異なるとプリフォーム表面の屈折率が同じでも、反射率は異なる値になり、プリフォーム表面層の屈折率を正確に反映したものにならないおそれが生じる。そこで、反射率測定領域を測定面が平面と見なせる程度にまで狭くすることにより反射率がプリフォーム表面層の屈折率を正確に反映させるようにする。
具体的にはプリフォーム表面の曲率にもよるが、測定面で測定光束の直径が1mm以下になるよう集光することが好ましく、0.5mm以下になるよう集光することがより好ましく、200μm以下になるよう集光することがさらに好ましく、100μm以下になるよう集光することが一層好ましい。100μm以下、好ましくは80μm以下に絞り込んで、測定面に対して垂直に測定光束を入射させ、反射光を測定する。このような測定を行うには、例えばオリンパス光学工業(株)製のレンズ反射率測定機(型式名「USPM−RU」)を使用することが好ましい。
図1は、プリフォーム表面の光線反射率の測定原理を示す説明図である。
図1を参照しながら同測定機の測定原理について説明する。図1において光源(ハロゲンランプ)から視野絞りFS−a2までの光学系はFS−a2を照明するもので、その光路中に明るさ絞りAS1が配置されている。FS−a2の開口部を通過した光束はコリメータレンズ3で平行光束となり、ハーフミラー4で反射され、10倍の対物レンズ5でサンプル6の測定面に垂直に照射し、前記測定面上で直径50μmのサイズに集光させる。なお、測定面へのフォーカシングはハーフプリズム8で反射した光を接眼レンズ9を用いて観察し、対物レンズ5とサンプル6の測定面の距離を調整して行えばよい。
測定面で反射した光は元の光路を戻り、ハーフミラー4、結像レンズ7、ハーフプリズム8を通過してフレアー防止機能を有する視野絞りFS−b10上に集光される。FS−b10を通過した反射光は2次元カットフィルタ11を通りフラットフィールドグレーティングと呼ばれる回折格子12により分光され、ミラー13で反射されてラインセンサ14の受光面に入射する。
分光された反射光は波長によってラインセンサ受光面上の異なる位置に入射するため、反射光の分光スペクトルが測定される。この装置では波長380〜780nmの範囲にわたって分光スペクトルを測定することができる。
また、既知の反射率を有する測定面を基準サンプル面とし、基準サンプル面の分光スペクトルを測定し、基準スペクトルとする。プリフォーム表面で反射した光の分光スペクトルと基準スペクトルからプリフォーム表面の反射率を算出する。
なお、符号15はフレアー絞り照明用ランプ、16は回転ミラーである。
[精密プレス成形用プリフォームII]
第2の態様である精密プレス成形用プリフォームIIは、前述したように、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの曲面における表面自由エネルギーが異なる値を有するとともに、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなることを特徴とする。
フッ素成分含有の酸化物ガラスでは、フッ素濃度が高いガラスの表面ほど表面自由エネルギーが大きくなり、逆にフッ素濃度が低いガラスの表面ほど表面自由エネルギーが小さくなる。表面自由エネルギーも反射率と同様にガラス表面におけるフッ素濃度を敏感に反映する。
このプリフォームIIも、前記プリフォームIと同様の理由により、1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面における表面自由エネルギーと第2の曲面における表面自由エネルギーが異なる値を示す精密プレス成形用プリフォームであることが好ましい。このような形状のプリフォームでは、上記交点近傍で第1の曲面と第2の曲面の表面自由エネルギーを測定することが望まれる。これらの部位は前述のように曲率半径が極大になるため、表面自由エネルギーを測定する際、プリフォームの表面形状の影響を小さくすることができ好都合である。
本発明において、発明の目的を達成する上から、前記2つの面における表面自由エネルギーの差を2.0mJ/m以上設けることが好ましく、4.0mJ/m以上にすることがより好ましい。ただし、必要以上に表面自由エネルギーの差を大きくすると、光学素子の性能が低下するとともに、製法によってはプリフォームに脈理が生じ、光学的に均質なプリフォームを得るという本発明の前提条件が崩れてしまうおそれがある。したがって、前記表面自由エネルギーの差を40mJ/m以下にすることが好ましく、30mJ/m以下にすることがより好ましい。このプリフォームも前述の第1の方法により作製することができる。
<プリフォーム表面の表面自由エネルギーの測定>
プリフォーム表面の表面自由エネルギーは以下のように測定する。
本発明では、表面自由エネルギーの測定に純水とCH(ジヨードメタン)の2種の液体を使用し、各液体をプリフォーム表面に滴下して濡れ角を測定し、その結果からOwens−Wendt−Kaelble法を用いて表面自由エネルギーを算出する。表面自由エネルギー(γ)は、(1)式に示すように、固体又は液体の分散力(Dispersion Force)γと固体又は液体の極性相互作用力(Polar Interaction Force)γとの和で与えられる。
(1)式を固体の表面自由エネルギー(γ)で考えると(2)式となる。ここで添字のsはSolid(固体)を表わす。また、同様に液体について(1)式を考えると、(3)式で示され、添字LはLiquid(液体)を表す。
γ=γ+γ ……(1)
γ=γ +γ ……(2)
γ=γ +γ ……(3)
ガラス表面にある液体を滴下し、その液体の接触角θを測定すると、θと表面自由エネルギーの間には(4)式のような周知の関係が成り立つ。
γ×(1−cosθ)/2
=(γ +γ 1/2+(γ +γ 1/2 ……(4)
また、公知のデータにより、純水ではγ =21.8mJ/m、γ =51mJ
/mであり、CHではγ =50.8mJ/m、γ =0mJ/mであるから、2種類の液体をそれぞれ同量プリフォーム表面に滴下したときの接触角をθ(純水)、θC(CH)とすると(4)式は、2種の液体についてそれぞれ(5)式、(6)式のようになる。
72.8×(1−cosθ)/2
=(γ +21.8)1/2+(γ +51)1/2 …(5)
50.8×(1−cosθ)/2
=(γ +50.8)1/2+(γ +0)1/2 …(6)
θ、θに実測値を代入すれば、(5)式、(6)式はγ 、γ を未知数とする2元連立方程式となり、上記未知数を容易に算出することができる。この結果を(2)式に代入すれば、プリフォーム表面における表面自由エネルギーγを算出することができる。
なお、光線反射率や表面自由エネルギーは清浄な表面でないと正確な測定ができないことから、測定に際しては洗浄、乾燥工程を施すなどしてプリフォーム表面を清浄な状態にしておくことが肝要である。
精密プレス成形用プリフォームIおよびIIは、いずれも1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面の曲率半径と第2の曲面の曲率半径が異なることが好ましい。
第1の曲面と第2の曲面の光線反射率、表面自由エネルギーは異なるが、一見してこれらの特性の違いだけで第1の曲面と第2の曲面を見分けることは困難である。
そこで第1の曲面と第2の曲面の曲率半径が異なるようプリフォームを作ることにより、反射率が大きい面はどちらの面か、あるいは表面自由エネルギーが大きい面はどちらの面か容易に判別することができる。
なお、表面自由エネルギーの測定部位は、第1の面および第2の面の中心付近、すなわち、回転対称軸と表面との各交点を中心とする部位とすることが望ましい。
以下、プリフォームを含むガラスの表面の曲率半径の符号を、外側に凸形状の場合に正とし、凹形状の場合に負と定義する。
第1、第2の曲面がともにプリフォームの外側に凸形状を有するプリフォームの場合、第1の曲面の曲率半径が第2の曲面の曲率半径よりも小さく、第1の曲面の光線反射率が第2の曲面の光線反射率よりも大きい(すなわち、第1の曲面の表面自由エネルギーが第2の曲面の表面自由エネルギーより小さい)とする。このように2つの曲面が有する特性を曲率半径の大小に関連付けることで、多数個のプリフォームを用いて光学素子を量産する場合に、潤滑性のよい面を容易に判別することができる。なお、このようなプリフォームは、第1の方法で成形型凹部の側壁を立ち上げ、凹部上におけるガラスの下面の曲率半径が上面の曲率半径より小さくなるようにして作製することができる。
別のケースとしては、第1の曲面の光線反射率を第2の曲面の光線反射率よりも小さくする(すなわち、第1の曲面の表面自由エネルギーを第2の曲面の表面自由エネルギーよりも大きくする)ことによっても、潤滑性のよい面を容易に判別することができる。
このようなプリフォームを作るには第1の方法で、熔融ガラス塊を小さくするとともに成形型の凹部を平坦に近づけ、凹部上のガラスの下面の曲率半径が上面の曲率半径よりも大きくなるようにすればよい。このような熔融ガラス塊は表面張力によって上面の曲率半径を小さくすることができる。
これまで第1、第2の曲面とも外側に凸形状のプリフォームについて説明したが、一方の曲面が凸で他方が凹形状のプリフォーム、両曲面とも凹形状のプリフォームに本発明を適用できることは言うまでもない。
本発明のプリフォームは、全表面が熔融ガラスを冷却、固化して形成されたものであることが好ましい。フッ素成分含有ガラスは酸化物ガラスの中でも硬度が低く、傷つきやすいという性質があるため、研磨により作製するよりも前述の工程を経て作製することが望ましい。さらに前記工程により作製されたプリフォームは風冷強化されており、機械的な耐衝撃性にも優れている。
本発明では、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面は、型成形面との間の滑り性が異なる。この点を利用して、一対の型成形面の面積差が大きい場合でも、良好な精密プレス成形を行うことができる。こうした効果を享受するには、プリフォームをコートせずにガラスが露出した状態で精密プレス成形してもよいが、ガラスと型成形面との融着をより確実に防止するためのコートが施されたプリフォームでもよい。プリフォーム表面をコートすると、コートなしの場合に比べて上記効果が薄れるように思われるかも知れないが、光線透過率あるいは表面自由エネルギーが僅かに異なるガラス表面にコーティングすると、下地の違いが膜質に影響を及ぼし、光線透過率の小さい面、すなわち、表面自由エネルギーの大きい面のほうが、コーティングした場合でも型成形面との滑り性がよい。したがって、プリフォーム表面にコーティングした場合も本発明の効果を得ることができる。下地のガラス表面の影響を大きくし、上記効果を得る上から、前記コートの膜厚を7nm以下とすることが好ましい。また、ガラスの離型性を高める上から前記膜厚を0.5nm以上とすることが好ましい。プリフォーム表面に施すコートとしては炭素含有膜などが好ましい。
ガラス表面の状態、例えば、光線反射率や表面自由エネルギーなどの違いを反映しやすい成膜法としては、CVD法(化学気相反応法)など表面反応を伴う成膜法(例えばアセチレンガスを熱分解してガラス表面に炭素含有膜を成膜する方法)を例示することができる。
[プリフォームを構成するフッ素成分を含有する酸化物ガラス]
次に本発明のプリフォームを構成するフッ素成分を含有する酸化物ガラスについて説明する。
このフッ素成分を含有する酸化物ガラスの中で、第1の好適なガラスはフツリン酸ガラス、特に必須のカチオン成分として、P5+およびAl3+と、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+から選ばれる2価カチオン成分(R2+)を2種以上と、Liとを含むフツリン酸ガラスである。
このようなガラスの一例は、カチオン%表示にて、P5+ 10〜45%、Al3+ 5〜30%、Mg2+ 0〜20%、Ca2+ 0〜25%、Sr2+ 0〜30%、Ba2+ 0〜33%、Li 1〜30%、Na 0〜10%、K 0〜10%、Y3+ 0〜5%、B3+ 0〜15%、を含有するとともに、FとO2−の合計量に対するFの含有量のモル比F/(F+O2−)が、好ましくは0.25〜0.85であり、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+から選ばれる2価カチオン成分(R2+)を2種以上を含むフツリン酸塩ガラスである。
このフツリン酸ガラスは、屈折率(n)が1.40〜1.58、アッベ数(ν)が67〜90の光学特性を実現する光学ガラスとして好ましい。
中でも2価カチオン成分(R2+)としてCa2+、Sr2+およびBa2+のうちの2種以上を含むフツリン酸ガラスが好ましく、2価カチオン成分(R2+)であるMg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が1カチオン%以上であるフツリン酸ガラスがより好ましい。
上記フツリン酸ガラスは、FとO2−の合計量に対するFの含有量のモル比F/(F+O2−)が、好ましくは0.50〜0.85で、アッベ数(νd)が75〜90程度であるガラスaと、モル比F/(F+O2−)が、好ましくは0.25〜0.50未満で、アッベ数(νd)が67〜75未満程度であるガラスbとに大別され、各カチオン成分の好ましい含有範囲はガラスaとガラスbとで異なる。
なお、以下、各カチオン成分の含有量はカチオン%表示とする。
5+はガラスのネットワークフォーマーとして重要なカチオン成分であり、10%未満ではガラスの安定性が低下し、45%超ではP5+は酸化物原料で導入する必要があるため酸素比率が大きくなり目標とする光学特性を満たさない。したがって、その量を10〜45%とすることが好ましい。ガラスaを得る場合のP5+の好ましい範囲は10〜40%、より好ましい範囲は10〜35%、さらに好ましい範囲は12〜35%、より一層好ましい範囲は20〜35%、なおさらに一層好ましい範囲は20〜30%である。また、ガラスbを得る場合のP5+の好ましい範囲は25〜45%、より好ましい範囲は25〜40%、さらに好ましい範囲は30〜40%である。なお、P5+の導入にあたっては、PCl5を使用することは、白金を侵食しまた揮発も激しいため安定な製造の妨げになるため適当でなく、リン酸塩として導入することが好ましい。
Al3+はフツリン酸塩ガラスの安定性を向上させる成分であり、5%未満では安定性が低下し、また30%超ではガラス転移温度(Tg)及び液相温度(LT)が大きく上昇するため、成形温度が上昇し成形時の表面揮発による脈理が強く生じるため均質なガラス成形体、特にプレス成形用プリフォームができなくなる。したがって、その量を5〜30%とすることが好ましい。ガラスaを得る場合のAl3+の好ましい範囲は7〜30%、より好ましい範囲は8〜30%、さらに好ましい範囲は10〜30%、より一層好ましい範囲は15〜25%である。また、ガラスbを得る場合のAl3+の好ましい範囲は5〜20%、より好ましくは5〜12%である。
2価カチオン成分(R2+)であるMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+の導入は安定性の向上に寄与するが、これらのうち2種以上、より好ましくはCa2+、Sr2+およびBa2+のうち2種以上を導入する。2価カチオン成分(R2+)の導入効果をより高める上から、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を1カチオン%以上とすることが好ましい。またそれぞれの上限値を超えて導入すると安定性は急激に低下する。Ca2+、Sr2+は比較的多量に導入できるが、Mg2+、Ba2+の多量の導入は特に安定性を低下させる。しかしBa2+は低分散を保ちつつ高屈折率を実現できる成分であるため、安定性を損なわない範囲で多く導入するのが好ましい。したがって、Mg2+の量は0〜20%とすることが好ましいが、ガラスaを得る場合は、Mg2+の量を好ましくは1〜20%、より好ましくは3〜17%、さらに好ましくは3〜15%、より一層好ましくは5〜15%、特に好ましくは5〜10%とし、ガラスbを得る場合は、Mg2+の量を好ましくは0〜15%、より好ましくは0〜12%、さらに好ましくは1〜10%とする。
また、Ca2+の量は0〜25%とすることが好ましいが、ガラスaを得る場合は、Ca2+の量を好ましくは1〜25%、より好ましくは3〜24%、さらに好ましくは3〜20%、より一層好ましくは5〜20%、特に好ましくは5〜16%とし、ガラスbを得る場合は、Ca2+の量を好ましくは0〜15%とし、より好ましくは1〜10%とする。
さらに、Sr2+の量は0〜30%とすることが好ましいが、ガラスaを得る場合は、Sr2+の量を好ましくは1〜30%、より好ましくは5〜25%、さらに好ましくは7〜25%、より一層好ましくは8〜23%、なお一層好ましくは9〜22%、特に好ましくは10〜20%とし、ガラスbを得る場合は、Sr2+の量を好ましくは0〜15%、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは1〜10%とする。
Ba2+の量は0〜33%とすることが好ましいが、ガラスaを得る場合は、Ba2+の量を好ましくは0〜30%、より好ましくは0〜25%、さらに好ましくは1〜25%、より一層好ましくは1〜20%、なお一層好ましくは3〜18%、さらに一層好ましくは5〜15%、特に好ましくは8〜15%とし、ガラスbを得る場合は、Ba2+の量を好ましくは0〜30%、より好ましくは10〜30%、さらに好ましくは15〜30%、より一層好ましくは15〜25%とする。
Liは安定性を損なわずにガラス転移温度(Tg)を下げる重要な成分であるが、1%未満ではその効果は十分でなく、30%超ではガラスの耐久性を損ない同時に加工性も低下する。したがって、その量を1〜30%とすることが好ましく、より好ましくは2〜30%、さらに好ましくは3〜30%、一層好ましくは4〜30%とする。ガラスaを得る場合は、Liの量を好ましくは4〜25%、より好ましくは5〜25%、さらに好ましくは5〜20%とし、ガラスbを得る場合は、Liの量を好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜25%とする。
Na、KはそれぞれLiと同様にガラス転移温度(Tg)を低下させる効果があるが、同時に熱膨張率をLiに比べてより大きくする傾向がある。またNaF、KFは水に対する溶解度がLiFに比べて非常に大きいことから耐水性の悪化ももたらすため、Na、Kの量をそれぞれ0〜10%とすることが好ましい。ガラスa、bの何れのガラスにおいても、Na、Kの好ましい範囲はともに0〜5%であり、それぞれ導入しないのがより好ましい。
3+はガラスの安定性、耐久性を向上させる効果があるが、5%超では安定性が逆に悪化し、ガラス転移温度(Tg)も大きく上昇するため、その量を0〜5%とすることが好ましい。ガラスaを得る場合は、Y3+の量を好ましくは0〜3%、より好ましくは0.5〜3%とし、ガラスbを得る場合は、Y3+の量を好ましくは0〜4%、より好ましくは0〜3%、さらに好ましくは0.5〜3%とする。
3+はガラス化成分なのでガラスを安定化させる効果があるが、過剰の導入は耐久性の悪化を招きまたB3+の増加に伴い、ガラス中のO2−も増加するため目標とする光学特性を達成しにくくなることから、その量を0〜15%とすることが好ましい。ただし、BF3として熔融中に揮発しやすく、脈理の原因となるため、ガラスa、bの何れのガラスにおいても、その量を0〜10%とすることが好ましく、0〜5%とすることがより好ましい。ガラスの揮発性低減を優先する場合は、0〜0.5%とすることが好ましく、導入しないことがより好ましい。
なお、高品質な光学ガラスを安定して製造する上から、ガラスa、bの何れのガラスにおいても、P5+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、LiおよびY3+の合計量をカチオン%で95%超とすることが好ましく、98%超とすることがより好ましく、99%超とすることがさらに好ましく、100%とすることがより一層好ましい。
ガラスa、bはともに、上記したカチオン成分以外にTi、Zr、Zn、La、Gdなどのランタノイドなどをカチオン成分として含有することができる。
また、Si4+をガラスを安定化させる目的で導入することができるが、熔解温度が低いために過剰に導入すると熔け残りを生じさせたり、熔解時に揮発が多くなり製造安定性を損なうことになる。したがって、ガラスa、bの何れのガラスにおいても、Si4+の量を0〜10%とすることが好ましく、0〜8%とすることがより好ましく、0〜5%とすることがさらに好ましい。
アニオン成分の割合としては、所望の光学特性を実現しつつ、優れた安定性を有する光学ガラスを得るために、FとO2−の合計量に対するFの含有量のモル比F/(F+O2−)を0.25〜0.85とすることが好ましいが、ガラスaにおいては0.50〜0.85とすることが好ましく、ガラスbにおいては0.25〜0.50未満が好ましく、より好ましくは0.27〜0.45、さらに好ましくは0.3〜0.45とする。また、ガラスa、bのいずれにおいても、アニオン中におけるFとO2−の合計量を100%にすることが好ましい。
ガラスa、bとも、その屈折率(n)が1.40〜1.58程度であり、アッベ数(ν)が67〜90程度、好ましくは70〜90である。また、ガラスaにおいては、上記アッベ数(ν)が75〜90程度、好ましくは78〜89であり、ガラスbにおいては、上記アッベ数(ν)が67〜75未満程度である。
ガラスa、bは、着色剤を添加する場合を除いて、可視光域において高い透過率を示す。具体的には、両面が平坦かつ互いに平行な厚さ10mmの試料に、前記両面に対して垂直方向から光を入射したときの波長400nm〜2000nmにおける透過率(試料表面における反射損失を除く)が、通常80%以上、好ましくは95%以上の光透過率特性を示す。
ガラスa、bは、Liを所定量含むため、そのガラス転移温度(Tg)は、通常470℃以下、好ましくは430℃以下となる。
また、ガラスa、bは、アルカリ金属イオンのうちLiを積極的に含有させたため、熱膨張率が比較的小さく、また比較的優れた耐水性を示す。したがって、ガラスを研磨してプリフォームに加工することにより表面が滑らかで高品質なプリフォームを得ることができる。
さらにガラスa、bは優れた耐水性、化学的耐久性を示すので、プリフォームを作製してからプレス成形に供するまでの間、長期に保存してもプリフォーム表面が変質することがない。また、光学素子の表面も変質しにくいので、長期にわたり表面が曇らない良好な状態で光学素子を使用することもできる。
また、ガラスa、bによれば、ガラス熔解温度を、同等の光学特性を有しLiを含まないガラスに比べて50℃程度低下することができるので、熔解時の容器からの白金溶け込みによるガラスの着色、泡の混入、脈理といった不具合も低減、解消することができる。
フツリン酸塩ガラスは一般的に流出時の粘度が高く、流出する熔融ガラスから所望質量の熔融ガラス塊を分離して成形する際、分離部分でガラスが細い糸を引き、その糸状部分が成形したガラス塊表面に残って突起を形成するなどの不具合が生じる。流出粘度を低下させてこのような不具合を解消しようとするとガラスの流出温度を上昇させなければならず、前述のようにガラス表面からフッ素の揮発を助長し、脈理が著しくなるという問題が生じる。
ガラスa、bはこのような問題を解消するため、熔融ガラスの成形に適した温度を低下させるため、所定の粘度を示す温度が、従来のフツリン酸塩ガラスよりも低くなるようにガラス組成を決定している。ガラス転移温度は熔融ガラスの成形温度よりも遥かに低い温度ではあるが、ガラス転移温度が低いガラスは上記成形温度も低くできるので、成形時の糸引き、脈理などの問題を低減、解消するには、ガラス転移温度が上記範囲になるようにガラス組成を調整することが有効である。
また、ガラス転移温度を低くすることにより、プリフォームの精密プレス成形におけるガラスの加熱温度を低下させることができ、ガラスとプレス成形型との反応が緩和されたり、プレス成形型の寿命を延ばすことができるなどの効果を得ることもできる。
ガラスa、bは、リン酸塩原料、フッ化物原料などを使用し、これら原料を秤量、調合して熔融容器に供給し、前述のように加熱、熔融し、清澄、均質化し、パイプから流出、成形して得ることができる。
フッ素成分を含有する酸化物ガラスにおける第2の好ましい例は、Cu2+を含むフツリン酸ガラスである。このガラスは近赤外線吸収ガラスとして機能する。このガラスは、特にCCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正用フィルタとして好適であり、前記用途に使用する場合は、Cu2+の含有量を0.5〜13カチオン%とすることが望ましい。
このガラスの特に好ましい組成は、カチオン%表示で、P5+ 11〜45%、Al3+ 0〜29%、Li、NaおよびKを合計で0〜43%、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+を合計で14〜50%、Cu2+ 0.5〜13%を含み、さらにアニオニック%表示で、F 17〜80%を含むものである。
上記組成においてアニオン成分の残量はすべてO2−とすることが好ましい。以下、カチオン成分の含有量、合計含有量はカチオン%表示とする。
上記組成において、P5+はフツリン酸ガラスの基本成分であり、Cu2+の赤外域の吸収をもたらす重要な成分である。P5+の含有量が11%未満では色が悪化して緑色を帯び、逆に45%を超えると耐候性、耐失透性が悪化する。したがって、P5+の含有量は11〜45%とすることが好ましく、20〜45%とすることがより好ましく、23〜40%とすることがさらに好ましい。
Al3+はフツリン酸ガラスの耐失透性と耐熱性、耐熱衝撃性、機械的強度、化学的耐久性を向上させる成分である。ただし、29%を越えると近赤外吸収特性が悪化する。したがって、Al3+の含有量を0〜29%とすることが好ましく、1〜29%とすることがより好ましく、1〜25%とすることがさらに好ましく、2〜23%とすることがより一層好ましい。
Li、NaおよびKはガラスの熔融性、耐失透性を改善させ、可視光域の透過率を向上する成分であるが、合計量で43%を超えると、ガラスの耐久性、加工性が悪化する。したがって、Li、NaおよびKの合計含有量を0〜43%とすることが好ましく、0〜40%とすることがより好ましく、0〜36%とすることがさらに好ましい。
アルカリ成分の中でもLiは上記作用に優れており、Liの量を15〜30%とすることが好ましく、20〜30%とすることがより好ましい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+はガラスの耐失透性、耐久性、加工性を向上させる有用な成分であるが、過剰導入により耐失透性が低下するので、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計量を14〜50%にすることが好ましく、20〜40%にすることがより好ましい。
Mg2+含有量の好ましい範囲は0.1〜10%、より好ましい範囲は1〜8%である。
Ca2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は3〜15である。
Sr2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は1〜15%である。
Ba2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は1〜15%、さらに好ましい範囲は1〜10である。
Cu2+は近赤外光吸収特性の担い手である。その量が0.5%未満では近赤外吸収が小さく、逆に13%を越えると耐失透性が悪化する。したがって、Cu2+の含有量は0.5〜13%が好ましく、0.5〜10%がより好ましく、0.5〜5%がさらに好ましく、1〜5%がより一層好ましい。
はガラスの融点を下げ、耐候性を向上させる重要なアニオン成分である。Fを含有することによって、ガラスの熔融温度を下げ、Cu2+の還元を抑え、所要の光学特性を得ることができる。17%未満では耐候性が悪化し、逆に80%を越えるとO2−の含有量が減少するため1価のCuによる400nm付近の着色を生じる。従ってFの含有量を17〜80%とすることが好ましい。上記特性を一層向上させる上から、Fの量を25〜55%にすることがより好ましく、30〜50%にすることがさらに好ましい。
2−は重要なアニオン成分であり、全アニオン成分のFを除く残部全量をO2−成分で構成することが好ましい。したがって、O2−の好ましい量は上記Fの好ましい量を100%から差し引いた範囲となる。O2−が少な過ぎると2価のCu2+が還元され1価のCuとなるため短波長域、特に400nm付近の吸収が大きくなってしまい、緑色を呈するようになる。逆に過剰になるとガラスの粘度が高く、熔融温度が高くなるため透過率が悪化する。
なお、Pb、Asは有害性が強いから、使用しないことが望ましい。
上記Cu含有ガラスの好ましい透過率特性は以下のとおりである。
波長500〜700nmの分光透過率において透過率50%を示す波長が615nmである厚さに換算し、波長400〜1200nmの分光透過率が下記のような特性を示すものである。
波長400nmにおいて78%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上、より一層好ましくは85%以上、
波長500nmにおいて85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、
波長600nmにおいて51%以上が好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは56%以上、
波長700nmにおいて12%以下が好ましく、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは10%以下、
波長800nmにおいて5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2.5%以下、一層好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長900nmにおいて5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2.5%以下、一層好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長1000nmにおいて7%以下が好ましく、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5.5%以下、一層好ましくは5%以下、より一層好ましくは4.8%以下、
波長1100nmにおいて12%以下が好ましく、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは10.5%以下、一層好ましくは10%以下、
波長1200nmにおいて23%以下が好ましく、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは21%以下、一層好ましくは20%以下である。
即ち、波長700〜1200nmの近赤外線の吸収は大きく、波長400〜600nmの可視光線の吸収は小さい。ここで、透過率とは互いに平行かつ光学研磨した2つの平面を有するガラス試料を想定し、前記平面の一方に垂直に光を入射したとき、前記平面の他方から出射した光の強度を、前記入射光の試料入射前における強度で割った値であり、外部透過率とも呼ばれる。
このような特性によりCCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正を良好に行うことができる。
この他、フツホウ酸ガラス、フツケイ酸ガラス、フツホウケイ酸ガラスにも本発明を適用することができる。
[光学素子の製造方法]
次に、本発明の光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法は、ガラス製プリフォームを精密プレス成形して光学素子を作製する光学素子の製造方法において、上記のいずれかの精密プレス成形用プリフォームを使用することを特徴とする。
上記精密プレス成形はモールドオプティクス成形とも呼ばれ、当該技術分野において周知の方法である。光学素子において、光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面(レンズを例にとると非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する)というが、精密プレス成形によればプレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形によって光学機能面を形成することができ、光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。
したがって、本発明の光学素子の製造方法は、レンズ、レンズアレイ、回折格子、プリズムなどの光学素子の製造に好適であり、特に非球面レンズを高い生産性のもとに製造する方法として適している。
本発明において使用するプリフォームでは、プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率または表面自由エネルギーが異なる値を有する。光線反射率が他方の面に比べて大きい面、すなわち表面自由エネルギーが他方の面に比べて小さい面は、表面近傍の層においてフッ素濃度が他方の面およびプリフォーム内部に比べて低くなっている。そのため、フッ素濃度が低い面のほうが他方の面よりも型成形面との潤滑性に優れる。プリフォームのフッ素濃度が低い面をフッ素低濃度面と呼ぶことにすると、精密プレス成形に用いる一対の対向型、例えば上型と下型のうち、型成形面の面積がより大きい方にフッ素低濃度面が面するようにプリフォームを成形型内に導入することが望ましい。一対の対向型でプリフォームは加圧されるが、一方に比べて面積が大きい型成形面のほうが、他方に比べてガラスが型成形面に沿って大きく伸ばす必要がある。そこで、フッ素低濃度面を面積の大きい型成形面に面するように配置することで、ガラスを大きく伸ばしやすくすることができる。
本発明の光学素子の製造方法は、特にレンズ面の面積比が1〜2倍のレンズの製造に好適であり、1.2〜1.8倍のレンズの製造により好適である。本発明の光学素子の製造方法によれば、プレス成形温度を低く維持しつつ、良好な面精度を有するフッ素成分含有の酸化物ガラス製光学素子を生産することができる。
精密プレス成形に使用するプレス成形型としては公知のもの、例えば炭化珪素、ジルコニア、アルミナなどの耐熱性セラミックスの型材の成形面に離型膜を設けたものを使用することができるが、中でも炭化珪素製のプレス成形型が好ましい。
精密プレス成形では、プレス成形型の成形面を良好な状態に保つため成形時の雰囲気を非酸化性ガスにすることが望ましい。非酸化性ガスとしては窒素、窒素と水素の混合ガスなどが好ましい。
次に本発明の光学素子の製造方法で用いられる精密プレス成形の態様として、以下に示す精密プレス成形1と2の2つの態様を示すことができる。
<精密プレス成形1>
精密プレス成形1は、プレス成形型に前記プリフォームを導入し、前記プレス成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するものである。
この精密プレス成形1において、プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。
また前記ガラスが、好ましくは1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好ましくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。
上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
<精密プレス成形2>
精密プレス成形方法2は、予熱したプレス成形型に、加熱したプリフォームを導入して精密プレス成形するものである。
この精密プレス成形2によれば、前記プリフォームをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度を有する光学素子を製造することができる。
なおプレス成形型の予熱温度は、プリフォームの予熱温度よりも低く設定することが好ましい。このようにプレス成形型の予熱温度を低くすることにより、プレス成形型の消耗を低減することができる。
精密プレス成形2において、前記プリフォームを構成するガラスが10dPa・s以下、より好ましくは10dPa・sの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。
また、前記プリフォームを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜10dPa・sの粘度を示す温度に予熱することがより好ましく、105.5dPa・s以上10dPa・s未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時又はプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なおプレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温するが、前記ガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。成形品がレンズなどの光学素子の場合には、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
Figure 0004265811
ガラスの原料として、各ガラス成分に相当するリン酸塩、フッ化物などを使用し、表1に示すNo.1、2の組成を有するガラスとなるように前記原料を秤量し、十分混合し調合原料とした。
上記調合原料を白金坩堝を使用し850℃で1時間熔解を行った後、急冷して粉砕したものをラフメルトカレットとして使用した。このラフメルトカレットを蓋により密閉された白金坩堝に10kg投入して900℃に加熱し、熔融した。次いで、白金坩堝中に十分な乾燥ガスを導入して乾燥雰囲気を保ちつつ1100℃、2時間かけて熔融ガラスを清澄した。乾燥ガスの種類としては、窒素などの不活性ガス、不活性ガスと酸素の混合ガス、酸素などを例示することができる。
清澄後、ガラスの温度を清澄時の温度よりも低い850℃まで下げた後、坩堝底部に接続したパイプからガラスを流出させた。なお、坩堝に導入したガスはフィルターを通して清浄化し、外部に排出した。上記各工程では、均質なガラスを得るために坩堝内のガラスを撹拌した。
得られた熔融ガラスを乾燥窒素雰囲気中でカーボン製金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、転移温度付近で1時間アニールし、アニール炉内で室温まで徐冷して、表1に示すNo.1、2の各光学ガラスを得た。
得られた各光学ガラスNo.1、2を顕微鏡によって拡大観察したところ、結晶の析出や原料の熔け残りは認められなかった。
得られた光学ガラスNo.1、2について、屈折率(n)、アッべ数(ν)、ガラス転移温度(Tg)を、以下のようにして測定した。測定結果を表1に示す。
(1)屈折率(n)及びアッべ数(ν
屈折率(n)及びアッべ数(ν)は徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
なお、屈折率nに関しては、上記条件で測定された光学ガラスNo.1、2の各屈折率の値をn (1)とし、No.1、2のガラスの再熔融、冷却後の屈折率n (2)を次のようにして測定した。
上記No.1、2のガラスそれぞれ30gを、2リットル/分の乾燥窒素ガスを導入した容量2リットルの石英ガラス製チャンバー内のグラッシーカーボン製坩堝に投入し、このチャンバーごと900℃に加熱し、その温度で1時間再熔融した。その後、チャンバー内でガラス転移温度付近まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で室温25℃まで冷却した。そして、このようにして得られたガラスNo.1、2の各屈折率n (2)を測定した。
光学ガラスNo.1、2についてn (2)−n (1)およびn (2)−n (1)の絶対値を表1〜表3に示す。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分にして測定した。
表1に示すように、光学ガラスNo.1、2のいずれも、所望の屈折率、アッベ数、ガラス転移温度を有し、優れた低温軟化性、熔解性を示し、光学ガラスとして好適なものであった。
また、n (2)−n (1)およびn (2)−n (1)の絶対値はいずれも0.00300より小さかった。
次に光学ガラスNo.1、2のガラスからなる各熔融ガラスを、ガラスが失透することなく、安定した流出が可能な温度域に温度調整された白金合金製のパイプから一定の流量で流出させ、支持体を用いて熔融ガラス流下端を支持した後、支持体を急降下してプリフォーム1個分の量に相当する熔融ガラス塊を分離した。次いで、得られた各熔融ガラス塊を多孔質材で作製した凹部を有する受け型に受け、多孔質材の背面に加圧した乾燥窒素ガスを供給し、多孔質材を通して凹部表面全体から乾燥窒素ガスを噴出してガラス塊を浮上しながら精密プレス成形用プリフォームに成形し、受け型から取り出して徐冷した。
熔融ガラス塊からプリフォームを成形し、受け型からプリフォームを取り出すまでガラス塊の上下面を反転させることなく成形を行った。
このようにして回転対称軸を1本有し、この対称軸の周りの任意の回転角に対して対称となる形状を有するプリフォームを得た。プリフォーム表面は外側に凸形状を有する。上記対称軸はプリフォーム表面と2点で交わるが、そのうちの一方の交点を含む面を第1の面、他方の交点を含む面を第2の面と呼ぶことにする。第1の面は受け型上での上面に相当し、第2の面は受け型上での下面に相当する。第1の面の曲率半径は第2の面の曲率半径より大きい、すなわち、第1の面は第2の面に比べて平たい形状になっている。
プリフォームを目視および光学顕微鏡で観察したところ、脈理、失透は認められなかった。また、プリフォーム表面は滑らかで傷は見られなかった。プリフォームを洗浄、乾燥した後、以下の測定を行った。
プリフォームの第1の面、第2の面の光線反射率をオリオンパス光学工業製のレンズ反射測定機(型式名 「USPM−RU」)を用いて、第1の面および第2の面の中心、すなわち前記2つの交点付近の反射率を測定した。使用した対物レンズは10倍、プリフォーム表面での測定光の直径を50μmとし、波長380〜780nmの範囲にわたり反射光の分光スペクトルを測定し、基準サンプル面の反射光の分光スペクトルから波長500nm、600nm、700nmの各波長におけるプリフォーム表面の反射率を算出した。その結果を表1に示す。
次に純水とCH(ジヨードメタン)を使用し、それぞれの液体を等量、プリフォームの第1の面、第2の面それぞれの中心、すなわち上記2つの交点付近に滴下し、接触角を測定し、前述の方法で第1の面、第2の面の表面自由エネルギーを測定した。
このようにして第1の面と第2の面の光線反射率が異なり、また前記2つの面の表面自由エネルギーも異なる精密プレス成形用プリフォームを得ることができた。
実施例2
実施例1で作製したNo.1、2のガラスからなるプリフォームを用いて精密プレス成形を行った。精密プレス成形型は非球面凸メニスカスレンズを成形するための型であり、上型、下型、胴型により構成される。各型材はSiC製であり、型成形面に炭素膜をコートしてある。上型成形面は凸形状、下型成形面は凹形状であり、上型成形面の面積は下型成形面の面積よりも大、すなわち、ガラスの上型成形面でプレス側の変形量ほうが、下型成形面でプレス側の変形量よりも大きい。
まずプリフォームを下型成形面の中央に第2の面が下になるように配置し、プリフォームと精密プレス成形型を一緒に加熱し、ガラスの粘度が10〜1010dPa・sを示す温度でプリフォームと型の温度を保持し、8MPaの圧力で30秒間プレスした。プレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型及び上型と接触させたままの状態で前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷してガラス成形品を成形型から取り出し非球面凸メニスカスレンズを得た。得られた非球面レンズは、それぞれガラスNo.1、2からなり、極めて高い面精度を有するものであり、レンズ表面にクモリや白濁は認められなかった。なお、上記一連の工程は窒素雰囲気中で行った。なお、得られたレンズの光学性能は所望の性能であった。
なお、上記例は精密プレス成形1によるレンズの作製であるが、精密プレス成形2を適用することもできる。この方法では、先ず、プリフォームを浮上しながら、プリフォームを構成するガラスの粘度が10dPa・sになる温度にプリフォームを予熱する。一方、精密プレス成形型を加熱して、前記プリフォームを構成するガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度にし、上記予熱したプリフォームを積密プレス成形型のキャビティ内に導入して、10MPaで精密プレス成形した。プレス開始とともにガラスとプレス成形型の冷却を開始し、成形されたガラスの粘度が1012dPa・s以上となるまで冷却した後、成形品を離型して非球面レンズを得た。得られた非球面凸メニスカスレンズは、極めて高い面精度を有するものであり、表面にクモリや白濁は認められなかった。
実施例3
次に実施例1で得たプリフォームを用いて非球面凹メニスカスレンズを成形した。使用した精密プレス成形型の構成は実施例2とほぼ同様のものであるが、上型成形面と下型成
形面の形状は異なる。この型では上型成形面の面積は下型成形面の面積よりも大である。
次にプリフォームの第2の面が下を向くように下型成形面の中央にプリフォームを配置し、プリフォームと精密プレス成形型を一緒に加熱し、ガラスの粘度が10〜1010dPa・sを示す温度でプリフォームと型の温度を保持し、8MPaの圧力で30秒間プレスした。プレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型及び上型と接触させたままの状態で前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷してガラス成形品を成形型から取り出し非球面凹メニスカスレンズを得た。得られた非球面レンズは、それぞれガラスNo.1、2からなり、極めて高い面精度を有するものであり、レンズ表面にクモリや白濁は認められなかった。なお、上記一連の工程は窒素雰囲気中で行った。なお、得られたレンズの光学性能は所望の性能であった。
なお、上記例は精密プレス成形1によるレンズの作製であるが、精密プレス成形2を適用することもできる。この方法では、先ず、プリフォームを浮上しながら、プリフォームを構成するガラスの粘度が10dPa・sになる温度にプリフォームを予熱する。一方、精密プレス成形型を加熱して、前記プリフォームを構成するガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度にし、上記予熱したプリフォームを積密プレス成形型のキャビティ内に導入して、10MPaで精密プレス成形した。プレス開始とともにガラスとプレス成形型の冷却を開始し、成形されたガラスの粘度が1012dPa・s以上となるまで冷却した後、成形品を離型して非球面レンズを得た。得られた非球面凹メニスカスレンズは、極めて高い面精度を有するものであり、表面にクモリや白濁は認められなかった。
上記各実施例では、プリフォームのガラス表面が露出した状態、すなわち、プリフォーム表面にコートを施さずに精密プレス成形した場合、プリフォーム表面にアセチレンの熱分解によるCVD法で炭素含有膜をコートして精密プレス成形した場合ともに良好な結果を得ることができる。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなるものであって、精密プレス成形によって、良好なレンズなどの光学素子を生産するのに好適に用いられる。
プリフォーム表面の光線反射率の測定原理を示す説明図である。
符号の説明
1 明るさ絞りAS
2 視野絞りFS−a
3 コリメータレンズ
4 ハーフミラー
5 対物レンズ
6 サンプル
7 結像レンズ
8 ハーフプリズム
9 接眼レンズ
10 視野絞りFS−b
11 2次元カットフィルタ
12 回折格子
13 ミラー
14 ラインセンサ
15 フレアー絞り照明用ランプ
16 回転ミラー

Claims (10)

  1. 2つの面の面積が異なるレンズを精密プレス成形により製造するためのプリフォームであって、
    プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率が異なる値を有するとともに、
    フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなること
    を特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。
  2. プリフォームの中心に対して互いに反対側を向く2つの面における光線反射率が異なる値を有するとともに、
    フッ素成分を含有する酸化物ガラスからなり、
    前記ガラスの屈折率の値をn (1) 、該ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率の値をn (2) としたとき、n (2) −n (1) の絶対値が0.00300以下であること
    を特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。
  3. 1つの回転対称軸と、前記対称軸と表面の2つの交点のうち一方の交点を含む第1の曲面と、前記交点のうち他方の交点を含む第2の曲面を有し、第1の曲面における光線反射率と第2の曲面における光線反射率が異なる値を示す請求項1または2に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  4. 前記2つの面における表面自由エネルギーが異なる値を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  5. 第1の曲面の曲率半径と第2の曲面の曲率半径が異なる請求項1〜4のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  6. 全表面が熔融ガラスを冷却、固化して形成されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  7. 熔融ガラスから精密プレス成形に供するためのガラス製のプリフォームを作製する精密プレス成形用プリフォームの製造方法において、
    前記ガラスの屈折率の値をn (1) 、該ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率の値をn (2) としたとき、n (2) −n (1) の絶対値が、0.00300以下となるように、予め揮発性低減操作を行った熔融ガラスをパイプから流出し、
    パイプから流出する熔融ガラス流の下端を含む熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を成形型の凹部上で該凹部に設けたガス噴出口からガスを噴出させて風圧を加えて浮上させながら上下反転することなくプリフォームに成形すること、
    および前記ガラスがフッ素成分を含有する酸化物ガラスであること、
    を特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  8. 熔融雰囲気に乾燥状態の不活性ガスを流して、フッ素成分含有の酸化物ガラスを熔融することにより熔融ガラスの揮発性を低下させる請求項7に記載の精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  9. ガラス製プリフォームを精密プレス成形して光学素子を作製する光学素子の製造方法において、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム、または、請求項7または8に記載の方法により作製した精密プレス成形用プリフォームを使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
  10. 非球面凸メニスカスレンズまたは非球面凹メニスカスレンズを成形する請求項9に記載の光学素子の製造方法。
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