JP4265809B2 - 用紙剥離爪 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置における定着装置の用紙剥離爪に関する。
この種の定着装置では、一対の定着ローラ間のニップ域に記録用紙を挟み込んで搬送しつつ、各定着ローラにより記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上のトナーを加熱溶融して定着させる。
ところが、この様な定着処理により記録用紙上のトナー全てが溶融固着するわけではなく、定着ローラの表面温度が高いことから、若干量のトナーが定着ローラ側に転移して付着する。このため、通常は、定着ローラの残留トナーを除去するクリーニング装置を設けている。
従来のクリーニング装置は、ブレードクリーニング、フェルトクリーニング等により定着ローラの残留トナーを除去するというものであったが、その様な手法で定着ローラの残留トナーを除去しても、ブレードやフェルトに一旦付着したトナーが定着ローラに戻ってしまうことがある。
そこで、ウェブクリーニング手法が提案されている。このウェブクリーニング手法では、薄い布からなるウェブシートを送り出しローラに巻き付けて、このウェブシートの一端を巻き取りローラに接続しておき、ウェブシートを送り出しローラから送り出して巻き取りローラに巻き取り、この送り出し及び巻き取りの途中でウェブシートを定着ローラに接触させて、定着ローラの付着物を除去する。
一方、記録用紙がニップ域を通過した後で定着ローラに巻き付いたまま離れないことがある。このため、図5に示す様に定着ローラ101表面に剥離爪102を設け、この剥離爪102により記録用紙の先端を定着ローラ101表面から剥がしている。剥離爪102は、その先端が鋭角にされており、剥離爪102の先端が記録用紙の先端と定着ローラ101表面との間に入り込み易いようにしている。
また、図5においては定着ローラ101表面に対峙する剥離爪102の面を平坦にしているが、この面を該定着ローラ102表面に沿うような凹形状とし、これにより定着ローラ102表面に対して剥離爪102を更に近接配置し、剥離爪102の先端が記録用紙の先端と定着ローラ101表面との間に入り込み易いようにすることもある。
しかしながら、この様な剥離爪は、各定着ローラ間のニップ域近傍に設ける必要があり、その配置位置が定着ローラの回転方向におけるクリーニング装置よりも上流側となる。このため、定着ローラの残留トナーが除去される前に剥離爪に付着することとなり、多くのトナーが剥離爪に付着する。
この様な剥離爪に付着堆積したトナーは、該用紙剥離爪がニップ域を通過して来た記録用紙の先端に接触したときに、記録用紙の先端に付着して、記録用紙の先端を汚してしまう。
また、剥離爪に付着堆積したトナー塊は、大きくなってから、定着ローラ表面に落下して付着することがある。この定着ローラ表面の大きなトナー塊は、クリーニング装置によっても一度では除去し切れず、定着ローラ表面に沿って設けられた温度検出用のサーミスタ等の周辺部品に引っ掛かって、周辺部品の破損の原因になることがある。
このため、特許文献1では、剥離爪にヒーターを設けて、剥離爪を加熱し、剥離爪にトナーが付着しても、このトナーを直ちに加熱溶融して、定着ローラ表面に戻している。これにより、記録用紙の先端が汚れたり、定着ローラ表面に大きなトナー塊が付着して、周辺部品の破損を招くことがなくなる。
特開2003−156967号公報
しかしながら、上記特許文献1の様にヒーターにより剥離爪を加熱する場合は、剥離爪の温度検出用のセンサーを設けて、剥離爪の温度を制御する必要があり、部品点数の増加並びに制御の複雑化を避けることができなかった。
また、画像形成装置の高速化に伴い、定着装置による記録用紙の処理枚数が増加して、定着ローラの熱量が増大し、その消費電力が商用交流電力の定格近くまで増大して来ているので、剥離爪のヒーターのために更なる熱量の増大を招くのは好ましくなかった。
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、剥離爪にヒーターを設けることなく、剥離爪に付着したトナーを除去することが可能な用紙剥離爪を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、記録用紙を挟み込んで搬送して、該記録用紙上のトナーを定着させる各定着ローラの少なくとも一方の表面近傍に、該記録用紙を剥離するために配置された用紙剥離爪において、前記用紙剥離爪は、前記定着ローラ表面に対峙して開いた空洞部と、この空洞部から定着ローラ表面に対峙しない該用紙剥離爪の反対面へと貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔の長さを、前記定着ローラから前記用紙剥離爪に転移した溶融状態にあるトナーが前記空洞部に入り込んでから前記貫通孔を通じて該用紙剥離爪の反対面に押し出されたときに、その押し出されたトナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定している
更に、本発明においては、前記空洞部は、前記定着ローラ表面に接する前記用紙剥離爪部位に設けられている。
また、本発明においては、前記用紙剥離爪の貫通孔は、該用紙剥離爪が前記定着ローラ表面近傍に配置された状態で下方に傾斜している。
更に、本発明においては、前記貫通孔は、複数である。
また、本発明においては、前記貫通孔の長さは、前記定着ローラ表面に付着した溶融状態のトナーが、前記用紙剥離爪の空洞部に入り込んで、該貫通孔を通じて該定着ローラ表面に対峙しない該用紙剥離爪の反対面に到達したときに、該トナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定されている。
更に、本発明においては、前記各定着ローラによる記録用紙上のトナーの定着に際しては、前記定着ローラ表面に対峙しない前記用紙剥離爪の反対面近傍の周辺温度がトナーの軟化温度近傍である。
また、本発明においては、前記定着ローラ表面に付着した溶融状態のトナーは、前記貫通孔を通じて該定着ローラ表面に対峙しない前記用紙剥離爪の反対面に到達すると、該用紙剥離爪の反対面で堆積し、該用紙剥離爪の反対面で堆積したトナーが自重により自然落下する。
この様な構成の本発明の用紙剥離爪は、定着ローラ表面に対峙して開いた空洞部を有している。このため、定着ローラ表面に付着しているトナーは、用紙剥離爪の空洞部に入り込むこととなり、記録用紙の先端に付着したり、定着ローラ表面に落下することがなくなる。
また、空洞部は、定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面に貫通する該用紙剥離爪の貫通孔と連通している。このため、用紙剥離爪の空洞部に入り込んだトナーは、該用紙剥離爪の貫通孔を通じて定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面へと押し出されて行き、除去される。
更に、空洞部は、定着ローラ表面に接する用紙剥離爪部位に設けられている。これにより、定着ローラ表面から用紙剥離爪へと転移するトナーを該用紙剥離爪の空洞部に確実に入れることができる。
また、用紙剥離爪の貫通孔は、該用紙剥離爪が定着ローラ表面近傍に配置された状態で下方に傾斜している。これにより、用紙剥離爪の空洞部のトナーがその自重により貫通孔を通じて速やかに押し出されて行く。
更に、複数の貫通孔を設ければ、各貫通孔を通じて、より多くのトナーが押し出されて行く。
また、貫通孔の長さは、溶融状態のトナーが貫通孔を通じて定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面に到達したときに、該トナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定されている。溶融状態のトナーが貫通孔を通じて押し出されて行く途中で、トナーの温度が徐々に低下して、トナーが固化して行く。仮に、貫通孔が長すぎると、貫通孔の途中でトナーが固化して、貫通孔が詰まる。このため、定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面に到達したトナーが溶融状態もしくは軟化状態であるような貫通孔の長さを設定している。
更に、各定着ローラによる記録用紙上のトナーの定着に際しては、定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面近傍の周辺温度がトナーの軟化温度近傍である。これにより、トナーが貫通孔を通じて押し出されるまで、トナーを溶融状態もしくは軟化状態に維持することができる。
また、定着ローラ表面に付着した溶融状態のトナーは、貫通孔を通じて該定着ローラ表面に対峙しない用紙剥離爪の反対面に到達すると、該用紙剥離爪の反対面で堆積し、該用紙剥離爪の反対面で堆積したトナーが自重により自然落下する。これにより、用紙剥離爪の格別な清掃等が必要でなくなる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の用紙剥離爪の一実施形態を適用した定着装置を備える画像形成装置を示す概略図である。画像形成装置100は、原稿用紙から読取られた画像データを取得したり、或いは、外部から受信した画像データを取得し、この画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に形成するものであり、その構成を大別すると、原稿用紙搬送部(ADF)101、画像読取り部102、印字部103、記録用紙搬送部104、及び給紙部105からなる。
原稿用紙搬送部101では、少なくとも1枚の原稿用紙が原稿セットトレイ11にセットされると、原稿用紙を1枚ずつ原稿セットトレイ11から引き出して搬送し、この原稿用紙を画像読取り部102の原稿読取り窓102aに導いて通過させ、この原稿用紙を排紙トレイ12に排出する。
原稿読取り窓102aの上方には、CIS(Contact Image Sensor)13を配設している。このCIS13は、原稿読取り窓102aを原稿用紙が通過する際に、原稿用紙裏面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿用紙裏面の画像を示す画像データを出力する。
また、画像読取り部102は、原稿用紙が原稿読取り窓102aを通過する際に、第1走査ユニット15のランプによって原稿用紙表面を露光し、第1及び第2走査ユニット15、16のミラーによって原稿用紙表面からの反射光を結像レンズ17へと導き、結像レンズ17によって原稿用紙表面の画像をCCD(Charge Coupled Device)18上に結像する。CCD18は、原稿用紙表面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿用紙表面の画像を示す画像データを出力する。
更に、原稿用紙が画像読取り部102上面のプラテンガラス上に置かれた場合は、第1及び第2走査ユニット15、16を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、第1走査ユニット15によってプラテンガラス上の原稿用紙表面を露光し、第1及び第2走査ユニット15、16によって原稿用紙表面からの反射光を結像レンズ17へと導き、結像レンズ17によって原稿用紙表面の画像をCCD18上に結像する。
CIS13もしくはCCD18から出力された画像データは、マイクロコンピュータ等の制御回路により各種の画像処理を施されてから、印刷部103に出力される。
印刷部103は、画像データによって示される原稿を用紙に記録するものであって、感光体ドラム21、帯電器22、光書込みユニット23、現像器24、転写ユニット25、クリーニングユニット26、及び定着装置27等を備えている。
感光体ドラム21は、一方向に回転しており、その表面をクリーニングユニット26によりクリーニングされてから、その表面を帯電器22により均一に帯電される。帯電器22は、チャージャー型のものであっても、感光体ドラム21に接触するローラ型やブラシ型のものであっても良い。
光書込みユニット23は、2つのレーザ照射部28a、28b、及び2つのミラー群29a、29bを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)である。この光書込みユニット23では、画像データを入力して、この画像データに応じたレーザ光を各レーザ照射部28a、28bからそれぞれ出射し、これらのレーザ光を各ミラー群29a、29b介して感光体ドラム21に照射して、均一に帯電された感光体ドラム21表面を露光し、感光体ドラム21表面に静電潜像を形成する。
この光書込みユニット23は、高速印字処理に対応するために2つのレーザ照射部28a、28bを備えた2ビーム方式を採用して、照射タイミングの高速化に伴う負担を軽減している。
尚、光書込ユニット23として、レーザスキャニングユニットの代わりに、発光素子をアレイ状に並べたEL書き込みヘッドやLED書き込みヘッドを用いることもできる。
現像器24は、トナーを感光体ドラム21表面に供給して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム21表面に形成する。転写ユニット25は、感光体ドラム21表面のトナー像を用紙搬送部104により搬送されてきた記録用紙に転写する。定着装置27は、記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上のトナー像を定着させる。この後、記録用紙は、用紙搬送部104により排紙トレイ47へと更に搬送されて排出される。また、クリーニングユニット26は、現像、転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去して回収する。
ここで、転写ユニット25は、転写ベルト31、駆動ローラ32、従動ローラ33、及び弾性導電性ローラ34等を備えており、転写ベルト31を該各ローラ32〜34と他のローラに張架して回転させている。転写ベルト31は、所定の抵抗値(例えば、1×109〜1×1013Ω/cm)を有しており、その表面に載せられた記録用紙を搬送する。弾性導電性ローラ34は、転写ベルト31を介して感光体ドラム21表面に押し付けられており、転写ベルト31上の記録用紙を感光体ドラム21表面に押し付ける。この弾性導電性ローラ34には、感光体ドラム21表面のトナー像の電荷とは逆極性の電界が印加されており、この逆極性の電界により感光体ドラム21表面のトナー像が転写ベルト31上の記録用紙に転写される。例えば、トナー像が(−)極性の電荷を有している場合は、弾性導電性ローラ34に印加されている電界の極性が(+)極性にされる。
定着装置27は、加熱ローラ35及び加圧ローラ36を備えている。加熱ローラ35に対して加圧ローラ36が所定圧で圧接されるように、加圧ローラ36の両端に図示しない加圧部材を配置している。加熱ローラ35と加圧ローラ36間の圧接域(ニップ域Nと称す)に記録用紙が搬送されて来ると、各ローラ35、36により記録用紙が搬送されつつ、記録用紙上の未定着トナー像が加熱溶融され加圧されて、トナー像が記録用紙上に定着される。
用紙搬送部104は、記録用紙を搬送するための複数対の搬送ローラ41、一対のレジストローラ42、搬送経路43、反転搬送経路44a、44b、複数の分岐爪45、及び一対の排紙ローラ46等を備えている。
搬送経路43では、記録用紙を給紙部105から受け取り、記録用紙の先端がレジストローラ42に達するまで該記録用紙を搬送する。このときレジストローラ42を一時的に停止させているので、記録用紙の先端がレジストローラ42に達して当接し、記録用紙が撓む。この撓んだ記録用紙の弾性力により該記録用紙の先端をレジストローラ42と平行に揃える。この後、レジストローラ42の回転を開始して、レジストローラ42により記録用紙を印字部103の転写ユニット25へと搬送し、更に排紙ローラ46により記録用紙を排紙トレイ47へと搬送する。
レジストローラ42の停止及び回転は、レジストローラ42と駆動軸間のクラッチをオンオフに切り替えたり、レジストローラ42の駆動源であるモータをオンオフに切り替えてなされる。
また、記録用紙の裏面にも画像を記録する場合は、各分岐爪45を選択的に切替え、記録用紙を搬送経路43から反転搬送経路44bへと導き入れて、記録用紙の搬送を一旦停止させ、更に各分岐爪45を選択的に再度切替え、記録用紙を反転搬送経路44bから反転搬送経路44aへと導き入れて、記録用紙の表裏を反転させてから、記録用紙を反転搬送経路44aを通じて搬送経路43のレジストローラ42へと戻す。
この様な記録用紙の搬送をスイッチバック搬送と称し、このスイッチバック搬送により記録用紙の表裏を反転させることができ、同時に記録用紙の先端及び後端も入れ替わる。従って、記録用紙が反転されて戻されると、記録用紙の後端がレジストローラ42に当接して、記録用紙の後端がレジストローラ42と平行に揃えられ、レジストローラ42により記録用紙がその後端から印字部103の転写ユニット25へと搬送されて、記録用紙の裏面に印字がなされ、定着装置27の各ローラ35、36間のニップ域により記録用紙裏面の未定着トナー像が加熱溶融され加圧されて、トナー像が記録用紙の裏面に定着され、この後に排紙ローラ46により記録用紙が排紙トレイ47へと搬送される。
搬送経路43及び反転搬送経路44a、44bにおいては、記録用紙の位置等を検出するセンサーを各所に配置し、各センサーにより検出された記録用紙の位置に基づいて搬送ローラやレジストローラを駆動制御して、記録用紙の搬送及び位置決めを行っている。
給紙部105は、複数の給紙トレイ51を備えている。各給紙トレイ51は、記録用紙を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の下方に設けられている。また、各給紙トレイ51は、記録用紙を一枚ずつ引き出すためのピックアップローラ等を備えており、引き出した記録用紙を用紙搬送部104の搬送経路43へと送り出す。
画像形成装置100は、高速印字処理を目的としているため、各給紙トレイ51には、定型サイズの記録用紙を500〜1500枚収納可能な容積を確保している。
また、画像形成装置100の側面には、複数種の記録用紙を多量に収納可能な大容量給紙カセット(LCC)52、及び主として不定型サイズの記録用紙を供給するための手差しトレイ53を設けている。
排紙トレイ47は、手差しトレイ53とは反対側の側面に配置されている。この排紙トレイ47に代えて、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等々)や、複数段の排紙トレイをオプションとして配置することも可能な構成となっている。
この様な画像形成装置100においては、印字処理速度を高速化して、使い勝手を向上させている。例えば、A4定型の記録用紙を用いる場合は、記録用紙の搬送速度を70枚/分(プロセス速度350mm/sec)に設定している。
定着装置27においては、記録用紙の搬送速度もしくはプロセス速度が高速になると、加熱ローラ35及び加圧ローラ36間のニップ域を通過する記録用紙に十分な熱量を与えることができなくなったり、各ローラ35、36の表面温度が低下する傾向にあり、これを放置しておくと、記録用紙上のトナー像の定着不良が発生する。
このため、定着装置27では、各ローラ35、36のいずれにもヒータを内蔵して、各ローラ35、36を加熱している。また、加熱ローラ35をその外部から加熱するための外部加熱ユニット48を設け、この外部加熱ユニット48によって加熱ローラ35を直接加熱し、各ローラ35、36間の熱伝導により加圧ローラ36も間接的に加熱し、各ローラ35、36の表面温度の低下を抑え、それらの表面温度を規定の定着温度に維持している。
図2は、定着装置27を側方から見て概略的に示す断面図である。この定着装置27では、加熱ローラ35、加圧ローラ36、加熱ローラ35を外部から加熱する外部加熱ユニット48、加熱ローラ35表面の付着トナーを除去するクリーニング装置49、及び各ローラ35、36の表面に設けられたそれぞれの剥離爪71、72を備えている。
各ローラ35、36は、所定の押圧力(例えば600N)で互いに圧接されており、それらの間にニップ域Nを形成している。このニップ域Nの長さ(各ローラ35、36の回転方向に沿った長さ)は、例えば9mmに設定されている。各ローラ35、36は、規定の定着温度(例えば180℃)に加熱されながら回転し、ニップ域Nを通過する記録用紙P上のトナー像を加熱溶融する。
加熱ローラ35は、芯金の外表面に弾性層を設け、この弾性層の外表面に離型層を形成してなる3層構造のローラである。芯金には、例えば鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属或いはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層にはシリコンゴムが用いられ、離型層にはPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が用いられる。
加熱ローラ35内部(芯金の内部)には、該ローラ35を加熱する熱源のヒータランプ(ハロゲンランプ)43が設けられている。
加圧ローラ36も、加熱ローラ35と同様に、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属或いはそれらの合金等よりなる芯金、この芯金表面のシリコンゴム等の弾性層、更にその上のPFAやPTFE等の離型層からなる3層構造のローラである。
また、加圧ローラ36内部(芯金の内部)にも、該ローラ36を加熱するヒータランプ44が設けられている。
各ローラ35、36のヒータランプ43、44は、オンオフ制御され、オンのときに赤外線を放射して、それぞれのローラ35、36を加熱する。各ローラ35、36は、それらの内部から加熱され、それらの表面を均一に加熱される。
外部加熱ユニット48は、無端状加熱ベルト51と、一対の外部加熱ローラ52、53とを備えている。無端状加熱ベルト51は、各外部加熱ローラ52、53間に張架されている。
無端状加熱ベルト51は、ポリイミド等の耐熱樹脂或いはステンレスやニッケル等の金属材料からなる中空円筒状の基材の表面に、耐熱性及び離型性に優れた合成樹脂材料(例えばPFAやPTFE等のフッ素樹脂)からなる離型層を形成した2層構成のベルトである。無端状加熱ベルト51の寄り力を低減するために、ベルト基材の内表面にフッ素樹脂等のコーティングを施してもよい。
外部加熱ローラ52、53は、アルミニウムや鉄系材料等からなる中空円筒状の金属製芯材である。無端状加熱ベルト51の寄り力を低減するために、金属製芯材の表面にフッ素樹脂等のコーティングを施してもよい。
また、各外部加熱ローラ52、53内部には、該各ローラ52、53を加熱するそれぞれのヒータランプ54、55が設けられている。各ヒータランプ54、55は、オンオフ制御され、オンのときに赤外線を放射して、それぞれのローラ52、53を加熱する。各ローラ52、53は、それらの内部から加熱され、それらの表面を均一に加熱される。そして、各ローラ52表面から無端状加熱ベルト51へと熱伝導がなされ、各ローラ52、53と共に無端状加熱ベルト51が回転すると、無端状加熱ベルト51全体が均一に加熱される。
加熱ローラ35の表面近傍には、サーミスタ56が配置されており、このサーミスタ56により加熱ローラ35の表面温度が検出される。
ここで、加熱ローラ35は、その軸をモータ及び動力伝達機構等(図示せず)により回転駆動されて、矢印Dで示す方向に回転される。加圧ローラ36は、加熱ローラ35に圧接されていることから矢印Eで示す方向に従動回転する。また、外部加熱ユニット48の無端状加熱ベルト51は、加熱ローラ35に接触しているときには矢印Fで示す方向に従動回転する。これにより、加熱ローラ35、加圧ローラ36、及び無端状加熱ベルト51が相互に同期回転する。
また、サーミスタ56により検出された加熱ローラ35の表面温度に基づいて、加熱ローラ35及び加圧ローラ36のヒータランプ43、44、各外部加熱ローラ52、53のヒータランプ54、55をオンオフ制御し、加熱ローラ35及び加圧ローラ36の表面温度、無端状加熱ベルト51の表面温度を調節する。これにより、各ローラの表面温度が適確に制御されて、記録用紙のトナー像を確実に定着することが可能になる。
一方、印字処理枚数が多くなると、加熱ローラ35に付着する残留トナー量の総量も多くなり、ブレードクリーニング、フェルトクリーニング等により加熱ローラ35の残留トナーを確実に除去することができなくなる。このため、クリーニング装置49を適用している。
このクリーニング装置49は、オイル(シリコンオイル)を含侵した薄い(100μm厚み前後)布からなるウェブシート61を巻き付けた送り出しローラ62と、このウェブシート61の先端を接続した巻き取りローラ63と、送り出しローラ62から巻き取りローラ63へと到るウェブシート61の搬送経路で該ウェブシート61にテンションを付与する複数のテンションローラ64と、送り出しローラ62と巻き取りローラ63間でウェブシート61を加熱ローラ35に圧接させる圧接ローラ65とを備えており、圧接ローラ65によりウェブシート61を加熱ローラ35表面に圧接して、加熱ローラ35表面に付着している残留トナーを拭きとり除去する。
ウェブシート61は、圧接ローラ65と加熱ローラ35間のニップ域で、圧接ローラ65により加熱ローラ35表面に圧接される。ニップ域のウェブシート61部分が加熱ローラ61表面の残留トナーで汚れて、このウェブシート61部分により残留トナーの除去が困難になったときには、送り出しローラ62及び巻き取りローラ63を一定量だけ回転させて、送り出しローラ62から巻き取りローラ63へとウェブシート61を一定量だけ送り出し、ニップ域のウェブシート61部分を新しくして、この新しいウェブシート61部分による残留トナーの除去を可能にする。
また、トナーを一定量だけ消費する度に、ニップ域のウェブシート61部分による残留トナーの除去が困難になったとみなして、送り出しローラ62及び巻き取りローラ63を一定量だけ回転させて、ニップ域のウェブシート61部分を新しくしている。従って、送り出しローラ62及び巻き取りローラ63は、間欠的に回転駆動される。
尚、加圧ローラ36表面にもトナーが付着するが、この加圧ローラ36表面のトナーは、ニップ域Nで加熱ローラ35表面に転移してから、クリーニング装置49により除去されることになる。
次に、各剥離爪71、72は、それぞれのローラ35、36の回転方向におけるニップ域Nよりも下流側に配置されている。これらの剥離爪71、72の根元付近が揺動自在もしくは弾性的に支持され、各剥離爪71、72の先端側が弾性部材によりそれぞれのローラ35、36側に付勢されて、各剥離爪71、72の先端近傍がそれぞれのローラ35、36表面に軽く圧接されている。記録用紙が各ローラ35、36のいずれかに巻き付いたときには、記録用紙の先端が各剥離爪71、72のいずれかの先端により剥離されて、記録用紙がローラ表面から剥がされる。これにより、記録用紙のジャムが防止される。
ところが、剥離爪71は、加熱ローラ35の回転方向におけるクリーニング装置49よりも上流側に設けられているので、クリーニング装置49により加熱ローラ35表面のトナーが除去される前に、加熱ローラ35表面のトナーの一部が剥離爪71に付着する。また、加圧ローラ36表面のトナーの一部も、剥離爪72に付着する。
この様な各剥離爪71、72に付着したトナーを放置しておくと、各剥離爪71、72のトナー付着量が多くなり、各剥離爪71、72がニップ域Nを通過して来た記録用紙の先端に接触したときに、各剥離爪71、72のトナーが記録用紙の先端に転移して、記録用紙の先端が汚れたり、あるいは各剥離爪71、72に付着堆積したトナー塊が加熱ローラ35や加圧ローラ36の表面に落下して付着し、記録用紙を汚したり、ローラ表面に沿って設けられたサーミスタ56等の周辺部品の破損の原因になる。
そこで、本実施形態では、図3に示す様に各剥離爪71、72に該各ローラ35、36表面に対峙して開いた空洞部73を形成し、更に各剥離爪71、72に空洞部73から該各剥離爪71、72の背面71b、72bへと貫通する複数の貫通孔74を形成している。
図4に示す様に剥離爪72を加圧ローラ36表面に沿って配置したときに各貫通孔74が下方に傾斜する様に、剥離爪72の正面72aに対する該各貫通孔74の傾斜角α(図3に示す)を設定している。同様に、剥離爪71を加熱ローラ35表面に沿って配置したときにも、各貫通孔74が下方に傾斜するようにしている。
この様な各剥離爪71、72を設けた場合は、各ローラ35、36表面に付着しているトナーが各剥離爪71、72の正面71a、72a側に転移すると、このトナーが各剥離爪71、72の空洞部73に入り込んで保持されることになる。従って、トナーが各剥離爪71、72外側に付着することは殆どなく、トナーが各剥離爪71、72から記録用紙の先端へと転移して付着することはなく、記録用紙が汚れることもない。また、各剥離爪71、72の空洞部73に保持されたトナーが各ローラ35、36表面に落下することもない。
また、各剥離爪71、72の空洞部73に入り込んだトナーは、各貫通孔74を通じて、各ローラ35、36表面に対峙しない各剥離爪71、72の背面71b、72bへと押し出されて行く。これにより、各剥離爪71、72の空洞部73に入り込んだトナーが順次除去されて行く。
更に、先に述べた様に各剥離爪71、72の各貫通孔74は、各剥離爪71、72が各ローラ35、36表面に配置された状態で下方に傾斜している。このため、各剥離爪71、72の空洞部73のトナーがその自重により各貫通孔74を通じて速やかに押し出されて行く。
また、各貫通孔74の長さは、溶融状態のトナーが該各貫通孔74を通じて各剥離爪71、72の背面71b、71bに到達したときに、該トナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定されている。ここで、溶融状態のトナーが各貫通孔74を通じて押し出されて行く過程では、トナーの温度が徐々に低下して、トナーが固化して行く。仮に、各貫通孔74が長すぎると、各貫通孔74の途中でトナーが固化して、各貫通孔74が詰まる。そこで、各貫通孔74を適宜に短く設定して、各貫通孔74の途中ではトナーが固化せず、各剥離爪71、72の背面71b、71bに到達したトナーが溶融状態もしくは軟化状態であるようにしている。
更に、各ローラ35、36による記録用紙上のトナーの定着に際しては、各剥離爪71、72の背面71b、71b近傍の周辺温度がトナーの軟化温度近傍に設定されている。例えば、画像形成装置100の換気ファンによる換気風量や換気経路を適宜に設定して、各剥離爪71、72の背面71b、71b近傍の周辺温度を調節することができる。これにより、トナーが各貫通孔74を通じて押し出されるまで、トナーを溶融状態もしくは軟化状態に維持することができる。
また、各剥離爪71、72の背面71b、71bでは、各貫通孔74を通じて押し出されて来たトナーが付着堆積して、トナー隗となると、このトナー隗がその自重により自然落下するようにされている。例えば、各剥離爪71、72の背面71b、71bを滑らかな面にして、トナー隗が自然落下し易いようにしている。これにより、各剥離爪71、72の格別な清掃等が必要でなくなる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、加圧ローラ36側にも、該加圧ローラ36表面のトナーを除去するクリーニング装置を設けても良い。また、加圧ローラ36のヒータランプ44を省略しても良い。この場合は、加圧ローラ36の剥離爪72の温度が低くなる傾向にあって、加圧ローラ36表面のトナーが剥離爪72に転移し固まって固着し易くなるので、本発明の適用が非常に好ましい。
本発明の定着装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す概略図である。 本実施形態の定着装置を側方から見て概略的に示す断面図である。 図2の定着装置における剥離爪を示す側面図である。 図3の剥離爪を加圧ローラ表面に配置した状態を示す側面図である。 従来の剥離爪を示す側面図である。
符号の説明
21 感光体ドラム
22 帯電器
23 光書込みユニット
24 現像器
25 転写ユニット
26 クリーニングユニット
27 定着ユニット
35 加熱ローラ
36 加圧ローラ
37 剥離爪
41 搬送ローラ
42 レジストローラ
49 クリーニング装置
61 ピックアップローラ
71、72 剥離爪
100 画像形成装置
101 原稿用紙搬送部
102 画像読取り部
103 印字部
104 記録用紙搬送部
105 給紙部

Claims (7)

  1. 記録用紙を挟み込んで搬送して、該記録用紙上のトナーを定着させる各定着ローラの少なくとも一方の表面近傍に、該記録用紙を剥離するために配置された用紙剥離爪において、
    前記用紙剥離爪は、前記定着ローラ表面に対峙して開いた空洞部と、この空洞部から定着ローラ表面に対峙しない該用紙剥離爪の反対面へと貫通する貫通孔とを有し、
    前記貫通孔の長さは、前記定着ローラから前記用紙剥離爪に転移した溶融状態にあるトナーが前記空洞部に入り込んでから前記貫通孔を通じて該用紙剥離爪の反対面に押し出されたときに、その押し出されたトナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定されていることを特徴とする用紙剥離爪。
  2. 前記空洞部は、前記定着ローラ表面に接する前記用紙剥離爪部位に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
  3. 前記用紙剥離爪の貫通孔は、該用紙剥離爪が前記定着ローラ表面近傍に配置された状態で下方に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
  4. 前記貫通孔は、複数であることを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
  5. 前記貫通孔の長さは、前記定着ローラ表面に付着した溶融状態のトナーが、前記用紙剥離爪の空洞部に入り込んで、該貫通孔を通じて該定着ローラ表面に対峙しない該用紙剥離爪の反対面に到達したときに、該トナーが溶融状態もしくは軟化状態であるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
  6. 前記各定着ローラによる記録用紙上のトナーの定着に際しては、前記定着ローラ表面に対峙しない前記用紙剥離爪の反対面近傍の周辺温度がトナーの軟化温度近傍であることを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
  7. 前記定着ローラ表面に付着した溶融状態のトナーは、前記貫通孔を通じて該定着ローラ表面に対峙しない前記用紙剥離爪の反対面に到達すると、該用紙剥離爪の反対面で堆積し、該用紙剥離爪の反対面で堆積したトナーが自重により自然落下することを特徴とする請求項1に記載の用紙剥離爪。
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