JP4942472B2 - 新規メトキシ化第4級アンモニウム塩、該化合物を含有する液体柔軟剤用添加剤及び該化合物を含有する液体柔軟剤組成物 - Google Patents

新規メトキシ化第4級アンモニウム塩、該化合物を含有する液体柔軟剤用添加剤及び該化合物を含有する液体柔軟剤組成物 Download PDF

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本発明は、新規メトキシ化第4級アンモニウム塩、該化合物を含有する液体柔軟剤用添加剤及び該化合物を含有する各種の繊維製品に使用する液体柔軟剤組成物に関する。特に、本発明は、液体柔軟剤組成物に配合して、一剤で優れた防腐力と凍結復元安定性とを付与し得る、有用な新規メトキシ化第4級アンモニウム塩、該化合物を含有する液体柔軟剤用添加剤及び該化合物を含有する液体柔軟剤組成物に関する。
現在、市販されている家庭用柔軟剤製品は、消費者およびメーカー双方にメリットがあることから容器の縮小・軽量化および内容物の濃縮化が進んでいる。消費者にとっては、購入先から家庭に持ち帰る際の労力を軽減することができ、メーカーにとっては包装材料費や物流費を大幅に削減できる。また、容器素材であるプラスチック量を大幅に減少できるので、環境面からも好ましい。しかしながら、内容物の濃縮化は、洗濯に際してトラブルを発生させる原因にもなり得る。例えば、全自動洗濯機の投入口を使用し柔軟処理する場合、投入口に濃縮柔軟剤が残ることがある。すぐに洗い流せば問題はないが、放置することにより、乾燥固化してしまうことがある。これは、次回の洗濯の際、見苦しいばかりでなく、衛生上も好ましいことではない。このようなトラブルを解消するために、組成物を希釈して使用することを推奨している洗濯機メーカーもある。一方、使用実感を増すためや過剰使用を避ける目的で、水道水をボトル容器に入れて内容物を希釈して使用する消費者もいる。更に、近年はパウチ容器による詰め替え製品も多く流通しており、ボトルへの移し変えの際に水道水による容器の洗浄希釈行動も日常的に行われている。
しかしながら、このような希釈や内容物の移し変え行為により、環境由来の微生物が内容物中に混入し、その増殖が危惧される。そこで、柔軟剤容器内での天然環境由来の微生物の増殖を防止する目的で、市販柔軟剤には、柔軟剤成分とともに防腐・殺菌剤が使用されている。
例えば、特許文献1においては、水難溶性第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤及び3−イソチアゾロン系抗菌剤を含有する柔軟剤組成物が提案され、好ましい3−イソチアゾロン系抗菌剤として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが例示されている。また、特許文献2などにも、任意の抗菌防腐剤として上記化合物または、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが例示されている。また、特許文献3には、カチオン界面活性剤および1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどの特定有機硫黄化合物を含有し、pHが1.5〜5.5である液体柔軟仕上げ剤組成物が提案されている。更にまた、特許文献4では、生分解性の柔軟化基剤のエステル基含有炭化水素基を分子内に1個以上有するカチオン界面活性剤に、イソチアゾロン系有機硫黄化合物などの3種類の化合物を併用した防腐性柔軟剤組成物が提案されている。
しかしながら、上述の希釈や内容物の移し変え作業により、容器内で環境由来の微生物が増殖する可能性が高くなり、ひいては香り立ちなどの品質に悪影響を与えることが考えられる。また、製品の濃縮化の進行に伴い組成物の粘度を下げる目的で2価金属無機塩が多用され、その結果、抗菌・防腐力が低下する弊害がでている。このような際にも、環境由来の微生物の増殖を防止する目的で、組成物に、より強力な抗菌防腐力をもたせる必要がある。さらに又、防腐剤は一般的に高価であり、しかも大量に配合することは皮膚刺激性など安全性の観点から好ましいことではない。
一方、水性液体柔軟剤組成物には、冬場の保存条件下で凍結融解復元した際にゲル化や相分離が生ずるのを防止する目的で、所謂ハイドロトロープ剤として、エタノールやエチレングリコール、プロピレングリコールなどの低級の一価もしくは多価アルコールが配合される場合が多い。さらに、かような凍結復元安定性を付与する目的で、前記した生分解性のエステル基含有炭化水素基を分子内に1個以上有するカチオン界面活性剤を主基剤とする柔軟剤組成物に対し、ヒドロキシル基などの官能基を有する短鎖アルキル3級アミン中和物も提案されている。(特許文献5)
しかしながら、一剤で、液体柔軟剤組成物に防腐力と凍結復元安定性を付与できる添加剤は未だ提案されていない。
特開昭62−263380号公報(ライオン) 特開平3−113077号公報(ユニリーバー) 特開平11−181681号公報(花王) 特開2001−192966号公報(ライオン) 特開平6−228868号公報(ライオン)
本発明は、液体柔軟剤組成物に添加して、一剤で優れた防腐力と凍結復元安定性とを付与し得る、新規な第4級アンモニウム塩と、該化合物を含有する液体柔軟剤用添加剤と、該化合物を含有する液体柔軟剤組成物とを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、新規なメトキシ化第4級アンモニウム塩を使用することにより上記目的を達成できることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記式(1)で表される化合物を提供する。
Figure 0004942472
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
本発明はまた、上記化合物の少なくとも1種を含有する液体柔軟剤用添加剤を提供する。
本発明はまた、上記化合物の少なくとも1種を含有する液体柔軟剤組成物を提供する。
本発明によれば、液体柔軟剤組成物に添加して、一剤で優れた防腐力と凍結復元安定性とを付与し得る。
[(A)成分:モノメトキシ化TEA4級塩、ジメトキシ化TEA4級塩]
新規化合物である本発明のメトキシ化第4級アンモニウム塩は、上記構造式(1)で表される。式(1)の化合物は、下記式(I)で表されるメチル−N−メトキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート(以下、「モノメトキシ化TEA4級塩」と略記する)(a−1)又は下記構造式(II)で表されるメチル−ビス(N−メトキシエチル)−N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート(以下、「ジメトキシ化TEA4級塩」と略記する)(a−2)である。
Figure 0004942472
本発明の化合物は、液体柔軟剤組成物の添加剤として使用することができ、驚くべきことに、防腐剤と凍結復元安定化剤としての二つの性質を有する。液体柔軟剤組成物を構成する柔軟基剤は特に限定されないが、後述する(B)が好ましい。
本発明の添加剤は、液体柔軟剤組成物の全質量を基準として、0.5質量%以上含まれるのが好ましく、1〜5質量%含まれるのがより好ましい。このような範囲で含まれることにより、充分な防腐力と凍結復元安定化効果を付与できる。
本発明の化合物の製造方法を、モノメトキシ化TEA4級塩を例に説明する。モノメトキシ化TEA4級塩は下記の主反応プロセスによって得ることができる。
Figure 0004942472
この反応においては、未反応の3級アミンと該アミンのモノメチル硫酸塩が副生物として含まれる。また、4級化工程において、メトキシエチルジヒドロキシエチルアミン:ジメチル硫酸の反応モル比を1:2以上にして、且つ熟成時間を長くして熟成を充分施すことにより、ジメトキシ化TEA4級塩の含有率が高い「モノメトキシ化TEA4級塩とジメトキシ化TEA4級塩の混合物」が得られる。
[(B)成分:エステル基を含む炭化水素基含有型カチオン性界面活性剤]
本発明で用いる成分(B)であるカチオン性界面活性剤は、分子内に、エステル基を含む1以上の炭素数12〜24の長鎖炭化水素基を含有するアミン化合物とその有機または無機酸による中和物、およびその4級化物である。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。本発明の液体柔軟剤組成物により処理した繊維製品の柔軟性を良好にするために、カチオン界面活性剤混合物中の長鎖炭化水素基を2つまたは3つ有するカチオン界面活性剤の質量比率は50%以上であることが好ましい。本発明で用いる成分(B)は、該長鎖炭化水素基の途中にエステル基を含有するため、使用後自然環境中へ廃棄された後に生分解される。本発明で使用できる(B)成分としては、具体的には以下の式(III)〜(IX)の化合物があげられる。
Figure 0004942472
カチオン性界面活性剤を構成する長鎖炭化水素基は炭素数12〜24の炭化水素基である。R1−COOは炭素数10〜22の脂肪酸とエタノールアミン基とからエステル化された残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される長鎖炭化水素基である。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、そのシス/トランス質量比率=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜95/5が特に好ましい。R1−COOの元となる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和質量比率が95/5〜50/50、不飽和結合のシス/トランス体質量比率が40/60〜90/10、ヨウ素価が10〜60、炭素数18の比率が60質量%以上であるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。ここで、式中に存在するR1−COOはすべて同一であっても、またはそれぞれ異なっていても構わない。
一般式(III)、(IV)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性を良好にする観点から、(III)と(IV)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、後者の方がより好ましい。その際、(III)と(IV)で示されるエステルアミンの4 級化物の存在比率も、柔軟性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(V)、(VI)、(VII)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(V)、(VI)、(VII)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性の観点から(V)は1〜60質量%、(VI)は5〜98質量%、(VII)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(V)は30〜60質量%、(VI)は10〜55質量%、(VII)は5〜35質量%の比率で存在することが更に好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、4級化反応を十分に進行させる点で、ジメチル硫酸がより好ましい。その際、(V)、(VI)、(VII)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、柔軟性の観点から質量比で(V)が1〜60質量%、(VI)は5〜98質量%、(VII)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(V)は30〜60質量%、(VI)は10〜55質量%、(VII)は5〜35質量%の比率で存在することが更に好ましい。また、(V)、(VI)、(VII)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は70/30 〜99/1の質量比率のいずれであってもよい。
一般式(VIII)、(IX)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、「J.Org.Chem.,26,3409(1960)」に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(VIII)と(IX)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(VIII)と(IX)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(VIII)、(IX)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
本発明においては、一般式(V)、(VI)、(VII)の4級化物の混合物を使用するのが好ましい。
(B)成分の配合量は、組成物の全量を基準にして、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。(B)成分の配合量がこのような範囲内にあると、綿製品と化繊双方にも柔軟化効果があり、且つ使用上適度な粘度に調整し易いので好ましい。
[(C)成分:アルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤]
本発明の液体柔軟剤組成物は、前記の(A)及び(B)成分に加え、(C)成分としてアルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤を、組成物の安定性、特に乳化分散安定性及び凍結復元安定性、さらに特に凍結復元安定性を向上する目的で用いることが好ましい。
該非イオン界面活性剤としては、下記一般式(X)で表わされる高級アルコール又は高級脂肪酸エステル、或いは下記一般式(XI)で表わされる高級アミンのアルキレンオキシド付加物が好ましく、特に式(X)で表される高級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。
Figure 0004942472
[R2:C10〜20炭化水素基又は炭素数10〜20の炭化水素基にカルボニル基が連結している基、R3:水素もしくはC1〜3のアルキル基、A:炭素数2〜3のアルキレン基、n及びp+qは10〜100の数。]
高級アルコールは一級でも二級でもよく、その長鎖炭化水素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよく、炭素鎖長に分布があってもよい。炭素鎖長は好ましくは10〜20、より好ましくは10〜18である。炭化水素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は16〜18であるものが好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよい。
一方、高級アルコールに付加するアルキレンオキシドはエチレンオキシド(EO)単独が好ましいが、エチレンオキシドにプロピレンオキシド(PO)を併用してもよく、これらアルキレンオキシドの平均付加モル数は10〜100であり、20〜80が好ましく、より好ましくは30〜60モルである。
アルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤として、より具体的には、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO40モル付加物、イソトリデシルアルコールの平均EO45モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60モル付加物、ラウリン酸の平均EO30モル付加物などが挙げられる。それらの具体例として、日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、エソミンシリーズ、(株)日本触媒製ソフタノール300などのソフタノールシリーズ、BASF社製Lutensolシリーズなどを使用することができる。また、上記化合物には、原料であるアルコールやアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが未反応分として非イオン界面活性剤中に10質量%以下で含まれてもよい。それらは、1種単独でも又は2種以上の混合物としても使用することができる。
非イオン性界面活性剤として好適な高級アルコールアルキレンオキシド付加物の原料アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ブチルオクタノール、イソトリデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、2−ブチルデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクタデカノール、2−ドデシルヘキサデカノールなどの天然系もしくは合成系の高級アルコールを使用することができる。
アルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤を含有することにより、液体柔軟剤組成物の安定性、特に乳化分散安定性及び凍結復元安定性、さらに特に凍結復元安定性が向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量に対して、0.1〜15質量%とするのがよく、特に0.5〜10質量%、更に1〜5質量% が好ましい。下限値以上の配合量とすることにより、凍結復元安定性の向上効果を充分なものとすることができ、一方、上限値以下の配合量とすることにより、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の余分な泡立ちを抑制する点からも、好ましいものとすることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において上記成分に加えて、更に機能付加、粘度安定化、製造性向上、外観向上、香気向上などを目的に、通常液体柔軟剤組成物に配合される公知成分として、下記の任意成分を配合することができる。また、本発明の液体柔軟剤組成物は、好ましくは水性組成物であり、配合製剤化に用いる使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、コストも考慮してイオン交換水が最適である。
[任意成分:水溶性の無機塩もしくは有機塩]
さらに、本発明組成物には液体物柔軟剤組成物の粘度を抑制して、凍結復元時や長期間保存してもゲル化など急激な粘度上昇を生じない安定なエマルジョンとするため、上記成分に加えて、水溶性の無機塩もしくは有機塩を併用することがより望ましい。該水溶性塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、等の他、硫酸もしくは硝酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩などの無機塩だけでなく、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩、を使用できる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムである。
該水溶性塩は、組成物全量に対して0〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%、添加することが好適である。下限量以下や上限量以上でも、粘度抑制効果が不充分であり、しかも乳化分散安定性を劣化させる。無機又は有機の水溶性塩類の添加は組成物製造のどの工程で入れてもよい。
[任意成分:低級の一価又は多価アルコール]
組成物製造に関しての原料のハンドリング性向上や組成物の凍結復元安定性向上を目的として、炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールを配合することができる。これらの一価又は二価のアルコールは、(A)成分もしくは(B)成分のハンドリング性を向上させるために、それらの反応溶媒や希釈剤として用いられることがあり、或いは液体柔軟剤組成物製造の際に配合される場合もある。
炭素数1〜8の一価又は多価のアルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ベンジルアルコール、グリセリン、2−フェノキシエタノール、2−フェニルエタノールなどである。これら1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
炭素数1〜8の一価又は多価のアルコールは、通常、組成物全量に対し0〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
[任意成分:金属イオン封鎖剤及び/又は酸化防止剤]
柔軟剤組成物の香気や色調の安定性を向上することを目的として、金属イオン封鎖剤及び/又は酸化防止剤を含有することができる。
本発明組成物に配合し得る金属イオン封鎖剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸塩やジエチレントリアミン五酢酸塩などに代表されるアミノカルボン酸塩、クエン酸、コハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、トリポリリン酸塩に代表される無機リン化合物、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸塩に代表される有機リン化合物などが挙げられる。金属イオン封鎖剤の内、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸塩が特に好ましい。尚、金属イオン封鎖剤を液体柔軟剤に配合する場合、遊離の酸として配合してもよく、塩として配合してもよい。
金属イオン封鎖剤の配合量は、組成物全量に対し、好ましくは0.0001〜1質量%、より好ましくは0.0005〜0.5質量%である。配合量が少なすぎるとその効果が弱くなる場合があり、多すぎると相分離を生じたりする場合がある。
一方、酸化防止剤の例としては、没食子酸プロピル、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、p−ヒドロキシアニソール、茶エキスなどが挙げられる。これらの内、BHTが特に好ましい。
酸化防止剤の配合量は、組成物全量に対し0〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。配合量が少なすぎるとその効果が弱くなる場合があり、多すぎると製造コストが高くなる。
[任意成分:(A)成分以外の防腐剤]
本発明組成物は、長期保存中の防腐性を一層強化するために、水性液体柔軟剤組成物に通常用いられる防腐剤を併用することができる。具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。ローム・アンド・ハース社製のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド5などの市販品を使用することができる。
また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。このような化合物としては、アーチ・ケミカルズ・ジャパン社製のプロキセルシリーズ(BDN、BD20、XL−2、GXL)などの市販品を使用することができる。
安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
任意成分である防腐剤の配合量は、組成物全量に対して0.00001〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.05質量%、より好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
[任意成分:着色剤]
液体柔軟剤組成物の外観を向上する目的で、任意の染料及び/又は顔料を配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
本発明の液体柔軟剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報、特開2001−348784号公報、などに記載されている染料を用いることもできる。
[任意成分:香料組成物]
香料組成物としては、脂肪族及び芳香族のエーテル類、脂肪族やテルペン類のオキサイド類、アセタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸や芳香族カルボン酸などの酸類、アマイド類、ニトリル、アミン、キノリン類、ピロールやインドールなどの含窒素化合物等々の、合成及び/又は天然系香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合し、使用することができる。
上記香料に含まれる香料成分としては特に限定されるものではなく、使用される香料成分のリストは、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」Vol.IandII,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)などに記載される香料成分を使用することができる。
[任意成分:シリコーン化合物]
防しわ性、吸水性、アイロンすべり性、など繊維の物性を改善する目的で、ジメチルポリシロキサン及び各種有機官能基を有する変性ジメチルポリシロキサンから選ばれるシリコーンを、1種単独で又は2種以上の混合物として任意の割合で使用することができる。特に、下記一般式(XII)で表わされる分子内にポリオキシアルキレン基を含有するポリエーテル変性シリコーン類が好適である。
Figure 0004942472
式中、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hである。Rは互いに同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基であり、Xはポリオキシアルキレン基である。−Yは、−R4−O−X−R5又は−O−X−R5であり、R4は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R5は水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。
上記一般式(XII)において、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−OHであることが好ましい。Rは、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R4は、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、プロピレン基が特に好ましい。R5が炭化水素基である場合には、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましい。特に好ましいR5は、水素原子又はメチル基である。
また、上記一般式(XII)において、Xはポリオキシアルキレン基を表わすが、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、又はオキシブチレン単位などが、ブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10%以上60%未満であり、好ましくは20%〜35%である。また、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、50%〜100%であるのが好ましい。
更に、上記一般式(XII)において、L、M及びNは、いずれも各繰返し単位の数の平均値を表し、Lは0〜50、好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜500である。なお、上記一般式(XII)で表わされるポリエーテル変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、各繰返し単位がランダムに配列している構造を有するものであってもよい。
シリコーンの25℃における動粘度は100〜10万mm2/s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)の範囲が好ましく、更に好ましくは100〜1万mm2/sである。各種シリコーンはオイルとして用いても、エマルジョンとして用いてもよく、分散液として用いてもよい。これらのシリコーン化合物は液体柔軟剤組成物全量に対し、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%配合することができる。
[任意成分:pH調整剤及びpH]
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、(B)成分が持つエステル基の組成物中での加水分解を抑制する目的で、pHを1.0〜6.0の範囲にすることが好ましく、特に、pH2.0〜4.0の範囲が好ましい。pH調整には、任意の無機又は有機の酸及びアルカリを使用することができ、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リング酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示できる。この中でも、塩酸、メチル硫酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
[粘度]
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は特に限定されないが、容器からの排出性、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の点から、およそ1,500mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)以下であることが好ましく、保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は10〜100mPa・sであるのが好ましく、10〜50mPa・sであるのがより好ましい。このような範囲にあると、長期保存後や凍結復元しても相分離やゲル化などの異常現象を起こさず、しかも前記の使用性が良好であるので好ましい。
[配合方法]
液体柔軟剤の配合方法としては特に限定されず、種々の方法を用いることができるが、特に特開平2−68137号、特開平5−32788号、特開平5−32789号、及び特開平10−237762号公報に記載されている方法が好ましい。即ち、(A)成分と(B)成分を含む油相に、水相の一部を添加するか、あるいは水相の一部に該油相を添加して、高濃度のカチオン性界面活性剤を含む液晶相を形成させ、次いで該液晶相に残りの水相を添加して液晶相をO/W型エマルションへ転相する方法により、本発明の水性液体柔軟剤組成物を調製することができる。
凍結復元安定性などの乳化分散安定性を向上する目的で配合するアルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤は水相、油相どちらに添加してもよい。粘度調整剤である有機もしくは無機の塩類は、製造時に何回かに分割して添加することもできる。任意成分は、水相もしくは油相への溶け易さやハンドリング性の観点から、水相と油相のいずれに添加するか選択される。但し、溶解性が劣るものも乳化剤や溶剤との併用によりいずれの相に添加することも可能である。一般的には、水溶性の高いものは水相、水難溶性のものは油相に添加することが好ましい。
[液体柔軟剤組成物の包装容器]
本発明の液体柔軟剤組成物を充填する包装容器は、特に限定されないが、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート製のボトル容器や、ポリエチレンや、ナイロン製のパウチ容器に充填するのが一般的である。近年は組成物の水分蒸発の抑制や、粘度や色調、香気などの性状変化を抑制するため、パウチの材質として、アルミやアルミナを蒸着させたポリエチレンやポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いることがあり、これらを2層以上貼り合わせた多層フィルムを用いることができる。この中でも特に、ナイロン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートの内から2種以上を組合せて使用することが望ましい。また、これらには顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、スリッピング剤などを含んでいてもよい。
[液体柔軟剤組成物の使用方法]
本発明の柔軟剤組成物は、通常の洗濯において洗浄終了後の濯ぎの際に使用される。但し、洗浄工程なしに柔軟剤組成物単独で使用してもよい。洗濯工程における洗剤は、アニオン性主体の洗剤でも、非イオン性主体の洗剤でもよく、その他界面活性剤、機能向上剤を含んでいてもよく、国内外で市販されている洗剤すべての濯ぎ工程において使用することができる。繊維製品の仕上げを行う際の使用濃度は、繊維製品への柔軟性付与の観点から、濯ぎ工程で洗濯浴に満たされる繊維製品の仕上げを行う際の水量に対し、(A)成分単独、もしくは(A)成分と(B)成分の合計量の濃度が10〜100ppmとなるような量で使用するのが望ましい。より好ましくは20〜100ppmである。但し、使用者が洗濯機種、繊維製品の量、水量などを考慮して、好みの量に調整するのがもっとも好ましい。
本発明の柔軟剤組成物は、二層式洗濯機、全自動洗濯機、及び乾燥機能付洗濯機等の市販されている全ての洗濯機に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1.(A)成分の合成と同定分析
実施例1−1.[(a−1)成分:モノメトキシ化TEA塩の合成]
[メトキシエチルジヒドロキシエチルアミンの合成]
温度計、攪拌機を備えた1L圧力容器にメトキシエチルアミン(関東化学製)300g(4.0モル)を仕込んだ。液温が100℃に達した時点で酸化エチレン(三菱化学製)を少量ずつ仕込みながら液温を徐々に上げていき、150〜170℃に温度制御しながら酸化エチレンをトータル349g(7.93モル)導入し、反応圧として0.5MPa・G(ゲージ圧)以下で反応させた。酸化エチレンの仕込みが終わってから170℃に保持したまま1時間熟成させた。熟成終了後、液温を60℃まで冷却した。得られたメトキシエチルジヒドロキシエチルアミンのアミン価を測定した結果、342mgKOH/gであった。
[(a−1)成分:N−メチル−N−メトキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートの合成]
温度計、冷却装置、攪拌機を取り付けた1L容4つ口フラスコに、前記の方法で得られたメトキシエチルジヒドロキシエチルアミンを200g(Mw:163.4、1.22モル)仕込み、50〜60℃に液温を保持しながらジメチル硫酸(154.2g、1.22モル)を添加し、反応を行った。得られた4級アンモニウム塩中の残留アミン量は0.29%であり、アミンモノメチル硫酸塩は1.02%であった。
実施例1−2.[(a−1)成分と(a−2)成分との混合物の合成]
温度計、冷却装置、攪拌機を取り付けた1L容4つ口フラスコに、前記の方法で得られたメトキシエチルジヒドロキシエチルアミンを200g(Mw:163.4、1.22モル)仕込み、50〜60℃に液温を保持しながらジメチル硫酸(308.4g、2.44モル)を2時間かけて添加し、その後60℃で熟成反応を行った。得られた4級アンモニウム塩の残留アミン量は0.05%であった。得られた4級アンモニウム塩にKOH/メタノール(56.1g(1.0モル)/200g)を加えて中和し、生じた沈殿物を60℃にて濾別した。続いて得られた濾液を60℃、減圧下(1.3kPa以下)で組成物中のメタノールを留去し、標記の4級アンモニウム塩組成物を得た。プロトンNMRにより、モノメトキシ体:(a−1)成分/ジメトキシ体:(a−2)成分の比率を計算した結果、1/2.6であった。
実施例1−1、1−2で得られたモノメトキシ化TEA4級塩及びジメトキシ化TEA4級塩の化学構造解析結果を化7及び図1〜図5に示す。なお、化7中の丸付き数字は、図1及び図2中の丸付き数字と対応する。
Figure 0004942472
前記の(a−1)成分を単独で合成した試料について、1H-NMR(300MHz, D2O)スペクトルを図1−1(図1下)に、13C-NMR(300MHz,D2O)スペクトルを図2に、マススペクトルを図3に、赤外吸収スペクトルを図4に、(a−1)成分と(a−2)成分との混合物の試料について、1H-NMR(300MHz, D2O)スペクトルを図1−2(図1右上)に、マススペクトルを図5に夫々示す。
1H-NMR(300MHz, D2O)モノメトキシ化TEA塩:δ=3.1-3.2(3H,s),3.25-3.35(3H,s),3.5-3.6(4H,t),3.6-3.7(2H,t),3.6-3.67(CH3SO4 -),3.75-3.85(2H,t),3.9-4.0(4H,t)、ジメトキシ化TEA塩:δ=3.1-3.2(3H,s),3.25-3.35(3H,s),3.5-3.6(2H,t),3.6-3.7(4H,t),3.6-3.67(CH3SO4 -),3.75-3.85(4H,t),3.9-4.0(2H,t).
13C-NMR(300MHz, D2O)δ=50.5-50.8, 55.9-56.2,56.1-56.3(CH3SO4 -),58.9-59.1,63.1-63.3,65.0-65.2,66.0-66.2.
MS(ESI+)モノメトキシ化TEA塩:m/z=178〔M〕+,134〔M-CH2CH2OH+H〕+,120〔M-CH2CH2OCH3+H〕+,102〔M-CH2CH2OCH3-OH〕+,59〔CH2CH2OCH3+、ジメトキシ化TEA塩:m/z=192〔M〕+,134〔M-CH2CH2 OCH3+H〕+,116〔M-CH2CH2OCH3-OH〕+,59〔CH2CH2OCH3+
IR(透過FT-IR)754cm-1 1457-1473cm-1 2950cm-1 C-H結合,1006cm-1 1212-1251cm-1 C-0結合,3384cm-1 0-H結合,2850cm-1 CH3-OのC-H結合.
製造例.(B)成分の調製
表−4に記載の、柔軟剤配合に供した(B)成分:(b−1)であるエステル基を含むモノ長鎖/ジ長鎖/トリ長鎖炭化水素基含有第4級アンモニウム塩混合物は下記の方法に従って調製した。
<エステルアミンの合成>
攪拌機、分縮器、温度計、冷却装置及び減圧セットを取り付けた2L容4つ口フラスコに、部分水添パーム油脂肪酸メチルエステル(ステアリン酸メチル40%+オレイン酸メチル40%+パルミチン酸メチル20%、から成る混合物、夫々ライオン(株)製パステルM180、パステルM181、パステルM16)581g(2.0モル)、トリエタノールアミン186g(1.24モル)、触媒である酸化マグネシウム0.4g、及び25%水酸化ナトリウム水溶液1.5gを、仕込んだ。窒素置換を行った後、70kPaまで減圧した。その後、1.5℃/minの速度で185℃まで昇温し、圧力を徐々に3kPaまで低下させ、7時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来の脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のエステルアミンを得た。測定したアミン価から平均分子量を求めたところ、606であった。
<四級化>
得られたエステルアミン303g(0.50モル)を温度計、滴下ロート及び冷却装置を備えた1L容4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、90℃に加熱し、ジメチル硫酸61.7g(0.49モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更にそのままの状態で1時間撹拌した。次いで、溶媒としてエタノール約64gを滴下しながら冷却して、モノ長鎖エステル/ジ長鎖エステル/トリ長鎖エステル第4級アンモニウムメチルサルフェート混合物(b−1)のエタノール溶液(不揮発分の濃度:約85%)を調製した。得られた第4級アンモニウム塩混合物中には、モノ長鎖エステル第4級アンモニウム塩/ジ長鎖エステル第4級アンモニウム塩/トリ長鎖エステル第4級アンモニウム塩が25/55/20の質量比で含まれており、ヨウ素価は34であった。さらに、不飽和結合のシス体/トランス体の質量比はシス体/トランス体=45/55、であった。また、該エタノール溶液中には、4級化されていないモノ長鎖エステル3級アミンとジ長鎖エステル3級アミンとトリ長鎖エステル3級アミンが合計で約9%含まれており、その質量比はモノ/ジ/トリ=1/9/90であった。
水性液体柔軟剤組成物の配合と評価
[配合実施例1〜8、配合比較例1〜3]
表−1〜4に示す成分を用い、液体柔軟剤組成物1kgを配合した。まず、油相混合物と水相混合物を調製しておく。但し、水相混合物は、質量比3:7となるよう二つに分け、それぞれ第一の水相混合物、第二の水相混合物とした。そして、油相混合物、第一の水相混合物及び第二の水相混合物の合計が990gになるように水相混合物を精製水でバランスした。その後、必要に応じ、塩酸(試薬5mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬5mol/L、関東化学(株)製)を水相混合物に添加して、所定のpHに調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、表−4に示す液体柔軟剤組成物を得た。特に断りの無い限り、配合量はいずれの場合も柔軟剤組成物全体に対する質量%として示すが、%と略記する。
配合は、(A)成分、(B)成分(任意成分である適量の合成エタノール、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸0.001%と予め混合)及び追加量のエタノールと香料組成物(BHT0.01%と予め混合)、必要に応じてポリエーテル変性シリコーンから成る油相混合物に、水相に配合する成分(以下、単に「水相」と称する)を含む第一の水相混合物を添加して、カチオン界面活性剤の液晶相を形成させ、次いで該液晶相と第二の水相混合物とを混合して液晶相を転相させる方法で行った。油相混合物は約55℃、水相混合物は約40℃に加温して混合した。尚、上記組成物を調製する際には、パドルミキサーを用い、液晶転相前後1000rpmで5分ずつ混合した。
また、表−4に記載の柔軟剤組成物には、(C)成分としてアルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤(水相)と、任意成分である塩化カルシウム(最初の水相にその半量、油相混合物と水相混合物を混合後、液晶相を転相時に残りの半量添加)、及び染料(水相)を夫々各組成に従って配合した。尚、さらに必要に応じて所定量のイソチアゾロン液(水相)も添加した。尚、配合に用いた(C)成分を表−1に、香料組成物を表−2に、香料以外の共通任意成分を表−3に、夫々示す。得られた液体柔軟剤組成物について、下記に示す評価方法に従い、防腐力と凍結復元安定性を評価した。柔軟剤の組成と評価結果を表−4に記載する。尚、配合に際しては、配合直後の粘度が10〜50mPa・sの範囲に入るように、粘度調整剤である塩化カルシウムなどの配合量を調整した。
Figure 0004942472
Figure 0004942472
Figure 0004942472
[供試ポリエーテル変性シリコーンの製造方法]
(CH3)3SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
Figure 0004942472
[液体柔軟剤組成物の評価方法]
(1)凍結復元安定性
柔軟剤組成物約100mLを100mL容ガラス瓶に入れて、−15℃(40時間、凍結)⇔25℃(8時間、復元)を3回繰り返した後、下記の基準に従って、粘度及び液外観の変化の有無を判定した。尚、粘度は試料温度25℃、B型粘度計(TOKIMEC社製BL粘度計)を用いて、回転速度30回転/分、10回転目の値を読み取った。粘度が1000mPa・s以下の場合はNo.2ロータ、1,000 mPa・sを超える場合はNo.3ロータ、を夫々用いた。
<判定基準>
◎:凍結復元3回後の粘度が300mPa・s以下であり、液外観は異常無し。
○:凍結復元3回後の粘度が300超〜800mPa・s以下であり、液外観は異常無し。
△:凍結復元3回後の粘度800超〜1,500mPa・s以下、もしくは液外観が僅かに不均一ゲル化の兆候あり。
×:凍結復元1回後の粘度1,500mPa・s超であり、3回以内でゲル化した。
(2)防腐力
柔軟剤組成物を製造後、25℃で1日放置した供試試料に、Burkhorderia cepacia(バルクホルデリア セパシア)菌を10の6乗個/mLとなるように接種し、20℃で保存した。その後、経日的に試料中に生残している菌数を平板混釈法で測定。菌数が10個/g未満になる日数(死滅日数)を求めた。測定は1日後、4日後、7日後、14日後、(結果によっては21日後、28日後も、)実施し、菌数が10個/g未満になったときの日数を死滅日数とした。日数が少ないほど防腐力が強い。
結果を表−4に示す。
Figure 0004942472
図1−1に実施例1−1で合成した(a−1)成分の1H-NMR(300MHz, D2O)スペクトルを、図1−2に実施例1−2で合成した(a−1)成分と(a−2)成分との混合物の1H-NMR(300MHz, D2O)スペクトルを示す。 実施例1−1で合成した(a−1)成分の13C-NMR(300MHz,D2O)スペクトルを示す。 実施例1−1で合成した(a−1)成分のマススペクトルを示す。 実施例1−1で合成した(a−1)成分の赤外吸収スペクトルを示す。 実施例1−2で合成した(a−1)成分と(a−2)成分との混合物のマススペクトルを示す。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0004942472
    (式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
  2. 請求項1記載の化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする液体柔軟剤用添加剤。
  3. 請求項1記載の化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物。
  4. さらに、(B)分子内に、エステル基を含む炭素数12〜24の炭化水素基を1個以上含有するアミン化合物、もしくはそれらの中和物もしくはそれらの4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤を含有する請求項3記載の液体柔軟剤組成物。
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