JP4256552B2 - 液体柔軟剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類等繊維製品、毛髪等に柔軟性を付与する液体柔軟剤組成物に関する。
【従来の技術】
現在、市販されている家庭用柔軟剤製品は、消費者およびメーカー双方にメリットがあることから容器の縮小・軽量化および内容物の濃縮化が進んでいる。消費者にとっては、購入先から家庭に持ち帰る際の労力を軽減することができ、メーカーにとっては保管、運搬の際の物流費を大幅に削減できる。また、容器素材であるプラスチック量を大幅に減少できることは環境面からも好ましい。
一方、内容物の濃縮化は、洗濯に際して、いくつかのトラブルを発生させる原因になっている。例えば、全自動洗濯機の投入口を使用し柔軟処理する場合、投入口に濃縮柔軟剤が残ることがある。すぐに洗い流せば問題はないが、放置することにより、乾燥固化してしまうことがある。これは、次回の洗濯の際、見苦しいばかりでなく、衛生上も好ましいことではない。このようなトラブルを解消するために、組成物を希釈して使用することを推奨している洗濯機メーカーもある。また、過度な内容物の濃縮化は、消費者の使用実感が満たされない場合もある。つまり、あまりにも使用量が少ないために、使用実感が満たされない消費者は、不安心理を解消するために標準使用量より多量に使用し満足を得ようとすることがある。そこで、使用時の実感を増すために水道水などを本体容器に直接入れて内容物を希釈し、使用している場合が多い。また、標準使用量をキャップで計量する煩雑さを省くために、容器から直接洗濯槽、または投入口に注ぐ消費者も多い。このような過剰使用を避ける意味からも、内容物を本体容器中に水道水等を直接入れることによりあらかじめ希釈して使用する消費者もいる。
しかしながら、このような希釈や内容物の洗濯槽投入口等への移し変え作業により、天然環境由来の微生物が内容物中に混入し、その増殖が危惧される。通常、柔軟剤容器内での天然環境由来の微生物の増殖を防止する目的で、市販柔軟剤には、柔軟剤成分とともに防腐・殺菌剤が使用されている。
【0002】
例えば、特開昭62−263380号公報には、水難溶性第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤及び3−イソチアゾロン系抗菌剤を含有する柔軟剤組成物が提案され、好ましい3−イソチアゾロン系抗菌剤として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが例示されている。また、特開平1−162872、特開平3−113077、特表平8−507766号公報にも、任意の防腐・殺菌剤として上記化合物または、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが例示されている。特開平11−181681には、カチオン界面活性剤および1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどの特定有機硫黄化合物を含有し、pHが1.5〜5.5である液体柔軟仕上げ剤組成物が提案されている。しかしながら、上述の希釈や内容物の移し変え作業により、容器内で天然環境由来の微生物が増殖する可能性が高くなり、ひいては香気などの品質に悪影響を与えることが考えられる。
また、近年、生分解性のエステル基を分子内に有するカチオン界面活性剤が使用されるようになり、かつ製品の3倍濃縮化の進行に伴い組成物粘度を下げる目的で無機塩特に2価金属塩が多用され、その結果、防腐・殺菌力が低下する弊害がでている。このような際にも、環境由来の微生物の増殖を防止する目的で、組成物に、より強力な防腐・殺菌力をもたせる必要がある。
一方、防腐・殺菌剤は一般的に高価である。また、大量に皮膚に接触することは安全性の観点から好ましいことではない。従って、原料原価や安全性の観点から、これらの剤はできるだけ少ない添加量で効果が発現することが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、長期間保存しても品質に変化がない液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため、柔軟剤組成物の品質に悪影響を与える微生物の発生を減らすという観点から研究を重ねた結果、特定の化合物の組み合わせにより防腐・殺菌力を向上させ、製品の品質に悪影響を与える微生物の発生を防除することを見出し、本発明を完成するにいたった。
即ち本発明は、
(a)成分:炭素数が8〜46でありかつエステル基を有する炭化水素基を分子内に少なくとも1個有するカチオン界面活性剤の1種以上;及び
(b)成分:(b−1)〜(b−3)の少なくとも2つの群から選ばれる2種以上の化合物
(b−1):イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、
(b−2):ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、
(b−3):5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロ−1,3−ジオキサンまたは2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種
を含有する液体酸性柔軟剤組成物を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(a)成分は、炭素数が8〜46でありかつエステル基を有する炭化水素基を分子内に少なくとも1個有するカチオン界面活性剤の1種以上である。炭化水素基は、脂肪族部分が直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であるのが好ましい。(a)成分のカチオン界面活性剤としては、アミン化合物及びその中和物、またはその4級アンモニウム塩が挙げられる。
以下に長鎖3級アミン化合物の一般式(I)、(II)、(III)を示す。
【0005】
【化1】
Figure 0004256552
【0006】
一般式(I)において、R1、R2、R3のうち、少なくともひとつは、炭素数が8〜36が好ましく、より好ましくは12〜25、さらに好ましくは14〜22のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。炭化水素基中に一つ以上のエーテル基、アミド基を有していてもよく、さらにエステル基があっても構わなく、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。水素の一部又は全部が弗素で置換されていてもよい。
1、R2、R3のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。
一般式(II)において、R4、R5のうち、少なくともひとつは、炭素数が好ましくは8〜36、より好ましくは12〜25、さらに好ましくは14〜22のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。a=1又は2、好ましくは2である。炭化水素基中に一つ以上のエーテル基、アミド基を有していてもよく、さらにエステル基があっても構わなく、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。水素の一部又は全部が弗素で置換されていてもよい。R4、R5ののいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。
【0007】
一般式(III)において、R6、R7、R8、R9、R10のうち、少なくともひとつは、炭素数が8〜36、好ましくは12〜25、より好ましくは14〜22のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。Zは、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の炭化水素基又はX−N(R6)−Yである。該炭化水素基は直鎖または分岐状で、水酸基などを有していてもよい。また、該炭化水素基中にエーテル基、エステル基、アミド基など中断基を1つ以上含んでも構わない。但し、エーテル基、エステル基、アミド基と炭化水素が2つ繰り返し単位として含まれる場合には、この炭素は上記炭素数に含まない。X、YはNとNを結ぶ連結基であり、炭素数が2以上、好ましくは2〜6の炭化水素基である。b=0〜100、好ましくは0〜10である。
6、R7、R8、R9、R10のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。
長鎖3級アミン化合物の一般式(I)、(II)、(III)について、より好ましい化合物の一般式を以下に示す。
【0008】
【化2】
Figure 0004256552
【0009】
【化3】
Figure 0004256552
【0010】
式中、R11及びR12は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。
13、R14、R15、R16は、炭素数6〜25、好ましくは14〜22の炭化水素基である。ただし、水素の一部又は全部が弗素で置換されていてもよい。m、r、uは、1〜6であり、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。n、s、vは、2〜5であり、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3である。k、t、wは、0〜6であり、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2である。
一般式(II)で表わせるアミン化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0011】
【化4】
Figure 0004256552
【0012】
式中、R16は、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25、より好ましくは14〜22の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。水素の一部又は全部が弗素で置換されていてもよい。R13、m、r、n、s、k、tは上述した通りである。
一般式(III)で表わせるアミン化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0013】
【化5】
Figure 0004256552
【0014】
式中、R11、R12、R13、R14、R15、m、r、u、n、s、v、k、t、wは、上述した通りである。
17、R18、R19、R20は、それぞれ同一でも異なってもよく、その少なくとも一つはCmH2m(OCnH2n)kOCOR13(式中、m、n、k、R13は上述した通りである)で表わせるエステル基を有する炭化水素基である。
21は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の炭化水素基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のヒドロキシアルキル基または炭素数8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基、CmH2m(OCnH2n)kOCOR13(式中、m、n、k、R13は上述した通りである)で表わせるエステル基を有する長鎖基である。
上記アミン化合物は、1級でも、2級でも、3級でも構わないが、3級化合物がもっとも好ましい。
(a)成分としては、上記アミン化合物の中和物、またはその4級アンモニウム塩構造を有するカチオン界面活性剤も含まれ、それぞれの混合物であっても構わない。
【0015】
カチオン界面活性剤がアミン化合物の中和物である場合、任意の無機酸または有機酸を用いて中和することができる。中和剤としては、塩酸、硫酸、アルキル硫酸、グリコール酸、乳酸が好ましく、より好ましくは塩酸、メチル硫酸である。カチオン界面活性剤が4級アンモニウム塩である場合には、上記長鎖3級アミンにアルキル基を結合させる過アルキル化法により得ることができる。過アルキル化剤としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル炭酸などがあげられる。また、ヨウ化メチル、塩化メチル、塩化エチル、臭化ブチルなどの低級ハロゲン化アルキル、エピクロロヒドリンなどを使用しても得ることができる。
また、4級アンモニウム塩は、低級3級アミンに、エステル結合を有する炭素数8〜36、好ましくは12〜25のハロゲン化アルキルを作用させることにより得ることができる。脂肪酸のクロロメチルエステル、クロロエチルエステル、クロロプロピルエステルなどのハロゲンアルキルエステルあるいは、クロロメチル化酸アミドなどを使用することができる。また、上記アルキル基中に、1個以上の酸アミド結合、エーテル結合を含んでいてもよい。4級アンモニウム塩の対イオンは柔軟剤適合アニオンであり、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンやメチル硫酸、エチル硫酸、メチル炭酸などのイオンが挙げられ、特に好ましくは塩化物イオン、メチル硫酸イオンである。また、アミン化合物の4級化物としては、上記一般式(III)で表わされるアミン化合物を、特開平09−111660号に記載の方法により得たものもあげられる。該特許本文記載のカチオン界面活性剤も使用することができる。
【0016】
(a)成分が、アミン化合物、またはその中和物、または4級アンモニウム塩の混合物の場合、内容物の分散性の観点から、アミン化合物は(a)成分の好ましくは30質量%未満、より好ましくは10質量%未満である。ただし、中和物と4級アンモニウム塩の割合は任意である。
また、1分子中に含まれる長鎖基の数に関しては、防腐・殺菌力の観点からは1分子中に含まれる長鎖基の数が1個のものの割合が多いことが好ましい。ただし、高い柔軟付与性能を得るためには、1分子中に含まれる長鎖基の数が2個または3個以上のものの割合を多くすることが好ましく、(a)成分中に占めるそれらの割合は好ましくは50重量%以上、より好ましくは65質量%以上である。
さらに、(a)成分として、次の一般式(VII)で表わされる化合物を用いることができる。
【0017】
【化6】
Figure 0004256552
【0018】
式中、R22及びR23は、炭素数が好ましくは8〜36、より好ましくは12〜25、さらに好ましくは14〜22のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。ただし、少なくとも一つはCmH2m(OCnH2n)kOCOR13(式中、m、n、k、R13は上述した通りである)で表わせるエステル基を有する長鎖基である。炭化水素基中に一つ以上のエーテル基、アミド基を有していてもよく、さらにエステル基があっても構わなく、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。水素の一部又は全部が弗素で置換されていてもよい。
22及びR23のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6、好ましくは1〜2の炭化水素基;炭素数2〜6、好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドの好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4付加物;炭素数が8〜36、好ましくは12〜25の炭化水素基であり、このうち、メチル基、ヒドロキシエチル基及び炭素数16と18の炭化水素基が特に好ましい。Xは、塩酸、酢酸、ピロリドンカルボン酸などが適している。
(a)成分は、分子内に少なくとも一つ、炭素数が8〜46のエステル基含有炭化水素基を有するが、そのような基は、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和高級脂肪酸のほか、牛脂、豚脂、パーム油、大豆油、パーム核油、オリーブ油等の天然油脂を分解、精製して得られる脂肪酸、脂肪酸メチルエステルなどの脂肪酸短鎖エステルなどに由来するものである。また、不飽和基を有するものについては、硬化、または部分硬化したものでも構わない。これらの中でも特に、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、部分硬化パーム脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸由来の基が好ましい。
【0019】
炭化水素基は、飽和型でも不飽和型でも、両者の混合物であっても構わない。組成物製造時の取り扱いやすさからは、長鎖基中に不飽和基が入っていることが好ましい。ただし、処理したあとの繊維のぬめり感を高めるためには飽和型の比率を高くすることが好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。長鎖基1個あたりに2つ以上の不飽和基を含むものを用いることができるが、香気安定性の面から2つ以上の不飽和基を含む長鎖基/全ての長鎖基を基準として10質量%以下であることが好ましい。
炭化水素基の炭素数は、柔軟性能から17以上である比率が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
組成物中における(a)成分の含有量は、組成物が水系の場合には、その粘度を適度に保持して使いやすくするために、50質量%以下、好ましくは3〜30質量%にするのが好ましい。本発明の組成物の粘度は、5〜2000mPa・sであるのが好ましく、20〜1000mPa・sがより好ましい。組成物が非水系の場合には、90質量%まで高濃度化することができる。但し、ハンドリング性から50〜80質量%にすることが好ましい。
【0020】
本発明で用いる(b)成分は、(b−1)〜(b−3)から選ばれる防腐・抗菌剤の2種以上である。
(b−1)成分は、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物であり、3−イソチアゾロン基を含む抗微生物性の有機防腐・殺菌剤が好ましい。これらの化合物は、1981年5月5日発行のLewisらの米国特許第4,265,899号明細書に開示されている。この明細書の開示は本件明細書に含まれるものとする。その例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド1(約5質量%水溶液)などジュンサイドシリーズなど市販されているものを使用することができる。
【0021】
(b−2)成分は、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物であり、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが好ましい。このような化合物としては、アビシア(株)製のプロキセルシリーズ〔BDN(有効分33質量%)、BD20(有効分20質量%)、XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)、LV(有効分20質量%)、TN(有効分60質量%)〕、デニサイドBIT/NIPA等の市販品を用いることができる。
【0022】
(b−3)成分は、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロー5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのいずれか1種である。このうち、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが好ましく、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールがより好ましい。このような化合物としては、Henkel社製 BronidoxL、Inolex社製 Bronopol、吉富製薬社製ブロノポール、ブーツ社製マイアサイドBTなどの市販品を用いることができる。
(b)成分の合計量は、この組成物の0.0001質量%〜0.5質量%である。経済性の観点からは、0.0003質量%〜0.1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.001質量%〜0.05質量%である。
【0023】
また、(b)成分は(b−1)〜(b−3)から選ばれる2種以上の組み合わせであるが、その組み合わせが(b−1)と(b−2)の場合には、(b−1)/(b−2)=好ましくは0.005〜3、より好ましくは0.01〜1、さらに好ましくは0.05〜1である(質量比)。(b−1)と(b−3)の場合には、(b−1)/(b−3)=好ましくは0.0003〜1、より好ましくは0.001〜0.3である(質量比)。(b−2)と(b−3)の場合には(b−2)/(b−3)=好ましくは0.005〜10、より好ましくは0.01〜5である(質量比)。
なかでも、(b−1)/(b−3)の組み合わせが最も好ましく、ついで(b−1)/(b−2)、(b−2)/(b−3)の順である。(b−1)/(b−2)/(b−3)の3種類を併用した場合にも優れた防腐・殺菌効果を示す。
本発明の組成物は、上記(a)及び(b)成分に、水或いはエチレングリコール又はグリセリン等を添加してバランスをとることにより調製することができる。なお、本明細書において各成分の含有量は、水或いはエチレングリコール又はグリセリン等を加えて調製したときの値を意味する。
【0024】
本発明の組成物の20℃におけるpHは、1.5〜6である。防腐・殺菌力の観点からはpHは低いほどよいが、低すぎると組成物に通常配合される成分の分解がおこる可能性が生じる。従って、より好ましいpHは、1.5〜5.0であり、さらに好ましくは2.0〜4.5である。pH調整には、任意の無機または有機の酸およびアルカリを使用することができる。具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、ジアルキル硫酸、アルキル硫酸、ジアルキル炭酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リング酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、アクリル酸などの高分子アクリル酸、ヒドロキシエタンジホスフォン酸、トリポリリン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−シアノエチル)アミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、2,3−ジヒドロキシ−N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン等の短鎖アミン化合物または、それらのアルキレンオキシド付加物、窒素に連結する炭素数が8〜36の長鎖アミン化合物またはそれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。また、上記の塩も用いることができる。アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩なども使用することができる。このうち、塩酸、メチル硫酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
また、本発明にはさらに(c)成分として(c−1)〜(c−2)から選ばれる1種以上を含むことにより、組成物の防腐・殺菌力を向上させることができる。
【0025】
(c−1)は、炭素数が1〜8のアルコールであり、具体的には、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、2−フェニルエタノールなどをあげることができる。なかでも、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール等、窒素原子を含まないものが好ましい。これらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(c−1)成分の配合量は、組成物中において、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは1〜25質量%である。低級のアルコールについては、安息香酸デナトリウム、8−アセチル化蔗糖、ブルシン、オレンジ、シトラスなどの変性剤で変性されているものも使用することができる。
【0026】
(c−2)は、安息香酸類またはフェノール化合物であり、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等を挙げることができ、なかでも、安息香酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(c−2)成分の配合量は、組成物中において、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.0003〜3質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
【0027】
組成物中には、分散性を向上させる目的でアルコールまたはアミンまたは脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を用いることもできる。炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があっても構わない、また、炭素鎖に分布があってもかまわない。好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には炭素数6〜14のものが好ましく,より好ましくは8〜12、最も好ましくは8〜10である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、炭素数6〜17のものが好ましく、より好ましくは9〜17、最も好ましくは13である。原料としては、エクソン化学(株)製エクサール、BASF社製Lutensol TO、協和発酵工業(株)オキソコールC13などを使用することができる。また、特にアルコールのアルキレンオキシド付加物の場合には1級アルコールでも2級アルコールでも使用できるが1級アルコールを用いたほうが組成物の分散性が良好である。炭素数が13のアルコールは、ドデセンを原料に製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでも構わない。炭素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は18であるものが好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、エチレンオキサイドとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加しても構わない。EOの平均付加モル数としては10〜100モルであり、好ましくは20〜80モル、特に好ましくは30〜60モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5であり、好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPOまたはBOを付加した後、EOを付加しても構わない。ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO40モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、オレイルアミンの平均EO50付加物、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などがあげられる。日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、エソミンシリーズ、(株)日本触媒製ソフタノール300等のソフタノールシリーズ、BASF社製 Lutensol シリーズ等を使用することができる。配合量は、組成物全体を基準として好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.3〜2質量%である。
【0028】
本組成物には、組成物の粘度を下げる目的で無機または有機の塩類を用いることができる。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリコール酸カリウム、乳酸ナトリウムなどがあげられる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウムである。配合量は、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.7質量%である。
【0029】
また、本発明の柔軟剤組成物を衣類等の繊維製品に用いる場合、繊維の吸水性向上、ハリ付与、アイロンすべり性を改善を目的で、ジメチルポリシロキサン、および各種有機官能基を有する変性ジメチルポリシロキサンから選ばれるシリコーンを、単独で、または2種以上の混合物として任意の割合で使用することができる。シリコーンがジメチルポリシロキサンである場合、シリコーンの重合度は10mPa・s〜100万mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mPa・s〜10万mPa・s、最も好ましくは1万mPa・s〜10万mPa・sである。シリコーンが変性ジメチルポリシロキサンである場合、有機官能基は、アミノ、アミド、アルキル、アラルキル、カルボキシル、フルオロアルキル、高級アルコールエステル、ポリエーテル、エポキシ、カルビノール、メルカプト、フェノール、メタクリルやアミノポリエーテルやアミドポリエーテル、アルキルアルコールなど2種以上の変性をしたシリコーンなどがあげられ、1種または2種以上選ばれる。また、有機官能基の結合位置は、ジメチルポリシロキサンの主鎖に対して側鎖、または末端のいずれでも良く、末端に結合する場合は片末端、または両末端いずれでも良い。また、ジメチルポリシロキサンに対する有機官能基の質量比率は任意とすることができ、特に限定されない。更に、該変性ジメチルポリシロキサンとして、有機官能基を導入するための前駆体である水素化ジメチルポリシロキサン、または水酸基化ジメチルポリシロキサンを、それぞれ単独で、または有機官能基を有する変性ジメチルポリシロキサンと混合して用いてもよい。シリコーンとしては、ジメチルシリコーン、ポリオキシエチレン変性シリコーン、水素基または水酸基を含むシリコーン、およびこれらの乳化物が好ましい。これらのシリコーン化合物は組成物中に好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜10質量%配合することができる。
【0030】
また、さらに防腐・殺菌力を向上する目的で以下の化合物の一種以上を組成物に対して好ましくは0〜0.5質量%、より好ましくは0〜0.1質量%用いることができる:ピリチオンナトリウム、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、ジメチロールジメチルヒダントイン、DMDMヒダントイン(Lonza 社製 Glydant、または Glydan Plus)、N−[1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル]−N,N’−ビス(ヒドロキシメチル)尿素(一般にジアゾリジニル尿素名で発売されている)、N,N’−メチレンビス{N’−[1−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル]尿素}、一般にイミダゾリジニル尿素として知らているものなどのイミダゾリジンジオン化合物、ポリメトキシド二環性オキサゾリジン化合物、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの低分子量アルデヒド、−般式HCl・NH2−(CH23−[−(CH23−NH−C(=NH)−NH−C(=NH・HCl)−NH−(CH23−]x−(CH23−NH−C(=NH)−NH・CNを有するポリヘキサメチレンビグアニドとしても知られているポリアミノプロピルビグアニド、ポリアミノプロピルビグアニド、クロルヘキシジンとして一般に知られている1,1’−ヘキサメチレンビス(5−(p−クロロフェニル)ビグアニド)、酢酸およびジグルコン酸など塩である二グルコン酸塩やその二酢酸塩、アビシア(株)製 プロキセル IBなど市販されているもの;1−(3−クロラリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド、例えばDow ChemicalからDowicil 200 の商品名で発売されているもの;デヒドロ酢酸、一般にプロパミジンイセチオネートとして知られている4,4’−ジアミジノ−α,ω−ジフェノキシプロパンジイセチオネート、一般にヘキサミジンイセチオネートとして知られている4,4’−ジアミジノ−α,ω−ジフェノキシヘキサンジイセチオネート;12−(4’−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバミド等などのイミダゾール系又はチアゾール系抗菌剤;クロロブタノールとして一般に知られいる1,1,1−トリクロロ−2−メチルプロパン−2−オール、クロロブタノール、4,4’−(トリメチレンジオキシ)ビス−(3−ブロモベンズアミジン)ジジイセチオネート、またはジブロモプロパミジン、ジブロモプロハミジンなど;3,4,4’−トリクロロカルバニリドまたはトリクロカルバンとしても知られるN−(4−クロロフェニル)−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、トリクロサンとして−般的に知られている2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルなど。
【0031】
また、製品の使用感を実感させる目的で香料を用いることができるが、一般に柔軟剤組成物に使用されている、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、水素化芳香族アルデヒド等、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、水素化芳香族ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フエノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、水素化芳香族ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合し使用することができる。例えば、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年 MONTCLAIR, N.J.刊 STEFFEN ARCTANDER 著“Perfume and Flavor Chemicals”等に記載の香料が使用できる。
【0032】
また、組成物の外観を向上する目的で、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる水溶性染料の1種以上を添加することができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)等に記載されている。
さらに、本発明の柔軟剤組成物には上記成分以外にその他の任意成分として、通常柔軟剤組成物に配合される公知の成分を、発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。任意成分としては例えば、ジ長鎖アルキルジメチル第4級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキルトリメチル第4級アンモニウム塩、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸またはそれらの低級アルコールとのエステルであるステアリン酸メチルエステル、オレイン酸メチルエステル、パルミチン酸メチルエステルなどの脂肪酸メチルエステル等を好ましくは0〜2質量%、ステアリン酸とグリセリンまたはペンタエリスリトールなどのエステルである脂肪酸グリセリンエステルなどの非イオン界面活性剤を好ましくは0〜1.0質量%、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール、一級または二級のイソトリデシルアルコールなどの高級アルコールを好ましくは0〜3.0質量%、エチレングリコールやグリセリンなどの低温安定化剤を好ましくは0〜10質量%、ヒドロキシエタンジフォスフォン酸(ライオン(株)フェリオックスCY−115)、エチレンジアミンテトラホスフォニックアシッド(モンサント社Dequest2041)、D−2000、2010、2066などのホスフォン酸系キレート剤、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、クエン酸、カプトカテキュ酸、トリポリリン酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、アスパラギン酸、ポリグリオキシ酸、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体(ポリマーの分子量は任意)およびそれらのナトリウム等の塩、などのキレート剤を好ましくは0〜5.0%、酸化防止剤を好ましくは0〜0.1質量%、流動パラフィンなどの常温で液体である炭化水素を好ましくは0.01〜2.0質量%、尿素、顔料、セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤などが挙げられる。
【0033】
本発明の組成物の使用濃度は、用途及び使用態様によって異なるが、衣類等の繊維製品に用いる場合、すすぎ水に対して本発明の組成物が0.001〜3質量%濃度、好ましくは0.01〜1質量%濃度となるように希釈して用いるのが好ましい。
本発明の組成物は、天然環境由来の微生物であって、柔軟剤組成物中に一般的に生育及び増殖可能な微生物の発生を防除するのに有効であり、このような微生物としては、Burkhorderia属、Pseudomonas属、Caseobacter属等の細菌類等、Paecilomyces属等の真菌類が挙げられる。
【発明の効果】
本発明によれば、本発明の組成物の品質に悪影響を与える微生物の発生を防除することができ、長期間に保存したときでも品質に変化がない。
【0034】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1〜表5に示す成分を用い、表6〜表8に示す液体柔軟仕上げ剤組成物を得た。柔軟剤組成物は、各組成物に含まれる油性成分と水性成分をあらかじめ所定量別の容器で液体状態にしておき、両者を2000rpm以上の高速攪拌下に混合することにより調整した。組成物のpHは、塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整し、各組成物について、下記に示す防腐・殺菌性試験を行い、実施例および比較例の結果を表6〜表8に示す。
<防腐・殺菌性試験>
柔軟剤組成物を製造後、25℃で1日放置し、原液並びに滅菌した4度硬水で1/3濃度に希釈し、それぞれにBurkhorderia cepacia菌(バルクホルデリア セパシア)を10の6乗個/mLとなるように接種し、20℃で保存。経時的(1、2、4、7、14、28日目)に試料中に生残している菌数を平板混釈法(SCDLPA寒天培地;日本製薬社製)で測定し、接種した菌が10個/g未満となる日数(死滅日数)を求めた。日数が少ないほど防腐・殺菌力が高いことを示す。
<香気試験>
組成物800mLをポリエチレン製容器(ライオン(株)製ソフランC容器)に入れ、5℃及び20℃に3か月保管した。5℃で保管したサンプルを対照とし、20℃で保管したサンプルの香気を官能的に比較評価した。
【0035】
【表1】
Figure 0004256552
【0036】
*(シス体率)の数値は、質量%を示す。
**4級化物は、ジ長鎖アミンとシアナミドを反応させた後に、塩酸で中和し合成した。
***かっこ内は、それぞれ中和度、4級化度を示し、単位は質量%である。
1)(a)I-1から(a)I-10に関しては、一般式(Ia-1)と(Ia-5)との混合物であり、順に(Ia-1)/(Ia-5)比、R13CO、R14COの由来、その他を意味する。尚、R11はCH3、R12はC2H4OHで共通。
2)(a)II-1から(a)II-7に関しては、(Ia-1)/(Ia-5)/(Ia-8)比、R13CO、R14CO、R15COの由来、その他を記載。R11、R12はC2H4OHで共通。
3)(a)III-1から(a)III-2に関しては、〔(Ia-2)+(Ia-3)〕/(Ia-7)比、R13CO、R14COの由来、その他を記載。R11、R12はCH3で共通。
4)(a)IV-1から(a)IV-6に関しては、(Ia-4)/(Ia-6)比、R13CO、R14CO、R15COの由来、その他を記載。R11はCH3で共通。
5)(a)V-1と(a)V-2に関しては、(IIa-1)/(IIa-2)比、R13CO、R14CO、R16は硬化牛脂脂肪酸由来、m,r=2で共通。
6)(a)VI-1に関しては、(IIIa-1)/(IIIa-2)比、R13CO、R14COの由来、その他を記載。R11、R12はCH3で共通。
7)(a)VII-1に関しては、(IIIa-6)であり、R17、R19=C2H4OCOR13、R18、R20はCH3。R13の由来、およびその他記載。
8)(a)VIII-1に関しては、(VIIa-1)であり、R21、R22=C2H4OCOR13、Xは塩素。R13の由来、およびその他記載。
脂肪酸:牛脂およびパーム由来のものを使用。全アシル鎖に占める炭素数18飽和、18不飽和、16飽和の割合が、90%以上になるように蒸留した。
完全硬化、部分硬化、未硬化品を適当量混合することにより不飽和度と不飽和基のシス体比率を制御した。
【0037】
【表2】
Figure 0004256552
【0038】
(b)-1:ローム・アンド・ハース(株)製、ケーソンCG/ICP(有効成分1.5質量%)
(b)-2:アビシア(株)製、プロキセルBDN(有効成分33質量%)
(b)-3:ブーツ(株)製、マイアサイドBT
*(b)-4から(b)-13に関してはその配合質量比を記載。かっこ内は有効成分質量比を示す。
【0039】
【表3】
Figure 0004256552
【0040】
(c)-1:アルコール専売公社製、未変性または変性アルコール
(c)-2:三井東圧化学(株)製
(c)-3:東京化成工業(株)製
(c)-4:旭電化工業(株)製
(c)-5:三井石油化学(株)製
(c)-6:関東化学(株)製
(c)-7:協和発酵工業(株)製、ブチルカルビトール95
(c)-8:エルフ アトケム製
(c)-9:三洋化成工業(株)製
(c)-10:三菱化学(株)製
(c)-11:住友化学工業(株)製、SUMILIZER BHT
【0041】
【表4】
Figure 0004256552
【0042】
(d)-1:日本エマルジョン(株)製エマレックス720
(d)-2:ライオン(株)TDA400−75
(d)-3:(株)日本触媒製ソフタノール300
(d)-5:ライオン(株)製エソミンT70
(d)-6:東レダウコーニングシリコーン(株)製SH3775C
(d)-7:ライオン(株)DMS−55
(d)-8、(d)-9、(d)-10、(d)-11:表7において、組成物に含まれる(a)成分のカチオン界面活性剤原料脂肪酸と同じ脂肪酸。
(d)-12、(d)-13:市販試薬
(d)-14:硬化牛脂脂肪酸1.5モルとグリセリン1モルとのエステル化物
(d)-15:ペンタエリスリトール1モルとステアリン酸2モルのエステル化物
(d)-20:モンサント社製Dequest2041
(d)-22:ライオン(株)製フェリオックスCY115
(d)-23:三井東圧化学DEA−80
(d)-25:表7において、組成物に含まれる(a)成分カチオン界面活性剤原料脂肪酸と同じ脂肪酸からなるメチルエステル。
(d)-4、(d)-24、(d)-26、(d)-27、(d)-28、(d)-29、(d)-30、(d)-31:合成品
(d)-32:日本油脂(株)PEG#1000
(d)-33:三菱化学エチレングリコールB
(d)-34:ライオン オレオケミカル(株)製
(d)-35:表5
(d)-36:表5
【0043】
【表5】
Figure 0004256552
【0044】
【表6】
Figure 0004256552
Figure 0004256552
【0045】
【表7】
Figure 0004256552
【0046】
【表8】
Figure 0004256552
Figure 0004256552
Figure 0004256552
表8中の(c)−1については、法令で定められている量の変性剤を含むエタノールを使用した。実施例57、60、65では安息香酸デナトリウム、実施例59、62、では8−アセチル化蔗糖、実施例58、61、64ではブルシン、実施例63ではオレンジ、実施例66ではシトラスをそれぞれ変性剤として使用した変性アルコールを用いた。
実施例57〜66組成物の(d)成分のみを含み、pHを対応する実施例のpHと同じにした組成物である比較例8〜17を調製し防腐・抗菌性試験および香気試験を行った。比較例8〜17組成物の菌死滅日数は、原液、希釈液共に28日以上であった。香気に関しては、実施例10サンプルは全て対照とほぼ同等の香気であったが、比較例10サンプルは全て対照の香気に比べて劣っていた。

Claims (4)

  1. 下記(a)成分と(b)成分とを含有し、20℃におけるpHが1.5〜6である液体酸性柔軟剤組成物。
    (a)成分:下記一般式(I)、(II)、(III)で表されるアミン化合物及びその中和物、またはその4級アンモニウム塩の1種以上;及び
    Figure 0004256552
    (式(I)中、R1、R2、R3のうち、少なくともひとつは、炭素数が8〜36のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。R1、R2、R3のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6の炭化水素基;炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6のアルキレンオキシドの2〜6付加物;炭素数が8〜36の炭化水素基である。
    式(II)中、R4、R5のうち、少なくともひとつは、炭素数が8〜36のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。a=1又は2である。R4、R5のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6の炭化水素基;炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6のアルキレンオキシドの2〜6付加物;炭素数が8〜36の炭化水素基である。
    式(III)中、R6、R7、R8、R9、R10のうち、少なくともひとつは、炭素数が8〜36のエステル基を有する炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっても良い。Zは、炭素数1〜10の炭化水素基又はX−N(R6)−Yである。X、YはNとNを結ぶ連結基であり、炭素数が2以上の炭化水素基である。b=0〜100である。R6、R7、R8、R9、R10のいずれかが上記基でない場合には、水素;炭素数1〜6の炭化水素基;炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2〜6のアルキレンオキシドの2〜6付加物;炭素数が8〜36の炭化水素基である。)
    (b)成分:(b−1)〜(b−3)の少なくとも2つの群から選ばれる2種以上の化合物
    (b−1):イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、
    (b−2):ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、
    (b−3):5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロ−1,3−ジオキサンまたは2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種。
  2. さらに、(c)成分として(c−1)〜(c−2)から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の液体酸性柔軟剤組成物。
    (c−1):炭素数が1〜8のアルコール
    (c−2):安息香酸類またはフェノール化合物。
  3. (b)成分が、(b-1)/(b-2)=0.005〜3, (b-1)/(b-3)=0.0003〜1, 又は(b-2)/(b-3)=0.005〜10の質量比で含まれる特許請求の範囲第1項又は第2項記載の液体酸性柔軟剤組成物。
  4. (a)成分が、3〜30質量%の量で含まれる特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載の液体酸性柔軟剤組成物。
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