JP7051538B2 - 繊維処理剤組成物 - Google Patents
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Description
しかし、詰め替え用袋状容器の中身をプラスチックボトルへ繰り返し充填して使用する場合、袋状容器内に混入して繁殖した環境常在の雑菌の影響により、新たに充填した繊維処理剤の色調が変化しやすくなるという問題がある。
この問題の解決手段として、防腐・抗菌成分を含む防腐剤を配合する技術が知られている(特許文献1)。防腐・抗菌成分は、繊維処理剤へ長期安定性を付与するためにも使用されている(特許文献2)。
また、繊維処理剤では、様々な目的で香料成分が配合されている(特許文献3~5)。
〔1〕繊維処理剤組成物であって、下記(A)成分及び(B)成分:
(A)エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、並びに、
(B)香料組成物(但し、カプセル化香料に含まれる香料及び香料組成物を除く)であって、
25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料を、前記香料組成物の総質量に対して90質量%以上含み、かつ、
芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料を、前記香料組成物の総質量に対して0.01~5質量%含むことを特徴とする香料組成物
を含み、
(A)成分の含量が、前記繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.1質量%以上13質量%未満であり、
(B)成分の含量が、前記繊維処理剤組成物の総質量に対し、1~40質量%である、繊維処理剤組成物。
〔2〕(C)ベンゼン環を有するイソチアゾリン系の化合物を更に含む、前記〔1〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔3〕(B)成分の(C)成分に対する質量比(B/C)が100以上である、前記〔2〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔4〕(A)成分が、一般式(A1-4)で表される化合物の4級化物と、(A1-5)で表される化合物の4級化物と、(A1-6)で表される化合物の4級化物とを含み、
(A1-4)の四級化物の含量が、(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各四級化物の合計質量に対して10~50質量%である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔5〕(A)成分の含量が、繊維処理剤組成物の総質量に対し5~12質量%である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔6〕(B)成分の香料組成物が、25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料を、前記香料組成物の総質量に対して92質量%以上含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔7〕(B)成分の香料組成物が、芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料を、前記香料組成物の総質量に対して0.5~4.5質量%含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔8〕(B)成分が、ClogP値が0.5~4.0の香料を含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔9〕(B)成分の含量が、繊維処理剤組成物の総質量に対し1~25質量%である、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
したがって、本発明は従来の繊維処理剤にはない付加価値を有する製品として有用である。
(A)成分は「エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である。
(A)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)を繊維処理剤組成物へ付与するために配合する。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央値を中心に分布していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
アミン化合物としては、2級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が2個)又は3級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が3個)が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
R1~R3のうちの少なくとも1つは、炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4、又は-(CH2)nNHCOR5である。]
-CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R4は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは80/20~0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
R5は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
R1~R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2)nNH2におけるnは、-(CH2)nNHCOR5中のnと同様である。
R9及びR10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1-1)~(A1-8)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1-4)~(A1-6)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
特に、一般式(A1-4)で表される化合物の4級化物と、(A1-5)で表される化合物の4級化物と、(A1-6)で表される化合物の4級化物とを併用することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1-2)の4級化物/化合物(A1-3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
繊維処理剤の防腐性の観点からは、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の合計質量に対して、化合物(A1-4)の含量は10~50質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましく、25~50質量%であることがさらに好ましく、30~50質量%であることが最も好ましい。前記の含量範囲は、各化合物が塩又は四級化物である場合にも適用される。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1-4)の4級化物が1~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が5~98質量%、化合物(A1-6)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-4)の4級化物が30~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が10~55質量%、化合物(A1-6)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
またその4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1-7)の4級化物/化合物(A1-8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は「香料組成物(但し、カプセル化香料に含まれる香料及び香料組成物を除く)であって、(1)25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料を前記香料組成物の総質量に対して90質量%以上含み、かつ、(2)芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料を前記香料組成物の総質量に対して0.01~5質量%含むことを特徴とする香料組成物」である。
(B)成分は、繊維処理剤自体及び/又は繊維製品へ香りを付与する香料としての機能に加え、繊維処理剤組成物に混入した雑菌の繁殖を抑制する防腐剤としての機能も有する。
「25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料」の具体例としては、p-アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルオイゲノール、ウンデシルアルコールC-11、ウンデシレニックアルコールC-11、ウンデシレニックアルデヒドC-11、ウンデシルアルデヒドCー11、ラウリルアルデヒドC12、アルデヒドC12MNA、アルデヒドC-8、アルデヒドC-9、アミルベンゾエート、アミルブチレート、アネトール、アニスアルコール、アニシルアセテート、ベンゾフェノン、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ギ酸ベンジル、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレート、ベンジルフェニルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジリデンアセトン、ボルネオール、ボルニルアセテート(0.08)、ギ酸ボルニル、ボルニルイソブチレート、ボルニルプロピオネート、β-カジネン、カンファー、カルボン、カリオフィレン、セドロール、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シンナミルアセテート、シトラール(0.058)、シトロネリルアセテート、シトロネラール、シトロネロール(0.0151)、シトロネリルイソブチレート、シトロネリルプロピオネート、クマリン、p-クレジルアセテート、シクラメンアルデヒド、シクロペンタデカノリド、ジメチルアンスラニレート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルハイドロキノン、ジフェニルメンタン、ジフェニルオキシド、エチルベンゾエート、エチルシンナメート、エチルヘプチレート、エチルノニレート、エチルオクチレート、エチルフェニルアセテート、エチルウンデシレネート、エチルアセトアセテート、ファルネソール、フェンコール、α-フェンコン、フルフリルアルコール、ゲラニオール(0.0205)、ゲラニルアセテート、ギ酸ゲラニル、ゲラニルイソブチレート、ゲラニルプロピオネート(0.023)、チグリン酸ゲラニル、ヘプチルアセテート、ギ酸ヘプチル、ヘキシルシンナミックアルデヒド(HCA)(0.0007)、ハイドラトロピックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、α-ヨノン(0.016)、β-ヨノン、イソアミルベンゾエート、イソアミルベンジルエーテル、イソアミルシンナミックアルデヒド、イソアミルフェニルアセテート、イソアミルフェニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソブチルベンゾエート、イソブチルフェニルアセテート、イソブチルシンナメート、イソプレゴール、イソプレゴールアセテート、イソサフロール、cis-ジャスモン(0.0094)、リナロール(0.165)、リナリルアセテート、ギ酸リナリル、リナリルイソブチレート、リナリルプロピオネート、l-メントール、メントン、メンチルアセテート、メンチルホーメート、メチル9-ウンデセネート、p-メチルアセトフェノン、メチルアンスラニレート、メチルベンゾエート、メチルチャビコール、メチルシンナメート、6-メチルクマリン、メチルヘキシルケトン、α-メチルヨノン、メチルノニルケトン、メチルフェニルアセテート、6-メチルキノリン、ミュゲアルデヒド、ムスクケトン、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ノニルアセテート、オクチルアセテート、ギ酸オクチル、フェニルアセトアルデヒド、フェニルエチルプロピオネート、フェニルプロピルアセテート、フェニルエチルアルコール、ギ酸フェニルエチル、フェニルエチルイソブチレート、フェニルプロピルアルコール、プレゴン、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、α-ターピネオール(0.048)、PTBCHA(0.047)、テトラヒドロゲラニオール、β-ツヨン、γ-ウンデカラクトン(0.001)、リリアール(0.003)、ヘディオン(0.001)、ガラクソリド(0.001)や、γ-デカラクトン(0.008)等が挙げられる。
なお、前記の香料名に続く括弧内の数字は25℃における蒸気圧である。
「25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料」は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
なお、前記の各香料名に続く括弧内の数字は、対応するCAS番号である。
「芳香族基を有するアルデヒド香料」及び「フェノール基を有する香料」はそれぞれ、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の香料組成物における前記ClogP値を有する香料の含量は、前記香料組成物の総質量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、最も好ましくは70%以上である。
ClogP値とは、化学物質について、1-オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1-オクタノール/水分配係数=Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
繊維処理剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて前記(A)~(B)の必須成分以外の下記の任意成分を配合してもよい。
(C)成分は「ベンゼン環を有するイソチアゾリン系の化合物」である。
(C)成分は防腐剤として知られている化合物であり、繊維処理剤組成物の防腐性をより高めるために配合できる。
(C)成分の具体例としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(MBIT)や、N-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)などが挙げられる。
(C)成分は市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
(C)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.0001~0.02質量%(1~200ppm)、より好ましくは0.0001~0.015質量%(1~150ppm)、さらに好ましくは0.0005~0.012質量%(5~120ppm)、最も好ましくは0.001~0.01質量%(10~100ppm)である。
(D)成分はノニオン界面活性剤である。
(D)成分は、繊維処理剤組成物が乳化物である場合に、主に、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性を向上する目的で好ましく用いられ得る。特に(D)成分を配合すると、商品価値上、充分なレベルの凍結復元安定性が確保されやすい。
(D)成分としては、例えば、多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。より具体的には、グリセリンまたはペンタエリスリトールに炭素数10~22の脂肪酸がエステル結合したグリセリン脂肪酸エステルまたはペンタエリスリトール;炭素数10~22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(該アルキルの炭素数1~3)エステル;エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン;炭素数8~18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド;エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルである硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、炭素数10~18のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が20~80モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
(D)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~8質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%である。(D)成分の含量が下限値以上であると、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性と繊維処理剤組成物の凍結復元安定性がより向上する。上限値以下であると、繊維処理剤組成物の粘度上昇を抑えて、使用性の面で良好なものとすることができる。
(E)成分は水溶性塩類である。
(E)成分は繊維処理剤組成物の粘度をコントロールする目的で配合することができる。
(E)成分は無機塩であってもよく有機塩であってもよい。具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムやp-トルエンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが好ましい。
(E)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(E)成分の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01~1質量%である。
(E)成分は、繊維処理剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
(F)成分は「平均分子量が1万から200万の範囲にある非イオン性高分子」である。
(F)成分は、消臭効果等を繊維処理剤組成物へ付与するために配合される。
(F)成分の具体例としては、高度分岐環状デキストリン(グリコ栄養食品株式会社製 商品名:クラスターデキストリン)、環状構造保有分岐グルカン(特開2012-120471)、高分子デキストリン(三和澱粉工業株式会社 商品名:サンデック#30)、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社 ポリエチレングリコール20,000)、ポリプロピレングリコールや、グリコーゲン(グリコ栄養食品株式会社 商品名:バイオグリコーゲン等が挙げられる。
尚、(F)成分は非イオン性の化合物であるので、グルカンの一部が変性されてカチオン性を有するカチオン化デンプンやカチオン化セルロース等は(F)成分に該当しない。
また、(F)成分の平均分子量は、好ましくは1万~200万、より好ましくは5万~100万、さらに好ましくは10万~50万である。平均分子量が下限値以上であると優れた消臭効果が得られる。平均分子量が上限値以下であると、長期保存による繊維処理剤組成物の分離を回避できる。
(F)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(F)成分の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%、さらに好ましくは0.8~2質量%である。含量が下限値以上であると優れた消臭効果が得られる。含量が上限値以下であると、粘度上昇による使用性低下を回避できる。
(G)成分は抗菌剤である。(G)成分の具体例としては、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩(ポリヘキサメチレンビグアニド)、8-オキシキノリンや、ポリリジン等が挙げられる。
(G)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(G)成分の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~0.4質量%、より好ましくは0.01~0.2質量%、さらに好ましくは0.01~0.1質量%である。
本発明の繊維処理剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の配合量は特に限定されず、所望の成分組成を達成するために適宜配合することができる。
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、25℃におけるpHを1~6の範囲に調整することが好ましく、2~4の範囲であることがより好ましい。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
繊維処理剤組成物は、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定することができる。
保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、400mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
繊維処理剤組成物は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の繊維処理剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む油相と、別途調製した水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、得られた乳化物に(E)成分、(F)成分及び(G)成分と必要に応じて他の成分を添加、混合することにより製造することができる。
本発明の繊維処理剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の繊維処理剤組成物と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ繊維処理剤組成物を溶解させて繊維製品を柔軟処理する方法や、該繊維処理剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。
前記のように繊維処理剤組成物を水に希釈して使用する場合、浴比(繊維製品に対する繊維処理剤組成物の質量比)は3~100倍、特に5~50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理では、全使用水量に対し、(A)成分の濃度が好ましくは0.01ppm~1000ppm、さらに好ましくは0.1ppm~300ppmとなるような量で繊維処理剤組成物を使用することができる。
本発明の繊維処理剤組成物により処理され得る繊維製品は、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。その素材は、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
尚、実施例及び比較例において、各成分の配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
下記のA-1~A-2を使用した。
A-1:カチオン界面活性剤(特開2003-12471の実施例4に記載の化合物)。
A-1は、一般式(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15~17のアルキル基又はアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。A-1における(A1-4)の四級化物の含量は、(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各四級化物の合計質量に対して25質量%であった。
A-2:カチオン界面活性剤(Stepan製、商品名:Stepantex SE-88)。
A-2は、一般式(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15~17のアルキル基又はアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。A-2における(A1-4)の四級化物の含量は、(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各四級化物の合計質量に対して30質量%であった。
下記の表1に示す組成を有するB-1~B-9を使用した。
表1中、香料名に続く括弧内の数字は25℃における蒸気圧である。
B-1~B-6は本発明の(B)成分の要件を満たしていた。一方、B-7は「芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料の含量」の要件を満たしておらず、B-8は「25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料の含量」の要件を満たしていなかった。また、B-9は、B-1と同一種類の香料を含有していたが「25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料の含量」の要件を満たしていなかった。
下記のC-1~C-2を使用した。
C-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアントジャパン株式会社 商品名:Nipacide BIT20)
C-2:N-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(ロンザジャパン株式会社 商品名:DENSIL DN)
下記のD-1を使用した。
D-1:ノニオン界面活性剤(1級イソトリデシルアルコールのエチレンオキシド60モル付加物。BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの)
下記のE-1を使用した。
E-1:塩化カルシウム(和光純薬株式会社製)
下記のF-1を使用した。
F-1:高度分岐環状デキストリン(グリコ栄養食品株式会社製 商品名:クラスターデキストリン)
下記のG-1を使用した。
G-1:ポリヘキサメチレンビグアニド(ロンザジャパン株式会社製 商品名:プロキセルIB)
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、表3に記載の通り調整して、次の手順により繊維処理剤組成物を調製した。
まず(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、共通成分1をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(E)成分、(F)成分および(G)成分を添加した。尚、(E)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、10%wt水溶液として用いた。なお、(F)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、25%wt水溶液として用いた。また必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpHを調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤組成物(実施例1~21及び比較例1~3)を得た。
表3中、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G)の各成分の数値は、繊維処理剤組成物の総質量に対する配合量(質量%)である。
表3中、「B/C」は、(B)成分の(C)成分に対する質量比を示す。
表3中、「B/(A+D)」は、(A)成分と(D)成分との合計量に対する(B)成分の質量比を示す。
25℃に調温した繊維処理剤組成物へ、Burkhorderia cepacia菌(バルクホルデリア・セパシア)を10の6乗個/mLとなるように接種して20℃で保存し、経時的(1日,2日,4日,7日,14日,28日)に前記組成物中に生残している菌数を平板混釈法(SCDLPA寒天培地;日本製薬社製)で測定し、接種した菌が10個/g未満となる日数(死滅日数)を求めた。
結果を表3の「防腐性(死滅日数)」欄に示す。死滅日数が少ないほど、繊維処理剤組成物の防腐性(雑菌繁殖抑制能)が高いことを示す。死滅日7日を合格とした。
繊維処理剤組成物を軽量ガラスビン(PS-No.11、田沼硝子工業所製)に70g入れて密栓したものを評価用サンプルとし、これを37℃で90日間保持した。
保持後のサンプルの25℃における液色調を、5℃保存品と比較した。比較は10人のパネラーが目視により行い、下記の基準に従って評価した。
結果を表3の「外観」欄に示す。商品価値上、△以上を合格とした。
<評価基準>
◎:色調の変化が認められたと評価した人が10人中0~2人
○:色調の変化が認められたと評価した人が10人中3~5人
△:色調の変化が認められたと評価した人が10人中6~7人
×:色調の変化が認められたと評価した人が10人中8~10人
Claims (6)
- 繊維処理剤組成物であって、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分:
(A)エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(B)香料組成物(但し、カプセル化香料に含まれる香料及び香料組成物を除く)であって、
25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料を、前記香料組成物の総質量に対して90質量%以上含み、かつ、
芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料を、前記香料組成物の総質量に対して0.01~5質量%含むことを特徴とする香料組成物、並びに、
(C)ベンゼン環を有するイソチアゾリン系の化合物
を含み、
(A)成分の含量が、前記繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.1質量%以上13質量%未満であり、
(B)成分の含量が、前記繊維処理剤組成物の総質量に対し、1~25質量%であり、
(C)成分の含量が、前記繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.0001~0.02質量%であり、
(B)成分の(C)成分に対する質量比(B/C)が100以上である、
繊維処理剤組成物(但し、フェノール構造又はヒドロキシ-4-ピロン構造を有する香料化合物と、炭素数8以上18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含む繊維処理剤組成物を除く)。 - (A)成分の含量が、繊維処理剤組成物の総質量に対し5~12質量%である、請求項1~2のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
- (B)成分の香料組成物が、25℃における蒸気圧が1.0mm/Hg未満の香料を、前記香料組成物の総質量に対して92質量%以上含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
- (B)成分の香料組成物が、芳香族基を有するアルデヒド香料及び/又はフェノール基を有する香料を、前記香料組成物の総質量に対して0.5~4.5質量%含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
- (B)成分が、ClogP値が0.5~4.0の香料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
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