JP4259053B2 - 圧電素子の製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

圧電素子の製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の製造方法、及び、圧電素子を駆動源とする液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子は、電気エネルギーの供給によって変形するものであり、例えば、液体噴射ヘッド、マイクロポンプ、発音体(スピーカ等)用の駆動源として広く用いられている。ここで、液体噴射ヘッドは、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴を吐出させるものであり、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレーの製造に用いられる液晶噴射ヘッド、カラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド等がある。また、マイクロポンプは、極く微量の液体を扱うことができる超小型のポンプであり、例えば、極く少量の薬液を送出する際に用いられる。
【0003】
このような液体噴射ヘッドやマイクロポンプに用いられる重要な部品の一つに、振動板の表面に圧電素子を設けた電歪アクチュエータがある。この電歪アクチュエータは圧力室となる空部を有する圧力室形成基板に取り付けられ、圧力室の一部を振動板で区画する。そして、液滴を吐出したり、液体を送出したりする際には、圧電素子に駆動パルスを供給してこの圧電素子及び振動板(即ち、圧力室の変形部分)を変形させ、圧力室の容積を変化させる。
【0004】
これらの液体噴射ヘッドやマイクロポンプにおいては、圧電素子の高周波駆動に対する強い要請がある。これは、液滴の高周波吐出を実現したり、送液能力を高めたりするためである。そして、圧電素子の高周波駆動を実現するためには、上記変形部分のコンプライアンスを従来よりも小さくし、且つ、圧電素子の変形量を従来よりも大きくする必要がある。これは、変形部分のコンプライアンスを小さくすると応答性が向上するため、従来よりも高い周波数での駆動が可能となること、及び、圧電素子の変形量を大きくすると圧力室の容積変化量が大きくなるため、吐出される液滴の量や送出される液体の量を増やすことができることによる。
【0005】
そして、変形部分のコンプライアンスと圧電素子の変形量の相反する特性を充足するものとして、多層構造の圧電素子が提案されている。例えば、特開平2−289352号公報には、圧電体層を上層圧電体と下層圧電体の2層構造とし、上層圧電体と下層圧電体の境界に駆動電極(個別電極)を形成すると共に、上層圧電体の外表面と下層圧電体の外表面とにそれぞれ共通電極を形成した構造の圧電素子が開示されている。同様に、特開平10−34924号公報にも多層構造の圧電素子が開示されている。
【0006】
上記多層構造の圧電素子では、上層圧電体と下層圧電体の境界に駆動電極が設けられているので、各層の圧電体には、駆動電極から各共通電極までの間隔(即ち、各層圧電体の厚さ)と、駆動電極と各共通電極の電位差とによって定まる強さの電場が付与される。このため、共通電極と駆動電極とで単層の圧電体を挟んだ単層構造の圧電素子と比べた場合、圧電素子全体の厚さを多少厚くして変形部分のコンプライアンスを小さくしても、従来と同じ駆動電圧で大きく変形させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記多層構造の圧電素子は現実に市販されるまでに至っていない。このため、実際の製品としては、単層の圧電体を共通電極と駆動電極とで挟んだ単層構造の圧電素子を用いることを余儀なくされている。これには種々の要因が考えられるが、多層構造の圧電素子について、効率よく製造することや、各圧電素子に所望の圧電特性を付与することが困難であったことも一因と考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造効率を向上させることにある。また、多層構造の圧電素子について所望の圧電特性を付与することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、圧電材料と電極材料とを積層して分極前圧電素子を形成する素子形成工程と、分極前圧電素子を検査する検査工程と、この分極前圧電素子に分極電圧を供給して分極する分極工程とを経て製造される圧電素子の製造方法において、
前記素子形成工程は、支持部材の表面に第1の電極を形成する第1工程と、第1の電極に重ねて第1の圧電体を形成する第2工程と、第1の電極とは反対側の第1の圧電体の表面に第2の電極を形成する第3工程と、第2の電極を覆うように第2の圧電体を形成する第4工程と、第2の電極とは反対側の第2の圧電体の表面に第3の電極を形成する第5工程とを含み、
前記検査工程では、第1の電極と第3の電極とを電気的に絶縁した状態で、第1の圧電体と第2の圧電体とに対して別個に静電容量を測定することを特徴とする圧電素子の製造方法である。
【0010】
請求項2に記載のものは、前記分極工程では、前記検査工程で測定した静電容量に基づき圧電素子の良否を判断し、該判断で良と判断された分極前圧電素子に対して、第1の圧電体と第2の圧電体とを別個に分極する請求項1に記載の圧電素子の製造方法である。
【0011】
請求項3に記載のものは、圧電材料と電極材料とを積層して振動板の表面に分極前圧電素子を形成する素子形成工程と、分極前圧電素子を検査する検査工程と、この分極前圧電素子に分極電圧を供給して分極する分極工程とを経て製造される液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記素子形成工程は、振動板の表面に第1の電極を形成する第1工程と、第1の電極に重ねて第1の圧電体を形成する第2工程と、第1の電極とは反対側の第1の圧電体の表面に第2の電極を形成する第3工程と、第2の電極を覆うように第2の圧電体を形成する第4工程と、第2の電極とは反対側の第2の圧電体の表面に第3の電極を形成する第5工程とを含み、
前記検査工程では、第1の電極と第3の電極とを電気的に絶縁した状態で、第1の圧電体と第2の圧電体とに対して別個に静電容量を測定することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、プリンタやプロッタ等の画像記録装置に搭載される記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)を例に挙げて説明する。この記録ヘッドは、例えば、図11に示すように、複数個のヘッド本体1…を備え、これらのヘッド本体1…を取付ベース61に取り付けて構成されている。
【0028】
まず、図1及び図2に基づき、ヘッド本体1の基本構造について説明する。このヘッド本体1は、流路ユニット2とアクチュエータユニット3とから概略構成されている。
【0029】
流路ユニット2は、インク供給口(オリフィス)4及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設した供給口形成基板6と、共通インク室7となる通孔及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設したインク室形成基板8と、ノズル開口9…を副走査方向(記録ヘッドが移動される主走査方向とは直交する方向)に沿って開設したノズルプレート10から構成されている。これらの供給口形成基板6、インク室形成基板8、及び、ノズルプレート10は、例えば、ステンレス製の板材をプレス加工することで作製されている。
そして、流路ユニット2は、インク室形成基板8の一方の表面(図中下側)にノズルプレート10を、他方の表面(同上側)に供給口形成基板6をそれぞれ配置し、これらの供給口形成基板6、インク室形成基板8、及び、ノズルプレート10を接合することで作製される。例えば、シート状の接着剤によって各部材6,8,10を接着することで作製される。
【0030】
上記のノズル開口9は、図2に示すように、所定ピッチで複数個列状に開設される。そして、列設された複数のノズル開口9…によってノズル列11が構成される。例えば、92個のノズル開口9…で1つのノズル列11が構成され、このノズル列11が横並びに2列形成される。
【0031】
アクチュエータユニット3は、ヘッドチップとも呼ばれる部材である。このアクチュエータユニット3は、圧力室12となる通孔を開設した圧力室形成基板13と、圧力室12の一部を区画する振動板14と、供給側連通口15となる通孔及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設した蓋部材16と、駆動源としての圧電素子17とによって構成される。これら各部材13,14,16の板厚に関し、圧力室形成基板13、及び、蓋部材16は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上である。また、振動板14は、好ましくは50μm以下、より好ましくは3〜12μm程度である。
【0032】
なお、このアクチュエータユニット3において、振動板14と圧電素子17が本発明の電歪アクチュエータを構成する。また、振動板14は、圧電素子17が設けられる支持部材の一種である。
【0033】
そして、このアクチュエータユニット3は、圧力室形成基板13の一方の表面に蓋部材16を、他方の表面に振動板14をそれぞれ配置して各部材を接合し、その後振動板14の表面に圧電素子17を形成することで作製される。これらの中で圧力室形成基板13、振動板14、及び、蓋部材16は、アルミナや酸化ジルコニウム等のセラミックスで作製されており、焼成によって接合される。
【0034】
これらの圧力室形成基板13,振動板14,蓋部材16の接合は、例えば次の手順で行われる。まず、セラミックス原料、バインダー及び液媒等によってセラミックスのスラリーを調整する。次に、ドクターブレード装置やリバースロールコーター装置等の一般的な装置を用いて、スラリーをグリーンシート(未焼成のシート材)に成形する。その後、このグリーンシートに対して切削や打ち抜き等の加工を施して必要な通孔等を形成し、圧力室形成基板13、振動板14、及び、蓋部材16の各シート状前駆体を形成する。そして、各シート状前駆体を積層及び焼成することにより、各シート状前駆体を一体化して1枚のシート状部材を得る。この場合、各シート状前駆体は一体焼成されるので、特別な接着処理が不要である。また、各シート状前駆体の接合面において高いシール性を得ることもできる。
【0035】
また、1枚のシート状部材には、複数ユニット分の圧力室12…やノズル連通口5…等が形成されている。換言すれば、1枚のシート状部材から複数のアクチュエータユニット(ヘッドチップ)3…を作製する。例えば、1つのアクチュエータユニット3となるチップ領域を1枚のシート状部材内にマトリクス状に複数設定する。そして、圧電素子17等の必要な部材を各チップ領域内に形成した後、このシート状部材(セラミックスシート)をチップ領域毎に切断することで、複数のアクチュエータユニット3…を得る。
【0036】
上記の圧力室12は、ノズル列11とは直交する方向に細長い空部であり、ノズル開口9に対応する複数形成されている。即ち、図2に示すように、ノズル列方向に列設されている。そして、各圧力室12…の一端は、ノズル連通口5を通じて対応するノズル開口9に連通する。また、ノズル連通口5とは反対側の圧力室12の他端は、供給側連通口15及びインク供給口4を通じて共通インク室7に連通している。さらに、この圧力室12の一部は、振動板14によって区画されている。
【0037】
上記の圧電素子17は、所謂撓み振動モードの圧電素子であり、圧力室12とは反対側の振動板表面に圧力室12毎に形成されている。この圧電素子17の幅は圧力室12の幅と略等しく、長さは圧力室12の長さよりも多少長い。そして、圧電素子17は、圧力室12の長手方向を覆うように形成されている。この圧電素子17は、例えば、図3に示すように、圧電体層31と共通電極32と駆動電極33等によって構成される多層構造であり、駆動電極33と共通電極32とによって圧電体層31を挟んでいる。なお、この圧電素子17については、後で詳しく説明する。
【0038】
上記の駆動電極33には駆動信号の供給源(図示せず)が導通、即ち、電気的に接続される。また、共通電極32は例えば接地電位に調整される。駆動電極33に駆動信号が供給されると、駆動電極33と共通電極32との間には電位差に応じた強さの電場が発生される。この電場は圧電体層31に付与されるので、圧電体層31は付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極33の電位を高くする程、圧電体層31は電場と直交する方向に収縮し、圧力室12の容積を少なくするように振動板14を変形させる。一方、駆動電極33の電位を低くする程、圧電体層31は電界と直交する方向に伸長し、圧力室12の容積を増やすように振動板14を変形させる。
【0039】
そして、このアクチュエータユニット3と上記の流路ユニット2とは、互いに接合される。例えば、供給口形成基板6と蓋部材16との間にシート状接着剤を介在させ、この状態でアクチュエータユニット3を流路ユニット2側に加圧することで接着される。
【0040】
このように構成されたヘッド本体1には、共通インク室7からインク供給口4、供給側連通口15、圧力室12、及び、ノズル連通口5を通じてノズル開口9に至る一連のインク流路がノズル開口9毎に形成されている。使用時においてこのインク流路内はインク(液体の一種)で満たされている。そして、圧電素子17を変形させることで対応する圧力室12が収縮或いは膨張し、圧力室12内のインクに圧力変動が生じる。このインク圧力を制御することで、ノズル開口9からインク滴を吐出させることができる。例えば、定常容積の圧力室12を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、圧力室12の膨張に伴ってインクが充填され、その後の急激な収縮によって圧力室12内のインクが加圧されてインク滴が吐出される。
【0041】
ここで、高速記録のためには、より多くのインク滴を短時間で吐出させる必要がある。この要求に応えるためには、圧力室12を区画している部分の振動板14及び圧電素子17(即ち、圧力室12における変形部分)のコンプライアンスと、圧電素子17の変形量とを考慮する必要がある。即ち、上記変形部分のコンプライアンスが大きくなる程、変形に対する応答性が悪くなり、高い周波数での駆動が困難になるからである。また、変形部分のコンプライアンスが小さくなる程に、この変形部分が変形し難くなって圧力室12の収縮量が少なくなり、1滴のインク量が減ってしまうからである。
【0042】
このような観点から、既に実用化されている撓み振動モードの圧電素子を用いた記録ヘッドでは、圧電素子は単層の圧電体を共通電極と駆動電極とで挟んだ単層構造のものが用いられており、最大応答周波数は25kHz程度、最大インク滴量は13pL(ピコリットル)程度であった。
【0043】
そして、本実施形態では、多層構造の圧電素子17を用いて振動板14のコンプライアンスを小さくし、さらに、この圧電素子17の構造を改良することにより、必要量のインク滴を従来よりも高い周波数で吐出可能にした。以下、この点について説明する。
【0044】
まず、圧電素子17の構造について詳細に説明する。図3に示すように、圧電体層31は、互いに積層された上層圧電体(外側圧電体,第2の圧電体)34及び下層圧電体(内側圧電体,第1の圧電体)35から構成される。また、共通電極32は、共通上電極(共通外電極,第3の電極)36及び共通下電極(共通内電極,第1の電極)37から構成される。そして、この共通電極32と駆動電極(個別電極,第2の電極)33とが電極層を構成する。
【0045】
なお、ここでいう「上(外)」或いは「下(内)」とは、振動板14を基準とした位置関係を示している。換言すれば、圧電素子17における振動板14との接合面(圧電素子17の変形を出力するための作用面とも表現できる。)を基準とした位置関係を示している。そして、「上(外)」とあるのは振動板14から遠い側を示し、「下(内)」とあるのは振動板14に近い側を示している。
【0046】
上記の駆動電極33は上層圧電体34と下層圧電体35の境界に形成され、共通下電極37は下層圧電体35と振動板14との間に形成される。また、共通上電極36は駆動電極33(下層圧電体35)とは反対側の上層圧電体34の表面に形成される。即ち、この圧電素子17は、振動板側から、共通下電極37、下層圧電体35、駆動電極33、上層圧電体34、共通上電極36の順で積層された多層構造である。そして、圧電体層31の厚さは上層圧電体34と下層圧電体35の2層を合計して約17μmであり、共通電極32を含めた圧電素子17の全体の厚さは約20μmである。
なお、従来の単層構造の圧電素子17にあっては、素子全体の厚さが約15μmである。従って、圧電素子17の厚さが増したことから、その分だけ振動板14のコンプライアンスが小さくなっている。
【0047】
上記の共通上電極36と共通下電極37は、駆動信号に拘わらず一定の電位に調整される。本実施形態において、これらの共通上電極36と共通下電極37は、電気的に絶縁された状態で形成され、分極工程の終了後に導通される。そして、これらの共通電極36,37は、例えば接地電位に調整される。上記の駆動電極33は、駆動信号の供給源に導通され、供給された駆動信号に応じて電位を変化させる。従って、駆動信号が供給されると、駆動電極33と共通上電極36との間、及び、駆動電極33と共通下電極37との間には、それぞれ向きが反対の電場が生じる。
【0048】
そして、これらの各電極33,36,37を構成する材料としては、例えば、金属単体、合金、電気絶縁性セラミックスと金属との混合物等の各種導体が選択されるが、焼成温度において変質等の不具合が生じないことが要求される。本実施形態では、共通上電極36に金を用い、共通下電極37及び駆動電極33に白金を用いている。
【0049】
上記の上層圧電体34と下層圧電体35は共に、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料によって作製されている。そして、上層圧電体34と下層圧電体35とは分極方向が反対である。このため、駆動信号供給時の伸縮方向が上層圧電体34と下層圧電体35とで揃い、支障なく変形することができる。即ち、上層圧電体34及び下層圧電体35は、駆動電極33の電位を高くする程に圧力室12の容積を少なくするように振動板14を変形させ、駆動電極33の電位を低くする程に圧力室12の容積を増やすように振動板14を変形させる。
【0050】
この多層構造の圧電素子17を効率よく変形させるには、駆動信号の供給に伴う上層圧電体34の変形度合いを下層圧電体35の変形度合いよりも大きくすることが好ましい。即ち、同じ駆動信号が供給された場合に、上層圧電体34を下層圧電体35よりも大きく変形させるようにすることが好ましい。これは、上層圧電体34の方が振動板14から離隔しているため、その変形量が増幅されて振動板14に作用し、振動板14の変形量を大きくすることができるからである。そして、振動板14を大きく変形できると、収縮時における圧力室12の容積をより小さくでき、単に多層構造の圧電素子17を用いた場合よりも、圧力室12の膨張時と収縮時の容積差を広げることができる。その結果、インク滴の吐出量を増やすことができる。
【0051】
そして、上層圧電体34の変形度合いを下層圧電体35の変形度合いよりも大きくするには、例えば、上層圧電体34の分極度合いを下層圧電体35の分極度合いよりも大きくしたり、上層圧電体34の厚さtp1を下層圧電体35の厚さtp2の3/4以下に設定したりすればよい。
【0052】
また、上記の共通上電極36には、他の電極(駆動電極33,共通下電極37)よりも薄く、柔軟性が高い電極材料を用いている。これは、この共通上電極36が他の電極よりも大きく変形することに起因する。即ち、この共通上電極36は、上層圧電体34の表面に形成されているので、他の電極よりも大きく変形する。このため、共通上電極36については、他の電極よりも柔らかい材料を用い、及び/又は、層厚を薄くすることで、変形の繰り返しによる破損を防止できる。また、層厚を薄くしても電気抵抗が過度に高くならないように、導電性が良い電極材料を用いてもよい。
【0053】
具体的に説明すると、電極材料に関しては、上記したように、共通上電極36を金で作製し、駆動電極33及び共通下電極37を白金で作製している。そして、電極の厚さに関し、共通下電極37及び駆動電極33は2〜3μmであるのに対し、共通上電極36(te1)はその1/10程度(例えば、0.3μm)にする。この構成により、共通上電極36を圧電素子17に追従させて変形させることができ、圧電素子17の変形量が損なわれてしまう不具合を防止できる。また、圧電素子17の変形が繰り返し行われても断線等の故障が生じ難い。さらに、共通上電極36を通じて電流を効率よく流すことができる。
【0054】
そして、上記の駆動電極33は、図5に示すように、圧電素子17の一方の端部で圧電素子17の外側に露出し、導通電極39を通じて供給端子40に導通されている。この供給端子40は、駆動信号を供給するための接点端子であり、駆動電極33毎に複数形成されている。各供給端子40…には、フレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)が備える駆動信号供給用の接点端子(図示せず)が導通される。従って、駆動信号は、供給端子40及び導通電極39を通じて、対応する駆動電極33に供給される。
なお、導通電極39は、圧電素子17の端面、振動板14の表面、及び、供給端子40が設けられる端子基板41の表面に一連に形成されている。そして、上記したように、共通下電極37も振動板14の表面に形成されているが、導通電極39と共通下電極37との間には電極が形成されない断線領域Xを設けてあるので、導通電極39と共通下電極37とは電気的に絶縁されている。
【0055】
ところで、上記したように、圧電素子17はノズル開口9毎に形成されるので、圧電素子17の数は1つのノズル列11に対して92個となる。そして、共通上電極36と共通下電極37は互いに導通されるが、両共通電極36,37を圧電素子17毎に導通させたのでは作業効率が悪く生産性の向上が図れない。その一方で、共通電極32(36,37)の形成時に両共通電極36,37を導通させてしまうと、上層圧電体34と下層圧電体35の分極条件が分極電圧に応じて定まってしまう。このため、所望の圧電特性を付与することが困難である。
【0056】
この点に鑑み、本実施形態では、共通上電極36及び共通下電極37を、基電極と複数の枝電極とからなる櫛歯状電極によって構成し、上層圧電体34と下層圧電体35とを個別に分極処理した後に基電極同士を導通させる構成としている。即ち、各共通電極36,37に関し、電極形成時においては互いに電気的に絶縁した状態とし、圧電体特性の測定処理の後に導通する構成としている。以下、この点について説明する。
【0057】
図5から図7に示すように、共通上電極36は、ノズル列方向に細長い直線帯状の基電極(幹電極)42と、この基電極42の一側から圧電素子17(上層圧電体34)の表面を覆うように一連に形成された複数の枝電極43…とから構成された櫛歯状電極によって構成される。
【0058】
上記の基電極42は、振動板14の表面に形成されており、その幅は全ての圧電素子17に対して同時に駆動信号が供給されても支障なく電流を流せるように、枝電極43の幅よりも十分に広く設定されている。そして、この基電極42の長手方向端部には、図7(a)に点線で示すように、導通領域42a(導通部の一種)を設けてある。この導通領域42aは、共通上電極36と共通下電極37とを導通させる際に用いられる(後述する)。また、各枝電極43…は、図6に示すように、圧電体層31の一端(基電極42に近い側の端部)の傾斜面を通って上層圧電体34の表面に形成される。
【0059】
各枝電極43…の先端(基電極42とは反対側の端部)は、図5に示すように、上層圧電体34における他端の手前に位置している。これは、枝電極43と駆動電極33とが空中放電によって短絡してしまう不具合を防止するためである。即ち、各枝電極43…の端部と駆動電極33とを離隔した状態で形成することで、両電極43,33間の短絡を防止することができる。
【0060】
また、共通下電極37は、その全体が振動板表面に形成され、図7(b)に示すように、ノズル列方向に細長い直線帯状の基電極(幹電極)44と、この基電極44の一側から各圧電素子17(下層圧電体35)毎に形成された複数の枝電極45…と、基電極44の一端から枝電極45とは反対側に延設された導通帯部46(導通部の一種)とから構成された櫛歯状電極によって構成される。
【0061】
上記の基電極44は、全ての圧電素子17に対して同時に駆動信号が供給されても支障なく電流を流せるように、その幅が各枝電極45…よりも十分に広く設定されている。そして、上記の枝電極45は、圧電体層31(下層圧電体35)と振動板14の間に位置し、その先端(基電極44とは反対側の端部)は、図5に示すように、共通上電極36と揃えられている。また、上記の導通帯部46は、この共通下電極37を共通上電極36に導通させる際に用いられる。即ち、この導通帯部46は、共通上電極36の導通領域42aに近接した位置に形成されており、図8(f)に示すように、導通領域42aと導通帯部46とを跨いだ状態で半田やボンディングワイヤ等の導通部材47が設けられる。従って、これらの両共通電極36,37を導通させるにあたっては、導通領域42aと導通帯部46の両方を跨がせて導通部材47を形成するだけで足り、作業の簡素化が図れ、且つ、自動化にも適する。
【0062】
次に、図8を参照して、上記した共通上電極36及び共通下電極37の形成手順と、各層圧電体34,35の分極処理とを説明する。なお、両共通電極36,37の形成と各層圧電体34,35の分極は一連の工程(素子形成工程,切断工程,分極工程)で行われる。このため、その一連の工程について説明する。
【0063】
素子形成工程では、分極処理される前の圧電素子17(説明の便宜上「分極前圧電素子17」ともいう。)を振動板14の表面に形成する。この素子形成工程では、まず、図8(a)に示すように、支持部材の一種である振動板14の表面に共通下電極37を形成する(第1工程)。本実施形態では、この共通下電極37の形成を印刷法(厚膜印刷)によって行っている。このため、まず振動板14上の所定位置にマスクを載置し、白金ペースト(電極材料の一種)をこのマスクを介して上記した櫛歯状パターンに塗布する。白金ペーストを振動板14上に塗布したならば、この白金ペーストを焼成する。例えば、白金ペーストが塗布されたシート状部材(焼成によって一体化された圧力室形成基板13,振動板14,蓋部材16のシート状前駆体)を焼成炉に入れて所定温度で所定時間に亘って焼成する。この焼成により、振動板14の表面には共通下電極37が形成される。
なお、本実施形態では、この第1工程で導通電極39も振動板14の表面に形成している。
【0064】
共通下電極37を形成したならば、次に、図8(b)に示すように、その一部が共通下電極37の一部の上に重なる状態で下層圧電体35を形成する(第2工程)。ここでは、振動板14上の所定位置にマスクを載置した後、圧電材料(例えば、ジルコン酸チタン酸鉛)のペーストを振動板14の表面に所定パターンで塗布する。具体的には、共通下電極37の枝電極45に重ねて下層圧電体35となる圧電材料を塗布する。圧電材料を塗布したならば、このペースト状の圧電材料を焼成する。
【0065】
その後は、図8(c)〜(e)に示すように、同様な手順で、駆動電極33、上層圧電体34、共通上電極36を順に形成する(第3工程〜第5工程)。即ち、第3工程では、下層圧電体35の表面に白金ペースト(電極材料の一種)を塗布し、その後焼成することで駆動電極33を形成する。また、第4工程では、駆動電極33を覆うように、下層圧電体35の上に重ねてペースト状の圧電材料を塗布し、その後焼成することで上層圧電体34を形成する。同様に、第5工程では、上層圧電体34の表面に金ペースト(電極材料の一種)を塗布し、その後焼成することで共通上電極36を形成する。
【0066】
共通上電極36の形成により、分極前圧電素子17が振動板14の表面に作製される。そして、分極前圧電素子17を形成したならば、導通端子40等の必要な部材を形成し、素子形成工程を終了する。この素子形成工程が終了したならば、切断工程に移行する。この切断工程では、各チップ領域毎にセラミックスシートを切断し、複数のアクチュエータユニット3…を得る。
【0067】
各アクチュエータユニット3…に切断したならば検査工程に移行し、圧電素子17を構成する各層が正常に作製されたことを検査する。本実施形態では、圧電体層(アクト)の寸法(例えば、厚さや幅)に相関のある静電容量を、各層圧電体34,35毎に測定する。即ち、この検査工程では、まだ両共通電極36,37は導通されていないので、各層圧電体34,35毎に静電容量を測定することができる。
【0068】
そして、全ての圧電素子17…に対する検査が終わったならば、測定した静電容量に基づいて、そのアクチュエータユニット3が、良品、或いは、不良品であるのかを判断する。さらに、良品と判断されたアクチュエータユニット3については、測定された静電容量に基づいて分類する。例えば、アクチュエータユニット3毎の平均静電容量に基づくランク分けを行ったり、静電容量のばらつき範囲に基づくランク分けを行う。
【0069】
アクチュエータユニット3を分類したならば、作製された圧電素子17を分極処理する分極工程(分極処理)を行う。この分極工程では、共通電極32と駆動電極33とを用いて分極電圧を供給し、上層圧電体34及び下層圧電体35を分極する。即ち、直流強電界を加え、内部の電気双極子を一定方向に揃える。
例えば、図9に示すように、選択スイッチS1を適宜切り替えることで、共通上電極36及び共通下電極37の一方を選択的に接地すると共に他方を電気的に浮遊状態(非接続状態)とし、駆動電極33を電源に接続することで分極を行う。この場合において、本実施形態では分極用の接点を駆動電極33や各共通電極36,37で構成できるので、分極専用の端子を設ける必要がない。このため、作業性の向上が図れ、アクチュエータユニット3を効率良く作製できる。ひいては、記録ヘッドを効率良く作製できる。
【0070】
この場合、分極処理は、使用予定の駆動電圧よりも十分に高い電圧で行われる。本実施形態では、駆動電圧が30V前後であるため、分極電圧は70V前後に設定される。さらに、この分極電圧、及び、分極電圧を供給する供給時間(分極処理時間)は、上層圧電体34と下層圧電体35とで個別に設定される。例えば、圧電定数を高く設定したい場合には、標準電圧よりも高い分極電圧に設定し、標準処理時間よりも長い分極処理時間に設定する。反対に、圧電定数を低く設定したい場合には、標準電圧よりも低い分極電圧に設定し、標準処理時間よりも短い分極処理時間に設定する。このように、各層圧電体34,35に対して異なる分極条件を設定することで、各圧電素子17に所望の圧電特性を付与することができる。
【0071】
例えば、駆動信号に対する上層圧電体34の変形度合いを下層圧電体35よりも大きくしたい場合には、上層圧電体34の分極率を下層圧電体35の分極率よりも高くすればよい。従って、上層圧電体34の分極時において、分極電圧を下層圧電体35に対する分極電圧よりも高く設定したり、分極処理時間を下層圧電体35に対する処理時間よりも長く設定したりすればよい。
【0072】
各層圧電体34,35を分極したならば、導通工程に移行する。この導通工程では、図8(f)に示すように、分極処理後のアクチュエータユニット3に対して半田付け等の導通処理を行い、共通上電極36と共通下電極37とを導通させる。例えば、導通領域42aと導通帯部46とを跨いだ状態で半田やボンディングワイヤ等の導通部材47を設ける。そして、この導通工程の終了により、アクチュエータユニット3を製造する一連の工程が終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、分極処理において駆動電極33を通じて分極電圧を供給しているので作業性が良い。また、共通上電極36と共通下電極37とが分極処理時において電気的に絶縁されているので、上層圧電体34と下層圧電体35とを個別に分極できる。このため、各層圧電体34,35を異なる分極条件で分極することができる。例えば、分極電圧を異ならせたり、分極時間を異ならせたりすることができる。さらに、測定処理においても共通上電極36と共通下電極37とが電気的に絶縁されているので、1つの圧電素子17における圧電体特性を上層圧電体34側と下層圧電体35側とに分けて測定できる。これにより、圧電体特性の揃った圧電アクチュエータ3を選別することができ、製造上の不具合を高い精度で発見することができる。
【0074】
なお、以上は、共通上電極36と共通下電極37の両方を櫛歯状電極によって構成した例を説明したが、少なくとも一方の共通電極36,37を圧電素子17毎に個別に形成し、フレキシブル・フラット・ケーブル等の配線部材によって共通上電極36と共通下電極37とを導通させてもよい。
【0075】
図10(a)〜(c)に示した例は、共通上電極36´を圧電素子17毎に個別に形成し、共通下電極37´を櫛歯状に形成したものである。そして、共通上電極36´と共通下電極37´とを導通するにあたり、配線部材51を用いている点に特徴がある。即ち、配線部材51の接続部には、図10(c)にその一部を示すように導電層52を面状に形成し、この導電層52を共通下電極37´(基電極)と各共通上電極36´…との間に架け渡した状態で接合する。
このように構成しても、分極処理で1つの圧電素子17を上層圧電体34と下層圧電体35とに分けて分極できる。また、測定処理において、圧電体特性を上層圧電体34と下層圧電体35とに分けて測定できる。従って、圧電素子17に所望の圧電特性を付与することができるし、圧電体特性の揃った圧電アクチュエータ3を選別できる。
【0076】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0077】
まず、分極処理に関し、上記実施形態では、上層圧電体34と下層圧電体35とを個別に分極する場合を例示したが、上層圧電体34と下層圧電体35とを同時に分極してもよい。この場合、選択スイッチS1を設けずに共通上電極36と共通下電極37とを接地電位に調整し、駆動電極33を通じて分極電圧を供給する。このような方法を採ると、上層圧電体34と下層圧電体35とを同時に分極できるので、作業の簡素化が図れ、製造効率を向上させることができる。
【0078】
また、以上は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド、並びに、この記録ヘッドに用いられる圧電素子及び電歪アクチュエータに本発明を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、液晶噴射ヘッドや色材噴射ヘッド等といった他の液体噴射ヘッド、及び、この液体噴射ヘッド用の圧電素子及び電歪アクチュエータにも適用できる。また、マイクロポンプや発音体用の圧電素子及び電歪アクチュエータにも適用できる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、第1の電極と第3の電極とを電気的に絶縁した状態で、第1の圧電体と第2の圧電体とに対して別個に静電容量を測定するので、圧電体特性の揃った圧電アクチュエータを選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘッド本体の基本構造を説明する断面図である。
【図2】ヘッド本体をノズルプレート側から見た図である。
【図3】アクチュエータユニットの構造を説明する図であり、圧力室長手方向で切断した断面図である。
【図4】アクチュエータユニットの構造を説明する図であり、圧力室幅方向で切断した断面図である。
【図5】駆動電極の端部構造を説明する断面図である。
【図6】共通電極の端部構造を説明する断面図である。
【図7】共通電極の構造を説明する図であり、(a)は共通上電極の平面図、(b)は共通下電極の平面図である。
【図8】(a)〜(f)は、圧電素子の作成過程を説明する模式図である。
【図9】圧電素子に対する分極処理を説明する模式図である。
【図10】(a)〜(c)は、共通上電極を圧電素子毎に形成し、配線部材によって共通上電極と共通下電極とを導通させた例を説明する図である。
【図11】複数のヘッド本体を備えた記録ヘッドを説明する図である。
【符号の説明】
1 ヘッド本体
2 流路ユニット
3 アクチュエータユニット
4 インク供給口
5 ノズル連通口
6 供給口形成基板
7 共通インク室
8 インク室形成基板
9 ノズル開口
10 ノズルプレート
11 ノズル列
12 圧力室
13 圧力室形成基板
14 振動板
15 供給側連通口
16 蓋部材
17 圧電素子
31 圧電体層
32 共通電極
33 駆動電極
34 上層圧電体
35 下層圧電体
36 共通上電極
37 共通下電極
38 圧力室隔壁
39 導通電極
40 供給端子
41 端子基板
42 共通上電極の基電極
43 共通上電極の枝電極
44 共通下電極の基電極
45 共通下電極の枝電極
46 共通下電極の導通帯部
47 導通部材
51 配線部材
52 導電層
61 取付ベース

Claims (3)

  1. 圧電材料と電極材料とを積層して分極前圧電素子を形成する素子形成工程と、分極前圧電素子を検査する検査工程と、この分極前圧電素子に分極電圧を供給して分極する分極工程とを経て製造される圧電素子の製造方法において、
    前記素子形成工程は、支持部材の表面に第1の電極を形成する第1工程と、第1の電極に重ねて第1の圧電体を形成する第2工程と、第1の電極とは反対側の第1の圧電体の表面に第2の電極を形成する第3工程と、第2の電極を覆うように第2の圧電体を形成する第4工程と、第2の電極とは反対側の第2の圧電体の表面に第3の電極を形成する第5工程とを含み、
    前記検査工程では、第1の電極と第3の電極とを電気的に絶縁した状態で、第1の圧電体と第2の圧電体とに対して別個に静電容量を測定することを特徴とする圧電素子の製造方法。
  2. 前記分極工程では、前記検査工程で測定した静電容量に基づき圧電素子の良否を判断し、該判断で良と判断された分極前圧電素子に対して、第1の圧電体と第2の圧電体とを別個に分極することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
  3. 圧電材料と電極材料とを積層して振動板の表面に分極前圧電素子を形成する素子形成工程と、分極前圧電素子を検査する検査工程と、この分極前圧電素子に分極電圧を供給して分極する分極工程とを経て製造される液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記素子形成工程は、振動板の表面に第1の電極を形成する第1工程と、第1の電極に重ねて第1の圧電体を形成する第2工程と、第1の電極とは反対側の第1の圧電体の表面に第2の電極を形成する第3工程と、第2の電極を覆うように第2の圧電体を形成する第4工程と、第2の電極とは反対側の第2の圧電体の表面に第3の電極を形成する第5工程とを含み、
    前記検査工程では、第1の電極と第3の電極とを電気的に絶縁した状態で、第1の圧電体と第2の圧電体とに対して別個に静電容量を測定することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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