JP4265724B2 - 光学記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報をレーザなどによる熱的情報パターンとして付与することにより記録する光学記録媒体に使用される光学記録材料に関し、詳しくは、可視及び近赤外領域の波長を有し、かつ低エネルギーのレーザなどにより高密度の光学記録及び再生が可能な光学記録媒体に使用される光学記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
光学記録媒体は、一般に記憶容量が大きく、記録又は再生が非接触で行われるなど、優れた特徴を有することから広く普及している。WORM、CD−R、DVD−Rなどの追記型の光ディスクでは記録層の微少面積にレーザを集光させ、記録層の性状を変えて記録し、未記録部分との反射光量の違いによって再生を行っている。
【0003】
光ディスクに代表される光学記録媒体の記録層には、記録層を形成するのが容易なので、有機系の色素が使用されており、特にシアニン系の化合物が感度が高く、高速化に対応できることから検討されている。
【0004】
現在、上記の光ディスクにおいては、記録及び再生に用いる半導体レーザの波長を短くし、高密度記録を行うことのできるものが開発されている。これに使用される半導体レーザの波長は、例えば、DVD−Rの規格では、635nm、650nm、660nmである。
【0005】
記録層は、書き込みレーザ光に対し充分な感度を有し、読み出しレーザ光に対しては充分な記録安定性を有することが必要である。DVD−Rに代表される光ディスクは、書き込みと読み出しレーザの波長は同じであるか又は近いものであり、その出力の大きさを変えることで書き込み、読み出しを行っている。記録層は、これらの波長に対して吸収が小さいと充分な記録感度を得ることができず、吸収が大きいと記録安定性が低下するので、適切な吸収強度を有することが必要である。
【0006】
これらの光ディスクに対応したシアニン系の化合物は、例えば、特開昭59−55795号公報などに記載されている。しかし、これらのシアニン系の化合物の吸収波長は、短波長側にずれており、DVD−Rの規格に対し合致しているとは言えなかった。
【0007】
上記の問題に対し、シアニン化合物にニトロ基を導入することで、記録層の吸収を長波長にシフトさせる方法が、特開平11−53761号公報、特開2000−33775号公報、特開2000−108510号公報などに報告されているが、未だ満足できるものではない。
【0008】
従って、本発明の目的は、DVD−Rの規格に合致したシアニン化合物からなる光学記録材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、特定の構造のシアニン化合物を用いた光学記録材料のUV吸収スペクトルが特異的に長波長側にシフトし、DVD−Rの規格に対する適正な吸収を与えることを知見し、本発明に到達した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物(A)及び下記一般式( II )で表されるシアニン化合物(B)を含有してなり、シアニン化合物(A)とシアニン化合物(B)とのモル比が、シアニン化合物(A)1に対しシアニン化合物(B)0.1〜50であることを特徴とする光学記録材料及び基体上に該記録材料からなる薄膜を形成したことを特徴とする光学記録媒体に関する。
【0011】
【化3】
(式中、R及びR’は、メチル基又はエチル基を表し、Anm-は、m価のアニオンを表し、mは、1又は2の整数を表し、pは、電荷を中性に保つ係数を表す。)
【化4】
(式中、R 1 及びR 2 は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、環A及び環A’は、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、X及びX’は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、プロパン−2,2−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、炭素数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイル、を表し、Y及びY’は、炭素数2〜30の有機基を表し、An n- は、n価のアニオンを表し、nは、1又は2の整数を表し、qは、電荷を中性に保つ係数を表し、r及びr’は0〜2の整数を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明に係る上記の一般式(I)で表されるシアニン化合物(A)は、下記表1に示す通り、類似の化合物に比較して、これを含有する薄膜(塗膜)に長波長側にシフトした吸収スペクトルを与えるものである。
【0014】
【表1】
【0015】
上記のシアニン化合物(A)は、後記の実施例1に記載した様に、他のシアニン化合物(B)からなる光学記録材料のピークを長波長側にシフトさせることができ、かつそのシフトを調整して光学記録材料に対して適正な吸収を与える効果を有する化合物である。
【0016】
上記一般式(I )において、Anm-で表されるアニオンとしては、例えば、一価のものとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオンなどのハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオンなどの無機系アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンなどの有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオンなどの有機リン酸系アニオンなどが挙げられ、二価のものとしては例えば、ベンゼンジスルホン酸アニオン、ナフタレンジスルホン酸アニオンなどが挙げられる。また、金属錯体化合物であるクエンチャーアニオンも必要に応じて用いることができる。
【0017】
上記のクエンチャーアニオンとしては、特開昭60−234892号公報に記載されたようなアニオンが挙げられる。例えば、下記の一般式(1)及び(2)で表されるアニオンが挙げられる。
【0018】
【化4】
(式中、R3 及びR4 は、各々独立にアルキル基又はハロゲン原子を表し、a及びbは各々0〜3を表す。また、R5 、R6 、R7 及びR8 は各々独立にアルキル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はハロゲン化フェニル基を表す。)
【0021】
一般式(II)において、R1 及びR2 で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシが挙げられ、X及びX’で表される炭素数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイルとしては、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、2,4−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、3−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイルが挙げられ、Y及びY’で表される炭素数2〜30の有機基としては、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシルなどのアルキル基、ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、1−フェニルプロペン−3−イルなどのアルケニル基、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニルなどのアルキルアリール基、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミルなどのアリールアルキル基など、それがエーテル結合、チオエーテル結合で中断されたもの、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−フェノキシエチル、3−フェノキシプロピル、2−メチルチオエチル、2−フェニルチオエチルが挙げられ、更にこれらの基は、アルコキシ基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子などで置換されていてもよく、Ann-で表されるアニオンとしては、上記の一般式(I)におけるAnm-で表されるアニオンと同様のものが挙げられる。
【0022】
上記一般式(II)で表される好ましいシアニン化合物(B)の具体例としては、以下に示すものが挙げられる。なお、以下の例示では、アニオンを省いたシアニン色素カチオンで示している。
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
上記一般式(II)で表されるシアニン化合物(B)においては、環A及び環A’がベンゼン環であり、r及びr’が1であるものが、特に一般式(I)で表されるシアニン化合物(A)の添加効果が顕著に現れ、DVD−R規格の光学記録材料として吸収波長が適正化されるので好ましい。
【0030】
シアニン化合物(A)のみからなる薄膜は、水分を吸収又は吸着し易いので、これから得られる光学記録媒体は、耐湿性が不充分になる。シアニン化合物(A)とシアニン化合物(B)とのモル比は、シアニン化合物(A)1に対し、シアニン化合物(B)0.1〜50である。
【0031】
例えば、上記のモル比において、シアニン化合物(B)が一般式(II)で表される化合物である場合に、DVD−R規格に適合する吸収を与える範囲は、1〜50である。
【0032】
上記の本発明に係る上記一般式(I)、(II)で表される化合物は、その製造法によって制限を受けることなく、従来周知の方法に準じて製造することができ、例えば、以下のルートで合成される。
【0033】
【化12】
(式中、環A、環A’、R1 、R2 、X、X’、Y、Y’、Ann-、q、r及びr’は、前記一般式(I)、(II)と同様であり、Dは、ハロゲン、スルホニルオキシを表す。)
【0034】
上記のDで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、スルホニルオキシとしては、フェニルスルホニルオキシ、4−メチルスルホニルオキシ、4−クロロスルホニルオキシなどが挙げられる。
【0035】
本発明に係る上記の化合物は、光学記録媒体の記録層として適用され、該記録層の形成にあたっては従来周知の方法を用いることができる。一般には、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコールなどのエーテルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチルなどのエステル類、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ化アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類などの有機溶媒に溶解した溶液を基体上に塗布することによって容易に形成することができる。
【0036】
上記記録層の厚さは、通常、0.001〜10μであり、好ましくは0.01〜5μの範囲が適当である。上記記録層の形成方法は特に制限を受けず、例えばスピンコート法などの通常用いられる方法を用いることができる。
【0037】
本発明の光学記録材料を、光学記録媒体の記録層に含有させる際の該記録層に対する使用量は、好ましくは50〜100重量%である。
【0038】
また、上記記録層は、本発明の光学記録材料のほかに、必要に応じて、他のシアニン系化合物、アゾ系化合物、フタロシアニン系、キノリン化合物などの光学記録層に用いられる化合物、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ、ウレタンなどの樹脂類を含有してもよく、界面活性剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、ラジカル捕捉剤、ピット形成促進性、ピット制御性、分散剤、酸化防止剤、架橋剤、耐光性付与剤などを含有してもよい。
【0039】
さらに、上記記録層は、一重項酸素などのクエンチャーとして芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物などを含有してもよい。これらは、記録層に対して好ましくは0〜50重量%の範囲で使用される。
【0040】
このような記録層を設層する上記基体の材質は、書き込み光及び読み出し光に対して実質的に透明なものであれば特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂、ガラスなどが用いられる。また、その形状は、用途に応じ、テープ、ドラム、ベルト、ディスクなどの任意の形状のものが使用できる。
【0041】
また、上記記録層上に、金、銀、アルミニウム、銅などを用いて蒸着法あるいはスパッタリング法により反射膜を形成することもできるし、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂などによる保護層を形成することもできる。
【0042】
本発明の光学記録材料は、書き込み、再生に630〜670nmの波長の光を用いる光学記録媒体に好適であり、特にDVD−Rに好適である。
【0043】
【実施例】
以下、製造例、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0044】
[製造例]
(製造例1)シアニン化合物A:No.1の合成
(第一段階)
窒素置換した反応フラスコに4−ニトロフェニルヒドラジン硫酸塩53.8g、 エタノール60.0gを仕込み、70℃まで加温してから、イソプロピルメチルケトン21.4gを15分で滴下した。更に硫酸を2.7gを加え4時間反応させた後、エタノールを留去し、トルエン300mlを加えた溶液に25℃以下で20%水酸化ナトリウム水溶液200mlを加え10分撹拌した後、トルエン層を洗浄水が中性になるまで水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、トルエンを除いて中間体(a)を25.2g(収率46.4%)得た。
【0045】
(第二段階)
窒素置換した反応フラスコに、中間体(a)20.4gとヨウ化メチル42.6gを仕込み、簡易オートクレーブ中で、1.31×105 Pa、50〜60℃で7時間反応させた後、室温、常圧下で酢酸エチルを100mlを加え、30分還流させて、冷却した。固相を濾取し、洗浄、乾燥を行い中間体(b)を18.6g(収率53.7%)得た。
【0046】
(第三段階)
窒素置換した反応フラスコに、中間体(b)6.9g、N,N’−ジフェニルアミジン2.0g、ピリジン19.6g、無水酢酸3.1gを仕込み、86℃で3時間反応させた後、室温まで冷却しヨウ素塩を析出させこれを濾取した。得られたヨウ素塩にジメチルホルムアミド212g、過塩素酸ナトリウム一水和物4.20gを加え、100℃1時間撹拌して塩交換を行い、その後、メタノール212gを加え室温まで冷却して、目的物の粗結晶を析出させた。粗結晶を濾取した後、これをメタノール、水、メタノールの順で洗浄し80℃で真空乾燥して目的物の結晶3.32g(収率59.2%)を得た。
(分析)
▲1▼構造解析:1 H−NMR測定
(ケミカルシフトppm;多重度;プロトン数)
(1.75;s;12)(3.71;s;6)(6.63〜6.67;d;2)
(7.68〜7.70;d;2)(8.37〜8.38;d;2)
(8.40;t;1)(8.60;s;2)
▲2▼光学的特性:クロロホルム溶媒でのUVスペクトル測定
λmax;581nm、ε;2.15×105
【0047】
(製造例2)シアニン化合物A:No.5の合成
窒素置換した反応フラスコに、製造例1で得られた中間体(b)6.9g、N,N’−ジフェニルアミジン2.0g、ピリジン19.6g、無水酢酸3.1gを仕込み、86℃で3時間反応させた後、50℃まで冷却しメタノール40gを加えてさらに30分還流し、室温まで冷却しヨウ素塩を析出させこれを濾取した。得られたヨウ素塩にジメチルホルムアミド212g、六フッ化リンカリウム5.40gを加え、100℃1時間撹拌して塩交換を行い、その後、メタノール212gを加え室温まで冷却して、目的物の粗結晶を析出させた。粗結晶を濾取した後、これをメタノール、水、メタノールの順で洗浄し80℃で真空乾燥して目的物の結晶3.72g(収率62.9%)を得た。
▲1▼構造解析:1 H−NMR測定
(ケミカルシフトppm;多重度;プロトン数)
(1.75;s;12)(3.71;s;6)(6.63〜6.67;d;2)
(7.68〜7.70;d;2)(8.37〜8.38;d;2)(8.40;t;1)(8.60;s;2)
▲2▼光学的特性:クロロホルム溶媒でのUVスペクトル測定
λmax;579nm、ε;2.15×105
【0048】
[実施例]記録媒体の製造及び評価
チタンキレート化合物(T−50:日本曹達社製)を塗布、加水分解して下地層(0.01μ)を設けた直径12cmのポリカーボネートディスク基板上に、それぞれ以下に示した配合によるシアニン化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(濃度2%)をスピンコーティング法にて塗布して、厚さ100nm(誤差5%以内)の記録層を形成し光学記録媒体を得た。これらの光学記録媒体についてUVスペクトル吸収の測定による評価を行った。
【0049】
(実施例1)
下記のシアニン化合物について、表2に記載の配合による光学記録媒体について吸収スペクトルを測定した。結果を図1(横軸:波長;nm、縦軸:相対吸光度;膜厚のばらつきによる影響を無くすために各記録媒体のλmaxを強度1に補正したもの)及び表3に示す。上記の相対吸光度の値が0.10より小さいと記録及び読み込みの特性が悪化し、0.50を超えると記録層の耐光性が悪くなり、記録の保存安定性が悪くなる。従って、この値が0.15〜0.45のものを○、0.10以上〜0.15未満のもの又は0.45より大きく0.50未満のものを△、それ以外のものを×とし評価した。
【0050】
【化13】
【0051】
【表2】
【0052】
図1より、シアニン化合物(A)を使用すると、光学記録媒体の吸収スペクトルが長波長側にシフトすることが確認できた。また、シアニン化合物(A)の使用量を増加することにより、シフトが大きくなることが確認できた。
【0053】
【表3】
【0054】
(実施例2)
下記のシアニン化合物について、表4に記載の配合による光学記録媒体について吸収スペクトルを測定し、上記実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0055】
【化14】
【0056】
【表4】
【0057】
(実施例3)
下記のシアニン化合物について、表5に記載の配合による光学記録媒体について吸収スペクトルを測定し、上記実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0058】
【化15】
【0059】
【表5】
【0060】
(実施例4)
下記のシアニン化合物について、表6に記載の配合による光学記録媒体について吸収スペクトルを測定し、上記実施例1と同様に評価した。結果を表6に示す。
【0061】
【化16】
【0062】
【表6】
【0063】
以上の結果から本発明の光学記録材料が、DVD−Rの規格である635nm、650nm、660nmの波長において光学記録媒体として適正な吸収を与えていることが確認できた。
【0064】
【発明の効果】
本発明は、DVD−R規格の光学記録媒体に合致したシアニン化合物からなる光学記録材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で製造した光学記録媒体の吸収スペクトルである。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表されるシアニン化合物(A)及び下記一般式( II )で表されるシアニン化合物(B)を含有してなり、シアニン化合物(A)とシアニン化合物(B)とのモル比が、シアニン化合物(A)1に対しシアニン化合物(B)0.1〜50であることを特徴とする光学記録材料。
- 上記のシアニン化合物(A)とシアニン化合物(B)とのモル比が、シアニン化合物(A)1に対しシアニン化合物(B)1〜50である請求項1記載の光学記録材料。
- 上記のシアニン化合物(A)とシアニン化合物(B)とのモル比が、シアニン化合物(A)1に対しシアニン化合物(B)1〜9である請求項1記載の光学記録材料。
- 上記の一般式(II)において、環A及び環A’がベンゼン環であり、r及びr’が1である請求項1〜3の何れかに記載の光学記録材料。
- 基体上に、請求項1〜4の何れかに記載の光学記録材料からなる薄膜を形成したことを特徴とする光学記録媒体。
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