JP4144700B2 - トイレ用洗浄エアゾール組成物及びこれを用いた洗浄方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、トイレの便座及び便座周辺の床面を洗浄するためのトイレ用洗浄エアゾール組成物、及びこれを用いた洗浄方法に関する。更に詳しくは、本エアゾール組成物をトイレットペーパーに適量噴射塗布し、これを用いて洗浄する方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、水洗トイレが和式から洋式に変わりつつあり、また清潔志向が高まっていることから、トイレの臭いや便座及びその周辺の汚れを気にする人が増えている。かかる状況を背景として、各社から消臭剤や除菌クリーナーといった製品が多数発売されている。
従来、トイレの便座及び便座周辺の床面の洗浄剤としては、アルコールに殺菌剤を溶解したエアゾールスプレーを便座に吹き付け、ティッシュやトイレットペーパーで拭き取るタイプのもの（特開昭６３−４０５５８号公報）や、薬液をあらかじめ含浸させた紙製又は布製シートを１枚ずつ取り出し汚れを拭き取るタイプ（特開昭６３−４０５５５号公報）のものが主流であった。
しかしながら、エアゾールを便座に吹き付けトイレットペーパーを用いて拭き取る場合、水の配合量が多い処方では、トイレットペーパーが水で崩壊しやすい性質（水解性）のため処理中に破れてしまうことがあり、一方、水の配合量が少ない処方では手に薬液が付着した場合に手が荒れる原因となった。また、洗浄シートについては、使用済みのシートをごみ箱に捨てるか、又はトイレに流して廃棄することになっているが、トイレに一度に多量のシートを流すと詰まりを生じることがあった。最近、水解性のトイレットペーパーに薬液を含浸させた後、これを用いて洗浄する方式を採用した製品も見うけられるが、この製品についてもトイレットペーパーが破れやすいという欠点は解消されていない。このため、簡単に、そして手が荒れたり汚れたりすることなく、トイレの便座及び便座周辺の床面の洗浄用に使用できる洗浄剤が消費者から求められている。
【０００３】
【特許文献１】
特開昭６３−４０５５８号公報
【特許文献１】
特開昭６３−４０５５５号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みなされたもので、トイレに常備されているトイレットペーパーを用い、手を汚すことなく、使用性を向上させたトイレ用洗浄エアゾール組成物及びこれを用いた洗浄方法を提供しようとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段ならびに発明の実施の形態】
本発明者らは、薬液をトイレットペーパーに含浸させ洗浄するという簡便な方法に着目し、水解性のトイレットペーパーに含浸させても破れにくい薬液処方について鋭意検討を重ねた。その結果、（ａ）凝固点が２０℃以下のノニオン系界面活性剤を０．３〜３．０容量％、（ｂ）炭素数が１〜３のアルコールと水の混合液を４７〜８７容量％、（ｃ）噴射剤を１０〜５０容量％含有し、かつ、前記（ｂ）の混合液を構成するアルコールと水の配合比率を９５：５〜７０：３０としたトイレ用洗浄エアゾール組成物、及びこれを用いた洗浄方法が有用であることを見出した。
【０００６】
すなわち、請求項１の発明は、（ａ）凝固点が２０℃以下のノニオン系界面活性剤を０．３〜３．０容量％、（ｂ）炭素数が１〜３のアルコールと水の混合液を４７〜８７容量％、（ｃ）噴射剤を１０〜５０容量％含有し、かつ、前記（ｂ）の混合液を構成するアルコールと水の配合比率を９５：５〜７０：３０としたトイレ用洗浄エアゾール組成物に関するものである。
【０００７】
本発明で用いる（ａ）凝固点が２０℃以下のノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン（２モル）ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン（４モル）ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン（２モル）オレイルエーテル、ポリオキシエチレン（７モル）オレイルエーテル、ポリオキシエチレン（６モル）ポリオキシプロピレン（５モル）ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン（１モル）ポリオキシプロピレン（４モル）セチルエーテル、ポリオキシプロピレン（４モル）ブチルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤は、本発明組成物の全体量に対して０．３〜３．０容量％配合される。０．３容量％未満では、洗浄力が劣り、一方、３．０容量％を越えると、使用後、界面活性剤が残留してベタつきを生じることがあるので好ましくない。また、凝固点が２０℃を越える界面活性剤もベタつきを生じやすい傾向があるので本発明の目的に適合しない。
【０００８】
本発明では、（ｂ）炭素数が１〜３のアルコールと水の混合液が、本発明組成物の全体量に対して４７〜８７容量％配合されるが、前記（ｂ）の混合液を構成するアルコールと水の配合比率を９５：５〜７０：３０としたことに特徴を有する。
（ｂ）炭素数が１〜３のアルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。そして、トイレットペーパーを用いる本発明では、前記混合液中のアルコールと水の配合比率が極めて重要となる。すなわち、水の配合量が３０容量％を越えて多くなると、洗浄時にトイレットペーパーが非常に破れやすくなる。一方、水の配合量が５容量％未満の場合、使用時に薬液が手に付着すると手が脱脂され荒れやすくなり不快感を伴う。
【０００９】
（ｃ）噴射剤としては、ＬＰＧ（液化石油ガス）、ＤＭＥ（ジメチルエーテル）が挙げられる。噴射剤は本発明組成物の全体量に対して１０〜５０容量％配合される。５０容量％を超えると、噴射された霧が必要以上に細かくなり、また、噴射剤の気化熱によって、薬液に触れた際に冷感を強く感じる場合がある。一方、１０容量％未満では、正常な噴射性能が得られず、噴射口から液だれが発生することがあるので好ましくない。なお、本発明の趣旨に支障を来たさない限りにおいて、圧縮窒素、圧縮空気を噴射剤の一部に使用してもよい。
【００１０】
また、本発明のトイレ用洗浄剤組成物には、界面活性剤以外にカビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤あるいは香料などを適宜配合することができる。
防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、２−メルカプトベンゾチアゾール、２−（４−チアゾリル）ベンズイミダゾール、トリホリン、３−メチル−４−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等を例示できる。
【００１１】
請求項２の発明は、請求項１の構成において、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレン及び／又はポリオキシプロピレンを付加したアルキルエーテルを用いたものである。
【００１２】
そして、請求項３の発明は、請求項１に記載のトイレ用洗浄エアゾール組成物をトイレットペーパーに適量噴射塗布し、これを用いてトイレの便座及び便座周辺の床面を洗浄する洗浄方法を提供するものである。
【００１３】
このように、本発明によれば、薬液を含浸させたトイレットペーパーを、トイレの便座及び便座周辺の床面の洗浄に供するのであるが、トイレットペーパーは崩壊することなく十分な強度を保ち、確実な洗浄効果を得ることができる。また、トイレットペーパーを用いるので、洗浄後はトイレに流すことができ、家庭内のごみを増やさない簡単便利な洗浄方法を提供する。
【００１４】
【実施例】
次に具体的な実施例ならびに試験例に基づき、本発明のトイレ用洗浄エアゾール組成物及びこれを用いた洗浄方法について更に詳細に説明する。
【００１５】
実施例１．
凝固点が１０℃のポリオキシエチレン（２モル）オレイルエーテル１ｇ（１容量％）、及びイソプロピルアルコール（ＩＰＡ）と水の混合液［配合比率：８０：２０容量％］７０ｍｌ（７０容量％）からなるエアゾール原液をエアゾール容器に入れた。該容器にバルブ部分を取り付け、該バルブを通じて噴射剤のＬＰＧ２９ｍＬを加圧充填して、本発明のトイレ用洗浄エアゾール組成物を含むエアゾール剤を得た。
このエアゾール剤をトイレットペーパーに約２秒間噴射し、薬液が含浸されたトイレットペーパーを用いてトイレの便座を拭く作業を行った。本発明のトイレ用洗浄エアゾール組成物は、処理中トイレットペーパーが破れることもなく便座の汚れをきれいに除去でき、また処理後のベタつきも認められなかった。更にエアゾール噴射液が手に付着しても手荒れは認められなかった。
【００１６】
試験例１．
実施例１に準じて表１に示す各種トイレ用洗浄エアゾール組成物を調製し、下記に示す試験を行った。
（１） トイレットペーパーの強度
トイレットペーパーに約２秒間噴射し、トイレの便座を拭いた際のトイレットペーパーの強度（破れ具合）を評価した。結果を〇、△、×で示した。
（２）洗浄性
トイレットペーパーに約２秒間噴射し、汚れたトイレの便座を拭いた際の汚れの落ち具合を評価した。結果を〇、△、×で示した。
（３）ベタつき
トイレットペーパーに約２秒間噴射し、汚れたトイレの便座を拭いた後の便座のベタつき具合を評価した。結果を〇、△、×で示した。
（４）手荒れ
手の甲に約１秒間噴射し、乾燥後の手肌の乾燥具合を評価した。結果を〇、△、×で示した。
【００１７】
【表１】

【００１８】
本発明のトイレ用洗浄エアゾール組成物をトイレットペーパーに噴射し、これを用いる本発明の洗浄方法によれば、トイレットペーパーの強度、洗浄性、ベタつき、手荒れの各項目で優れた機能性を奏し、高い実用性が認められた。
これに対し、比較例１のように、界面活性剤の凝固点が２０℃を越えるものや、凝固点が２０℃以下であってもその配合量が３％を超える場合（比較例２及び５）、処理後の処理面にベタつきが生じた。逆に、比較例３のように、界面活性剤の配合量が０．３％より少ない場合、洗浄性に問題があった。また、比較例３の如く、ＩＰＡと水の配合比率において、水の割合が５％より少ないと、薬液が手に付着した場合手荒れを生じ、逆に、比較例４及び５のように、水の割合が３０％を超えると、トイレットペーパーが破れやすく使用性が悪かった。
【００１９】
【発明の効果】
本発明のトイレ用洗浄エアゾール組成物は、その薬液を含浸させたトイレットペーパーをトイレの便座及び便座周辺の床面の洗浄に供しても、トイレットペーパーが崩壊することなく十分な強度を保ち、確実な洗浄効果を奏する。そして、本発明によれば、トイレットペーパーを用いるので、洗浄後はトイレに流すことができ、家庭内のごみを増やさない簡単便利な洗浄方法が提供される。

Claims (3)

1. （ａ）凝固点が２０℃以下のノニオン系界面活性剤を０．３〜３．０容量％、（ｂ）炭素数が１〜３のアルコールと水の混合液を４７〜８７容量％、（ｃ）噴射剤を１０〜５０容量％含有し、かつ、前記（ｂ）の混合液を構成するアルコールと水の配合比率を９５：５〜７０：３０としたことを特徴とするトイレ用洗浄エアゾール組成物。
2. （ａ）ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレン及び／又はポリオキシプロピレンを付加したアルキルエーテルであることを特徴とする請求項１に記載のトイレ用洗浄エアゾール組成物。
3. 請求項１に記載のトイレ用洗浄エアゾール組成物をトイレットペーパーに適量噴射塗布し、これを用いてトイレの便座及び便座周辺の床面を洗浄することを特徴とする洗浄方法。