JP4263024B2 - 炭素薄膜の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧下で堆積された炭素薄膜の製造方法および前記炭素薄膜の製造装置に関する。さらに詳しく言えば、本発明は、水晶振動子、水晶フィルタや水晶発振器に用いる水晶片のような小形素子や回路が形成された半導体の表面に必要な電極を形成する炭素薄膜の製造方法および前記薄膜の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水晶振動子、水晶フィルタや水晶発振器に用いる水晶片の表面に電極材として金や銀を蒸着させて電極を形成する方法が一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、携帯電話等の通信機に組み込まれる水晶振動子、水晶フィルタや水晶発振器に用いる水晶片は、機器の高性能化に伴い高周波化されてきている。
水晶片は振動周波数が高周波に成る程その厚みが薄くなるので、水晶片の振動を阻害しないように薄くて軽い電極材を水晶片の表面に付ける必要がある。
本件出願人は、特許文献1に記載の水晶薄膜およびその製造方法の発明をしている。この方法によれば、極めて薄い水晶片を製造することができるが、物理的特性を損なわないために極めて軽量な電極を用いる必要がある。
【特許文献1】
特開2000−80296号
【0004】
本発明の目的は、回路が形成された半導体や小形振動子などの電極に利用できる炭素薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記炭素薄膜の製造方法を実施するための薄膜製造装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の炭素薄膜の製造方法は、
原料供給部でテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシランの群から選択された一種または複数種の珪素アルコキシドを大気圧下において気化するステップと、
反応ガスである塩化水素ガスを発生するステップと、
前記気化したガスと塩化水素ガスを反応室に導入するステップと、
前記ガスの反応により発生した炭素を前記反応室に配置された基板上に堆積させるステップとから構成されている。
【0006】
本発明による請求項2記載の炭素薄膜の製造方法は、請求項1記載の炭素薄膜の製造方法において、
前記原料供給部は25〜120℃の間に加熱され、
前記反応室および前記基板の温度は炭素の成長温度範囲である500℃〜850℃であり、好ましくは約500℃に加熱されている。
本発明による請求項3記載の炭素薄膜の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、前記基板上に堆積される炭素薄膜の堆積速度は単位時間当たり0.1〜10ミクロンである。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による請求項4記載の炭素薄膜の製造装置は、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシランの群から選択された一種または複数種の珪素アルコキシドを大気圧下において気化する原料供給部と、
塩化水素ガスを発生する塩化水素ガス発生部と、
キャリアガス供給部と、
基板を支持し、前記原料供給部、塩化水素ガス発生部、キャリアガス供給部からのガスを受け入れ炭素の成長温度に保たれている反応室と、
前記反応室から基板に接触後のガスを排気する排気手段とから構成されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面等を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の大気圧下での気相成長は、原料として珪素のアルコキシドを用い、これを加熱により蒸発させ、窒素などのキャリアガスで基板上へ輸送し、基板上での塩化水素との反応の副産物として生じる炭素を基板上に堆積させて炭素薄膜としたものである。珪素のアルコキシドの加熱源としては、高周波誘導加熱ヒータや抵抗加熱ヒータなどのヒータを用いることができる。
一般に加熱温度は、珪素のアルコキシドの蒸気圧を考慮し、25〜120℃程度である。また、原料の一部を成長部に供給するためのキャリアガスとしては、不活性なガスであればよく、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを用いることができるが、窒素が安価という点で好ましいものである。
【0009】
本発明を実施例により詳細に説明する。本発明の大気圧下での気相成長の一例として、原料である珪素のアルコキシドとしてテトラエトキシシランを用い、キャリアガスに窒素を用い、基板として水晶片を用いた場合について以下に説明する。
【0010】
【実施例】
典型的な反応条件を表1に示す。なお、表中の「sccm」は「Standard cubiccentimeter per minute 」のことである。
(表1)
テトラエトキシシラン分圧 3.3×10-3atm
塩化水素分圧 1.67×10-3atm
全圧 1atm
5%HCl / N2 流量 20sccm
窒素流量 95sccm
全流量 800sccm
成長温度 500℃(成長温度の下限)
前記方法を実施するための装置の実施例である気相成長装置は、図1に示すように、縦型の石英反応器である。反応装置1は、原料供給部2と成長部3とからなり、それぞれの温度に保持されている。
原料供給部2は25〜120℃の間に加熱され、ここで珪素原料のテトラエトキシシランを気化器4からその一部を気化し、これはキャリアガス供給手段10から供給される窒素により成長部3に運ばれる。
一方、前記原料ガスと反応して炭素を形成するための塩化水素は塩化水素供給源11から窒素とともに装置1内の成長部3に導入される。
成長部3は、通常、炭素の成長温度の下限である500℃に加熱され、基板となる水晶片5も同温度で保持されている。
なお、炭素の成長温度の範囲は、500℃〜850℃である。
【0011】
成長部3に供給されたテトラエトキシシランと塩化水素との反応の副産物として生じる炭素を水晶片5の表面上に吸着、堆積成長させ、炭素薄膜を形成する。装置の下方から導入される窒素は、成長部3に対流を作り反応を促進させ、所定の排気口にガスを誘導するためのものであり、装置内の全圧力は大気圧に保たれている。反応後に生じる四塩化珪素(SiCl4)、水素、水や未反応のテトラエトキシシランはキャリアガスの窒素とともに排気管12より排出される。石英棒6は、水晶片5をその上に載せて出し入れするためのものである。装置内に残った炭素は、水晶片5を取り出した後、装置を酸素雰囲気加熱することにより二酸化炭素として排出され、装置は全く元通りの状態に戻る。
【0012】
図1に示す装置で、図1の上中央から窒素で5%に希釈された塩化水素ガスを流量20sccmで、左右の上部から窒素ガス(99.9%以上)を流量20sccmで流し、また、気化器中のテトラエトキシシラン(純度99.9%)を、70℃に加熱するとともに、図1の左側から窒素ガスを95sccmで流し、さらに図1の下方から窒素ガスを280sccmで流して全流量を800sccmにし、全圧を1atm に調整した。このときの、塩化水素の分圧は1.67×10-3atm であり、テトラエトキシシランの分圧は3.3×10-3atm であった。基板には水晶片を用い基板の温度を500℃(成長温度の下限)に設定して、厚さ2ミクロンの炭素薄膜を得た。
【0013】
このときの水晶片上への炭素の単位時間当たりの堆積量は0.5ミクロン /毎時であった。得られた薄膜について、ラマン分光法、EDSおよびXPSで測定してその薄膜は炭素であることが検証された。
EDS(Energy Dispersive Spectrometer)とは、エネルギー分散型X線分析装置のことであり、XPSとは、X線光電子分光分析装置のことであり、両装置共元素分析に使用するものである。EDS、XPS両測定の検出限界の0.1atm %においては、両分析で不純物として可能性のあるCl,O,Si の混入は確認されなかった。この分析結果から、薄膜は実質的に炭素のみからなる薄膜であるということができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明方法および装置により炭素薄膜を製造することができる。前記炭素薄膜を用いて、水晶振動子、水晶フィルタや水晶発振器に用いる水晶片の表面上に、炭素で電極を作製することができる。このようにして得られた水晶片上の炭素薄膜は、非常に優れた導電性を持っていて、水晶片を発振させるための励振用の電極として優れたものである。本発明の炭素薄膜を製造するための方法は、大気圧下で行うことができ、従来より使用されている金や銀を蒸着するのに必要とされる高価な真空装置が不要である。炭素は、水晶片を振動させるための励振用電極材として従来より使用されている金や銀よりも密度が小さく軽い特徴があるので、炭素で作製された電極は、近年、高周波用として、どんどん厚みが薄くなる水晶片の振動特性を損なわない電極として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法により炭素薄膜の気相成長を行うための装置の概略図である。
Claims (4)
- 原料供給部でテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシランの群から選択された一種または複数種の珪素アルコキシドを大気圧下において気化するステップと、
反応ガスである塩化水素ガスを発生するステップと、
前記気化したガスと塩化水素ガスを反応室に導入するステップと、
前記ガスの反応により発生した炭素を前記反応室に配置された基板上に堆積させるステップとから構成した炭素薄膜の製造方法。 - 前記原料供給部は25〜120℃の間に加熱され、
前記反応室および前記基板の温度は炭素の成長温度範囲である500℃〜850℃であり、好ましくは約500℃に加熱されている請求項1記載の炭素薄膜の製造方法。 - 前記基板上に堆積される炭素薄膜の堆積速度は単位時間当たり0.1〜10ミクロンである請求項1に記載の炭素薄膜の製造方法。
- テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシランの群から選択された一種または複数種の珪素アルコキシドを大気圧下において気化する原料供給部と、
塩化水素ガスを発生する塩化水素ガス発生部と、
キャリアガス供給部と、
基板を支持し、前記原料供給部、塩化水素ガス発生部、キャリアガス供給部からのガスを受け入れ炭素の成長温度に保たれている反応室と、
前記反応室から基板に接触後のガスを排気する排気手段とから構成した炭素薄膜の製造装置。
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JP2003160474A JP4263024B2 (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 炭素薄膜の製造方法および製造装置 |
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