JP4259642B2 - L−リブロースの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−リブロースの製造方法に関し、より詳細には微生物を用いて、リビトール含有発酵液または該発酵液処理液からリビトールを精製することなくL−リブロースを直接製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、L−リブロースは生物の構成糖としてのみならず、医薬及び農薬の中間原料として注目されている。またL−リブロースより容易に化学合成されるL−リボースにも同様の用途が近年開発されている。従来、微生物を用いてL−リブロースを製造する方法としては精製されたリビトールを原料として酵素反応により製造する方法が知られている(例えばArcus,A.C.(Biochem. J. vol.64:385,1956)らによって報告されている公知の反応)。しかしながら工業的に安価にL−リブロースを生産するために、リビトールを含有した発酵液からリビトールを精製することなく直接L−リブロースを生産する方法は知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実際リビトールの発酵液にはエリスリトールやグリセロールといったポリアルコールが多く含まれ、リビトールの精製を行う場合種々の問題が生じる。具体的には、イオン交換樹脂を用いた精製においては、リビトールとグリセロールが分離しにくく、精製の収率が著しく低下するといったことが挙げられる。このため精製したリビトールを原料とする従来の方法では、工業的生産に於いて複雑な設備が必要で、安価に製造することが困難であった。そこで、リビトールを含有した発酵液または粗精製リビトールからリビトールを精製することなく直接L−リブロースを生産し、かつL−リブロースの分離精製行程において負荷のかからない方法が工業的に望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の微生物を用いることによりリビトール含有発酵液または該発酵液処理液からL−リブロースを生産でき、かつL−リブロースの分離精製行程においても負荷をかけることなくL−リブロースが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明の要旨は、リビトールをL−リブロースに変換する能力を有する微生物と、リビトール含有発酵液または該発酵液処理液とを接触させることを特徴とするL−リブロースの製造方法に存する。
本発明の好ましい実施の形態としては、微生物が、発酵液に含まれるポリアルコールを資化する能力を有する微生物である上記の製造方法であり、より好ましくは微生物がグルコノバクター(Gluconobacter) 属、アセトバクター(Acetobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属、リゾビウム(Rhizobium)属、セラチア(Serratia)属ロドバクター(Rhodobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、パラコッカス(Paracoccus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属から選ばれる微生物である上記の製造方法であり、更に好ましくは微生物がグルコノバクター(Gluconobacter)属に属する微生物である上記の製造方法であり、特に好ましくは微生物がグルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)またはグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)である上記の製造方法が挙げられる。
【0006】
また、更なる好ましい実施の形態としてはリビトール含有発酵液または該発酵液処理液がリビトール以外のポリアルコールを含有すること、ポリアルコールがグリセロール及び/またはエリスリトールであることを特徴とする上記の製造方法が挙げられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するリビトール含有発酵液としては、リビトールを含有したものであれば特に限定はされない。例えば特公平6−30592号公報等に記載の方法により糖より生産された発酵液、あるいは特公昭45−2071号公報に記載のDーリボースより生産された発酵液、特公昭44−16350号公報に記載の炭酸ガスより生産された発酵液等が挙げられ、リビトールの生成量の多い発酵液がより好ましい。
【0008】
発酵液は菌体を含んでいても良いし、遠心分離などにより菌体を除去したものでもよい。またリビトールの発酵に用いた微生物を蒸気滅菌などにより殺菌したものでも良いし、殺菌を行っていない発酵液でも良い。
またこの発酵液を簡便な方法を用いて精製させたものでもよい。例えば発酵液を除菌後、濃縮し晶析させたものでも良いし、また、カラムクロマトグラフィーなどで部分精製させたものでも良い。即ち、本発明においては、発酵液そのものでなく、糖類、アルコール類、アミノ酸、蛋白といった有機物、あるいは、塩類、色素等の無機物よりなる、不純物を含んだままの未精製または部分精製のリビトール発酵液処理液も対象として含まれる。
【0009】
発酵液に含まれるリビトールの量は0.1〜200g/lの間であるがこれを適当な緩衝液、例えば、酢酸バッファー、リン酸バッファー、トリスバッファー等、あるいは水を用いて希釈しても良い。あるいは濃縮させても良い。
これらの発酵液に微生物を好気的条件で作用させ、Lーリブロースを生成させる。
【0010】
本反応で使用する微生物としては、好気的反応条件下、リビトールをL−リブロースに変換する能力を有する微生物であれば特に限定はされないが、リビトールからL−リブロースを製造し、かつリビトール以外の副生されたポリアルコールを資化する能力を有する微生物が好ましく、より好ましくは、グルコノバクター(Gluconobacter)属、アセトバクター(Acetobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属、リゾビウム(Rhizobium)属、セラチア(Serratia)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、パラコッカス(Paracoccus)属およびシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物である。特にグルコノバクター(Gluconobacter)属に属する微生物がポリアルコールの資化性の点からも好ましい。グルコノバクター(Gluconobacter)属に属する微生物としては、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)等が挙げられる。さらに具体的な代表株としてグルコノバクター・フラテウリ (Gluconobacter frateurii) IFO 3260グルコノバクター・オキシダンス (Gluconobacter oxydans) IFO 3293が挙げられる。
【0011】
本発明において使用するアセトバクター(Acetobacter)属に属する微生物は、例えば、アセトバクター・アシナス (Acetobactor acinus)等が挙げられ、具体的な菌株としては、アセトバクター・アシナス (Acetobactor acinus) FERM P-2507が挙げられる。
本発明において使用するアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物は、例えばアルカリゲネス・アクアマリヌス (Alcaligenes aquamarinus) 、アルカリゲネス・エポキシリティカス (Alcaligenes epoxylyticus)アルカリゲネス・マルガリタ (Alcaligenes margaritae)アルカリゲネス・パラドクス (Alcaligenes paradoxus)アルカリゲネス・キシロソキシダンス・サブスピーシーズ・キシロソキシダンス (Alcaligenes xylosoxidans subsp. Xylosoxidans)が挙げられる。さらに具体的な代表株として、アルカリゲネス・アクアマリヌス (Alcaligenes aquamarinus) FERM P-4299、 アルカリゲネス・エポキシリティカス (Alcaligenes epoxylyticus) FERM P-2511、 アルカリゲネス・マルガリタ (Alcaligenes margaritae) FERM P-2512、アルカリゲネス・キシロソキシダンス・サブスピーシーズ・キシロソキシダンス (Alcaligenes xylosoxidans subsp. Xylosoxidans) IAM 12684、アルカリゲネス・パラドクス・バイオタイプI (Alcaligenes paradoxus Biotype I) DSM 66、アルカリゲネス・パラドクス・バイオタイプ II(Alcaligenes paradoxus Biotype II) DSM 30162が挙げられる。
【0012】
本発明において使用するアシネトバクター(Acinetobacter)属に属する微生物は、例えばアシネトバクター・タルタロゲネス (Acinetobacter tartarogenes)が挙げられる。さらに具体的にはアシネトバクター・タルタロゲネス (Acinetobacter tartarogenes) IFO 13644が挙げられる。
本発明において使用するアルスロバクター属(Arthrobacter)に属する微生物は、例えばアルスロバクター・アトロシアネウス (Arthrobacter atrocyaneus)アルスロバクター・パッセンス (Arthrobacter pascens)アルスロバクター・ラモウスス (Arthrobacter ramousus)等が挙げられる。さらに具体的にはアルスロバクター・パッセンス (Arthrobacter pascens) IFO 12139、アルスロバクター・アトロシアネウス (Arthrobacter atrocyaneus) JCM 1329、アルスロバクター・ラモウスス (Arthrobacter ramousus) JCM 1334等が挙げられる。
本発明において使用するアグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する微生物は、例えばアグロバクテリウム・ラジオバクター (Agrobacterium radiobacter) 、アグロバクテリウム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumefaciens) 、アグロバクテリウム・ビスコスム (Agrobacterium viscosum)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてアグロバクテリウム・ラジオバクター (Agrobacterium radiobacter) NRRL B-11291、アグロバクテリウム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumefaciens) IAM 13129、アグロバクテリウム・ビスコスム (Agrobacterium viscosum) IFO 13652 挙げられる。
【0013】
本発明において使用するオーレオバクテリウム(Aureobacterium)属に属する微生物は、オーレオバクテリウム・テスタシウム (Aureobacterium testaceum)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてオーレオバクテリウム・テスタシウム (Aureobacterium testaceum) JCM 1353が挙げられる。
本発明において使用するバチルス(Bacillus)属に属する微生物は、例えばバチルス・アルベイ (Bacillus alvei)バチルス・コアギュランス (Bacillus coagulans)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてバチルス・アルベイ (Bacillus alvei) IFO 3343、バチルス・コアギュランス (Bacillus coagulans) AHU 1631が挙げられる。
【0014】
本発明において使用するブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物は、ブレビバクテリウム・プシラム (Brevibacterium pusillum)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてブレビバクテリウム・プシラム (Brevibacterium pusillum) IAM 1489が挙げられる。
本発明において使用するコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物は、コリネバクテリウム・フラクムファシエンス (Corynebacterium flaccumfaciens)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてコリネバクテリウム・フラクムファシエンス (Corynebacterium flaccumfaciens) ATCC 12813が挙げられる。
本発明において使用するエンテロバクター(Enterobacter)属に属する微生物は、エンテロバクター・アエロゲネス (Enterobacter aerogenes)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてエンテロバクター・アエロゲネス (Enterobacter aerogenes) IFO 13534が挙げられる。
【0015】
本発明において使用するクレブシエラ(Klebsiella)属に属する微生物は、例えばクレブシエラ・プランティコラ (Klebsiella planticola)クレブシエラ・オキシトカ (Klebsiella oxytoca)クレブシエラ・テリゲナ (Klebsiella terrigena)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてクレブシエラ・プランティコラ (Klebsiella planticola) NCIB 11885、クレブシエラ・オキシトカ (Klebsiella oxytoca) JCM 1665、クレブシエラ・テリゲナ (Klebsiella terrigena) JCM 1687が挙げられる。
本発明において使用するミクロコッカス(Micrococcus)属に属する微生物は、例えばミクロコッカス・ロセウス (Micrococcus roseus)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてミクロコッカス・ロセウス (Micrococcus roseus) IFO 3764が挙げられる。
【0016】
本発明において使用するオクロバクトラム(Ochrobactrum)属に属する微生物は、オクロバクトラム・アンスロピイ (Ochrobactrum anthropi)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてオクロバクトラム・アンスロピイ (Ochrobactrum anthropi) IAM 13993が挙げられる。
本発明において使用するパラコッカス(Paracoccus)属に属する微生物は、例えばパラコッカス・デニトリフィカンス (Paracoccus denitrificans)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてパラコッカス・デニトリフィカンス (Paracoccus denitrificans) IFO 13301が挙げられる。
【0017】
本発明において使用するシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物は、例えばシュードモナス・フルオレセンス (Pseudomonas fluorecens)シュードモナス・シンキサンタ (Pseudomonas synxantha)が挙げられる。さらに具体的な代表株としてシュードモナス・フルオレセンス (Pseudomonas fluorecens) IFO 3903、シュードモナス・フルオレセンス (Pseudomonas fluorecens) ATCC 13525、シュードモナス・シンキサンタ (Pseudomonas synxantha) IAM 13256等が挙げられる。
本発明において使用するアエロモナス(Aeromonas)属に属する微生物は、例えばアエロモナス・パンクタタ (Aeromonas panctata)、具体的には、アエロモナス・パンクタタ (Aeromonas panctata) IFO 13288が挙げられる。
【0018】
本発明において使用するリゾビウム(Rhizobium)属に属する微生物は、例えばリゾビウム・バリダム (Rhizobium validum) IFO 13648が挙げられる。
本発明において使用するセラチア(Serratia)属に属する微生物は、例えばセラチア・マルセッセンス (Serratia marcescens) 、具体的には、例えばセラチア・マルセッセンス (Serratia marcescens) IFO 3054、セラチア・マルセッセンス (Serratia marcescens) ATCC 13880が挙げられる。
本発明において使用するロドバクター(Rhodobacter)属に属する微生物は、例えばロドバクター・スフェロイデス (Rhodobacter sphaeroides) 、具体的には、例えばロドバクター・スフェロイデス (Rhodobacter sphaeroides) IFO 12203が挙げられる。
【0019】
なお、上記微生物は、UV照射、N−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホネート(EMS)処理、亜硝酸処理、アクリジン処理等による変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。上記微生物はリビトール以外の副生されたポリアルコールを資化し、リビトールを効率的にLーリブロースに変換できるので、その後のLーリブロースの分離・精製工程における負荷を著しく軽減することが出来る。
【0020】
本発明の製造方法においては、上記微生物の1種あるいは2種以上が用いられる。
本発明の微生物培養に用いる培地は微生物が生育でき、Lーリブロース生産能を誘導しかつポリアルコールの資化性を誘導する培地であれば、いずれでもよい。さらに培地は液体状でも良いし固体培地でも良い。炭素源としては本微生物が資化しうるグルコースなどの炭水化物、グリセロールなどのアルコール類、有機酸などが挙げられ、適宜一種あるいは2種以上が選ばれる。好ましくはポリアルコールの資化性を誘導するグリセロールなどのアルコール類が挙げられる。窒素源としては本微生物が資化しうる窒素源であればいずれでも良いが、好ましくは、酵母エキス、コーンスティープリカー、NZアミン、トリプトース、ペプトン、ポリペプトン、肉エキス、魚肉エキス、その他の有機窒素源、あるいは硝酸ナトリウム、その他の無機窒素源が適宜1種あるいは2種使用される。培地中に含まれる炭素源及び窒素源の濃度は0.01%〜20%の間で用いられる。炭素源、窒素源のほかに、無機イオンやビタミン類を必要に応じ添加することは有効である。無機イオンとしては、リン酸イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオン、カルシウムイオン、コバルトイオン、その他金属イオン類等が適宜数種類用いられる。ビタミン類としては、チアミン、イノシトール、パントテン酸、ニコチン酸アミドなどが挙げられ、適宜用いられる。また、上述のグルコースその他の炭素源、窒素源、無機イオン、ビタミン類は、必要に応じて培養中の適当な時点で追補添加してもよい。
【0021】
培養は好気的条件下で行う。培養温度は4度から50度の範囲で行われるが好ましくは20から35度の範囲である。通気量は0.001vvm〜2vvm好ましくは0.5〜1.5vvmの範囲で行われる。pHは2〜10、好ましくは3〜9の間である。
培養は10時間から2日間行う。
培養後菌体をリビトール含有反応液に作用させる。このとき培養液を直接用いても良いし、遠心分離などにより菌体を培養液から分離させたものを用いても良い。またこの菌体をカラギーナン、ポリアクリルアミドゲル、イオン交換樹脂、珪藻土、活性炭等に固定化させたものを使用しても良い。また、菌体を超音波破砕機などで菌体を破砕したものを用いてもよい。
【0022】
反応は好気的条件下で行う。反応温度は4度から50度の範囲で行われるが好ましくは20から35度の範囲である。pHは2〜10、好ましくは3〜8の間である。攪拌が十分に行われていれば特に通気の必要は無いが、好ましくは0.01vvm〜1vvmの間である。反応に用いる菌体量は湿潤菌体量換算でリビトール含有発酵液に対し0.01%〜50%(重量/体積)の間で用いられる。リビトールの濃度は特に限定されないが、好ましくは1から15%の間である。含有されるポリアルコールの濃度は特に限定されない。反応は1時間から2日間行う。
【0023】
反応により得られたLーリブロースは、培養終了液から公知の方法により分離精製できる。即ち、培養終了後まず微生物菌体を遠心分離等の既存の方法で除去する。除菌に先立ち、培養終了液に熱を加え、殺菌を行ってもよい。除菌された液は通常の方法、即ちクロマトグラフィーや晶析技術を用いることで容易に精製できる。工業的には、イオン交換樹脂を用いた疑似移動相型クロマトグラフィーにより分離することも可能である。分離精製の工程においては、必要に応じて脱塩、脱色など、通常の糖の精製における操作を加えることもできる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
製造例1 リビトール発酵液の製造
a)使用微生物
菌株 トリコスポロノイデス・メガチリエンシス (Trichosporonoides.megachillensis)(CBS 567.85)
b)培養方法
30%グルコース、1.0%酵母エキスよりなる培地20mlを入れた200mlバッフル付きフラスコ10本に、上記菌株を種した。フラスコは160rpmで回転する振とう培養機にセットされ、30℃で7日間培養が行われた。
【0025】
c)リビトールの生産確認
まず得られた培養終了液を1ml遠心分離し、微生物菌体を除去した。得られた培養上清に含まれるリビトールなどの糖類含量を高速液体クロマトグラフィーにより下記の条件で測定した。各糖質の保持時間は下記分析条件において、それぞれグルコース10.57分、リビトール12.22分、エリスリトール13.36分、グリセロール15.09分である。分析の結果、残存グルコース0g/l、リビトール73.1g/l、エリスリトール46.2g/l、グリセロール29.3g/lであった。リビトールおよびエリスリトール、グリセロール以外の糖質の生産は確認されなかった。
【0026】
高速液体クロマトグラフィー分析条件
カ ラ ム: MCI GEL CK08EH
8mmI.D.×300mm (三菱化学株式会社製)
溶 離 液: 1N リン酸水溶液
流 速: 0.6ml/分
カラム温度: 50℃
検 出 器: RI
【0027】
実施例1
グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)(IFO 3260)を2%グリセロール、0.5%酵母エキス、0.5%ポリペプトンよりなる培地40mlを入れた200mlバッフル付きフラスコに接種した。160rpmで回転する振とう培養機にセットし、30℃で1日間培養を行った。培養終了後、培養液を遠心分離して、培養上清除き、菌体を100mMのりん酸バッファー(pH7.0)4mlに懸濁した。製造例1で製造したリビトール発酵液を40ml、200ml三角フラスコに入れ、グルコノバクターの懸濁液を4ml入れ、30度にてロータリーシェーカーで振とうしながら反応した。反応1日後、反応液1mlを遠心分離にかけて菌体を除き、反応上清を下記の高速液体クロマトグラフィー分析した。リビトールは完全に変換され、グリセロールも検出されなかった。生成したリL−ブロースは52.1g/であった。
【0028】
高速液体クロマトグラフィー分析条件
カ ラ ム: MCI GEL CK08E
8mmI.D.×300mm (三菱化学株式会社製)
溶 離 液: 蒸留水
流 速: 1.0ml/分
カラム温度: 60℃
検 出 器: RI
【0029】
実施例2
グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)(IFO 3292)に変え以外は実施例1と同様に行った。生成したL−リブロースは50.3g/lであった。グリセロールは0.1g/lであった。
【0030】
実施例3
表1にあげた菌株を2%グリセロール、0.5%酵母エキス、0.5%ポリペプトンよりなる培地10mlを入れた21φ試験管に接種した。30℃で1日間培養を行った。培養終了後、培養液を遠心分離して、培養上清除き、菌体を製造例1で製造したリビトール発酵液3mlに懸濁した。21φ試験管を用い30℃にて好気的に反応した。反応2週間後、反応液を遠心分離にかけて菌体を除き、反応上清を記の高速液体クロマトグラフィー分析した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0004259642
【0032】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、発酵されたリビトールを精製することなく反応に用い、安価にL−リブロースを製造することができ、またグリセロールなどが同時に消費されるため、L−リブロースを効率よく精製することができる。

Claims (7)

  1. グルコノバクター(Gluconobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クレブシェラ(Klebsiella)属、セラチア(Serratia)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、パラコッカス(Paracoccus)属およびシュードモナス(Pseudomonas)属から選ばれた微生物であって、リビトールをL−リブロースに変換する能力を有する微生物と、リビトールに加えてグリセロールも含有するリビトール含有発酵液または該発酵液処理液とを接触させて、グリセロール含有量が、前記リビトール含有発酵液または該発酵液処理液中の含有量の7.8%以下であるL - リブロース含有反応液を得ることを特徴とするL−リブロースの製造方法。
  2. グルコノバクター(Gluconobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、セラチア(Serratia)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、パラコッカス(Paracoccus)属およびシュードモナス(Pseudomonas)属から選ばれた微生物であって、リビトールをL−リブロースに変換し、かつグリセリンを資化する能力を有する微生物と、リビトールに加えてグリセロールも含有するリビトール含有発酵液または該発酵液処理液とを接触させ、リビトールをL−リブロースに変換させ、かつグリセロールを資化させることにより、グリセロール含有量が、前記リビトール含有発酵液または該発酵液処理液中の含有量の7.8%以下であるL - リブロース含有反応液を得ることを特徴とするL−リブロースの製造方法。
  3. 微生物がグルコノバクター(Gluconobacter)属に属するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のL−リブロースの製造方法。
  4. 微生物がグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のL−リブロースの製造方法。
  5. 微生物がLーリブロース生産能を誘導しかつポリアルコールの資化性を誘導する培地で培養されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のL−リブロースの製造方法。
  6. 微生物を、Lーリブロース生産能を誘導しかつポリアルコールの資化性を誘導する培地で培養し、培養物から菌体を分離し、分離した菌体を、リビトール含有発酵液または該発酵液処理液と接触させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のL−リブロースの製造方法。
  7. 培地がグリセロールを含有するものであることを特徴とする請求項5または6に記載のL−リブロースの製造方法。
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