JP4263951B2 - イヌ化抗体の作成方法および使用 - Google Patents

イヌ化抗体の作成方法および使用 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のイヌ化抗体製剤を開発するための組換えDNA技術およびモノクローナル抗体技術の組合せ、より詳細には、例えば、イヌパルボウイルス(CPV)を中和し、しかもイヌにおいて非免疫原性の免疫グロブリンの産生ならびそれらの生体内での使用に関係する。本発明はまた、より詳細には、イヌパルボウイルスに対するイヌ化モノクローナル抗体、これらの抗体をコードするポリヌクレオチド配列、これらの抗体を作製するための方法、これらの抗体の抗原結合部位を融合タンパク質として利用する方法、活性成分としてこれらの抗体を含む薬学的組成物に関係する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
Kohlerら、Nature 256: 495-497(1976)
【非特許文献2】
Jonesら、Nature 321:522-525(1986)
【非特許文献3】
Reichmannら、Nature 332:323-327(1988)
【非特許文献4】
Verhoeyenら、Science 239:1534-1536(1988)
【非特許文献5】
Patalら、Immunogenetics 41:282-286(1995)
【非特許文献6】
Tangら、Veterinary Immunology & Immunopathology 80:259-270(2001)
【特許文献1】
特許第2811089号公報
【特許文献2】
特許第2811096号公報
【特許文献3】
特許第2837240号公報
【0003】
イヌは以前からペットとして人間に飼育されていたが、近年では、従来の盲導犬などの社会的な役割のほか、精神的な伴侶としての価値が特に重視されている。その結果、イヌの社会的な地位が向上し、イヌの疾病とくに伝染病に関するより確実な知識が必要となり、その診断、治療、予防のための方法が求められている。
【0004】
イヌの感染症は現在ではワクチンにより予防されるが、適切なワクチン接種がされなかった場合やペットショップ等でのストレスの問題から感染症に罹患することも多い。とくにウイルス感染症に対しては対処療法しかなく、場合によっては致死的である。
【0005】
たとえば、CPV感染症は、イヌに見られる激しい嘔吐、出血性下痢、および脱水、白血球減少を主徴とした急性の疾患である。本病は3〜12週齢の幼犬に見られる心筋炎型と離乳後あらゆる年齢層に見られる腸炎型とに大別される。前者は、外見上健康な幼犬が突然虚脱し、呼吸困難を起こすなど経過が急で、死亡率が高く、治癒後も後遺症が残る。後者は激しい嘔吐・出血性下痢および顕著な脱水・白血球減少を主徴とし、死に至るものが多く、軽微な場合には不顕性のまま推移することもある。
【0006】
CPV感染には移行抗体が感染防御に有効であることや、抗体による治療が有効であることが実験的にも知られている。しかし、現実には治療方法として対処療法としての輸液の点滴注射やネコインターフェロン投与、二次感染防止のための抗生物質投与が一般的に行われているが、その効果は低い。
【0007】
また、この他にもイヌには多くの感染症、ジステンパー 、パラインフルエンザ 、犬伝染性気管支炎、 コロナウイルス感染症 、アデノウイルス感染症などがあり、それらに対してもワクチンが存在するが、治療法は対処療法しかない。
【0008】
ウイルス感染症は中和抗体による血清療法が有効であり、治療効果が期待される。しかし、イヌを用いた抗血清販売の事業化は動物愛護からも社会的に受け入れられるものではなく、現実性がない。
【0009】
特定の抗原を標的とする抗体を作製するためには、通常、Kohler及びMilsteinの見いだした方法(非特許文献1-)が用いられる。すなわち、マウスを抗原で免疫し、免疫マウス由来の脾臓細胞をミエローマ細胞と融合させ、標的抗原に特異的なモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製する。現在、上記のイヌウイルスに対してはウイルスを抗原としてモノクローナル抗体が作製されている。そのようなモノクローナル抗体を治療に用いることができるが、モノクローナル抗体はマウス起源のものであり、したがってイヌにおいてはそれら自身が抗原性を持つ。そのようなモノクローナル抗体をイヌに繰り返し投与した場合には、イヌの免疫システムはマウスモノクローナル抗体に対する応答を開始し、それを無効にしてしまう。
【0010】
抗体は、典型的には、ジスルフィド結合によって互いに連結する2本の重鎖と、各重鎖のN-末端に結合する軽鎖とを含む。各重鎖は、そのN-末端に可変領域ドメインを、それに続いて他端に定常領域ドメインを有する。また、各軽鎖もN-末端の可変領域ドメインとそれに続く定常領域ドメインを有する。軽鎖及び重鎖各対の可変領域ドメインは、抗原結合部位を形成する。軽鎖及び重鎖上の可変領域ドメインは同じ一般構造を有し、各ドメインは、配列が比較的保存されている4つの領域からなるフレームワークとこれに接続する3つの相補性決定領域(CDR)を有している。4つのフレームワーク領域はβ-シート構造をとり、CDRはこのβ-シート構造体に接続するループを形成する。これらのCDRはフレームワーク領域によって非常に接近した状態に保たれ、抗原結合部位の形成に寄与している。
【0011】
マウスモノクローナル抗体のCDRをヒトのフレームワークに移植し、該当するマウスモノクローナル抗体の結合能力を有し、かつ、ヒトに抗原性を示さないヒト化抗体を作製することが、Winter及び彼の共同研究者によって提唱されている(例えば、非特許文献2-、非特許文献3-及び非特許文献4-を参照のこと)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように人間の医療分野では遺伝子工学的手法を用いてヒト化した抗体が実用化されている。一方、イヌの場合はイヌの軽鎖の定常領域の塩基配列(特許文献1、特許文献2)、イヌの重鎖の遺伝子(特許文献3、非特許文献5-、非特許文献6-)が報告されているが、それらからイヌ化抗体を作製する技術は完成されていない。
【0013】
本発明は、イヌ化抗体を開発するための基本となる遺伝子断片およびCDR移植技術を提供する。本技術により作製されたイヌ化抗体を生産するための方法、抗原結合ドメインを融合タンパク質として利用する方法、活性成分としてこれらの抗体を含む薬学的組成物を提供することが本発明に含まれる。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)配列番号2に示すイヌ免疫グロブリンκ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、配列番号4に示すイヌ免疫グロブリンλ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、および配列番号6、8、10、12に示すイヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列をもとにイヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体のCDRを移植して作成される、配列番号17、19に示す可変領域を持つことを特徴とするイヌ化抗体遺伝子。
(2)(1)に記載されたイヌ化抗体遺伝子の可変ドメインを、イヌで抗原性を示さない他のタンパク質遺伝子と融合してなることを特徴とする融合タンパク質遺伝子。
(3)(2)に記載された融合タンパク質遺伝子のうち、特に特異性がイヌパルボウイルスに対するものであることを特徴とする融合タンパク質遺伝子。
(4)(1)ないし(3)のいずれか1項に記載された遺伝子を真核細胞で発現することを特徴とする発現ベクター。
(5)(1)ないし(3)のいずれか1項に記載された遺伝子を真核細胞で発現することを特徴とするウイルスベクター。
(6)(4)または(5)に記載されたベクターを真核細胞に導入してイヌ化抗体タンパク質を生産することを特徴とするイヌ化抗体タンパク質の製造方法。
(7)配列番号2に示すイヌ免疫グロブリンκ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、配列番号4に示すイヌ免疫グロブリンλ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、および配列番号6、8、10、12に示すイヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列をもとにイヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体のCDRを移植して作成される、配列番号17、19に示す可変領域を持つイヌ化抗体遺伝子によってコードされる、配列番号18、20に示すアミノ酸配列である可変領域を持つことを特徴とするイヌ化抗体タンパク質。
【0015】
抗体遺伝子は、公知の技術を使用することによって本発明の開示に基づいて調製され得る。すなわち、イヌの脾臓等から抽出したmRNAをテンプレートとして使用し、配列番号13および14に示すプライマーを用いてイヌ免疫グロブリンの軽鎖の可変領域ドメインの塩基配列を単離した。そのようなPCR(polymerase Chain Reaction)増幅(5'race)については市販のキットが利用可能である。さらに、同様に、既知の情報(Tangら、前出)に基づき設計したプライマーを用いてイヌ免疫グロブリンの重鎖cDNA全体をクローニングした。一方、イヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体のcDNAを単離した。これらの抗体を使用して、イヌ化されたイヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体の免疫グロブリン重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子を構築し得る。また、この方法で任意のモノクローナル抗体をイヌ化しうる。
【0016】
まず、モノクローナル抗体の可変領域の配列を突き止める必要がある。そのようなDNA配列決定のため、可変ドメイン配列は、一般的に周知の技術によって各々のmRNAから合成される重鎖及び軽鎖cDNAから決定することができる。その後、種々の方法(たとえば、Kabatら、U.S.Department of Health and Human Services (1983)、Chotiaら、Nature 342:877-883(1989)、Martinら、Proceedings of National Academy of Science in USA 86:9268-9272(1989)、MacCallumら、Journal of Molecular Biology 262:732-745(1996))を参照して、超可変領域を決定することができる。また、一方で、CDRはX線結晶学又は分子モデリング技術を用いる構造解析により決定することができる。次いで、フレームワーク領域に由来する特定の選択残基と共に、CDRに対応する全てのアミノ酸残基を含む複合CDRを構築することができる。次に、得られた複合CDRを“抗原結合部位”として転移させることができる。マウス抗体のCDRをヒト抗体に移植する方法については、たとえば、特許第2828340号公報、特開平11-4694号公報、特開平11-243955号公報などを参照できる。
【0017】
このとき、設計されたアミノ酸配列を、遺伝子断片に付加、欠失または置換の技術は公知である。典型的な技法には、部位指向性変異誘発及びPCRが含まれる。
【0018】
抗体を「ヒト化」することは、以上に述べたほど効率の良いプロセスではない。たとえば、適合性のヒトのフレームワーク領域を、1000を超えるヒトの重鎖および軽鎖のアミノ配列から、それぞれを選択しなければならない。このように作製された、マウス抗体と同じCDRを有するヒト化抗体でも、しばしば、もとのマウス抗体と同じ効力を有さない。「ヒト化」抗体は、CDR以外にいくらかマウスのアミノ酸残基を加えてマウス抗体に匹敵する立体構造を保証するフレームワークモチーフを有する必要がある。
【0019】
このような状況の下、イヌ抗体の立体構造の情報やイヌの可変領域遺伝子の十分な情報もなく、我々はイヌ化抗体の作出に成功した。
【0020】
もっとも、イヌ重鎖、軽鎖可変領域の遺伝子の情報が多いほどイヌ化が容易になる。したがって、我々は十分な可変領域遺伝子の情報を解析するために利用可能なプライマーおよびその方法をも提供する。
【0021】
前記のように生成されるイヌ化抗体の可変領域の遺伝子は、相当する免疫グロブリン定常領域の遺伝子に連結し、イヌ化抗体遺伝子が完成する。イヌ化抗体遺伝子を用いて、例えば、昆虫細胞、CHOもしくはミエローマ細胞、酵母等で、それぞれに対応する発現用プラスミドもしくはベクターウイルスに結合し、リン酸カルシウム処理、リポフェクション又はエレクトロポレーション法等により細胞内に導入して、イヌ化抗体タンパク質を発現することができる。
【0022】
なお、以上の操作は、Sambrookら(Sambrookら、Molecular Cloning.3rd Edition Cold Spring Harbor Press (2001))等の既知の遺伝子操作技術・細胞工学技術にしたがって行うことができる。
【0023】
発現した組換えイヌ化抗体タンパク質は、当該分野の標準的手順により精製され得る。この手順としては、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが挙げられる(一般的には、参考として、本明細書において援用される、Scopesら、Protein Purification、Springer-Verlag、N.Y.(1982)を参照のこと)。イヌにおいて薬として使用するためには95%以上の純度が望ましい。イヌ化抗体を含む薬学的組成物は、一般的に非経口経路(すなわち、皮下的に、筋肉内におよび静脈内に)で投与される。
【0024】
ところで、定常ドメインは抗原に抗体を結合するのに直接は関係しないが、エフェクター機能を示す。その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体又は免疫グロブリンは異なったクラスに分けられる。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、これらのいくつかは、例えばヒトにおいてはIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;IgA1及びIgA2のようなサブクラス(アイソタイプ)に更に分割される。
【0025】
抗体タンパク質はこれらの機能ドメインが比較的独立しているため、たとえば抗原に対する結合能力は可変ドメイン断片(例えばF(ab')2)で保持される。そこで、他の用途に応じて、可変ドメイン断片を他のポリペプチドへの融合することが可能である。特に抗原性を持たないようにイヌ由来の機能性タンパク質に融合し、抗体としての特異性を持ち、抗体以外のエフェクター機能を持たせる改変は有効で安全な治療薬を開発する有効な方法である。融合させる技術についてはすでに1984年に特許第2865645号公報や特許第2714786号公報として出願され、その後も多くの改良がなされている。それらの具体的方法については、単行本(KontermannとDubel編集、Antibody Engineering、Springer Lab Manual)に詳しい。感染症への応用は、たとえば、特定の細胞に発現する受容体に結合し、その細胞を増殖させたり、活性化させたり、遊走させることであり、その作用により、たとえば感染部位の免疫担当細胞を有効利用して早期の感染防御を成立させたり、異物処理を促進させたり、炎症を制御する。
【0026】
さらに、先に述べた発現ベクターのうち、真核細胞で発現するベクターはDNAのまま、筋肉内に注射すると発現させることができる。このときに、塩基性リポソームなど、市販のキャリア物質を用いて発現や導入を安定化することができる。金コロイド粒子にDNAを吸着させ、皮内の細胞に効率良くDNAを導入する装置もまた市販されている。また、アデノウイルスやアデノ随伴ウイルスなどのゲノムにプロモータと一緒に挿入し、感染させることでも体内で発現させることができる。これらDNAを導入する方法を用いてイヌ化抗体タンパク質、イヌ化された可変ドメインをもつ融合タンパク質を発現させ、治療する遺伝子治療技術については周知のことであり、タンパク質性薬剤と比べて取り扱いが簡便である。すでに確立しているこの方法については総説(日本遺伝子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンドブック、株式会社エヌ・ティー・エス)を参照できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1 抗CPVマウスモノクローナル抗体の作製
(1)ウイルス抗原の精製
CPV、Cp49株をCRFK細胞に接種し増殖させ、その培養上清にPEG6000と塩化ナトリウムを加えることによりウイルスを沈殿回収した。TE緩衝液(20mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0)に再浮遊させ、塩化セシウムを用いた密度勾配遠心法にてウイルス抗原を精製した。
【0028】
(2)免疫
Balb/cマウス(14週齢、メス)にウイルス抗原100μgを3週間隔で3回免疫した。1回目は抗原をフロイント完全アジュバント(FCA、ヤトロン社)と混ぜて、2回目以降はフロイント不完全アジュバントと混ぜて、皮下に接種した。3回目免疫後3週目に同抗原20μgを腹腔に接種し、3日後に脾臓を摘出した。
【0029】
(3)ハイブリドーマの作製およびスクリーニング
免疫マウスから摘出した脾臓より脾細胞を回収し、脾細胞4×108とマウスミエローマ細胞P3U1細胞4×107とを、常法通り融合させることによりハイブリドーマを作製した。精製ウイルス抗原を用いたELISAおよびウイルス感染CRFK細胞を用いた間接蛍光抗体法により抗CPV抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングし、限界希釈法にてハイブリドーマのクローニングを行った。
【0030】
抗CPV抗体を産生しているハイブリドーマ6クローンを得た。これらのクローンが産生する6種類の抗CPV抗体をそれぞれ、CP1a、CP2a、CP3a、CP4a、CP5a、CP6aと名付けた。アイソタイプおよびサブクラスはそれぞれ、IgG2b、IgG1、IgG1、IgG2a、IgG1、IgAであった。
【0031】
(4)モノクローナル抗体の選定
得られたハイブリドーマクローンを107細胞/マウスで腹腔に接種することにより抗体を腹水中に分泌生産し、Protein Gカラム(アマシャム・ファルマシア社)で添付のプロトコールに従い、腹水中の抗体を精製した。各モノクローナル抗体につきCPV-Cp49株に対するウイルス中和活性および豚赤血球凝集抑制活性の有無を調べ、さらに、精製ウイルス抗原を用いたELISAおよびラテックス凝集反応によりウイルス抗原との結合性を調べた。以上の試験結果の総合判定で、イヌ化抗体作製に供するモノクローナル抗体の選定を行った。その結果、サブクラスがIgG1であり、CPV-Cp49株に対する強い結合性を有すると考えられたCP3aを、以下で作製するイヌ化抗体の候補とした。
【0032】
実施例2:CP3a抗体の可変領域のcDNAクローニング
CP3aを生産するハイブリドーマからISOGEN(DOJINDO社製)を用いて、添付のプロトコールに従ってRNAを抽出した。
【0033】
逆転写用プライマーは下記のようにデータベースより引用したマウスκおよびγ両鎖の定常領域の5'領域に設定した。
【0034】
κ鎖逆転写用プライマー(配列番号25)
Cκ1 :5'-CAGATGTTAACTGCTCACTG-3'
( Gene Bank Accession No. V00810:nucleotide No.472-453)
γ鎖逆転写用プライマー(配列番号26)
CγH-2:5'-AGTTTGGGCAGCAGATCCA-3'
( Gene Bank Accession No. BC003435:nucleotide No.523-498)
【0035】
2.5μgのRNAを鋳型として、10μMのCκ1もしくはCγH-2プライマーを1μl使用した。まず、DEPC処理した蒸留水で全量15.5μlにして70℃で10分間加熱した後、氷上で急冷した。次に10mMのdNTPを1μl、添付されていた緩衝液を2.5μl、0.1M DTTを2.5μl、25mM MgCl2を2.5μl、逆転写酵素SuperScriptII(GIBCO BRL社) 1μl(200U)を加えてよく混合し、42℃で55分間、70℃で15分間反応させた。
【0036】
次に、GIBCO BRL社製5'RACE KITを用いてプロトコールに従い、mRNAの5'末端領域から可変領域全体をクローニングした。すなわち、逆転写したcDNAにオリゴdCを付加し、さらに、アダプターを付加し、それに相補的なプライマーをPCRに用いた。
【0037】
アダプタプライマー(配列番号27)
:5'-GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGGGGGGGGGGGGGG-3'
【0038】
一方、増幅用に用いた3'側プライマーは逆転写用プライマーの上流領域に下記のように設定した。
【0039】
κ鎖増幅用プライマー(配列番号28)
Cκ2:5'-GATGGTGGGAAGATGGATAC-3'
( Gene Bank Accession No. V00810:nucleotide No.452-433)
γ鎖増幅用プライマー(配列番号29)
CγH-1:5'-ACAGACAGATGGGGGTGTCG-3'
( Gene Bank Accession No. BC003435:nucleotide No.493-474)
【0040】
このようにして得られたκ鎖、γ鎖の可変領域のPCR産物をTAクローニングキット(インビトロージェン社)を用い、添付のプロトコールに従い、pGEM-T Easyベクター(Rrpmega社)にライゲーションした。ライゲ-ション反応液を用いてコンピテント化した大腸菌XL1-Blue(Stratagene社)の形質転換反応を行い、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で作製したアガロースプレートで形質転換体の選択を行った。37℃にて一晩培養し、プレートに生育したコロニーのうちプラスミドベクタ-に重鎖遺伝子cDNAの挿入が確認された4個のコロニーのみ100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地5mlで一晩培養した。QIAprep(R) spinMiniprep kit(QIAGEN社)にて添付のプロトコール通り操作し、プラスミドDNAを抽出・精製した。
【0041】
得られたcDNAクロ-ンはABI社製のABI Terminator Cycle Sequencing Kitsを用いたジデオキシシークエンス法により、添付のプロトコールにしたがって反応を行い、ABI社製シークエンサ373Aで解析して決定した。
【0042】
塩基配列の解析の結果、得られたCP3aモノクローナル抗体γ鎖、κ鎖の塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号21、22および23、24に示した。
【0043】
実施例3:イヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子cDNAのクローニング
(1)RNAの調製
実験用ビーグル犬より脾臓を摘出して、ハサミで細かく切り、20mlのGTC溶液(4Mグアニジンチオシアネート、25mM クエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.5% N-ラウロイル サルコシン酸、0.1M 2-メルカプトエタノール)中でさらに細かく切断し、組織片を溶解させた。18ゲージの注射針で4回ストロークしてゲノムDNAを切断した後、4mlずつに分注し、-80℃で凍結保存した。凍結チュ-ブのうち1本を解凍し、溶解液に2M 酢酸ナトリウム(pH4.0)を400μl、DEPC(ジエチルピロカーボネイト)で処理した蒸留水で飽和したフェノールを4ml、クロロホルム/イソアミルアルコール(49:1)を800μl、それぞれ加える毎に軽く混和しながら順番に加えた。溶液を10秒間激しく撹拌し、30分間氷上に静置した後、4℃で3000rpm、30分間遠心した。遠心分離後、上清を回収し、上清500μlに2-プロパノールを500μl加えてよく混和し、-20℃で2時間冷却した後、4℃で14000rpm、30分間遠心した。上清を捨て、沈殿を400μlの70%エタノールで洗浄した後、乾燥して40μlのDEPC処理した蒸留水に溶解した。抽出したRNAを吸光度により定量した。
【0044】
(2) cDNA合成
イヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子cDNAをクローニングするため、既に報告されている塩基配列(Tangら、既出)を基にプライマ-としてIG-F、IG-Rオリゴヌクレオチドを合成した。下記にそれぞれの塩基配列を示す。
【0045】
IG-F(配列番号30):5'-AGTGCTCAGGACACMACACA-3'
IG-R(配列番号31):5'-TCATTTACCCGGAGAATGGG-3'
【0046】
逆転写反応(RT)は実施例3(1)で調製したRNA 2μgを鋳型として10μMのIG-Rプライマーを1μl使用した。まず、DEPC処理した蒸留水で全量15.5μlにして70℃で10分間加熱した後、氷上で急冷した。次に10mMのdNTPを1μl、添付されていた緩衝液を2.5μl、0.1MDTTを2.5μl、25mM MgCl2を2.5μl、逆転写酵素SuperScriptII(GIBCO BRL社) 1μl(200U)を加えてよく混合し、42℃で55分間、70℃で15分間反応させた。
【0047】
(3) PCRによるイヌ免疫グロブリンγ鎖cDNAの増幅
PCRによるcDNAの増幅は、逆転写反応液1μlを鋳型としてIG-FプライマーおよびIG-Rプライマーを最終濃度各0.4μMで使用した。TAKARA社製のLA-Taqポリメラーゼ(2.5U)を用いて98℃15秒、55℃30秒、74℃2分を1サイクルとして30サイクルのPCRを行い、イヌ免疫グロブリンγ鎖cDNAを増幅した。反応終了後、エタノ-ル沈殿を行い、ペレットを10μlの滅菌蒸留水に溶解した後、1%アガロースゲルで電気泳動を行い、臭化エチジウムにて染色後、紫外線照射下で約1450bpのバンドを確認した。
【0048】
(4) PCR産物のクローニング
イヌ免疫グロブリンγ鎖cDNAのバンド部分をGene Clean Spin Kit(Bio101、Inc.)を用いて添付のプロトコールに従ってアガロ-スゲルより切り出した。切り出したDNA断片をTAKARA社製のligation kit ver.2を用い、15℃で一晩反応させることによりPromega社製のpGEM-T Easy ベクター1μl(50ng)にライゲーションした。ライゲ-ション反応液を用いてコンピテント化した大腸菌XL1-Blueの形質転換反応を行い、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で作製したアガロースプレートで形質転換体の選択を行った。37℃にて一晩培養し、プレートに生育したコロニーのうちプラスミドベクタ-にイヌ免疫グロブリンγ鎖cDNAの挿入を確認した。確認されたうち4個のコロニーのみ100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地5mlで一晩培養した。QIAprep(R) spin Miniprep kit(QIAGEN社)にて添付のプロトコール通り操作し、プラスミドDNAを抽出・精製した。
【0049】
(5) 塩基配列の決定
得られたイヌ免疫グロブリンγ鎖cDNAクロ-ンはABI社製のABI PRISM(R) BigDyeTM Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kitsを用いたジデオキシシークエンス法によりシークエンサー(ABI社:A310)を用いて挿入DNA断片の塩基配列を決定した。
【0050】
クロ-ニングした4個のイヌ抗体γ鎖cDNA、2、C、EおよびFの塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号5から12に示す。
【0051】
得られたアミノ酸配列のデータを、既に報告されているイヌ抗体γ鎖遺伝子のアミノ酸配列(Tangら、既出)と定常ドメインのみ比較したところ、約98%の相同性が認められた。また、ヒト、マウスのγ鎖と相同性を比較したところ、60〜70%の相同性が示された。今回得られた4種類のイヌγ鎖のアミノ酸配列を既報のイヌγ鎖A〜D、ヒトγ鎖、マウスγ鎖と比較し、相同性の値を表1にまとめ、それらのアミノ配列を並記した図を図1に示した。
【0052】
【表1】
Figure 0004263951
【0053】
実施例4:イヌ免疫グロブリン軽鎖 (κ鎖およびλ鎖) 遺伝子の可変領域cDNAのクローニング
イヌ抗体軽鎖遺伝子定常ドメインの5'上流側に隣接する可変ドメインcDNAをクローニングするため、既に報告されているイヌ抗体軽鎖(κ鎖およびλ鎖)遺伝子の定常ドメインの塩基配列(特許第2811089号公報、特許第2811096号公報)を基にκ鎖合成用プライマーとして配列番号9の、またλ鎖合成用プライマーとして配列番号11に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成し、5'RACE法を行った。
【0054】
すなわち、RNAを鋳型とし、CaIgk-R2プライマー(κ鎖)またはCaIgL-R2プライマー(λ鎖)を使用して、実施例3(2)と同様に逆転写反応を行った。次に、5'RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends, Version 2.0 (LIFE TECHNOLOGIES社)を使用して、添付のプロトコールに従いcDNAの分画、cDNAへのdC tailの付加およびPCRによる増幅を行った。なお、PCRはCaIgK-R2プライマー(κ鎖)またはCaIgL-R2プライマー(λ鎖)およびキットに付属のAbridged Anchor プライマ-を使用して、実施例3(3)と同様の条件で行った。その後、PCRで増幅したcDNA断片を実施例3(4)と同様にクロ-ニングし、得られたクロ-ンは実施例3(5)と同様の方法で塩基配列を決定した。クロ-ニングしたイヌ免疫グロブリンκ鎖、λ鎖遺伝子可変領域cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号1、2、3、4に示した。
【0055】
得られた塩基配列のデータを、ヒト、マウスのγ鎖と相同性を比較したところ、60〜80%の相同性が示された。今回得られたイヌκ、λ鎖のアミノ酸配列を既報のヒト、マウスのκ鎖、γ鎖と比較し、相同性の値を表2にまとめ、それらのアミノ配列を並記した図を図2,3に示した。
【0056】
【表2】
Figure 0004263951
【0057】
実施例5:CDR移植によるイヌ化抗体重鎖cDNAの合成
(1) PCR法によるイヌ化抗体重鎖可変領域cDNAの合成
実施例2で得られたマウスのCP3a可変領域のcDNA塩基配列、および実施例3で得られたイヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子の可変領域cDNAの塩基配列よりContact法(MacCallumら、Journal of Molecular Biology 62,732-745,1996)に従ってCDRを推定した。推定に基いて、CP3aのCDRをイヌ抗体のCDRと交換した抗CPVイヌ化抗体重鎖遺伝子の可変領域cDNAを設計した。イヌ化抗体重鎖遺伝子の可変ドメインcDNAをPCRで合成するため、各断片がお互いに40bp重複するような4つのオリゴDNA断片(Heavy1〜4)を作製した。下記にその塩基配列を示す。また、重鎖の可変ドメイン全体を増幅し、定常ドメインと連結させる、またはトランスファーベクターに組み込むことを考慮して特定の制限酵素サイトを付加したプライマー、H-VFおよびH-VRオリゴヌクレオチドを設計した。H-VFおよびH-VRの塩基配列を配列番号15、16に示す。
【0058】
Heavy1(配列番号32):
5'-CGGGATCCCGATGGAGTCTGTGCTCTGCTGGGTTTTCCTTGTCTCTATTTTAAAAGGTGTCCAGGGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGACCTGGTGAAGCCTGGGGGGTCCTTGAGACTGTCCTGTGTGGCCTCT-3'
Heavy2(配列番号33):
5'-GTTAGTTCGACCGTCGGTAGGAAAAATCTCTCCAATCCACTGCAGCCCCTTCCCTGGAGACTGACGGACCCAGTGCATCCAGTAGCCGGTGAAGGTGAATCCAGAGGCCACACAGGACAGTCTCAAGGACCCCCCAGGCTTC-3'
Heavy3(配列番号34):
5'-GTGGATTGGAGAGATTTTTCCTACCGACGGTCGAACTAACTACGCAGACGCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGCTGTATCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTT-3'
Heavy4(配列番号35):
5'-AACCGAGGGGGCCGTGGTCGACGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCCCTGGCCCCAGTAAGCAAACCCCTCCCCACCATACTTTTTTCTTGTACAGTAATAAACAGCCGTGTCCTCGGCTCTCAGGCTGTTCATCTGCAGA-3'
【0059】
DNAの合成過程を図4に模式的に図示するとともに、各PCR産物のアガロース電気泳動パターンを示した。初めに上記のHeavy1とHeavy2とを混合(各100μM、反応液Aとする)またはHeavy3とHeavy4とを混合(各100μM、反応液Bとする)し、TAKARA LA-Taqポリメラーゼ(2.5U)を使用して全量50μlにて、94℃45秒、55℃1分、72℃2分を1サイクルとしたPCRを25サイクル行った。反応終了後A、B各反応液に等量のクロロホルム・イソアミルアルコール(24:1)を加えて撹拌した後、室温で10000rpm、5分間遠心して上清を回収した。次にA、B各反応液の上清を5μlづつ混合し、同様のPCR反応を行った。反応終了後、上記と同様に回収した上清1μlおよびプライマーH-VFとH-VRを用い (最終濃度各1μM)、TAKARA LA-Taqポリメラーゼ(2.5U)を使用して全量50μlで全長を合成するためのPCRを98℃15秒、55℃30秒、74℃2分を1サイクルとして25サイクル行った。PCR産物は1%アガロースゲルで電気泳動し、約450bpのバンドを確認した。
【0060】
(2) イヌ化抗体重鎖遺伝子、定常ドメインcDNAのクローニング
実施例3(5)で得られた塩基配列を元にイヌ抗体重鎖遺伝子の定常領域cDNAを増幅し、可変領域cDNAに連結させる、またはトランスファーベクターに組み込むことを考慮して特定の制限酵素サイトを付加した下記のプライマーH-CF、H-CRオリゴヌクレオチドを合成した。
【0061】
H-CF(配列番号36)
:5'-GGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCGTCGACCACGGCCCCCTCGGTT-3'
H-CR(配列番号37)
:5'-GCGGATCCTCATTTACCCGGAGAATGGG-3'
【0062】
実施例3(4)で得られたプラスミドDNAを鋳型とし、TAKARA LA-Taqポリメラーゼ(2.5U)とプライマーHC-FおよびH-CR(最終濃度各0.4μM)を使用して全量50μlにて94℃45秒、55℃1分、72℃2分を1サイクルとしたPCRを25サイクル行った。PCR産物は1%アガロースゲルで電気泳動し、約1000bpのバンドを確認した。
【0063】
(3) イヌ化抗体γ鎖遺伝子の全長cDNAの作製
実施例4(1)で得られたイヌ化抗体重鎖遺伝子の可変領域cDNAと実施例4(2)で得られた定常領域cDNAを混合し、TAKARA LA-Taqポリメラーゼ(2.5U)を使用して、94℃45秒、55℃1分、72℃2分を1サイクルとしたPCRを25サイクル行った。PCRの反応液を100倍に希釈して鋳型とし、プライマーH-VFおよびH-CR(最終濃度各0.4μM)を用いて、同じ反応条件でイヌ化抗体重鎖遺伝子cDNAの全長を合成するためのPCRを行った。PCR産物は1%アガロースゲルで電気泳動し、約1450bpのバンドを確認した。増幅したDNA断片はPromega社製のT4リガーゼを使用し、pGEM-T Easy ベクターに実施例3(4)と同様にクロ-ニングした。得られたクロ-ンは実施例3(5)と同様の方法で塩基配列を決定した。なお、クロ-ニングしたイヌ化抗体重鎖遺伝子cDNAに1塩基の変異が認められた(262番目の塩基がAからGに置換していた)ため、次項に示す方法で修復した。
【0064】
(4) イヌ化γ鎖cDNA遺伝子の塩基置換の修復
変異が認められた箇所を修復するため下記のプライマーを設計し、PCRを行った。
【0065】
H-13-XhoI(配列番号38):5'-CGATTCACCATCTCGAGAGACAACG-3'
H-14-XhoI(配列番号39):5'-CGTTGTCTCTCGAGATGGTGAATCG-3'
【0066】
プライマーH-13-XhoIおよびベクタ-に相補的なSP6プライマ-(最終濃度各0.3μM)を用いてcDNAの前半部分を、また、プライマーH-14-XhoIおよびベクタ-に相補的なT7プライマー(最終濃度各0.3μM)を用いてcDNAの後半部分を増幅した。実施例5(3)で得られたプラスミドクローンを鋳型とし、TOYOBO社製の KOD-PLUS(1U)を使用したPCRを94℃15秒、58℃30秒、68℃50秒を1サイクルとして30サイクル行った。前半部分、後半部分の各PCR産物をエタノール沈殿後、スピンカラム(Centri-Sep、Applied Biosystems)で精製し、前半部分のPCR産物は制限酵素XhoI、SphI(Roche社)で、また、後半部分のPCR産物は制限酵素XhoI(Roche社)、SacI(TAKARA社)で消化した。制限酵素処理した各PCR産物は実施例3(4)と同様にして、あらかじめSphI、SacIで消化しておいたpGEM-T Easyベクターにライゲーションし、クロ-ニングした。ただし、コンピテント化した大腸菌はJM109(TAKARA社)を用いた。また、得られたプラスミドクロ-ンを実施例3(5)と同様の方法で塩基配列の確認をしたところ、目的の塩基配列を有するイヌ化重鎖遺伝子cDNAの全長がクロ-ニングされていた。イヌ化重鎖遺伝子、可変ドメインcDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号17、18に示す。以上の構築過程を模式的に図6に示した。以降、このイヌ化重鎖遺伝子cDNAの全長がクロ-ニングされたプラスミドをpCIgγと呼ぶ。
【0067】
実施例6 CDR移植によるイヌ化抗体κ鎖cDNAの合成
(1) イヌ化抗体κ鎖可変領域cDNAの合成
実施例4で得られたイヌ抗体κ鎖遺伝子の可変領域cDNA塩基配列より、実施例5(1)と同様にマウスのCP3a遺伝子のκ鎖可変ドメインのCDRをイヌ抗体κ鎖のCDRと交換した抗CPVイヌ化抗体κ鎖遺伝子の可変領域cDNAを設計し、下記のオリゴヌクレオチド断片(Kappa1〜4)およびプライマーk-VFおよびk-VRオリゴヌクレオチドを使用してイヌ化抗体κ鎖可変領域cDNAを合成した。合成の過程を模式的に図5に示した。1%アガロースゲル電気泳動により、最終PCR産物に約420bpのバンドを確認した。
【0068】
Kappa1(配列番号40):
5'-GGAAGATCTTCATGAGGTTCCCTTCTCAGCTCCTGGGGCTGCTGATGCTCTGGATCCCAGGATCCAGTGGGGATATGTGCATGACACAGACCCCACTGTCCCTGTCCGTCAGCCCTGGAGAGACTGCCTCCATCT-3'
Kappa2(配列番号41):
5'-ATTTTTGCATTATAGACCAGGAGCTGTGGAGACTGGCCTGGCTTCTGTCGATACCATAGTAAATAACTGTAGAGGCTCTGACTGGCCTTGCAGGAGATGGAGGCAGTCTCTCCAGGGCTGACGGACAGGGACAG-3'
Kappa3(配列番号42):
5'-CAGGCCAGTCTCCACAGCTCCTGGTCTATAATGCAAAAATCTTAGCAACTGGCGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGCGGGTCAGGGACAGATTTCACCCTGAGAATCAGCACAGTGGAGGCTGACGATACTGGA-3'
Kappa4(配列番号43):
5'-GCCAGCTGGCTGGGCATCATTCCGTTTGAGCTCCACCTTGGTTCCTGCTCCGAACGTGTACGGAGTAGCATAATGATGTTGGCAGTAATAAACTCCAGTATCGTCAGCCTCCACTGTGCTGATTCTCAGGGTG-3'
【0069】
K-VF(配列番号44):5'-GGAAGATCTTCATGAGGTTCCCTTCTCAGCT-3'
K-VR(配列番号45):5'-GACAGCTGGCTGGGCATCAT-3'
【0070】
(2) PCR産物のクローニング
Promega社製のT4リガーゼを使用し、pGEM-T Easyベクターに実施例6(1)で得られたDNA断片をそれぞれ実施例3(4)と同様にクロ-ニングした。得られたクロ-ンは実施例3(5)と同様の方法で塩基配列を決定し、実施例6(1)で設計した配列と同一であることを確認した。
【0071】
(3) イヌ抗体κ鎖遺伝子の定常領域cDNAのクローニング
イヌ免疫グロブリンκ鎖遺伝子、定常ドメインcDNAをクローニングするため既に報告されているイヌ免疫グロブリンκ鎖遺伝子の定常領域の塩基配列(特許2811089)を基にプライマ-CaIgk-F、CaIgk-Rオリゴヌクレオチドを合成した。下記にその配列を示す。
【0072】
CaIgk-F(配列番号46):5'-AATGATGCCCAGCCAGCCGT-3'
CaIgk-R(配列番号47):5'-TTAGTCCACTCTCTGACACT-3'
【0073】
まず、実施例3(1)で調製したRNAの2μg分を鋳型とし、実施例4と同様にプライマーCaIgk-F、CaIgk-Rを用いて、イヌ免疫グロブリンκ鎖遺伝子の定常領域cDNAをクロ-ニングした。クロ-ニングした定常領域cDNAを再び増幅し、可変領域cDNAに連結させる、またはトランスファーベクターに組み込むことを考慮して特定の制限酵素サイトを付加した下記のプライマーFuKC-F、K-CRオリゴヌクレオチドを合成した。
【0074】
FuKC-F(配列番号48):5'-AACCAAGGTGGAGCTCAAACGGAATGATGCCCAGCCAGCCGTC-3'
K-CR(配列番号49):5'-GGAAGATCTTTAGTCCACTCTCTGACACT-3'
【0075】
次に、得られたプラスミドDNAを鋳型とし、LA-Taqポリメラーゼ(2.5U)と最終濃度各0.4μMのプライマーFuKC-FおよびK-CRを使用して全量50μlにて94℃30秒、58℃1分、72℃2分を1サイクルとしたPCRを25サイクル行った。PCR産物は1%アガロースゲルで電気泳動し、約400bpのバンドを確認した。得られたDNA断片を実施例3(4)と同様にクロ-ニングし、得られたクロ-ンは実施例3(5)と同様の方法で塩基配列を決定し、目的の塩基配列を有することを確認した。
【0076】
(4) イヌ化抗体κ鎖遺伝子の全長cDNAの構築
実施例6(2)で得られたイヌ化抗体κ鎖可変領域cDNAをクロ-ニングしたプラスミドを制限酵素EcoRI(Roche社)、SacI(TAKARA社)で消化し、実施例6(3)で得られたイヌ免疫グロブリンκ鎖定常領域cDNAをクロ-ニングしたプラスミドを制限酵素PstI、SacIで消化した。各DNA断片は実施例3(4)と同様に、あらかじめEcoRI、PstIで消化したpGEM-3Zf(+)ベクター(ABI社)とライゲーションし、クロ-ニングした。また、得られたプラスミドを実施例3(5)と同様の方法で塩基配列の確認をしたところ、目的の塩基配列を有するイヌ化κ鎖遺伝子cDNAの全長がクロ-ニングされていた。イヌ化抗体κ鎖遺伝子cDNA全体の塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号19、20に示す。また、構築過程を模式的に図6に示した。以降このプラスミドをpCIgκと呼ぶ。
【0077】
実施例7: 抗イヌ免疫グロブリンウサギ抗血清の作製
(1) イヌ免疫グロブリンの精製
イヌの血清よりHiTrap rProteinA FF 1mlカラム(Amasham社)を使用してイヌ免疫グロブリンを精製した。すなわち、イヌより採取した血清2mlに等量の2×Binding buffer(40mM リン酸ナトリウム(pH7.0))を加えて撹拌した後、グラスフィルタ-(東洋濾紙社)にてろ過した。前処理した血清4mlを5mlの1×Bindingbuffer(40mM リン酸ナトリウム(pH7.0))で平衡化したカラムに通し、イヌ免疫グロブリンをカラムに結合させた。10mlの1×Binding bufferでカラムを洗浄した後、2mlのElution buffer(0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.0))でイヌ免疫グロブリンを溶出した。溶出液に600μlの1M トリス-塩酸(pH9.0)を加えて中和し、免疫用抗原とした。
【0078】
(2)免疫
免疫用抗原0.4mlに等量のFCA(ヤトロン社)を混合し、2週間間隔で2羽のウサギに合計5回免疫した。5回目の免疫後、さらに2週間後にウサギより血液を採取し、血清を分離して抗イヌ免疫グロブリンウサギ抗血清を得た。
【0079】
(3)ウエスタンブロッティング法による抗血清の検査
抗原に対する反応性はウエスタンブロッティング法により確認した。すなわち、免疫用抗原をSDS-PAGEにより分離後、PVDF膜(ミリポア社)へと転写し、その後、5%スキムミルクを含むPBSで室温にて1時間ブロッキングを行った。上記で得られた抗イヌ免疫グロブリンウサギ抗血清は5%スキムミルクを含むPBSで希釈し、ブロッキング処理した膜と室温で1時間反応させた後、PBSで15分間の洗浄を2回行った。洗浄後、膜は5%スキムミルクを含むPBSで1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ抗体(ICN Biomedicals, Inc)と室温で1時間反応させ、PBSで5分間の洗浄を3回行った。膜上のバンドの検出は3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩10mg(Sigma社製)を20mlのPBSに溶解して30%過酸化水素水を32μlを加えた溶液に浸して行った。イヌ免疫グロブリンの重鎖と軽鎖に相当する2本のバンドが確認された。
【0080】
実施例8:組換えバキュロウイルスの作製
(1)バキュロウイルストランスファーベクターの構築
バキュロウイルストランスファーベクターとしてはpAcUW51(PharMingen社)を用いた。このベクターには2つのプロモーター領域(polyhedrinおよびP10)があり、それぞれのプロモ-タ-の下流に接続された遺伝子を同時に発現させる。なお、polyhedrinプロモーターの下流にはイヌ化抗体γ鎖cDNAを、P10プロモーターの下流にはイヌ化抗体κ鎖cDNAを組み込んだ。
【0081】
実施例6(4)で得られたpCIgγを制限酵素BamHI(Roche社)で消化し、アガロース電気泳動後、切り出されたγ鎖cDNA部分を実施例4(4)と同様にしてアガロ-スゲルより回収し、あらかじめ制限酵素BamHIで消化したpAcUW51とライゲ-ションし、クロ-ニングした。polyhedrinプロモーターに対してcDNAが順方向に挿入されたクローンを選択し、プラスミドDNAの抽出・精製を行った。得られたプラスミドは制限酵素BglII(Roche社)で消化した後、実施例7(4)で得られたpCIgκをBglIIで消化して切り出されるイヌ化抗体κ鎖cDNA部分を上記と同様にして組み込んだ。P10プロモーターに対してイヌ化抗体κ鎖cDNAが順方向に挿入された3個のクローンを選択した。以上の構築過程を模式的に図7に示した。以降、このイヌ化抗体遺伝子のγ鎖、κ鎖両cDNAを組み込んだトランスファーベクターをpCIg-CPV(クロ-ン1〜3)と呼ぶ。
【0082】
(2) トランスフェクション
バキュロウイルスの宿主細胞としては昆虫細胞であるSf21AE細胞を用いた。Sf21AE細胞は10%牛胎児血清(FBS)、0.26% bactotryptose broth(DIFCO社製)、50μg/mlカナマイシンを含むGrace's培地(GIBCO BRL社)で培養した。トランスファーベクターpCIg-CPVと制限酵素により切断したバキュロウイルスゲノムDNAとを宿主細胞であるSf21AE細胞へ同時にトランスフェクションすると、組換えが起こってpCIg-CPVが組み込まれた遺伝子をもつ組換えバキュロウイルスが得られる。ゲノムが切断されたままのウイルスは増殖することができないため、この方法では相同組換えによりゲノムがつながった組換えウイルスが選択的に増殖する。
【0083】
制限酵素Bsu36Iで切断したバキュロウイルスゲノムDNA、BacPAK6(Clontech社)を20ngと実施例8(1)で得られた3クローンのpCIg-CPV各1μgとを混合し、滅菌蒸留水で総量を8μlとした。このDNA溶液と2倍希釈したリポフェクチン(GIBCO BRL社)8μlを混合し、15分間室温にて静置した。あらかじめ1×106 cells/wellとなるように6穴プレートに播種しておいたSf21AE細胞を無血清Grace's培地で洗浄し、同じ培地を1ml加えた後、前記のDNA-リポフェクチン溶液を添加した。27℃で一晩培養した後、1mlの血清入り培地を加え、さらに27℃で培養を続けた。
【0084】
(3) プラッククローニング
培養上清に出現したウイルスより組換えウイルスをプラック法によりクローニングした。トランスフェクションから3日後、培養上清を培地で102、103、104倍希釈し、1×106 cells/wellとなるように6穴プレートに播種しておいたSf21AE細胞にこのウイルス希釈液200μlを加えて1時間感染させた。ウイルス希釈液を除き、45℃で保温しておいた1%のSea plaqueアガロース(FMC Bio Products社)を含む培地を加えた後、30分室温で静置して固めた。その上から培地を1ml加え、27℃で3日間培養し、プラックが形成されていることを確認した後、0.01%のニュートラルレッドを含むPBSを滴下した。一晩27℃で培養し、細胞の死滅により色の抜けているプラックを確認して印を付けた。印を付けたプラックをパスツールピペットで抜き取り、500μlの培地に懸濁し、さらに超音波処理をしてアガロースを破壊した。遠心でアガロースを沈殿させ、上清を102、103、104倍希釈して次のプラッククローニングに用いた。同じ行程をさらに2回繰り返し、計3回のプラッククローニングを行って各クローンにつき3つの組換えバキュロウイルスを得た。
【0085】
(4) イヌ化抗体タンパク質の昆虫細胞での発現
組換えバキュロウイルス感染培養上清を用いて、組換えウイルスをSf21AE細胞に感染させ、3日後に感染細胞と培養上清を回収した。回収した感染細胞はPBSで洗浄した後−30℃に保存した。
【0086】
感染細胞および培養上清中の発現タンパク質をSDS-PAGEにより解析したところ、組換えバキュロウイルス感染細胞の方にはイヌ化抗体γ鎖およびκ鎖遺伝子のアミノ酸配列から予想される分子量である約52kDと約32kDの位置にバンドが検出された。結果を図8に示した。また、感染細胞および培養上清中の発現タンパク質をSDS-PAGEによって分離後、実施例6(3)と同様にして抗イヌ免疫グロブリンウサギ抗血清を用いたウェスタンブロッティング法で解析したところ、上記と同じ位置に2本の特異的なバンドが検出された。結果を図9に示した。これにより、イヌ化抗体γ鎖およびκ鎖が昆虫細胞内でタンパク質として発現したことが示された。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、抗体をイヌ化するための遺伝子素材およびアミノ酸配列情報を得るための方法を提供し、それらを組み合わせることにより、イヌに投与した場合に低抗原性である抗体応用医薬品を開発するための技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】イヌγ鎖クローン2のアミノ酸配列とイヌγ鎖A、B、ヒトγ1〜4鎖、マウスγ鎖と整列させた。*はイヌγ鎖クローン2と同じアミノ酸であることを示す。
【図2】イヌκ鎖クローンのアミノ酸配列とヒト、マウス、ネコのκ鎖と整列させた。*はイヌκ鎖クローン2と同じアミノ酸であることを示す。
【図3】イヌλ鎖クローンのアミノ酸配列とヒト、マウス、ミンクのλ鎖と整列させた。*はイヌλ鎖クローン2と同じアミノ酸であることを示す。
【図4】イヌ化抗体重鎖可変領域のcDNAの合成過程を模式的に示した。また、PCR産物1〜4をアガロース電気泳動した泳動パターンを示した。
【図5】イヌ化抗体κ鎖可変領域のcDNAの合成過程を模式的に示した。また、PCR産物4をアガロース電気泳動した泳動パターンを示した。
【図6】イヌ化抗体γ鎖およびκ鎖cDNAを有するプラスミドpCIgκおよびpCIgγの構築過程を模式的に示した。
【図7】イヌ化抗体γ鎖およびκ鎖cDNAを有するバキュロウイルストランスファープラスミドpCIg-CPVの構築過程を模式的に示した。
【図8】組換えバキュロウイルスをSf21AE細胞に感染させ、その培養上清および細胞分画をSDS-PAGEで解析した結果を示した。矢印は発現タンパク質を示している。
【図9】図8の電気泳動を抗イヌ免疫グロブリン抗血清を用いてウエスタンブロッティングにより解析した結果を示した。矢印は発現タンパク質を示している。
【配列表】
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Claims (7)

  1. 配列番号2に示すイヌ免疫グロブリンκ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、
    配列番号4に示すイヌ免疫グロブリンλ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、
    および配列番号6、8、10、12に示すイヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列をもとにイヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体のCDRを移植して作成される、配列番号17、19に示す可変領域を持つことを特徴とするイヌ化抗体遺伝子。
  2. 請求項に記載されたイヌ化抗体遺伝子の可変ドメインを、イヌで抗原性を示さない他のタンパク質遺伝子と融合してなることを特徴とする融合タンパク質遺伝子。
  3. 請求項に記載された融合タンパク質遺伝子のうち、特に特異性がイヌパルボウイルスに対するものであることを特徴とする融合タンパク質遺伝子。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載された遺伝子を真核細胞で発現することを特徴とする発現ベクター。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載された遺伝子を真核細胞で発現することを特徴とするウイルスベクター。
  6. 請求項またはに記載されたベクターを真核細胞に導入してイヌ化抗体タンパク質を生産することを特徴とするイヌ化抗体タンパク質の製造方法。
  7. 配列番号2に示すイヌ免疫グロブリンκ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、
    配列番号4に示すイヌ免疫グロブリンλ遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列、
    および配列番号6、8、10、12に示すイヌ免疫グロブリンγ鎖遺伝子可変領域ドメインを有するアミノ酸配列をもとにイヌパルボウイルスに対する中和モノクローナル抗体のCDRを移植して作成される、配列番号17、19に示す可変領域を持つイヌ化抗体遺伝子によってコードされる、配列番号18、20に示すアミノ酸配列である可変領域を持つことを特徴とするイヌ化抗体タンパク質。
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