JP4260902B2

JP4260902B2 - エアゾール型発泡性傷口洗浄消毒剤

Info

Publication number: JP4260902B2
Application number: JP23621994A
Authority: JP
Inventors: 裕二辻; 太郎上田
Original assignee: Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Current assignee: Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Priority date: 1994-09-30
Filing date: 1994-09-30
Publication date: 2009-04-30
Anticipated expiration: 2024-04-30
Also published as: JPH0899873A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明はエアゾール型発泡性傷口洗浄消毒剤に関する。
【０００２】
【従来の技術】
現在、様々な殺菌消毒スプレー（傷口洗浄を目的のひとつとしたもの）が市販されているが、それらは皆、スプレー後、泡が暫くの間、持続するもの又は、泡が消えやすくすぐ液ダレを起こしてしまうタイプのものであった。このようなタイプの殺菌消毒スプレーは洗浄力が弱いという欠点を有していた。即ち、洗浄性を考慮すると、発泡により創面を機械的に洗浄し、速やかに液状となり、汚れを流し落とすという作用が要求されるが、従来の殺菌消毒スプレーにはこのような作用を有するものは存在しなかったからである。例えば、特開平４−２８２３１１号公報はエアゾール型の発泡性傷口消毒剤を開示している。しかしながら、この消毒剤はエアゾール容器から傷口に噴出されると、発泡して泡を形成して傷口全体を覆うが、この泡はしばらくの間持続し、ガーゼ等で押さえることにより消泡させていた。このように、この傷口消毒剤では、傷口に噴出後ふき取る等の動作を必要としていた。
【０００３】
発泡により創面を機械的に洗浄し、速やかに液状となり、汚れを流し落とす作用を有することが知られているオキシドールは、血清成分と反応するので、出血がない場合等の血清成分が存在しない場合は洗浄力が落ちる欠点を有していた。
【０００４】
また、傷口に付着した泥等を洗浄除去するには発泡させることによる機械的洗浄が効果的であるが、オキシドールでは条件によってその能力が低下する場合があった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、傷口にスプレーした後、発泡し、一定時間泡を保持し、その後速やかに消泡することにより傷口を機械的に洗浄し、汚れを浮き上がらせることである。速やかに消泡することによりその汚れを傷口の外側へ移動させ汚れの傷口への再付着を防止する傷口消毒剤を提供する。
【０００６】
本発明者等はオキシドールが発泡により創面を機械的に洗浄し、速やかに液状となり、汚れを流し落とす作用を有するとされていることに着目して、このような作用を有する殺菌消毒スプレーの研究を進めていた。その中で、消泡剤に特に注目した。
【０００７】
まず、シリコーンは原液（水）と混合しない欠点を有していた。シリコーン乳化物は透明エアゾール缶中で浮遊物を形成し、使用を継続するとエアゾールのノズルのつまりを生じることがあった。また、ヒドロキシプロピルセルロースのような増粘剤の使用に際しても継続使用によるエアゾールのノズルのつまりを生じることがあった。また、アルコールでは消泡作用に乏しく、量が多いと傷口に噴霧したときしみるという欠点を有していた。
【０００８】
本発明者等は鋭意研究の結果、まず、起泡させて、一定時間その泡を保持し、その後、消泡剤として特定のシリコーン樹脂を使用することにより速やかに消泡させることにより、汚れ落ちがよくなり、起泡剤として用いる界面活性剤が殺菌剤としての働きも併せ持つものとすることによって消毒殺菌作用をも付与できることを見いだし、本発明の完成に至った。本発明により、傷口の創面に傷口消毒剤を注ぎ泡沫を生じさせ異物を洗い流すことができた。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される殺菌剤０.０４〜０.２５重量％、１５,０００CS（２５℃）以下の粘度を有するシリコーン樹脂０.２７〜２.７０重量％、、望ましくは０.３〜２.０重量％及び噴射剤を含むエアゾール型発泡性傷口洗浄消毒剤を提供するものである。
【００１０】
傷口消毒剤の処方中に本発明の特定のシリコーン樹脂を加えることによりオキシドール様の起泡及び消泡性を示した。
【００１１】
本発明で使用するシリコーン樹脂は、１５,０００CS（２５℃）以下の粘度を有するもので、特に、ＳＨ５５００（トーレ・シリコーン社製シリコーン樹脂）として知られているものが使用できる。傷口洗浄消毒剤（噴射剤を除いた成分）を基準として０.２７〜２.７０重量％配合することができる。好ましい範囲は０.３〜２.０重量％である。粘度が１５,０００CS以上である場合は製造上、エアゾール缶に充填しにくいという問題がある。また、使用量が０.２７重量％未満では消泡せず、２.７０重量％を越えるとシリコーン樹脂が汚れに付着してしまい、汚れがベタつき汚れ落ちしにくくなる。シリコーン樹脂の消泡のメカニズムは、噴射剤のガスの気泡の表面張力を低下させることにより破裂させ消泡するものである。
【００１２】
本発明で使用する殺菌剤は塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン（商標、テゴー５１として知られている）及びそれらの混合物からなる群から選択される。これらの殺菌剤は界面活性剤としても働くため、発泡する。このため、本発明では、発泡剤は必須の成分ではない。配合の割合は０.０４〜０.２５重量％であり、好ましい範囲は、０.０５〜０.１０重量％である。塩酸アルキルジアミノエチルグリシンは、０.０５〜０.１０重量％で使用される。
【００１３】
本発明の傷口消毒剤に添加できる成分としては、局所麻酔剤（塩化ジブカイン）、血管収縮剤（塩酸ナファゾリン）及び消炎剤（マレイン酸クロルフェニラミン）等が挙げられる。
【００１４】
本発明では、は、ＬＰＧ、ジメチルエーテル、イソペンタン又はｎ−ブタンを噴射剤として使用できる。一般に、傷口洗浄消毒剤の原液に対して噴射剤５〜６５重量％を使用できる。５％未満ではエアゾール缶内に薬剤が残ってしまい、６５％を越えると噴射時に薬剤がシャーベット状になり洗浄効果が著しく低下する。
【００１５】
次に、本発明の実施例を示すがこれらに限定されるものではない。
【００１６】
【実施例】
実施例１〜２５及び比較例１〜１４
表１〜５に示した処方例の原液４０ｇと噴射剤１０ｇとをエアゾール容器に充填して本発明の傷口消毒剤を製造した。
【００１７】
【表１】

【表２】

【表３】

【表４】

【表５】

表１〜５中、汚れ落ち試験は次の方法により行った。
【００１８】
泥（小林製薬株式会社大阪工場の門付近の土（３５５μmのふるいを通過したもの））５ｇと馬血清５ｇとを混合し、混合物Ａとした。豚皮（４×４ｃｍに切断したもの）に直径２８ｍｍの円を描き、生理食塩水に浸し膨潤させた。上記豚皮を板上に固定し、混合物Ａ０.５ｇを豚皮上の円中に均一になるように広げ、本発明のエアゾールを豚皮から５ｃｍの距離から豚皮上に噴霧した。その評価は次の通りとした。
【００１９】
〇よく落ちる、 △ あまり落ちない、 × ほとんど落ちない
【００２０】
【発明の効果】
本発明の実施例に示したとおり、本発明のシリコーン樹脂を含む傷口消毒剤を使用すると、汚れを効果的に流し落とすことができる。本発明により、傷口にスプレーした後、発泡することにより傷口を機械的に洗浄し、汚れを浮き上がらせ、一定時間後、速やかに消泡することによりその汚れを傷口の外側へ移動させ汚れの傷口への再付着を防止することができる。これに対して、本発明のシリコーン樹脂を含まない傷口消毒剤及び本発明の各種成分の使用範囲外にあるものは傷口の洗浄力は劣っていた。

Claims

塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される殺菌剤０.０４〜０.２５重量％（傷口洗浄消毒剤（噴射剤を除く）を基準とした重量％。以下、特に指定する場合以外は同じ。）、１５,０００CS（２５℃）以下の粘度を有するシリコーン樹脂０.２７〜２.７０重量％及び傷口洗浄消毒剤全体の重量を基準として５〜６５重量％の噴射剤を含むエアゾール型発泡性傷口洗浄消毒剤。
シリコーン樹脂の配合量が０.３〜２.０重量％である、請求項１記載のエアゾール型発泡性傷口洗浄消毒剤。